説明

演奏装置

【課題】自由落下させた物体を利用して発音させることにより視覚的に興趣ある演奏を行う。
【解決手段】自由落下する物体2を利用して発音させる発音機構4を備えている。発音機構4としては音板11a〜14aを適用することにより、物体2を跳ね返して連続した発音を行うことができる。また、発音体は、音色の異なる複数の発音体で構成され、各発音体が隣接する発音体で反発された物体2が落下する位置に配設されている。さらに、演奏装置1は、前記物体2を所望間隔で1つずつ自由落下させる物体落下制御部3と、該物体落下制御部3から落下された物体2が当接して発音すると共に、当該物体2を落下方向とは異なる方向に反発させる発音体とで構成される発音機構4を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自由落下させた物体を利用して発音させる演奏装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄琴や木琴では、鍵盤を手に持ったマレットなどの打撃部材によって叩くことにより演奏するようにしているのが一般的であるが、発音体を断面円形の音棒で構成し、この凸状の局面をハンマーの打撃部で硬度の異なるヘッドにより打撃可能とし、ハンマーを鍵盤の押鍵によって作動させるようにした鍵盤式グロッケンシュピールが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−127666号公報(第1頁、図1、図4、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、鍵盤を押鍵することにより、ハンマーで音棒を叩くことにより、ピアノと同様に演奏することができるものであり、自動ピアノのようにハンマーを電気的に作動させることにより自動演奏を行うことができるが、視覚的に興趣ある演奏を行うことはできないという問題点がある。
そこで、本発明は、上記従来例の問題点に着目してなされたものであり、自由落下させた物体を利用して発音させることにより視覚的に興趣ある演奏を行うことができる演奏装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1に係る演奏装置は、自由落下する物体を利用して発音させる発音機構を備えたこと特徴としている。
また、請求項2に係る演奏装置は、請求項1に係る発明において、前記発音機構は、発音体上に物体を自由落下させて発音させるように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る演奏装置は、請求項2に係る発明において、前記発音体は、前記自由落下した物体を反発させて自由落下方向とは異なる方向に反発するように構成されていることを特徴としている。
【0005】
さらにまた、請求項4に係る演奏装置は、請求項2に係る発明において、前記発音体は、音色の異なる複数の発音体で構成され、各発音体が隣接する発音体で反発された物体が落下する位置に配設されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る演奏装置は、前記物体を所望間隔で1つずつ自由落下させる物体落下制御部と、該物体落下制御部から落下された物体が当接して発音すると共に、当該物体を落下方向とは異なる方向に反発させる発音体とで構成される発音機構を備えていることを特徴としている。
【0006】
また、請求項6に係る演奏装置は、請求項5に係る発明において、前記発音機構が並列に複数配設されていることを特徴としている。
さらに、請求項7に係る演奏装置は、請求項5又は6に係る発明において、前記発音体は、音色の異なる複数の発音体で構成され、各発音体が隣接する発音体で反発された物体が落下する位置に配設されていることを特徴としている。
【0007】
さらにまた、請求項8に係る演奏装置は、請求項5乃至7の何れか1つに係る演奏装置は、前記発音機構は最終段の発音体で反発された物体を回収する物体回収部を備えていることを特徴としている。
なおさらに、請求項9に係る演奏装置は、請求項5乃至7の何れか1つに係る発明において、前記発音体機構は、最終段の発音体で反発された物体を回収する物体回収部と、該物体回収部で回収した物体を前記物体落下制御部に搬送する物体搬送部とを備えていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項10に係る演奏装置は、請求項2乃至9の何れか1つに係る発明において、前記発音体は鍵盤で構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項11に係る演奏装置は、請求項2乃至10の何れか1つの発明において、前記発音体は鋼で構成されていることをと特徴としている。
さらに、請求項12に係る演奏装置は、請求項2乃至11の何れか1つの発明において、前記発音体は前記物体と接触する表面にDLCコーティング処理が施されていることを特徴としている。
【0009】
さらにまた、請求項13に係る演奏装置は、請求項2乃至10に係る発明において、前記発音体は、鈴、鐘、太鼓、シンバル、タンバリン等の打楽器で構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項14に係る演奏装置は、請求項2乃至12の何れか1つに係る発明において、前記発音体は、前記物体の表面硬さより硬い表面硬さを有することを特徴としている。
【0010】
また、請求項15に係るにおいては、請求項14に係る発明において、前記発音体の表面硬さはHv1000以上に選定されていることを特徴としている。
また、請求項16に係る演奏装置は、請求項1乃至15の何れか1つに係る発明において、前記物体はボールで構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項17に係る演奏装置は、請求項16に係る発明において、前記ボールは、鋼製ボールで構成されていることを特徴としている。
【0011】
さらにまた、請求項18に係る演奏装置は、請求項16に係る発明において、前記ボールはベアリングボールで構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項19に係る演奏装置は、請求項16に係る発明において、前記ボールはセラミックボールで構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自由落下させるボール等の物体を利用して発音する発音機構を備えた演奏装置とすることで、物体の落下に伴って発音させることにより、視覚的に興趣ある演奏を行うことができるという効果が得られる。
ここで、物体を発音体上に自由落下させることにより発音を得ることができるので、音色の異なる発音体を複数設けて、これら発音体上を物体が撥ねながら移動させることにより、次々に発音させて視覚的に興趣ある演奏を行うことができるという効果が得られる。
【0013】
しかも、物体と発音体とで構成される発音機構を並列に複数設けることにより、より多くの音色を奏でることができる。
発音体に自由落下させる物体としては発音体に当接するまでの落下軌跡及び当接してから跳ね上がる軌跡が常に一定となる真円度の高いボール例えばベアリングボールが好ましく、発音体としては物体の当接によって摩耗を生じないように、物体の表面硬さより硬い表面硬さに選定することが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す全体構成図であって、図中、1は演奏装置であって、この演奏装置1は、物体としてのベアリングボール2の自由落下タイミング、落下軌跡等を設定する落下制御部3と、この落下制御部3から自由落下されたベアリングボール2によって発音する発音機構4とを備えている。
【0015】
ここで、ベアリングボール2は軸受鋼(SUJ)で硬さがHRC62程度となるように形成されている。
また、落下制御部3は、基台5に配設された所定高さの架台6と、この架台6上に図2で見て左右方向に所定間隔を保って並列に配設されたベアリングボール2を案内する所定角度θで前下がりに傾斜された複数例えば4個の傾斜樋7a〜7dと、これら傾斜樋7a〜7dの前端位置に配設された1つのベアリングボール2を係止する傾斜樋7a〜7d内に入出可能に設けられたシャッター板を電磁的に開閉する落下制御用電磁シャッター部8a〜8dと、これら電磁シャッター部8a〜8dの上流側にベアリングボール2の直径を越え直径の1.5倍未満の距離分離れて配設された同様に傾斜樋7a〜7d内に入出可能に設けられたシャッター板を電磁的に開閉する保持用電磁シャッター9a〜9dとを備えている。
【0016】
ここで、保持用電磁シャッター9a〜9dの夫々は、シャッターを開状態としてベアリングボール2を落下制御用電磁シャッター8a〜8dに先頭のベアリングボール2を当接させた状態で、シャッターを閉状態としたときに、先頭のベアリングボール2に続く2番目のベアリングボール2を上流側に押し戻して、保持用電磁シャッター9a〜9dと落下制御用電磁シャッター8a〜8dとの間に1つのベアリングボール2のみが押圧されることなく保持されるように構成されている。このため、落下制御用電磁シャッター8a〜8dを開状態とすることにより、保持されている1つのベアリングボール2が自由落下する。
【0017】
また、発音機構4は、落下制御用電磁シャッター部8a〜8dを開状態としたときに自由落下するベアリングボールの自由落下軌跡L1が丁度前後左右の中央位置となるように配置された発音体としての第1の音板11a〜11dと、これら第1の音板11a〜11dで跳ね返されたベアリングボール2の放物線軌跡L2を描いて落下する位置が丁度前後左右の中央位置となるように配置された発音体としての第2の音板12a〜12dと、これら第2の音板12a〜12dで跳ね返されたベアリングボール2の放物線軌跡L3を描いて落下する位置が丁度前後左右の中央位置となるように配置された発音体としての第3の音板13a〜13dと、これら第3の音板13a〜13dで跳ね返されたベアリングボール2の放物線軌跡L4を描いて落下する位置が丁度前後左右方向の中央位置となるように配置された発音体としての第4の音板14a〜14dとを有する。
【0018】
ここで、第1〜第4の音板11a〜14aで第1の音板列15aが形成され、第1〜第4の音板11b〜14bで第2の音板列15bが形成され、第1〜第4の音板11c〜14cで第3の音板列15cが形成され、第1〜第4の音板11d〜14dで第4の音板列15dが形成されている。
また、各音板列15a〜15dにおける第1〜第4の音板11a〜14dは、工具鋼(SK)で矩形板状に形成され、焼入れ処理によりHRC55以上に設定されている。これら各音板11a〜14dは、少なくともベアリングボール2が当接する表面に硬く滑らかな表面となるDLC(Diamond−Like Carbon)コーティング処理が施されており、表面硬度はHv1000以上となっている。
【0019】
これら各音板11a〜14dは、ベアリングボール2が落下して当接したときに夫々異なる音色(周波数)の発音が得られるようにその長さが設定されている。これら音板11a〜14dの長さは、低い音ほど長い長さに設定される。
これら音板11a〜14dは、図3に示すように、基台5に所定長さ分離間されて固設された高さが等しい2本のアルミニウム製の支柱21a及び21bの上端にゴム、ウレタン、フェルト、布等の弾性体22を介してビス等によって固定されている。
【0020】
さらに、各音板列15a〜15dにおける第4の音板14a〜14dで跳ね返されたベアリングボール2が放物線軌跡L5を描いて落下する位置に吸音効果及び制振効果を有する漏斗状のボール回収部31a〜31dが配設されている。
各ボール回収部31a〜31dで回収されたベアリングボール2は、各ボール回収部31a〜31dの下側に形成された例えばボール回収部31dからボール回収部31a側に行くに従って徐々に下降する傾斜樋32を通じ、さらにボール回収部31aから落下制御部3の下側に行くに従い下降する傾斜樋33を通じて落下制御部3の傾斜樋7a〜7dにおける最上段の下側位置まで搬送される。
【0021】
そして、傾斜樋33で搬送されたベアリングボール2は、上方に搬送する揚送機構34で上方に揚送され、さらに揚送機構34の上端から吐き出されるベアリングボール2を分配部35で分配して落下制御部3の各傾斜樋7a〜7dに搬送する。
ここで、揚送機構34としては、図4に示すように、内周面にフェルト、不織布等の摩擦抵抗を有する接触布34aを配置した円筒体34bと、この円筒体34b内に配設された外周面にベアリングボール2が接触布に接触するように保持する螺旋溝34cを形成した回転体34dと、この回転体34dを回転駆動する電動モータ34eとを有し、傾斜樋33から送給されたベアリングボール2を回転体34dの螺旋溝34cに導入することにより、回転体34dの回転に応じてベアリングボール2が螺旋溝34cを伝って上方に揚送され、螺旋溝34cの上端からベアリングボール2が分配部35に導入される。
【0022】
分配部35では、揚送機構34から導入されたベアリングボール2を各傾斜樋7a〜7dに搬送する搬送通路36と、この搬送通路36を通過するベアリングボール2を検出するボールセンサ37と、このボールセンサ37でベアリングボール2を検出する毎に、順次、傾斜樋7a〜7dに1つずつ配分する電磁シャッター38a〜38cとを備えており、搬送通路36を通過するベアリングボール2を各傾斜樋7a〜7dに均等に配分する。
【0023】
そして、落下制御部3及び分配部35が、図示しないマイクロコンピュータ等で構成される制御装置によって駆動制御される。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、落下制御部3の各傾斜樋7a〜7dの落下制御用電磁シャッター8a〜8d及び保持用電磁シャッター9a〜9dが閉じており、落下制御用電磁シャッター8a〜8dと保持用電磁シャッター9a〜9dとの間に1個のベアリングボール2が保持されており、保持用電磁シャッター9a〜9dの上流側の傾斜樋7a〜7dに所要数のベアリングボール2が貯留されているものとする。
【0024】
この状態で、先ず、落下制御用電磁シャッター8aを開状態に制御することにより、保持されていた1個のベアリングボール2が傾斜樋7a〜7dから自由落下して第1の音板11a上に落下し、この第1の音板11aで跳ね返される。このため、第1の音板11aで音板の長さに応じた音階の発音が行われる。
そして、各第1の音板11aで跳ね返されたベアリングボール2は第2の音板12a上に落下し、この第2の音板12aで跳ね返される。このため、第2の音板12aで音板の長さに応じた音階の発音が行われる。
【0025】
その後、同様に、ベアリングボール2が第3の音板13a及び第4の音板14aに落下して跳ね返され、これら第3の音板13a及び第4の音板14aで次々と音板の長さに応じた音階の発音が行われる。
そして、第4の音板14aで跳ね返されたベアリングボール2はボール回収部31a〜31d内に回収され、傾斜樋32及び33を通じて揚送機構34で上方に揚送されて分配部35に導入される。
【0026】
この分配部35では、搬送通路36にベアリングボール2が受け渡されと、これがボールセンサ37で検出されることにより、最初は例えば全ての電磁シャッター38a〜38cが開状態とされて搬送通路36を転がるベアリングボール2が傾斜樋7dに搬送され、次のベアリングボール2がボールセンサ37で検出されると、第3の電磁シャッター38cが閉状態に制御されて、搬送通路36を転がるベアリングボール2が傾斜樋7cに搬送され、その後ボールセンサ37でベアリングボール2を検出する毎に電磁シャッター38b及び38aが閉じて搬送通路36を転がるベアリングボール2が傾斜樋7b及び7aに搬送される。
【0027】
一方、第4の音板14aで跳ね返されたベアリングボール2がボール回収部31aに回収されるまでの間に、傾斜樋7bの落下制御用電磁シャッター7bが開状態に制御されることにより、この傾斜樋7bからベアリングボール2が自由落下されて第1の音板11bで跳ね返されるので、この第1の音板11bで音板の長さに応じた音階の発音が行われ、以下順次第2の音板12b、第3の音板13b及び第4の音板14bで夫々所望の音階の発音が行われ、その後、傾斜樋7c及び7dから順次ベアリングボール2が第1の音板11c及び11dに自由落下されて、第3の音板列15c及び第4の音板列15dで、順次第1の音板11c〜第4の音板14c及び第1の音板11d〜第4の音板14dで音板の長さに応じた音階の発音が行われることにより、例えば4/4拍子で4小節のメロディを繰り返し自動演奏することができる。
【0028】
このとき、傾斜樋7a〜7dから順次ベアリングボール2が第1の音板11a〜11d上に自由落下されて発音され、次いでベアリングボール2が第2の音板12a〜12d上に落下されて発音されることを繰り返して、第3及び第4の音板13a〜13d及び14a〜14dで発音が行われるので、ベアリングボール2の跳ね返り状態が聴衆に視認されるので、興趣ある演奏を行うことができる。
【0029】
また、音板11a〜14dがベアリングボール2より硬い材質で形成されているので、繰り返しの演奏で音板11a〜14dが摩耗することを抑制することができ、ベアリングボール2の放物線規制の変化を抑制することができる。しかも、音板11a〜14dの少なくともベアリングボール2の当接面をDLCコーティング処理しているので、ベアリングボール当接面を高硬度に維持することができると共に、平滑面としてベアリングボール2の放物線軌跡を一定とすることができる。
【0030】
さらに、自由落下する物体としてベアリングボール2を適用しているので、真球度の高いボールを使用することができ、音板11a〜14dで跳ね返ったときの放物線軌跡を一定とすることができる。
さらに、ベアリングボール2の硬度がHRC62程度に設定され、音板11a〜14dの表面硬度がHv1000以上に設定されているので、音板11a〜14dでのベアリングボール2を跳ね返したときの放物線軌跡を理論的な軌跡に近い状態として音板11a〜14dの配置設計を容易に行うことができる。
【0031】
さらにまた、音板11a〜14dが弾性体32を介して支柱31a及び31bに支持されているので、音板11a〜14dにベアリングボール2が当接したときに発する発音が長く継続することを抑制して歯切れのよい音色を発することができる。
なお、上記実施形態においては、傾斜樋7a〜7dからベアリングボール2を自由落下させて水平に配設された第1の音板11a〜11dで跳ね返すようにした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、傾斜樋7a〜7dを垂直状態として、ベアリングボール2を下方に自由落下させ、これに応じて第1の音板11a〜11dを図1で見て右下がりに傾斜させることにより、ベアリングボール2を跳ね返して図1と同様の放物線軌跡を描いて第2の音板12a〜12d上に落下させることができる。
【0032】
また、上記実施形態においては、ベアリングボール2を第1〜第4の音板11a〜14dで傾斜樋7a〜7dの延長方向に順次跳ね返すようにした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、傾斜樋7a〜7dの延長方向とは交差する方向に順次跳ね返すようにしてもよい。
さらに、上記実施形態においては、第1の音板列15a〜第4の音板列15dで順番に発音させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば傾斜樋7a〜7cから同時にベアリングボール2を自由落下させて第1〜第3の音板列15a〜15cで和音を発生させるようにしてもよく、傾斜樋7a〜7dからのベアリングボール2の自由落下を任意の順序で行うようにしてもよい。
【0033】
さらにまた、上記実施形態においては、4列4段の音板11a〜14dを配置した場合について説明したが、列数及び段数は任意に設定することができると共に、ベアリングボール2の自由落下タイミングも自由に設定することができる。
なおさらに、上記実施形態においては、自由落下させる物体としてベアリングボールを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、高硬度の鋼球、セラミックボール等の任意のボールを適用することができ、発音体での跳ね返り方向が一定となるものであれば、任意の物体を適用することができる。
【0034】
また、上記実施形態においては、発音体として工具鋼(SK)製の音板11a〜14dを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、自由落下する物体より硬いものであれば、物体の繰り返しの跳ね返しによる摩耗を抑制することができ、摩耗による物体の移動軌跡変化を抑制することができる。
さらに、上記実施形態においては、第4の音板14a〜14dで跳ね返ったベアリングボール2をボール回収部31a〜31dで回収して傾斜樋7a〜7dに戻す回収機構を形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、傾斜樋7a〜7dに戻す回収機構を省略して、傾斜樋7a〜7dの上流側にベアリングボール2を貯留する貯留部を形成し、ボール回収部31a〜31dの下側に回収したベアリングボール2を貯留する貯留部を形成するようにしてもよい。
【0035】
さらにまた、上記実施形態においては、音板11a〜14dで直接発音させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、木琴や鉄琴のように共鳴具を配置するようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、発音体として音板11a〜14dを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、鈴、鐘、シンバル、タンバリン等の打楽器で構成するようにしてもよく、鈴、鐘の場合には自由落下する物体を、放物線軌跡を描いて跳ね返すことが困難であるので、第1の発音体のみを設けるようにすればよい。
【0036】
なおさらに、揚送機構34としては、上記構成に限定されるものではなく、バケットコンベア等の任意の揚送機構を適用することができ、ボール回収部31a〜31d、傾斜樋32,33、揚送機構34及び分配部35で構成されるボール回収機構も上記実施形態に限定されるものではなく、任意のボール回収機構を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る演奏装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】音板の構成を示す拡大図である。
【図4】揚送機構を示す一部を断面とした正面図である。
【符号の説明】
【0038】
1…演奏装置、2…ベアリングボール、3…落下制御部、4…発音機構、7a〜7d…傾斜樋、8a〜8d…落下制御用電磁シャッター、9a〜9d…保持用電磁シャッター、11a〜11d…第1の音板、12a〜12d…第2の音板、13a〜13d…第3の音板、14a〜14d…第4の音板、15a…第1の音板列、15b…第2の音板列、15c…第3の音板列、15d…第4の音板列、21a,21b…支柱、22…弾性体、31a〜31d…ボール回収部、32,33…傾斜樋、34…揚送機構、35…分配部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由落下する物体を利用して発音させる発音機構を備えたこと特徴とする演奏装置。
【請求項2】
前記発音機構は、発音体上に物体を自由落下させて発音させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の演奏装置。
【請求項3】
前記発音体は、前記自由落下した物体を反発させて自由落下方向とは異なる方向に反発するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の演奏装置。
【請求項4】
前記発音体は、音色の異なる複数の発音体で構成され、各発音体が隣接する発音体で反発された物体が落下する位置に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の演奏装置。
【請求項5】
前記物体を所望間隔で1つずつ自由落下させる物体落下制御部と、該物体落下制御部から落下された物体が当接して発音すると共に、当該物体を落下方向とは異なる方向に反発させる発音体とで構成される発音機構を備えていることを特徴とする演奏装置。
【請求項6】
前記発音機構が並列に複数配設されていることを特徴とする請求項5に記載の演奏装置。
【請求項7】
前記発音体は、音色の異なる複数の発音体で構成され、各発音体が隣接する発音体で反発された物体が落下する位置に配設されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の演奏装置。
【請求項8】
前記発音機構は最終段の発音体で反発された物体を回収する物体回収部を備えていることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の演奏装置。
【請求項9】
前記発音体機構は、最終段の発音体で反発された物体を回収する物体回収部と、該物体回収部で回収した物体を前記物体落下制御部に搬送する物体搬送部とを備えていることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の演奏装置。
【請求項10】
前記発音体は鍵盤で構成されていることを特徴とする請求項2乃至9の何れか1項に記載の演奏装置。
【請求項11】
前記発音体は鋼で構成されていることをと特徴とする請求項2乃至10の何れか1項に記載の演奏装置。
【請求項12】
前記発音体は前記物体と接触する表面にDLCコーティング処理が施されていることを特徴とする請求項2乃至11の何れか1項に記載の演奏装置。
【請求項13】
前記発音体は、鈴、鐘、太鼓、シンバル、タンバリン等の打楽器で構成されていることを特徴とする請求項2乃至10の何れか1項に記載の演奏装置。
【請求項14】
前記発音体は、前記物体の表面硬さより硬い表面硬さを有することを特徴とする請求項2乃至12の何れか1項に記載の演奏装置。
【請求項15】
前記発音体の表面硬さはHv1000以上に選定されていることを特徴とする請求項14に記載の演奏装置。
【請求項16】
前記物体はボールで構成されていることを特徴とする請求項1乃至15の何れか1項に記載の演奏装置。
【請求項17】
前記ボールは、鋼製ボールで構成されていることを特徴とする請求項16に記載の演奏装置。
【請求項18】
前記ボールはベアリングボールで構成されていることを特徴とする請求項16に記載の演奏装置。
【請求項19】
前記ボールはセラミックボールで構成されていることを特徴とする請求項16に記載の演奏装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−129305(P2008−129305A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313877(P2006−313877)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)