説明

潤滑剤供給装置

【課題】直径が異なるグリース缶を容易に位置決めでき、グリース缶内のグリースの供給が終了してサクションチューブを上昇する際にグリース缶がサクションチューブと共に上昇する問題を防止する。
【解決手段】載置台1上のリフタ2から離反した手前位置で且つグリース缶の載置位置を挟む左右位置には、固定ネジ40により長さ方向の一端が載置台1上で回動及び固定可能に取り付けた左右のガイドバー41,42を備え、ガイドバー41,42の下面にはグリース缶100の下端に備えたリブ102に嵌合する切欠き段部を形成し、載置台1の左右の中間位置には、リフタ2に向かって延びる長孔45が形成され、ネジ部が長孔45を貫通して載置台1下面に配置したボルトのネジ部に螺合するクランプノブ47を備え、クランプノブ47の下面にはグリース缶100の下端に備えたリブ102に嵌合する切欠き段部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直径が異なるグリース缶を容易に位置決めしてセットすることができ、且つ、グリース缶内のグリースの供給が終了してサクションチューブを上昇する際に、グリース缶がサクションチューブと共に上昇する問題を防止するようにした潤滑剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドラム缶、ペール缶のような大きい容量の容器に収容されたグリース等の潤滑剤を吸引し、各種産業機械等の給油対象に対して、例えば分配弁を介して或いは介さずに潤滑剤を所定量ずつ供給するようにした潤滑給油ポンプがある(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の潤滑給油ポンプは、容器を載置する基板上の一側に立設したガイド支柱と、該ガイド支柱に沿って昇降可能な昇降部材と、該昇降部材を流体圧シリンダ等によって昇降させる昇降機構を備えている。更に、前記昇降部材には鉛直な支軸が設けてあり、該支軸には、前記容器の上部を覆うようにした蓋部を有する吸引装置を設けている。該吸引装置は、前記蓋部の上側に備えた駆動装置と、前記蓋部の下側にサポートパイプを介して備えたポンプとを有している。そして、上記潤滑給油ポンプでは、上部を開放した容器を前記基板上に載置し、前記吸引装置を下降させてポンプと共にサポートパイプを前記容器内に挿入する。そして、駆動装置の駆動によりポンプを介して容器内の潤滑剤を吸引すると、吸引した潤滑剤は前記蓋部を貫通する導管を通して給油対象へ送給されるようになっている。
【0004】
又、前記特許文献1の潤滑給油ポンプでは、基板上に容器を位置決めして載置する(心合わせする)ための位置決め手段を備えた2つの載置部が設けてあり、前記吸引装置を前記鉛直な支軸を中心に水平回動させることによって、前記吸引装置を2つの載置部の各上部に切り替えて移動できるようにしている。
【0005】
前記ドラム缶(200リットル収容)のような大容量の容器を取り扱う潤滑給油ポンプにおいては、容器の直径が変更されるようなことはなく、よって、例えばドラム缶に合致した位置決め手段を基板に設けておくことにより、新しいドラム缶と交換する際の位置決めを容易に行うことができる。
【0006】
一方、上記ドラム缶等の容器に比して小容量のグリース缶が従来から用いられており、このような小容量のグリース缶としては、1キログラム缶、1.5キログラム缶、2キログラム缶、2.5キログラム缶、3キログラム缶のような多種類のものが販売されており、このようなグリース缶の直径は例えば100mm〜180mmのような範囲を有している。
【0007】
上記したような小容量のグリース缶は、精密機器のような給油対象に対して給油する場合等に主に用いられており、潤滑対象に対して要求される少量のグリースを供給するものであって、一般にこのような小容量のグリース缶のグリースは非常に高価である場合が多い。
【0008】
上記したような小容量のグリース缶のグリースを連続供給するようにした潤滑用ポンプがある(特許文献2参照)。
【0009】
特許文献2の潤滑用ポンプは、グリース缶の上部に載置して開口を覆うようにした蓋の上側に吸引装置を備え、蓋の下側には前記吸引装置に連通して下方へ延設されたサクションパイプを備え、更に、貫通口が前記サクションパイプに嵌合して昇降するフォロアプレートを備えた構成を有しており、このような潤滑用ポンプを使用する際には、開放したグリース缶内部のグリース上に密着するようにフォロアプレートを装入し、このフォロアプレートの中心の貫通口にサクションパイプを貫通させてグリース缶内に挿入し前記蓋をグリース缶の上端に被せる。このようにセットした状態で吸引装置を駆動すると、サクションパイプを介してグリース缶内のグリースが吸引供給され、グリース缶内のグリースが減量するとそれに伴ってフォロアプレートは徐々に下降する。フォロアプレートがグリース缶の底部まで下降するとグリースの供給は停止する。この潤滑用ポンプでは、フォロアプレートによってグリース缶のグリースのほぼ全てを吸引することができる。その後、吸引装置を持ち上げると、サクションパイプと共にフォロアプレートが吊り上げられてグリース缶から取り出され、新しいグリース缶に対して前記吸引装置をセットする操作を行うことによりグリース缶の交換を行う。
【0010】
上記したように、特許文献2の潤滑用ポンプにおいては、グリース缶を交換する際には、作業者が吸引装置を抱えるようにしてグリース缶から吸引装置、蓋、サクションパイプを取り外し、続いて、新しいグリース缶にセットする作業を行っているが、上記したように、グリース缶の交換の度に、作業者は重い吸引装置を抱えた状態で新しいグリース缶に対する吸引装置の取り付け、取り外しを行う必要があり、この作業が大変であるという問題を有していた。
【0011】
又、前記吸引装置を抱えてサクションパイプをフォロアプレートから引き抜こうとすると、フォロアプレートの下部に真空が形成されるためにサクションパイプが引き抜かれずにサクションパイプと一体にグリース缶が持ち上がってしまい、このために、グリース缶を脚等で挟んで固定した状態で吸引装置を持ち上げてサクションパイプを強引に引抜くといった面倒な作業が必要であった。
【0012】
従って、前記小容量のグリース缶においても、前記特許文献1に示した潤滑給油ポンプのように、吸引装置を昇降させてグリース缶の交換が行えるようにした構成を用いてグリースの供給を行うことは好ましい。
【0013】
ここで、特に小容量のグリース缶においては、グリース缶の開封後は、所定の期間内でグリースを使い切るようにすることが望まれる。即ち、グリース缶を開封した状態に保持すると、グリースの油分が分離・酸化して変質するという問題がある。特に前記したような高価なグリースでは変質の問題を防止することが要求されており、従って、経済的理由等から、潤滑対象へグリースを供給することで所定期間に使い切れるような容量のグリース缶を選定して用いるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−250173号公報
【特許文献2】特開2001−234851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、特許文献1の潤滑給油ポンプでは、一定形状の位置決め手段を備えて容器の位置決めを行っているために、前記したように直径が異なる小容量のグリース缶を選定して交換しようとしても、直径が異なるグリース缶は位置決めできないという問題がある。
【0016】
又、この問題のために、位置決め手段を備えないようにした場合には、グリース缶の直径が同一の場合でも、又、異なる場合でも、グリース缶の交換の度に吸引装置とグリース缶との位置決め作業を実施する必要があり、この位置決め作業に手間取って時間が掛ることにより、グリースの供給が休止される時間が長くなってしまうという問題を有していた。
【0017】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなしたもので、直径が異なるグリース缶を容易に位置決めしてセットすることができ、且つ、グリース缶内のグリースの供給が終了してサクションチューブを上昇する際に、グリース缶がサクションチューブと共に上昇する問題を防止するようにした潤滑剤供給装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、グリース缶を載置する載置台上の一側である奥側に立設して昇降部材を昇降させるリフタと、該リフタの昇降部材に取り付けられて昇降しサクションチューブが下方に延設されたポンプ装置と、前記グリース缶の内部に気密に装入され且つ前記サクションチューブが気密に貫通する貫通口を備えたフォロアプレートとを有し、内部にフォロアプレートを装入したグリース缶を前記載置台上に載置し、前記サクションチューブを下降させフォロアプレートの貫通口に貫通させてグリース缶内に挿入することによりグリースの供給を行う潤滑剤供給装置であって、
前記載置台上の前記リフタから離反した手前位置で且つリフタを挟む左右位置には、固定ネジにより長さ方向の一端が載置台上で回動及び固定可能に取り付けられた左右のガイドバーを備え、該ガイドバーの下面には前記グリース缶の下端外周に備えたリブに嵌合する切欠き段部が形成され、
前記載置台の左右の中間位置には、手前から前記リフタに向かって延びる長孔が形成され、ボルト部が前記長孔を貫通して載置台下面に配置したナットに螺合するようにしたクランプノブを備え、該クランプノブの下面には前記グリース缶の下端外周に備えたリブに嵌合する切欠き段部が形成された
ことを特徴とする潤滑剤供給装置、に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の潤滑剤供給装置によれば、2つのガイドバーと1つのクランプノブによる3点によってグリース缶を載置台上に容易に位置決めすることができ、1度位置決めを行った後は同一の直径のグリース缶を用いる際にはグリース缶を2つのガイドバーに押し当てるのみで位置決めでき、又、直径が異なるグリース缶を用いる際には2つのガイドバーの角度を調節するのみで容易に位置決めできるという効果を奏し得る。更に、前記グリース缶の位置決め時に、ガイドバーとクランプノブに備えた切欠き段部がグリース缶の下端外周に備えたリブに嵌合するので、グリース缶内のグリースの供給が終了してサクションチューブをクランプノブから引抜いて上昇させる際に、ガイドバーとクランプノブによってグリース缶を載置台上に引き留めておくことができ、真空によってグリース缶がサクションチューブと一体に上昇する問題を確実に防止できるという効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の潤滑剤供給装置の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1の潤滑剤供給装置に備えられるポンプ装置の概略を示す断面図である。
【図3】本発明に用いるグリース缶とフォロアプレートの一例を示す斜視図である。
【図4】図3のグリース缶とフォロアプレートの断面図である。
【図5】図4のフォロアプレートとは異なる形状のフォロアプレートの断面図である。
【図6】本発明の潤滑剤供給装置の載置台の平面図である。
【図7】図6のVII−VII方向矢視図である。
【図8】図7のガイドバーの詳細を示す説明図である。
【図9】図7のクランプノブの詳細を示す説明図である。
【図10】図9のクランプノブに備えるナットの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0022】
図1は本発明の潤滑剤供給装置の一実施例を示す斜視図である。図1に示す潤滑剤供給装置は、1キログラム缶〜3キログラム缶のような小容量のグリース缶100を載置するための載置台1を有し、該載置台1の一側である奥側にはリフタ2が立設している。図1のリフタ2は、エアシリンダ3の場合を示しており、該エアシリンダ3から上方へ突出しているシリンダロッド4の上端にはL字形のプレートからなる昇降部材5が固定されている。前記エアシリンダ3は外部に設けた操作パネル6に接続されている空気管7によって供給される圧縮空気により伸縮駆動するようになっている。前記操作パネル6には、エアシリンダ3の作動空気圧力を調整して昇降部材5の昇降速度を所定値に保持するための昇降用のレギュレータ8が設けてあり、更に、シリンダロッド4の上昇と下降を切り替える昇降切替スイッチ9と、シリンダロッド4の移動を寸動させるインチングスイッチ10が設けられている。
【0023】
前記昇降部材5には、図1、図2に示すポンプ装置11が固定されている。このポンプ装置11は、前記昇降部材5に固定された駆動シリンダ12を有している。この駆動シリンダ12は、前記操作パネル6に接続した空気管13から供給される圧縮空気を切り替えてピストン14の下部入口A1とピストン14の上部入口A2へ供給する電磁弁15と、前記ピストン14が下部位置と上部位置に来たときに前記電磁弁15を切り替える下部センサスイッチS1と上部センサスイッチS2を備えている。図1中、16は、前記操作パネル6に備えてグリースの性状等に応じてグリースの吐出圧力を調整するためのポンプ用のレギュレータである。
【0024】
前記駆動シリンダ12の下側には下方へ延設したサクションチューブ17が設けてあり、該サクションチューブ17の内部には前記ピストン14と一体に連結されて昇降するようにした弁本体18と、該弁本体18の内部の流路19に設けたボール弁20と、弁本体18の下端の吸引口22上のサクションチューブ17内に設けたボール弁21とを有し、前記弁本体18の上昇と下降の両行程において、サクションチューブ17下端の吸引口22からグリース缶100内のグリースを吸引し、サクションチューブ17上端のグリース吐出口23から吐出することにより給油対象へ供給するようになっている。尚、前記サクションチューブ17は、前記駆動シリンダ12の往復動の一方の作動時のみにグリースを吸引して供給するようになっていてもよい。図1中、24は吐出するグリースの圧力計、25,26は、前記駆動シリンダ12に備えてポンプ装置11によるグリースの吸引速度(即ち、グリースの吐出量)を調整するようにしたスピードコントローラである。
【0025】
図1、図3及び図4には、前記グリース缶100の内部に気密に装入されるようにしたフォロアプレート27が示してあり、このフォロアプレート27は、グリース缶100の内部に気密に装入される大きさの円形のゴム板28を、該ゴム板28よりも径が小さい2枚の金属板29(鉄板)によって挾持した構成を有しており、前記上側の鉄板29の中心の上側にはスライドブッシュ30が設けてある。前記フォロアプレート27の中心には貫通口31が形成されて内部にはシールリング32が設けてあり、前記サクションチューブ17は前記フォロアプレート27の貫通口31を気密に貫通できるようになっている。又、前記フォロアプレート27の上面には、環状の把持具33が設けてあり、グリースの供給が終了したグリース缶100から前記フォロアプレート27を取り出す際には、前記把持具33に指を掛けて引き出すことにより取り出せるようになっている。
【0026】
図3、図4のグリース缶100は、上部開口の内側に張り出した縁部101を有しており、このため、前記 フォロアプレート27は外周のゴム板28を撓ませることによって縁部101の内側からグリース缶100内へ装入するようにしており、グリース缶100内へ装入したフォロアプレート27は、ゴム板28の外周がグリース缶100の内周面に密着し、又、フォロアプレート27はその自重とポンプ装置11の吸引力によって下面がグリース缶100内のグリース上面に密着する。
【0027】
又、図5は前記フォロアプレート27の他の例を示すもので、このフォロアプレート27は、ゴム板28の上側の鉄板29及びスライドブッシュ30に代えて、所要の厚みを有する鋼からなる錘34を設けており、硬いグリースの場合に錘34を設けることによってフォロアプレート27の重量を増加した場合を示している。
【0028】
図1に示す前記ポンプ装置11の側部には、支持金具35を介してレベルロッド36が備えられている。前記レベルロッド36は、支持金具35上に備えた調整ナット37aに上端が螺合したロッド部37bを吊り下げて備えており、更に、ロッド部37bの下端には、マグネット内蔵の密着部37cが設けられている。前記ポンプ装置11が下降すると、サクションチューブ17と共にレベルロッド36は下降し、密着部37cがフォロアプレート27の上面に密着する。サクションチューブ17が更に下降すると、レベルロッド36はフォロアプレート27上に留まった状態となってサクションチューブ17のみが下降する。サクションチューブ17がグリース缶100内底部まで下降した状態で前記ポンプ装置11を駆動してグリースの供給を行うと、グリース缶100内のグリースの減少と共にフォロアプレート27の自重とポンプ装置11の吸引力によってフォロアプレート27は徐々に下降し、これと共にレベルロッド36も下降する。フォロアプレート27がグリース缶100内底部に到達すると、前記レベルロッド36上端の調整ナット37aの上面を検出してグリース缶100のグリース残量が空になったことを検出するためのローレベルスイッチ38が前記支持金具35に設けられている。
【0029】
又、39は前記サクションチューブ17とレベルロッド36が貫通するように設けたアクリル等の透明板で形成したカバーであり、該カバー39を前記グリース缶100の上縁に当設するよう載置しておくことにより、グリース缶100への異物の侵入を防止し、且つ、潤滑剤供給装置によるグリース供給中におけるグリース缶100内部の様子を目視確認できるようにしている。
【0030】
図1、図6に示すように、前記載置台1上の前記リフタ2から離反した手前位置で且つリフタ2を挟む左右位置には、図8に示す載置台1のネジ孔40aに螺合する固定ネジ40により長さ方向の一端を載置台1上で回動及び固定可能に取り付けた左右のガイドバー41,42を設けている。該ガイドバー41,42の下面には、図8に示す如く、前記グリース缶100の下端外周に備えられているリブ102に嵌合する切欠き段部43を形成している。図8のガイドバー41,42は下面の幅方向両側に切欠き段部43が形成されており、従って、切欠き段部43を備えた長尺の材料を切断することにより、前記ガイドバー41,42を容易に製造することができる。
【0031】
前記固定ネジ40には六角棒スパナ44によって締め付けるようにした六角穴付ボルト40'を用いることができ、該六角穴付ボルト40'を中心にガイドバー41,42を任意の位置に回動させた後、図7に示す六角棒スパナ44で六角穴付ボルト40'を締め付けることによりガイドバー41,42を任意の位置に固定できるようにしている。
【0032】
図1、図6に示すように、前記載置台1上の左右の中間位置には、手前から奥側の前記リフタ2に向かって延びる長孔45が形成してあり、該長孔45には、図9に示すように載置台1の下側からネジ部46を貫通させたボルト48が配置され、前記載置台1の上側には前記ネジ部46に螺合するクランプノブ47が設けられている。前記クランプノブ47の外周面には、滑り止め用のローレットが加工されており、手指で締付けて固定し、又、弛めて長孔45に沿って移動できるようにしている。前記クランプノブ47の下面には、前記グリース缶100の下端外周に備えたリブ102に嵌合する切欠き段部49を形成している。
【0033】
前記ガイドバー41,42及びクランプノブ47に形成した切欠き段部43,49の上下方向の高さHは、前記グリース缶100の下端外周に備えたリブ102の高さH'よりも僅かに高く形成されており、前記リブ102は容易に切欠き段部43,49に嵌合されるようになっている。
【0034】
図10は図9におけるボルト48の他の例を示したもので、このボルト48は、頭部50のネジ部46側の面において直径方向の位置で突出し前記長孔45に嵌合するようにした回り止め凸部51を形成した場合を示している。
【0035】
次に、上記実施例の作動を説明する。
【0036】
図1の載置台1上に位置決めして設置するには、図1に示すようにリフタ2により前記昇降部材5を上方に上昇させた状態として、図3のフォロアプレート27を図4に示すようにグリース缶100の内部に装入したグリース缶100を載置台1上に載置する。続いて、図1に示す昇降切替スイッチ9を操作してサクションチューブ17の下端がフォロアプレート27の貫通口31の上部まで下降させた後、インチングスイッチ10を操作して前記ポンプ装置11を下方へ寸動させつつサクションチューブ17の下端がフォロアプレート27の貫通口31に一致するようにグリース缶100を位置決めし、続いて、サクションチューブ17を貫通口31に貫通させて下端がグリース缶100の内底部に当接する状態に挿入する。この時、レベルロッド36は上方に押し上げられた状態になっている。
【0037】
続いて、図6の実線状態に待機しておいたガイドバー41,42を二点鎖線のように回動させて、ガイドバー41,42をグリース缶100の外周面に当接させ、六角棒スパナ44により六角穴付ボルト40'を締め付けて固定する。この時、ガイドバー41,42の下面に備えた切欠き段部43はグリース缶100の下端外周に備えたリブ102に嵌合される。
【0038】
次に、図6の実線状態に待機しておいたクランプノブ47を手指により長孔45に沿って移動させてクランプノブ47を前記グリース缶100の外周面に当接させ、下側に備えたボルト48を回転しないように一方の手指で押えながら、他方の手指でクランプノブ47を回して載置台1に固定する。この時、クランプノブ47の下面に備えた切欠き段部49はグリース缶100の下端外周に備えたリブ102に嵌合される。前記クランプノブ47はグリース缶100が動かないように押えるだけであるため、工具等を使用することなしに手指で容易に締め付けることができる。尚、図10に示すように、上面の直径方向位置に前記長孔45に嵌合する回り止め凸部51を形成したボルト48を備えた場合には、クランプノブ47の締付時にボルト48が回転することがないので、ボルト48を押える必要はない。
【0039】
上記により、グリース缶100は、2つのガイドバー41,42と1つのクランプノブ47からなる3点により位置決めされる。
【0040】
この状態で前記ポンプ装置11を作動すると、グリース缶100内のグリースは、サクションチューブ17下端の吸引口22から吸引され、サクションチューブ17上端のグリース吐出口23から給油対象へ供給される。グリースを供給すると缶100内のグリースの残量が減少することに応じてフォロアプレート27は自重とポンプ装置11による吸引力によって下降するが、フォロアプレート27の下降に追随してレベルロッド36も下降する。この時、前記フォロアプレート27に図5に示す錘34を備えていると、グリースの硬度が高い場合にも前記フォロアプレート27の下降を確実に行わせることができる。又、グリース缶100の上部を透明なカバー39によって覆うようにしているので、グリース缶100への異物の侵入を防止することができ、且つ、グリース供給中におけるグリース缶100内部の様子を目視確認することができる。
【0041】
前記フォロアプレート27が最下位置(グリース缶100のグリース残量が空になった状態)になると、ローレベルスイッチ38は締付ナット37aの上端が最下端位置になってことを検出して、前記ポンプ装置11によるグリースの供給を停止する。
【0042】
空になったグリース缶100を載置台1から取り外す際は、前記昇降部材5を上方に上昇させることにより、サクションチューブ17をフォロアプレート27の貫通口31から引抜く。
【0043】
この時、サクションチューブ17の下側に真空が形成されるために、この真空によってグリース缶100がサクションチューブ17と一体に持ち上がろうとするが、前記ガイドバー41,42とクランプノブ47に備えた切欠き段部43,49がグリース缶100の下端外周に備えたリブ102に嵌合しているため、グリース缶100は載置台1上に引き留めた状態で、サクションチューブ17を容易に引抜くことができる。
【0044】
続いて、クランプノブ47による固定を弛めてクランプノブ47を長孔45に沿ってグリース缶100から離反させることにより、グリース缶100を載置台1から容易に取り外すことができる。
【0045】
前記グリース缶100と同一の直径を有するグリース缶100を交換して設置するには、前記したように固定されたガイドバー41,42にグリース缶100を当接させて位置決めし、続いて、クランプノブ47を前記グリース缶100の外周面に当接させて締め付けることによりグリース缶100を簡単に固定することができる。
【0046】
又、前記グリース缶100と異なる直径のグリース缶100を交換して設置する際には、前記したように、ポンプ装置11のサクションチューブ17の下端にフォロアプレート27の貫通口31が一致するように位置決めし、サクションチューブ17の下端を貫通口31を通してグリース缶100内に挿入した後、前記したように、ガイドバー41,42をグリース缶100の外周面に当接させて固定すると共に、クランプノブ47を前記グリース缶100の外周面に当接させて締め付けることにより容易に固定することができる。
【0047】
上記実施例においては、潤滑剤供給装置によりグリース缶100を位置決め固定する場合について説明したが、グリース缶以外の潤滑剤(潤滑オイル)が収容されている種々の潤滑剤缶においても円筒形の缶であれば、同様に位置決め固定することができる。
【0048】
尚、本発明の潤滑剤供給装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
1 載置台
2 リフタ
5 昇降部材
11 ポンプ装置
17 サクションチューブ
27 フォロアプレート
31 貫通口
40 固定ネジ
41,42 ガイドバー
43 切欠き段部
45 長孔
46 ボルト部
47 クランプノブ
48 ナット
49 切欠き段部
100 グリース缶
102 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリース缶を載置する載置台上の一側である奥側に立設して昇降部材を昇降させるリフタと、該リフタの昇降部材に取り付けられて昇降しサクションチューブが下方に延設されたポンプ装置と、前記グリース缶の内部に気密に装入され且つ前記サクションチューブが気密に貫通する貫通口を備えたフォロアプレートとを有し、内部にフォロアプレートを装入したグリース缶を前記載置台上に載置し、前記サクションチューブを下降させフォロアプレートの貫通口に貫通させてグリース缶内に挿入することによりグリースの供給を行う潤滑剤供給装置であって、
前記載置台上の前記リフタから離反した手前位置で且つリフタを挟む左右位置には、固定ネジにより長さ方向の一端が載置台上で回動及び固定可能に取り付けられた左右のガイドバーを備え、該ガイドバーの下面には前記グリース缶の下端外周に備えたリブに嵌合する切欠き段部が形成され、
前記載置台の左右の中間位置には、手前から前記リフタに向かって延びる長孔が形成され、ボルト部が前記長孔を貫通して載置台下面に配置したナットに螺合するようにしたクランプノブを備え、該クランプノブの下面には前記グリース缶の下端外周に備えたリブに嵌合する切欠き段部が形成された
ことを特徴とする記載の潤滑剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−40658(P2013−40658A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178893(P2011−178893)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000198352)株式会社IHI回転機械 (27)
【出願人】(000145611)株式会社コガネイ (142)