説明

滑り検出機構、トルク制限機構、駆動装置及びロボット装置

【課題】剛性及び柔軟性を備える構成に資することが可能な滑り検出機構、トルク制限機構、駆動装置及びロボット装置を提供すること。
【解決手段】回転軸の周面の少なくとも一部に対して接触可能に設けられ、回転軸の軸方向とは異なる方向に力が加えられた状態で回転軸に接触することによって回転軸との間に摩擦力を生じさせる伝達部と、伝達部に接続され、検出素子の変位によって生じる出力信号を検出する検出部と、検出部による検出結果に基づいて、回転軸と伝達部との間の相対的な位置に関する相対位置情報を判断する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り検出機構、トルク制限機構、駆動装置及びロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば工業分野に限られず、医療や福祉などの広い産業分野において、作業者の負担軽減等を目的として、ロボット装置が用いられている。ロボット装置の構成として、例えば複数のアームが連結され、連結部を中心としてアームが回転する構成が知られている。各アームの連結部には、駆動力を伝達するトルク制限機構などの動力伝達機構が設けられている。
【0003】
このようなロボット装置には、重量物を支持したり、所定の位置へ移動したりなど、パワー及び精密さが求められる。そこで、ロボット装置のアームや連結部には高い剛性が不可欠となる。一方で、例えばロボット装置がアームを移動させながら動作を行う場合、アームの一部が他の部位等に衝突する場合が想定されうる。このような場合、衝突箇所に傷がついたり、アームや他の部位が破損したりするおそれがあるため、アームや連結部には一定の柔軟性が求められる。従って、ロボット装置には、剛性及び柔軟性という相反的な性質を兼ね備えていることが求められている。
【0004】
このようなロボット装置を実現するため、例えば、アーム同士の連結部の動力伝達機構を機械構造的に柔軟にする構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。例えば、動力伝達機構として、トルクリミッタや磁性流体などを用いた構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−241462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば上記の動力伝達機構においては、大掛かりな装置やシール機構などが用いられるため、構造が複雑となり、大型化や重量化が避けられない場合がある。このため、小型のロボット装置に対して適用することは困難である。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明は、剛性及び柔軟性を備える構成に資することが可能な滑り検出機構、トルク制限機構、駆動装置及びロボット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様に従えば、回転軸の周面の少なくとも一部に対して接触可能に設けられ、回転軸の軸方向とは異なる方向に力が加えられた状態で回転軸に接触することによって回転軸との間に摩擦力を生じさせる伝達部と、伝達部に接続され、検出素子の変位によって生じる出力信号を検出する検出部と、検出部による検出結果に基づいて、回転軸と伝達部との間の相対的な位置に関する相対位置情報を判断する制御部とを備える滑り検出機構が提供される。
【0009】
本発明の第二の態様に従えば、回転駆動軸の回転力を被駆動軸に伝達可能なトルク制限機構であって、回転駆動軸と被駆動軸とのうち少なくとも一方の回転軸の周面の少なくとも一部に対して接触可能に設けられ、駆動部によって回転軸の軸方向とは異なる方向に力が加えられた状態で回転軸に接触することによって回転駆動軸の回転力を被駆動軸に伝達する伝達部と、駆動部からの出力信号を検出する検出部と、検出部による検出結果に基づいて、回転駆動軸と被駆動軸との相対的な位置に関する相対位置情報を判断する制御部とを備えるトルク制限機構が提供される。
【0010】
本発明の第三の態様に従えば、回転駆動軸の回転力を被駆動軸に伝達可能なトルク制限機構であって、回転駆動軸と被駆動軸とのうち少なくとも一方の回転軸の周面の少なくとも一部に対して接触可能に設けられた伝達部と、伝達部に対して回転軸の軸方向とは異なる方向に力を加えた状態で当該伝達部を回転軸に接触させることによって、回転軸と伝達部との間に摩擦力を生じさせる駆動部と、伝達部に接続され、検出素子の変位によって生じる出力信号を検出する検出部と、検出部による検出結果に基づいて回転軸と伝達部との間の相対的な位置に関する相対位置情報を判断する制御部とを備えるトルク制限機構が提供される。
【0011】
本発明の第四の態様に従えば、本発明の第二の態様に従うトルク制限機構又は第三の態様に従うトルク制限機構と、回転駆動軸を回転させる回転機構と、を備える駆動装置が提供される。
【0012】
本発明の第五の態様に従えば、本発明の第一の態様に従う滑り機構を備えるロボット装置が提供される。
【0013】
本発明の第六の態様に従えば、本発明の第二の態様に従うトルク制限機構又は第三の態様に従うトルク制限機構を備えるロボット装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、剛性及び柔軟性を備える構成に資することが可能な滑り検出機構、トルク制限機構、駆動装置及びロボット装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態に係る滑り検出機構の構成を示す図。
【図2】本実施形態における内部電圧検出器及び算出器の検出結果を示すグラフ。
【図3】本発明の第二実施形態に係る滑り検出機構の構成を示す図。
【図4】本実施形態における内部電圧検出器及び算出器の検出結果を示すグラフ。
【図5】本発明の第三実施形態に係るロボット装置の構成を示す斜視図。
【図6】本実施形態に係るロボット装置の一部の構成を示す図。
【図7】本実施形態に係るロボット装置の一部の構成を示す図。
【図8】本実施形態に係るロボット装置の一部の構成を示す図。
【図9】本実施形態に係るトルク制限機構の構成を示す図。
【図10】本実施形態におけるトルク制限機構の特性を示すグラフ。
【図11】本実施形態におけるトルク制限機構の動作を示す図。
【図12】本実施形態におけるトルク制限機構の動作を示す図。
【図13】本実施形態におけるトルク制限機構の動作を示す図。
【図14】本実施形態における内部電圧検出器及び算出器の検出結果を示すグラフ。
【図15】本実施形態におけるトルク制限機構の動作を示す図。
【図16】本実施形態におけるトルク制限機構の動作を示す図。
【図17】本発明の第四実施形態に係るロボット装置の一部の構成を示す斜視図。
【図18】本実施形態におけるトルク制限機構の動作を示す図。
【図19】本実施形態における内部電圧検出器及び算出器の検出結果を示すグラフ。
【図20】本発明の第五実施形態に係るロボット装置の一部の構成を示す斜視図。
【図21】本実施形態に係るトルク制限機構の構成を示す図。
【図22】本実施形態における内部電圧検出器及び算出器の検出結果を示すグラフ。
【図23】本発明の第六実施形態に係るロボット装置の一部の構成を示す斜視図。
【図24】本実施形態に係るトルク制限機構の構成を示す図。
【図25】本実施形態に係るトルク制限機構の構成を示す図。
【図26】本実施形態における内部電圧検出器及び算出器の検出結果を示すグラフ。
【図27】本発明の変形例に係るトルク制限機構の構成を示す図。
【図28】本発明の変形例に係るトルク制限機構の構成を示す図。
【図29】本発明の変形例に係るトルク制限機構の構成を示す図。
【図30】本発明の変形例に係るトルク制限機構の構成を示す図。
【図31】本発明の変形例に係るトルク制限機構の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る滑り検出機構1の構成を示す断面図である。
図1に示すように、滑り検出機構1は、伝達部2、圧電部3及び制御部4を有している。
伝達部2は、回転軸SFの周面に掛けられている。伝達部2は、回転軸SFのうちの周面(例、外周面や内周面)の少なくとも一部に対して接触可能に設けられている。伝達部2は、該回転軸の軸方向(例えばZ方向)とは異なる方向(例、該回転軸の径方向など)に力(例、張力や押圧力など)が加えられた状態で該回転軸SFに接触することによって回転軸SFとの間で摩擦力を生じるように形成されている。
【0017】
伝達部2は、ベルト部(接触部)5を有している。ベルト部5は、例えばステンレスなどの金属を用いて帯状に形成されている。ベルト部5は、回転軸SFの外周面SFaに掛けられている。ベルト部5は、回転軸SFの外周面SFaに沿って湾曲された状態となっている。このように、ベルト部5は、回転軸SFの周面(例、外周面SFa又は内周面)に沿って曲げることが可能な可撓性を有する。なお、ベルト部5は、回転軸SF(外周面SFa)に対して、少なくとも一部が掛けられた状態若しくは接触した状態であればよい。また、例えば、ベルト部5は、回転軸Sの曲面状周面の少なくとも一部に沿って巻き付いた状態であればよい。
【0018】
ベルト部5は、両端部(第一端部5a及び第二端部5b)が例えば外周面SFaの接平面に垂直な方向へ伸びるように折り曲げられている。ベルト部5の折り曲げ部分(端部)である第一端部5a及び第二端部5bは、外周面SFaの周方向の基準位置Fを挟むように所定の隙間を空けて対向して配置されている。第一端部5aは、圧電部3の一部を介して、フレーム6の固定部6aに固定されている。第二端部5bは、圧電部3の一部を介して、フレーム6の固定部6bに固定されている。また、ベルト部5の形状は、例えば、帯状又は線状などである。なお、ベルト部5をフレーム6に固定させる構成としては、圧電部3の一部を用いて固定する構成に限られない。例えば不図示のネジやバネなどの固定部材を用いて、又は、不図示のネジやバネなどの固定部材を介して、ベルト5をフレーム6に固定させる構成であっても良い。
【0019】
圧電部3は、検出素子として、圧電素子(第一素子)3a及び圧電素子(第二素子)3bを備えている。
圧電素子3a及び圧電素子3bは、弾性変形するように形成されている。圧電素子3a及び圧電素子3bは、弾性によりベルト部5を外周面SFaに押圧している。圧電素子3a及び圧電素子3bとしては、例えば電歪素子(例えばピエゾ素子)などの電気機械変換素子が用いられている。圧電素子3a及び圧電素子3bは、所定の一方向(例、図中左右方向)に伸縮する構成であり、伸縮の際には伸縮量に応じた電圧を生じさせる。
【0020】
圧電素子3aは、伸縮方向の一方の端部がベルト部5の第一端部5aに接続されている。また、圧電素子3aの他方の端部は、フレーム6の固定部6aに固定されている。したがって、圧電素子3aは、第一端部5aと固定部6aとで挟まれた構成となっている。圧電素子3bは、伸縮方向が圧電素子3aと同一方向となるように配置されている。圧電素子3bは、伸縮方向の一方の端部がベルト部5の第二端部5bに接続されている。また、圧電素子3bの他方の端部は、フレーム6の固定部6bに固定されている。したがって、圧電素子3bは、第二端部5bと固定部6bとで挟まれた構成となっている。
【0021】
圧電素子3aには内部電圧検出器7が接続されている。内部電圧検出器7は、圧電素子3aの伸縮によって当該圧電素子3aの内部に生じる電圧を検出する。また、圧電素子3bには、内部電圧検出器8が接続されている。内部電圧検出器8は、圧電素子3bの伸縮によって当該圧電素子3bの内部に生じる電圧を検出する。
【0022】
内部電圧検出器7は、例えば、圧電素子3aが伸びた場合に負の電圧を検出し、圧電素子3aが縮んだ場合に正の電圧を検出する。また、内部電圧検出器8は、例えば、圧電素子3bが伸びた場合に負の電圧を検出し、圧電素子3aが縮んだ場合に正の電圧を検出する。勿論、圧電素子3a及び圧電素子3bの伸縮方向と検出する電圧の正負とが上記とは逆の構成であっても構わない。
【0023】
内部電圧検出器7の出力先及び内部電圧検出器8の出力先は、算出器9に接続されている。算出器9は、内部電圧検出器7の出力と、内部電圧検出器8の出力とを加算する。算出器9の出力先は、制御部4に接続されている。算出器9による算出結果は、出力信号として制御部4に送信される。
【0024】
次に、以上の構成における滑り検出機構1の動作を説明する。
まず、制御部4は、回転軸SFの駆動機構(不図示)を用いて回転軸SFを回転させたり、あるいは回転軸SFの回転を停止させたりする。このような制御を行う際に、例えば回転軸SFに対して図1における時計回りの方向(以下、CW方向と表記する)に回転する何らかの力が外部から加わる場合、回転軸SFとベルト部5との間にCW方向の摩擦力が働く。この摩擦力は、第一端部5a及び第二端部5bに対して、それぞれCW方向の力として作用する。
【0025】
このとき、回転軸SFとベルト部5との間の静止摩擦力を超える力が第一端部5aに対してCW方向に作用すると、圧電素子3aが固定部6a側に縮むように変形し、第一端部5aが基準位置Fから離れる方向へ移動する。一方、第二端部5bにCW方向の力が作用する場合、ベルト部5のうち第二端部5b側の部分はオイラーの巻き掛け理論から容易に分かるように5a部と比べてSFとの摩擦力が小さいためにSFとの間にすべりが生じて、圧電素子3bはほとんど変形することなく、第二端部5bはほとんど移動しない。したがって、第一端部5aと第二端部5bとの間隔が広がり、ベルト部5の巻き付きが緩み、回転軸SFとベルト部5との間において所定の回転方向(例、CW方向)に滑りが生じやすくなる。
【0026】
このときの内部電圧検出器7及び内部電圧検出器8の検出結果は、図2のグラフ(A)に示すようになる。例えば、内部電圧検出器7においては、出力V1として正の電圧値が検出され、内部電圧検出器8においては、出力V2として負の電圧値が検出される。ここでは、出力V1の値が出力V2の値よりも絶対値が大きいため、算出器9では、出力V3として、正の電圧値(出力信号)が検出されることになる。
【0027】
また、回転軸SFに対して図1における反時計回りの方向(以下、CCW方向と表記する)に回転する力が外部から加わる場合、回転軸SFとベルト部5との間にCCW方向の摩擦力が働く。この摩擦力は、第一端部5a及び第二端部5bに対して、それぞれCCW方向の力として作用する。
【0028】
このとき、回転軸SFとベルト部5との間の静止摩擦力を超える力が第二端部5bに対してCW方向に作用すると、圧電素子3bが固定部6b側に縮むように変形し、第二端部5bが基準位置Fから離れる方向へ移動する。一方、第一端部5aにCCW方向の力が作用する場合、ベルト部5のうち第一端部5a側の部分はオイラーの巻き掛け理論から容易に分かるようにSFとの摩擦力が5b部に比べて小さいためにSFとの間にすべりが生じて、圧電素子3aはほとんど変形することなく、第一端部5aはほとんど移動しない。したがって、第一端部5aと第二端部5bとの間隔が広がり、ベルト部5の巻き付きが緩み、回転軸SFとベルト部5との間において所定の回転方向(例、CW方向)に滑りが生じやすくなる。
【0029】
このときの内部電圧検出器7及び内部電圧検出器8の検出結果は、図2のグラフ(B)に示すようになる。例えば、内部電圧検出器7においては、出力V1として負の電圧値が検出され、内部電圧検出器8においては、出力V2として正の電圧値が検出される。ここでは、出力V2の値が出力V1の値よりも絶対値が大きいため、算出器9では、出力V3として、負の電圧値(出力信号)が検出されることになる。
【0030】
上記のように、回転軸SFとベルト部5との間に滑りが生じると、回転軸SFのトルクがベルト部5に伝達されること無く、回転軸SFが空回りし、当該回転軸SFとベルト部5との間に相対的な変位が生じる。
【0031】
そして、制御部CONTは、出力V3(出力信号)が所定の閾値を超えたか否かに基づいて、回転軸SFとベルト部5の間に相対的な変位が生じたか否か(相対位置情報)を判断する。この閾値として、例えば実験やシミュレーションなどによって予め設定された値(+m、−m)を設定することができる。
【0032】
したがって、制御部CONTは、出力V3が所定の閾値を超えている場合には、回転軸SFとベルト部5との間に相対的な変位が生じたと判断する。また、制御部CONTは、出力V3が所定の閾値を超えていない場合には、回転軸SFとベルト部5との間に相対的な変位が生じていないと判断する。
【0033】
なお、出力V3が正の電圧値である場合、制御部CONTは、出力V3が閾値+mよりも大きな値である場合に、閾値を超えたと判断する。また、出力V3が負の電圧値である場合、制御部CONTは、出力V3が閾値−mよりも小さな値である場合に、閾値を超えたと判断する。
【0034】
また、制御部CONTは、出力V3の正負に基づき、回転軸SFとベルト部5との間に相対的な変位の方向(相対位置情報)を検出することができる。例えば、出力V3が正の電圧値である場合、回転軸SFがベルト部5に対して、一方向(例、CW方向)に変位していると判断することができる。また、出力V3が負の電圧値である場合、回転軸SFがベルト部5に対して、回転方向において上記一方向とは反対の他方向(例、CCW方向)に変位していると判断することができる。
【0035】
以上のように、本実施形態に係る滑り検出機構1は、圧電素子3a及び圧電素子3bの変位によって生じる出力信号を検出する算出器9を有し、制御部4が当該算出器9による算出結果に基づいて、回転軸SFとベルト部5との間の滑りとその方向を検出することができる構成であるため、回転軸SFとベルト部5との間の相対的な変位を判断することができる。これにより、剛性及び柔軟性を備える構成に資することが可能な滑り検出機構1が提供される。
【0036】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態を説明する。
図3は、本実施形態に係る滑り検出機構101の構成を示す図である。
図3に示すように、滑り検出機構101は、伝達部102、圧電部103及び制御部104を有している。
【0037】
本実施形態では、圧電部103は、検出素子として、1個の圧電素子103aを備えた構成となっている。
圧電素子103aは、弾性変形するように形成されている。圧電素子103aは、弾性によりベルト部5を外周面SFaに押圧している。圧電素子103aとしては、例えば電歪素子(例えばピエゾ素子)などの電気機械変換素子が用いられている。圧電素子103aは、所定の一方向(例、図中左右方向)に伸縮する構成であり、伸縮の際には伸縮量に応じた電圧を生じさせる。
【0038】
ベルト部105は、両端部(第一端部105a及び第二端部105b)が例えば外周面SFaの接平面に垂直な方向へ伸びるように折り曲げられている。ベルト部105の折り曲げ部分(端部)である第一端部105a及び第二端部105bは、外周面SFaの周方向の基準位置Fを挟むように所定の隙間を空けて対向して配置されている。
【0039】
第一端部105aは、弾性部材108aを介してフレーム106の固定部106aに固定されている。第二端部105bは、弾性部材108bを介してフレーム106の固定部106bに固定されている。また、ベルト部105の形状は、例えば、帯状又は線状などである。
【0040】
圧電素子103aのうち伸縮方向の一方の端部(例、図中左側端部)は、ベルト部105の第一端部105aに接続されている。また、圧電素子103aの他方の端部(例、図中右側端部)は、ベルト部105の第二端部105bに接続されている。したがって、圧電素子103aは、第一端部105aと第二端部105bとで挟まれた構成となっている。圧電素子103aは、弾性によって第一端部105a及び第二端部105bを基準位置F側へ引っ張るように設けられている。この圧電素子103aの弾性力(引っ張る力)により、ベルト部105が外周面SFaに押圧されている。
【0041】
圧電素子103aには内部電圧検出器107が接続されている。内部電圧検出器107は、圧電素子103aの伸縮によって当該圧電素子103aの内部に生じる電圧を検出する。内部電圧検出器107は、例えば、圧電素子103aが伸びた場合に正の電圧を検出し、圧電素子103aが縮んだ場合に負の電圧を検出する。勿論、圧電素子103aの伸縮方向と検出する電圧の正負とが上記とは逆の構成であっても構わない。
【0042】
内部電圧検出器107の出力先は、制御部104に接続されている。内部電圧検出器107による算出結果は、出力信号として制御部104に送信されるようになっている。
【0043】
次に、以上の構成における滑り検出機構101の動作を説明する。
まず、制御部104は、回転軸SFの駆動機構(不図示)を用いて回転軸SFを回転させたり、あるいは回転軸SFの回転を停止させたりする。このような制御を行う際に、例えば回転軸SFに対して図3における時計回りの方向(以下、CW方向と表記する)に回転する何らかの力が外部から加わる場合、回転軸SFとベルト部105との間にCW方向の摩擦力が働く。この摩擦力は、第一端部105a及び第二端部105bに対して、それぞれCW方向の力として作用する。
【0044】
このとき、回転軸SFとベルト部105との間の静止摩擦力を超える力が第一端部105aに対してCW方向に作用すると、弾性部材108aが固定部106a側に縮むように変形し、第一端部105aが基準位置Fから離れる方向へ移動する。一方、第二端部105bにCW方向の力が作用する場合、ベルト部105のうち第二端部105b側の部分はオイラーの巻き掛け理論から分かるように105a側と比べてSFとの間の摩擦力が小さいためにSFとの間にすべりが生じて、弾性部材108bはほとんど変形することなく、第二端部105bはほとんど移動しない。したがって、第一端部105aと第二端部105bとの間隔が広がり、ベルト部105の巻き付きが緩み、回転軸SFとベルト部105との間において所定の回転方向(例、CW方向)に滑りが生じやすくなる。また、第一端部105aと第二端部105bとの間隔が広がるため、圧電素子103aが図中左右方向に伸びる。
【0045】
このときの内部電圧検出器107の検出結果は、図4のグラフ(C)に示すようになる。例えば、内部電圧検出器107においては、出力V4として正の電圧値が検出される。
【0046】
また、回転軸SFに対して図4における反時計回りの方向(以下、CCW方向と表記する)に回転する力が外部から加わる場合、回転軸SFとベルト部105との間にCCW方向の摩擦力が働く。この摩擦力は、第一端部105a及び第二端部105bに対して、それぞれCCW方向の力として作用する。
【0047】
このとき、回転軸SFとベルト部105との間の静止摩擦力を超える力が第二端部105bに対してCCW方向に作用すると、弾性部材108bが固定部106b側に縮むように変形し、第二端部105bが基準位置Fから離れる方向へ移動する。一方、第一端部105aにCCW方向の力が作用する場合、ベルト部105のうち第一端部105a側の部分は、オイラーの巻き掛け理論から容易に分かるように105b側と比べてSFとの間の摩擦力が小さいためにすべりが生じて、弾性部材108aはほとんど変形することなく、第一端部105aはほとんど移動しない。したがって、第一端部105aと第二端部105bとの間隔が広がり、ベルト部105の巻き付きが緩み、回転軸SFとベルト部105との間において所定の回転方向(例、CW方向)に滑りが生じやすくなる。また、第一端部105aと第二端部105bとの間隔が広がるため、圧電素子103aが図中左右方向に伸びる。
【0048】
このときの内部電圧検出器107の検出結果は、図4のグラフ(D)に示すようになる。例えば、内部電圧検出器107においては、出力V4として正の電圧値が検出される。
【0049】
上記のように、回転軸SFとベルト部105との間に滑りが生じると、回転軸SFのトルクがベルト部105に伝達されること無く、回転軸SFが空回りし、当該回転軸SFとベルト部105との間に相対的な変位が生じる。
【0050】
そして、制御部CONTは、出力V4(出力信号)が所定の閾値を超えたか否かに基づいて、回転軸SFとベルト部105の間に相対的な変位が生じたか否か(相対位置情報)を判断する。この閾値として、例えば実験やシミュレーションなどによって予め設定された値(+n)を設定することができる。
【0051】
したがって、制御部CONTは、出力V4が所定の閾値を超えている場合には、回転軸SFとベルト部105との間に相対的な変位が生じたと判断する。また、制御部CONTは、出力V4が所定の閾値を超えていない場合には、回転軸SFとベルト部105との間に相対的な変位が生じていないと判断する。
【0052】
また、出力V4が負の電圧値である場合、制御部CONTは、出力V4が閾値−nよりも小さな値である場合に、閾値を超えたと判断する。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る滑り検出機構1は、圧電素子103aの変位によって生じる出力信号を検出する内部電圧検出器107を有し、制御部104が当該内部電圧検出器107による検出結果に基づいて、回転軸SFとベルト部105との間の滑りを検出することができる構成であるため、回転軸SFとベルト部105との間の相対的な変位の有無を判断することができる。これにより、剛性及び柔軟性を備える構成に資することが可能な滑り検出機構101が提供される。
【0054】
[第三実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図5は、本実施形態に係るロボット装置の一部の構成を示す図である。
図5に示すように、ロボット装置100は、第一アーム10、第二アーム20及び制御部CONTを有している。第一アーム10及び第二アーム20は、連結部30において連結されている。回転機構40及びトルク制限機構50を備える駆動装置60が連結部30に設けられている。駆動装置60は、連結部30を基準として第二アーム20を回転させる。制御部CONTは、第一アーム10及び第二アーム20を含めたロボット装置100の動作を統括的に制御する。
【0055】
第一アーム10は、基部11及び軸受部12を有している。
基部11は、円柱状(中実)若しくは円筒状(中空)に形成されており、ロボット装置100の骨格の一部を構成する。基部11は、ロボット装置100の不図示の軸部材に取り付けられており、当該軸部材を中心として所定方向に回転移動するように設けられている。なお、第一アーム10には、当該第一アーム10の三次元的な位置及び姿勢を検出する不図示のセンサが設けられている。当該センサとしては、例えば第一アーム10の回転角度や回転方向等を検出するエンコーダなどの回転位置検出器が挙げられる。
【0056】
軸受部12は、基部11の端面11aに設けられている。軸受部12は、第一軸受12a、第二軸受12b及び第三軸受12cを有している。第一軸受12a、第二軸受12b及び第三軸受12cは、一方向(例えばZ方向)に並んで配置されている。
【0057】
第一軸受12a及び第二軸受12bは、端面11a上に直接設けられている。第一軸受12a及び第二軸受12bは、互いの間に所定の間隔が設けられるように配置されている。第三軸受12cは、第二軸受12bから端面11aの外側へ伸びた接続部11bを介して設けられている。
【0058】
図6は、第一アーム10の構成を示す図である。図6においては、第二アーム20の図示を省略している。
図6に示すように、第一軸受12aには、貫通孔13aが設けられている。貫通孔13aは、Z方向に第一軸受12aを貫通する。第二軸受12bには、貫通孔13bが設けられている。貫通孔13bは、Z方向に第二軸受12bを貫通する。第三軸受12cには、貫通孔13cが設けられている。貫通孔13cは、Z方向に第三軸受12cを貫通する。
【0059】
貫通孔13a及び貫通孔13b及び貫通孔13cは、例えば円形に形成されており、それぞれZ方向視において重なる位置に配置されている。また、貫通孔13a及び貫通孔13bは、互いに等しい径を有するように形成されている。なお、貫通孔13a、貫通孔13b及び貫通孔13cのうち少なくとも一つの径やZ方向視での形状が他と異なる構成であっても構わない。
【0060】
また、図5に示すように、第二アーム20は、基部21、軸受部22及び被駆動軸24を有している。
基部21は、第一アーム10の基部11と同様、円柱状(中実)若しくは円筒状(中空)に形成されており、ロボット装置100の骨格の一部を構成する。第二アーム20には、当該第二アーム20の三次元的な位置及び姿勢を検出する不図示のセンサが設けられている。当該センサとしては、例えば第二アーム20の回転角度や回転方向等を検出するエンコーダなどの回転位置検出器が挙げられる。
【0061】
軸受部22は、基部21の端面21aに設けられている。軸受部22は、第四軸受22a及び第五軸受22bを有している。第四軸受22a及び第五軸受22bは、一方向(例えばZ方向)に並んで配置されている。
【0062】
第四軸受22a及び第五軸受22bは、端面21a上に直接設けられている。第二アーム20の第四軸受22a及び第五軸受22bは、第一アーム10の第一軸受12aと第二軸受12bとの間に配置可能となるように、互いの間に所定の間隔を空けて配置されている。
【0063】
被駆動軸(回転軸)24は、回転機構40による回転力が伝達部51によって伝達されることで回転する軸である。被駆動軸24は、第四軸受22aの+Z側に当該第四軸受22aと一体的に設けられている。被駆動軸24は、例えば円筒状に形成されており、軸線方向がZ方向に平行になるように配置されている。被駆動軸24の外周面24aは、ほぼ一周に亘って摩擦係数が均一になるように形成されている。
【0064】
図7は、第二アーム20の構成を示す斜視図である。
図7に示すように、第四軸受22aには、貫通孔23aが設けられている。貫通孔23aは、Z方向に第四軸受22aを貫通する。第五軸受22bには、貫通孔23bが設けられている。貫通孔23bは、Z方向に第五軸受22bを貫通する。被駆動軸24には、貫通孔23cが設けられている。貫通孔23cは、被駆動軸24をZ方向に貫通する。
【0065】
貫通孔23a、貫通孔23b及び貫通孔23cは、例えば互いに等しい径を有する円形に形成されており、それぞれZ方向視において重なる位置に配置されている。勿論、貫通孔23a、貫通孔23b及び貫通孔23cのうち少なくとも一つの径やZ方向視での形状が他と異なる構成であっても構わない。
【0066】
図8は、連結部30の構成を模式的に示す図である。図8においては、第一アーム10の各部やカップリング45、ベルト部53については、内部が透過した状態となるように輪郭のみを示している。
【0067】
図8に示すように、連結部30において、第一アーム10及び第二アーム20は、第一軸受12aと第二軸受12bとの間に、第四軸受22aと第五軸受22bとが配置された状態で連結されることになる。この場合、+Z方向へ向けて、第一軸受12a、第四軸受22a、第五軸受22b、第二軸受12b及び第三軸受12cの順に配置される。また、第一軸受12aの貫通孔23a、第四軸受22aの貫通孔23a、第五軸受22bの貫通孔23b、第二軸受12bの貫通孔13b及び第三軸受12cの貫通孔13cは、Z方向に一列に並んで配置されることになる。
【0068】
回転機構40は、図5、図6及び図8に示すように、回転駆動源41、回転駆動軸42、カップリング45及び回転方向検出器46を有している。
回転駆動源41は、回転駆動軸(回転軸)42に対して所定の回転方向(例、Z軸回りの方向:θZ方向)に回転力を付与する。回転駆動源41としては、例えばモーター装置などが用いられている。カップリング45は、第二軸受12bと第三軸受12cとの間に配置されており、回転駆動源41の駆動軸41aと回転駆動軸42とを連結する。なお、回転駆動軸42は、駆動軸41a及びカップリング45を介さずに直接的に回転駆動源41と連結されてもよい。回転方向検出器46は、回転駆動軸42の回転方向及び被駆動軸(回転軸)24の回転方向(例、+θZ方向又は−θZ方向)を個別に検出可能である。回転方向検出器46としては、例えばエンコーダなどが用いられている。
【0069】
回転駆動軸42は、貫通部43及び拡径部44を有している。貫通部43は、円柱状に形成されており、長手方向がZ方向に平行になるように配置されている。貫通部43は、第一軸受12aの貫通孔13a、第四軸受22aの貫通孔23a、第五軸受22bの貫通孔23b、第二軸受12bの貫通孔13b及び第三軸受12cの貫通孔13cをそれぞれ貫通する。
【0070】
貫通部43は、上記の各貫通孔を貫通して設けられることで、軸受部12及び軸受部22において第一アーム10と第二アーム20とを連結している。また、貫通部43は、不図示の当該軸受部12及び軸受部22(例えば、第一軸受12a、第四軸受22a、第五軸受22b、第二軸受12b及び第三軸受12c)によって、所定のZ軸周りに独立して回転するように支持されている。
【0071】
拡径部44は、貫通部43の一部に設けられている。拡径部44は、貫通部43と中心軸が一致するように円筒状に形成されている。拡径部44は、貫通部43よりも径が大きく形成されている。本実施形態では、拡径部44の径は、被駆動軸24の径と同一となるように形成されている。
【0072】
拡径部44の外周面44aは、ほぼ一周に亘って摩擦係数が均一になるように形成されている。拡径部44は、外周面44aの摩擦係数が被駆動軸24の外周面24aの摩擦係数と同一になるように形成されている。第一アーム10と第二アーム20とが連結された状態では、拡径部44と被駆動軸24とは、互いの中心軸が一致するようにZ方向に並んで配置されている。
【0073】
トルク制限機構50は、回転駆動軸42の回転力を被駆動軸24に伝達する。
図9は、トルク制限機構50の構成を示す断面図である。
図5、図7、図8及び図9に示すように、トルク制限機構50は、伝達部51及び調整部52を有している。
【0074】
伝達部51は、回転駆動軸42の周面と被駆動軸24の周面とのうち少なくとも一方に掛けられて、回転駆動軸42の回転力を被駆動軸24に伝達する。例えば、伝達部51は、回転駆動軸42と被駆動軸24とのうち少なくとも一方の回転軸の周面(例、外周面や内周面)の少なくとも一部に対して接触可能に設けられ、該回転軸の軸方向(例えばZ方向)とは異なる方向(例、該回転軸の径方向など)に力(例、張力や押圧力など)が加えられた状態で該回転軸に接触することによって回転駆動軸42の回転力を被駆動軸24に伝達する。調整部52は、伝達部51と回転駆動軸42及び被駆動軸24との間の接触状態を調整する。
【0075】
伝達部51は、ベルト部(湾曲部)53を有している。ベルト部53は、例えばステンレスなどの金属を用いて帯状に形成されている。ベルト部53は、回転駆動軸42の拡径部44と被駆動軸24との間に跨って掛けられている。例えば、ベルト部53は、拡径部44の外周面44aと、被駆動軸24の外周面24aとに、それぞれ短手方向に半分ずつ均等に掛けられた状態となっている。ベルト部53は、拡径部44の外周面44a及び被駆動軸24の外周面24aに沿って湾曲された状態となっている。したがって、ベルト部53は、拡径部44の周面(例、外周面44a又は内周面)及び被駆動軸24の周面(例、外周面24a又は内周面)に沿って曲げることが可能な可撓性を有する。このように、例えば、本実施形態におけるトルク制限機構50は、回転機構40によって回転駆動軸42に生じる回転力を、ベルト部53を介して被駆動軸24に伝達する手段を有している。なお、ベルト部53は、回転駆動軸42(拡径部44)及び被駆動軸24のそれぞれに対して、少なくとも一部ずつが掛けられた状態であればよい。また、例えば、ベルト部53は、回転駆動軸42と被駆動軸24とのうち少なくとも一方の回転軸の曲面状周面の少なくとも一部に沿って巻き付いた状態であればよい。
【0076】
ベルト部53は、両端部(第一端部53a及び第二端部53b)がZ方向と直交する方向へ伸びるように折り曲げられている。ベルト部53の折り曲げ部分(端部)である第一端部53a及び第二端部53bは、拡径部44及び被駆動軸24の周方向の基準位置Fを挟むように所定の隙間を空けて対向して配置されている。第一端部53aは、調整部52の一部を介して、端面21aから突出した支持部21bの端面に接続されている。第二端部53bは、調整部52の一部を介して、第二アーム20の端面21aから突出した支持部21cの端面に固定されている。また、ベルト部53の形状は、例えば、帯状又は線状などである。
【0077】
拡径部44と被駆動軸24とは同一の径を有しているため、拡径部44の外周面44aと被駆動軸24の外周面24aとの間では段差が発生することが無い。このため、伝達部51と拡径部44との間、及び、伝達部51と被駆動軸24との間には、ほぼ同一の張力及び摩擦力が発生することになる。
【0078】
本実施形態では、ベルト部53が金属を用いて形成されているため、ベルト部53を例えば放電加工などによって容易に作成することができる。また、ベルト部53が金属を用いて形成される場合、ベルト部53が導電性を有する構成となるため、ベルト部53と拡径部44(回転駆動軸42)及び被駆動軸24との間の摩擦によって発生する静電気がベルト部53に帯電するのを抑制することができる。なお、伝達部51の形状については、帯状の構成に限られず、例えば線状又は鎖状に形成されていても構わない。
【0079】
また、調整部52は、駆動部として駆動素子(第一素子)54及び駆動素子(第二素子)56を備えている。
駆動素子54は、伸縮方向の一方の端部がベルト部53の第一端部53aに接続されている。また、駆動素子54の他方の端部は、第二アーム20の端面21aから突出した支持部21bに固定されている。したがって、駆動素子54は、第一端部53aと支持部21bとで挟まれた構成となっている。駆動素子54のうち第一端部53aとの接続部分及び支持部21bとの接続部分には、それぞれフレクシャ機構54a及び54bが形成されている。
【0080】
駆動素子56は、伸縮方向が駆動素子54と同一方向となるように配置されている。駆動素子56は、伸縮方向の一方の端部がベルト部53の第二端部53bに接続されている。また、駆動素子56の他方の端部は、第二アーム20の端面21aから突出した支持部21cに固定されている。したがって、駆動素子56は、第二端部53bと支持部21cとで挟まれた構成となっている。駆動素子56のうち第二端部53bとの接続部分及び支持部21cとの接続部分には、それぞれフレクシャ機構56a及び56bが形成されている。
【0081】
駆動素子54及び駆動素子56は、ベルト部53と外周面44a及び24aとの間の接触状態を調整可能である。駆動素子54及び駆動素子56としては、電歪素子(例えばピエゾ素子)などの電気機械変換素子が用いられている。本実施形態では、駆動素子54及び駆動素子56として、圧電素子が用いられた構成を例に挙げて説明する。
【0082】
駆動素子54及び駆動素子56は、電気的には容量素子としての性質を有する。このため、電圧を印加することにより、駆動素子54及び駆動素子56には電荷が蓄えられるようになっている。駆動素子54及び駆動素子56は、蓄えられた電荷量に応じた伸縮量で、所定の一方向に伸縮する構成である。また、駆動素子54及び駆動素子56は、外部からの力の作用によって伸縮すると、内部に電圧が発生する。
【0083】
なお、駆動素子54が支持部21bに直接接続された構成に限られず、例えば不図示のネジやバネなどの固定部材を介して支持部21bに固定された構成であっても良い。同様に、駆動素子56が支持部21cに直接接続された構成に限られず、例えば不図示のネジやバネなどの固定部材を介して支持部21cに固定された構成であっても良い。
【0084】
駆動素子54には、電源回路57aが接続されている。電源回路57aは、電池57cを有している。電池57cは、駆動素子54に対して電圧を供給する電圧源である。電池57cは、駆動素子54に対して直列に接続されている。電池57cは、内部抵抗57rを有している。
【0085】
電源回路57aには、内部電圧検出器57が接続されている。内部電圧検出器57は、内部抵抗57rを含む電池57cに対して並列に接続されている。内部電圧検出器57は、内部抵抗57rを含む電池57cの両端の電圧を検出することにより、駆動素子54の両端の電圧を検出する。このため、内部電圧検出器57においては、例えば伸縮によって当該駆動素子54の内部に生じる電圧が検出可能となる。
【0086】
駆動素子56には、電源回路58aが接続されている。電源回路58aは、電池58cを有している。電池58cは、駆動素子56に対して電圧を供給する電圧源である。電池58cは、駆動素子56に対して直列に接続されている。電池58cは、内部抵抗58rを有している。
【0087】
また、電源回路58aには、内部電圧検出器58が接続されている。内部電圧検出器58は、内部抵抗58rを含む電池58cに対して並列に接続されている。内部電圧検出器58は、内部抵抗58rを含む電池58cの両端の電圧を検出することにより、駆動素子56の両端の電圧を検出する。このため、内部電圧検出器58においては、例えば伸縮によって当該駆動素子56の内部に生じる電圧が検出可能となる。
【0088】
内部電圧検出器57は、例えば、駆動素子54が伸びた場合に負の電圧を検出し、駆動素子54が縮んだ場合に正の電圧を検出する。また、内部電圧検出器58は、例えば、駆動素子56が伸びた場合に負の電圧を検出し、駆動素子54が縮んだ場合に正の電圧を検出する。勿論、駆動素子54及び駆動素子56の伸縮方向と検出する電圧の正負とが上記とは逆の構成であっても構わない。
【0089】
内部電圧検出器57の出力先及び内部電圧検出器58の出力先は、算出器59に接続されている。算出器59は、内部電圧検出器57の出力と、内部電圧検出器58の出力とを加算する。算出器59の出力先は、制御部CONTに接続されている。算出器59による算出結果は、出力信号として制御部CONTに送信される。
【0090】
なお、制御部CONTは電池57cに対して電圧信号を調整可能になっている。制御部CONTは、電池57cに供給する電圧信号を調整することにより、駆動素子54に印加する電圧を調整可能である。また、電池57cを介して駆動素子54に印加する電圧を調整することにより、駆動素子54に蓄えられる電荷量を調整可能である。これにより、制御部CONTは、駆動素子54の伸縮量を調整可能である。
【0091】
また、制御部CONTは電池58cに対して電圧信号を供給可能になっている。制御部CONTは、電池58cに供給する電圧信号を調整することにより、駆動素子56に印加する電圧を調整可能である。また、電池58cを介して駆動素子56に印加する電圧を調整することにより、駆動素子56に蓄えられる電荷量を調整可能である。これにより、制御部CONTは、駆動素子56の伸縮量を調整可能である。
【0092】
例えば、駆動素子54が伸びると、ベルト部53の第一端部53aが第二端部53bに近づく方向に移動する。このため、ベルト部53が回転駆動軸42の拡径部44及び被駆動軸24に巻きつき、当該ベルト部53に張力が加わる。駆動素子54が縮むと、第一端部53aが第二端部53bから離れる方向に移動する。このため、ベルト部53が拡径部44及び被駆動軸24から離れて弛緩する。
【0093】
同様に、例えば、駆動素子56が伸びると、ベルト部53の第二端部53bが第一端部53aに近づく方向に移動する。このため、ベルト部53が回転駆動軸42の拡径部44及び被駆動軸24に巻きつき、当該ベルト部53に張力が加わる。駆動素子56が縮むと、第二端部53bが第一端部53aから離れる方向に移動する。このため、ベルト部53が拡径部44及び被駆動軸24から離れて弛緩する。
【0094】
このように、例えば、ベルト部53は、駆動素子54及び駆動素子56の駆動(例、伸縮)によって回転駆動軸42の径方向及び被駆動軸24の径方向に力が加えられる。これによって、ベルト部53と拡径部44との間、及びベルト部53と被駆動軸24との間で、それぞれ摩擦力が生じる。駆動素子54及び駆動素子56の駆動量(伸縮量)を調整することで、当該摩擦力を変化させることができ、これによってベルト部53と拡径部44との間、及びベルト部53と被駆動軸24との間のトルクの許容値を可変とすることができる。
【0095】
なお、本実施形態は、例えば、駆動素子54及び駆動素子56を縮ませることによって、ベルト部53が拡径部44及び被駆動軸24に巻きついて、当該ベルト部53に張力が加わる構成にしてもよい。そして、本実施形態は、駆動素子54及び駆動素子56が伸びることによって、ベルト部53が拡径部44及び被駆動軸24から離れて弛緩する構成にしてもよい。
【0096】
例えば、制御部CONTにより駆動素子54のみに電気信号を供給すると、駆動素子54は変形し、駆動素子56は変形しない。したがって、第二端部53bは駆動素子56及び支持部21cに固定されたままであり、第一端部53aが基準位置Fに対して近づく方向又は基準位置Fから遠ざかる方向へ移動する。
【0097】
上記の場合、ベルト部53の第一端部53aは当該ベルト部53の張力を制御するための制御端として機能し、ベルト部53の第二端部53bは当該ベルト部53を第二アーム20に固定させる固定端として機能する。また、駆動素子56のみに電気信号を供給すると、これとは逆に、第一端部53aが固定端として機能し、第二端部53bが制御端として機能する。また、駆動素子54及び駆動素子56の両方に電気信号を供給することもできる。この場合には、駆動素子54及び駆動素子56は、共に制御端として機能する。
【0098】
このように、駆動素子54及び駆動素子56に対して電気信号の供給の有無を選択することにより、第一端部53a及び第二端部53bを、固定端及び制御端のいずれかに選択することができる。
【0099】
次に、本実施形態に係るトルク制限機構50において、回転駆動軸42から被駆動軸24へ回転力を伝達し、当該被駆動軸24にトルクを伝達させる原理を説明する。被駆動軸24を駆動させる際には、拡径部44及び被駆動軸24に巻き掛けられたベルト部53に有効張力を生じさせ、当該有効張力によって拡径部44と被駆動軸24とを連結する。拡径部44と被駆動軸24とがベルト部53によって連結されることで、回転駆動軸42から被駆動軸24へとトルクが伝達可能となる。
【0100】
オイラーの摩擦ベルト理論により、回転駆動軸42及び被駆動軸24に巻き掛けられたベルト部53の第一端部53a側の張力(T1)及び第二端部53b側の張力(T2)が下記[数1]を満たすとき、ベルト部53と拡径部44との間、ベルト部53と被駆動軸24との間で、それぞれ摩擦力が生じる。このため、ベルト部53と、拡径部44の外周面44a及び被駆動軸24の外周面24aとの間は、それぞれ回転方向の力が作用し合う状態(接触状態)となる。なお、ここでいう摩擦力とは、静止摩擦力及び動摩擦力が含まれる。なお、本実施形態では、ベルト部53が短手方向に等しい寸法ずつ拡径部44及び被駆動軸24に掛けられているため、生じる摩擦力の大きさは、ベルト部53と外周面44aとの間、及び、ベルト部53と外周面24aとの間で、ほぼ等しくなる。
【0101】
ベルト部53は、外周面44a及び外周面24aに対して接触状態となったときに、摩擦力によって回転駆動軸42及び被駆動軸24と共に移動する。この移動により、回転駆動軸42から被駆動軸24にトルクが伝達される。ただし、[数1]において、μはベルト部53と外周面44a及び外周面24aとの間の見かけ上の摩擦係数であり、θはベルト部53の有効巻き付き角(接触角度)である。有効巻き付け角θについては、図9に示すように、拡径部44の外周面44a及び被駆動軸24の外周面24aのうちベルト部53に対して接触状態となりうる部分の範囲である。
【0102】
【数1】

【0103】
このとき、トルクの伝達に寄与する有効張力は、(T1−T2)によって表される。上記[数1]に基づいて有効張力(T1−T2)を求めると、[数2]のようになる。[数2]は、T1を用いて有効張力を表す式である。
【0104】
【数2】

【0105】
上記[数2]より、回転駆動軸42から被駆動軸24に伝達されるトルクは、例えば駆動素子54の伸縮によってベルト部53に生じる張力T1によって一意に決定されることがわかる。[数2]の右辺のT1の係数部分は、ベルト部53と拡径部44との間における摩擦係数μ、ベルト部53との間における摩擦係数μ、及び、ベルト部53の有効巻き付き角θにそれぞれ依存する。
【0106】
ここで、トルク制限機構50においては、回転駆動軸42とベルト部53との間に働く力が、回転駆動軸42の外周面44aとベルト部53との間の最大静止摩擦力よりも小さい場合、回転駆動軸42とベルト部53との間には静止摩擦力が発生し、当該静止摩擦力によって回転駆動軸42からベルト部53にトルクが伝達される。
【0107】
一方、例えば回転駆動軸42とベルト部53との間に最大静止摩擦力以上の力が働くと、回転駆動軸42とベルト部53との間に滑りが生じる。例えば、回転駆動軸42とベルト部53との間に、回転方向についての相対的な移動が発生する。この場合、回転駆動軸42とベルト部53との間には動摩擦力が働くため、当該動摩擦力によって回転駆動軸42からベルト部53にトルクが伝達される。
【0108】
しかしながら、回転駆動軸42の外周面44aとベルト部53との間の動摩擦係数は、両者の静止摩擦力係数よりも小さいため、静止摩擦力によって伝達されるトルクに比べて、動摩擦力によって伝達されるトルクの大きさは小さくなる。例えば、回転駆動軸42とベルト部53との接触状態によっては、回転駆動軸42がほぼ空回りに近い状態となる場合がある。したがって、回転駆動軸42とベルト部53との間に回転方向についての相対的な移動が発生する場合、回転駆動軸42とベルト部53との間に静止摩擦力が働く場合に比べて、伝達されるトルクの大きさが小さくなる。このため、トルクの伝達が制限されることになる。
【0109】
なお、例えば、トルク制限機構50は、回転駆動軸42とベルト部53との間に対して所定の回転方向に滑りが生じた後、滑りが生じている所定の回転方向とは反対方向にトルクが生じるように、駆動素子54及び駆動素子56を駆動させることによって滑りを止めることができる。このように、本実施形態におけるトルク制限機構50は、上記のような相対的な変位(例、滑り)が生じた場合に、ブレーキ機能として変位を止めることが可能である。
【0110】
このように、トルク制限機構50は、回転駆動軸42の外周面44aとベルト部53との間に働く力が最大静止摩擦力を超えない場合には、回転駆動軸42のトルクをベルト部53に伝達する。また、トルク制限機構50は、外周面44aとベルト部53との間に働く力が最大静止摩擦力を超える場合には、回転駆動軸42からベルト部53へのトルクの伝達を制限する。以上の説明は、被駆動軸24とベルト部53との間においても同様に適用される。
【0111】
このことを踏まえると、トルク制限機構50は、回転駆動軸42からベルト部53へ伝達されるトルクの閾値(許容値)、及び、ベルト部53から被駆動軸24へ伝達されるトルクの閾値(許容値)、を超えるトルクの伝達を制限する機能を有しているといえる。ここで、上記閾値は、回転駆動軸42の外周面44aとベルト部53との間に働く力が最大静止摩擦力に等しくなるようなトルクの値である。
【0112】
図10は、摩擦係数μを変化させたときの有効巻き付き角θと係数部分の値との関係を示すグラフである。グラフの横軸は有効巻き付き角θを示しており、グラフの縦軸は係数部分の値を示している。図10に示すように、例えば摩擦係数μが0.3の場合には、有効巻き付き角θが300°以上のときに係数部分の値が0.8以上となっている。
【0113】
このことから、摩擦係数μが0.3の場合には、有効巻き付き角θを300°以上とすることにより、駆動素子54による張力T1の80%以上の力が被駆動軸24のトルクに寄与することがわかる。この巻き付き角(例、180°、270°、360°、360°以上)の他、図10のグラフから、例えばベルト部53と、拡径部44及び被駆動軸24との間の摩擦係数を大きくするほど、係数部分の値が大きくなることが推定される。
【0114】
このように、伝達可能なトルクの大きさは駆動素子54による張力T1によって一意に決定されることになる。例えば駆動素子54に用いられるピエゾ素子などは、数ミリ程度の小型素子であっても、数百ニュートン以上の力を出すことができるので、幅広い範囲の大きさのトルクを伝達することができる。したがって、駆動素子54は、回転駆動軸42からベルト部53へ伝達されるトルクの許容値、及び、ベルト部53から被駆動軸24へ伝達されるトルクの許容値をそれぞれ可変にする機能を有している。つまり、調整部52は、回転駆動軸42と被駆動軸24との相対的な変位を生じさせるトルクの許容値を変更することが可能である。
【0115】
次に、ロボット装置100の動作について説明する。図11〜図13は、ロボット装置100の動作の様子を示す図である。図14は、ロボット装置100が動作している場合についての、内部電圧検出器57、内部電圧検出器58及び算出器59の出力波形を示すグラフである。
【0116】
なお、図14において、「出力1」は内部電圧検出器57の出力電圧を示し、「出力2」は内部電圧検出器58の出力電圧を示し、「出力3」は算出器59の出力電圧(出力信号)を示す。それぞれのグラフの縦軸は電圧の大きさを示している。また、グラフの横軸は、時間の経過を示している。なお、出力1〜出力3のグラフは、横方向において3つの異なる場合(グラフ(1)〜グラフ(3))について示している。
【0117】
まず、図11に示すように、ベルト部53が回転駆動軸42の拡径部44の外周面44aと被駆動軸24の外周面24aとに亘って掛けられた状態とする。この状態から、制御部CONTは、図12に示すように、ベルト部53の第一端部53a及び第二端部53bがそれぞれ基準位置Fに近づくように駆動素子54及び駆動素子56に対して電気信号を供給する。
【0118】
この電気信号の供給により、ベルト部53においては、拡径部44の外周面44a及び被駆動軸24の外周面24aに共に巻かれた状態で第一端部53a側には張力T1が発生し、第二端部53b側には張力T2が発生する。したがって、ベルト部53に有効張力(T1−T2)が発生し、ベルト部53と拡径部44との間、ベルト部53と被駆動軸24との間が、それぞれ接触状態となる。
【0119】
制御部CONTは、ベルト部53に有効張力を発生させた状態を保持しつつ、回転機構40の回転駆動源41を作動させる。この動作により、ベルト部53と拡径部44の外周面44aとの間に摩擦力が発生し、ベルト部53が外周面44aの周方向に引っ張られて移動しようとする。そして、ベルト部53が移動しようとする際には、ベルト部53と被駆動軸24の外周面24aとの間に摩擦力が発生し、当該摩擦力によって被駆動軸24が外周面24aの周方向に回転する。
【0120】
したがって、図13に示すように、回転駆動軸42(拡径部44)の回転によってベルト部53が移動すると共に、当該ベルト部53の移動によって被駆動軸24が外周面24aの周方向に回転する。このようにして、回転駆動軸42(拡径部44)の回転力が被駆動軸24に伝達され、被駆動軸24が回転する。
【0121】
制御部CONTは、この被駆動軸24の駆動動作において、駆動素子54及び駆動素子56は、伸縮方向に相補的に変形させる。例えば、駆動素子54を伸ばす場合には駆動素子56が同量だけ縮ませ、駆動素子54が縮ませる場合には駆動素子56が同量だけ伸ばす。
【0122】
このとき、駆動素子54及び駆動素子56の伸縮により、当該駆動素子54及び駆動素子56の内部に電圧が発生する。この電圧は、内部電圧検出器57及び内部電圧検出器58によって検出される。例えば、図14のグラフ(1)に示すように、内部電圧検出器57においては、出力1として正の電圧値が検出され、内部電圧検出器58においては、出力2として負の電圧値が検出される。ここでは、出力1の振幅と出力2の振幅とが等しいため、正負が反転した状態の2つの波形が検出される。また、算出器59においては、内部電圧検出器57の検出結果と内部電圧検出器58の検出結果との和(出力3)が出力信号として検出されるため、ゼロの電圧値が検出される。
【0123】
なお、上記動作において、制御部CONTは、回転駆動軸42及び被駆動軸24の配置状態に応じて調整部52による接触状態を調整する。ここで、配置状態とは、回転駆動軸42及び被駆動軸24の位置、姿勢及び相対的な位置関係のうち少なくとも一つを含む。なお、回転駆動軸42と被駆動軸24との間の相対的な位置関係は、第一アーム10及び第二アーム20の位置、姿勢及び相対的な位置関係に基づく。
【0124】
例えば、第二アーム20を一定の速度で一定の角度だけ移動させようとする場合、連結部30を基準として第二アーム20に対して作用するモーメント(例、重力モーメント)の大きさによって、被駆動軸24に対して伝達されるトルクの大きさを調整する必要が生じる。
【0125】
図15及び図16は、第一アーム10と第二アーム20との間の位置関係を模式的に示す図である。
第二アーム20が位置P1に配置されている場合(図15参照)と、第二アーム20が位置P2に配置されている場合(図16参照)とでは、位置P2に配置されている場合の第二アーム20の先端のモーメントM2の方が、位置P1に配置されている場合の第二アーム20の先端のモーメントM1よりも大きい。
【0126】
したがって、第二アーム20を一定の速度で一定の角度だけ移動させる回転動作の場合において、位置P2に配置された第二アーム20を移動させるときには、位置P1に配置された第二アーム20を移動させるときに比べて、被駆動軸24に伝達すべきトルクの大きさを大きくする必要がある。
【0127】
ここで、単に回転機構40の回転駆動源41の出力を大きくすると、回転駆動軸42とベルト部53、ベルト部53と被駆動軸24との接触状態によっては、トルクの許容値を超えてしまう場合がある。この場合、回転駆動軸42からのトルクの伝達が制限されるため、トルクの許容値を大きくしておく必要がある。オイラーの摩擦ベルト理論に従うと、制御部CONTは、調整部52を用いて張力T1及びT2を調整することで、トルクの許容値の大きさを調整可能である。
【0128】
本実施形態では、予め実験やシミュレーションなどを行い、第一アーム10及び第二アーム20の位置、姿勢及び相対的な位置関係に応じたトルクの許容値、例えば、最適な有効巻き付き角θ、若しくは、最適な張力T1及び張力T2を予め算出し、算出したこれらの結果を駆動情報として例えば制御部CONTの記憶部などに記憶させておくようにする。
【0129】
その上で、制御部CONTは、第一アーム10及び第二アーム20に設けられたセンサにより、第一アーム10の位置及び姿勢、第二アーム20の位置及び姿勢を求め、このセンサによる結果と記憶された上記駆動情報とを用いて最適な有効巻き付き角θ、若しくは、最適な張力T1及び張力T2を決定する。
【0130】
また、第二アーム20に対して回転方向の一方向(例、−θZ方向:図9等参照)に回転する力が外部から加わると、回転駆動軸42及び被駆動軸24とベルト部53との間に−θZ方向の摩擦力が働く。この摩擦力は、第一端部53a及び第二端部53bに対して、それぞれ−θZ方向の力として作用する。
【0131】
第一端部53aに−θZ方向の力が作用すると、駆動素子54が弾性変形し、第一端部53aが基準位置Fとは反対の方向へ移動する。一方、第二端部53bに−θZ方向の力が作用する場合、ベルト部53のうち第二端部53b側の部分が回転駆動軸42及び被駆動軸24との摩擦が小さいため、第二端部53bはほとんど移動せず、駆動素子56はほとんど変形しない。この結果、第一端部53aと第二端部53bとの間隔が広がり、ベルト部53の巻き付きが緩み、回転駆動軸42及び被駆動軸24とベルト部53との間に滑りが生じる。
【0132】
このときの内部電圧検出器57及び内部電圧検出器58の検出結果は、図14のグラフ(2)に示すようになる。例えば、内部電圧検出器57においては、出力1として正の電圧値が検出され、内部電圧検出器58においては、出力2として負の電圧値が検出される。ここでは、出力1の値が出力2の値よりも絶対値が大きいため、算出器59では、出力3として、正の電圧値(出力信号)が検出されることになる。
【0133】
また、第二アーム20に対して回転方向の他方向(例、+θZ方向:図9等参照)に回転する力が外部から加わると、回転駆動軸42及び被駆動軸24とベルト部53との間に+θZ方向の摩擦力が働く。この摩擦力は、第一端部53a及び第二端部53bに対して、それぞれ+θZ方向の力として作用する。
【0134】
第二端部53bに+θZ方向の力が作用すると、駆動素子56が弾性変形し、第二端部53bが基準位置Fとは反対の方向へ移動する。一方、第一端部53aに+θZ方向の力が作用する場合、ベルト部53のうち第一端部53a側の部分が回転駆動軸42及び被駆動軸24との摩擦が小さいため、第一端部53aはほとんど移動せず、駆動素子54はほとんど変形しない。この結果、第一端部53aと第二端部53bとの間隔が広がり、ベルト部53の巻き付きが緩み、回転駆動軸42及び被駆動軸24とベルト部53との間に滑りが生じる。
【0135】
このときの内部電圧検出器57及び内部電圧検出器58の検出結果は、図14のグラフ(3)に示すようになる。例えば、内部電圧検出器57においては、出力1として負の電圧値が検出され、内部電圧検出器58においては、出力2として正の電圧値が検出される。ここでは、出力2の値が出力1の値よりも絶対値が大きいため、算出器59では、出力3として、負の電圧値(出力信号)が検出されることになる。
【0136】
上記のように、回転駆動軸42及び被駆動軸24とベルト部53との間に滑りが生じると、回転駆動軸42のトルクが被駆動軸24に伝達されること無く、回転駆動軸42又は被駆動軸24が空回りし、当該回転駆動軸42と被駆動軸24との間に相対的な変位が生じる。
【0137】
そして、制御部CONTは、出力3(出力信号)が所定の閾値を超えたか否かに基づいて、回転駆動軸42と被駆動軸24との間に相対的な変位が生じたか否か(相対位置情報)を判断する。この閾値として、例えば、正側については、駆動素子54及び駆動素子56の駆動時の電気信号の最大値よりも大きい値(+α)を設定することができ、負側については、駆動素子54及び駆動素子56の駆動時の電気信号の最小値よりも小さい値(−α)を設定することができる。
【0138】
したがって、制御部CONTは、出力3が所定の閾値を超えている場合には、回転駆動軸42と被駆動軸24との間に相対的な変位が生じたと判断する。また、制御部CONTは、出力3が所定の閾値を超えていない場合には、回転駆動軸42と被駆動軸24との間に相対的な変位が生じていないと判断する。
【0139】
なお、出力3が正の電圧値である場合、制御部CONTは、出力3が閾値+αよりも大きな値である場合に、閾値を超えたと判断する。また、出力3が負の電圧値である場合、制御部CONTは、出力3が閾値−αよりも小さな値である場合に、閾値を超えたと判断する。
【0140】
また、制御部CONTは、出力3の正負に基づき、回転駆動軸42と被駆動軸24との間に相対的な変位の方向(相対位置情報)を検出することができる。例えば、出力3が正の電圧値である場合、回転駆動軸42が被駆動軸24に対して、一方向(例、−θZ方向:図9等参照)に変位していると判断することができる。また、出力3が負の電圧値である場合、回転駆動軸42が被駆動軸24に対して、回転方向において上記一方向とは反対の他方向(例、+θZ方向:図9等参照)に変位していると判断することができる。
【0141】
なお、トルクの許容値を変更させながら駆動を行わせる際に、制御部CONTは、必ずしも駆動素子54及び駆動素子56を伸縮方向に相補的に変形させない場合がある。例えば、制御部CONTは、駆動素子54の変形量と駆動素子56の変形量とが異なるように駆動素子54及び駆動素子56の変形量を調整する場合がある。このため、算出器59で検出される出力3は必ずしもゼロにはならず、正の電圧値である場合、若しくは、負の電圧値である場合がある。しかしながら、この場合の電圧値は、閾値を超えない値であるため、回転駆動軸42と被駆動軸24との間の相対的な変位を判断する際の妨げとはならない。
【0142】
以上のように、本実施形態によれば、回転駆動軸42の回転力を被駆動軸24に伝達可能なトルク制限機構50であって、回転駆動軸42と被駆動軸24とのうち少なくとも一方の回転軸に対して接触可能に設けられ、駆動素子54及び駆動素子56によって該回転軸の径方向に力(例、張力)が加えられた状態で回転軸の周面に接触することによって回転駆動軸42の回転力を被駆動軸24に伝達する伝達部51と、回転駆動軸42と被駆動軸24とに対して相対的な変位を生じさせる許容値が可変となるように、回転駆動軸42と被駆動軸24とのうち少なくとも一方に対する伝達部51の接触状態を調整可能な調整部52とを備えるので、オイラーの摩擦ベルト理論により、ベルト部53の第一端部53a側の張力によってトルクの許容値が一意に決定されることになる。したがって、幅広い範囲の大きさのトルクを被駆動軸24に伝達させることができる。これにより、高い剛性を実現可能である。また、許容値を超えるトルクに対しては当該トルクの伝達を制限することができるので、外部の衝撃などに対して柔軟な構成を実現可能となる。これにより、剛性及び柔軟性を備える小型のトルク制限機構50を提供することができる。
【0143】
また、本実施形態に係るトルク制限機構50は、駆動素子54及び駆動素子56の変位によって生じる出力信号を検出する算出器59を有し、制御部CONTが当該算出器59による算出結果に基づいて、回転駆動軸42及び被駆動軸24とベルト部53との間の滑りとその方向を検出することができる構成であるため、回転駆動軸42と被駆動軸24と間の相対的な変位を判断することができる。
【0144】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態を説明する。
本実施形態では、ロボット装置におけるトルク制限機構が円筒状に形成された被駆動軸の内部に配置された構成となっている点で、第三実施形態とは異なっている。以下、当該相違点を中心に説明する。
【0145】
図17は、本実施形態に係るロボット装置200の一部の構成を示す図である。
図17に示すように、ロボット装置200は、第一アーム210、第二アーム220及び制御部CONTを有している。第一アーム210及び第二アーム220は、連結部230において連結されている。
【0146】
連結部230には、回転機構240及びトルク制限機構250を有する駆動装置260が設けられている。駆動装置260は、連結部230を基準として第二アーム220を回転させる。制御部CONTは、第一アーム210及び第二アーム220を含めたロボット装置200の動作を統括的に制御する。
【0147】
第一アーム210は、基部211、軸受部212(212a及び212b)を有している。軸受部212は、基部211の端面211a上に設けられている。第二アーム220は、基部221、軸受部222及び被駆動軸(回転軸)224を有している。軸受部222(図16において一転鎖線で示す)は、基部221の端面221a上に設けられている。
【0148】
第一アーム210の軸受部212b及び第二アーム220の軸受部222は、回転機構240の回転駆動軸(回転軸)242を回転可能に支持する。なお、回転駆動軸242は、円筒状に形成されている。回転駆動軸242は、一方の端部が回転駆動源241に接続されており、他方の端部が上記軸受部212b及び222に支持されている。回転駆動軸242は、回転駆動源241の回転力を受けて円周方向に回転可能となっている。回転機構240には、例えばエンコーダなどの回転方向検出器246が設けられている。回転方向検出器246は、回転駆動軸242の回転方向及び被駆動軸224の回転方向(例、+θZ方向又は−θZ方向)を個別に検出可能である。
【0149】
第一アーム210の軸受部212aは、被駆動軸224を回転可能に支持する。被駆動軸224は、円筒状に形成されており、軸受部222に固定されている。被駆動軸224は、内周面224bを有している。被駆動軸224の内周面224bは、回転駆動軸242の内周面242bと同一の径となるように形成されている。
【0150】
図18は、トルク制限機構250の構成を示す図である。
図18に示すように、トルク制限機構250は、伝達部251及び調整部252を備えている。伝達部251はベルト部253を有している。ベルト部253は、帯状に形成されており、被駆動軸224の内周面224b及び回転駆動軸242の内周面242bに沿って設けられている。したがって、伝達部251は、回転駆動軸242と被駆動軸224とのうち少なくとも一方の回転軸の内周面に巻き付いて、回転駆動軸242の回転力を被駆動軸224に伝達する。
【0151】
ベルト部253は、被駆動軸224の内周面224b及び回転駆動軸242の内周面242bに接触可能に形成されている。例えば、ベルト部253は、内周面224bに沿って配置させたときに形状が崩れない程度の剛性を有すると共に、内周面224bに対して被駆動軸224の軸方向(例えばZ方向)とは異なる方向(例、被駆動軸224の径方向など)に押圧させられたときに内周面224bの形状に従って変形し当該内周面224bとの間に摩擦力が生じる程度の弾性を有するように形成されている。
【0152】
また、例えば、ベルト部253は、内周面242bに沿って配置させたときに形状が崩れない程度の剛性を有すると共に、内周面242bに対して回転駆動軸242の軸方向(例えばZ方向)とは異なる方向(例、回転駆動軸242の径方向など)に押圧させられたときに内周面242bの形状に従って変形し当該内周面242bとの間に摩擦力が生じる程度の弾性を有するように形成されている。
【0153】
このように、ベルト部253は、回転駆動軸242の内周面242bと被駆動軸224の内周面224bとの間に跨って当接されている。ベルト部253は、内周面242b及び内周面224bに沿って湾曲された状態となっている。なお、ベルト部253は、回転駆動軸242(内周面242b)及び被駆動軸224(内周面224b)のそれぞれに対して、少なくとも一部ずつが接触された状態であればよい。
【0154】
回転駆動軸242の内周面242bと被駆動軸224の内周面224bとは同一の径を有しているため、内周面242bと内周面224bとの間では段差が発生することが無い。このため、ベルト部253と回転駆動軸242との間、及び、ベルト部253と被駆動軸224との間には、ほぼ同一の張力及び摩擦力が発生することになる。
【0155】
ベルト部253は、両端部(第一端部253a及び第二端部253b)が折り曲げられた状態になっている。第一端部253a及び第二端部253bは、それぞれ調整部252に接続されている。
【0156】
調整部252は、駆動部として駆動素子(第一素子)254及び駆動素子(第二素子)256を備えている。
駆動素子254は、伸縮方向の一方の端部がベルト部253の第一端部253aに接続されている。また、駆動素子254の他方の端部は、支持部255cに固定されている。したがって、駆動素子254は、第一端部253aと支持部255cとで挟まれた構成となっている。駆動素子254のうち第一端部253aとの接続部分及び支持部255cとの接続部分には、それぞれフレクシャ機構(不図示)が形成されている。
【0157】
駆動素子256は、伸縮方向が駆動素子254と同一方向となるように配置されている。駆動素子256は、伸縮方向の一方の端部がベルト部253の第二端部253bに接続されている。また、駆動素子256の他方の端部は、支持部255cに固定されている。したがって、駆動素子256は、第二端部253bと支持部255cとで挟まれた構成となっている。駆動素子256のうち第二端部253bとの接続部分及び支持部255cとの接続部分には、それぞれフレクシャ機構(不図示)が形成されている。
【0158】
なお、駆動素子254が支持部255cに直接接続された構成に限られず、例えば不図示のネジやバネなどの固定部材を介して支持部255cに固定された構成であっても良い。同様に、駆動素子256が支持部255cに直接接続された構成に限られず、例えば不図示のネジやバネなどの固定部材を介して支持部255cに固定された構成であっても良い。
【0159】
駆動素子254及び駆動素子256としては、電歪素子(例えばピエゾ素子)などの電気機械変換素子が用いられている。本実施形態では、駆動素子254及び駆動素子256として、例えば第三実施形態と同一構成の圧電素子が用いられた構成を例に挙げて説明する。
【0160】
駆動素子254には、電源回路257aが接続されている。電源回路257aは、電池257cを有している。電池257cは、駆動素子254に対して電圧を供給する電圧源である。電池257cは、駆動素子254に対して直列に接続されている。電池257cは、内部抵抗257rを有している。
【0161】
電源回路257aには、内部電圧検出器257が接続されている。内部電圧検出器257は、内部抵抗257rを含む電池257cに対して並列に接続されている。内部電圧検出器257は、内部抵抗257rを含む電池257cの両端の電圧を検出することにより、駆動素子254の両端の電圧を検出する。このため、内部電圧検出器257においては、例えば伸縮によって当該駆動素子254の内部に生じる電圧が検出可能となる。
【0162】
駆動素子256には、電気回路258aが接続されている。電気回路258aは、電池258cを有している。電池258cは、駆動素子256に対して電圧を供給する電圧源である。電池258cは、駆動素子256に対して直列に接続されている。電池258cは、内部抵抗258rを有している。
【0163】
また、電気回路258aには、内部電圧検出器258が接続されている。内部電圧検出器258は、内部抵抗258rを含む電池258cに対して並列に接続されている。内部電圧検出器258は、内部抵抗258rを含む電池258cの両端の電圧を検出することにより、駆動素子256の両端の電圧を検出する。このため、内部電圧検出器258においては、例えば伸縮によって当該駆動素子256の内部に生じる電圧が検出可能となる。
【0164】
なお、制御部CONTは電池257c及び電池258cに対して電圧信号を供給可能になっている。制御部CONTは、電池257cに供給する電圧信号を調整することにより、駆動素子254に印加する電圧を調整可能である。また、電池257cを介して駆動素子254に印加する電圧を調整することにより、駆動素子254に蓄えられる電荷量を調整可能である。これにより、制御部CONTは、駆動素子254の伸縮量を調整可能である。
【0165】
また、制御部CONTは電池258cに対して電圧信号を供給可能になっている。制御部CONTは、電池258cに供給する電圧信号を調整することにより、駆動素子256に印加する電圧を調整可能である。また、電池258cを介して駆動素子256に印加する電圧を調整することにより、駆動素子256に蓄えられる電荷量を調整可能である。これにより、制御部CONTは、駆動素子256の伸縮量を調整可能である。
【0166】
上記第三実施形態と同様に、駆動素子254及び駆動素子256の駆動量(伸縮量)を調整することで、ベルト部253と回転駆動軸242との間、及びベルト部253と被駆動軸224との間に生じる摩擦力(静止摩擦力)を変化させることができ、これによってベルト部253と回転駆動軸242との間、及びベルト部253と被駆動軸224との間のトルクの許容値を可変とすることができる。
【0167】
内部電圧検出器257の出力先及び内部電圧検出器258の出力先は、算出器259に接続されている。算出器259は、内部電圧検出器257の出力と、内部電圧検出器258の出力とを加算する。算出器259の出力先は、制御部CONTに接続されている。算出器259による算出結果は、出力信号として制御部CONTに送信される。
【0168】
駆動素子254及び駆動素子256に電気信号を供給すると、当該駆動素子254及び駆動素子256が伸びるように変形し、当該変形による力が作用する。この力は、ベルト部253の第一端部253aを内周面224b側(及び内周面242b側)へ押圧する。このため、ベルト部253の第一端部253a及び第二端部253bは、基準位置Fから離れる方向に移動し、ベルト部253が内周面224b(及び内周面242b側)に接触した状態となる。
【0169】
一方、この状態から駆動素子254及び駆動素子256に対する電気信号の供給が停止されると、当該駆動素子254及び駆動素子256が収縮するように変形する。この変形により、第一端部253a及び第二端部253bが基準位置Fに近づく方向に移動する。なお、本実施形態は、例えば、駆動素子254及び駆動素子256を縮ませることによって、ベルト部253が内周面242b及び内周面224bに押圧されて、当該ベルト部253に押圧力が加わる構成にしてもよい。そして、本実施形態は、駆動素子254が伸ばすことによって、ベルト部253が内周面242b及び内周面224bから離れて弛緩する構成にしてもよい。なお、制御部CONTは、駆動素子254及び駆動素子256に対して、個別に電気信号の供給及び供給の停止を切り替えることができる。したがって、駆動素子254及び駆動素子256のうち一方のみに対して電気信号を供給し、若しくは、供給を停止することで、ベルト部253を内周面224b(及び内周面242b)に接触させたり、弛緩させたりすることができる。
【0170】
次に、トルク制限機構250の動作を説明する。
本実施形態に係るトルク制限機構250において、被駆動軸224を駆動させる時に、被駆動軸224の内周面224bにベルト部253を押圧した状態で有効押圧力を生じさせ、当該有効押圧力によって被駆動軸224にトルクを伝達する。
【0171】
第三実施形態において説明したオイラーの摩擦ベルト理論は、この場合においても適用することができる。この理論に従えば、トルク制限機構250は、回転駆動軸242の内周面242bとベルト部253との間に働く力が最大静止摩擦力を超えない場合には、回転駆動軸242のトルクをベルト部253に伝達する。また、トルク制限機構250は、内周面242bとベルト部253との間に働く力が最大静止摩擦力を超える場合には、回転駆動軸242からベルト部253へのトルクの伝達を制限する。以上の説明は、被駆動軸224とベルト部253との間においても同様に適用される。
【0172】
このことを踏まえると、トルク制限機構250は、回転駆動軸242からベルト部253へ伝達されるトルクの閾値(許容値)、及び、ベルト部253から被駆動軸224へ伝達されるトルクの閾値(許容値)、を超えるトルクの伝達を制限する機能を有しているといえる。ここで、上記閾値は、回転駆動軸242の内周面242bとベルト部53との間に働く力が最大静止摩擦力に等しくなるようなトルクの値、又は被駆動軸224の内周面224bとベルト部53との間に働く力が最大静止摩擦力に等しくなるようなトルクの値である。なお、調整部252は、回転駆動軸242と被駆動軸224との相対的な変位を生じさせるトルクの許容値を変更することが可能である。また、本実施形態における効果や機能は、上記の第三実施形態と同様である。
【0173】
次に、ロボット装置200の動作について説明する。図19は、ロボット装置200が動作している場合についての、内部電圧検出器257、内部電圧検出器258及び算出器259の出力波形を示すグラフである。
【0174】
なお、図19において、「出力4」は内部電圧検出器257の出力電圧を示し、「出力5」は内部電圧検出器258の出力電圧を示し、「出力6」は算出器259の出力電圧(出力信号)を示す。それぞれのグラフの縦軸は電圧の大きさを示している。また、グラフの横軸は、時間の経過を示している。なお、出力4〜出力6のグラフは、横方向において3つの異なる場合(グラフ(4)〜グラフ(6))について示している。
【0175】
まず、ベルト部253が回転駆動軸242の内周面242bと被駆動軸224の内周面224bとに跨って配置された状態とする。この状態から、制御部CONTは、ベルト部253の第一端部253aと第二端部253bとが基準位置Fから離れるように駆動素子254及び駆動素子256を変形(伸長)させる。この動作により、ベルト部253が内周面242b及び内周面224bに共に押し当てられた状態で第一端部253a側には押圧力F1が発生し、第二端部253b側には押圧力F2が発生する。したがって、ベルト部253に有効張力が発生する。
【0176】
制御部CONTは、ベルト部253に有効張力を発生させた状態を保持しつつ、回転機構240の回転駆動源241を作動させる。この動作により、ベルト部253と内周面242bとの間に摩擦力が発生し、ベルト部253が内周面242bの周方向に引っ張られて移動しようとする。加えて、ベルト部253が移動しようとする際には、ベルト部253と被駆動軸224の内周面224bとの間に摩擦力が発生し、当該摩擦力によって被駆動軸224が内周面224bの周方向に回転する。
【0177】
したがって、回転駆動軸242の回転によってベルト部253が移動すると共に、当該ベルト部253の移動によって被駆動軸224が内周面224bの周方向に回転する。このようにして、回転駆動軸242の回転力が被駆動軸224に伝達され、被駆動軸224が回転する。
【0178】
このとき、駆動素子254及び駆動素子256の伸縮により、当該駆動素子254及び駆動素子256の内部に電圧が発生する。この電圧は、内部電圧検出器257及び内部電圧検出器258によって検出される。例えば、図19のグラフ(4)に示すように、内部電圧検出器257においては、出力4として正の電圧値が検出され、内部電圧検出器258においては、出力5として負の電圧値が検出される。ここでは、出力4の振幅と出力5の振幅とが等しいため、正負が反転した状態の2つの波形が検出される。また、算出器259においては、内部電圧検出器257の検出結果と内部電圧検出器258の検出結果との和(出力6)が出力信号として検出されるため、ゼロの電圧値が検出される。
【0179】
上記の動作において、調整部252は、駆動素子254(伝達部251)の張力を変えることによって接触状態を調整する。また、駆動素子254(伝達部251)は、回転駆動軸242及び被駆動軸224のうち少なくとも一方(上記例においては、被駆動軸224)に対する回転方向への外力に応じて伝達部251の張力を調整する。この調整動作により、回転駆動軸242からベルト部253に、また、ベルト部253から被駆動軸224に伝達されるトルクの許容値を変更することができる。
【0180】
また、例えばベルト部253と内周面242b及び内周面224bとの間が接触状態となっているときに、被駆動軸224に対して衝撃などの外力が加えられる場合がある。これに対して、本実施形態におけるトルク制限機構250は、衝突の衝撃による力がベルト部253と内周面242b及び内周面224bとの間の最大静止摩擦力(トルクの許容値)を超える場合には、被駆動軸224とベルト部253との間に相対的な変位(滑り)が生じ、トルクの伝達が制限されることになる。
【0181】
ここで、被駆動軸224に対して−θZ方向(図18参照)に回転する力が外部から加わると、回転駆動軸242及び被駆動軸224とベルト部253との間に−θZ方向の摩擦力が働く。この摩擦力は、第一端部253a及び第二端部253bに対して、それぞれ−θZ方向の力として作用する。
【0182】
第一端部253aに−θZ方向の力が作用すると、駆動素子254が弾性変形し、第一端部253aが基準位置Fとは反対の方向へ移動する。一方、第二端部253bに−θZ方向の力が作用する場合、ベルト部253のうち第二端部253b側の部分が回転駆動軸242の内周面242bに押し当てられているため、第二端部253bはほとんど移動せず、駆動素子256はほとんど変形しない。この結果、第一端部253aと第二端部253bとの間隔が広がり、ベルト部253の巻き付きが緩み、回転駆動軸242及び被駆動軸224とベルト部253との間に滑りが生じる。
【0183】
このときの内部電圧検出器257及び内部電圧検出器258の検出結果は、図19のグラフ(5)の値を示すようになる。例えば、内部電圧検出器257においては、出力4として正の電圧値が検出され、内部電圧検出器258においては、出力5として負の電圧値が検出される。ここでは、出力4の値が出力5の値よりも絶対値が大きいため、算出器259では、出力6として、正の電圧値(出力信号)が検出されることになる。
【0184】
また、被駆動軸224に対して+θZ方向(図18参照)に回転する力が外部から加わると、回転駆動軸242及び被駆動軸224とベルト部253との間に+θZ方向の摩擦力が働く。この摩擦力は、第一端部253a及び第二端部253bに対して、それぞれ+θZ方向の力として作用する。
【0185】
第二端部253bに+θZ方向の力が作用すると、駆動素子254が弾性変形し、第二端部253bが基準位置Fとは反対の方向へ移動する。一方、第一端部253aに+θZ方向の力が作用する場合、ベルト部253のうち第一端部253a側の部分が回転駆動軸242の内周面242bに押し当てられているため、第一端部253aはほとんど移動せず、駆動素子256はほとんど変形しない。この結果、第一端部253aと第二端部253bとの間隔が広がり、ベルト部253の巻き付きが緩み、回転駆動軸242及び被駆動軸224とベルト部253との間に滑りが生じる。
【0186】
上記のように、回転駆動軸242及び被駆動軸224とベルト部253との間に滑りが生じると、回転駆動軸242のトルクが被駆動軸224に伝達されること無く、回転駆動軸242又は被駆動軸224が空回りし、当該回転駆動軸242と被駆動軸224との間に相対的な変位が生じる。
【0187】
このときの内部電圧検出器257及び内部電圧検出器258の検出結果は、図19のグラフ(6)と同様の値を示すようになる。例えば、内部電圧検出器257においては、出力4として負の電圧値が検出され、内部電圧検出器258においては、出力5として正の電圧値が検出される。ここでは、出力5の値が出力4の値よりも絶対値が大きいため、算出器259では、出力6として、負の電圧値(出力信号)が検出されることになる。
【0188】
制御部CONTは、出力6が所定の閾値を超えたか否かに基づいて、回転駆動軸242と被駆動軸224との間に相対的な移動が生じたか否か(相対位置情報)を判断する。この閾値として、例えば、正側については、駆動素子254及び駆動素子256の駆動時の電気信号の最大値よりも大きい値(+β)を設定することができ、負側については、駆動素子254及び駆動素子256の駆動時の電気信号の最小値よりも小さい値(−β)を設定することができる。
【0189】
したがって、制御部CONTは、出力6が所定の閾値を超えている場合には、回転駆動軸242及び被駆動軸224とベルト部253との間に滑り(相対的な移動)が生じたと判断する。また、制御部CONTは、出力6が所定の閾値を超えていない場合には、回転駆動軸42及び被駆動軸24とベルト部53との間には滑り(相対的な移動)が生じていないと判断する。
【0190】
なお、出力6が正の電圧値である場合、制御部CONTは、出力6が閾値+βよりも大きな値である場合に、閾値を超えたと判断する。また、出力6が負の電圧値である場合、制御部CONTは、出力3が閾値−βよりも小さな値である場合に、閾値を超えたと判断する。
【0191】
また、制御部CONTは、出力6の正負に基づき、回転駆動軸242及び被駆動軸224とベルト部253との間の相対的な移動方向(相対位置情報)を検出することができる。例えば、出力6が正の電圧値である場合、回転駆動軸242及び被駆動軸224がベルト部253に対して、一方向(例、−θZ方向:図18参照)に移動していると判断することができる。また、出力6が負の電圧値である場合、回転駆動軸242及び被駆動軸224がベルト部253に対して、回転方向において上記一方向とは反対の他方向(例、+θZ方向:図18参照)に移動していると判断することができる。
【0192】
なお、トルクの許容値を変更させながら駆動を行わせる際に、制御部CONTは、必ずしも駆動素子254及び駆動素子256を伸縮方向に相補的に変形させない場合がある。例えば、制御部CONTは、駆動素子254の変形量と駆動素子256の変形量とが異なるように駆動素子254及び駆動素子256の変形量を調整する場合がある。このため、算出器259で検出される出力3は必ずしもゼロにはならず、正の電圧値である場合、若しくは、負の電圧値である場合がある。しかしながら、この場合の電圧値は、閾値を超えない値であるため、回転駆動軸242と被駆動軸224との間の相対的な変位を判断する際の妨げとはならない。
【0193】
以上のように、本実施形態では、円筒状の被駆動軸224の内側にトルク制限機構250が配置されている場合であっても、オイラーの摩擦ベルト理論により、ベルト部253に付加する一方の押圧力によってトルクが一意に決定されることになる。したがって、小型のトルク制限機構250であっても、高いトルクを被駆動軸224に作用させることができる。これにより、高い剛性を実現可能である。また、許容値を超えるトルクに対しては当該トルクの伝達を制限することができるので、外部の衝撃などに対して柔軟な構成を実現可能となる。これにより、剛性及び柔軟性を備える小型のトルク制限機構250を提供することができる。また、本実施形態におけるトルク制限機構250は、少なくとも伝達部251を回転駆動軸242の内周面242b又は被駆動軸224の内周面224bに配置することによって、グリースなどの流体による影響を低減できる。
【0194】
更に、本実施形態に係るトルク制限機構250は、トルクの許容値を可変とすることができるため、被駆動軸224の動作に応じて最適なトルクの許容値を設定することができる。これにより、被駆動軸224に対して多彩な動作を行わせることができる。
【0195】
また、本実施形態に係る駆動装置260は、剛性及び柔軟性を備え、被駆動軸224に対して多彩な動作を行わせることができるトルク制限機構250と、回転駆動軸242を回転させる回転機構240とを備えるので、幅広い分野に適用することができる。
【0196】
また、本実施形態に係るロボット装置200は、剛性及び柔軟性を備える小型のトルク制限機構250を動力伝達機構として備えるため、狭いスペースであっても適用することができ、パワー及び精密さに優れると共に、耐衝撃性に優れたものとなる。
【0197】
また、本実施形態に係るトルク制限機構250は、駆動素子254及び駆動素子256の変位によって生じる出力信号を検出する算出器259を有し、制御部CONTが当該算出器259による算出結果に基づいて、回転駆動軸242及び被駆動軸224とベルト部253との間の滑りとその方向を検出することができる構成であるため、回転駆動軸242と被駆動軸224との間の相対的な変位を判断することができる。
【0198】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態を説明する。
図20は、本実施形態に係るロボット装置300の一部の構成を示す図である。
図20に示すように、ロボット装置300は、第一アーム310、第二アーム320及び制御部CONTを備えている。
【0199】
連結部330には、回転機構340及びトルク制限機構350を有する駆動装置360が設けられている。駆動装置360は、連結部330を基準として第二アーム320を回転させる。制御部CONTは、第一アーム310及び第二アーム320を含めたロボット装置300の動作を統括的に制御する。
【0200】
第一アーム310は、基部311、軸受部312を有している。軸受部312は、基部311の端面311a上に設けられている。第二アーム320は、基部321及び軸受部322を有している。軸受部322は、基部321の端面321a上に設けられている。
【0201】
軸受部312及び軸受部322は、回転機構340の回転駆動軸(回転軸)342を回転可能に支持する。回転駆動軸342は、例えば円柱状若しくは円筒状に形成されている。回転駆動軸342は、一方の端部が回転駆動源341に接続されており、他方の端部が上記軸受部312及び322に支持されている。回転駆動軸342は、回転駆動源341の回転力を受けて円周方向に回転可能となっている。回転機構340には、例えばエンコーダなどの回転方向検出器346が設けられている。回転方向検出器346は、回転駆動軸342の回転方向(例、+θZ方向又は−θZ方向)を検出可能である。なお、トルク制限機構350は、上述の実施形態におけるトルク制限機構と同様である。
【0202】
図21は、トルク制限機構350の構成を示す断面図である。
図20及び図21に示すように、トルク制限機構350は、伝達部351及び調整部352を有している。伝達部351はベルト部353を有している。ベルト部353は、帯状に形成されており、回転駆動軸342の外周面342aに掛けられている。ベルト部353は、回転駆動軸342の外周面342aに沿って円筒状に湾曲された状態となっている。なお、ベルト部353は、回転駆動軸342(外周面342a)に対して、少なくとも一部が当接された状態であればよい。本実施形態では、ベルト部353が回転駆動軸342の回転力を被駆動軸(回転軸)である基部321(又は第二アーム320)に直接伝達する構成となっている。
【0203】
ベルト部353は、両端部(第一端部353a及び第二端部353b)が折り曲げられた状態になっている。第一端部353aは、駆動素子354を介して、端面321aから突出した支持部321bに接続されている。第二端部353bは、駆動素子356を介して、端面321aから突出した支持部321cに固定されている。
【0204】
調整部352は、駆動部として、駆動素子(第一素子)354及び駆動素子(第二素子)356を有している。
駆動素子354は、伸縮方向の一方の端部がベルト部353の第一端部353aに接続されている。また、駆動素子354の他方の端部は、第二アーム320の端面321aから突出した支持部321bに固定されている。したがって、駆動素子354は、第一端部353aと支持部321bとで挟まれた構成となっている。
【0205】
駆動素子356は、伸縮方向が駆動素子354と同一方向となるように配置されている。駆動素子356は、伸縮方向の一方の端部がベルト部353の第二端部353bに接続されている。また、駆動素子356の他方の端部は、第二アーム320の端面321aから突出した支持部321cに固定されている。したがって、駆動素子356は、第二端部353bと支持部321cとで挟まれた構成となっている。
【0206】
なお、駆動素子354が支持部321bに直接接続された構成に限られず、例えば不図示のネジやバネなどの固定部材を介して支持部321bに固定された構成であっても良い。同様に、駆動素子356が支持部321cに直接接続された構成に限られず、例えば不図示のネジやバネなどの固定部材を介して支持部321cに固定された構成であっても良い。
【0207】
駆動素子354及び駆動素子356は、ベルト部353と外周面342aとの間の接触状態を調整可能である。駆動素子354及び駆動素子356としては、電歪素子(例えばピエゾ素子)などの電気機械変換素子が用いられている。本実施形態では、駆動素子354及び駆動素子356として、圧電素子が用いられた構成を例に挙げて説明する。
【0208】
駆動素子354及び駆動素子356は、電気的には容量素子としての性質を有する。このため、電圧を印加することにより、駆動素子354及び駆動素子356には電荷が蓄えられるようになっている。駆動素子354及び駆動素子356は、蓄えられた電荷量に応じた伸縮量で、所定の一方向に伸縮する構成である。また、駆動素子354及び駆動素子356は、外部からの力の作用によって伸縮すると、内部に電圧が発生する。
【0209】
駆動素子354には、電源回路357aが接続されている。電源回路357aは、電池357cを有している。電池357cは、駆動素子354に対して電圧を供給する電圧源である。電池357cは、駆動素子354に対して直列に接続されている。電池357cは、内部抵抗357rを有している。
【0210】
電源回路357aには、内部電圧検出器357が接続されている。内部電圧検出器357は、内部抵抗357rを含む電池357cに対して並列に接続されている。内部電圧検出器357は、内部抵抗357rを含む電池357cの両端の電圧を検出することにより、駆動素子354の両端の電圧を検出する。このため、内部電圧検出器357においては、例えば伸縮によって当該駆動素子354の内部に生じる電圧が検出可能となる。
【0211】
駆動素子356には、電気回路358aが接続されている。電気回路358aは、電池358cを有している。電池358cは、駆動素子56に対して電圧を供給する電圧源である。電池358cは、駆動素子356に対して直列に接続されている。電池358cは、内部抵抗358rを有している。
【0212】
また、電気回路358aには、内部電圧検出器358が接続されている。内部電圧検出器358は、内部抵抗358rを含む電池358cに対して並列に接続されている。内部電圧検出器358は、内部抵抗358rを含む電池358cの両端の電圧を検出することにより、駆動素子356の両端の電圧を検出する。このため、内部電圧検出器358においては、例えば伸縮によって当該駆動素子356の内部に生じる電圧が検出可能となる。
【0213】
内部電圧検出器357は、例えば、駆動素子354が伸びた場合に負の電圧を検出し、駆動素子354が縮んだ場合に正の電圧を検出する。また、内部電圧検出器358は、例えば、駆動素子356が伸びた場合に負の電圧を検出し、駆動素子354が縮んだ場合に正の電圧を検出する。勿論、駆動素子354及び駆動素子356の伸縮方向と検出する電圧の正負とが上記とは逆の構成であっても構わない。
【0214】
内部電圧検出器357の出力先及び内部電圧検出器358の出力先は、算出器359に接続されている。算出器359は、内部電圧検出器357の出力と、内部電圧検出器358の出力とを加算する。算出器359の出力先は、制御部CONTに接続されている。算出器359による算出結果は、出力信号として制御部CONTに送信される。
【0215】
なお、制御部CONTは電池357cに対して電圧信号を供給可能になっている。制御部CONTは、電池357cに供給する電圧信号を調整することにより、駆動素子354に印加する電圧を調整可能である。また、電池357cを介して駆動素子54に印加する電圧を調整することにより、駆動素子354に蓄えられる電荷量を調整可能である。これにより、制御部CONTは、駆動素子354の伸縮量を調整可能である。
【0216】
また、制御部CONTは電池358cに対して電圧信号を供給可能になっている。制御部CONTは、電池358cに供給する電圧信号を調整することにより、駆動素子356に印加する電圧を調整可能である。また、電池358cを介して駆動素子356に印加する電圧を調整することにより、駆動素子356に蓄えられる電荷量を調整可能である。これにより、制御部CONTは、駆動素子356の伸縮量を調整可能である。
【0217】
また、駆動素子354の両端部に電圧が印加されることにより、当該駆動素子354は伸縮方向に変形する。駆動素子354の変形により、駆動素子354に接続される第一端部353aが当該伸縮方向に移動する。例えば駆動素子354が伸びると、第一端部353aは基準位置Fに近づく方向(図中左方向)に移動する。また、駆動素子354が縮むと、第一端部353aは基準位置Fから離れる方向(図中右方向)に移動する。
【0218】
一方、この状態から駆動素子354及び駆動素子356に対する電気信号の供給が停止されると、当該駆動素子354及び駆動素子356が収縮するように変形する。この変形により、第一端部353a及び第二端部353bが基準位置Fに近づく方向に移動する。なお、本実施形態は、例えば、駆動素子354及び駆動素子356を縮ませることによって、ベルト部353が外周面342a及び内周面324bに押圧されて、当該ベルト部353に押圧力が加わる構成にしてもよい。そして、本実施形態は、駆動素子354が伸ばすことによって、ベルト部353が外周面342a及び外周面324aから離れて弛緩する構成にしてもよい。なお、制御部CONTは、駆動素子354及び駆動素子356に対して、個別に電気信号の供給及び供給の停止を切り替えることができる。したがって、駆動素子354及び駆動素子356のうち一方のみに対して電気信号を供給し、若しくは、供給を停止することで、ベルト部353を外周面324a(及び外周面342a)に接触させたり、弛緩させたりすることができる。
【0219】
このように、例えば、ベルト部353は、駆動素子354及び駆動素子356の駆動(例、伸縮)によって回転駆動軸342の径方向に力が加えられる。これによって、ベルト部353と回転駆動軸342との間で摩擦力が生じる。駆動素子354及び駆動素子356の駆動量(伸縮量)を調整することで、当該摩擦力を変化させることができ、これによってベルト部353と回転駆動軸342との間のトルクの許容値を可変とすることができる。
【0220】
例えば、制御部CONTにより駆動素子354のみに電気信号を供給すると、駆動素子354は変形し、駆動素子356は変形しない。したがって、第二端部353bは駆動素子356及び支持部221cに固定されたままであり、第一端部353aが基準位置Fに対して近づく方向又は基準位置Fから遠ざかる方向へ移動する。
【0221】
上記の場合、ベルト部353の第一端部353aは当該ベルト部353の張力を制御するための制御端として機能し、ベルト部353の第二端部353bは当該ベルト部353を第二アーム220に固定させる固定端として機能する。また、駆動素子356のみに電気信号を供給すると、これとは逆に、第一端部353aが固定端として機能し、第二端部353bが制御端として機能する。また、駆動素子354及び駆動素子356の両方に電気信号を供給することもできる。この場合には、駆動素子354及び駆動素子356は、共に制御端として機能する。
【0222】
このように、駆動素子354及び駆動素子356に対して電気信号の供給の有無を選択することにより、第一端部353a及び第二端部353bを、固定端及び制御端のいずれかに選択することができる。
【0223】
次に、ロボット装置300の動作について説明する。図22は、ロボット装置300が動作している場合についての、内部電圧検出器357、内部電圧検出器358及び算出器359の出力波形を示すグラフである。
【0224】
なお、図22において、「出力7」は内部電圧検出器357の出力電圧を示し、「出力8」は内部電圧検出器358の出力電圧を示し、「出力9」は算出器359の出力電圧を示す。それぞれのグラフの縦軸は電圧の大きさを示している。また、グラフの横軸は、時間の経過を示している。なお、出力7〜出力9のグラフは、横方向において3つの異なる場合(グラフ(7)〜グラフ(9))について示している。
まず、制御部CONTは、ベルト部353が回転駆動軸342の外周面342aに掛けられた状態とする。この状態から、制御部CONTは、ベルト部353の第一端部353a及び第二端部352bが基準位置F側に移動するように駆動素子354を変形させる。この動作により、ベルト部353が外周面342aに巻かれた状態で第一端部353a側には張力T1が発生し、第二端部353b側には張力T2が発生する。したがって、ベルト部353に有効張力が発生し、ベルト部353と回転駆動軸342との間が接触状態となる。
【0225】
制御部CONTは、ベルト部353に有効張力を発生させた状態を保持しつつ、回転機構340の回転駆動源341を作動させる。この動作により、ベルト部353と回転駆動軸342との間に摩擦力が発生し、ベルト部353が外周面342aの周方向に引っ張られて移動する。ベルト部353の移動によって第二アーム320が回転駆動軸342の外周面342aの周方向に回転する。
【0226】
このようにして、回転駆動軸342の回転力がベルト部353に伝達され、ベルト部353が第二アーム320に直接トルクを伝達させる。したがって、本実施形態では、ベルト部353が被駆動軸を兼ねていることとなる。
【0227】
このとき、駆動素子354及び駆動素子356の伸縮により、当該駆動素子354及び駆動素子356の内部に電圧が発生する。この電圧は、内部電圧検出器357及び内部電圧検出器358によって検出される。例えば、図22のグラフ(7)に示すように、内部電圧検出器357においては、出力7として正の電圧値が検出され、内部電圧検出器358においては、出力8として負の電圧値が検出される。ここでは、出力7の振幅と出力8の振幅とが等しいため、正負が反転した状態の2つの波形が検出される。また、算出器359においては、内部電圧検出器357の検出結果と内部電圧検出器358の検出結果との和(出力9)が出力信号として検出されるため、ゼロの電圧値が検出される。
【0228】
また、例えばベルト部353と外周面342aとの間が接触状態となっているときに、第二アーム320に対して衝撃などの外力が加えられる場合がある。これに対して、本実施形態におけるトルク制限機構350は、衝突の衝撃による力がベルト部353と外周面342aとの間の最大静止摩擦力(トルクの許容値)を超える場合には、回転駆動軸342とベルト部353との間に相対的な変位(滑り)が生じる。このため、トルクの伝達が制限されることになる。
【0229】
上記の動作において、調整部352は、ベルト部353の張力を変えることによって接触状態を調整する。この調整動作により、回転駆動軸342からベルト部353に伝達されるトルクの許容値を変更することができる。
【0230】
また、回転駆動軸342に対して−θZ方向に回転する力が外部から加わると、回転駆動軸342とベルト部353との間に−θZ方向の摩擦力が働く。この摩擦力は、第一端部353a及び第二端部353bに対して、それぞれ−θZ方向の力として作用する。
【0231】
第一端部353aに−θZ方向の力が作用すると、駆動素子354が弾性変形し、第一端部353aが基準位置Fとは反対の方向へ移動する。一方、第二端部353bに−θZ方向の力が作用する場合、ベルト部353のうち第二端部353b側の部分が回転駆動軸342に掛けられているため、第二端部353bはほとんど移動せず、駆動素子356はほとんど変形しない。この結果、第一端部353aと第二端部353bとの間隔が広がり、ベルト部353の巻き付きが緩み、回転駆動軸342とベルト部353との間に滑りが生じる。
【0232】
このときの内部電圧検出器357及び内部電圧検出器358の検出結果は、図22のグラフ(8)に示すようになる。例えば、内部電圧検出器357においては、出力7として正の電圧値が検出され、内部電圧検出器358においては、出力8として負の電圧値が検出される。ここでは、出力7の値が出力8の値よりも絶対値が大きいため、算出器359では、出力9として、正の電圧値(出力信号)が検出されることになる。
【0233】
また、第二アーム320に対して回転方向の他方向(例、+θZ方向:図22参照)に回転する力が外部から加わると、回転駆動軸342とベルト部353との間に+θZ方向の摩擦力が働く。この摩擦力は、第一端部353a及び第二端部353bに対して、それぞれ+θZ方向の力として作用する。
【0234】
第二端部353bに+θZ方向の力が作用すると、駆動素子356が弾性変形し、第二端部353bが基準位置Fとは反対の方向へ移動する。一方、第一端部353aに+θZ方向の力が作用する場合、ベルト部353のうち第一端部353a側の部分が回転駆動軸342に掛けられているため、第一端部353aはほとんど移動せず、駆動素子354はほとんど変形しない。この結果、第一端部353aと第二端部353bとの間隔が広がり、ベルト部353の巻き付きが緩み、回転駆動軸342とベルト部353との間に滑りが生じる。
【0235】
このときの内部電圧検出器357及び内部電圧検出器358の検出結果は、図22のグラフ(9)に示すようになる。例えば、内部電圧検出器357においては、出力7として負の電圧値が検出され、内部電圧検出器358においては、出力8として正の電圧値が検出される。ここでは、出力8の値が出力7の値よりも絶対値が大きいため、算出器359では、出力9として、負の電圧値(出力信号)が検出されることになる。
【0236】
上記のように、回転駆動軸342とベルト部353との間に滑りが生じると、回転駆動軸342のトルクが第二アーム320側に伝達されること無く、当該回転駆動軸342又は第二アーム320が空回りし、当該回転駆動軸342と第二アーム320との間に相対的な変位が生じる。
【0237】
制御部CONTは、出力9が所定の閾値を超えたか否かに基づいて、回転駆動軸342と第二アーム320との間に相対的な変位が生じたか否か(相対位置情報)を判断する。この閾値として、例えば、正側については、駆動素子354及び駆動素子356の駆動時の電気信号の最大値よりも大きい値(+γ)を設定することができ、負側については、駆動素子354及び駆動素子356の駆動時の電気信号の最小値よりも小さい値(−γ)を設定することができる。
【0238】
したがって、制御部CONTは、出力9が所定の閾値を超えている場合には、回転駆動軸342と第二アーム320との間に相対的な変位が生じたと判断する。また、制御部CONTは、出力9が所定の閾値を超えていない場合には、回転駆動軸342と第二アーム320との間に相対的な変位が生じていないと判断する。
【0239】
なお、出力9が正の電圧値である場合、制御部CONTは、出力9が閾値+γよりも大きな値である場合に、閾値を超えたと判断する。また、出力9が負の電圧値である場合、制御部CONTは、出力9が閾値−γよりも小さな値である場合に、閾値を超えたと判断する。
【0240】
また、制御部CONTは、出力9の正負に基づき、回転駆動軸342と第二アーム320との間に相対的な変位の方向(相対位置情報)を検出することができる。例えば、出力9が正の電圧値である場合、回転駆動軸342が第二アーム320に対して、一方向(例、−θZ方向:図21参照)に変位していると判断することができる。また、出力9が負の電圧値である場合、回転駆動軸342が第二アーム320に対して、回転方向において上記一方向とは反対の他方向(例、+θZ方向:図21参照)に変位していると判断することができる。
【0241】
なお、トルクの許容値を変更させながら駆動を行わせる際に、制御部CONTは、必ずしも駆動素子354及び駆動素子356を伸縮方向に相補的に変形させない場合がある。例えば、制御部CONTは、駆動素子354の変形量と駆動素子356の変形量とが異なるように駆動素子354及び駆動素子356の変形量を調整する場合がある。このため、算出器359で検出される出力9は必ずしもゼロにはならず、正の電圧値である場合、若しくは、負の電圧値である場合がある。しかしながら、この場合の電圧値は、閾値を超えない値であるため、回転駆動軸342と第二アーム320との間に相対的な変位を判断する際の妨げとはならない。
【0242】
以上のように、本実施形態によれば、ベルト部353が被駆動軸を兼ねた構成とすることにより、被駆動軸を配置するスペースを省略することができる。これにより、小型のトルク制限機構350を得ることができる。
【0243】
また、本実施形態に係るトルク制限機構350は、駆動素子354及び駆動素子356の変位によって生じる出力信号を検出する算出器359を有し、制御部CONTが当該算出器359による算出結果に基づいて、回転駆動軸342とベルト部353との間の滑りとその方向を検出することができる構成であるため、回転駆動軸342と第二アーム320と間の相対的な変位を判断することができる。
【0244】
[第六実施形態]
次に、本発明の第六実施形態を説明する。
図23は、本実施形態に係るロボット装置400の一部の構成を示す図である。
図23に示すように、ロボット装置400は、第一アーム410、第二アーム420及び制御部CONTを備えている。
【0245】
第一アーム410と第二アーム420との連結部430には、回転機構440及びトルク制限機構450を有する駆動装置460が設けられている。駆動装置460は、連結部430を基準として第二アーム420を回転させる。制御部CONTは、第一アーム410及び第二アーム420を含めたロボット装置400の動作を統括的に制御する。
【0246】
第一アーム410は、基部411、軸受部412を有している。軸受部412は、基部411の端面411a上に設けられている。第二アーム420は、基部421、軸受部422及び被駆動軸424を有している。軸受部422は、基部421の端面421a上に設けられている。
【0247】
軸受部412及び軸受部422は、回転機構440の回転駆動軸442及び第二アーム420の被駆動軸424を回転可能に支持する。回転駆動軸442は、例えば円柱状若しくは円筒状に形成されている。回転駆動軸442は、一方の端部が回転駆動源441に接続されており、他方の端部が上記軸受部412及び422に支持されている。回転駆動軸442は、回転駆動源441の回転力を受けて円周方向に回転可能となっている。被駆動軸424は、軸受部422と一体的に設けられている。被駆動軸424は、例えば円筒状に形成されており、軸線方向がZ方向に平行になるように配置されている。被駆動軸424の外周面424aは、ほぼ一周に亘って摩擦係数が均一になるように形成されている。なお、トルク制限機構450は、上述の実施形態におけるトルク制限機構とは構成が異なっている。
【0248】
図24は、トルク制限機構450の構成を示す図である。
図24に示すように、トルク制限機構450は、伝達部451及び調整部452を有している。伝達部451はベルト部453を有している。ベルト部453は、帯状に形成されており、回転駆動軸442の外周面442aと被駆動軸424の外周面424aとの間に跨って掛けられている。ベルト部453は、回転駆動軸442の外周面442aと被駆動軸424の外周面424aとに沿って円筒状に湾曲された状態となっている。なお、ベルト部453は、回転駆動軸442(外周面442a)に対して、少なくとも一部が当接された状態であればよい。本実施形態では、ベルト部453が回転駆動軸442の回転力を直接基部421に伝達する構成となっている。
【0249】
ベルト部453は、両端部(第一端部453a及び第二端部453b)が折り曲げられた状態になっている。第一端部453a及び第二端部453bは、回転駆動軸442の周方向の基準位置Fを挟むように所定の隙間を空けて対向して配置されている。第一端部453aは、駆動素子454を介して、端面421aから突出した支持部421bに接続されている。第二端部453bは、棒状部材459を介して、端面421aから突出した支持部421cに固定されている。
【0250】
調整部452は、駆動素子(駆動部)454及び棒状部材459を有している。
駆動素子454は、伸縮方向の一方の端部がベルト部453の第一端部453aに接続されている。また、駆動素子454の他方の端部は、第二アーム420の端面421aから突出した支持部421bに固定されている。したがって、駆動素子454は、第一端部453aと支持部421bとで挟まれた構成となっている。なお、駆動素子454が支持部421bに直接接続された構成に限られず、例えば不図示のネジやバネなどの固定部材を介して支持部321bに固定された構成であっても良い。
【0251】
駆動素子454は、ベルト部453と外周面442a及び外周面424aとの間の接触状態を調整可能である。駆動素子454としては、電歪素子(例えばピエゾ素子)などの電気機械変換素子が用いられている。本実施形態では、駆動素子454として、圧電素子が用いられた構成を例に挙げて説明する。
【0252】
駆動素子454は、電気的には容量素子としての性質を有する。このため、電圧を印加することにより、駆動素子454には電荷が蓄えられるようになっている。駆動素子454は、蓄えられた電荷量に応じた伸縮量で、所定の一方向に伸縮する構成である。また、駆動素子454は、外部からの力の作用によって伸縮すると、内部に電圧が発生する。
【0253】
駆動素子454には、電源回路457aが接続されている。電源回路457aは、電池457cを有している。電池457cは、駆動素子454に対して電圧を供給する電圧源である。電池457cは、駆動素子454に対して直列に接続されている。電池457cは、内部抵抗457rを有している。
【0254】
なお、制御部CONTは電池457cに対して電圧信号を供給可能になっている。制御部CONTは、電池457cに供給する電圧信号を調整することにより、駆動素子454に印加する電圧を調整可能である。また、電池457cを介して駆動素子454に印加する電圧を調整することにより、駆動素子454に蓄えられる電荷量を調整可能である。これにより、制御部CONTは、駆動素子454の伸縮量を調整可能である。
【0255】
電源回路457aには、内部電圧検出器457が接続されている。内部電圧検出器457は、内部抵抗457rを含む電池457cに対して並列に接続されている。内部電圧検出器457は、内部抵抗457rを含む電池457cの両端の電圧を検出することにより、駆動素子454の両端の電圧を検出する。このため、内部電圧検出器457においては、例えば伸縮によって当該駆動素子454の内部に生じる電圧が検出可能となる。
【0256】
内部電圧検出器457は、例えば、駆動素子454が伸びた場合に負の電圧を検出し、駆動素子454が縮んだ場合に正の電圧を検出する。勿論、駆動素子454の伸縮方向と検出する電圧の正負とが上記とは逆の構成であっても構わない。内部電圧検出器457の出力先は、制御部CONTに接続されている。内部電圧検出器457による検出結果は、出力信号として制御部CONTに送信される。
【0257】
棒状部材459は、少なくとも第二剛性以上の剛性を有するように形成されている。棒状部材459は、駆動素子454の伸縮方向が長手方向に一致するように配置されている。棒状部材459は、長手方向の一方の端部がベルト部453の第二端部453bに接続されている。また、棒状部材459の長手方向の他方の端部は、第二アーム420の端面421aから突出した支持部421cに固定されている。
【0258】
例えば、駆動素子454に電気信号を供給すると、当該駆動素子454が伸びるように変形し、当該変形による力が作用する。駆動素子454が伸びると、ベルト部453の第一端部453aが基準位置Fに近づく方向に移動する。このため、ベルト部453が回転駆動軸442及び被駆動軸424に巻きつき、当該ベルト部453に張力が加わる。駆動素子454が縮むと、第一端部453aが基準位置Fから離れる方向に移動する。このため、ベルト部453が回転駆動軸442及び被駆動軸424から離れて弛緩する。このように、例えば、ベルト部453は、駆動素子454の駆動(例、伸縮)によって回転駆動軸442及び被駆動軸424の径方向に力が加えられる。これによって、ベルト部453と回転駆動軸442及び被駆動軸424との間で摩擦力が生じる。なお、本実施形態は、例えば、駆動素子454を縮ませることによって、ベルト部53が回転駆動軸442及び被駆動軸424に巻きついて、当該ベルト部453に張力が加わる構成にしてもよい。そして、本実施形態は、駆動素子454が伸びることによって、ベルト部453が回転駆動軸442及び被駆動軸424から離れて弛緩する構成にしてもよい。
【0259】
このように、例えば、ベルト部453は、駆動素子454の駆動(例、伸縮)によって回転駆動軸442及び被駆動軸424の径方向に力が加えられる。これによって、ベルト部453と回転駆動軸442、及び、ベルト部453と被駆動軸424、との間でそれぞれ摩擦力が生じる。駆動素子354の駆動量(伸縮量)を調整することで、当該摩擦力を変化させることができ、これによってベルト部453と回転駆動軸442及び被駆動軸424との間のトルクの許容値を可変とすることができる。
【0260】
次に、トルク制限機構450の動作を説明する。
制御部CONTは、ベルト部453が回転駆動軸442の外周面442a及び被駆動軸424の外周面424aに掛けられた状態とする。この状態から、制御部CONTは、ベルト部453の第一端部453aが基準位置F側に移動するように駆動素子454を変形させる。この動作により、ベルト部453が外周面442a及び外周面424aに巻かれた状態で第一端部453a側には張力T1が発生し、第二端部453b側には張力T2が発生する。したがって、ベルト部453に有効張力(T1−T2)が発生し、ベルト部453と回転駆動軸442及び被駆動軸424との間が接触状態となる。
【0261】
制御部CONTは、ベルト部453に有効張力を発生させた状態を保持しつつ、回転機構440の回転駆動源441を作動させる。この動作により、ベルト部453と回転駆動軸442及び被駆動軸424との間に摩擦力が発生し、ベルト部453が外周面442a及び外周面424aの周方向に引っ張られて移動する。ベルト部453の移動によって第二アーム420が回転駆動軸442の外周面442a及び被駆動軸424の外周面424aの周方向に回転する。このようにして、回転駆動軸442の回転力がベルト部453に伝達され、ベルト部453から被駆動軸424にトルクが伝達されて、被駆動軸424が回転する。
【0262】
このとき、駆動素子454の伸縮により、当該駆動素子454の内部に電圧が発生する。この電圧は、内部電圧検出器457によって検出される。例えば、図25のグラフ(10)に示すように、内部電圧検出器457においては、出力10として正の電圧ちが出力信号として検出される。
【0263】
また、例えばベルト部453と外周面442a及び外周面424aとの間が接触状態となっているときに、第二アーム420に対して衝撃などの外力が加えられる場合がある。これに対して、本実施形態におけるトルク制限機構450は、衝突の衝撃による力がベルト部453と外周面442a及び外周面424aとの間の最大静止摩擦力(トルクの許容値)を超える場合には、回転駆動軸442及び被駆動軸424とベルト部453との間に相対的な変位(滑り)が生じる。このため、トルクの伝達が制限されることになる。
【0264】
上記の動作において、調整部452は、ベルト部453の張力を変えることによって接触状態を調整する。この調整動作により、回転駆動軸442及び被駆動軸424からベルト部453に伝達されるトルクの許容値を変更することができる。
【0265】
また、第二アーム420に対して回転方向の一方向(例、−θZ方向:図24等参照)に回転する力が外部から加わると、回転駆動軸442及び被駆動軸424とベルト部453との間に−θZ方向の摩擦力が働く。この摩擦力は、第一端部453a及び第二端部453bに対して、それぞれ−θZ方向の力として作用する。
【0266】
第一端部453aに−θZ方向の力が作用すると、駆動素子454が弾性変形し、第一端部453aが基準位置Fとは反対の方向へ移動する。一方、第二端部453bに−θZ方向の力が作用する場合、第二端部453bが棒状部材459を介して支持部421cに支持されているため、第二端部453bはほとんど移動しない。この結果、第一端部453aと第二端部453bとの間隔が広がり、ベルト部453の巻き付きが緩み、回転駆動軸442及び被駆動軸424とベルト部453との間に滑りが生じる。
【0267】
このときの内部電圧検出器457の検出結果は、図25のグラフ(11)に示すようになる。例えば、内部電圧検出器457においては、出力10として正の電圧値(出力信号)が検出されることになる。
【0268】
また、第二アーム420に対して回転方向の他方向(例、+θZ方向:図24等参照)に回転する力が外部から加わると、回転駆動軸442及び被駆動軸424とベルト部453との間に+θZ方向の摩擦力が働く。この摩擦力は、第一端部453a及び第二端部453bに対して、それぞれ+θZ方向の力として作用する。
【0269】
第二端部453bに+θZ方向の力が作用する場合、第二端部453bが棒状部材459を介して支持部421cに支持されているため、第二端部453bはほとんど移動しない。また、第一端部53aに+θZ方向の力が作用する場合、ベルト部453のうち第一端部453a側の部分が回転駆動軸442及び被駆動軸424掛けられているため、第一端部453aはほとんど移動せず、駆動素子454はほとんど変形しない。この結果、第一端部453aと第二端部453bとの間隔は広がらず、ベルト部453の巻き付きが緩むことが無いため、回転駆動軸42及び被駆動軸24とベルト部53との間には滑りが生じない。
【0270】
このときの内部電圧検出器57及び内部電圧検出器58の検出結果は、図25のグラフ(12)に示すようになる。例えば、内部電圧検出器457において、出力10として負の電圧値(出力信号)が検出されることになる。
【0271】
上記のように、回転駆動軸442及び被駆動軸424とベルト部453との間に滑りが生じると、回転駆動軸442のトルクが被駆動軸424に伝達されること無く、回転駆動軸442又は被駆動軸424が空回りし、当該回転駆動軸442と被駆動軸424との間に相対的な変位が生じる。
【0272】
制御部CONTは、出力11が所定の閾値を超えたか否かに基づいて、回転駆動軸442と被駆動軸424との間に相対的な変位が生じたか否か(相対位置情報)を判断する。この閾値として、例えば、駆動素子454の駆動時の電気信号の最大値よりも大きい値(+δ)を設定することができる。負側については、滑りが生じることが無いため、閾値を設定しなくても済む。
【0273】
したがって、制御部CONTは、出力11が所定の閾値を超えている場合には、回転駆動軸442と被駆動軸424との間に相対的な変位が生じたと判断する。また、制御部CONTは、出力11が所定の閾値を超えていない場合には、回転駆動軸442と被駆動軸424との間に相対的な変位が生じていないと判断する。
【0274】
なお、出力11が正の電圧値である場合、制御部CONTは、出力11が閾値+δよりも大きな値である場合に、閾値を超えたと判断する。また、本実施形態では、制御部CONTは、回転方向検出器446の検出結果に基づき、回転駆動軸442と被駆動軸424との間に相対的な変位の方向を検出することができる。
【0275】
以上のように、本実施形態に係るトルク制限機構450は、駆動素子454の変位によって生じる出力信号を検出する内部電圧検出器457を有し、制御部CONTが当該内部電圧検出器457による検出結果に基づいて、回転駆動軸442及び被駆動軸424とベルト部453との間の滑りとその方向を検出することができる構成であるため、回転駆動軸442と被駆動軸424と間の相対的な変位を判断することができる。
【0276】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態においては、ベルト部53、253、353、453の第一端部53a、253a、353a、453aの張力T1、押圧力F1、張力T1、張力T1を調整することにより、接触状態を調整する構成としたが、これに限られることは無い。例えば、オイラーの摩擦ベルト理論に従うと、有効巻き付き角(接触角度)θ又は有効押し付け角(接触角度)θを調整することで、被駆動軸24、224及びベルト部353に伝達されるトルクの許容値の大きさを調整することができる。したがって、調整部52、252、352、452が、ベルト部53、253、353、453の有効巻き付け角θ又は有効押し付け角θを調整する構成を有していても構わない。
【0277】
また、例えば上記第三実施形態の構成においては、図26に示すように、回転駆動軸42(拡径部44)及び被駆動軸24とは独立して、ベルト部53を拡径部44及び被駆動軸24の回転方向に沿って移動させることができる。図26では、駆動素子54を伸長させ、駆動素子56を収縮させた状態を例に挙げて示している。この場合、ベルト部53は、図26の時計回りの方向に移動する。なお、駆動素子54を収縮させ、駆動素子56を伸長させることにより、ベルト部53を図26の反時計回りの方向に移動させることができる。
【0278】
また、上記各実施形態においては、外力に対する駆動素子54及び駆動素子56の変形を検出する構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、図27に示すように、ベルト部53の第一端部53aと駆動素子54との間に検出素子として圧電素子61が配置され、ベルト部53の第二端部53bと駆動素子56との間に検出素子として圧電素子62が配置された構成であっても構わない。したがって、この構成では、駆動部が、駆動素子54及び駆動素子56を有すると共に、これらの駆動素子とは別個に検出素子として圧電素子61及び圧電素子62を有する構成となっている。図27に示す構成では、駆動素子54は、第一端部53a側の端部が接続部材63を介して圧電素子61に固定されている。また、駆動素子56は、第一端部53a側の端部が接続部材64を介して圧電素子62に固定されている。
【0279】
圧電素子61には、内部電圧検出器57が接続されている。内部電圧検出器57は、圧電素子61の伸縮によって当該圧電素子61の内部に生じる電圧を検出する。また、圧電素子62には、内部電圧検出器58が接続されている。内部電圧検出器58は、圧電素子62の伸縮によって当該圧電素子62の内部に生じる電圧を検出する。
【0280】
内部電圧検出器57の出力先及び内部電圧検出器58の出力先は、算出器59に接続されている。算出器59は、内部電圧検出器57の出力と、内部電圧検出器58の出力とを加算する。算出器59の出力先は、制御部CONTに接続されている。算出器59による算出結果は、出力信号として制御部CONTに送信される。
【0281】
また、制御部CONTは駆動素子54に接続されており、当該駆動素子54に対して制御信号を供給可能になっている。制御部CONTは、駆動素子54に印加する電圧を調整することにより、駆動素子54の伸縮量を調整可能である。また、制御部CONTは駆動素子56に接続されており、当該駆動素子56に対して制御信号を供給可能になっている。制御部CONTは、駆動素子54及び駆動素子56に印加する電圧を調整することにより、駆動素子54及び駆動素子56の伸縮量を調整可能である。駆動素子54及び駆動素子56の駆動量(伸縮量)を調整することで、当該摩擦力を変化させることができ、これによってベルト部53と拡径部44との間、及びベルト部53と被駆動軸24との間のトルクの許容値を可変とすることができる。
【0282】
例えば回転駆動軸42及び被駆動軸24とベルト部53との間に滑りが生じると、第一端部53a又は第二端部53bが移動し、この移動によって圧電素子61及び圧電素子62が変形する。検出部59は、このときの圧電素子61及び圧電素子62に生じる出力信号を検出し、制御部CONTが当該算出器59による算出結果に基づいて、回転駆動軸42及び被駆動軸24とベルト部53との間の滑りとその方向を検出することができる構成である。
【0283】
このため、駆動素子54及び駆動素子56に対しては電圧電源を用いて電圧を印加しつつ、圧電素子61及び圧電素子62の変形による電圧の変化量を直接的に検出することで回転駆動軸42と被駆動軸24と間の相対的な変位を検出及び判断することができる。
【0284】
また、圧電素子の内部電圧の変化量を直接的に検出する他の構成として、例えば、駆動素子54及び駆動素子56に接続される電源回路57a及び電源回路58aが電流源となるような回路構成であり、スイッチなどによって電流の供給の有無を切り替え可能な構成などが挙げられる。この構成では、内部電圧検出器57及び内部電圧検出器58は、駆動素子54及び駆動素子56にそれぞれ直接接続させることができる。
【0285】
この場合、電源回路57a及び電源回路58aによって駆動素子54及び駆動素子56に電荷を蓄えた後、スイッチを切り離すことにより、内部電圧検出器57及び内部電圧検出器58を用いて駆動素子54及び駆動素子56内部電圧の変化量を検出することができる。
【0286】
また、上記各実施形態においては、トルク制限機構の少なくとも一部が第二アーム側に接続された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、トルク制限機構が外部の接続部に接続された状態であり、第二アームとは独立して設けられた構成であっても構わない。
【0287】
例えば、図28に示すように、トルク制限機構50が接続部500によって被駆動軸24側に一体的に固定されると共に、ベルト部53が回転駆動軸42との間でのみ接触状態となる構成であっても構わない。この構成においては、ベルト部53は、被駆動軸24との間では接触状態とはならない構成となっている。また、被駆動軸24は、径方向への移動が規制されるように不図示の軸受によって支持された構成としてもよい。
【0288】
図28に示す構成において、ベルト部53と回転駆動軸42との間が接触状態となっている場合、回転駆動軸42が回転することにより、回転駆動軸42のトルクはベルト部53に伝達される。ベルト部53に伝達されたトルクは、接続部500を回転駆動軸42の周方向に移動させる。当該接続部500の移動により、被駆動軸24が周方向に回転することになる。
【0289】
また、例えば、図29に示すように、トルク制限機構50が接続部500によって回転駆動軸42側に一体的に固定されると共に、ベルト部53が被駆動軸24との間でのみ接触状態となる構成であっても構わない。この構成においては、ベルト部53は、回転駆動軸42との間では接触状態とはならない構成となっている。また、回転駆動軸42は、径方向への移動が規制されるように不図示の軸受によって支持された構成としてもよい。
【0290】
図29に示す構成において、ベルト部53と被駆動軸24とが接触状態となっている場合、回転駆動軸42が回転することにより、当該回転駆動軸42に固定された接続部500が周方向に移動する。この接続部500の移動により、ベルト部53に対して被駆動軸24の周方向に沿ったトルクが伝達される。被駆動軸24は、当該ベルト部53に伝達されたトルクによって周方向に回転することになる。
【0291】
また、例えば図30に示すように、トルク制限機構50が接続部500によって被駆動軸24側に一体的に固定されると共に、ベルト部53が回転駆動軸42の少なくとも一部と被駆動軸24の少なくとも一部との両方に亘って接触状態となる構成であっても構わない。つまり、トルク制限機構50が被駆動軸24に固定されると共に、ベルト部53が回転駆動軸42と被駆動軸24とを共締めすることで接触状態となる構成であってもよい。また、図31に示すように、トルク制限機構50が接続部500によって回転駆動軸42側に一体的に固定されると共に、ベルト部53が回転駆動軸42と被駆動軸24との両方に亘って接触状態となる構成であっても構わない。
【0292】
また、本実施形態におけるトルク制限機構は、複数の調整部及び複数の伝達部を備える構成であってもよい。この場合、例えば、複数の伝達部(又は複数の調整部)は、回転駆動軸と被駆動軸とのうち少なくとも一方に対して等間隔に配置してもよいし、回転駆動軸と被駆動軸とのうち少なくとも一方の中心軸に対して対称又は非対称に配置してもよい。
【0293】
また、上記第三実施形態の構成において、電気抵抗と電源とを直列に接続させた回路を、内部電圧検出器57及び内部電圧検出器58に対して並列に接続させる構成であっても構わない。この構成によれば、駆動素子54及び駆動素子56に電気抵抗を介して電源を接続する構成となるため、電源により駆動素子54及び駆動素子56をあらかじめ所定量伸張させることができる。この場合、電源電圧を可変することによって、ベルト部53と回転駆動軸42及び被駆動軸24との間の接触状態が変化し、すべり出しトルク(トルクの許容値)を変えることができる。また、電源と直列に接続された電気抵抗は、電源のインピーダンスを等価的に上昇させることができるため、駆動素子54及び駆動素子56において発生する内部電圧の変化を検出しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0294】
CONT…制御部 SF…回転軸 24、224…被駆動軸 42、242、342、442…回転駆動軸 50、250、350、450…トルク制限機構 2、102、51、251、351、451、471…伝達部 52、252、352、452…調整部 5、105、53、253、353、453、473…ベルト部 5a、105a、53a、253a、353a、453a…第一端部 5b、105b、53b、253b、353b、453b…第二端部 3a、3b、103a、103b、54、56、254、256、354、356、454…駆動素子 57、58、257、258、357、358、457…内部電圧検出器 57a、58a、257a、258a、357a、358a、457a…電源回路 57r、58r、257r、258r、357r、358r、457r…内部抵抗 57c、58c、257c、258c、357c、358c、457c…電池 59、259、359…算出器 60、260、360、460…駆動装置
100、200、300、400…ロボット装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の周面の少なくとも一部に対して接触可能に設けられ、前記回転軸の軸方向とは異なる方向に力が加えられた状態で前記回転軸に接触することによって前記回転軸との間に摩擦力を生じさせる伝達部と、
前記伝達部に接続され、検出素子の変位によって生じる出力信号を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて、前記回転軸と前記伝達部との間の相対的な位置に関する相対位置情報を判断する制御部と
を備える滑り検出機構。
【請求項2】
前記相対位置情報は、前記回転軸と前記伝達部との間の相対的な位置の変化の有無を含む
請求項1に記載の滑り検出機構。
【請求項3】
前記相対位置情報は、前記回転軸と前記伝達部との間の相対的な変位を含む
請求項1又は請求項2に記載の滑り検出機構。
【請求項4】
前記相対位置情報は、前記駆動部の変位を含む
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の滑り検出機構。
【請求項5】
前記制御部は、前記相対的な変位によって生じる前記検出素子の変位に基づいた前記出力信号を用いて前記相対位置情報を判断する
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の滑り検出機構。
【請求項6】
前記伝達部は、前記回転軸の周方向に沿って配置されており、
前記検出素子は、前記伝達部の前記周方向の端部に接続されている
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の滑り検出機構。
【請求項7】
前記伝達部は、前記伝達部の前記周方向の第一端部及び第二端部を有し、
前記第一端部及び前記第二端部は、前記回転軸の周面上の基準位置を挟んで配置され、
前記検出素子は、
前記第一端部に接続された第一素子と、
前記第二端部に接続された第二素子と、を有する
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の滑り検出機構。
【請求項8】
前記第一素子及び前記第二素子は、前記第一端部及び前記第二端部を挟む位置に設けられている
請求項7に記載の滑り検出機構。
【請求項9】
前記制御部は、前記回転軸の回転に伴って前記第一素子から出力される第一出力信号と前記第二素子から出力される第二出力信号とに基づき前記出力信号を算出する
請求項7又は請求項8に記載の滑り検出機構。
【請求項10】
前記伝達部は、前記伝達部の前記周方向の第一端部及び第二端部を有し、
前記第一端部及び前記第二端部は、前記回転軸の周面上の基準位置を挟んで配置され、
前記検出素子は、前記第一端部と前記第二端部とで挟まれている
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の滑り検出機構。
【請求項11】
前記制御部は、前記出力信号が所定の閾値を越えたか否かに基づいて前記相対位置情報を判断する
請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載の滑り検出機構。
【請求項12】
前記検出素子として、圧電素子が用いられている
請求項1から請求項11のうちいずれか一項に記載の滑り検出機構。
【請求項13】
回転駆動軸の回転力を被駆動軸に伝達可能なトルク制限機構であって、
前記回転駆動軸と前記被駆動軸とのうち少なくとも一方の回転軸の周面の少なくとも一部に対して接触可能に設けられ、駆動部によって前記回転軸の軸方向とは異なる方向に力が加えられた状態で前記回転軸に接触することによって前記回転駆動軸の回転力を前記被駆動軸に伝達する伝達部と、
前記駆動部からの出力信号を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて、前記回転駆動軸と前記被駆動軸との相対的な位置に関する相対位置情報を判断する制御部と
を備えるトルク制限機構。
【請求項14】
前記相対位置情報は、前記回転軸と前記伝達部との間の相対的な位置の変化の有無を含む
請求項13に記載のトルク制限機構。
【請求項15】
前記相対位置情報は、前記回転軸と前記伝達部との間の相対的な変位を含む
請求項13又は請求項14に記載のトルク制限機構。
【請求項16】
前記駆動部は、
前記伝達部に接続され、変位に応じた前記出力信号を出力するように変位可能であり、当該変位によって前記伝達部を移動させる駆動素子
を有する
請求項13から請求項15のうちいずれか一項に記載のトルク制限機構。
【請求項17】
前記制御部は、前記相対的な変位によって生じる前記駆動素子の変位に基づいた前記出力信号を用いて前記相対的な変位を判断する
請求項16一項に記載のトルク制限機構。
【請求項18】
前記伝達部は、前記回転駆動軸と前記被駆動軸とのうち少なくとも一方の周方向に沿って配置されており、
前記駆動素子は、前記伝達部の前記周方向の端部に接続されている
請求項16又は請求項17に記載のトルク制限機構。
【請求項19】
前記伝達部は、前記伝達部の前記周方向の第一端部及び第二端部を有し、
前記第一端部及び前記第二端部は、前記回転駆動軸と前記被駆動軸とのうち少なくとも一方の周面上の基準位置を挟んで配置され、
前記駆動素子は、
前記第一端部に接続された第一素子と、
前記第二端部に接続された第二素子と、を有する
請求項16から請求項17のうちいずれか一項に記載のトルク制限機構。
【請求項20】
前記第一素子及び前記第二素子は、前記第一端部及び前記第二端部を挟む位置に設けられている
請求項19に記載のトルク制限機構。
【請求項21】
前記制御部は、前記回転駆動軸の回転に伴って前記第一素子から出力される第一出力信号と前記第二素子から出力される第二出力信号とに基づき前記出力信号を算出する
請求項19又は請求項20に記載のトルク制限機構。
【請求項22】
前記制御部は、前記出力信号が所定の閾値を越えたか否かに基づいて前記相対的な変位を判断する
請求項12から請求項21のうちいずれか一項に記載のトルク制限機構。
【請求項23】
前記回転駆動軸と前記被駆動軸とに相対的な変位を生じさせる許容値が可変となるように、前記伝達部における前記回転駆動軸と前記被駆動軸とのうち少なくとも一方の前記回転軸に対する接触状態を調整可能な調整部を備える
請求項12から請求項22のうちいずれか一項に記載のトルク制限機構。
【請求項24】
前記調整部は、前記回転軸の動作に応じて前記回転軸と前記伝達部との間の摩擦力が可変となるように、前記接触状態を調整する
請求項23に記載のトルク制限機構。
【請求項25】
前記調整部は、前記回転軸の回転方向に応じて前記接触状態を調整する
請求項24記載のトルク制限機構。
【請求項26】
前記駆動部に対して抵抗を介して電圧を供給する電源を備え、
前記制御部は、前記電圧の大きさを調整することによって前記許容値を変える
請求項12から請求項24のうちいずれか一項に記載のトルク制限機構。
【請求項27】
前記駆動部として、圧電素子が用いられている
請求項12から請求項26のうちいずれか一項に記載のトルク制限機構。
【請求項28】
前記駆動部は、
前記伝達部に接続され変位することによって前記伝達部を移動させる駆動素子と、
前記伝達部及び前記駆動素子のうち少なくとも一方に接続され変位することによって当該変位に応じた前記出力信号を出力する検出素子と、
を有する
請求項13から請求項15のうちいずれか一項に記載のトルク制限機構。
【請求項29】
前記制御部は、前記相対的な変位によって生じる前記検出素子の変位に基づいた前記出力信号を用いて前記相対的な変位を判断する
請求項28に記載のトルク制限機構。
【請求項30】
回転駆動軸の回転力を被駆動軸に伝達可能なトルク制限機構であって、
前記回転駆動軸と前記被駆動軸とのうち少なくとも一方の回転軸の周面の少なくとも一部に対して接触可能に設けられた伝達部と、
前記伝達部に対して前記回転軸の軸方向とは異なる方向に力を加えた状態で当該伝達部を前記回転軸に接触させることによって、前記回転軸と前記伝達部との間に摩擦力を生じさせる駆動部と、
前記伝達部に接続され、検出素子の変位によって生じる出力信号を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて前記回転軸と前記伝達部との間の相対的な位置に関する相対位置情報を判断する制御部と
を備えるトルク制限機構。
【請求項31】
請求項13から請求項30のうちいずれか一項に記載のトルク制限機構と、
前記回転駆動軸を回転させる回転機構と、
を備える駆動装置。
【請求項32】
請求項1から請求項12のうちいずれか一項に記載の滑り検出機構を備える
ロボット装置。
【請求項33】
請求項13から請求項30のうちいずれか一項に記載のトルク制限機構を備える
ロボット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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