説明

漬物製造器

【課題】
漬物石を用いた加圧式漬物製造に用いる漬物製造器を提供する。
【解決手段】
漬物製造器1は、漬物容器100を搭載するスライド台11及びスライドガイド12と、前記スライド台11及びスライドガイド12の周囲を囲んで設置された漬物石昇降器20から構成されている。前記スライド台11は、スライドガイド12上に設置され、スライドガイド12の両側壁に沿って前後に移動可能なようになっている。前記漬物石昇降器20は、下部に複数個のキャスタ22を備えたU字状脚部21と、前記U字状脚部21の上部から垂直上方に設けた門型フレーム23と、前記門型フレーム23に取付けた支柱24と、支柱の上部から上記スライド台11に搭載した漬物容器100上に差し渡されたアーム25と、上記支柱24及びアーム25にそれぞれ設置したプーリ26からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、漬物石を用いた加圧式漬物製造に用いる漬物製造器に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の先行技術には、実用新案登録第3023520号公報(特許文献1参照)の漬物製造器がある。
上記実用新案登録第3023520号公報記載の発明は、漬物容器の搭載台と、搭載台に付設した支柱と、支柱の上部から上記搭載台に搭載した漬物容器上に差し渡されたアームと、上記支柱およびアームにそれぞれ設置したプーリと、上記搭載台に搭載した漬物容器上に搭載され、自重のみで漬物容器内を加圧可能とした漬物石類に連結され、上記各プーリを介して支柱側で牽引可能とした索条を手動ないし自動で昇降させるようにしたことを特徴とするものであった。
【特許文献1】実用新案登録第3023520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、漬物容器は主に壁際に配置されるため、上記先行技術を用いた場合、漬物容器と漬物製造器の配置の関係上、一度漬物製造器を設置してしまうと支柱が邪魔になり漬物が取り出しにくいという問題があった。また、漬物容器1つにつき1台の漬物製造器が必要であったため、複数の漬物容器を扱う場合、コストが増大してしまうという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は、漬物容器を搭載するスライド台と、前記スライド台の周囲を囲んで設置される漬物石昇降器からなる漬物製造器であって、上記漬物石昇降器が、キャスタを備えたU字状脚部と、前記U字状脚部から垂直上方に設置された門型フレームと、前記門型フレームに上方に向けて取付けられた支柱と、支柱の上端から上記スライド台に搭載した漬物容器上に差し渡されたアームと、上記支柱及びアームにそれぞれ設置したプーリとからなり、上記スライド台に搭載した漬物容器上に搭載され、自重のみで漬物容器内を加圧可能とした漬物石類に連結され、かつ上記各プーリを介して支柱側に設置したウィンチにより牽引可能とした索条を、手動ないし自動で昇降させるようにした漬物製造器において、門型形状である前記門型フレームに支柱を取付けたことにより、漬物容器を門型フレームをくぐらせて手前に引き出すことができるようにしたことを特徴としている。(請求項1)
【0005】
また、門型フレームが門型形状部分とU字状脚部側部分とで分割可能としたことを特徴としている。(請求項2)
【発明の効果】
【0006】
この発明の漬物製造器は以上のように構成したので、門型フレームから漬物を取り出す際に支柱が邪魔にならず漬物の出し入れが容易にできる。
【0007】
漬物容器を搭載するスライド台と漬物石を昇降させる漬物石昇降器を別々にしているので、複数の漬物容器に対して1台の漬物石昇降器で対応することが可能となりコストを削減することができる。
同時に、漬物容器を搭載するスライド台と漬物石昇降器とを別々にすることで漬物石昇降器にかかる加重を軽減させたので、キャスタにかかる負荷が減り、足回りの故障を抑制できるようになっている。
【0008】
また、門型フレームを門型形状部分とU字状脚部側部分とで分割可能としたので、梱包が容易にでき、かつ、小型化することができるようになっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1ないし図5を用いて本発明の漬物製造器の詳細を説明する。図1は、本発明に係る漬物石昇降器の斜視図である。図2は、本発明に係る漬物石昇降器に漬物石類を吊るした状態の斜視図である。図3は、漬物容器に漬物石昇降器を配置する過程の斜視図である。図4は、本発明に係る漬物製造器の実施状態の斜視図である。図5は、漬物容器を搭載したスライド台を手前にスライドさせた状態を示す斜視図である。
【0010】
図1ないし図5に図示した漬物製造器1は、漬物容器100を搭載するスライド台11及びスライドガイド12と、前記スライド台11及びスライドガイド12の周囲を囲んで設置される漬物石昇降器20から構成されている。なお、本発明に係る漬物製造器1は、漬物容器100を搭載するスライド台11と漬物石昇降器20を別々にしたので、複数個の漬物容器100に対して1台の漬物石昇降器20で全ての漬物容器100に対する漬物石昇降作業が可能となっている。
【0011】
前記スライド台11は、スライドガイド12上に設置され、スライドガイド12の両側壁に沿って前後に移動可能なようになっている。スライド台11上には漬物容器100が搭載されており、この漬物容器100上には市販の、あるいは自然石やブロック等の漬物石類101が搭載される。この漬物石類101は、漬物容器100内の漬け床上に載置した蓋上に載せられ、自重のみで加圧するようになっている。
漬物石類101は雑菌の付着しにくい材質から選ばれたり、そのような処理を施された繊維製あるいはプラスチック製等のネット102内に収納され、ネット102には索条30が連結されている。
【0012】
前記漬物石昇降器20は、下部に複数個のキャスタ22を備えたU字状脚部21と、前記U字状脚部21の上部から垂直上方に設けた門型フレーム23と、前記門型フレーム23に取付けた支柱24と、支柱24の上部から上記スライド台11に搭載した漬物容器100上に差し渡されたアーム25と、上記支柱24上端及びアーム25先端にそれぞれ設置したプーリ26からなる。
【0013】
前記U字状脚部21は、U字状をなし、下部にキャスタ22を備え、上部に門型フレーム23を設ける。なお、本発明においては、漬物容器100を搭載するスライド台11と漬物石昇降器20とを別々にすることで漬物石昇降器20にかかる加重を軽減させたので、キャスタ22にかかる負荷が減り、足回りの故障を抑制できるようになっている。
【0014】
前記門型フレーム23は、前記U字状脚部21から垂直上方に設けられ、門型フレーム23の上部には支柱24が取付けられ、門型フレーム23の下部には門型フレーム支持部27が設けられている。なお、門型フレーム23はその途中において上下に分解できるようになっている。このような構造により、漬物製造器の梱包が容易にでき、かつ小型化することができる。
【0015】
前記支柱24は、門型フレーム23の上部に取付けられ、鉛直上方に所定の長さを有している。この支柱24の上部には上記スライド台11に搭載した漬物容器100上に差し渡されたアーム25が一体的に設けられており、上記支柱24上端およびアーム25先端にはそれぞれプーリ26が設置されている。また、支柱24の下部にはウインチ31が設けられ、ウインチ31には、一端部を固定された索条30が備えられている。
【0016】
前記索条30は、上記各プーリ26を介して支柱24側でウインチ31に一端部を固定され、牽引可能に構成されている。すなわち、支柱24にはウインチ31が取り付けてあり、このウインチ31に巻き付けた索条30を手動で巻き上げ、あるいは反転させて昇降させるようになっている。前記ウィンチ31に設けられたハンドル32はウインチ31の巻取り軸の数倍のスパンを持っているので、例えば漬物石類101が5〜60kgの重さがあっても、力のない者でもハンドル32を回して簡単に索条30を巻き上げることができる。
【0017】
ウインチ31としては、エンジニアリングプラスチック等で作成すると軽量化することができて便利である。もちろん、上記ウインチ31に代えてモータ等を取付け、索条30を支柱24側で牽引可能とすることもできるが、いずれにしても漬物石類101を漬物容器100内の漬け床上に載置した蓋上に載せ、加圧時には牽引力を作用させなくして自重のみで加圧するようにすることが肝要である。
なお、現在の一般的なウインチはハンドルを手放しても常に回転止めが効いている構造をしているので、牽引されている漬物石の自重で勝手にハンドルが回り漬物石が落ちてしまうというようなことがなく、誰でも安心して安全に漬物石の昇降作業ができる。
【0018】
この発明の漬物製造器1の使用に際しては、野菜や果実等を漬け込んで蓋をした漬物容器100をスライドガイド12上に設置したスライド台11に搭載し、前記漬物容器100を搭載したスライド台11の周囲を囲うように漬物石昇降器20のU字状脚部21を配置する。
【0019】
次いで巻き上げてあった漬物石類101をウインチ31を反転させて降ろし、漬物容器100の蓋上に載せる。このとき、漬物容器100の蓋上には漬物石類101が搭載され、その自重のみで加圧されている。このまま徐々に時間が経過すると、水分が浸出して蓋が下がるが、漬物石類101の自重で常に一定の圧力が蓋上に加わっている。そして約1か月が経つと、非常に良好な漬物が完成する。
【0020】
ここで、漬物容器100に対する作業を行なう際は、ウインチ31を巻き上げて漬物石類101を持ち上げ、スライド台11ごと漬物容器100を門型フレーム23を多少くぐるように手前に引き出して漬物容器100から完成した漬物を取り出すことができ、漬物の取出し作業が簡単に行なえるようになった。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明は、漬物製造器に関するものであるが、重しの昇降を必要とする種々の用途に利用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る漬物石昇降器の斜視図である。
【図2】本発明に係る漬物石昇降器に漬物石類を吊るした状態の斜視図である。
【図3】漬物容器に漬物石昇降器を配置する過程の斜視図である。
【図4】本発明に係る漬物製造器の実施状態の斜視図である。
【図5】漬物容器を搭載したスライド台を手前にスライドさせた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 漬物製造器
11 スライド台
12 スライドガイド
20 漬物石昇降器
21 U字状脚部
22 キャスタ
23 門型フレーム
24 支柱
25 アーム
26 プーリ
30 索条
31 ウィンチ
32 ハンドル
100 漬物容器
101 漬物石類
102 ネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漬物容器を搭載するスライド台と、前記スライド台の周囲を囲んで設置される漬物石昇降器からなる漬物製造器であって、
上記漬物石昇降器が、キャスタを備えたU字状脚部と、
前記U字状脚部から垂直上方に設置された門型フレームと、
前記門型フレームに上方に向けて取付けられた支柱と、
支柱の上端から上記スライド台に搭載した漬物容器上に差し渡されたアームと、
上記支柱及びアームにそれぞれ設置したプーリとからなり、
上記スライド台に搭載した漬物容器上に搭載され、自重のみで漬物容器内を加圧可能とした漬物石類に連結され、かつ上記各プーリを介して支柱側に設置したウィンチにより牽引可能とした索条を、手動ないし自動で昇降させるようにした漬物製造器において、
門型形状である前記門型フレームに支柱を取付けたことにより、漬物容器を門型フレームをくぐらせて手前に引き出すことができるようにしたことを特徴とする漬物製造器。
【請求項2】
門型フレームが門型形状部分とU字状脚部側部分とで分割可能としたことを特徴とする請求項1に記載の漬物製造器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−263872(P2008−263872A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112314(P2007−112314)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(594136479)
【Fターム(参考)】