漏れ防止部を備えたマスク
【課題】着装時にマスク本体と顔面との間に介在する漏れ防止部を備えたマスクにおいて、漏れ率を効果的に低減できるようにする。
【解決手段】マスク10の漏れ防止部14は、マスク本体12に重ね合わせ可能に配置される第1シート部分22と、第1シート部分をマスク本体に接続する第1接続部24と、第1シート部分に重ね合わせ可能に配置される第2シート部分26と、第1接続部とは異なる第2接続部28であって、第2シート部分を第1シート部分に接続する第2接続部28と、第1接続部及び第2接続部とは異なる第3接続部30であって、第1シート部分及び第2シート部分をマスク本体に接続して、マスク本体と第1シート部分と第2シート部分との間にポケット状の折り重ね構造32を形成する第3接続部30と、第1接続部、第2接続部及び第3接続部とは異なる第4接続部34であって、着装帯16を第2シート部分に接続する第4接続部34とを備える。
【解決手段】マスク10の漏れ防止部14は、マスク本体12に重ね合わせ可能に配置される第1シート部分22と、第1シート部分をマスク本体に接続する第1接続部24と、第1シート部分に重ね合わせ可能に配置される第2シート部分26と、第1接続部とは異なる第2接続部28であって、第2シート部分を第1シート部分に接続する第2接続部28と、第1接続部及び第2接続部とは異なる第3接続部30であって、第1シート部分及び第2シート部分をマスク本体に接続して、マスク本体と第1シート部分と第2シート部分との間にポケット状の折り重ね構造32を形成する第3接続部30と、第1接続部、第2接続部及び第3接続部とは異なる第4接続部34であって、着装帯16を第2シート部分に接続する第4接続部34とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏れ防止部を備えたマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用や安全衛生用のマスクにおいては、防護性能の一指標である漏れ率を低減(つまり改善)するために、着装時にマスクと顔面との間に形成される隙間を可及的に削減することが要求されている。そこで従来、着装者の口及び鼻を覆うフィルタ素材のマスク本体と、マスク本体の内面又は周縁に設けられ、着装時に顔面に接触して漏れ率を低減する漏れ防止部とを備えたマスクが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1は、顔面を覆う本体部と、本体部に取り付けられた耳掛け紐と、本体部の内面の両側部に設けられ、本体部と顔面との隙間に介在する通気性のシートとを備えたマスクを開示する。特許文献1には、「図2(A)に示すように、この素材シート11の一方の縁部11bには、縦方向に延びるゴム糸などの弾性材12が複数本(または1本)縫い込みまたは接着などの手段により固定される。」(段落[0016])、「次に図2(B)に示すように、素材シート11の前記弾性材12が取り付けられているのと逆側の縁部11aが、本体部2の縫い合わせ部5と同じ工程で一緒に縫い付けられ、素材シート11の前記縁部11aが本体部2に取り付けられる。素材シート11が前記縫い合わせ部5に縫い付けられる部分を5aで示している。このとき、素材シート11の長さ寸法がH0からH1に縮められ、ギャザー(ひだ)13を寄せるようにして縫い付けが行われる。さらに図2(C)に示すように、素材シート11が折り返され、弾性材12を有する縁部11bが、縫い付け部5a側の縁部11aに重ねられ、縁部11bの上下端14,14のみが本体部2に縫いつけられて固定される。よって、この補助片10は立体ギャザー形状となり、本体部2の内面シート2b側が凹状に変形すると、前記弾性材12の弾性力により、補助片10が、本体部2の内面から顔面方向へ立体的に立ち上がるようになる(図2(D)参照)。」(段落[0017])と記載されている。
【0004】
また特許文献2は、通気性を有するシート材を山折り及び谷折りしてギャザーを形成し、ギャザーの両側端部に接着帯を形成してギャザーの各襞を両側端部で一体化したマスクにおいて、接着帯を加熱圧着することにより接着帯の上下端に渡って所定間隔で複数の融着凹部を形成し、接着帯の上端及び下端に耳掛紐の一端及び他端をそれぞれ取り付けたマスクを開示する。特許文献2には、「先ず、マスク上下辺部3、3aの中央を持って上下方に引き、ギャザー2の襞を引き伸ばした後、耳掛紐7、7aを両耳にかける。次に、上下辺部3、3aの鉤状部4、4aを鼻と顎に覆いかぶせる。すると、マスクの上下は鼻と顎にフィットし、また両側端部は各融着凹部6、6a…と、これに隣接する膨部8、8a…の境界にて折れ曲がって、恰も細かなギャザーが存するが如く、誠しやかに細かに変形し、頬の形に馴染んで気持ち良くフィットする。」(段落[0012])と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3681222号
【特許文献2】特開2007−167346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
医療用や安全衛生用のマスクに設けられる漏れ防止部は、簡易な構成で安価に作製できること、着装中に漏れ防止部と顔面との接触状態を安定して維持できること、着装時のマスクの外観を損なわない意匠性を有すること等が所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、着装時にマスク本体と顔面との間に介在して漏れ率を効果的に低減できる新規な漏れ防止部を備えたマスクを提供するものである。
【0008】
一態様では、マスク本体と、マスク本体に付設される漏れ防止部と、マスク着装に用いられる着装帯とを具備するマスクにおいて、漏れ防止部は、マスク本体に重ね合わせ可能に配置される第1シート部分と、第1シート部分をマスク本体に接続する第1接続部と、第1シート部分に重ね合わせ可能に配置される第2シート部分と、第1接続部とは異なる第2接続部であって、第2シート部分を第1シート部分に接続する第2接続部と、第1接続部及び第2接続部とは異なる第3接続部であって、第1シート部分をマスク本体に接続する機能、第2シート部分をマスク本体に接続する機能、及び第2シート部分を第1シート部分に接続する機能のうちの、少なくとも1つの機能を有して、マスク本体と第1シート部分との間、及び第1シート部分と第2シート部分との間の、少なくとも一方に、ポケット状の折り重ね構造を形成する第3接続部と、第1接続部、第2接続部及び第3接続部とは異なる第4接続部であって、着装帯を第2シート部分に接続する第4接続部とを具備すること、を特徴とするマスクを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係るマスクは、着装者の顔面に着装したときに、漏れ防止部のポケット状の折り重ね構造が、第1接続部、第2接続部及び第3接続部のそれぞれにおける接続形態を維持したままマスク本体と第1シート部分と第2シート部分とが互いに離れるように変位することで、あたかもポケットが膨張するように開放される。それにより漏れ防止部は、膨張したポケット状の形態でマスク本体の外方へ延出し、マスク本体と着装者の顔面との間に介在して、着装者の両頬に接触する。マスク着装中には、第2シート部分に接続された着装帯が、折り重ね構造の開放状態及び漏れ防止部と顔面との接触状態を安定して維持するように作用する。
【0010】
したがって、本発明の一態様に係るマスクによれば、マスク本体と着装者の顔面との間を通した漏れが漏れ防止部により効果的に阻止され、防護性能の一指標である漏れ率が効果的に低減(つまり向上)される。しかも漏れ防止部は、マスク着装時にマスク本体から延長されてマスク本体と着装者の顔面との間を実質的に塞ぐ形状を有するだけのものであって、マスク本体の形状や寸法を改変するものではないから、マスクの外観を損なわない意匠性を有する。さらに、漏れ防止部は、第1及び第2シート部分を重ね合わせ可能に配置するだけの極めて単純な構造を有しているから、簡易な構成で安価に作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態によるマスクを平坦な折り畳み位置で示す平面図(外面)である。
【図2】図1のマスクを平坦な折り畳み位置で示す平面図(内面)である。
【図3】図1のマスクを平坦な折り畳み位置で示す斜視図(内面)である。
【図4】図1のマスクを椀状に膨出する拡張位置で示す平面図(外面)である。
【図5】図1のマスクを椀状に膨出する拡張位置で示す斜視図(図4矢印V方向)である。
【図6】図1のマスクを椀状に膨出する拡張位置で示す斜視図(図4矢印VI方向)である。
【図7】図1のマスクを椀状に膨出する拡張位置で示す平面図(内面)である。
【図8】図1のマスクを椀状に膨出する拡張位置で示す斜視図(図7矢印VIII方向)である。
【図9】図1のマスクを椀状に膨出する拡張位置で示す斜視図(図7矢印IX方向)である。
【図10】図1のマスクの漏れ防止部を模式図的に示す図で、(a)図2矢印Xa−Xaに沿った断面図、(b)図2矢印Xb−Xbに沿った断面図、(c)図2矢印Xc方向に見た側面図である。
【図11】図10の漏れ防止部の変位態様を説明する図で、(a)折り重ね構造の折り重ね状態、(b)折り重ね構造の僅かな開放状態、(c)折り重ね構造のさらなる開放状態、(d)折り重ね構造の完全な開放状態を、それぞれ示す。
【図12】図10の漏れ防止部の他の変位態様を説明する図で、(a)折り重ね構造の折り重ね状態、(b)折り重ね構造の僅かな開放状態、(c)折り重ね構造のさらなる開放状態、(d)折り重ね構造の完全な開放状態を、それぞれ示す。
【図13】図10の漏れ防止部の他の変位態様を説明する図で、折り重ね構造の完全な開放状態を示す部分拡大断面図である。
【図14】図1のマスクを着装者の顔面に着装した状態を示す斜視図で、(a)斜め前方から見た図、(b)側方から見た図、(c)斜め後方から見た図である。
【図15】変形例によるマスクを着装者の顔面に着装した状態を示す斜視図で、(a)斜め前方から見た図、(b)側方から見た図、(c)斜め後方から見た図である。
【図16】漏れ防止部の種々の変形例を示す図である。
【図17】漏れ防止部の種々の変形例を示す図である。
【図18】漏れ防止部の種々の変形例を示す図である。
【図19】プリーツ付部分の種々の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1〜図9は、本発明の一実施形態によるマスク10を示す。マスク10は、医療用途や安全衛生用途で使用できるものであるが、本発明のマスクの用途は限定されない。
【0013】
マスク10は、着装者の口及び鼻(図示せず)を覆うシート状フィルタ素材(例えば不織布、ガーゼ等)からなるマスク本体12と、マスク本体12に付設され、マスク着装時に着装者の顔面に接触して、防護性能の一指標である漏れ率を低減(つまり改善)する漏れ防止部14と、マスク着装に用いられる着装帯16とを備える。
【0014】
マスク本体12は、互いに反対側の左右両側縁12a、12bと、それら側縁12a、12bにそれぞれ交差する互いに反対側の上縁12c及び下縁12dと、互いに反対側の内面12e及び外面12fとを有する。マスク10の適正な使用状態で、マスク本体12の両側縁12a、12bは着装者の両頬に沿って縦方向へ延びるように配置され、上縁12cは着装者の鼻及び両頬に沿って横方向へ延びるように配置され、下縁12dは着装者の下顎に沿って横方向へ延びるように配置され、内面12eは着装者の鼻及び口に対向して配置され、外面12fは着装者の顔面に対し外向きに配置される。
【0015】
マスク本体12は、平坦な折り畳み位置(図1〜図3)と椀状に膨出する拡張位置(図4〜図9)との間で変位可能なプリーツ付部分18を備えている。プリーツ付部分18には、マスク本体12の両側縁12a、12bの間に延びる折り目を有する複数のプリーツ20が形成される。それらプリーツ20は、マスク本体12のシート状フィルタ素材を適当に折り重ねて形成され、折り重なった素材同士がマスク本体12の両側縁12a、12bに沿った部位で一体的に固着されることにより、プリーツ付部分18が形成される。プリーツ付部分18を備えたマスク10は、マスク保管/運搬時にマスク本体12を平面視で矩形の平坦形状に畳む(図1〜図3)ことができるとともに、マスク着装時に上縁12c及び下縁12dが互いに離反する方向へマスク本体12を拡張して椀状の膨出形状にする(図4〜図9)ことができる。なお、マスク本体12の上縁12cには、マスク着装時に着装者の鼻及び頬に沿って変形してマスク本体12の上縁12cと顔面との密着性を向上させる図示しないノーズクリップを設置できる。
【0016】
漏れ防止部14は、マスク本体12の、互いに反対側に位置する一対の側部(つまり両側縁12a、12bに隣接する領域)の双方に設けられる。なお、マスク10の用途等に応じて、漏れ防止部14を、マスク本体12の、互いに反対側に位置する一対の側部のいずれか一方に設けることもできる。マスク本体12の両側部に設けられる漏れ防止部14は、互いに同一の構成を有する。なお、マスク本体12の両側部に設けられる漏れ防止部14を、互いに異なる構成とすることもできる。以下、マスク本体12の一方の側縁12aに隣接する漏れ防止部14の構成を、図10を参照して説明する。なお図10は、プリーツ付部分18が折り畳み位置にあるときの漏れ防止部14の構成を模式図的に示すものであり、理解を助けるために、マスク本体12と第1シート部分22と第2シート部分26とを互いに若干離隔させて描いているが、それらは互いに接触していてもよい。
【0017】
漏れ防止部14は、マスク本体12に重ね合わせ可能に配置される第1シート部分22と、第1シート部分22をマスク本体12に接続する第1接続部24と、第1シート部分22に重ね合わせ可能に配置される第2シート部分26と、第1接続部24とは異なる第2接続部28であって、第2シート部分26を第1シート部分22に接続する第2接続部28と、第1接続部24及び第2接続部28とは異なる第3接続部30であって、第1シート部分22をマスク本体12に接続する機能、第2シート部分26をマスク本体12に接続する機能、及び第2シート部分26を第1シート部分22に接続する機能のうちの、少なくとも1つの機能を有して、マスク本体12と第1シート部分22との間、及び第1シート部分22と第2シート部分26との間の、少なくとも一方に、ポケット状の折り重ね構造32を形成する第3接続部30と、第1接続部24、第2接続部28及び第3接続部30とは異なる第4接続部34であって、着装帯16を第2シート部分26に接続する第4接続部34とを備えて構成される。
【0018】
図示構成では、漏れ防止部14は、平面視で矩形のシート素材を二つ折りに折り畳んだ形態を有する。したがって、第1シート部分22と第2シート部分26とは、互いに一体に作製されて、第2接続部28で互いに連接されている。なお、第2接続部28は、折り目を有していてもよいし有していなくてもよい。他方、マスク本体12と第1シート部分22とは、互いに別体に作製されて、第1接続部24により互いに固定されている。また、第2シート部分26と着装帯16とは、互いに別体に作製されて、第4接続部34により互いに固定されている。
【0019】
漏れ防止部14は、上記以外の様々な形態を有することができる。例えば、マスク本体12と第1シート部分22とを、互いに一体に作製して、折り目となる第1接続部24で互いに連接する構成とすることができる。また、第1シート部分22と第2シート部分26とを、互いに別体に作製して、第2接続部28により互いに固定する構成とすることができる。また、第2シート部分26と着装帯16とを、互いに一体に作製して、第4接続部34で互いに連接する構成とすることができる。漏れ防止部14の他の種々の変形形態については後述する。
【0020】
第1シート部分22は、マスク本体12の側縁12aに沿って配置される前縁22aと、前縁22aの反対側で漏れ防止部14の中途に位置する後縁22bと、前縁22a及び後縁22bの双方にそれぞれ交差する互いに反対側の上縁22c及び下縁22dと、互いに反対側の内面22e及び外面22fとを有する。第1シート部分22の前縁22a及び後縁22bは、マスク本体12の側縁12aと略同一の長さを有し、第1シート部分22の上縁22c及び下縁22dはそれぞれ、マスク本体12の上縁12c及び下縁12dよりも十分に短い長さを有する。第1シート部分22は、その前縁22a、上縁22c及び下縁22dを、マスク本体12の側縁12aの全体、側縁12aに隣接する上縁12cの一部分及び側縁12aに隣接する下縁12dの一部分にそれぞれ実質的に揃えた状態で、内面22eをマスク本体12の内面12eに対向させて、マスク本体12の側縁12aに沿った領域に重ね合わせて配置される。
【0021】
第1接続部24は、マスク本体12の側縁12a及び第1シート部分22の前縁22aに沿って形成されて、第1シート部分22の前縁22aをマスク本体12の側縁12aに固定する。図示構成では、第1接続部24は、マスク本体12の側縁12a及び第1シート部分22の前縁22aの全長に渡って形成され、第1接続部24を通した漏れの発生を防止している。なお、第1接続部24の存在による漏れ率の悪化を許容範囲に抑制できることを前提として、マスク本体12の側縁12a及び第1シート部分22の前縁22aに沿って分散配置される複数の第1接続部24を形成することもできる。
【0022】
第2シート部分26は、第1シート部分22の後縁22bに沿って配置される前縁26aと、前縁26aの反対側で漏れ防止部14の末端に位置する後縁26bと、前縁26a及び後縁26bの双方にそれぞれ交差する互いに反対側の上縁26c及び下縁26dと、互いに反対側の内面26e及び外面26fとを有する。第2シート部分26の前縁26a及び後縁26bは、第1シート部分22の後縁22bと略同一の長さを有し、第2シート部分26の上縁26c及び下縁26dはそれぞれ、第1シート部分22の上縁22c及び下縁22dと略同一の長さを有する。第2シート部分26は、その前縁26a、上縁26c及び下縁26dを、第1シート部分22の後縁22bの全体、上縁22cの全体及び下縁22dの全体にそれぞれ実質的に揃えた状態で、外面26fを第1シート部分22の外面22fに対向させて、第1シート部分22の全体に重ね合わせて配置される。
【0023】
第2接続部28は、第1シート部分22の後縁22b及び第2シート部分26の前縁26aに沿って形成されて、第2シート部分26の前縁26aを第1シート部分22の後縁22bに接続する。図示構成では、第2接続部28は、第1シート部分22の後縁22b及び第2シート部分26の前縁26aの全長に渡って形成され、第2接続部28を通した漏れの発生を防止している。なお、第2接続部28の存在による漏れ率の悪化を許容範囲に抑制できることを前提として、第1シート部分22の後縁22b及び第2シート部分26の前縁26aに沿って分散配置される複数の第2接続部28を形成することもできる。
【0024】
第3接続部30は、マスク本体12の上縁12cの一部分、第1シート部分22の上縁22c及び第2シート部分26の上縁26cに沿って形成される。また、もう1つの第3接続部30が、マスク本体12の下縁12dの一部分、第1シート部分22の下縁22d及び第2シート部分26の下縁26dに沿って形成される。それら第3接続部30は、マスク本体12の上縁12cの一部分と第1シート部分22の上縁22cと第2シート部分26の上縁26cとを互いに接続(固定)するとともに、マスク本体12の下縁12dの一部分と第1シート部分22の下縁22dと第2シート部分26の下縁26dとを互いに接続(固定)する。
【0025】
図示構成では、マスク本体12の上縁12cの一部分、第1シート部分22の上縁22c及び第2シート部分26の上縁26cの全長に渡って1つの第3接続部30が形成されるとともに、マスク本体12の下縁12dの一部分、第1シート部分22の下縁22d及び第2シート部分26の下縁26dの全長に渡って他の第3接続部30が形成され、各第3接続部30を通した漏れの発生を防止している。なお、第3接続部30の存在による漏れ率の悪化を許容範囲に抑制できることを前提として、マスク本体12の上縁12cの一部分、第1シート部分22の上縁22c及び第2シート部分26の上縁26cに沿って分散配置される複数の第3接続部30を形成することもできる。同様に、マスク本体12の下縁12dの一部分、第1シート部分22の下縁22d及び第2シート部分26の下縁26dに沿って分散配置される複数の第3接続部30を形成することもできる。
【0026】
なお、図示構成に代えて、第1シート部分22の上縁22cをマスク本体12の上縁12の一部分のみに接続する第3接続部30と、第1シート部分22の下縁22dをマスク本体12の下縁12dの一部分のみに接続する第3接続部30とを備える構成とすることもできる。この構成では、ポケット状の折り重ね構造32は、マスク本体12と第1シート部分22との間のみに形成され、第1シート部分22と第2シート部分26との間には形成されない。
【0027】
また、第2シート部分26の上縁26cをマスク本体12の上縁12の一部分のみに接続する第3接続部30と、第2シート部分26の下縁26dをマスク本体12の下縁12dの一部分のみに接続する第3接続部30とを備える構成とすることもできる。この構成では、ポケット状の折り重ね構造32は、図示構成と同様に、マスク本体12と第1シート部分22との間、及び第1シート部分22と第2シート部分26との間の双方に形成される。
【0028】
また、第2シート部分26の上縁26cを第1シート部分22の上縁22cのみに接続する第3接続部30と、第2シート部分26の下縁26dを第1シート部分22の下縁22dのみに接続する第3接続部30とを備える構成とすることもできる。この構成では、ポケット状の折り重ね構造32は、第1シート部分22と第2シート部分26との間のみに形成され、マスク本体12と第1シート部分22との間には形成されない。
【0029】
第4接続部34は、第2シート部分26の後縁26bに近接し、かつ第2シート部分26の上縁26c及び下縁26dのそれぞれに近接する2箇所に形成されて、紐状の着装帯16の両端16aを個別に第2シート部分26に固定する。各第4接続部34は、マスク本体12を着装者の顔面上で安定して保持できるとともに、漏れ防止部14の折り重ね構造32を下記のように変位させるための張力を第2シート部分26に安定して加えることができる位置に、適宜形成される。
【0030】
ここで本発明において、「第1接続部とは異なる第2接続部」、「第1接続部及び第2接続部とは異なる第3接続部」、「第1接続部、第2接続部及び第3接続部とは異なる第4接続部」という事項は、位置、寸法、構造等の物理的条件の相違性を包含しているが、少なくとも位置の相違を必須要件とするものである。また、「第1接続部、第2接続部及び第3接続部」は、それらの協働により「ポケット状の折り重ね構造」を形成可能な位置、寸法、構造等を有するものである。
【0031】
マスク10の漏れ防止部14は、マスク着装に際し、図10に示す略平坦な折り重ね状態から、マスク本体12の内面12eに対し立ち上がる開放状態へ変位して、マスク本体12の側方へ延出し、その状態で着装者の両頬に接触することにより、マスク本体12の両側縁12a、12bと着装者の両頬との間を通した漏れを低減するように作用する。以下、図11〜図14を参照して、このような漏れ防止部14の特徴的な変位態様を説明する。
【0032】
漏れ防止部14は、マスク本体12のプリーツ付部分18を折り畳み位置(図1〜図3)から拡張位置(図4〜図9)に変位させる動作により、マスク本体12と第1シート部分22との間及び第1シート部分22と第2シート部分26との間に形成される折り重ね構造32(図10)が、略平坦な折り重ね状態(図11(a))からマスク本体12の内面12eに対し立ち上がる開放状態(図11(d))へ変位することができる。
【0033】
詳述すれば、まず、マスク本体12のプリーツ付部分18が折り畳み位置(図1〜図3)にあるときは、漏れ防止部14の各折り重ね構造32は、前述したようにマスク本体12と第1シート部分22と第2シート部分26とが互いに重なり合った略平坦な折り重ね状態を呈する(図11(a))。この状態から、マスク本体12の上縁12c及び下縁12d(図1)が互いに離反する方向へ、マスク本体12を僅かに拡張すると、プリーツ付部分18が内面12eを凹として僅かに椀状に変形する。それに伴い、マスク本体12の内面12eと第1シート部分22の内面22eとの間隔が僅かに広がって、マスク本体12と第1シート部分22との間の折り重ね構造32が、第1接続部24及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、あたかもポケットが膨張するように僅かに開放される(図11(b))。
【0034】
このとき同時に、内面12eの湾曲に追従してマスク本体12の側縁12a(図10)と第1シート部分22の前縁22a(図10)とが僅かに湾曲し、マスク本体12の上縁12cと下縁12dとの空間距離、及び第1シート部分22の上縁22c(図10)と下縁22d(図10)との空間距離が、側縁12a及び前縁22aに隣接する領域では僅かに狭まる。それに伴い、第2シート部分26の上縁26c(図10)と下縁26d(図10)との空間距離も、後縁26bに隣接する領域で僅かに狭まる。その結果、第2シート部分26が外面26f(図10)を凹として自動的に湾曲し、第1シート部分22の外面22f(図10)と第2シート部分26の外面26fとの間隔が僅かに広がって、第1シート部分22と第2シート部分26との間の折り重ね構造32が、第2接続部28及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、あたかもポケットが膨張するように僅かに開放される(図11(b))。
【0035】
この状態から、マスク本体12をさらに、上縁12c及び下縁12dが互いに離反する方向へ拡張すると、上記と同様の原理で、マスク本体12と第1シート部分22との間の折り重ね構造32、及び第1シート部分22と第2シート部分26との間の折り重ね構造32が、第1接続部24、第2接続部28及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、ポケットが膨張するようにさらに開放される(図11(c))。この状態から、マスク本体12を、プリーツ付部分18が椀状の拡張位置(図4〜図9)に至るまで十分に拡張すると、上記と同様の原理で、マスク本体12と第1シート部分22との間の折り重ね構造32、及び第1シート部分22と第2シート部分26との間の折り重ね構造32が、第1接続部24、第2接続部28及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、いずれもポケットが膨張するように十分に開放されて、マスク本体12の内面12eに対し立ち上がる開放状態を呈する(図11(d)、図13)。
【0036】
上記した変位態様に加えて、又はその代わりに、漏れ防止部14は、着装帯16に加わる張力により、マスク本体12と第1シート部分22との間及び第1シート部分22と第2シート部分26との間に形成される折り重ね構造32(図10)が、略平坦な折り重ね状態(図12(a))からマスク本体12の内面12eに対し立ち上がる開放状態(図12(d))へ変位することができる。
【0037】
詳述すれば、まず、マスク本体12のプリーツ付部分18が折り畳み位置(図1〜図3)にあるときは、漏れ防止部14の各折り重ね構造32は、前述したようにマスク本体12と第1シート部分22と第2シート部分26とが互いに重なり合った略平坦な折り重ね状態を呈する(図12(a))。この状態から、マスク本体12の外面12fから内面12eに向かう方向へ、着装帯16に僅かに張力Fを加えると、第2シート部分26が着装体16に引っ張られて第1シート部分22の外面22f(図10)と第2シート部分26の外面26f(図10)との間隔が僅かに広がり、第1シート部分22と第2シート部分26との間の折り重ね構造32が、第1接続部24及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、あたかもポケットが膨張するように僅かに開放される(図12(b))。同時に、第1シート部分22が第2シート部分26に引っ張られてマスク本体12の内面12e(図10)と第1シート部分22の内面22e(図10)との間隔が僅かに広がり、マスク本体12と第1シート部分22との間の折り重ね構造32が、第2接続部28及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、あたかもポケットが膨張するように僅かに開放される(図12(b))。
【0038】
この状態から、着装帯16にさらに張力Fを加えると、上記と同様の原理で、第1シート部分22と第2シート部分26との間の折り重ね構造32、及びマスク本体12と第1シート部分22との間の折り重ね構造32が、第1接続部24、第2接続部28及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、ポケットが膨張するようにさらに開放される(図12(c))。この状態から、着装帯16に、着装者がマスク10を顔面に着装したときに加わる張力に匹敵する張力Fを加えると、上記と同様の原理で、第1シート部分22と第2シート部分26との間の折り重ね構造32、及びマスク本体12と第1シート部分22との間の折り重ね構造32が、第1接続部24、第2接続部28及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、いずれもポケットが膨張するように十分に開放されて、マスク本体12の内面12eに対し立ち上がる開放状態を呈する(図12(d)、図13)。
【0039】
図14に示すように、マスク10を適正な使用状態で着装者の顔面に着装すると、マスク本体12のプリーツ付部分18が着装者の鼻及び口を覆う拡張位置に配置される(図14(a))とともに、着装者の耳に掛けた着装帯16から第4接続部34(図10)を経て第2シート部分26に加わる張力F(図14(b))により、漏れ防止部14の折り重ね構造32(図10)が上記した開放状態を呈する。折り重ね構造32が開放状態にある漏れ防止部14は、膨張したポケット状の形態でマスク本体12の側方へ延出し、マスク本体12の両側縁12a、12b(図1)と着装者の両頬との間に介在して、ある程度の形状保持性を発揮しながら両頬に接触する(図14(c))。マスク着装中には、第2シート部分26に接続された着装帯16の張力Fが、漏れ防止部14の実質的全体に行き渡り、折り重ね構造32の開放状態及び漏れ防止部14と顔面との接触状態を安定して維持するように作用する。
【0040】
したがって、マスク10によれば、マスク本体12の両側縁12a、12b(図1)と着装者の両頬との間を通した漏れが漏れ防止部14により効果的に阻止され、防護性能の一指標である漏れ率が効果的に低減(つまり向上)される。しかも漏れ防止部14は、マスク10の適正な着装状態で、マスク本体12の両側縁12a、12bから延長されて両側縁12a、12bと着装者の両頬との間を実質的に塞ぐ形状を有するだけのものであって、マスク本体12の形状や寸法を改変するものではないから、マスク10の外観を損なわない意匠性を有する。さらに、漏れ防止部14は、第1及び第2シート部分22、26を折り重ね可能に配置するだけの極めて単純な構造を有しているから、簡易な構成で安価に作製できる。
【0041】
本発明に係るマスクは、上記以外の様々な構成を有することができる。
例えば、プリーツ付部分を有さない単純構造のマスク本体を備えたマスク(例えばガーゼマスクとして知られている)にも、本発明を適用できる。図15は、この種のマスク10′の使用形態を示す。なおマスク10′は、プリーツ付部分18を有さない単純構造のマスク本体12′を備えている点以外は、前述したマスク10と実質的同一の構成を有するので、対応する構成要素には共通する符号を付してその説明を省略する。
【0042】
マスク10′を適正な使用状態で着装者の顔面に着装すると、マスク本体12′が着装者の鼻及び口を覆った状態(図15(a))で、着装者の耳に掛けた着装帯16に張力Fが生じる(図15(b))。したがって、漏れ防止部14の折り重ね構造32(図10)が、着装帯16に加わる張力Fにより前述した開放状態を呈し、漏れ防止部14がマスク本体12の側方へ延出して着装者の両頬に接触する(図15(c))。マスク着装中には、第2シート部分26に接続された着装帯16の張力Fが、漏れ防止部14の実質的全体に行き渡るので、折り重ね構造32の開放状態及び漏れ防止部14と顔面との接触状態が安定して維持される。したがって、マスク10′によっても、マスク本体12′の両側縁12a、12b(図1)と着装者の両頬との間を通した漏れが阻止され、防護性能の一指標である漏れ率が効果的に低減(つまり向上)される。しかも、漏れ防止部14は、マスク10′の適正な着装状態で、マスク本体12′の両側縁12a、12bから延長されて両側縁12a、12bと着装者の両頬との間を実質的に塞ぐ形状を有するだけのものであって、マスク本体12′の形状や寸法を改変するものではないから、マスク10′の外観を損なわない意匠性を有する。さらに、漏れ防止部14は、シート素材を折り畳んだ形態の極めて単純な構造を有しているから、簡易な構成で安価に作製できる。
【0043】
図16は、本発明のマスクで採用可能な漏れ防止部14の種々の形態を示す。例えば漏れ防止部14として、第1シート部分22と第2シート部分26とが実質的に同一の寸法及び形状を有する形態(図16(a))、第1シート部分22が第2シート部分26よりも大きな寸法及び形状を有する形態(図16(b))、又は第1シート部分22が第2シート部分26よりも小さな寸法及び形状を有する形態(図16(c))を採用できる。また、第1接続部24及び第2接続部28の位置が、前述した構成とは反対(つまり二つ折りの折り畳み方向が反対)の形態(図16(d))を採用することもできる。また、既述のように、第3接続部30がマスク本体12と第1シート部分22との間のみを接続する形態(図16(e))や、第3接続部30が第1シート部分22と第2シート部分26との間のみを接続する形態(図16(f))を採用することもできる。また、第2接続部28が、第1シート部分22の前縁22a及び後縁22b(図10)以外の中途部位に形成される形態(図16(g))や、第2シート部分26の前縁26a及び後縁26b(図10)以外の中途部位に形成される形態(図16(h))を採用することもできる。
【0044】
漏れ防止部14は、三つ折り以上の多重折りの形態を有することもできる(図16(i))。この形態では、第1接続部24と第1シート部分22との間、及び第2接続部28と第2シート部分26との間の、少なくとも一方に介在して、マスク本体12、第1シート部分22及び第2シート部分26に折り重ね可能に配置される追加シート部分36が設けられる。追加シート部分36は、第2接続部28と同様の折り目状の接続部を介することで、複数個連接させることもできる。これらいずれの形態を有する漏れ防止部14によっても、前述した格別の効果が奏される。
【0045】
図17は、本発明のマスクで採用可能な漏れ防止部14の第2シート部分26の種々の形態を示す。第2シート部分26の後縁26bは、漏れ防止部14の末端に位置するので、その形状が漏れ率の低減に直接的に影響を及ぼすことが予測される。例えば、第2シート部分26の後縁26bに、複数のスリット38を形成することができる(図17(a))。この形態によれば、スリット38で分割された第2シート部分26の複数の短冊状小片が、個々に着装者の顔面に沿うように接触するので、第2シート部分26と着装者の顔面との密着性を向上させることができる。また、着装者の使用感や意匠性を向上させるべく、第2シート部分26の後縁26bに切欠き40を設けたり(図17(b)、(c))、後縁26bを凹曲線状(図17(d)、(e))に形成したり凸曲線状(図17(f)、(g))に形成したりすることもできる。
【0046】
図18は、本発明のマスクで採用可能な漏れ防止部14の第3接続部30の種々の形態を示す。なお図18は、漏れ防止部14を、第3接続部30を非接続状態とした展開位置で示している。第3接続部30は、マスク本体12の上縁12c及び下縁12d(図10)の一部分、第1シート部分22の上縁22c及び下縁22d(図10)、並びに第2シート部分26の上縁26c及び下縁26d(図10)に沿って形成される前述した形態(図18(a))に限らず、それら上縁12c、22c、26c及び下縁12d、22d、26dから離れた位置に形成されてもよい。例えば、図16(e)の漏れ防止部14において、マスク本体12と第1シート部分22との間に形成される第3接続部30は、上縁12c、22c及び下縁12d、22dから離れて斜めに直線状に延びる形態(図18(b))や、上縁12c、22c及び下縁12d、22dから離れて曲線状に延びる形態(図18(c))を採用できる。同様に、図16(f)の漏れ防止部14において、第1シート部分22と第2シート部分26との間に形成される第3接続部30は、上縁22c、26c及び下縁22d、26dから離れて斜めに直線状に延びる形態(図18(d))や、曲線状に延びる形態(図示せず)を採用できる。また、図16(a)の漏れ防止部14において、マスク本体12と第1シート部分22と第2シート部分26との間に形成される第3接続部30は、上縁12c、22c、26c及び下縁12d、22d、26dから離れて斜めに直線状に延びる形態(図18(e))や、曲線状に延びる形態(図示せず)を採用できる。さらに、図18(f)に示すように、マスク本来の機能を損なわない範囲で、第3接続部30が形成されるマスク本体12の上縁12c及び下縁12dの一部分、第1シート部分22の上縁22c及び下縁22d、並びに第2シート部分26の上縁26c及び下縁26dを、斜めに形成することもできる。
【0047】
図19は、本発明のマスクで採用可能なマスク本体12のプリーツ付部分18の種々の形態を示す。なおプリーツ付部分18の形態自体は、漏れ防止部14の機能に影響を及ぼさない。プリーツ付部分18としては、いわゆるオメガ状の形態(図19(a)、(b))やルーバー状の形態(図19(c)、(d))を採用できる。
【0048】
本発明のマスクで採用可能な着装帯16は、図示の耳掛け式のものに限定されず、着装者の首や頭に取り付ける結び止め式のものであってもよい。また着装帯16は、ゴムのような弾性を有していてもよいし有していなくてもよい。いずれの構成においても、着装帯16は、漏れ防止部14の折り重ね構造32を開放位置に安定して保持し得る引張り力を発生できることが望ましい。
【0049】
本発明に係るマスクは、様々な素材から作製できる。
例えば、漏れ防止部14の第1シート部分22及び第2シート部分26は、樹脂フィルム、不織布、又は両者の組み合わせから作製できる。フィルムと不織布とを積層した素材を用いれば、少なくとも不織布を第1シート部分22及び第2シート部分26の内面22e、26eに配置することで、漏れ防止部14の肌触りが良くなり、着装者の使用感が向上する。この場合、不織布に所望の加工を施して、肌触りの向上、化粧落ちの防止等を実現することもできる。他方、フィルタ素材として使用可能な不織布を用いた場合は、マスク全体の濾過面積が増加するので、呼吸が楽になる。樹脂フィルムや不織布の材料としては、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、アクリル、ポリウレタン、ポリビニル等を採用できる。樹脂フィルムの製法としては、溶融押出成形法、溶液流延法、カレンダー成形法等を採用でき、不織布の製法としては、スパンボンド、メルトブローン、スパンデックス、ニードルパンチ、スパンレース、サーマルボンド、レジンボンド、ケミカルボンド、ステッチボンド等を採用できる。
【0050】
本発明に係るマスクは、様々な方法で作製できる。
例えば、第1シート部分22及び第2シート部分26を一体に有するシート素材を二つ折りに折り畳み、それらの上縁22c、26c同士及び下縁22d、26d同士を第3接続部30で固定したものを、漏れ防止部14の成形品として用意し、別途作製したマスク本体12の側縁12a(12b)及び上下縁12c、12dに、漏れ防止部14(成形品)を第1接続部24及び第3接続部30で固定し、第2シート部分26に着装帯16を固定することにより、マスク10を作製できる。
【0051】
また、第1シート部分22及び第2シート部分26を一体に有する長尺のシート素材を用意し、別途作製したマスク本体12の側縁12a(12b)にシート素材の縁(第1シート部分22の前縁22aになる部位)を第1接続部24で固定し、シート素材を第2接続部28で二つ折りに折り畳んだ後に、シート素材の上下縁(第1及び第2シート部分22、26の上縁22c、26c及び下縁22d、26dになる部位)をマスク本体12の上下縁12c、12dに第3接続部30で固定し、長尺のシート素材の余剰部分を切除し、第2シート部分26に着装帯16を固定することにより、マスク10を作製できる。
【0052】
第1接続部24、第2接続部28、第3接続部30及び第4接続部34を構成する固定手法としては、接着剤等による接着、両面テープ等による粘着、ミシン等による縫着、超音波融着、ヒートシール等を採用できる。また、第1接続部24、第2接続部28、第3接続部30及び第4接続部34を構成する固定部分は、線状に形成することでシール性を向上させることができ、或いは点状に形成することで柔軟性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0053】
10 マスク
12 マスク本体
14 漏れ防止部
16 着装帯
18 プリーツ付部分
22 第1シート部分
24 第1接続部
26 第2シート部分
28 第2接続部
30 第3接続部
32 折り重ね構造
34 第4接続部
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏れ防止部を備えたマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用や安全衛生用のマスクにおいては、防護性能の一指標である漏れ率を低減(つまり改善)するために、着装時にマスクと顔面との間に形成される隙間を可及的に削減することが要求されている。そこで従来、着装者の口及び鼻を覆うフィルタ素材のマスク本体と、マスク本体の内面又は周縁に設けられ、着装時に顔面に接触して漏れ率を低減する漏れ防止部とを備えたマスクが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1は、顔面を覆う本体部と、本体部に取り付けられた耳掛け紐と、本体部の内面の両側部に設けられ、本体部と顔面との隙間に介在する通気性のシートとを備えたマスクを開示する。特許文献1には、「図2(A)に示すように、この素材シート11の一方の縁部11bには、縦方向に延びるゴム糸などの弾性材12が複数本(または1本)縫い込みまたは接着などの手段により固定される。」(段落[0016])、「次に図2(B)に示すように、素材シート11の前記弾性材12が取り付けられているのと逆側の縁部11aが、本体部2の縫い合わせ部5と同じ工程で一緒に縫い付けられ、素材シート11の前記縁部11aが本体部2に取り付けられる。素材シート11が前記縫い合わせ部5に縫い付けられる部分を5aで示している。このとき、素材シート11の長さ寸法がH0からH1に縮められ、ギャザー(ひだ)13を寄せるようにして縫い付けが行われる。さらに図2(C)に示すように、素材シート11が折り返され、弾性材12を有する縁部11bが、縫い付け部5a側の縁部11aに重ねられ、縁部11bの上下端14,14のみが本体部2に縫いつけられて固定される。よって、この補助片10は立体ギャザー形状となり、本体部2の内面シート2b側が凹状に変形すると、前記弾性材12の弾性力により、補助片10が、本体部2の内面から顔面方向へ立体的に立ち上がるようになる(図2(D)参照)。」(段落[0017])と記載されている。
【0004】
また特許文献2は、通気性を有するシート材を山折り及び谷折りしてギャザーを形成し、ギャザーの両側端部に接着帯を形成してギャザーの各襞を両側端部で一体化したマスクにおいて、接着帯を加熱圧着することにより接着帯の上下端に渡って所定間隔で複数の融着凹部を形成し、接着帯の上端及び下端に耳掛紐の一端及び他端をそれぞれ取り付けたマスクを開示する。特許文献2には、「先ず、マスク上下辺部3、3aの中央を持って上下方に引き、ギャザー2の襞を引き伸ばした後、耳掛紐7、7aを両耳にかける。次に、上下辺部3、3aの鉤状部4、4aを鼻と顎に覆いかぶせる。すると、マスクの上下は鼻と顎にフィットし、また両側端部は各融着凹部6、6a…と、これに隣接する膨部8、8a…の境界にて折れ曲がって、恰も細かなギャザーが存するが如く、誠しやかに細かに変形し、頬の形に馴染んで気持ち良くフィットする。」(段落[0012])と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3681222号
【特許文献2】特開2007−167346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
医療用や安全衛生用のマスクに設けられる漏れ防止部は、簡易な構成で安価に作製できること、着装中に漏れ防止部と顔面との接触状態を安定して維持できること、着装時のマスクの外観を損なわない意匠性を有すること等が所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、着装時にマスク本体と顔面との間に介在して漏れ率を効果的に低減できる新規な漏れ防止部を備えたマスクを提供するものである。
【0008】
一態様では、マスク本体と、マスク本体に付設される漏れ防止部と、マスク着装に用いられる着装帯とを具備するマスクにおいて、漏れ防止部は、マスク本体に重ね合わせ可能に配置される第1シート部分と、第1シート部分をマスク本体に接続する第1接続部と、第1シート部分に重ね合わせ可能に配置される第2シート部分と、第1接続部とは異なる第2接続部であって、第2シート部分を第1シート部分に接続する第2接続部と、第1接続部及び第2接続部とは異なる第3接続部であって、第1シート部分をマスク本体に接続する機能、第2シート部分をマスク本体に接続する機能、及び第2シート部分を第1シート部分に接続する機能のうちの、少なくとも1つの機能を有して、マスク本体と第1シート部分との間、及び第1シート部分と第2シート部分との間の、少なくとも一方に、ポケット状の折り重ね構造を形成する第3接続部と、第1接続部、第2接続部及び第3接続部とは異なる第4接続部であって、着装帯を第2シート部分に接続する第4接続部とを具備すること、を特徴とするマスクを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係るマスクは、着装者の顔面に着装したときに、漏れ防止部のポケット状の折り重ね構造が、第1接続部、第2接続部及び第3接続部のそれぞれにおける接続形態を維持したままマスク本体と第1シート部分と第2シート部分とが互いに離れるように変位することで、あたかもポケットが膨張するように開放される。それにより漏れ防止部は、膨張したポケット状の形態でマスク本体の外方へ延出し、マスク本体と着装者の顔面との間に介在して、着装者の両頬に接触する。マスク着装中には、第2シート部分に接続された着装帯が、折り重ね構造の開放状態及び漏れ防止部と顔面との接触状態を安定して維持するように作用する。
【0010】
したがって、本発明の一態様に係るマスクによれば、マスク本体と着装者の顔面との間を通した漏れが漏れ防止部により効果的に阻止され、防護性能の一指標である漏れ率が効果的に低減(つまり向上)される。しかも漏れ防止部は、マスク着装時にマスク本体から延長されてマスク本体と着装者の顔面との間を実質的に塞ぐ形状を有するだけのものであって、マスク本体の形状や寸法を改変するものではないから、マスクの外観を損なわない意匠性を有する。さらに、漏れ防止部は、第1及び第2シート部分を重ね合わせ可能に配置するだけの極めて単純な構造を有しているから、簡易な構成で安価に作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態によるマスクを平坦な折り畳み位置で示す平面図(外面)である。
【図2】図1のマスクを平坦な折り畳み位置で示す平面図(内面)である。
【図3】図1のマスクを平坦な折り畳み位置で示す斜視図(内面)である。
【図4】図1のマスクを椀状に膨出する拡張位置で示す平面図(外面)である。
【図5】図1のマスクを椀状に膨出する拡張位置で示す斜視図(図4矢印V方向)である。
【図6】図1のマスクを椀状に膨出する拡張位置で示す斜視図(図4矢印VI方向)である。
【図7】図1のマスクを椀状に膨出する拡張位置で示す平面図(内面)である。
【図8】図1のマスクを椀状に膨出する拡張位置で示す斜視図(図7矢印VIII方向)である。
【図9】図1のマスクを椀状に膨出する拡張位置で示す斜視図(図7矢印IX方向)である。
【図10】図1のマスクの漏れ防止部を模式図的に示す図で、(a)図2矢印Xa−Xaに沿った断面図、(b)図2矢印Xb−Xbに沿った断面図、(c)図2矢印Xc方向に見た側面図である。
【図11】図10の漏れ防止部の変位態様を説明する図で、(a)折り重ね構造の折り重ね状態、(b)折り重ね構造の僅かな開放状態、(c)折り重ね構造のさらなる開放状態、(d)折り重ね構造の完全な開放状態を、それぞれ示す。
【図12】図10の漏れ防止部の他の変位態様を説明する図で、(a)折り重ね構造の折り重ね状態、(b)折り重ね構造の僅かな開放状態、(c)折り重ね構造のさらなる開放状態、(d)折り重ね構造の完全な開放状態を、それぞれ示す。
【図13】図10の漏れ防止部の他の変位態様を説明する図で、折り重ね構造の完全な開放状態を示す部分拡大断面図である。
【図14】図1のマスクを着装者の顔面に着装した状態を示す斜視図で、(a)斜め前方から見た図、(b)側方から見た図、(c)斜め後方から見た図である。
【図15】変形例によるマスクを着装者の顔面に着装した状態を示す斜視図で、(a)斜め前方から見た図、(b)側方から見た図、(c)斜め後方から見た図である。
【図16】漏れ防止部の種々の変形例を示す図である。
【図17】漏れ防止部の種々の変形例を示す図である。
【図18】漏れ防止部の種々の変形例を示す図である。
【図19】プリーツ付部分の種々の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1〜図9は、本発明の一実施形態によるマスク10を示す。マスク10は、医療用途や安全衛生用途で使用できるものであるが、本発明のマスクの用途は限定されない。
【0013】
マスク10は、着装者の口及び鼻(図示せず)を覆うシート状フィルタ素材(例えば不織布、ガーゼ等)からなるマスク本体12と、マスク本体12に付設され、マスク着装時に着装者の顔面に接触して、防護性能の一指標である漏れ率を低減(つまり改善)する漏れ防止部14と、マスク着装に用いられる着装帯16とを備える。
【0014】
マスク本体12は、互いに反対側の左右両側縁12a、12bと、それら側縁12a、12bにそれぞれ交差する互いに反対側の上縁12c及び下縁12dと、互いに反対側の内面12e及び外面12fとを有する。マスク10の適正な使用状態で、マスク本体12の両側縁12a、12bは着装者の両頬に沿って縦方向へ延びるように配置され、上縁12cは着装者の鼻及び両頬に沿って横方向へ延びるように配置され、下縁12dは着装者の下顎に沿って横方向へ延びるように配置され、内面12eは着装者の鼻及び口に対向して配置され、外面12fは着装者の顔面に対し外向きに配置される。
【0015】
マスク本体12は、平坦な折り畳み位置(図1〜図3)と椀状に膨出する拡張位置(図4〜図9)との間で変位可能なプリーツ付部分18を備えている。プリーツ付部分18には、マスク本体12の両側縁12a、12bの間に延びる折り目を有する複数のプリーツ20が形成される。それらプリーツ20は、マスク本体12のシート状フィルタ素材を適当に折り重ねて形成され、折り重なった素材同士がマスク本体12の両側縁12a、12bに沿った部位で一体的に固着されることにより、プリーツ付部分18が形成される。プリーツ付部分18を備えたマスク10は、マスク保管/運搬時にマスク本体12を平面視で矩形の平坦形状に畳む(図1〜図3)ことができるとともに、マスク着装時に上縁12c及び下縁12dが互いに離反する方向へマスク本体12を拡張して椀状の膨出形状にする(図4〜図9)ことができる。なお、マスク本体12の上縁12cには、マスク着装時に着装者の鼻及び頬に沿って変形してマスク本体12の上縁12cと顔面との密着性を向上させる図示しないノーズクリップを設置できる。
【0016】
漏れ防止部14は、マスク本体12の、互いに反対側に位置する一対の側部(つまり両側縁12a、12bに隣接する領域)の双方に設けられる。なお、マスク10の用途等に応じて、漏れ防止部14を、マスク本体12の、互いに反対側に位置する一対の側部のいずれか一方に設けることもできる。マスク本体12の両側部に設けられる漏れ防止部14は、互いに同一の構成を有する。なお、マスク本体12の両側部に設けられる漏れ防止部14を、互いに異なる構成とすることもできる。以下、マスク本体12の一方の側縁12aに隣接する漏れ防止部14の構成を、図10を参照して説明する。なお図10は、プリーツ付部分18が折り畳み位置にあるときの漏れ防止部14の構成を模式図的に示すものであり、理解を助けるために、マスク本体12と第1シート部分22と第2シート部分26とを互いに若干離隔させて描いているが、それらは互いに接触していてもよい。
【0017】
漏れ防止部14は、マスク本体12に重ね合わせ可能に配置される第1シート部分22と、第1シート部分22をマスク本体12に接続する第1接続部24と、第1シート部分22に重ね合わせ可能に配置される第2シート部分26と、第1接続部24とは異なる第2接続部28であって、第2シート部分26を第1シート部分22に接続する第2接続部28と、第1接続部24及び第2接続部28とは異なる第3接続部30であって、第1シート部分22をマスク本体12に接続する機能、第2シート部分26をマスク本体12に接続する機能、及び第2シート部分26を第1シート部分22に接続する機能のうちの、少なくとも1つの機能を有して、マスク本体12と第1シート部分22との間、及び第1シート部分22と第2シート部分26との間の、少なくとも一方に、ポケット状の折り重ね構造32を形成する第3接続部30と、第1接続部24、第2接続部28及び第3接続部30とは異なる第4接続部34であって、着装帯16を第2シート部分26に接続する第4接続部34とを備えて構成される。
【0018】
図示構成では、漏れ防止部14は、平面視で矩形のシート素材を二つ折りに折り畳んだ形態を有する。したがって、第1シート部分22と第2シート部分26とは、互いに一体に作製されて、第2接続部28で互いに連接されている。なお、第2接続部28は、折り目を有していてもよいし有していなくてもよい。他方、マスク本体12と第1シート部分22とは、互いに別体に作製されて、第1接続部24により互いに固定されている。また、第2シート部分26と着装帯16とは、互いに別体に作製されて、第4接続部34により互いに固定されている。
【0019】
漏れ防止部14は、上記以外の様々な形態を有することができる。例えば、マスク本体12と第1シート部分22とを、互いに一体に作製して、折り目となる第1接続部24で互いに連接する構成とすることができる。また、第1シート部分22と第2シート部分26とを、互いに別体に作製して、第2接続部28により互いに固定する構成とすることができる。また、第2シート部分26と着装帯16とを、互いに一体に作製して、第4接続部34で互いに連接する構成とすることができる。漏れ防止部14の他の種々の変形形態については後述する。
【0020】
第1シート部分22は、マスク本体12の側縁12aに沿って配置される前縁22aと、前縁22aの反対側で漏れ防止部14の中途に位置する後縁22bと、前縁22a及び後縁22bの双方にそれぞれ交差する互いに反対側の上縁22c及び下縁22dと、互いに反対側の内面22e及び外面22fとを有する。第1シート部分22の前縁22a及び後縁22bは、マスク本体12の側縁12aと略同一の長さを有し、第1シート部分22の上縁22c及び下縁22dはそれぞれ、マスク本体12の上縁12c及び下縁12dよりも十分に短い長さを有する。第1シート部分22は、その前縁22a、上縁22c及び下縁22dを、マスク本体12の側縁12aの全体、側縁12aに隣接する上縁12cの一部分及び側縁12aに隣接する下縁12dの一部分にそれぞれ実質的に揃えた状態で、内面22eをマスク本体12の内面12eに対向させて、マスク本体12の側縁12aに沿った領域に重ね合わせて配置される。
【0021】
第1接続部24は、マスク本体12の側縁12a及び第1シート部分22の前縁22aに沿って形成されて、第1シート部分22の前縁22aをマスク本体12の側縁12aに固定する。図示構成では、第1接続部24は、マスク本体12の側縁12a及び第1シート部分22の前縁22aの全長に渡って形成され、第1接続部24を通した漏れの発生を防止している。なお、第1接続部24の存在による漏れ率の悪化を許容範囲に抑制できることを前提として、マスク本体12の側縁12a及び第1シート部分22の前縁22aに沿って分散配置される複数の第1接続部24を形成することもできる。
【0022】
第2シート部分26は、第1シート部分22の後縁22bに沿って配置される前縁26aと、前縁26aの反対側で漏れ防止部14の末端に位置する後縁26bと、前縁26a及び後縁26bの双方にそれぞれ交差する互いに反対側の上縁26c及び下縁26dと、互いに反対側の内面26e及び外面26fとを有する。第2シート部分26の前縁26a及び後縁26bは、第1シート部分22の後縁22bと略同一の長さを有し、第2シート部分26の上縁26c及び下縁26dはそれぞれ、第1シート部分22の上縁22c及び下縁22dと略同一の長さを有する。第2シート部分26は、その前縁26a、上縁26c及び下縁26dを、第1シート部分22の後縁22bの全体、上縁22cの全体及び下縁22dの全体にそれぞれ実質的に揃えた状態で、外面26fを第1シート部分22の外面22fに対向させて、第1シート部分22の全体に重ね合わせて配置される。
【0023】
第2接続部28は、第1シート部分22の後縁22b及び第2シート部分26の前縁26aに沿って形成されて、第2シート部分26の前縁26aを第1シート部分22の後縁22bに接続する。図示構成では、第2接続部28は、第1シート部分22の後縁22b及び第2シート部分26の前縁26aの全長に渡って形成され、第2接続部28を通した漏れの発生を防止している。なお、第2接続部28の存在による漏れ率の悪化を許容範囲に抑制できることを前提として、第1シート部分22の後縁22b及び第2シート部分26の前縁26aに沿って分散配置される複数の第2接続部28を形成することもできる。
【0024】
第3接続部30は、マスク本体12の上縁12cの一部分、第1シート部分22の上縁22c及び第2シート部分26の上縁26cに沿って形成される。また、もう1つの第3接続部30が、マスク本体12の下縁12dの一部分、第1シート部分22の下縁22d及び第2シート部分26の下縁26dに沿って形成される。それら第3接続部30は、マスク本体12の上縁12cの一部分と第1シート部分22の上縁22cと第2シート部分26の上縁26cとを互いに接続(固定)するとともに、マスク本体12の下縁12dの一部分と第1シート部分22の下縁22dと第2シート部分26の下縁26dとを互いに接続(固定)する。
【0025】
図示構成では、マスク本体12の上縁12cの一部分、第1シート部分22の上縁22c及び第2シート部分26の上縁26cの全長に渡って1つの第3接続部30が形成されるとともに、マスク本体12の下縁12dの一部分、第1シート部分22の下縁22d及び第2シート部分26の下縁26dの全長に渡って他の第3接続部30が形成され、各第3接続部30を通した漏れの発生を防止している。なお、第3接続部30の存在による漏れ率の悪化を許容範囲に抑制できることを前提として、マスク本体12の上縁12cの一部分、第1シート部分22の上縁22c及び第2シート部分26の上縁26cに沿って分散配置される複数の第3接続部30を形成することもできる。同様に、マスク本体12の下縁12dの一部分、第1シート部分22の下縁22d及び第2シート部分26の下縁26dに沿って分散配置される複数の第3接続部30を形成することもできる。
【0026】
なお、図示構成に代えて、第1シート部分22の上縁22cをマスク本体12の上縁12の一部分のみに接続する第3接続部30と、第1シート部分22の下縁22dをマスク本体12の下縁12dの一部分のみに接続する第3接続部30とを備える構成とすることもできる。この構成では、ポケット状の折り重ね構造32は、マスク本体12と第1シート部分22との間のみに形成され、第1シート部分22と第2シート部分26との間には形成されない。
【0027】
また、第2シート部分26の上縁26cをマスク本体12の上縁12の一部分のみに接続する第3接続部30と、第2シート部分26の下縁26dをマスク本体12の下縁12dの一部分のみに接続する第3接続部30とを備える構成とすることもできる。この構成では、ポケット状の折り重ね構造32は、図示構成と同様に、マスク本体12と第1シート部分22との間、及び第1シート部分22と第2シート部分26との間の双方に形成される。
【0028】
また、第2シート部分26の上縁26cを第1シート部分22の上縁22cのみに接続する第3接続部30と、第2シート部分26の下縁26dを第1シート部分22の下縁22dのみに接続する第3接続部30とを備える構成とすることもできる。この構成では、ポケット状の折り重ね構造32は、第1シート部分22と第2シート部分26との間のみに形成され、マスク本体12と第1シート部分22との間には形成されない。
【0029】
第4接続部34は、第2シート部分26の後縁26bに近接し、かつ第2シート部分26の上縁26c及び下縁26dのそれぞれに近接する2箇所に形成されて、紐状の着装帯16の両端16aを個別に第2シート部分26に固定する。各第4接続部34は、マスク本体12を着装者の顔面上で安定して保持できるとともに、漏れ防止部14の折り重ね構造32を下記のように変位させるための張力を第2シート部分26に安定して加えることができる位置に、適宜形成される。
【0030】
ここで本発明において、「第1接続部とは異なる第2接続部」、「第1接続部及び第2接続部とは異なる第3接続部」、「第1接続部、第2接続部及び第3接続部とは異なる第4接続部」という事項は、位置、寸法、構造等の物理的条件の相違性を包含しているが、少なくとも位置の相違を必須要件とするものである。また、「第1接続部、第2接続部及び第3接続部」は、それらの協働により「ポケット状の折り重ね構造」を形成可能な位置、寸法、構造等を有するものである。
【0031】
マスク10の漏れ防止部14は、マスク着装に際し、図10に示す略平坦な折り重ね状態から、マスク本体12の内面12eに対し立ち上がる開放状態へ変位して、マスク本体12の側方へ延出し、その状態で着装者の両頬に接触することにより、マスク本体12の両側縁12a、12bと着装者の両頬との間を通した漏れを低減するように作用する。以下、図11〜図14を参照して、このような漏れ防止部14の特徴的な変位態様を説明する。
【0032】
漏れ防止部14は、マスク本体12のプリーツ付部分18を折り畳み位置(図1〜図3)から拡張位置(図4〜図9)に変位させる動作により、マスク本体12と第1シート部分22との間及び第1シート部分22と第2シート部分26との間に形成される折り重ね構造32(図10)が、略平坦な折り重ね状態(図11(a))からマスク本体12の内面12eに対し立ち上がる開放状態(図11(d))へ変位することができる。
【0033】
詳述すれば、まず、マスク本体12のプリーツ付部分18が折り畳み位置(図1〜図3)にあるときは、漏れ防止部14の各折り重ね構造32は、前述したようにマスク本体12と第1シート部分22と第2シート部分26とが互いに重なり合った略平坦な折り重ね状態を呈する(図11(a))。この状態から、マスク本体12の上縁12c及び下縁12d(図1)が互いに離反する方向へ、マスク本体12を僅かに拡張すると、プリーツ付部分18が内面12eを凹として僅かに椀状に変形する。それに伴い、マスク本体12の内面12eと第1シート部分22の内面22eとの間隔が僅かに広がって、マスク本体12と第1シート部分22との間の折り重ね構造32が、第1接続部24及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、あたかもポケットが膨張するように僅かに開放される(図11(b))。
【0034】
このとき同時に、内面12eの湾曲に追従してマスク本体12の側縁12a(図10)と第1シート部分22の前縁22a(図10)とが僅かに湾曲し、マスク本体12の上縁12cと下縁12dとの空間距離、及び第1シート部分22の上縁22c(図10)と下縁22d(図10)との空間距離が、側縁12a及び前縁22aに隣接する領域では僅かに狭まる。それに伴い、第2シート部分26の上縁26c(図10)と下縁26d(図10)との空間距離も、後縁26bに隣接する領域で僅かに狭まる。その結果、第2シート部分26が外面26f(図10)を凹として自動的に湾曲し、第1シート部分22の外面22f(図10)と第2シート部分26の外面26fとの間隔が僅かに広がって、第1シート部分22と第2シート部分26との間の折り重ね構造32が、第2接続部28及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、あたかもポケットが膨張するように僅かに開放される(図11(b))。
【0035】
この状態から、マスク本体12をさらに、上縁12c及び下縁12dが互いに離反する方向へ拡張すると、上記と同様の原理で、マスク本体12と第1シート部分22との間の折り重ね構造32、及び第1シート部分22と第2シート部分26との間の折り重ね構造32が、第1接続部24、第2接続部28及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、ポケットが膨張するようにさらに開放される(図11(c))。この状態から、マスク本体12を、プリーツ付部分18が椀状の拡張位置(図4〜図9)に至るまで十分に拡張すると、上記と同様の原理で、マスク本体12と第1シート部分22との間の折り重ね構造32、及び第1シート部分22と第2シート部分26との間の折り重ね構造32が、第1接続部24、第2接続部28及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、いずれもポケットが膨張するように十分に開放されて、マスク本体12の内面12eに対し立ち上がる開放状態を呈する(図11(d)、図13)。
【0036】
上記した変位態様に加えて、又はその代わりに、漏れ防止部14は、着装帯16に加わる張力により、マスク本体12と第1シート部分22との間及び第1シート部分22と第2シート部分26との間に形成される折り重ね構造32(図10)が、略平坦な折り重ね状態(図12(a))からマスク本体12の内面12eに対し立ち上がる開放状態(図12(d))へ変位することができる。
【0037】
詳述すれば、まず、マスク本体12のプリーツ付部分18が折り畳み位置(図1〜図3)にあるときは、漏れ防止部14の各折り重ね構造32は、前述したようにマスク本体12と第1シート部分22と第2シート部分26とが互いに重なり合った略平坦な折り重ね状態を呈する(図12(a))。この状態から、マスク本体12の外面12fから内面12eに向かう方向へ、着装帯16に僅かに張力Fを加えると、第2シート部分26が着装体16に引っ張られて第1シート部分22の外面22f(図10)と第2シート部分26の外面26f(図10)との間隔が僅かに広がり、第1シート部分22と第2シート部分26との間の折り重ね構造32が、第1接続部24及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、あたかもポケットが膨張するように僅かに開放される(図12(b))。同時に、第1シート部分22が第2シート部分26に引っ張られてマスク本体12の内面12e(図10)と第1シート部分22の内面22e(図10)との間隔が僅かに広がり、マスク本体12と第1シート部分22との間の折り重ね構造32が、第2接続部28及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、あたかもポケットが膨張するように僅かに開放される(図12(b))。
【0038】
この状態から、着装帯16にさらに張力Fを加えると、上記と同様の原理で、第1シート部分22と第2シート部分26との間の折り重ね構造32、及びマスク本体12と第1シート部分22との間の折り重ね構造32が、第1接続部24、第2接続部28及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、ポケットが膨張するようにさらに開放される(図12(c))。この状態から、着装帯16に、着装者がマスク10を顔面に着装したときに加わる張力に匹敵する張力Fを加えると、上記と同様の原理で、第1シート部分22と第2シート部分26との間の折り重ね構造32、及びマスク本体12と第1シート部分22との間の折り重ね構造32が、第1接続部24、第2接続部28及び第3接続部30のそれぞれにおける接続形態を維持したまま、いずれもポケットが膨張するように十分に開放されて、マスク本体12の内面12eに対し立ち上がる開放状態を呈する(図12(d)、図13)。
【0039】
図14に示すように、マスク10を適正な使用状態で着装者の顔面に着装すると、マスク本体12のプリーツ付部分18が着装者の鼻及び口を覆う拡張位置に配置される(図14(a))とともに、着装者の耳に掛けた着装帯16から第4接続部34(図10)を経て第2シート部分26に加わる張力F(図14(b))により、漏れ防止部14の折り重ね構造32(図10)が上記した開放状態を呈する。折り重ね構造32が開放状態にある漏れ防止部14は、膨張したポケット状の形態でマスク本体12の側方へ延出し、マスク本体12の両側縁12a、12b(図1)と着装者の両頬との間に介在して、ある程度の形状保持性を発揮しながら両頬に接触する(図14(c))。マスク着装中には、第2シート部分26に接続された着装帯16の張力Fが、漏れ防止部14の実質的全体に行き渡り、折り重ね構造32の開放状態及び漏れ防止部14と顔面との接触状態を安定して維持するように作用する。
【0040】
したがって、マスク10によれば、マスク本体12の両側縁12a、12b(図1)と着装者の両頬との間を通した漏れが漏れ防止部14により効果的に阻止され、防護性能の一指標である漏れ率が効果的に低減(つまり向上)される。しかも漏れ防止部14は、マスク10の適正な着装状態で、マスク本体12の両側縁12a、12bから延長されて両側縁12a、12bと着装者の両頬との間を実質的に塞ぐ形状を有するだけのものであって、マスク本体12の形状や寸法を改変するものではないから、マスク10の外観を損なわない意匠性を有する。さらに、漏れ防止部14は、第1及び第2シート部分22、26を折り重ね可能に配置するだけの極めて単純な構造を有しているから、簡易な構成で安価に作製できる。
【0041】
本発明に係るマスクは、上記以外の様々な構成を有することができる。
例えば、プリーツ付部分を有さない単純構造のマスク本体を備えたマスク(例えばガーゼマスクとして知られている)にも、本発明を適用できる。図15は、この種のマスク10′の使用形態を示す。なおマスク10′は、プリーツ付部分18を有さない単純構造のマスク本体12′を備えている点以外は、前述したマスク10と実質的同一の構成を有するので、対応する構成要素には共通する符号を付してその説明を省略する。
【0042】
マスク10′を適正な使用状態で着装者の顔面に着装すると、マスク本体12′が着装者の鼻及び口を覆った状態(図15(a))で、着装者の耳に掛けた着装帯16に張力Fが生じる(図15(b))。したがって、漏れ防止部14の折り重ね構造32(図10)が、着装帯16に加わる張力Fにより前述した開放状態を呈し、漏れ防止部14がマスク本体12の側方へ延出して着装者の両頬に接触する(図15(c))。マスク着装中には、第2シート部分26に接続された着装帯16の張力Fが、漏れ防止部14の実質的全体に行き渡るので、折り重ね構造32の開放状態及び漏れ防止部14と顔面との接触状態が安定して維持される。したがって、マスク10′によっても、マスク本体12′の両側縁12a、12b(図1)と着装者の両頬との間を通した漏れが阻止され、防護性能の一指標である漏れ率が効果的に低減(つまり向上)される。しかも、漏れ防止部14は、マスク10′の適正な着装状態で、マスク本体12′の両側縁12a、12bから延長されて両側縁12a、12bと着装者の両頬との間を実質的に塞ぐ形状を有するだけのものであって、マスク本体12′の形状や寸法を改変するものではないから、マスク10′の外観を損なわない意匠性を有する。さらに、漏れ防止部14は、シート素材を折り畳んだ形態の極めて単純な構造を有しているから、簡易な構成で安価に作製できる。
【0043】
図16は、本発明のマスクで採用可能な漏れ防止部14の種々の形態を示す。例えば漏れ防止部14として、第1シート部分22と第2シート部分26とが実質的に同一の寸法及び形状を有する形態(図16(a))、第1シート部分22が第2シート部分26よりも大きな寸法及び形状を有する形態(図16(b))、又は第1シート部分22が第2シート部分26よりも小さな寸法及び形状を有する形態(図16(c))を採用できる。また、第1接続部24及び第2接続部28の位置が、前述した構成とは反対(つまり二つ折りの折り畳み方向が反対)の形態(図16(d))を採用することもできる。また、既述のように、第3接続部30がマスク本体12と第1シート部分22との間のみを接続する形態(図16(e))や、第3接続部30が第1シート部分22と第2シート部分26との間のみを接続する形態(図16(f))を採用することもできる。また、第2接続部28が、第1シート部分22の前縁22a及び後縁22b(図10)以外の中途部位に形成される形態(図16(g))や、第2シート部分26の前縁26a及び後縁26b(図10)以外の中途部位に形成される形態(図16(h))を採用することもできる。
【0044】
漏れ防止部14は、三つ折り以上の多重折りの形態を有することもできる(図16(i))。この形態では、第1接続部24と第1シート部分22との間、及び第2接続部28と第2シート部分26との間の、少なくとも一方に介在して、マスク本体12、第1シート部分22及び第2シート部分26に折り重ね可能に配置される追加シート部分36が設けられる。追加シート部分36は、第2接続部28と同様の折り目状の接続部を介することで、複数個連接させることもできる。これらいずれの形態を有する漏れ防止部14によっても、前述した格別の効果が奏される。
【0045】
図17は、本発明のマスクで採用可能な漏れ防止部14の第2シート部分26の種々の形態を示す。第2シート部分26の後縁26bは、漏れ防止部14の末端に位置するので、その形状が漏れ率の低減に直接的に影響を及ぼすことが予測される。例えば、第2シート部分26の後縁26bに、複数のスリット38を形成することができる(図17(a))。この形態によれば、スリット38で分割された第2シート部分26の複数の短冊状小片が、個々に着装者の顔面に沿うように接触するので、第2シート部分26と着装者の顔面との密着性を向上させることができる。また、着装者の使用感や意匠性を向上させるべく、第2シート部分26の後縁26bに切欠き40を設けたり(図17(b)、(c))、後縁26bを凹曲線状(図17(d)、(e))に形成したり凸曲線状(図17(f)、(g))に形成したりすることもできる。
【0046】
図18は、本発明のマスクで採用可能な漏れ防止部14の第3接続部30の種々の形態を示す。なお図18は、漏れ防止部14を、第3接続部30を非接続状態とした展開位置で示している。第3接続部30は、マスク本体12の上縁12c及び下縁12d(図10)の一部分、第1シート部分22の上縁22c及び下縁22d(図10)、並びに第2シート部分26の上縁26c及び下縁26d(図10)に沿って形成される前述した形態(図18(a))に限らず、それら上縁12c、22c、26c及び下縁12d、22d、26dから離れた位置に形成されてもよい。例えば、図16(e)の漏れ防止部14において、マスク本体12と第1シート部分22との間に形成される第3接続部30は、上縁12c、22c及び下縁12d、22dから離れて斜めに直線状に延びる形態(図18(b))や、上縁12c、22c及び下縁12d、22dから離れて曲線状に延びる形態(図18(c))を採用できる。同様に、図16(f)の漏れ防止部14において、第1シート部分22と第2シート部分26との間に形成される第3接続部30は、上縁22c、26c及び下縁22d、26dから離れて斜めに直線状に延びる形態(図18(d))や、曲線状に延びる形態(図示せず)を採用できる。また、図16(a)の漏れ防止部14において、マスク本体12と第1シート部分22と第2シート部分26との間に形成される第3接続部30は、上縁12c、22c、26c及び下縁12d、22d、26dから離れて斜めに直線状に延びる形態(図18(e))や、曲線状に延びる形態(図示せず)を採用できる。さらに、図18(f)に示すように、マスク本来の機能を損なわない範囲で、第3接続部30が形成されるマスク本体12の上縁12c及び下縁12dの一部分、第1シート部分22の上縁22c及び下縁22d、並びに第2シート部分26の上縁26c及び下縁26dを、斜めに形成することもできる。
【0047】
図19は、本発明のマスクで採用可能なマスク本体12のプリーツ付部分18の種々の形態を示す。なおプリーツ付部分18の形態自体は、漏れ防止部14の機能に影響を及ぼさない。プリーツ付部分18としては、いわゆるオメガ状の形態(図19(a)、(b))やルーバー状の形態(図19(c)、(d))を採用できる。
【0048】
本発明のマスクで採用可能な着装帯16は、図示の耳掛け式のものに限定されず、着装者の首や頭に取り付ける結び止め式のものであってもよい。また着装帯16は、ゴムのような弾性を有していてもよいし有していなくてもよい。いずれの構成においても、着装帯16は、漏れ防止部14の折り重ね構造32を開放位置に安定して保持し得る引張り力を発生できることが望ましい。
【0049】
本発明に係るマスクは、様々な素材から作製できる。
例えば、漏れ防止部14の第1シート部分22及び第2シート部分26は、樹脂フィルム、不織布、又は両者の組み合わせから作製できる。フィルムと不織布とを積層した素材を用いれば、少なくとも不織布を第1シート部分22及び第2シート部分26の内面22e、26eに配置することで、漏れ防止部14の肌触りが良くなり、着装者の使用感が向上する。この場合、不織布に所望の加工を施して、肌触りの向上、化粧落ちの防止等を実現することもできる。他方、フィルタ素材として使用可能な不織布を用いた場合は、マスク全体の濾過面積が増加するので、呼吸が楽になる。樹脂フィルムや不織布の材料としては、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、アクリル、ポリウレタン、ポリビニル等を採用できる。樹脂フィルムの製法としては、溶融押出成形法、溶液流延法、カレンダー成形法等を採用でき、不織布の製法としては、スパンボンド、メルトブローン、スパンデックス、ニードルパンチ、スパンレース、サーマルボンド、レジンボンド、ケミカルボンド、ステッチボンド等を採用できる。
【0050】
本発明に係るマスクは、様々な方法で作製できる。
例えば、第1シート部分22及び第2シート部分26を一体に有するシート素材を二つ折りに折り畳み、それらの上縁22c、26c同士及び下縁22d、26d同士を第3接続部30で固定したものを、漏れ防止部14の成形品として用意し、別途作製したマスク本体12の側縁12a(12b)及び上下縁12c、12dに、漏れ防止部14(成形品)を第1接続部24及び第3接続部30で固定し、第2シート部分26に着装帯16を固定することにより、マスク10を作製できる。
【0051】
また、第1シート部分22及び第2シート部分26を一体に有する長尺のシート素材を用意し、別途作製したマスク本体12の側縁12a(12b)にシート素材の縁(第1シート部分22の前縁22aになる部位)を第1接続部24で固定し、シート素材を第2接続部28で二つ折りに折り畳んだ後に、シート素材の上下縁(第1及び第2シート部分22、26の上縁22c、26c及び下縁22d、26dになる部位)をマスク本体12の上下縁12c、12dに第3接続部30で固定し、長尺のシート素材の余剰部分を切除し、第2シート部分26に着装帯16を固定することにより、マスク10を作製できる。
【0052】
第1接続部24、第2接続部28、第3接続部30及び第4接続部34を構成する固定手法としては、接着剤等による接着、両面テープ等による粘着、ミシン等による縫着、超音波融着、ヒートシール等を採用できる。また、第1接続部24、第2接続部28、第3接続部30及び第4接続部34を構成する固定部分は、線状に形成することでシール性を向上させることができ、或いは点状に形成することで柔軟性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0053】
10 マスク
12 マスク本体
14 漏れ防止部
16 着装帯
18 プリーツ付部分
22 第1シート部分
24 第1接続部
26 第2シート部分
28 第2接続部
30 第3接続部
32 折り重ね構造
34 第4接続部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体と、該マスク本体に付設される漏れ防止部と、マスク着装に用いられる着装帯とを具備するマスクにおいて、
前記漏れ防止部は、
前記マスク本体に重ね合わせ可能に配置される第1シート部分と、
該第1シート部分を前記マスク本体に接続する第1接続部と、
該第1シート部分に重ね合わせ可能に配置される第2シート部分と、
該第1接続部とは異なる第2接続部であって、該第2シート部分を該第1シート部分に接続する第2接続部と、
該第1接続部及び該第2接続部とは異なる第3接続部であって、該第1シート部分を前記マスク本体に接続する機能、該第2シート部分を前記マスク本体に接続する機能、及び該第2シート部分を該第1シート部分に接続する機能のうちの、少なくとも1つの機能を有して、前記マスク本体と該第1シート部分との間、及び該第1シート部分と該第2シート部分との間の、少なくとも一方に、ポケット状の折り重ね構造を形成する第3接続部と、
前記第1接続部、前記第2接続部及び前記第3接続部とは異なる第4接続部であって、前記着装帯を前記第2シート部分に接続する第4接続部とを具備すること、
を特徴とするマスク。
【請求項2】
前記マスク本体は、側縁と、該側縁にそれぞれ交差する互いに反対側の上縁及び下縁とを有し、該側縁に沿って前記第1接続部が形成され、前記第1シート部分は、前記漏れ防止部の中途に位置する後縁と、該後縁にそれぞれ交差する互いに反対側の上縁及び下縁とを有し、該後縁に沿って前記第2接続部が形成され、前記第2シート部分は、前記漏れ防止部の末端に位置する後縁と、該後縁にそれぞれ交差する互いに反対側の上縁及び下縁とを有する、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記第3接続部は、前記第1シート部分の前記上縁を前記マスク本体の前記上縁に接続するとともに、前記第1シート部分の前記下縁を前記マスク本体の前記下縁に接続する、請求項2に記載のマスク。
【請求項4】
前記第3接続部は、前記第2シート部分の前記上縁を前記第1シート部分の前記上縁に接続するとともに、前記第2シート部分の前記下縁を前記第1シート部分の前記下縁に接続する、請求項2又は3に記載のマスク。
【請求項5】
前記マスク本体は、平坦な折り畳み位置と膨出する拡張位置との間で変位可能なプリーツ付部分を備え、前記漏れ防止部は、該プリーツ付部分を該折り畳み位置から該拡張位置に変位させる動作により、前記マスク本体と前記第1シート部分との間及び前記第1シート部分と前記第2シート部分との間の少なくとも一方に形成される前記折り重ね構造が、折り重ね状態から開放状態へ変位する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項6】
前記漏れ防止部は、前記着装帯に加わる張力により、前記マスク本体と前記第1シート部分との間及び前記第1シート部分と前記第2シート部分との間の少なくとも一方に形成される前記折り重ね構造が、折り重ね状態から開放状態へ変位する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項1】
マスク本体と、該マスク本体に付設される漏れ防止部と、マスク着装に用いられる着装帯とを具備するマスクにおいて、
前記漏れ防止部は、
前記マスク本体に重ね合わせ可能に配置される第1シート部分と、
該第1シート部分を前記マスク本体に接続する第1接続部と、
該第1シート部分に重ね合わせ可能に配置される第2シート部分と、
該第1接続部とは異なる第2接続部であって、該第2シート部分を該第1シート部分に接続する第2接続部と、
該第1接続部及び該第2接続部とは異なる第3接続部であって、該第1シート部分を前記マスク本体に接続する機能、該第2シート部分を前記マスク本体に接続する機能、及び該第2シート部分を該第1シート部分に接続する機能のうちの、少なくとも1つの機能を有して、前記マスク本体と該第1シート部分との間、及び該第1シート部分と該第2シート部分との間の、少なくとも一方に、ポケット状の折り重ね構造を形成する第3接続部と、
前記第1接続部、前記第2接続部及び前記第3接続部とは異なる第4接続部であって、前記着装帯を前記第2シート部分に接続する第4接続部とを具備すること、
を特徴とするマスク。
【請求項2】
前記マスク本体は、側縁と、該側縁にそれぞれ交差する互いに反対側の上縁及び下縁とを有し、該側縁に沿って前記第1接続部が形成され、前記第1シート部分は、前記漏れ防止部の中途に位置する後縁と、該後縁にそれぞれ交差する互いに反対側の上縁及び下縁とを有し、該後縁に沿って前記第2接続部が形成され、前記第2シート部分は、前記漏れ防止部の末端に位置する後縁と、該後縁にそれぞれ交差する互いに反対側の上縁及び下縁とを有する、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記第3接続部は、前記第1シート部分の前記上縁を前記マスク本体の前記上縁に接続するとともに、前記第1シート部分の前記下縁を前記マスク本体の前記下縁に接続する、請求項2に記載のマスク。
【請求項4】
前記第3接続部は、前記第2シート部分の前記上縁を前記第1シート部分の前記上縁に接続するとともに、前記第2シート部分の前記下縁を前記第1シート部分の前記下縁に接続する、請求項2又は3に記載のマスク。
【請求項5】
前記マスク本体は、平坦な折り畳み位置と膨出する拡張位置との間で変位可能なプリーツ付部分を備え、前記漏れ防止部は、該プリーツ付部分を該折り畳み位置から該拡張位置に変位させる動作により、前記マスク本体と前記第1シート部分との間及び前記第1シート部分と前記第2シート部分との間の少なくとも一方に形成される前記折り重ね構造が、折り重ね状態から開放状態へ変位する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項6】
前記漏れ防止部は、前記着装帯に加わる張力により、前記マスク本体と前記第1シート部分との間及び前記第1シート部分と前記第2シート部分との間の少なくとも一方に形成される前記折り重ね構造が、折り重ね状態から開放状態へ変位する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマスク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−194067(P2011−194067A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65007(P2010−65007)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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