説明

溶解性薄膜キサントン・サプリメント

【課題】経口摂取用の、キサントン類を含む1つの栄養補給組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、水溶性ポリマー類とキサントン類を含む1つの急速溶解性フィルムである。キサントン類は、好ましくは天然植物源から導き出され、特にガルシニア属マンゴスタナL植物の果実から導き出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に記載の技術は、キサントン類を含む1つの口腔用栄養補給組成物に関する。より詳細には、本願に記載の技術は、例えばガルシニア属マンゴスタナL植物の果実に由来したキサントン類を含む経口摂取用の1つの急速溶解性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
経口摂取用の急速溶解性薄膜類は当業界では周知である。当該フィルム類は、ピル類、タブレット類、液体類、および、摂取可能な治療用薬物または化粧用薬物の形態類に代替できると認識されている1つの選択品である。当該薄膜類は、従来技術の形態類を凌駕した様々な長所を提供する。当該薄膜はコンパクトであって、通常、反復して開閉を可能にする柔軟なヒンジを装着した1つのプラスチックケースに収納して容易に携行できる。また、当該薄膜類は、一般に口および顎を運動させることが求められるピル類およびタブレット類とは対照的に、小出しの摂取を可能にする。
【0003】
経口摂取用薄膜類についての更なる長所が特許文献1に詳細に説明されており、該特許文献が参照として本願に援用される。また、特許文献2に詳細に説明されており、該特許文献が参照として本願に援用される。さらに、特許文献3にも詳細に説明されており、該特許文献出願が参照として本願に援用される。さらに、これらの特許文献には、薄膜類とそれを製造する各種の方法に関連した一般化学および技術が開示されている。
【0004】
急速溶解性フィルム類を、医薬剤としての活性成分および化粧剤としての活性成分の薬用量を運搬するのに使用可能なことも、当業界では概して知られている。特許文献4に開示されているように、例えば、薄膜類は、口臭清涼化合物類、口腔衛生用香味料類、口腔衛生用芳香剤類、口腔洗浄用活性成分類、歯科洗浄活性成分類などの化粧剤類に加え、睡眠薬類、鎮痛薬類、抗癪癇薬類、鎮痙薬類、利尿薬類、鎮咳性去痰薬類、抗生物質類などの薬物類を運搬するのに使用できる。
【0005】
ガルシニア属マンゴスタナL植物の薬効特性については、近年の薬理学研究および臨床学研究でのテーマに上ることが増えている。これらの研究により、その植物から誘導された天然化合物類、特にキサントン化合物類の中に、驚くべき薬効的利点を生み出すものがあると判明した。ガルシニア属マンゴスタナL植物の歴史および各キサントン化合物の薬理学的利点については、特許文献5(Garrity等)に更に具体的に記載されており、該特許文献が参照として本願に援用される。
【特許文献1】米国特許第6177096号明細書
【特許文献2】米国特許第6419903号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2003/0206942号明細書
【特許文献4】米国特許第6177096号明細書
【特許文献5】米国特許第6730333号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
経口摂取用急速溶解性フィルム類を使用することが既知であり、また、天然キサントン類の薬効的利点が文献に記載されているにもかかわらず、これらの別個の2つの分野を組み合せることは未だ知られていない。従って、当業界では、経口摂取に適したキサントン類を含む1つの急速溶解性フィルム材料が要望されている。さらに、当業界では、薬用量のキサントン類を運搬する1つの簡便な方法も望まれている。さらにまた、当業界では、手軽で控え目に摂取することが可能な1つのキサントン製品が望まれている。さらにまた、当業界では、ガルシニア属マンゴスタナL植物、別名マンゴスチン植物の果実に由来したキサントン類を含む1つの摂取可能なキサントン製品が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に記載の本技術は、運搬が簡単で、目立つことなく摂取できる天然キサントン類の供給源を提供するので、他に類をみない。特に、本願に記載の技術は、キサントン類を含む1つの経口摂取用急速溶解性フィルムに関する。
【0008】
本願に記載の技術は一つの局面において、唾液誘発剤類、界面活性剤類、安定剤類,乳化剤類、増粘剤類、可塑剤類、抗菌剤類、水、水溶性ポリマー類、バインダー類、ポリエチレンオキシド類、プロピレングリコール類、甘味料類、調味料類、着色剤類、ポリアルコール類、および、それらの複数の組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の成分と、以下の成分を含む経口摂取可能なフィルム組成物と、少なくとも1種のキサントンとを提供する。
【0009】
好ましくは、本願に記載の技術において使用されるキサントン類は、天然植物源に由来し、特にガルシニア属マンゴスタナL植物の果実に由来する。例えば、キサントン類の優れた供給源として、ガルシニア属マンゴスタナL植物の果実の果皮を単独で、または、その果皮をその果実の果肉と併用する事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ここに使用した術語は特定の実施形態を記載するためだけに適用されるものであって、本願に記載の技術における範囲を限定することを意図としたものではないと理解される。また、ここにおいて、後続の請求の範囲で用いた単数形、「1つの」、「前記」は、文中で特に明瞭に指摘しない限り、複数形も参照すると理解される。
【0011】
特に断りのない限り、ここに用いた全ての技術的科学的術語は、本発明が属する分野の当業者により一般に理解されるのと同様の意味を有する。本願に記載の技術による各種の方法、組成物および材料がここに記載してあるが、ここに記載のものに類似または均等な方法群および材料群も、本願に記載の技術を実施するか、または試験するのに使用することができる。ここに引用した各文献について、その全体が参照によって援用される。
【0012】
本願に記載の技術における、通常は1つの薄膜であるフィルムは、即座に湿潤性を呈して急速に溶解する。その結果、そのフィルムは、口腔内頂上部または舌部に密着して瞬時に完全に溶解する。そのフィルムは、経口的に運搬して摂取されるキサントン化合物類を含有している。
【0013】
本発明の一つの実施例では、キサントン類は天然植物源から導き出される。好ましくは、キサントン類はガルシニア属マンゴスタナL植物の果実から導き出す事が出来る。本願に記載の技術における一つの好ましい実施形態では、キサントン類はマンゴスチン果実の果皮から導き出される。別の好ましい実施形態では、キサントン類はマンゴスチン果実の果肉と果皮の混合物から導き出される。その結果、キサントン類を全面的に天然源から誘導することが可能になる。
【0014】
本願に記載の技術におけるフィルムは、キサントン化合物類の他に、唾液誘発剤類、界面活性剤類、安定剤類、乳化剤類、増粘剤類、可塑剤類、抗菌剤類、水、水溶性ポリマー類、バインダー類、ポリエチレンオキシド類、プロピレングリコール類、甘味料類、調味料類、着色剤類、および、ポリアルコール類の成分の1種またはそれ以上を含んでも良い。
【0015】
本願に記載の技術において、唾液誘発剤類を何種類でも使用することができる。これらの唾液誘発剤類は当業界で周知のものであって、グルコース、デキシトロース、フルクトース、ラクト−ス、マルト−ス、キシロース、スクロース、コーンシュガーシロップ、その他の単糖類または二糖類甘味料などの通常の食品用甘味料類を挙げる事が出来る。本願に記載の技術における場合、人工甘味料類と、1つの非糖性の糖関連化合物、例えばソルビトール、ヘキシトール、マルチロール、キシリトール、マンニトール、またはリィカンシン(Lycansin)などの澱粉加水分解物とを併用したものも有利である。また、アスパルテームを用いても良い。
【0016】
本願に記載の技術において用いる界面活性剤類としては、種々のものを使用できるが、一般的には折衷案として1種またはそれ以上の陰イオン界面活性剤を使用する。例えば、界面活性剤類を併用する場合、第一成分として1つのポリオキシエチレンアルキルエーテルを使用し、第二成分として1つのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを使用する事が出来る。そのエーテル化合物のHLBの値は14〜16であれば良く、そのエステル化合物のHLBの値は10と20の間であれば良い。当業者により是認されているように、当該数値を変動させても良いことは言うまでもない。
【0017】
本願に記載の技術において用いる安定剤類としては、キサンタンゴム類、カラギーナン等を挙げる事が出来る。本願に記載の技術における一つの実施形態では、配合処方中に抗菌剤類が含まれる。当該化合物としては、オイカリプトール、メントール、バクロール、チモール、サリチル酸メチル、ベルベノン、ユージノール、ゲリアノール、および、それらの複数の組み合わせなどの精油類を挙げる事が出来る。
【0018】
本願に記載の技術による水溶性ポリマー類は、成膜特性を発揮する事が出来る。従って、キサントン含有混合物を塗布することが可能であり、製品とした場合のカット、ダイスカットおよびパッケージ化に十分に耐える抗張力を備えた1つの薄膜が得られる。代表的ポリマー類としては、アミラーゼ、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー類、コラーゲン、デキストリン、グルテン、グアーゴム、アカシアゴム、高アミラーゼ澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル化高アミラーゼ澱粉、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルメタクリレート共重合体類、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、トラガカントゴム、乳奨蛋白分離物、および、それらの複数の組み合わせを挙げる事が出来る。ただし、これらのポリマー類に限定はされない。
【0019】
ポリアルコール類はフィルムにソフト感を付与してそのフィルムを口腔の輪郭に適合させる。本願に記載の技術における目的に適したポリアルコール類としては、グリセロール、ポリエチレングリコール、脂肪酸類を有するグリセロールモノエステル類、または他種の既知ポリアルコール類を挙げる事が出来る。本願に記載の技術において着色剤類を使用する場合、その着色剤類は無毒で、しかも食品医薬局(Food and Drug Administration)により承認されていることが必要である。
【0020】
本願に記載の技術における薄膜類を製造するに当っては、多様の方法が存在する。その一つを示せば、次の通りである。非水溶性可塑剤類、界面活性剤類、ポリアルコール類を、水-アルコール混合物類を含んでも良い溶剤の適量に溶解させる。次に、単一の均質な溶液が得られるまで、他種の水溶性成分類とキサントン類を徐々に加える。全成分を完全に混合、溶解させるべく、その溶液を加熱する必要がある。その後、得られたスープ混合物を非粘着乾燥表面上に流動させるか、被覆させるが、その混合物をその表面全体に塗布させることもできる。その混合物が固化して薄膜が形成されるまで、その混合物を徐々に冷却させるか、および/または乾燥させる。次いで、薄膜類を、パッキングに適した形状にカットする。本発明を、次の実施例群を参照して説明する。その実施例群は一例を示したに過ぎず、本発明の限定を意図とするものではない。
【実施例1】
【0021】
以下に記載の成分類を組み合せることで、1つの急速溶解性薄膜を形成した。
【0022】
【表1】

【0023】
この実施例では、マンゴスチン果実の果実丸ごとを、果皮と果肉を含んだ1つの混合物に粉砕する。次に、全果実混合物をアルコール主体の溶剤に溶解させて、マンゴスチン全果実混合物からキサントン類を抽出する。その後、抽出したキサントン類を含有した溶剤を、抽出物量約0.1%〜約0.5%で、他種成分類と混合し、1つの混合溶液を調製する。その混合溶液を1つのシート上に延ばす一方、1つの気流冷却トンネルを用い、約24時間に渡って水を蒸発により除去する。次いで、得られた薄膜を所期の形状群と寸法群にカットする。
【0024】
本願に記載の技術における精神または本質的特性から逸脱することなく、当該技術をその他の具体的形態群で実施する事が出来る。記載した実施形態群は、全ての観点より一例の説明に限られ、限定を意味するものでは無いことを考慮に入れるべきである。従って、本願に記載の技術における範囲は、前述された記載では無く、添付の特許請求の範囲により示される。特許請求の範囲の意味および均等物の範囲に属する全ての変更が、該特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
唾液誘発剤類、界面活性剤類、安定剤類、乳化剤類、増粘剤類、可塑剤類、抗菌剤類、水、水溶性ポリマー類、バインダー類、ポリエチレンオキシド類、プロピレングリコール類、甘味料類、調味料類、着色剤類、ポリアルコール類、および、それらの複数の組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の成分と、
少なくとも1種のキサントンと
を備える、1つの経口摂取可能なフィルム組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のキサントンが、複数の天然植物源に由来する、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のキサントンが、ガルシニア属マンゴスタナL植物の果実に由来する、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のキサントンが、ガルシニア属マンゴスタナL植物の果実の果皮に由来する、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のキサントンが、ガルシニア属マンゴスタナL植物の果実の果肉と果皮の混合物に由来する、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のキサントンが、
ガルシアナ属マンゴスタナL植物の果実丸ごとを果皮と果肉の1つの混合物に粉砕する段階と、
前記混合物からキサントン類を抽出する段階と
を備える1つの方法により、ガルシニア属マンゴスタナL植物の果実から導き出される、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項7】
前記水溶性ポリマー類が、アミラーゼ、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー類、コラーゲン、デキストリン、グルテン、グアーゴム、アカシアゴム、高アミラーゼ澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル化高アミラーゼ澱粉、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルメタクリレート共重合体類、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、トラガカントゴム、乳奨蛋白分離物、および、これらの複数の組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項8】
前記唾液誘発剤類が、グルコース、デキストロース、フルクトース、ラクトース、マルトース、キシロース、スクロース、コーンシュガーシロップ、ソルビトール、ヘキシトール、マルチロール、キシリトール、マンニトール、澱粉加水分解物、アスパルテーム、および、これらの複数の組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤類が、1種またはそれ以上のアニオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項10】
前記安定剤類が、キサンタンゴム、カラギーナン、抗菌剤類、および、これらの複数の組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項11】
前記抗菌剤類が、1種またはそれ以上の精油を含む、請求項10に記載のフィルム組成物。
【請求項12】
前記精油の類が、オイカリプトール、メントール、バクロール、チモール、サリチリ酸メチル、ベルベノン、ユージノール、ゲリアノール、それらの併用群から成る群から選択される、請求項11に記載のフィルム組成物。
【請求項13】
前記ポリアルコール類が、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、脂肪酸類を有するグリセロールモノエステル類、および、それらの複数の組み合わせから選択される、請求項1に記載のフィルム組成物。

【公表番号】特表2007−511526(P2007−511526A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539898(P2006−539898)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/037796
【国際公開番号】WO2005/048931
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(505443573)ディービーシー エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】