溶融金属めっき浴用滑り軸受装置
【課題】調心機能を有し、かつ荷重の高い場所でも使用可能なセラミックス製の滑り軸受を備える溶融金属めっき浴用滑り軸受装置を提供する。
【解決手段】セラミックス製滑り軸受11と金属製軸受ホルダ12との間に調心部材13を備え、調心部材13と金属製軸受ホルダ12との接触面の一方が球面の凸面であり、他方がこの球面と面で接触する球面の凹面である溶融金属めっき浴用滑り軸受装置10とする。
【解決手段】セラミックス製滑り軸受11と金属製軸受ホルダ12との間に調心部材13を備え、調心部材13と金属製軸受ホルダ12との接触面の一方が球面の凸面であり、他方がこの球面と面で接触する球面の凹面である溶融金属めっき浴用滑り軸受装置10とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動調心機能を有する溶融金属めっき浴用滑り軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体等に用いられる溶融金属めっき鋼板の製造は、連続焼鈍炉で焼鈍された薄鋼板を、溶融金属めっき浴中に浸漬して通過させることにより行われる。溶融金属めっき浴へと進入した薄鋼板は、めっき浴中に設置されたシンクロールにより上方へ方向転換された後、浴中に設置されたコレクトロールやスタビライズロールによって鋼板の反りや振動を抑制される。そして、これらのロールを経た鋼板は、めっき浴面直上に設置されたガスワイピング装置によって余剰めっきを払拭されることにより、所定のめっき付着量に調整される。
【0003】
溶融金属めっき浴中に配置されるシンクロール等の軸受は、高温の溶融金属において高負荷で使用されるため、ステンレス鋼の摩擦面に耐摩耗性高硬度合金を溶射した材質などでは摩耗が速い。軸受の交換にはめっきラインを停止する必要があるため、軸受の寿命は溶融めっき鋼板の生産性と直結する。そこで、軸受の寿命を延ばすために、硬度及び耐熱性の高いセラミックスの部材を用いたセラミックス製の軸受が用いられている。
【0004】
セラミックス製の軸受は、金属製の軸受ホルダにより保持される。この軸受ホルダには一般的にステンレス鋼が用いられる。ステンレス鋼の熱膨張係数は17.8×10−6/Kであり、セラミックスの熱膨張係数3×10−6/Kに比べて大きい。そのため、溶融金属めっき浴中では、軸受と軸受ホルダの間に間隙が生じる。セラミックス製の軸受として球軸受を使用する場合、この間隙及び球軸受の内部に溶融金属が侵入する。メンテナンスのためにロールをめっき浴から引き上げると、温度低下により侵入した溶融金属が凝固固着するとともに、軸受及び軸受ホルダが熱収縮する。これにより、上述した熱膨張係数の差から、凝固固着した溶融金属を介して強い圧縮力が球軸受に掛かる。そのため、球軸受が破損する場合があった。また、球軸受が自動調心機能を有している場合、溶融金属の凝固固着により自動調心機能が機能しなくなる場合があった。球軸受は構造が複雑であり、このような事態を解決することが困難であった。
【0005】
そのため、一般的にはセラミックス製滑り軸受(以下単に「軸受」ということがある)が用いられている。特許文献1には、硬質セラミック焼結体からなる軸受を鋼製の保持器(軸受ホルダと同義。以下同じ。)で変位可能に保持し、保持器の内面と軸受の背面との曲率半径の比が1.0〜1.5である連続溶融金属めっき浴中ロール用すべり軸受装置が開示されている。かかる技術によれば、軸受材料を、摩擦係数が小さくかつ耐摩耗性に優れる硬質セラミック焼結体としたことにより、浴中ロールを無駆動化できて金属帯振動の問題が解消し、軸受の摩耗速度が遅くなる。ロールの保持器が軸受を変位可能に保持することで、残留めっき金属による圧縮力過負荷を回避しうるので、硬質セラミック焼結体の割損を防止することができるとされている。
【0006】
また、特許文献2には、サポートロール軸受を支持するハンガー(軸受ホルダと同義。以下同じ。)の支持部、又はサポートロール軸受のハンガー接触部を凸状に形成した溶融金属めっき浴中のサポートロール支持構造が開示されている。かかる技術によれば、軸受とロール軸とのずれがなく平行に保つことができるため、ロールの回転不良にともなうめっき鋼帯の擦り疵を防止し、品質、歩留を向上させることができるとされている。
【特許文献1】特開2001−262299号公報
【特許文献2】実開平5−77251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
セラミックス製の滑り軸受では軸受の摩耗は極めて少ないが、金属である軸が摩耗する。軸が摩耗すると軸と軸受の径差が大きくなるため、軸受の中で軸が転がり振動を起こす。この転がり振動が伝播して鋼板を振動させることで、めっき付着面の品質が低下する。そこで、セラミックス製の滑り軸受を用いる場合には、軸受と軸の径差を可能な限り小さく設計し、転がり振動を抑制することが好ましい。しかし、軸受と軸の径差を小さくすることにより、軸受と軸との軸心が一致しない場合には軸と軸受とが干渉し、負荷が掛かることで軸が滑らかに回転しない。また、軸受と軸との軸心が一致しないことで軸に偏摩耗が生じ、軸の転がり振動が大きくなる。これらにより、めっき付着面の品質が低下する。したがって、セラミックス製の滑り軸受を備えた溶融金属めっき浴用滑り軸受装置(以下単に「軸受装置」ということがある。)では、軸及び軸受の軸心を一致させる調心機能を有することが必要である。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の技術では、軸受装置が調心機能を有していないため、上述のとおり軸が滑らかに回転せず、又は軸に偏摩耗が生じることで、めっき付着面の品質が低下するという問題があった。
【0009】
特許文献2に記載の技術では、軸受装置が調心機能を有しているが、軸受とハンガーとの接触部が小さく、軸荷重の高い場所には使用できないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は上記問題を解決するため、調心機能を有し、かつ荷重の高い場所でも使用可能なセラミックス製の滑り軸受を備える溶融金属めっき浴用滑り軸受装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて適宜付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0012】
請求項1に記載の発明は、セラミックス製滑り軸受(11)と、セラミックス製滑り軸受を保持する金属製ホルダ(12)とを備える溶融金属めっき浴用滑り軸受装置(10)において、セラミックス製滑り軸受と金属製軸受ホルダとの間に調心部材(13)を備え、調心部材と金属製軸受ホルダとの接触面の一方が球面の凸面(13b)であり、他方が球面と面で接触する球面の凹面(18)であることを特徴とする溶融金属めっき浴用滑り軸受装置を提供することにより前記課題を解決する。
【0013】
「球面」とは、球体の表面の一部の形状を有する面を意味する。したがって、凹面であれば、窪んでいる面が球体表面の一部の形状である。凸面であれば、張り出している面が球体表面の一部の形状である。
【0014】
また、軸受に用いられるセラミックス材料の具体例としては、サイアロン、窒化ケイ素等を挙げることができる。また、金属製ホルダに用いられる金属材料の具体例としては、ステンレス鋼(例えばSUS316L)を挙げることができる。さらに、溶融金属めっき浴に含まれる溶融金属の具体例としては、亜鉛、亜鉛−アルミニウム合金、等を挙げることができる。ただし、上述した具体例には特に限定されず、これらの物品には他の物質を用いることも可能である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、セラミックス製滑り軸受(21)と、セラミックス製滑り軸受を保持する金属製ホルダ(22)とを備える溶融金属めっき浴用滑り軸受装置(20)において、セラミックス製滑り軸受と金属製軸受ホルダとの間に調心部材(23、24)を備え、調心部材と金属製軸受ホルダとの接触面の一方が円筒面の凸面(23b、24b)であり、他方が円筒面と面で接触する円筒面の凹面(28a、28a)であることを特徴とする溶融金属めっき浴用滑り軸受装置を提供することにより前記課題を解決する。
【0016】
ここで、円筒面は、円筒形の側面の形状であり、面の一方を同一形状の円弧とし、他方を直線とする形状である。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の溶融金属めっき浴用滑り軸受装置(10、20)において、調心部材(13、23、24)の材質がめっきの溶融金属と濡れ性の悪い材料であるとともに、セラミックス製滑り軸受(11、21)の固定部材(14、25、25)に応力低減手段が備えられることを特徴とする。
【0018】
「溶融金属と濡れ性の悪い材料」とは、その材料を溶融金属浴に浸漬して引き上げたときに、その材料の表面に溶融金属の付着が目視で認められないものをいう。また、「応力低減手段」とは、軸受装置の熱収縮により軸受に生じる応力を、軸受の変位を許容することで低減する手段である。溶融金属めっき浴中で用いることができるものであれば、特に限定されずに用いることができる。例えば、板バネなどの弾性部材を用いることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融金属めっき浴用滑り軸受装置(10、20)において、調心部材(13、23、24)がカーボン系材料であることを特徴とする。カーボン系材料の具体例としては、カーボンコンポジットを挙げることができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、接触面が球面の調心部材を用いることで、軸受装置は回転方向を制限されない軸受の調心機能を有する。これにより、軸受と軸との軸心を一致させることで、軸受と軸の径差を小さくすることができ、軸の振れ回りが防止される。また、軸の偏摩耗が抑制される。そのため、鋼板の振動が減少し、めっきの品質を向上させることができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、接触面が円筒面の調心部材を用いることで、軸受装置は円筒面の円弧により回転する軸受の調心機能を有する。これにより、軸受と軸との軸心を一致させることで、軸受と軸の径差を小さくすることができ、軸の振れ回りが防止される。また、軸の偏摩耗が抑制される。そのため、鋼板の振動が減少し、めっきの品質を向上させることができる。なお、回転方向を変えて2箇所に調心部材を配置することで、軸受装置は回転方向を制限されない軸受の調心機能を有することが可能である。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、調心部材として溶融金属と濡れ性の悪い材料を用いることで、軸受と軸受ホルダとの間への溶融金属の侵入を防止することができる。また、軸受の固定部材に応力低減手段が備えられることで、軸受装置の熱収縮により軸受に生じる応力が固定部材により低減される。これにより、熱応力により軸受が破損することを防止することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、カーボンは摩擦係数が0.1未満と極めて小さいことから、調心部材にカーボン系材料を用いることで調心を滑らかに行うことができる。また、カーボンは溶融金属との濡れ性が極めて悪く、ヤング率も鋼の約1/4と低いことから、溶融金属の侵入が防止され、軸受ホルダからの熱収縮による荷重が吸収される。これにより軸受に係る応力が低減し、セラミックス製滑り軸受の破損を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に示す実施形態に基づき、本発明に係る軸受装置を説明するが、以下に説明するものは本発明の実施形態の一例であって、本発明はその要旨を超えない限り以下の説明になんら限定されるものではない。
【0025】
図1は、金属溶融めっきに用いる機器の配置状況を模式的に示す図である。シンクロール1、コレクトロール2、及びスタビライズロール3の3つのロールが配置されている。シンクロール1は軸受装置10、コレクトロール2は軸受装置20、スタビライズロール3は軸受装置30によりそれぞれ支持され、これらは溶融金属めっき浴4内に配置されている。鋼板5は、シンクロール1、コレクトロール2、及びスタビライズロール3と接している。かかる構成により、溶融金属めっき浴4に進入した鋼板5は、シンクロール1によって上方へ方向転換された後、コレクトロール2及びスタビライズロール3によって、反りや振動を抑制され、溶融金属めっき浴4から出る。この時、シンクロール1のロール軸1a、コレクトロール2のロール軸2a、及びスタビライズロール3のロール軸3aは、軸受装置10、20、30により支持されているため、それぞれのロール1〜3が回転することで、鋼板5が走行する。このように、シンクロール1は鋼板5と下方で接することで上方への荷重を受けるため、軸受装置10はシンクロール1のロール軸1aの上方に配置されている。一方、コレクトロール2、及びスタビライズロール3は、鋼板5と水平方向から接することで横荷重を受けるため、軸受装置20、30はコレクトロール2のロール軸2a、及びスタビライズロール3のロール軸3aの周囲に配置されている。
【0026】
図2は、本発明の第1実施形態である軸受装置10を模式的に示す図である。図2(a)は、軸受装置10をロール軸1a(図1参照)の長手方向から示した図(以下「正面図」とする。)である。図2(b)は、図2(a)のA−A断面図である。図2(a)の矢印Rは、ロール軸1a(図1参照)の回転方向を表す。軸受装置10は、軸受11と金属製軸受ホルダ(以下単に「軸受ホルダ」ということがある。)12との間に調心部材13を備えている。そして、軸受11の周方向(ロール軸1aの回転方向。以下同じ。)と直交する端面11c、11dは、それぞれ軸受ホルダ12及び固定部材14で支持されている。そして、固定部材14が軸受ホルダ12に固定されている。以下、各部材11〜14について説明する。なお、説明において、ロール軸1aの軸心をOとし、各部材について軸心O側の面を内面、軸心Oと反対側の面を外面とする。また、図2(a)の紙面垂直方向を幅方向として説明する。
【0027】
図3は、軸受11の構造図である。図3(a)は正面図、図3(b)は図3(a)のB−B断面図、図3(c)は上面図である。軸受11は、概ね中空円筒における周方向の一部の形状である。軸受11の内面11aは平らであるが、外面11bには突起15が設けられている。
【0028】
図4は、調心部材13の構造図である。図4(a)は正面図、図4(b)は図4(a)のC−C断面図、図4(c)は上面図である。調心部材13は、図4(b)のとおり断面が略三日月形状の部材である。全体としては、図4(a)のとおり概ね中空円筒における周方向の一部のような形状となっている。内面13aは、軸受11の突起15(図3参照)と嵌合する窪み16を有している。外面13bは、球面の凸面(以下「凸面13b」ということがある。)となっている。また、調心部材13の周方向と直交する端面13c、13dは、幅方向の形状が円弧となっている。なお、軸受ホルダ12(図2参照)への組み込みから、図4(a)、図4(b)のとおり調心部材13を周方向に分割することが好ましい。
【0029】
図5は、軸受ホルダ12の構造図である。図5(a)は正面図、図5(b)は図5(a)のD−D断面図、図5(c)は上面図である。軸受ホルダ12の内面12aは、調心部材13の凸面13b(図4参照)と面で接触する球面の凹面18を有している。凹面18には調心部材13が組み込まれることから、凹面18の幅方向の端面18c、18dの形状は、調心部材13の端面17c、17dと同様に、円弧となっている。
【0030】
図6は、固定部材14の構造図である。図6(a)は正面図、図6(b)は右側面図、図6(c)は図6(b)の上面図である。固定部材14は、軸受11の支持部14a及び軸受ホルダ12との固定部14bを有している。
【0031】
以上により、図2のとおり、軸受ホルダ12内面12aの凹面18(図5参照)と、調心部材13外面の凸面13b(図4参照)とを接して、軸受ホルダ12に調心部材13が組み込まれる。凸面13bと凹面18とは、面で接触する。この接触面は固定されず、調心部材13の凸面13bは、軸受ホルダ12の凹面18を滑ることができる。凸面13b及び凹面18が球面であることから、これにより調心部材13は軸受ホルダ12に対して方向を制限されることなく向きを変えることができる。一方、調心部材13内面の窪み16(図4参照)と軸受11外面の突起15(図3参照)を組み合わせることで、調心部材13と軸受11は固定されている。これにより、調心部材13と軸受11とが外れたり、ずれたりすることを防ぐことができる。軸受11の端面11cは軸受ホルダ12で支持され、端面11dは固定部材14の支持部14aで支持される。そして、固定部材14の固定部14bが軸受ホルダ12に固定され、軸受装置10が一体となっている。
【0032】
かかる構成により、ロール軸1a(図1参照)は、軸受11の内面11a(図3参照)を滑ることで回転する。ロール軸1aと軸受11との軸心が一致していないときは、ロール軸1aと軸受11の内面11aが接触することで、軸受11が荷重を受ける。この荷重により、軸受11と固定された調心部材13が軸受ホルダ12との接触面を滑る。これにより軸受11の軸心が回転する。そして、軸受11が荷重を受けなくなるまで調心部材13が滑ることで、ロール軸1aと軸受11との軸心が一致する。このように、軸受装置10は自動調心機能を有し、自動で軸心を調整する。
【0033】
軸受装置10では、この自動調心機能により軸受と軸との軸心が一致することで、軸受11とロール軸1aの径差を小さくすることができるため、ロール軸1aの振れ回りが防止される。また、ロール軸1a(図1参照)の偏摩耗が抑制される。これにより、鋼板5(図1参照)の振動が減少し、めっきの品質を向上させることができる。
【0034】
図7は、本発明の第2実施形態である軸受装置20を模式的に示す図である。図7(a)は、軸受装置20をロール軸2a(図1参照)の長手方向から示した図(以下「正面図」とする。)である。図7(b)は、図7(a)のE−E断面図である。軸受装置20は、軸受21と軸受ホルダ22との間に調心部材23、24を備えている。軸受21は固定部材25、25で支持され、固定部材25、25に取り付けられた当て金26、26が軸受ホルダ22に固定されている。以下、各部材21〜26について説明する。なお、説明において、ロール軸2aの軸心をO’とし、各部材について軸心O’側の面を内面、軸心O’と反対側の面を外面とする。また、図7(a)の紙面垂直方向を幅方向として説明する。
【0035】
図8は、軸受21の構造図である。図8(a)は正面図、図8(b)は図8(a)のF−F断面図である。軸受21は、略中空の直方体である。内面21aは円筒面であり、外面21bは平面となっている。軸受21の幅方向の端面は、一方が開口され、他方が塞がれている。
【0036】
図9は、調心部材23の構造図である。図9(a)は斜視図、図9(b)は図9(a)のG視図、図9(c)は図9(a)のH視図である。調心部材23の内面23aは、平面である。外面23bは、一方の形状を円弧27aとし、他方を直線27bとする円筒面の凸面(以下「凸面23b」ということがある。)である。なお、調心部材24についても、内面24a、外面24bともに同一の形状である。
【0037】
図10は、軸受ホルダ22の構造図である。図10(a)は正面図、図10(b)は左側面図、図10(c)は図10(a)のI−I断面図である。軸受ホルダ22は断面略L字である。内面22aには、2つの凹部28、28を備えている。凹部28、28は、調心部材23の凸面23b(調心部材24の凸面24b)と面で接触する円筒面の凹面28aを有している。
【0038】
図11は、固定部材25の構造図である。図11(a)は正面図、図11(b)は左側面図、図11(c)は図11(b)の上面図である。固定部材25は、軸受21(図7参照)の支持部25a及び軸受ホルダ22(図7参照)との固定部25bを有している。
【0039】
以上により、図7のとおり、軸受ホルダ22内面22aの凹面28a(図10参照)と調心部材23外面の凸面23b(図9参照)とを接して、軸受ホルダ22に調心部材23が組み込まれる。凸面23bと凹面28aとは、面で接触する。この接触面は固定されず、調心部材23の凸面23bは、軸受ホルダ22の凹部28を凹面28aの円弧方向に滑ることができる。これにより調心部材23の内面23aは軸受ホルダ22に対して向きを変える。一方、調心部材23の内面23a(図9参照)と軸受11の外面11b(図8参照)は、平面で接しており固定されていないため、滑ることが可能である。調心部材24についても同様である。そして、軸受21は固定部材25、25の支持部25a、25aで支持され、固定部材25、25の固定部25b、25bが軸受ホルダ22に嵌め込まれる。固定部25b、25bに取り付けられた当て金26、26が軸受ホルダ22に溶接などで固定されることで、軸受装置20が一体となっている。
【0040】
かかる構成により、コレクトロール2のロール軸2a(図1参照)は、軸受21の内面21aを滑ることで回転する。ロール軸2aと軸受21との軸心が一致していないときは、ロール軸2aと軸受21の内面21aが接触することで、軸受21が荷重を受ける。この荷重により、軸受21と接した調心部材23が軸受ホルダ22の凹面28aを滑るときには、軸受21の軸心方向は調心部材23の動きに合わせて向きを変える。このとき軸受11は調心部材24の内面24aを滑る。一方、軸受11と接した調心部材24が軸受ホルダ22の凹面28aを滑るときには、軸受11の軸心方向は調心部材24の動きに合わせて向きを変える。このとき軸受11は調心部材23の内面23a(図9参照)を滑る。このように、調心部材23、24により軸受11の軸心が向きを変え、その方向が異なるため、軸受11は方向を制限されずに軸心の方向を変えることができる。そして、軸受11が荷重を受けなくなるまで調心部材23、24が軸受ホルダ22の凹面28aを滑ることで、ロール軸2aと軸受21との軸心が一致する。このように、軸受装置20は、は自動調心機能を有し、自動で軸心を調整する。ここで、固定部材25、25は軸受ホルダ22に直接固定されておらず、固定部25b、25b(図11参照)は回転が可能である。また固定部材25、25はねじれ、及び撓みを生じる。これにより、軸受21が動いた場合であっても、固定部材25、25が軸受21から外れることなく保持される。
【0041】
したがって、軸受21と軸2a(図1参照)の軸心が一致することで、軸受21と軸2aの径差を小さくすることができ、軸の振れ回りが防止される。また、軸2aの偏摩耗が抑制される。これにより、鋼板5(図1参照)の振動が減少し、めっきの品質を向上させることができる。なお、軸受装置20の自動調心方向が1方向で良い場合には、調心部材23、24をいずれか一方とすることができる。
【0042】
本発明に係る軸受装置10、20においては、調心部材13、23、24に溶融金属と濡れ性の悪い材料を用いるとともに、軸受11、21の固定部材14、25、25に応力低減手段が備えられることが好ましい。従来は、メンテナンスなどにより溶融金属めっき浴から軸受装置を引き上げたときに、溶融金属の凝固により軸受ホルダと軸受が固着していた。セラミックは鋼の1/5程度しか熱収縮しないことから、固着することで軸受は軸受ホルダから圧縮力を受け、破損することがあった。しかし、軸受装置10において、調心部材13に溶融金属と濡れ性の悪い材料を用いることで、軸受11と調心部材13、及び調心部材13と軸受ホルダ12との間隙には、溶融金属がほとんど侵入しない。そのため、軸受11と軸受ホルダ12とが固着することを防ぐことができる。また、軸受装置20において、調心部材23、24に溶融金属と濡れ性の悪い材料を用いることで、軸受21と調心部材23、24、及び調心部材23、24と軸受ホルダ22との間隙には、溶融金属がほとんど侵入しない。そのため、軸受21と軸受ホルダ22とが固着することを防ぐことができる。
【0043】
一方で、軸受装置10において、軸受11と軸受ホルダ12とが固着しない場合であっても、軸受11が固定部材14で固定されていることから、軸受ホルダ12の熱収縮により軸受11に高い熱応力が生じ、軸受11が破損することがあった。同様に軸受装置20においても、軸受21が固定部材25、25で固定されていることから、軸受ホルダ22の熱収縮により軸受21が破損することがあった。そのため、固定部材14、25、25に応力低減手段を備えることで、軸受11、21の熱応力を低減することが必要である。
【0044】
固定部材14は、支持部14aが板バネとなっている。また、固定部材25は、固定部25bが軸受ホルダ22と固定されることで、支持部25a側が片持ちの板バネとなっている。このように、固定部材14、25は板バネを用いた応力低減手段を備え、撓むことで軸受11、21に生じる熱応力を低減している。固定部材14では、支持部14aの撓み量y1は次の(1)式によって求められる。
y1=W1×L13/(192・E1・I1) ・・・(1)
固定部材25では、支持部25aの撓み量y2は次の(2)式によって求められる。
y2=W2×L23/(3・E2・I2) ・・・(2)
ここで、Lは板バネ部の長さ、Eは板バネ部の材料のヤング率、Iは固定部材の板バネ部の断面2次モーメントである。また、添字1は固定部材14の値、添字2は固定部材25の値を示している。そして、荷重Wによる応力が軸受11、21の許容応力未満となるように、断面2次モーメントIの値から固定部材14、25の形状を決定する。なお、応力低減手段は、溶融金属中で用いることができるものであれば特に限定されず、板バネ以外の弾性部材を用いることも可能である。
【0045】
このように、固定部材14、25に応力低減手段を備えることで、メンテナンスなどにより溶融金属めっき浴から軸受装置10、20を引き上げたときに、温度低下から軸受11、21に生じる熱応力を低減することができる。したがって、軸受11、21の破損を防止することができる。
【0046】
なお、固定部材14は、軸受11におけるロール軸1a(図1参照)の回転方向と反対側の端面に配置することが好ましい。これによれば、ロール軸(図1参照)の回転により、固定部材14に負荷が掛かることを防止することができる。
【0047】
また、調心部材13、23、24として、セラミックスの熱膨張係数と軸受ホルダ12、22の材料の熱膨張係数との間の熱膨張係数である材料を用いることが好ましい。これによれば、調心部材13、23、24により、軸受11、21へ掛かる荷重を低下させることができる。
【0048】
さらに、調心部材13、23、24として、セラミックスのヤング率よりも小さいヤング率である材料を用いることが好ましい。これによっても、調心部材13、23、24により、軸受11、21へ掛かる荷重を低下させることできる。
【0049】
調心部材13、24、25の材質の一例として、カーボン系材料を挙げることができる。カーボンは、耐熱性があるため溶融金属浴中で使用可能であり、摩擦係数が0.1未満と極めて小さいことから、カーボン系材料を用いることで調心を滑らかに行うことができる。また、溶融金属との濡れ性が極めて悪く、ヤング率も鋼の約1/4と低いことから、軸受11、21に掛かる応力を低減させ、破損を防ぐことができる。
【0050】
なお、軸受装置30(図1参照)についても、上述した軸受装置20(図7参照)と同様の構成とすることができる。
【0051】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う軸受装置もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】金属溶融めっきに用いる機器の配置状況を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態である軸受装置10を模式的に示す図である。
【図3】軸受装置10に用いる軸受の構造図である。
【図4】軸受装置10に用いる調心部材の構造図である。
【図5】軸受装置10に用いる軸受ホルダの構造図である。
【図6】軸受装置10に用いる固定部材の構造図である。
【図7】本発明の第2実施形態である軸受装置20を模式的に示す図である。
【図8】軸受装置20に用いる軸受の構造図である。
【図9】軸受装置20に用いる調心部材の構造図である。
【図10】軸受装置20に用いる軸受ホルダの構造図である。
【図11】軸受装置20に用いる固定部材の構造図である。
【符号の説明】
【0053】
1 シンクロール
1a シンクロール軸
2 コレクトロール
2a コレクトロール軸
4 溶融金属めっき浴
5 鋼板
10 軸受装置
11 セラミックス製滑り軸受
12 金属製軸受ホルダ
13 調心部材
14 固定部材
20 軸受装置
21 セラミックス製滑り軸受
22 金属製軸受ホルダ
23、24 調心部材
25 固定部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動調心機能を有する溶融金属めっき浴用滑り軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体等に用いられる溶融金属めっき鋼板の製造は、連続焼鈍炉で焼鈍された薄鋼板を、溶融金属めっき浴中に浸漬して通過させることにより行われる。溶融金属めっき浴へと進入した薄鋼板は、めっき浴中に設置されたシンクロールにより上方へ方向転換された後、浴中に設置されたコレクトロールやスタビライズロールによって鋼板の反りや振動を抑制される。そして、これらのロールを経た鋼板は、めっき浴面直上に設置されたガスワイピング装置によって余剰めっきを払拭されることにより、所定のめっき付着量に調整される。
【0003】
溶融金属めっき浴中に配置されるシンクロール等の軸受は、高温の溶融金属において高負荷で使用されるため、ステンレス鋼の摩擦面に耐摩耗性高硬度合金を溶射した材質などでは摩耗が速い。軸受の交換にはめっきラインを停止する必要があるため、軸受の寿命は溶融めっき鋼板の生産性と直結する。そこで、軸受の寿命を延ばすために、硬度及び耐熱性の高いセラミックスの部材を用いたセラミックス製の軸受が用いられている。
【0004】
セラミックス製の軸受は、金属製の軸受ホルダにより保持される。この軸受ホルダには一般的にステンレス鋼が用いられる。ステンレス鋼の熱膨張係数は17.8×10−6/Kであり、セラミックスの熱膨張係数3×10−6/Kに比べて大きい。そのため、溶融金属めっき浴中では、軸受と軸受ホルダの間に間隙が生じる。セラミックス製の軸受として球軸受を使用する場合、この間隙及び球軸受の内部に溶融金属が侵入する。メンテナンスのためにロールをめっき浴から引き上げると、温度低下により侵入した溶融金属が凝固固着するとともに、軸受及び軸受ホルダが熱収縮する。これにより、上述した熱膨張係数の差から、凝固固着した溶融金属を介して強い圧縮力が球軸受に掛かる。そのため、球軸受が破損する場合があった。また、球軸受が自動調心機能を有している場合、溶融金属の凝固固着により自動調心機能が機能しなくなる場合があった。球軸受は構造が複雑であり、このような事態を解決することが困難であった。
【0005】
そのため、一般的にはセラミックス製滑り軸受(以下単に「軸受」ということがある)が用いられている。特許文献1には、硬質セラミック焼結体からなる軸受を鋼製の保持器(軸受ホルダと同義。以下同じ。)で変位可能に保持し、保持器の内面と軸受の背面との曲率半径の比が1.0〜1.5である連続溶融金属めっき浴中ロール用すべり軸受装置が開示されている。かかる技術によれば、軸受材料を、摩擦係数が小さくかつ耐摩耗性に優れる硬質セラミック焼結体としたことにより、浴中ロールを無駆動化できて金属帯振動の問題が解消し、軸受の摩耗速度が遅くなる。ロールの保持器が軸受を変位可能に保持することで、残留めっき金属による圧縮力過負荷を回避しうるので、硬質セラミック焼結体の割損を防止することができるとされている。
【0006】
また、特許文献2には、サポートロール軸受を支持するハンガー(軸受ホルダと同義。以下同じ。)の支持部、又はサポートロール軸受のハンガー接触部を凸状に形成した溶融金属めっき浴中のサポートロール支持構造が開示されている。かかる技術によれば、軸受とロール軸とのずれがなく平行に保つことができるため、ロールの回転不良にともなうめっき鋼帯の擦り疵を防止し、品質、歩留を向上させることができるとされている。
【特許文献1】特開2001−262299号公報
【特許文献2】実開平5−77251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
セラミックス製の滑り軸受では軸受の摩耗は極めて少ないが、金属である軸が摩耗する。軸が摩耗すると軸と軸受の径差が大きくなるため、軸受の中で軸が転がり振動を起こす。この転がり振動が伝播して鋼板を振動させることで、めっき付着面の品質が低下する。そこで、セラミックス製の滑り軸受を用いる場合には、軸受と軸の径差を可能な限り小さく設計し、転がり振動を抑制することが好ましい。しかし、軸受と軸の径差を小さくすることにより、軸受と軸との軸心が一致しない場合には軸と軸受とが干渉し、負荷が掛かることで軸が滑らかに回転しない。また、軸受と軸との軸心が一致しないことで軸に偏摩耗が生じ、軸の転がり振動が大きくなる。これらにより、めっき付着面の品質が低下する。したがって、セラミックス製の滑り軸受を備えた溶融金属めっき浴用滑り軸受装置(以下単に「軸受装置」ということがある。)では、軸及び軸受の軸心を一致させる調心機能を有することが必要である。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の技術では、軸受装置が調心機能を有していないため、上述のとおり軸が滑らかに回転せず、又は軸に偏摩耗が生じることで、めっき付着面の品質が低下するという問題があった。
【0009】
特許文献2に記載の技術では、軸受装置が調心機能を有しているが、軸受とハンガーとの接触部が小さく、軸荷重の高い場所には使用できないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は上記問題を解決するため、調心機能を有し、かつ荷重の高い場所でも使用可能なセラミックス製の滑り軸受を備える溶融金属めっき浴用滑り軸受装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて適宜付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0012】
請求項1に記載の発明は、セラミックス製滑り軸受(11)と、セラミックス製滑り軸受を保持する金属製ホルダ(12)とを備える溶融金属めっき浴用滑り軸受装置(10)において、セラミックス製滑り軸受と金属製軸受ホルダとの間に調心部材(13)を備え、調心部材と金属製軸受ホルダとの接触面の一方が球面の凸面(13b)であり、他方が球面と面で接触する球面の凹面(18)であることを特徴とする溶融金属めっき浴用滑り軸受装置を提供することにより前記課題を解決する。
【0013】
「球面」とは、球体の表面の一部の形状を有する面を意味する。したがって、凹面であれば、窪んでいる面が球体表面の一部の形状である。凸面であれば、張り出している面が球体表面の一部の形状である。
【0014】
また、軸受に用いられるセラミックス材料の具体例としては、サイアロン、窒化ケイ素等を挙げることができる。また、金属製ホルダに用いられる金属材料の具体例としては、ステンレス鋼(例えばSUS316L)を挙げることができる。さらに、溶融金属めっき浴に含まれる溶融金属の具体例としては、亜鉛、亜鉛−アルミニウム合金、等を挙げることができる。ただし、上述した具体例には特に限定されず、これらの物品には他の物質を用いることも可能である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、セラミックス製滑り軸受(21)と、セラミックス製滑り軸受を保持する金属製ホルダ(22)とを備える溶融金属めっき浴用滑り軸受装置(20)において、セラミックス製滑り軸受と金属製軸受ホルダとの間に調心部材(23、24)を備え、調心部材と金属製軸受ホルダとの接触面の一方が円筒面の凸面(23b、24b)であり、他方が円筒面と面で接触する円筒面の凹面(28a、28a)であることを特徴とする溶融金属めっき浴用滑り軸受装置を提供することにより前記課題を解決する。
【0016】
ここで、円筒面は、円筒形の側面の形状であり、面の一方を同一形状の円弧とし、他方を直線とする形状である。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の溶融金属めっき浴用滑り軸受装置(10、20)において、調心部材(13、23、24)の材質がめっきの溶融金属と濡れ性の悪い材料であるとともに、セラミックス製滑り軸受(11、21)の固定部材(14、25、25)に応力低減手段が備えられることを特徴とする。
【0018】
「溶融金属と濡れ性の悪い材料」とは、その材料を溶融金属浴に浸漬して引き上げたときに、その材料の表面に溶融金属の付着が目視で認められないものをいう。また、「応力低減手段」とは、軸受装置の熱収縮により軸受に生じる応力を、軸受の変位を許容することで低減する手段である。溶融金属めっき浴中で用いることができるものであれば、特に限定されずに用いることができる。例えば、板バネなどの弾性部材を用いることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融金属めっき浴用滑り軸受装置(10、20)において、調心部材(13、23、24)がカーボン系材料であることを特徴とする。カーボン系材料の具体例としては、カーボンコンポジットを挙げることができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、接触面が球面の調心部材を用いることで、軸受装置は回転方向を制限されない軸受の調心機能を有する。これにより、軸受と軸との軸心を一致させることで、軸受と軸の径差を小さくすることができ、軸の振れ回りが防止される。また、軸の偏摩耗が抑制される。そのため、鋼板の振動が減少し、めっきの品質を向上させることができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、接触面が円筒面の調心部材を用いることで、軸受装置は円筒面の円弧により回転する軸受の調心機能を有する。これにより、軸受と軸との軸心を一致させることで、軸受と軸の径差を小さくすることができ、軸の振れ回りが防止される。また、軸の偏摩耗が抑制される。そのため、鋼板の振動が減少し、めっきの品質を向上させることができる。なお、回転方向を変えて2箇所に調心部材を配置することで、軸受装置は回転方向を制限されない軸受の調心機能を有することが可能である。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、調心部材として溶融金属と濡れ性の悪い材料を用いることで、軸受と軸受ホルダとの間への溶融金属の侵入を防止することができる。また、軸受の固定部材に応力低減手段が備えられることで、軸受装置の熱収縮により軸受に生じる応力が固定部材により低減される。これにより、熱応力により軸受が破損することを防止することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、カーボンは摩擦係数が0.1未満と極めて小さいことから、調心部材にカーボン系材料を用いることで調心を滑らかに行うことができる。また、カーボンは溶融金属との濡れ性が極めて悪く、ヤング率も鋼の約1/4と低いことから、溶融金属の侵入が防止され、軸受ホルダからの熱収縮による荷重が吸収される。これにより軸受に係る応力が低減し、セラミックス製滑り軸受の破損を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に示す実施形態に基づき、本発明に係る軸受装置を説明するが、以下に説明するものは本発明の実施形態の一例であって、本発明はその要旨を超えない限り以下の説明になんら限定されるものではない。
【0025】
図1は、金属溶融めっきに用いる機器の配置状況を模式的に示す図である。シンクロール1、コレクトロール2、及びスタビライズロール3の3つのロールが配置されている。シンクロール1は軸受装置10、コレクトロール2は軸受装置20、スタビライズロール3は軸受装置30によりそれぞれ支持され、これらは溶融金属めっき浴4内に配置されている。鋼板5は、シンクロール1、コレクトロール2、及びスタビライズロール3と接している。かかる構成により、溶融金属めっき浴4に進入した鋼板5は、シンクロール1によって上方へ方向転換された後、コレクトロール2及びスタビライズロール3によって、反りや振動を抑制され、溶融金属めっき浴4から出る。この時、シンクロール1のロール軸1a、コレクトロール2のロール軸2a、及びスタビライズロール3のロール軸3aは、軸受装置10、20、30により支持されているため、それぞれのロール1〜3が回転することで、鋼板5が走行する。このように、シンクロール1は鋼板5と下方で接することで上方への荷重を受けるため、軸受装置10はシンクロール1のロール軸1aの上方に配置されている。一方、コレクトロール2、及びスタビライズロール3は、鋼板5と水平方向から接することで横荷重を受けるため、軸受装置20、30はコレクトロール2のロール軸2a、及びスタビライズロール3のロール軸3aの周囲に配置されている。
【0026】
図2は、本発明の第1実施形態である軸受装置10を模式的に示す図である。図2(a)は、軸受装置10をロール軸1a(図1参照)の長手方向から示した図(以下「正面図」とする。)である。図2(b)は、図2(a)のA−A断面図である。図2(a)の矢印Rは、ロール軸1a(図1参照)の回転方向を表す。軸受装置10は、軸受11と金属製軸受ホルダ(以下単に「軸受ホルダ」ということがある。)12との間に調心部材13を備えている。そして、軸受11の周方向(ロール軸1aの回転方向。以下同じ。)と直交する端面11c、11dは、それぞれ軸受ホルダ12及び固定部材14で支持されている。そして、固定部材14が軸受ホルダ12に固定されている。以下、各部材11〜14について説明する。なお、説明において、ロール軸1aの軸心をOとし、各部材について軸心O側の面を内面、軸心Oと反対側の面を外面とする。また、図2(a)の紙面垂直方向を幅方向として説明する。
【0027】
図3は、軸受11の構造図である。図3(a)は正面図、図3(b)は図3(a)のB−B断面図、図3(c)は上面図である。軸受11は、概ね中空円筒における周方向の一部の形状である。軸受11の内面11aは平らであるが、外面11bには突起15が設けられている。
【0028】
図4は、調心部材13の構造図である。図4(a)は正面図、図4(b)は図4(a)のC−C断面図、図4(c)は上面図である。調心部材13は、図4(b)のとおり断面が略三日月形状の部材である。全体としては、図4(a)のとおり概ね中空円筒における周方向の一部のような形状となっている。内面13aは、軸受11の突起15(図3参照)と嵌合する窪み16を有している。外面13bは、球面の凸面(以下「凸面13b」ということがある。)となっている。また、調心部材13の周方向と直交する端面13c、13dは、幅方向の形状が円弧となっている。なお、軸受ホルダ12(図2参照)への組み込みから、図4(a)、図4(b)のとおり調心部材13を周方向に分割することが好ましい。
【0029】
図5は、軸受ホルダ12の構造図である。図5(a)は正面図、図5(b)は図5(a)のD−D断面図、図5(c)は上面図である。軸受ホルダ12の内面12aは、調心部材13の凸面13b(図4参照)と面で接触する球面の凹面18を有している。凹面18には調心部材13が組み込まれることから、凹面18の幅方向の端面18c、18dの形状は、調心部材13の端面17c、17dと同様に、円弧となっている。
【0030】
図6は、固定部材14の構造図である。図6(a)は正面図、図6(b)は右側面図、図6(c)は図6(b)の上面図である。固定部材14は、軸受11の支持部14a及び軸受ホルダ12との固定部14bを有している。
【0031】
以上により、図2のとおり、軸受ホルダ12内面12aの凹面18(図5参照)と、調心部材13外面の凸面13b(図4参照)とを接して、軸受ホルダ12に調心部材13が組み込まれる。凸面13bと凹面18とは、面で接触する。この接触面は固定されず、調心部材13の凸面13bは、軸受ホルダ12の凹面18を滑ることができる。凸面13b及び凹面18が球面であることから、これにより調心部材13は軸受ホルダ12に対して方向を制限されることなく向きを変えることができる。一方、調心部材13内面の窪み16(図4参照)と軸受11外面の突起15(図3参照)を組み合わせることで、調心部材13と軸受11は固定されている。これにより、調心部材13と軸受11とが外れたり、ずれたりすることを防ぐことができる。軸受11の端面11cは軸受ホルダ12で支持され、端面11dは固定部材14の支持部14aで支持される。そして、固定部材14の固定部14bが軸受ホルダ12に固定され、軸受装置10が一体となっている。
【0032】
かかる構成により、ロール軸1a(図1参照)は、軸受11の内面11a(図3参照)を滑ることで回転する。ロール軸1aと軸受11との軸心が一致していないときは、ロール軸1aと軸受11の内面11aが接触することで、軸受11が荷重を受ける。この荷重により、軸受11と固定された調心部材13が軸受ホルダ12との接触面を滑る。これにより軸受11の軸心が回転する。そして、軸受11が荷重を受けなくなるまで調心部材13が滑ることで、ロール軸1aと軸受11との軸心が一致する。このように、軸受装置10は自動調心機能を有し、自動で軸心を調整する。
【0033】
軸受装置10では、この自動調心機能により軸受と軸との軸心が一致することで、軸受11とロール軸1aの径差を小さくすることができるため、ロール軸1aの振れ回りが防止される。また、ロール軸1a(図1参照)の偏摩耗が抑制される。これにより、鋼板5(図1参照)の振動が減少し、めっきの品質を向上させることができる。
【0034】
図7は、本発明の第2実施形態である軸受装置20を模式的に示す図である。図7(a)は、軸受装置20をロール軸2a(図1参照)の長手方向から示した図(以下「正面図」とする。)である。図7(b)は、図7(a)のE−E断面図である。軸受装置20は、軸受21と軸受ホルダ22との間に調心部材23、24を備えている。軸受21は固定部材25、25で支持され、固定部材25、25に取り付けられた当て金26、26が軸受ホルダ22に固定されている。以下、各部材21〜26について説明する。なお、説明において、ロール軸2aの軸心をO’とし、各部材について軸心O’側の面を内面、軸心O’と反対側の面を外面とする。また、図7(a)の紙面垂直方向を幅方向として説明する。
【0035】
図8は、軸受21の構造図である。図8(a)は正面図、図8(b)は図8(a)のF−F断面図である。軸受21は、略中空の直方体である。内面21aは円筒面であり、外面21bは平面となっている。軸受21の幅方向の端面は、一方が開口され、他方が塞がれている。
【0036】
図9は、調心部材23の構造図である。図9(a)は斜視図、図9(b)は図9(a)のG視図、図9(c)は図9(a)のH視図である。調心部材23の内面23aは、平面である。外面23bは、一方の形状を円弧27aとし、他方を直線27bとする円筒面の凸面(以下「凸面23b」ということがある。)である。なお、調心部材24についても、内面24a、外面24bともに同一の形状である。
【0037】
図10は、軸受ホルダ22の構造図である。図10(a)は正面図、図10(b)は左側面図、図10(c)は図10(a)のI−I断面図である。軸受ホルダ22は断面略L字である。内面22aには、2つの凹部28、28を備えている。凹部28、28は、調心部材23の凸面23b(調心部材24の凸面24b)と面で接触する円筒面の凹面28aを有している。
【0038】
図11は、固定部材25の構造図である。図11(a)は正面図、図11(b)は左側面図、図11(c)は図11(b)の上面図である。固定部材25は、軸受21(図7参照)の支持部25a及び軸受ホルダ22(図7参照)との固定部25bを有している。
【0039】
以上により、図7のとおり、軸受ホルダ22内面22aの凹面28a(図10参照)と調心部材23外面の凸面23b(図9参照)とを接して、軸受ホルダ22に調心部材23が組み込まれる。凸面23bと凹面28aとは、面で接触する。この接触面は固定されず、調心部材23の凸面23bは、軸受ホルダ22の凹部28を凹面28aの円弧方向に滑ることができる。これにより調心部材23の内面23aは軸受ホルダ22に対して向きを変える。一方、調心部材23の内面23a(図9参照)と軸受11の外面11b(図8参照)は、平面で接しており固定されていないため、滑ることが可能である。調心部材24についても同様である。そして、軸受21は固定部材25、25の支持部25a、25aで支持され、固定部材25、25の固定部25b、25bが軸受ホルダ22に嵌め込まれる。固定部25b、25bに取り付けられた当て金26、26が軸受ホルダ22に溶接などで固定されることで、軸受装置20が一体となっている。
【0040】
かかる構成により、コレクトロール2のロール軸2a(図1参照)は、軸受21の内面21aを滑ることで回転する。ロール軸2aと軸受21との軸心が一致していないときは、ロール軸2aと軸受21の内面21aが接触することで、軸受21が荷重を受ける。この荷重により、軸受21と接した調心部材23が軸受ホルダ22の凹面28aを滑るときには、軸受21の軸心方向は調心部材23の動きに合わせて向きを変える。このとき軸受11は調心部材24の内面24aを滑る。一方、軸受11と接した調心部材24が軸受ホルダ22の凹面28aを滑るときには、軸受11の軸心方向は調心部材24の動きに合わせて向きを変える。このとき軸受11は調心部材23の内面23a(図9参照)を滑る。このように、調心部材23、24により軸受11の軸心が向きを変え、その方向が異なるため、軸受11は方向を制限されずに軸心の方向を変えることができる。そして、軸受11が荷重を受けなくなるまで調心部材23、24が軸受ホルダ22の凹面28aを滑ることで、ロール軸2aと軸受21との軸心が一致する。このように、軸受装置20は、は自動調心機能を有し、自動で軸心を調整する。ここで、固定部材25、25は軸受ホルダ22に直接固定されておらず、固定部25b、25b(図11参照)は回転が可能である。また固定部材25、25はねじれ、及び撓みを生じる。これにより、軸受21が動いた場合であっても、固定部材25、25が軸受21から外れることなく保持される。
【0041】
したがって、軸受21と軸2a(図1参照)の軸心が一致することで、軸受21と軸2aの径差を小さくすることができ、軸の振れ回りが防止される。また、軸2aの偏摩耗が抑制される。これにより、鋼板5(図1参照)の振動が減少し、めっきの品質を向上させることができる。なお、軸受装置20の自動調心方向が1方向で良い場合には、調心部材23、24をいずれか一方とすることができる。
【0042】
本発明に係る軸受装置10、20においては、調心部材13、23、24に溶融金属と濡れ性の悪い材料を用いるとともに、軸受11、21の固定部材14、25、25に応力低減手段が備えられることが好ましい。従来は、メンテナンスなどにより溶融金属めっき浴から軸受装置を引き上げたときに、溶融金属の凝固により軸受ホルダと軸受が固着していた。セラミックは鋼の1/5程度しか熱収縮しないことから、固着することで軸受は軸受ホルダから圧縮力を受け、破損することがあった。しかし、軸受装置10において、調心部材13に溶融金属と濡れ性の悪い材料を用いることで、軸受11と調心部材13、及び調心部材13と軸受ホルダ12との間隙には、溶融金属がほとんど侵入しない。そのため、軸受11と軸受ホルダ12とが固着することを防ぐことができる。また、軸受装置20において、調心部材23、24に溶融金属と濡れ性の悪い材料を用いることで、軸受21と調心部材23、24、及び調心部材23、24と軸受ホルダ22との間隙には、溶融金属がほとんど侵入しない。そのため、軸受21と軸受ホルダ22とが固着することを防ぐことができる。
【0043】
一方で、軸受装置10において、軸受11と軸受ホルダ12とが固着しない場合であっても、軸受11が固定部材14で固定されていることから、軸受ホルダ12の熱収縮により軸受11に高い熱応力が生じ、軸受11が破損することがあった。同様に軸受装置20においても、軸受21が固定部材25、25で固定されていることから、軸受ホルダ22の熱収縮により軸受21が破損することがあった。そのため、固定部材14、25、25に応力低減手段を備えることで、軸受11、21の熱応力を低減することが必要である。
【0044】
固定部材14は、支持部14aが板バネとなっている。また、固定部材25は、固定部25bが軸受ホルダ22と固定されることで、支持部25a側が片持ちの板バネとなっている。このように、固定部材14、25は板バネを用いた応力低減手段を備え、撓むことで軸受11、21に生じる熱応力を低減している。固定部材14では、支持部14aの撓み量y1は次の(1)式によって求められる。
y1=W1×L13/(192・E1・I1) ・・・(1)
固定部材25では、支持部25aの撓み量y2は次の(2)式によって求められる。
y2=W2×L23/(3・E2・I2) ・・・(2)
ここで、Lは板バネ部の長さ、Eは板バネ部の材料のヤング率、Iは固定部材の板バネ部の断面2次モーメントである。また、添字1は固定部材14の値、添字2は固定部材25の値を示している。そして、荷重Wによる応力が軸受11、21の許容応力未満となるように、断面2次モーメントIの値から固定部材14、25の形状を決定する。なお、応力低減手段は、溶融金属中で用いることができるものであれば特に限定されず、板バネ以外の弾性部材を用いることも可能である。
【0045】
このように、固定部材14、25に応力低減手段を備えることで、メンテナンスなどにより溶融金属めっき浴から軸受装置10、20を引き上げたときに、温度低下から軸受11、21に生じる熱応力を低減することができる。したがって、軸受11、21の破損を防止することができる。
【0046】
なお、固定部材14は、軸受11におけるロール軸1a(図1参照)の回転方向と反対側の端面に配置することが好ましい。これによれば、ロール軸(図1参照)の回転により、固定部材14に負荷が掛かることを防止することができる。
【0047】
また、調心部材13、23、24として、セラミックスの熱膨張係数と軸受ホルダ12、22の材料の熱膨張係数との間の熱膨張係数である材料を用いることが好ましい。これによれば、調心部材13、23、24により、軸受11、21へ掛かる荷重を低下させることができる。
【0048】
さらに、調心部材13、23、24として、セラミックスのヤング率よりも小さいヤング率である材料を用いることが好ましい。これによっても、調心部材13、23、24により、軸受11、21へ掛かる荷重を低下させることできる。
【0049】
調心部材13、24、25の材質の一例として、カーボン系材料を挙げることができる。カーボンは、耐熱性があるため溶融金属浴中で使用可能であり、摩擦係数が0.1未満と極めて小さいことから、カーボン系材料を用いることで調心を滑らかに行うことができる。また、溶融金属との濡れ性が極めて悪く、ヤング率も鋼の約1/4と低いことから、軸受11、21に掛かる応力を低減させ、破損を防ぐことができる。
【0050】
なお、軸受装置30(図1参照)についても、上述した軸受装置20(図7参照)と同様の構成とすることができる。
【0051】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う軸受装置もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】金属溶融めっきに用いる機器の配置状況を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態である軸受装置10を模式的に示す図である。
【図3】軸受装置10に用いる軸受の構造図である。
【図4】軸受装置10に用いる調心部材の構造図である。
【図5】軸受装置10に用いる軸受ホルダの構造図である。
【図6】軸受装置10に用いる固定部材の構造図である。
【図7】本発明の第2実施形態である軸受装置20を模式的に示す図である。
【図8】軸受装置20に用いる軸受の構造図である。
【図9】軸受装置20に用いる調心部材の構造図である。
【図10】軸受装置20に用いる軸受ホルダの構造図である。
【図11】軸受装置20に用いる固定部材の構造図である。
【符号の説明】
【0053】
1 シンクロール
1a シンクロール軸
2 コレクトロール
2a コレクトロール軸
4 溶融金属めっき浴
5 鋼板
10 軸受装置
11 セラミックス製滑り軸受
12 金属製軸受ホルダ
13 調心部材
14 固定部材
20 軸受装置
21 セラミックス製滑り軸受
22 金属製軸受ホルダ
23、24 調心部材
25 固定部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス製滑り軸受と、前記セラミックス製滑り軸受を保持する金属製ホルダとを備える溶融金属めっき浴用滑り軸受装置において、
前記セラミックス製滑り軸受と前記金属製軸受ホルダとの間に調心部材を備え、前記調心部材と前記金属製軸受ホルダとの接触面の一方が球面の凸面であり、他方が前記球面と面で接触する球面の凹面であることを特徴とする溶融金属めっき浴用滑り軸受装置。
【請求項2】
セラミックス製滑り軸受と、前記セラミックス製滑り軸受を保持する金属製ホルダとを備える溶融金属めっき浴用滑り軸受装置において、
前記セラミックス製滑り軸受と前記金属製軸受ホルダとの間に調心部材を備え、前記調心部材と前記金属製軸受ホルダとの接触面の一方が円筒面の凸面であり、他方が前記円筒面と面で接触する円筒面の凹面であることを特徴とする溶融金属めっき浴用滑り軸受装置。
【請求項3】
前記調心部材の材質がめっきの溶融金属と濡れ性の悪い材料であるとともに、前記セラミックス製滑り軸受の固定部材に応力低減手段が備えられることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶融金属めっき浴用滑り軸受装置。
【請求項4】
前記調心部材がカーボン系材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融金属めっき浴用滑り軸受装置。
【請求項1】
セラミックス製滑り軸受と、前記セラミックス製滑り軸受を保持する金属製ホルダとを備える溶融金属めっき浴用滑り軸受装置において、
前記セラミックス製滑り軸受と前記金属製軸受ホルダとの間に調心部材を備え、前記調心部材と前記金属製軸受ホルダとの接触面の一方が球面の凸面であり、他方が前記球面と面で接触する球面の凹面であることを特徴とする溶融金属めっき浴用滑り軸受装置。
【請求項2】
セラミックス製滑り軸受と、前記セラミックス製滑り軸受を保持する金属製ホルダとを備える溶融金属めっき浴用滑り軸受装置において、
前記セラミックス製滑り軸受と前記金属製軸受ホルダとの間に調心部材を備え、前記調心部材と前記金属製軸受ホルダとの接触面の一方が円筒面の凸面であり、他方が前記円筒面と面で接触する円筒面の凹面であることを特徴とする溶融金属めっき浴用滑り軸受装置。
【請求項3】
前記調心部材の材質がめっきの溶融金属と濡れ性の悪い材料であるとともに、前記セラミックス製滑り軸受の固定部材に応力低減手段が備えられることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶融金属めっき浴用滑り軸受装置。
【請求項4】
前記調心部材がカーボン系材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融金属めっき浴用滑り軸受装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−63622(P2008−63622A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243053(P2006−243053)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】
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