説明

滅菌用袋

【課題】 収納された物品類とその物品類が滅菌済であることが一目で視認でき、また、環境問題を配慮した滅菌用袋を提供することである。
【解決手段】 一方が基材層と熱接着性樹脂層とを積層してなる合成樹脂シートであり、他方がガス透過性の通気性シートであり、前記合成樹脂シートの熱接着性樹脂層面を前記通気性シートに重ね合わせて、周辺を熱接着し周縁熱接着部を形成してなる滅菌用袋において、前記合成樹脂シートの基材層と熱接着性樹脂層との間にインジケーターインキ層が形成され、前記熱接着性樹脂層が脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする生分解性樹脂からなることを特徴とする滅菌用袋である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用等に用いる被滅菌物品類をエチレンオキサイドなどを用いてガス滅菌するための滅菌用袋に関し、詳しくは一方がインジケーターインキ層を備えた合成樹脂シートであり、他方が通気性シートであり、合成樹脂シートと通気性シートを重ね合わせて、周辺を熱接着したコンビネーションタイプの滅菌用袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用等に用いる物品類等は、使用前に滅菌したものを用いることが必要であり、例えば、メス、シリンジやガーゼなどの被滅菌物品類を、滅菌可能なようにガス透過性であって、滅菌後は二次汚染防止可能なように細菌類が透過できない滅菌用袋に入れて密封した後、高温の蒸気、エチレンオキサイドガス(EOG)などを用いて、予め滅菌が行われている。滅菌後の物品類等は医療に使用されるまでは、滅菌用袋に収納された状態で保管され、医療に使用するときに初めて開封して使用される。このような滅菌用袋の種類としては、一般的に、滅菌紙単独のものと、滅菌紙等の通気性シートと合成樹脂シートとを組合わせたコンビネーションタイプに大別される。通気性シートと合成樹脂シートのコンビネーションタイプは、合成樹脂シートを透明なものとすることにより収納された医療器具の種類やサイズなどが容易に視認できるので便利なものであり、最近ではこのようなコンビネーションタイプの滅菌用袋が増えてきている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに、滅菌用袋に収納された物品類等が殺菌済か又は未殺菌かを目視確認できるように滅菌紙に滅菌することにより変色するインジケーターインキ等でインジケーターが印刷されている。しかしながら、医療現場では滅菌用袋に収納された必要な物品類をまず合成樹脂シート側から見て確認をし、次に殺菌済であることを確認するために滅菌用袋を裏返し滅菌紙に印刷されたインジケーターを確認する必要があり、非常に手間がかかるという欠点がある。多忙な医療現場から、収納された物品類の種類やサイズ及びその物品類が滅菌済であることが一目で視認できる滅菌用袋の開発が望まれている。
【0004】
一方、環境保全に関する社会的要求の高まりに伴い、微生物などにより分解される生分解性樹脂が注目されている。生分解性樹脂の具体例としては、微生物産系やポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル等が挙げられる。さらに、近年、生分解性樹脂の中でも、環境にやさしい素材としてバイオマスを有効に利用した素材が、石油等の化石資源への依存を低減するだけでなく、現代社会が直面する環境問題の改善や循環型社会の形成に貢献することができるとの観点から注目されている。その一例として、ポリ乳酸が挙げられる。ポリ乳酸系樹脂は、生分解性であるので土中や水中で自然に加水分解が進み、さらに微生物により無害な分解物となる。また、焼却処分をしても燃焼熱量が小さいので焼却炉を傷めない。また、出発原料が植物由来であるために、枯渇する石油等の化石資源から脱却できる等の特徴を有しており、ポリ乳酸を用いたプラスチック成形品、例えばフィルム、シート、包装袋やボトル等の容器等を造る研究がなされ、既にポリ乳酸系樹脂フィルムを用いて溶断シールにより製袋した溶断シール袋が開示されている(例えば特許文献2参照)。このような社会の環境に対する意識の高まりに伴い、医療関連のユーザーから環境問題を配慮した滅菌用袋が求められるようになってきた。
【特許文献1】実公昭64−2766号公報
【特許文献2】特開2003−291984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、鋭意研究の結果、脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする生分解性樹脂がエチレンオキサイドガスを透過させる性質を有することに着目し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、収納された物品類の種類やサイズとその物品類が滅菌済であることが一目で視認でき、また、環境問題を配慮した滅菌用袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、一方が基材層と熱接着性樹脂層とを積層してなる合成樹脂シートであり、他方がガス透過性の通気性シートであり、前記合成樹脂シートの熱接着性樹脂層面を前記通気性シートに重ね合わせて、周辺を熱接着し周縁熱接着部を形成してなる滅菌用袋において、前記合成樹脂シートの基材層と熱接着性樹脂層との間にインジケーターインキ層が形成され、前記熱接着性樹脂層が脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする生分解性樹脂からなることを特徴とする滅菌用袋である。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の滅菌用袋において、前記基材層が二軸延伸されたポリ乳酸系樹脂フィルムからなることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は2に記載の滅菌用袋において、前記通気性シートが、滅菌紙からなることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4記載の本発明は、請求項1又は2に記載の滅菌用袋において、前記通気性シートが、脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする生分解性樹脂からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の本発明は、一方が基材層と熱接着性樹脂層とを積層してなる合成樹脂シートであり、他方がガス透過性の通気性シートであり、合成樹脂シートの熱接着性樹脂層面を通気性シートに重ね合わせて、周辺を熱接着し、合成樹脂シートの基材層と熱接着性樹脂層との間にインジケーターインキ層が形成された構成のコンビネーションタイプの滅菌用袋とすることにより、合成樹脂シート側より収納された医療器具の種類やサイズなどが容易に視認できると共に、同時にインジケーターインキ層が目視できるので収納された医療器具等の物品類が滅菌済であることが一目で視認できる。また、熱接着性樹脂層に脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする生分解性樹脂を用いることにより、滅菌ガスが通気性シート及び熱接着性樹脂層を透過してインジケーターインキ層を変色させることができる。さらにインジケーターインキ層は基材層と熱接着性樹脂層との間に形成されているので、インジケーターインキ層が保護され、外力で擦れてもインキ脱落することがなく、収容した物品類と直接接することがないので物品類へのインキ付着が防止できるという効果がある。
【0011】
請求項2記載の本発明は、基材層が二軸延伸されたポリ乳酸系樹脂フィルムからなる構成とすることにより、環境問題を配慮した滅菌用袋とすることができる。
【0012】
請求項3記載の本発明は、通気性シートに滅菌紙を用いることによりEOG等のガスの通気性が良好となりガス滅菌適性が向上する。
【0013】
請求項4記載の本発明は、通気性シートに脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする生分解性樹脂を用いることにより、環境問題を配慮した滅菌用袋とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかる滅菌用袋の第一実施形態を示す平面図、図2は図1におけるX−X線断面図、図3は本発明にかかる滅菌用袋の第二実施形態を示す平面図、図4は図3におけるY−Y線断面図であり、図中の符号1、101は合成樹脂シート、2、102は通気性シート、3は非熱接着部、4a、4bは周縁熱接着部、4cは山形の周縁熱接着部、5は収容部、6は開口部、7はインジケーターインキ層、8は開封マーク、11、111は基材層、12、112は熱接着性樹脂層、13、113、123は接着剤層、104a、104b、104cは周縁熱接着部、109はノッチ、121は二軸延伸ポリ乳酸系樹脂フィルム、122は生分解性樹脂、A、A’は滅菌用袋をそれぞれ示す。
【0015】
本発明の第一実施形態は図1、図2に示すとおりである。図1、図2に示すように本発明にかかる滅菌用袋Aは、矩形状の一方が基材層と熱接着性樹脂層とを積層した合成樹脂シート1であり、他方がガス透過性の通気性シート2であり、合成樹脂シート1の熱接着性樹脂層面を通気性シート2に重ね合わせて、対向する一辺の両端部(図1の左右両端)を熱接着して周縁熱接着部4a、4bを形成し、上辺に沿って非熱接着部3を形成すると共に、周縁熱接着部4a、4bを連結し収納部5と非熱接着部3とを隔てて外方に突出する山形の周縁熱接着部4cが形成され、下辺を開口部6とした構成である。合成樹脂シート1の収容部5側にはエチレンオキサイドガス(以下EOGという)滅菌を行うことにより変色するインジケーターインキ層7が設けられ、非熱接着部3の中央上部には開封口を示す開封マーク8が印刷されている。
【0016】
図2は図1のX−X線断面図であり、本発明の第一実施形態を示す滅菌用袋Aの積層構成を示すと共に要部を説明する断面図である。図2に示すように合成樹脂シート1は基材層11と熱接着性樹脂層12とが接着剤層13を介して積層され、熱接着性樹脂層12面が通気性シート2に重ね合わされている。基材層11の熱接着性樹脂層12と積層される面には、インジケーターインキ層7が形成されている。
【0017】
また、滅菌用袋Aの周縁熱接着部4a、4b及び山形の周縁熱接着部4cは開封マーク8より合成樹脂シート1と通気性シート2との間で剥離可能なように熱接着され、特に山形の周縁熱接着部4cは外方に突出する山形にすることにより開封が容易となるものである。滅菌用袋Aの開封が、より容易なように熱接着部の接着幅を狭くした線シールにしたり、あるいは、通気性シート2の少なくとも熱接着性樹脂層12と熱接着される部分に、易剥離性のヒートシール剤をコートしてもよい。また、剥離せずに引裂き開封とする場合には、非熱接着部3及び山形の周縁熱接着部4cは設ける必要がなく、上辺縁に周縁熱接着部を設ければよい。
【0018】
合成樹脂シート1は収容する物品類が視認できる透明性を有していればよく、着色することもできる。基材層11は熱接着に耐える耐熱性とEOG滅菌に耐える耐EOG性があればよく、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリ乳酸系等の樹脂を用いて二軸延伸されたフィルムが用いられる。熱接着性樹脂層12には、通気性シート2と熱接着して適度の接着強度を有すると共に、EOGを適度に透過するものが使用でき、ポリ乳酸系、ポリブチレンサクシネート系、ブチレンサクシネート/アジペート共重合体系、ブチレンサクシネート/カーボネート共重合体、ポリカプロラクトン系等の脂肪族ポリエステル系の生分解性樹脂が使用できる。基材層11と熱接着性樹脂層12は、ドライラミネーション法、エクストルージョンラミネーション法等の公知の方法で積層される。
【0019】
通気性シート2は、EOGなどのガス滅菌において、1)EOGなどを容易に透過させるが細菌類を透過させない性質、2)滅菌温度に耐える耐熱性、3)好ましくは合成樹脂シート1の熱接着性樹脂層12と熱接着可能なこと、等の性質を備えた材料が要求され、滅菌紙、不織布、脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする生分解性樹脂、複数の貫通孔を設けた二軸延伸ポリ乳酸系樹脂フィルムと脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする生分解性樹脂との積層材等が使用できる。また、これらの基材の合成樹脂シート1と熱接着される面に易剥離機能を向上させるヒートシール剤を全面的もしくは部分的にコーティングしたものとしてもよい。
【0020】
図1に示すように基材層の内面には、滅菌を行うことにより色が変化して滅菌済が視認できるようにEOG滅菌用のインジケーターインキ層7が印刷され、滅菌済であることが一目で確認ができ、同時に滅菌された医療器具の物品類が視認でき多忙な医療現場で使用するには好ましい態様となっている。インジケーターインキ層7は、市販のEOG用インジケーターインキを用いてグラビア印刷を行なうことにより基材層11に形成することができる。なお、インジケーターインキとしては、エチレンオキサイドが塩化水素と結合する性質を利用して塩基性物質の塩化水素酸塩とPH指示薬とを含有させたインジケーターインキや、例えば特定の分子構造を有するアゾ染料がエチレンオキサイドと反応しての変色する原理を利用したインジケーターインキ等であり、具体的には、サカタインクス(株)製「グラトーンGSN赤EO−32」、(株)サクラクレパス製「EO−13」等が挙げられる。
【0021】
次に、図1に示す滅菌用袋Aの使用方法について説明をする。滅菌用袋Aの使用に際して、開口部6より被滅菌医療器具類を収納部5に収納し、開口部6の周縁を熱接着して密封し、その後、所定の温度、時間、圧力、湿度の滅菌条件下でEOG滅菌を行い、医療器具類を滅菌する。治療、手術などの医療処置を施すにあたり、滅菌用袋Aの合成樹脂シート1側から基材層11に形成されたインジケーターインキ層7が色変化して滅菌済を表していることを確認すると共に、収納部5に収納された医療器具類の種類やサイズを確認した後、開封マーク8より指で合成樹脂シート1と通気性シート2の非熱接着部3をそれぞれ摘み相反する方向に引張ることにより山形の周縁熱接着部4c、周縁熱接着部4a、4bを互いに剥離して開封でき、容易に内容物を取出すことができる。非熱接着部3及び山形の周縁熱接着部4cを設けずに上辺縁に周縁熱接着部を設ける構成とする場合には、開封手段を備えた所定の位置より剥離せずに引裂き開封すればよい。
【0022】
本発明の第二実施形態は図3、図4に示すとおりである。図3、図4に示すように本発明にかかる滅菌用袋A’は、矩形状の一方が二軸延伸ポリ乳酸系樹脂フィルムからなる基材層111と脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする生分解性樹脂からなる熱接着性樹脂層112とが接着剤層113を介して積層された合成樹脂シート101であり、他方が複数の貫通孔を設けた二軸延伸ポリ乳酸系樹脂フィルム121と脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする生分解性樹脂122とが接着剤層123を介して積層されたガス透過性の通気性シート102であり、合成樹脂シート101の熱接着性樹脂層112面を通気性シート102の生分解性樹脂122面に重ね合わせて、3辺の周縁を熱接着して周縁熱接着部104a、104b、104cを形成し、下辺を開口部6とした構成である。合成樹脂シート101の収容部5側にはEOG滅菌を行うことにより変色するインジケーターインキ層7が設けられ、周縁熱接着部104bの端部の周縁熱接着部104cの近傍にノッチ109が設けられている。
【0023】
図4は図3のY−Y線断面図であり、本発明の第二実施形態を示す滅菌用袋A’の積層構成を示す。図4に示すように基材層111の熱接着性樹脂層112と積層される面には、インジケーターインキ層7が形成されている。このような構成にすることにより、第二実施形態の滅菌用袋A’は、合成樹脂シート101及び通気性シート102がいずれも生分解性樹脂で構成され、廃棄性の優れたものとなる。また、滅菌用袋A’に占めるポリ乳酸系樹脂の比率を高めることができ環境面を配慮したものとなる。
【実施例1】
【0024】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
厚さ12μmの片面コロナ処理を施した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用いて該コロナ処理面にグラビア印刷法によりインジケーターインキにサカタインクス(株)製の商品名;グラトーンGSN赤EO−32を用いてインジケーターインキ層を所定の位置に印刷して形成すると共にウレタン系樹脂をバインダーとするグラビアインキで所定の絵柄を印刷した。一方、ポリブチレンサクシネートからなる生分解性樹脂として三菱化学(株)製の商品名;GS−Plaを用いて、Tダイ押出機で熱溶融押出し製膜し、厚さ50μmの片面コロナ処理を施した熱接着性樹脂層用のポリブチレンサクシネートフィルム(PBS)を作製した。その後、印刷面にポリエステルポリオール−イソシアネート系の2液型接着剤を塗布し、上記ポリブチレンサクシネートフィルムのコロナ処理面とをドライラミネーション法(DL)により貼合してPET/印刷、インジケーターインキ層/DL/PBSなる構成の合成樹脂シートを作製した。通気性シートに70g/m2 の滅菌紙(三島製紙製、商品名;ハイミック)を用いて、給紙軸を二軸有する通常の製袋機を用いて、上記で作製した合成樹脂シートと通気性シートの巻取をそれぞれの給紙軸に取り付けて合成樹脂シートのPBS面を通気性シートに重ねてコンビネーション製袋し、周縁熱接着部4a、4b及び山形の周縁熱接着部4cで剥離可能に熱接着し、開口部6を有する図1に示す第一実施形態の滅菌用袋Aを作製した。
【実施例2】
【0025】
実施例1の合成樹脂シートの基材層のPETを厚さ25μmの片面コロナ処理を施した二軸延伸ポリ乳酸系樹脂フィルム(OPLA)に置換え、コロナ処理面に印刷し、OPLA/印刷、インジケーターインキ層/DL/PBSなる構成の合成樹脂シートを作製した。その以外は実施例1と同じ通気性シートを用いて同じ製袋方法で滅菌用袋を作製した。なお、二軸延伸ポリ乳酸系樹脂フィルムにはユニチカ(株)製のテラマックTFを用いた。
【実施例3】
【0026】
ポリブチレンサクシネートからなる生分解性樹脂として三菱化学(株)製の商品名;GS−Plaを用いて、Tダイ押出機で熱溶融押出し製膜し、厚さ50μmのポリブチレンサクシネートフィルム(PBS)を作製し通気性シートとした。この通気性シートと実施例2で作製した合成樹脂シートを用いて、給紙軸を二軸有する通常の製袋機を用いて、上記で作製した合成樹脂シートと通気性シートの巻取をそれぞれの給紙軸に取り付けて合成樹脂シートのPBS面を通気性シートに重ねてコンビネーション製袋し、周縁熱接着部104a、104b、104cで熱接着し、開口部6を有する図3に示す形態の滅菌用袋を作製した。
【0027】
実施例1〜3で作製した滅菌用袋の収納部にガーゼを封入し開口部を熱接着して密封し、供試サンプルを作製した。その後、それぞれの供試サンプルについてEOG滅菌装置を用いて、EOG:炭酸ガス=20:80(容量比)の混合ガス、滅菌温度55℃、相対湿度50%RH、滅菌時間4時間の滅菌条件下でEOG滅菌処理を施した後、それぞれの供試サンプルを観察したところ、実施例1〜4のいずれもインジケーターインキ層は変色し、滅菌が行われたことを確認できる共に内容物のガーゼも明確に確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかる滅菌用袋の第一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1におけるX−X線断面図である。
【図3】本発明にかかる滅菌用袋の第二実施形態を示す平面図である。
【図4】図3におけるY−Y線断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1、101 合成樹脂シート
2、102 通気性シート
3 非熱接着部
4a、4b 周縁熱接着部
4c 山形の周縁熱接着部
5 収容部
6 開口部
7 インジケーターインキ層
8 開封マーク
11、111 基材層
12、112 熱接着性樹脂層
13、113、123 接着剤層
104a、104b、104c 周縁熱接着部
109 ノッチ
121 二軸延伸ポリ乳酸系樹脂フィルム
122 生分解性樹脂
A、A’ 滅菌用袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方が基材層と熱接着性樹脂層とを積層してなる合成樹脂シートであり、他方がガス透過性の通気性シートであり、前記合成樹脂シートの熱接着性樹脂層面を前記通気性シートに重ね合わせて、周辺を熱接着し周縁熱接着部を形成してなる滅菌用袋において、前記合成樹脂シートの基材層と熱接着性樹脂層との間にインジケーターインキ層が形成され、前記熱接着性樹脂層が脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする生分解性樹脂からなることを特徴とする滅菌用袋。
【請求項2】
前記基材層が二軸延伸されたポリ乳酸系樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1記載の滅菌用袋。
【請求項3】
前記通気性シートが、滅菌紙からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の滅菌用袋。
【請求項4】
前記通気性シートが、脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする生分解性樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の滅菌用袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−220876(P2009−220876A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70580(P2008−70580)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】