説明

潤滑剤供給装置

【課題】複数の潤滑供給部に対してそれぞれ必要な潤滑油量を安定的に供給して最適な潤滑状態を確保することができるようにする。
【解決手段】空気供給源のエアを図示しない制御弁、圧力計により調質、調圧する空気供給部11と、管路12により空気供給部11の下流側で空気の流れを制御する2ポート電磁弁13と、回転軸14を回転自在に軸支する軸受15乃至18に対して個別に吐出油量を調整する電磁ポンプ19乃至22からなる電磁ポンプ部23と、潤滑油を所定量収納すると共に、前記電磁ポンプ部23を潤滑油内に浸漬した油槽24と、エアを調圧する調圧弁29乃至32と、オイルミストを生成するオイルミスト発生器51乃至54と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてベアリング、ギア等の複数の潤滑供給部にオイルミストを供給する潤滑剤供給装置に関し、さらに詳細には、複数の潤滑供給部に対してそれぞれ必要な潤滑油量を安定的に供給して最適な潤滑状態を確保することができると共に、潤滑供給部毎の潤滑油量の変更にも個々に対応することができる潤滑剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のオイルミスト潤滑装置としては、フィルタ/レギュレータ1の下流側で空気の流れを制御する2ポート電磁弁等の方向制御弁2と、複数の潤滑対象に対して個別に吐出油量を調整する複数のオイルミスト発生部3、3・・・とを備える。前記オイルミスト発生部3、3・・・は、潤滑点の数に応じて分岐され、各々エアバイパス調整ねじ7及び圧力計8を介して接続されるオイルミスト発生器4、4・・・と、小型3ポート電磁弁5、5・・・を介して空気ラインがLが接続される定量吐出ポンプユニット6、6・・・とを備え、小型3ポート電磁弁5、5・・・のパルス出力でインジェクションポンプ9、9・・・の吐出ライン9a,9a・・・に定量の油を吐出している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−130587号特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来のオイルミスト潤滑装置は、複数の潤滑供給部に対してそれぞれ必要な潤滑油量を安定的に供給して最適な潤滑状態を確保する際に、潤滑供給部毎にオイルミスト発生部を個別に設置するために取付スペースが大きくなり、該オイルミスト発生部を多数個の設置するためにコストが上昇する。また、定量吐出ポンプは油槽の外部に設置されるため、該油槽からオイルを吸上げるときオイル液面の低下、配管継目からのエアー吸込みによる等の不具合が起こりやすい。
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、複数の潤滑供給部に対してそれぞれ必要な潤滑油量を安定的に供給して最適な潤滑状態を確保することができると共に、潤滑供給部毎の潤滑油量の変更にも個別に対応することができ、構造が簡単でコストを低減することが可能な潤滑剤供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の課題を解決するため請求項1記載の発明は、複数の潤滑供給部に個々に吐出油量を制御する電磁ポンプ部を設置したことを特徴とする。
本発明によれば、それぞれの潤滑供給部に対しての油量の変更が容易に行えるため、個別に適切なオイルミストを供給できるといった効果を奏すると共に、タンクの共用化や、運転時におけるオイルの補給も可能になり、また、レベルスイッチも一個で済むなど、スペース、コスト面の利点もある。さらに、ソレノイドの周波数またはduty比を調整することにより潤滑供給部毎の潤滑油の供給量が設定できる。
請求項2記載の発明は、複数の潤滑供給部に個々に供給圧力若しくは流路面積を個々に調整して空気量を変更せしめオイルミストを発生するオイルミスト発生部を接続したので,
潤滑供給部に対して空気量が容易に行えるのでよい。
請求項3記載の発明では、潤滑剤供給装置は、空気供給部と、前記空気供給部の下流側で空気の流れを連通、遮断する2ポート電磁弁等の方向制御弁と、複数の潤滑供給部に対して個々に接続され潤滑油を吐出する電磁ポンプ部と、前記複数の潤滑供給部に対しエアを調圧する調圧弁と、前記電磁ポンプ部の吐出流量を個々に調整するコントローラと、潤滑油に浸漬された前記電磁ポンプ部を収納する油槽と、
オイルミストを生成するオイルミスト発生部と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、複数の潤滑供給部に対して個別に吐出油量を調整するオイルミスト発生器を必要数設置してなることによって、それぞれの潤滑供給部に対しての吐出油量の変更が容易に行えることができ、個別に適切なオイルミストを供給できるといった効果を奏すると共に、タンクの共用化や、運転時におけるオイルの補給も可能になり、さらに、電磁ポンプを油槽に貯蔵された潤滑油中に浸漬し設置したことによってエア吸込みの不具合いが起こらない。また、レベルスイッチも一個で済むなど、スペース、コスト面のメリットもある。
【0005】
請求項4記載の発明では、前記電磁ポンプ部は、潤滑供給部の数と等しい数のエアの圧力を調整する調圧弁を介して個々に接続され定量の潤滑油を供給する電磁ポンプを備えるので、複数の潤滑供給部に対して個別に吐出油量を調整するオイルミスト発生部を必要数設置することによって、それぞれの潤滑供給部に対しての吐出油量の変更が容易に行えるので好適である。
請求項5記載の発明では、前記コントローラは、前記電磁ポンプ部が個々に潤滑油を間歇的に吐出できるように制御するので、個々に潤滑油を吐出できるため、例えば潤滑する軸受の負荷が違う場合に負荷の大きい軸受に潤滑油量を多くすることや、負荷の小さい軸受の潤滑油量を小さくすることで最適な潤滑が行えるのでよい。
請求項6記載の潤滑剤供給装置において、前記潤滑供給部に温度センサを配設したので、
潤滑供給部に最適なオイルミストを供給することができるので、温度センサで潤滑供給部を個別に潤滑状態が把握でき、焼き付きの防止を図るのに好適である。
請求項7の記載の潤滑剤供給装置において、前記温度センサからの信号を前記コントローラにフィードバッグし前記電磁ポンプ部の吐出流量を調整できるようにしたので、潤滑供給部の負荷状態に対してリアルタイムでオイルミストを供給できるのでよい。これにより潤滑供給部の温度を制御することができ、負荷に関係なく潤滑供給部の温度を一定にすることにより、機械の精度が向上するのでよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、軸受、ギア等の複数の潤滑供給部に対して個別に吐出油量を調整する電磁ポンプを必要数設置することによって、潤滑供給部に対しての油量の変更が容易に行えるため、個別に適切なオイルミストを供給できるといった効果を奏すると共に、タンクの共用化や、運転時におけるオイルの補給も可能になり、また、レベルスイッチも一個で済むなど、スペース、コスト面の利点もある。また、構成が単純であるため大量生産に適し、価格も低廉なものとして需要者に提供できるなど、本発明を実施することはその実益的価値が高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施の形態に係る潤滑剤供給装置について図面により詳細に説明する。図1は本発明の第一の実施の形態に係る潤滑剤供給装置10の概略構成図である。図1において、潤滑剤供給装置10は、基本的には空気供給源(図示しない)のエアを図示しない制御弁、圧力計により調質、調圧する空気供給部11と、管路12により前記空気供給部11の下流側で空気の流れを制御する2ポート電磁弁(方向制御弁)13と、図示しない機械の回転軸14を回転自在に支持する軸受(潤滑供給部)15乃至18に対して個別に吐出油量を調整する電磁ポンプ19乃至22からなる電磁ポンプ部23と、吐出油量である潤滑油(図示しない)を所定量収納すると共に、前記電磁ポンプ部23を潤滑油内に浸漬した油槽24と、エアを調圧する調圧弁29乃至32と、を備える。
【0008】
前記軸受15乃至18に個々に調圧されたエアを送給する管路25乃至28には該軸受15乃至18に供給するエアを調圧する調圧弁29乃至32が設けられている。前記調圧弁29乃至32は管路33乃至36を介して2ポート電磁弁13に連通する管路37に接続されている。
電磁ポンプ部23を構成する電磁ポンプ19乃至22はコントローラ38により該電磁ポンプ19乃至22のソレノイド(図示しない)の周波数またはduty比を調整することにより吐出流量を制御することができる。電磁ポンプ19乃至22は吸入口39乃至42が油槽24に貯蔵された潤滑油(図示しない)に浸漬され、かつ吐出口43乃至46には管路47乃至50の一端が接続され、該管路47乃至50の他端は管路25乃至28に接続され複数の潤滑供給部に対して個々に供給圧力若しくは流路面積を個々に調整して空気量を変更せしめオイルミストを生成するオイルミスト発生器(オイルミスト発生部)51乃54に連通している。前記オイルミスト発生器51乃至54は管路55乃至58に接続されて軸受15乃至18に連通している。参照符号59乃至62は軸受15乃至18の温度を計測する温度センサを示し、該温度センサ59乃至62により計測された計測値は電気信号によりコントローラ38に送られ電磁ポンプ部23の電磁ポンプ19乃至22を制御して潤滑油の吐出量を調整する。
【0009】
本発明の実施の形態に係る潤滑剤供給装置10は基本的には以上のように構成されもので、次に動作について説明する。
2ポート電磁弁13が通電されると、該電磁弁13のバルブ(図示しない)が開いてエアは空気供給部11より管路12、電磁弁13及び管路37を経て管路33乃至36に流入し、調圧弁29乃至32により軸受15乃至18に適したエア圧に調整される。
一方、電磁ポンプ19乃至22はコントローラ38により潤滑油を個々に軸受15乃至18に適した吐出流量に調整する。潤滑油は、所定サイクルにより連続的に管路43乃至46内を流れオイルミスト発生器51乃至54においてエアと混合してオイルミストに生成され管路55乃至58内を流れて軸受15乃至18に供給される。軸受15乃至18は、温度センサ59乃至62により回転軸14が駆動する際の温度が連続または不連続に測定され、検出信号がコントローラ38に送られ、電磁ポンプ19乃至22による潤滑油の吐出量が調整される。
【0010】
この場合、電磁ポンプ19乃至22から吐出される潤滑油は連続的に制御したが、コントローラ38により間歇に同期して吐出してもよいし、ランダムに吐出してもよい。また、軸受15乃至18に供給される潤滑油はコントローラ38により吐出量が調整され、エアは空気供給部11、調圧弁29乃至32によりエア圧、吐出流量が個々に調整することができる。
本実施の形態に係る潤滑剤供給装置10は、軸受の場合について説明したが、他の給油個所、例えば歯車、摺動面、チェーン等についても勿論可能である。この場合、歯車、摺動面、チェーンに供給する電磁ポンプ19乃至22の吐出流量及びエア圧の調整はコントローラ38、調圧弁29乃至32により行われる。
【0011】
図2は発明の第二の実施の形態に係る潤滑剤供給装置60の概略構成図で、図2中、図1の同一の構成要素については同一符号で示して詳細な説明は省略する。
図2に示す潤滑剤供給装置60の特徴は軸受15乃至18のエアの調圧弁29乃至32を廃止して同じ調圧弁を用いたことにある。すなわち管路37に接続した調圧弁61は管路62を介して管路25乃至28に連通し軸受15乃至18のエア圧を調整している。
本発明に実施の形態に係る潤滑剤供給装置は、それぞれ必要とする潤滑油量を個別調整することができ、最適な潤滑状態を確保することができると共に、潤滑供給部毎の潤滑油量の変更にも容易に対応することができるものであり、また、構成が単純であるため大量生産に適し、価格も低廉なものとして需要者に提供できるなど、本発明を実施することは
その実益的価値が高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る潤滑剤供給装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第二の実施の形態に係る潤滑剤供給装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0013】
10、60 潤滑剤供給装置 11 空気供給部
13 2ポート電磁弁 14 回転軸
15〜18 軸受 19〜22 電磁ポンプ
24 油槽 29〜32 調圧部
38 コントローラ 39〜42 吸込口
43〜46 吐出口 51〜54 オイルミスト発生器
59〜62 温度センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の潤滑供給部に個々に吐出油量を制御する電磁ポンプ部を接続したことを特徴とする潤滑剤供給装置。
【請求項2】
複数の潤滑供給部に個々に供給圧力若しくは流路面積を個々に調整して空気量を変更せしめオイルミストを発生するオイルミスト発生部を接続したことを特徴とする潤滑剤供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の潤滑剤供給装置において、
空気供給部と、
前記空気供給部の下流側で空気の流れを連通、遮断する2ポート電磁弁等の方向制御弁と、
複数の潤滑供給部に対して個々に接続され潤滑油を吐出する電磁ポンプ部と、
前記複数の潤滑供給部に対しエアを調圧する調圧部と、
前記電磁ポンプ部の吐出流量を個々に調整するコントローラと、
潤滑油に浸漬された前記電磁ポンプ部を収納する油槽と、
オイルミストを生成するオイルミスト発生部と、
を備えたことを特徴とする潤滑剤供給装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の潤滑剤供給装置において、前記電磁ポンプ部は、潤滑供給部の数と等しい数のエアの圧力を調整する調圧弁を介して個々に接続され定量の潤滑油を供給する電磁ポンプを備えてなることを特徴とする潤滑剤供給装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の潤滑剤供給装置において、前記コントローラは、前記電磁ポンプ部が個々に潤滑油を間歇的に吐出できるように制御することを特徴とする潤滑剤供給装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の潤滑剤供給装置において、前記潤滑供給部に温度センサを配設したことを特徴とする潤滑剤供給装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の潤滑剤供給装置において、前記温度センサからの信号を前記コントローラにフィードバッグし前記電磁ポンプ部の吐出流量を調整することを特徴とする潤滑剤供給装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−64215(P2008−64215A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243802(P2006−243802)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)
【出願人】(591001282)大同メタル工業株式会社 (179)