説明

演出用バーナ

【課題】静止燃焼状態と躍動燃焼状態との2つの燃焼状態を形成することができ、火炎による演出効果を一層際立たせることができる演出用バーナを提供すること。
【解決手段】演出用バーナ1は、空気Aを通過させるための空気ドラフト管2と、空気ドラフト管2の内側に配設した第1燃料ノズル3と、空気ドラフト管2の外側に配設した第2燃料ノズル4とを有している。演出用バーナ1は、静止燃焼状態においては、第1燃料ノズル3から噴出させた第1燃料ガスF1を燃焼させ、空気ドラフト管2における上端開口部202から、静止状態の第1演出用火炎を形成し、躍動燃焼状態においては、第1燃料ノズル3から噴出させた第1燃料ガスF1を燃焼させると共に、第2燃料ノズル4から噴出させた第2燃料ガスF2を燃焼させ、空気ドラフト管2における上端開口部202から、躍動状態の第2演出用火炎を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスを燃焼させて、演出用火炎を形成するよう構成した演出用バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
コンサートホールやテーマパーク等では、演出用火炎を形成するための各種演出用バーナが使用されている。例えば、特許文献1においては、装飾用ガスバーナにおいて、酸素濃度が1%以下のガス燃料を熱分解させて浮遊炭素粒子と水素を発生させる。そして、この浮遊炭素粒子と水素を当該装飾用ガスバーナから噴出させ、その周囲の空気と燃焼させることにより、ローソクのように輝度が高く、かつ装飾性の高い炎を形成している。また、ガス燃料の加熱温度を変更することにより、炎の輝度を調整している。
【0003】
しかしながら、特許文献1の装飾用ガスバーナは、ローソクのような炎を形成することのみを目的としている。そのため、火炎による演出効果を一層際立たせるためには更なる工夫が必要とされる。
【0004】
【特許文献1】特許第2708421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、静止燃焼状態と躍動燃焼状態との2つの燃焼状態を形成することができ、火炎による演出効果を一層際立たせることができる演出用バーナを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下端開口部から上端開口部へと空気を通過させるための空気ドラフト管と、
該空気ドラフト管の内側に配設され、第1燃料ガスを噴出させるための第1燃料ノズルと、
上記空気ドラフト管の外側に配設され、第2燃料ガスを噴出させるための第2燃料ノズルとを有しており、
上記第1燃料ノズルから噴出させた上記第1燃料ガスを燃焼させ、上記空気ドラフト管における上記上端開口部から、静止状態の第1演出用火炎を形成する静止燃焼状態と、
上記第1燃料ノズルから噴出させた上記第1燃料ガスを燃焼させると共に、上記第2燃料ノズルから噴出させた上記第2燃料ガスを燃焼させ、上記空気ドラフト管における上記上端開口部から、躍動状態の第2演出用火炎を形成する躍動燃焼状態とを形成するよう構成してなることを特徴とする演出用バーナにある(請求項1)。
【0007】
本発明の演出用バーナは、2つの燃焼状態を形成することにより、演出用火炎による演出効果を一層際立たせる工夫を行っている。
すなわち、本発明の演出用バーナは、上記空気ドラフト管、第1燃料ノズル及び第2燃料ノズルを有している。
そして、演出用バーナによる静止燃焼状態を形成する際には、第1燃料ノズルから第1燃料ガスを噴出させる。このとき、第1燃料ガスの上昇流に伴い、空気ドラフト管内の空気が上昇し、空気ドラフト管内には、その下端開口部から空気が流入する。
【0008】
そして、空気ドラフト管における上端開口部から第1燃料ガス及び空気が流出して燃焼する。このとき、空気ドラフト管における上端開口部から流出する第1燃料ガスは、上端開口部から流出する空気によって囲まれた状態で燃焼する。
こうして、第1燃料ガスの燃焼による火炎は、空気ドラフト管における上端開口部から、ほとんど静止した状態の第1演出用火炎を形成することができる。
【0009】
一方、演出用バーナによる躍動燃焼状態を形成する際には、第1燃料ノズルから第1燃料ガスを噴出させると共に、第2燃料ノズルから第2燃料ガスを噴出させる。このとき、第1燃料ガスの上昇流に伴い、空気ドラフト管内の空気が上昇し、空気ドラフト管内には、その下端開口部から空気が流入する。
そして、空気ドラフト管における上端開口部から第1燃料ガス及び空気が流出して燃焼すると共に、第2燃料ノズルから噴出された第2燃料ガスが燃焼する。
【0010】
このとき、第1燃料ガスの燃焼による火炎の周囲に、第2燃料ガスの燃焼による火炎が形成される。また、第2燃料ガスの燃焼による火炎は、上端開口部から流出する空気によって、第1燃料ガスによる火炎と一体化してしまうことが抑制され、上方に向けて移動するように形成される。また、第1燃料ガスの燃焼及び第2燃料ガスの燃焼による火炎全体は、断面外形の小さな部分と断面外形の大きな部分とによって形成され、断面外形の大きな部分が繰り返し上方に向けて移動するようにして形成される。
こうして、第1燃料ガスの燃焼及び第2燃料ガスの燃焼による火炎全体は、空気ドラフト管における上端開口部から、躍動する状態の第2演出用火炎を形成することができる。
【0011】
それ故、本発明の演出用バーナによれば、静止燃焼状態と躍動燃焼状態との2つの燃焼状態を形成することができ、火炎による演出効果を一層際立たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記バーナを使用する周囲の環境下は、できるだけ無風状態に近いことが好ましい。この場合には、上記静止状態の第1演出用火炎の形成が容易になる。
また、上記静止状態の第1演出用火炎は、上記バーナの周囲の環境下の影響を受けて若干揺れることもある。この場合でも、上記バーナの構成により、第1演出用火炎の揺れを抑制することができ、ほとんど静止した状態の第1演出用火炎を形成することができる。
【0013】
また、上記空気ドラフト管は、上記第1燃料ノズルとの間に形成した環状の第1空気通路と、該第1空気通路の上方に形成した第2空気通路とを備えており、上記第2燃料ノズルは、上記第2空気通路の外側に配設することが好ましい(請求項2)。
【0014】
この場合には、第1燃料ノズルから第1燃料ガスを噴出させるときには、第1空気通路内における空気を、第1燃料ガスの上昇流に伴って第2空気通路内へ導き、第2空気通路の上端に位置する上端開口部から第1燃料ガスを囲む状態で流出させることができる。これにより、静止状態の第1演出用火炎を容易に形成することができる。
また、第1燃料ノズルから第1燃料ガスを噴出させると共に第2燃料ノズルから第2燃料ガスを噴出させるときには、第1燃料ガスの燃焼による火炎と第2燃料ガスの燃焼による火炎とを一層適切に形成することができ、躍動状態の第2演出用火炎を容易に形成することができる。
【0015】
また、上記第2空気通路は、上方に向けて通路断面積が縮小するテーパ形状を有していることが好ましい(請求項3)。
この場合には、第2空気通路内を通過する空気の流れを、第1燃料ガスの流れの中心側に向けて絞ることができ、静止状態の第1演出用火炎を適切な長さ及び形状で形成することができる。
【0016】
また、上記第2燃料ノズルは、斜め外方に向けて開口する第2燃料噴出孔を有していることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記第2演出用火炎を形成する際に、第2燃料ノズルにおける第2燃料噴出孔から斜め外方に向けて第2燃料ガスを噴出させることができる。これにより、第2燃料ガスが、空気ドラフト管における開口上端部から流出する第1燃料ガスと一体化されてしまうことを一層適切に抑制して、第2燃料ガスの燃焼による火炎の膨らみを適切に大きく形成することができる。そのため、上記躍動状態の第2演出用火炎による演出効果を一層際立たせることができる。
【0017】
また、上記第2燃料ノズルは、上記第1燃料ノズルから噴出させる上記第1燃料ガスよりも多い噴出量で上記第2燃料ガスを噴出させるよう構成することが好ましい(請求項5)。この場合には、第2燃料ガスの燃焼による火炎の膨らみを一層適切に大きく形成することができ、上記躍動状態の第2演出用火炎による演出効果を一層際立たせることができる。
【0018】
また、第1燃料ガスよりも多い噴出量で第2燃料ガスを噴出させる構造としては、例えば、第2燃料ノズルにおける第2燃料噴出孔の合計の開口面積を、第1燃料ノズルにおける第1燃料噴出孔の合計の開口面積よりも大きくすることによって実現することができる。
また、第1燃料ガスよりも多い噴出量で第2燃料ガスを噴出させるために、第2燃料ノズルに供給する第2燃料ガスの圧力を、第1燃料ノズルに供給する第1燃料ガスの圧力よりも大きくすることもできる。
【0019】
また、上記第1燃料ノズルは、その外周にノズル側加熱用ヒータを備えていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、ノズル側加熱用ヒータにより、第1燃料ノズルから噴出させる第1燃料ガスを加熱することができる。そのため、特に、第1演出用火炎を形成する際には、第1演出用火炎を静止させることが容易になる。また、ノズル側加熱用ヒータによって燃焼運転開始前の演出用バーナを加熱しておくことにより、燃焼運転開始後に第1演出用火炎を形成する際に、第1演出用火炎を迅速に静止させることができる。
【0020】
また、上記空気ドラフト管は、その外周にドラフト管側加熱用ヒータを備えていることが好ましい(請求項7)。
この場合には、ドラフト管側加熱用ヒータにより、空気ドラフト管内を通過する空気を加熱することができる。そのため、特に、第1演出用火炎を形成する際には、第1燃料ガスの噴出に伴い空気ドラフト管内における空気を適切に上昇させることができ、第1演出用火炎を静止させることが容易になる。また、ドラフト管側加熱用ヒータによって燃焼運転開始前の演出用バーナを加熱しておくことにより、燃焼運転開始後に第1演出用火炎を形成する際に、第1演出用火炎を迅速に静止させることができる。
【実施例】
【0021】
以下に、本発明の演出用バーナ1にかかる実施例につき、図面と共に説明する。
本例の演出用バーナ1は、図1〜図8に示すごとく、コンサートホール又はテーマパーク等において、2種類の演出用火炎H1、H2を形成することにより、火炎が持つ視覚的効果を利用して演出を行うものである。
この演出用バーナ1は、図1に示すごとく、下端開口部201から上端開口部202へと空気Aを通過させるための空気ドラフト管2と、空気ドラフト管2の内側に配設され第1燃料ガスF1を噴出させるための第1燃料ノズル3と、空気ドラフト管2の外側に配設され第2燃料ガスF2を噴出させるための第2燃料ノズル4とを有している。
【0022】
そして、演出用バーナ1は、以下の静止燃焼状態101と躍動燃焼状態102との2つの燃焼状態を形成するよう構成されている。
すなわち、演出用バーナ1は、図6に示すごとく、静止燃焼状態101においては、第1燃料ノズル3から噴出させた第1燃料ガスF1を燃焼させ、空気ドラフト管2における上端開口部202から、静止状態の第1演出用火炎H1を形成するよう構成されている。また、演出用バーナ1は、図7に示すごとく、躍動燃焼状態102においては、第1燃料ノズル3から噴出させた第1燃料ガスF1を燃焼させると共に、第2燃料ノズル4から噴出させた第2燃料ガスF2を燃焼させ、空気ドラフト管2における上端開口部202から、躍動状態の第2演出用火炎H2を形成するよう構成されている。
【0023】
以下に、本例の演出用バーナ1につき詳説する。
図1に示すごとく、上記第1燃料ノズル3は、第1燃料ガスF1を通過させる第1燃料供給管33の上方先端部に配設されている。この第1燃料供給管33は、その軸方向を鉛直方向に向けて設置されている。また、上記空気ドラフト管2は、筒形状(本例では円筒形状)を有しており、その軸方向を鉛直方向に向けて配設されている。
また、図1、図3に示すごとく、空気ドラフト管2における下端開口部201は、第1燃料供給管33に固定されている。すなわち、空気ドラフト管2は、その内周面に配設した複数の連結バー23によって、第1燃料供給管33の外周に固定されている。そして、空気Aを通過させるための下端開口部201は、複数の連結バー23同士の間に形成されている。
【0024】
また、図1に示すごとく、空気ドラフト管2は、第1燃料ノズル3との間に形成した環状の第1空気通路21と、第1空気通路21の上方に形成した第2空気通路22とを備えている。第1空気通路21は、通路断面積が均一なストレート形状を有しており、第2空気通路22は、この第2空気通路22内を通過する空気Aの流れを、第1燃料ガスF1の流れの中心側に向けて絞るために、上方に向けて通路断面積が縮小するテーパ形状を有している。このテーパ形状により、第1演出用火炎H1を、上方に向けて外径が縮小する三角錐状に形成することができる(図6参照)。
なお、本例の第1空気通路21は、ほとんどの部分がストレート形状を有しているが、上端部に位置する一部が上方に向けて通路断面積が縮小するテーパ形状を有している。
【0025】
また、第2空気通路22のテーパ角度を変更することにより、三角錐状の第1演出用火炎H1の長さを変更することができる。
また、空気ドラフト管2における上端開口部202は、第2燃料ノズル4の上端面41よりも上方に突出した位置に配置されている。
【0026】
なお、図8に示すごとく、上記空気ドラフト管2における第2空気通路22は、通路断面積が均一なストレート形状に形成することもできる。この場合には、第1燃料ガスF1を燃焼させて形成する第1演出用火炎H1を、円柱状に形成することができる。また、同図に破線で示すように、第2空気通路22は、ほとんどの部分をストレート形状にし、上端部に位置する一部をテーパ形状にすることもできる。
【0027】
また、図1、図2に示すごとく、第1燃料ノズル3は、第1燃料ガスF1を噴出させるための第1燃料噴出孔32を有している。この第1燃料噴出孔32は、第1燃料ノズル3の上端面31に複数形成されている。
また、第2燃料ノズル4は、第2燃料ガスF2を噴出させるための第2燃料噴出孔42を有している。この第2燃料噴出孔42は、第2燃料ノズル4の上端面41に複数形成されている。
【0028】
また、第2燃料ノズル4は、空気ドラフト管2における第2空気通路22の外周を囲む環形状(本例では円環形状)を有している。本例の第2燃料噴出孔42は、演出用バーナ1の中心軸線を中心とする仮想円上に配列して形成されている。また、本例の第2燃料噴出孔42は、直径が異なる2つの仮想円上に配列して形成されている。
【0029】
また、図1、図2に示すごとく、複数の第2燃料噴出孔42は、第2燃料ガスF2を斜め外方に向けて噴出させるために、斜め外方に向けて開口形成されている。また、第2燃料ガスF2は、演出用バーナ1の中心軸線に対して、斜め外方に向けて放射状に噴出される。
また、第2燃料ノズル4には、この第2燃料ノズル4に第2燃料ガスF2を供給するための第2燃料供給管43が接続されている。
【0030】
また、図2に示すごとく、第2燃料ノズル4における複数の第2燃料噴出孔42の合計の開口面積は、第1燃料ノズル3における複数の第1燃料噴出孔32の合計の開口面積よりも大きくしてある。これにより、第1燃料ノズル3に供給する第1燃料ガスF1の圧力と、第2燃料ノズル4に供給する第2燃料ガスF2の圧力とをほぼ同じとした場合でも、第2燃料ノズル4から噴出させる第2燃料ガスF2の噴出量を、第1燃料ノズル3から噴出させる第1燃料ガスF1の噴出量よりも多くすることができる。
【0031】
また、第2燃料ノズル4から噴出させる第2燃料ガスF2の噴出量は、第1燃料ノズル3から噴出させる第1燃料ガスF1の噴出量の2〜10倍とすることができる。本例においては、第1燃料ガスF1の噴出量は、約0.04m3/hとし、第2燃料ガスF2の噴出量は、約0.27m3/hとしている。
【0032】
また、図1に示すごとく、第1燃料ノズル3は、その外周にノズル側加熱用ヒータ51を備えている。このノズル側加熱用ヒータ51は、第1燃料ノズル3の外周を覆う環形状を有している。
また、空気ドラフト管2は、その外周にドラフト管側加熱用ヒータ52を備えている。このドラフト管側加熱用ヒータ52は、空気ドラフト管2における第1空気通路21の外周を覆う環形状を有している。また、ノズル側加熱用ヒータ51及びドラフト管側加熱用ヒータ52は、いずれも通電により発熱するタイプのものである。また、各加熱用ヒータ51、52による加熱温度は、150〜180℃とすることができる。
【0033】
図4、図5に示すごとく、上記空気ドラフト管2における上端開口部202の周辺には、第1燃料ノズル3から噴出された第1燃料ガスF1、又は第2燃料ノズル4から噴出された第2燃料ガスF2の着火を行うための着火装置61が配設してある。本例では、第2燃料ノズル4から噴出させた第2燃料ガスF2の着火を行うために、着火装置61は、第2燃料ノズル4の上方に配設してある。また、本例の着火装置61は、通電により発熱を行うセラミックヒータであり、第2燃料ガスF2を自然着火させるよう構成してある。
【0034】
また、着火装置61は、着火不良が生じたときに演出用バーナ1から不完全燃焼ガスが流出することを防止するために、2つ配設してある。
また、本例の第1燃料ガスF1及び第2燃料ガスF2は、いずれも同じ天然ガス(都市ガス13A)である。
なお、着火装置61は、第1燃料ノズル3から噴出させた第1燃料ガスF1の着火を行うために、第1燃料ノズル3の上方に配設することもできる。
【0035】
また、図4、図5に示すごとく、演出用バーナ1は、空気ドラフト管2及び第2燃料ノズル4を覆うカバー7を有している。このカバー7は、空気ドラフト管2の下部を覆う下部カバー部71と、空気ドラフト管2の上部及び第2燃料ノズル4の外周を覆う上部カバー部72とを有している。下部カバー部71及び上部カバー部72は、それぞれ下側の開口部から上側の開口部に向けて空気Aを通過させる筒形状を有している。なお、下部カバー部71及び上部カバー部72は、パンチングメタル等の多数の孔を有する部材により構成することができる。
また、上部カバー部72には、火炎の形成状態を監視するための紫外線センサー62が配設されている。
【0036】
本例の演出用バーナ1は、安全燃焼制御装置(図示略)によって燃焼制御が行われるよう構成されている。安全燃焼制御装置は、第1燃料ガスF1及び第2燃料ガスF2の噴出タイミング、噴出時間等の制御、及び着火装置61の通電タイミング及び通電時間の制御等を行うよう構成されている。
【0037】
図4に示すごとく、上記第1燃料供給管33には、この第1燃料供給管33の開閉を行うための第1制御弁331が配設されている。また、上記第2燃料供給管43には、この第2燃料供給管43の開閉を行うための第2制御弁431が配設されている。そして、安全燃焼制御装置が、第1制御弁331を開けたときには、第1燃料ノズル3から第1燃料ガスF1が噴出されて、静止状態の第1演出用火炎H1を形成することができる(図6参照)。
【0038】
一方、安全燃焼制御装置が、第1制御弁331及び第2制御弁431を開けたときには、第1燃料ノズル3から第1燃料ガスF1が噴出されると共に、第2燃料ノズル4から第2燃料ガスF2が噴出されて、躍動状態の第2演出用火炎H2を形成することができる(図7参照)。
また、本例の演出用バーナ1における燃焼状態の制御は、安全燃焼制御装置におけるプログラム又はシーケンス回路等によって行われる。
なお、各制御弁331、431を、流量調整可能なものとしたときには、各燃料ノズル3、4から噴出させる各燃料ガスF1、F2の噴出量を適切に調整することができる。
【0039】
また、図6、図7に示すごとく、上記構成の演出用バーナ1によれば、第2演出用火炎H2の最大断面外形は、第1演出用火炎H1の最大断面外形の5〜10倍に形成することができ、第2演出用火炎H2の最大長さは、第1演出用火炎H1の長さの1.5〜2.5倍に形成することができる。本例においては、最大断面外形が約17mmであり、長さが約200mmである第1演出用火炎H1を形成し、最大断面外形が約130mmであり、最大長さが約400mmである第2演出用火炎H2を形成する。
【0040】
次に、上記演出用バーナ1を用いて、2種類の演出用火炎H1、H2を形成する動作につき説明する。
本例においては、第2燃料ノズル4から噴出させる第2燃料ガスF2を着火させるため、上記躍動燃焼状態102を先に形成し、次いで上記静止燃焼状態101を形成する。
また、演出用バーナ1の燃焼運転の開始後に、第1演出用火炎H1を迅速に静止させるために、燃焼運転の開始前には、上記ノズル側加熱用ヒータ51及びドラフト管側加熱用ヒータ52に通電を行って、演出用バーナ1を加熱しておく。
【0041】
そして、上記躍動燃焼状態102を形成する際には、安全燃焼制御装置は、上記第2制御弁431を開け、第2燃料ノズル4における複数の第2燃料噴出孔42から第2燃料ガスF2を斜め上方に向けて噴出させる。そして、噴出された第2燃料ガスF2を、上記着火装置61によって着火させる。
【0042】
また、この着火を行う際には、安全燃焼制御装置は、上記第1制御弁331を開け、第1燃料ノズル3における複数の第1燃料噴出孔32から第1燃料ガスF1を上方に向けて噴出させる。このとき、いわゆるドラフト効果により、第1燃料ガスF1が上昇する流れに伴い、空気ドラフト管2内の空気Aが上昇する。
すなわち、空気ドラフト管2における第1空気通路21内における空気Aは、第1燃料ガスF1の上昇流に伴って第2空気通路22内へ上昇し、第1空気通路21内には、下端開口部201から空気Aが流入する。そして、第2空気通路22における空気Aは、第1燃料ガスF1の上昇速度とほぼ同じ速度で上昇する。
【0043】
次いで、空気ドラフト管2における上端開口部202から流出する第1燃料ガスF1は、第2燃料ガスF2の燃焼による火炎によって着火されて燃焼する。
このとき、第1燃料ガスF1の燃焼による火炎の周囲に、第2燃料ガスF2の燃焼による火炎が形成される。また、第2燃料ガスF2の燃焼による火炎は、上端開口部202から第1燃料ガスF1の上昇速度(流出速度)とほぼ同じ速度で上昇する空気Aによって、第1燃料ガスF1による火炎と一体化してしまうことが抑制される。そして、第2燃料ガスF2の燃焼による火炎は、上方に向けて移動するように形成される。
【0044】
また、第1燃料ガスF1の燃焼及び第2燃料ガスF2の燃焼による火炎全体は、断面外形の小さな部分と断面外形の大きな部分とによって形成され、断面外形の大きな部分が繰り返し上方に向けて移動するようにして形成される。
こうして、図7に示すごとく、第1燃料ガスF1の燃焼及び第2燃料ガスF2の燃焼による火炎全体は、空気ドラフト管2における上端開口部202から、躍動する状態の第2演出用火炎H2を形成することができる。なお、同図において、第2演出用火炎H2が躍動する状態を実線と破線によって示す。
そして、この第2演出用火炎H2は、これを見る者に対して生き生きとした躍動感のような印象を与えることができる。
【0045】
次いで、上記静止燃焼状態101を形成する際には、安全燃焼制御装置は、上記第1制御弁331を開けた状態を維持して第1燃料ノズル3から第1燃料ガスF1を噴出させる一方、上記第2制御弁431を閉じて第2燃料ノズル4からの第2燃料ガスF2の噴出を停止させる。
このとき、いわゆるドラフト効果により、第1燃料ガスF1が上昇する流れに伴い、空気ドラフト管2内の空気Aが上昇し、空気ドラフト管2における上端開口部202から、第1燃料ガスF1の上昇速度(流出速度)とほぼ同じ速度で空気Aが上昇(流出)する。
【0046】
そして、上端開口部202から流出する第1燃料ガスF1は、上端開口部202から流出する空気Aによって囲まれた状態で燃焼する。
こうして、図6に示すごとく、第1燃料ガスF1の燃焼による火炎は、空気ドラフト管2における上端開口部202から、ほとんど静止した状態の第1演出用火炎H1を形成することができる。
そして、この第1演出用火炎H1は、これを見る者に対して安らかな静寂感のような印象を与えることができる。
【0047】
そして、その後は、安全燃焼制御装置は、適宜タイミングで各燃料ガスF1、F2を燃焼させ、躍動燃焼状態102と静止燃焼状態101とを繰り返し形成することができる。
また、第1燃料ノズル3から噴出させる第1燃料ガスF1を着火させるよう構成した場合には、上記静止燃焼状態101を先に形成し、次いで、上記躍動燃焼状態102を形成することができる。
このように、上記演出用バーナ1は、静止燃焼状態101を形成することにより、静寂感を表現することができ、躍動燃焼状態102を形成することにより、躍動感を表現することができる。それ故、演出用バーナ1によれば、火炎による演出効果を一層際立たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例における、演出用バーナを示す断面説明図。
【図2】実施例における、図1におけるX矢視方向から見た状態で演出用バーナを示す平面図。
【図3】実施例における、図1におけるY−Y矢視線方向から見た状態で演出用バーナを示す断面説明図。
【図4】実施例における、演出用バーナにカバー等を取り付けた状態を示す断面説明図。
【図5】実施例における、演出用バーナにカバー等を取り付けた状態を示す平面図。
【図6】実施例における、静止燃焼状態(第1演出用火炎)を形成した状態の演出用バーナを示す断面説明図。
【図7】実施例における、躍動燃焼状態(第2演出用火炎)を形成した状態の演出用バーナを示す断面説明図。
【図8】実施例における、他の演出用バーナを示す断面説明図。
【符号の説明】
【0049】
1 演出用バーナ
101 静止燃焼状態
102 躍動燃焼状態
2 空気ドラフト管
201 下端開口部
202 上端開口部
21 第1空気通路
22 第2空気通路
3 第1燃料ノズル
32 第1燃料噴出孔
4 第2燃料ノズル
42 第2燃料噴出孔
51 ノズル側加熱用ヒータ
52 ドラフト管側加熱用ヒータ
61 着火装置
F1 第1燃料ガス
F2 第2燃料ガス
A 空気
H1 第1演出用火炎
H2 第2演出用火炎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端開口部から上端開口部へと空気を通過させるための空気ドラフト管と、
該空気ドラフト管の内側に配設され、第1燃料ガスを噴出させるための第1燃料ノズルと、
上記空気ドラフト管の外側に配設され、第2燃料ガスを噴出させるための第2燃料ノズルとを有しており、
上記第1燃料ノズルから噴出させた上記第1燃料ガスを燃焼させ、上記空気ドラフト管における上記上端開口部から、静止状態の第1演出用火炎を形成する静止燃焼状態と、
上記第1燃料ノズルから噴出させた上記第1燃料ガスを燃焼させると共に、上記第2燃料ノズルから噴出させた上記第2燃料ガスを燃焼させ、上記空気ドラフト管における上記上端開口部から、躍動状態の第2演出用火炎を形成する躍動燃焼状態とを形成するよう構成してなることを特徴とする演出用バーナ。
【請求項2】
請求項1において、上記空気ドラフト管は、上記第1燃料ノズルとの間に形成した環状の第1空気通路と、該第1空気通路の上方に形成した第2空気通路とを備えており、
上記第2燃料ノズルは、上記第2空気通路の外側に配設してあることを特徴とする演出用バーナ。
【請求項3】
請求項2において、上記第2空気通路は、上方に向けて通路断面積が縮小するテーパ形状を有していることを特徴とする演出用バーナ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、上記第2燃料ノズルは、斜め外方に向けて開口する第2燃料噴出孔を有していることを特徴とする演出用バーナ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記第2燃料ノズルは、上記第1燃料ノズルから噴出させる上記第1燃料ガスよりも多い噴出量で上記第2燃料ガスを噴出させるよう構成してあることを特徴とする演出用バーナ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、上記第1燃料ノズルは、その外周にノズル側加熱用ヒータを備えていることを特徴とする演出用バーナ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記空気ドラフト管は、その外周にドラフト管側加熱用ヒータを備えていることを特徴とする演出用バーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−242456(P2006−242456A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57886(P2005−57886)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】