説明

漂白剤組成物

【課題】 簡便性と優れた漂白力を有し、衣料等の漂白対象に小粒径の泡状として安定に付着させることができ、優れた漂白効果が得られる漂白剤組成物を提供する。
【解決手段】 (a)過酸化水素、(b)特定の陰イオン界面活性剤、(c)HLBが10〜15の非イオン界面活性剤、(d)アルカノールアマイド、アミンオキサイド、及びベタインから選ばれる1種以上の界面活性剤、並びに(e)水を、それぞれ特定範囲で含有し、質量比で(b)/(d)=0.5〜5、かつ(c)/(d)=0.5〜5である漂白剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡塗布用として好適な漂白剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
過酸化水素を主基剤とする酸素系液体漂白剤は色・柄物に使用でき、汚れに直接塗布できるなどの利点から好まれて使用されており、特に、液体を泡状に塗布させるトリガータイプは、簡便性に加え、液ダレしにくく、手が汚れない等の使い勝手の点から非常に有用である。泡を形成させる他の剤形としては、スクイズフォーマー(特許文献4、図3等)タイプが市販されているが、容器を手で潰して吐出させる機構上、吐出量と起泡性をコントロールすることが難しいという課題があった。
【0003】
一方、酸素系液体漂白剤は弱アルカリ洗剤と共に洗濯機に入れて洗浄するか、汚れに直接塗布した後、弱アルカリ洗剤と共に洗濯機で洗浄する方法が一般的であるが、未だその漂白効果は満足できるレベルに及んでいないのが実状である。
【0004】
特許文献1には、消泡成分を含有し衣料への浸透性に優れた泡物性を有する、成泡機構付き吐出容器入り漂白剤が開示されている。特許文献2には過酸素漂白剤と、界面活性剤とを含んでなるスプレー型ディスペンサー入り液状組成物が開示されている。特許文献3には、アルキルグルコシドを含有する硬質表面用漂白剤が開示されている。特許文献4には、アルキルグルコシドとポリオキシアルキレンエーテルを含有する衣料用泡状組成物が開示されている。
【特許文献1】特開平11−100594号公報
【特許文献2】特表平11−500778号公報
【特許文献3】特開平5−156293号公報
【特許文献4】特開2004−76006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に開示されている漂白剤組成物は、衣料に直接スプレー出来、スプレー直後の起泡性は得られるものの、経時での泡安定性が低いために、満足の行くレベルの漂白性能が得られないという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、簡便性と優れた漂白力を両立させた液体酸素系漂白剤を提供することにある。更には、衣料等の漂白対象に小粒径の泡状として安定に付着させることができ、優れた漂白効果が得られる漂白剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(a)過酸化水素〔以下、(a)成分という〕0.1〜6質量%、(b)スルホン酸基含有界面活性剤〔以下、(b)成分という〕0.1〜2質量%、(c)HLBが10〜15の非イオン界面活性剤〔以下、(c)成分という〕、(d)アルカノールアマイド、アミンオキサイド、及びベタインから選ばれる1種以上の界面活性剤〔以下、(d)成分という〕0.1〜3質量%、並びに(e)水を含有し、質量比で(b)/(d)=0.5〜5、かつ(c)/(d)=0.5〜5である漂白剤組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、上記本発明の漂白剤組成物を、泡形成機構を有するトリガー式スプレーヤーを具備する容器に充填してなる、漂白剤製品に関する。
【0009】
また、本発明は、上記本発明の漂白剤組成物を、泡形成機構を有するトリガー式スプレーヤーを用いることにより、漂白対象に泡状に作用させる漂白方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡便性と漂白性能に優れた液体酸素系漂白剤組成物が提供される。本発明の漂白剤組成物は、小粒径でクリ―ミーな泡の起泡性及び起泡安定性に優れるため、特に泡状で漂白対象に作用するように用いられることが好ましい。また、本発明の漂白剤組成物は、衣料等の繊維製品用として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<漂白剤組成物>
本発明の漂白剤組成物は、(a)成分として、使い勝手の良い漂白基剤である、過酸化水素を含有する。(a)成分の含有量は、優れた漂白性能を得るために、0.1〜6質量%、好ましくは、0.3〜6質量%、更に好ましくは、0.5〜5質量%である。
【0012】
本発明の漂白剤組成物は、(b)成分として、泡膜が安定な泡ブースター剤である、スルホン酸基含有界面活性剤を含有する。(b)成分としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、及びα−スルホ脂肪酸エステル塩から選ばれる1種類以上の界面活性剤が好ましい。具体的に好ましい(b)成分としては、直鎖又は分岐鎖の、アルキル(炭素数8〜18)ベンゼンスルホン酸塩、オレフィン(炭素数8〜18)スルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩(好ましくは炭素数8〜18のα−スルホ脂肪酸と炭素数1〜2のアルコールとのエステル塩)が挙げられる。これらの中、特に直鎖又は分岐鎖の、アルキル(炭素数10〜15)ベンゼンスルホン酸塩、オレフィン(炭素数10〜15)スルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩(好ましくは炭素数10〜15のα−スルホ脂肪酸と炭素数1のアルコールとのエステル塩)が好適である。これら(b)成分は単独で使用しても、2種類以上を併用することも可能である。なおこれらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩が貯蔵安定性の点から良好である。(b)成分の含有量は、0.1〜2質量%、好ましくは、0.3〜2質量、更に好ましくは0.5〜2質量%である。(b)成分の含有量は、低温での高粘度化の抑制や起泡性の維持の点から、2質量%以下が好ましい。
【0013】
本発明の漂白剤組成物は、(c)成分として非イオン界面活性剤を含有する。(c)成分のHLBは10〜15、好ましくは11〜14.5、特に好ましくは11.5〜14である。ここでHLBはポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤を用いる場合にはグリフィンの方法が採用される。また、グリフィンの方法ではHLBを求めることができない非イオン界面活性剤では実験によって求めるものとする。実験方法は「界面活性剤便覧」産業図書株式会社版、西 一郎ら編集、昭和41年1月10日第5刷、319頁記載の方法を採用することができる。また、複数の非イオン界面活性剤が混合されている場合には、HLB値には加成性が成り立つため、加重平均で求めることができ、加重平均値が本発明のHLB値の範囲に入ればよい。
【0014】
本発明の好ましい非イオン界面活性剤としては、ポリオキシスチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が、挙げられる。
【0015】
より具体的に好ましい非イオン界面活性剤としては下記一般式(1)の化合物を挙げることができる。
【0016】
1a−T−[(R1bO)w−H]v (1)
〔式中、R1aは炭素数10〜16、好ましくは10〜14の炭化水素基、より好ましくは10〜14のアルキル基であり、R1bはエチレン基又はプロピレン基、好ましくはエチレン基であり、Tは−O−、−COO−、−CON<、−N<から選ばれる基であり、w、vは本発明のHLBの範囲に入るように選ばれる。vはTが−O−、又は−COO−の場合には1の数であり、Tが−CON<、又は−N<の場合には2の数であり、Tが−O−、又は−COO−の場合にはwは4〜16、好ましくは5〜14、より好ましくは6〜10が好ましく、Tが−CON<、又は−N<の場合にはwは2〜8、好ましくは2〜7、より好ましくは3〜6が好適である。〕
【0017】
(c)成分としてより具体的に好ましい例としては、下記一般式(2−1)の化合物及び下記一般式(2−2)の化合物から選ばれる1種以上が好適である。
【0018】
2a−O−(C24O)u−H (2−1)
〔式中、R2aは炭素数10〜14のアルキル基を示す。uは4〜12、好ましくは5〜10、特に好ましくは6〜8.5の数である。〕
2b−O−[(C24O)t/(C36O)s]−H (2−2)
〔式中、R2bは炭素数10〜14のアルキル基を示す。t及びsはそれぞれ独立に2〜12の数であり、t+sは4〜12、好ましくは5〜10の数である。また、エチレンオキシド(C24O)とプロピレンオキシド(C36O)はランダムあるいはブロック付加体であってもよい。〕
【0019】
本発明の漂白剤組成物は、洗浄力の観点から(c)成分を0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは2〜10質量%、更に特に好ましくは4〜8質量%含有する。
【0020】
本発明の漂白剤組成物は、(d)成分として、増泡性の点から、アルカノールアマイド、アミンオキサイド、及びベタインから選ばれる1種以上の界面活性剤を含有する。
【0021】
本発明のアルカノールアマイドの例としては、下記一般式(3)に示すものが好適である。
3a−CON−R3b(R3COH) (3)
〔式中、R3a−CO−は、炭素数8〜18の炭化水素基を有するアシル基、R3bは、メチル基又はエチル基、R3cは、炭素数1〜3のアルキレン基又はアルケニレン基である。〕
【0022】
一般式(3)中、R3a−CO−は、炭素数8〜18のアシル基(便宜上アシル基と表記する)であって、且つR3aが飽和又は不飽和の炭化水素基であるものが好ましい。R3a−CO−の好ましい具体例としてはオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、リノール酸、2−エチルヘキサン酸、2−オクチルウンデカン酸、イソステアリン酸、オレイン酸から誘導されるアシル基が挙げられ、特に好ましくは、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸から誘導されるアシル基である。また、本発明では該アシル基が単独のアルキル基又はアルケニル基を有するものであっても差し支えないが、R3a−CO−に対応する脂肪酸が混合脂肪酸であることが洗浄効果、及び起泡力の点から好適である。好ましい混合脂肪酸組成は脂肪酸中の質量%として以下の組成が好適である。なお、これ以外の脂肪酸を含有しても差し支えないが、下記に示した脂肪酸の合計質量が100質量%となるように調製されることが貯蔵安定性の点から望ましい。カプリル酸;1〜10質量%、好ましくは3〜6質量%、カプリン酸;1〜12質量%、好ましくは3〜7質量%、ラウリン酸;44〜60質量%、好ましくは44〜55質量%、ミリスチン酸;10〜22質量%、好ましくは10〜17質量%、パルミチン酸;4〜10質量%、好ましくは6〜10質量%、ステアリン酸;0〜10質量%、好ましくは1〜7質量%、オレイン酸;0〜17質量%、好ましくは1〜17質量%。
【0023】
また、一般式(3)においてR3bは、メチル基又はエチル基であり、洗浄効果、起泡性、及び貯蔵安定性の点から好ましくはメチル基である。更にR3cは炭素数1〜3のアルキレン基又はアルケニレン基であり、洗浄効果の点から好ましくは炭素数2もしくは3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である。
【0024】
アルカノールアマイドの好ましい具体例としてN−エタノール−N−メチルオクタン酸アミド、N−エタノール−N−メチルデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルドデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルテトラデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルヘキサデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルオクタデカン酸アミド、N−イソプロパノール−N−エチルドデカン酸アミド、N−エチル−N−イソプロパノールオレイン酸アミド、N−エチル−N−イソプロパノールイソステアリン酸アミド、N−エタノール−N−メチルヤシ脂肪酸アミド、N−エタノール−N−メチルパーム核油脂肪酸アミドを挙げることができる。
【0025】
本発明のアミンオキサイドの例としては、下記一般式(4)に示すものが好適である。
【0026】
【化1】

【0027】
〔式中、R4aは炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14の直鎖アルキル基又はアルケニル基であり、R4c、R4dは炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。R4bは炭素数1〜5、好ましくは2又は3のアルキレン基である。Yは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、mは0又は1、好ましくは1の数である。〕
【0028】
本発明の好ましいアミンオキサイドとしては、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0029】
本発明のベタインの例としては、下記一般式(5)に示すものが好適である。
【0030】
【化2】

【0031】
〔式中、R5aは炭素数9〜23、好ましくは9〜17、特に好ましくは10〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R5bは炭素数1〜6、好ましくは1〜4、特に好ましくは2又は3のアルキレン基である。Vは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、kは0又は1の数、好ましくは0である。R5c、R5dは、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基であり、R5eはヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキレン基である。Dは、−SO3-、−OSO3-から選ばれる基であり、特に−SO3-が漂白洗浄効果の点から良好である。〕
【0032】
本発明の好ましいベタインとしては、アルキル(炭素数:12〜14)スルホベタインが挙げられる。
【0033】
(d)成分の含有量は、起泡性の観点から、0.1〜3質量%であり、0.1〜2.5質量%が好ましく、0.1〜2質量%が更に好ましい。
【0034】
本発明では、洗浄効果を高める高い起泡性を得る観点から、(b)成分と(d)成分の比率が(b)/(d)=0.5〜5、好ましくは0.8〜4.5、更に好ましくは1〜4が好適である。
【0035】
更に、(c)成分と(d)成分の質量比は、(b)成分と(d)成分を特定比率で配合することで得られる高い起泡性を維持し、洗浄力の高い小粒径でクリ―ミーな泡の起泡安定性、更には洗浄漂白力を得る観点から、(c)/(d)=0.5〜5であり、1〜4が好ましい。
【0036】
本発明では、特定の陰イオン界面活性剤である(b)成分と(d)成分の比率をコントロールすると共に、特定範囲のHLB値を有する(c)成分と特定の比率で(d)成分を併用することにより、小粒径でクリ―ミーな泡の大幅な増泡作用と泡安定化効果が得られ、更に油汚れに対する高い洗浄効果を有する漂白剤組成物が得られる。本発明の漂白剤組成物は、(b)成分と(d)成分とを併用しているが、(b)成分のみを用いるよりも油汚れに対してより高い洗浄力を得ることが出来る。また、本発明の漂白剤組成物は、(d)成分を(c)成分(HLBが10〜15の非イオン界面活性剤)と併用しているが、この(d)成分を低HLB非イオン界面活性剤(HLB=9〜10)と併用した場合よりも、充分な増泡効果が得られるため油汚れに対するより高い洗浄力を得ることが出来る。
【0037】
本発明の漂白剤組成物より形成される気泡は、高い泡安定性、高い漂白効果を得る観点から小粒径でクリーミーな泡であることが好ましい。特に、本発明の漂白剤組成物は、下記試験法により平均粒径が50〜1000μm、更に50〜800μm、特に100〜800μmの気泡を発生することが好ましい。
【0038】
<気泡の試験法>
漂白剤組成物(2.50g)のイオン交換水20倍希釈液50gを200mlトールビーカー(55mm)に入れ、特殊機化工業(株)製ホモミキサー(TOKUSHUKIKA ROBO MICS No.011002)(攪拌部は、直径3cmの4枚羽根であって、筒状金属(高さ3×直径3.5cm)で覆われている)を用いて6000rpmで5分間攪拌する。その後、直ちに、400倍で顕微鏡観察した。得られた画像を画像解析し、平均粒子径を得た。
【0039】
本発明に係わる組成物は、上記(a)成分〜(d)成分を(e)成分である水に溶解させた水溶液等、液体組成物の形態であり、用いる水は、微量に水に溶解している金属を除去したイオン交換水、又は蒸留水が貯蔵安定性の点から好適である。(e)成分の含有量は好ましくは75〜98質量%、より好ましくは80〜95質量%である。
【0040】
本発明の漂白剤組成物は、20℃におけるpHが好ましくは1〜7、より好ましくは2〜6.5、更に好ましくは2.5〜6である。このようなpHに調整するためのpH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩など、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸から選ばれる酸と水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。pHは、(株)堀場製作所製pHメータF52、pH電極6367−10Dを用いて測定したものである。
【0041】
本発明の組成物は、スプレー時に充分な液の流量と流速を得、スムーズなスプレー操作を行う観点から、低粘度であることが好ましく、20℃における粘度が20mPa・s以下であることが好ましく、1〜10mPa・sが更に好ましく、3〜8mPa・sであることが特に好ましい。
【0042】
なお、本発明の粘度とは以下の様に測定されたものである。東京計器(株)製B型粘度計に、ローター番号No.1を備え付けたものを準備する。試料をトールビーカーに入れ、20℃の恒温槽にて20℃に調整した試料を粘度計にセットし、ローターの回転数を60rpmに設定し、回転を始めてから60秒後の粘度を本発明の粘度とする。
【0043】
このような粘度に調整するために本発明では粘度整製剤を配合することができる。粘度調整剤としては、(i)炭素数1〜3のアルキル基、もしくはヒドロキシ基が1〜3個置換していてもよいベンゼンスルホン酸、(ii)分子量3000〜100000のポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール、(iii)キサンタンガム、グアガム、カルボキシメチルセルロースから選ばれる糖系高分子化合物、(iv)炭素数12〜20、好ましくは14〜18のアルキル基又はアルケニル基と平均付加モル数が60〜200、好ましくは100〜200のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン界面活性剤、及び(v)該(iv)の非イオン界面活性剤とビニルシクロヘキセンジエポキシド等のジエポキシ化合物との反応生成物、等を用いることができる。このような粘度調整剤の組成物中の含有量は0〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%が好適である。
【0044】
本発明に係わる組成物は、漂白効果を向上させる目的から金属イオン封鎖剤を含有することができる。例えば、(1)フィチン酸等のリン酸系化合物又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、(2)エタン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸)及びその誘導体、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等のホスホン酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、(3)2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等のホスホノカルボン酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、(4)アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、(5)ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、(6)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸などの有機酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、(7)ゼオライトAに代表されるアルミノケイ酸のアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩、(8)アミノポリ(メチレンホスホン酸)もしくはそのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、又はポリエチレンポリアミンポリ(メチレンホスホン酸)もしくはそのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩を挙げることができる。
【0045】
これらの中で上記(2)、(5)、(6)及び(7)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、上記(2)からなる群より選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。金属イオン封鎖剤の含有量は、好ましくは0.005〜5質量%、更に好ましくは0.01〜2質量%である。
【0046】
本発明の組成物は、更に他の成分として、漂白活性化剤、蛍光増白剤、香料、染料や顔料の様な着色剤、再汚染防止剤、シリコーン類、ハイドロトロープ剤、殺菌剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、漂白基剤の安定化剤など、通常漂白剤に配合可能な公知の成分を含むことができる。
【0047】
漂白活性化剤としては、アルカノイルオキシベンゼン型漂白活性化剤が好ましく、特に炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸もしくは炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はこれらの塩が好ましい。より具体的に好ましい例としてはオクタノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、オクタノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ノナノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、デカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、及びこれらの塩が挙げられる。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましく、特にナトリウム塩が溶解性の点から好ましい。
【0048】
これらの中でも特にノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸及びこれらの塩が漂白効果の点から好ましい。
【0049】
本発明の漂白剤組成物は、漂白活性化剤を0〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%含有する。
【0050】
シリコーン類の含有量は、起泡性及び泡安定性の観点から0.5質量%未満が好ましい。
【0051】
<漂白剤製品>
本発明の漂白剤組成物は、泡形成機構を有するトリガー式スプレーヤーを用いて泡を汚れに直接作用させることで、優れた洗浄漂白効果が得られる。このため、漂白対象に泡状で作用させることが好ましく、泡形成機構を有するトリガー式スプレーヤーを具備する容器に充填してなる容器入りの漂白剤製品として用いることがより好ましい。
【0052】
本発明で用いることができるトリガー式スプレーヤーとしては、特開2004−76006の図1及び図2、特開平11−100594の図1及び図2、登録実用新案第3044068号の図1〜6、特開2000−185247の図1〜9、特開2001−334178の図1〜10記載の吐出機を有するトリガー、特開2002−20266、特開平7−256162、特開平8−71463、特開平9−285746、特開平10−85637、実開平7−9451、実開平7−9452を参考にすることができる。
【0053】
本発明では、上記本発明の漂白剤組成物から形成させた泡を衣料に付着させた後、一般の弱アルカリ性洗剤と共に洗濯する。泡の付着量は0.1〜1g/cm2、好ましくは0.1〜0.5g/cm2が高い漂白効果を得る目的から好ましい。また、泡を付着させた後、1〜600分間、好ましくは3〜300分間、特に好ましくは5〜60分間放置した後洗浄することが好適である。
【実施例】
【0054】
<配合成分>
以下の実施例、比較例で用いた成分は以下の通りである。これらを用いて表1の液体漂白剤組成物を調製し、以下の評価を行った。結果を表1に示す。また、液体漂白剤組成物のpH、気泡の平均粒径、粘度も表1に示した。
【0055】
・a−1;過酸化水素
・b−1;直鎖アルキル(炭素数11〜15)ベンゼンスルホン酸ナトリウム
・b−2;α−オレフィン(炭素数14〜18)スルホン酸ナトリウム
・b−3;α−スルホ脂肪酸エステルナトリウム(炭素数14〜16のα−スルホ脂肪酸と炭素数1のアルコールのエステルのナトリウム塩)
・c−1;ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン平均付加モル数7、HLB12.1)
・d−1;N−エタノール−N−メチルオクタン酸アミド
・d−2;ラルリルジメチルアミンオキサイド
・d−3;ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン
・金属イオン封鎖剤;1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(デイクエスト2010(ソルーシア社製デイクエスト))
・e−1;イオン交換水
【0056】
(1)起泡性の評価方法
200mlのプラスティック製メスシリンダー(内径40mm)に、市販トリガー容器(花王(株)社製アタック シュッと泡スプレー/製造ロット番号:W1410474、1回のストロークで0.8g噴射する。中身を抜いて水で数回洗浄し、乾燥させたものに組成物を充填し使用。)を用いて表1の液体漂白剤組成物を10回スプレーし、その時の組成物の質量と泡の容積から、以下の計算式(1−1)から起泡性(ml/g)を算出した。スプレー直後及び5分後の起泡性の値から、以下の計算式(1−2)により泡安定性(%)を算出した。
起泡性(ml/g)=泡体積(ml)/組成物質量(g) (1−1)
泡安定性(%)=〔5分後の起泡性(ml/g)/直後の起泡性(ml/g)〕×100 (1−2)
【0057】
(2)気泡の平均粒径
表1の漂白剤組成物(2.50g)のイオン交換水20倍希釈液50gを200mlトールビーカー(55mm)に入れ、特殊機化工業(株)製ホモミキサー(TOKUSHUKIKA ROBO MICS No.011002)(攪拌部は、直径3cmの4枚羽根であって、筒状金属(高さ3×直径3.5cm)で覆われている)を用いて6000rpmで5分間攪拌する。その後、直ちに、400倍で顕微鏡観察した。得られた画像を画像解析し、平均粒子径を得た。この平均粒径を表1に示す。
【0058】
(3)漂白性能の評価方法
上記(1)で用いたトリガー容器に各組成物を充填したものを用いて、下記で調製したミートソース汚染布4枚にそれぞれ1回ずつ噴霧し組成物を泡状で塗布した。その際、塗布した泡のクリーミーさを10名のパネラーにより以下の基準の評価点で判定し、その結果を表1に示した。結果は平均点で表示した。
5:泡が非常にきめ細かく、白い
4:泡がきめ細かく、やや白い
3:普通
2:泡が粗く、あまり白くない
1:泡が非常に粗く、ほとんど白くない
【0059】
さらに、組成物を塗布したミートソース汚染布を20℃で5分間放置後、0.0667質量%濃度の市販洗剤溶液を使ってターゴトメーターにて洗浄した(80rpm×10分)後、水道水ですすぎ乾燥させて、下式により漂白率を求めた。汚染布4枚の漂白率の平均値を表1に示す。
【0060】
【数1】

【0061】
反射率は日本電色工業(株)製NDR−10DPで460nmフィルターを使用して測定した。
【0062】
*ミートソース汚染布の調製
カゴメ(製)ミートソース(完熟トマトのミートソース/内容量259gの缶詰/製造ロット番号:D3611JI)の固形分をメッシュ(目開き;500μm)で除去した後、得られた液を煮沸するまで加熱した。この液に木綿金布#2003を浸し、約15分間煮沸した。そのまま火からおろし約2時間程度放置し室温まで放置した後、布を取りだし、余分に付着しているミートソース液をへらで除去し、自然乾燥させた。その後プレスし、10cm×10cmの試験布として実験に供した。
【0063】
【表1】

【0064】
以上の結果から、本発明の(d)成分を、(b)成分或いは(c)成分と特定比率で配合することにより、小粒径でクリ―ミーな泡の大幅な増泡作用と、泡安定化効果が得られ、高い洗浄漂白効果が得られることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)過酸化水素0.1〜6質量%、(b)スルホン酸基含有界面活性剤0.1〜2質量%、(c)HLBが10〜15の非イオン界面活性剤、(d)アルカノールアマイド、アミンオキサイド、及びベタインから選ばれる1種以上の界面活性剤0.1〜3質量%、並びに(e)水を含有し、質量比で(b)/(d)=0.5〜5、かつ(c)/(d)=0.5〜5である漂白剤組成物。
【請求項2】
20℃における粘度が20mPa・s以下である請求項1記載の漂白剤組成物。
【請求項3】
前記(b)スルホン酸基含有界面活性剤が、アルキルベンゼンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、及びα−スルホ脂肪酸エステル塩から選ばれる1種類以上の界面活性剤である請求項1又は2記載の漂白剤組成物。
【請求項4】
泡形成機構を有するトリガー式スプレーヤーを具備する容器に充填して使用される請求項1〜3の何れか1項記載の漂白剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載の漂白剤組成物を、泡形成機構を有するトリガー式スプレーヤーを具備する容器に充填してなる、漂白剤製品。
【請求項6】
請求項1〜4の何れか1項記載の漂白剤組成物を、泡形成機構を有するトリガー式スプレーヤーを用いて漂白対象に泡状に作用させる漂白方法。

【公開番号】特開2006−257349(P2006−257349A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79423(P2005−79423)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】