説明

潤滑油を磁気媒体上に付着させる方法およびシステム

【課題】潤滑油を磁気媒体に付着させる方法および装置を提供する。
【解決手段】1つの実施例における方法は、潤滑油を収容する貯槽にガスをポンプ注入するステップを含み得る。また、本方法は、ガスを、潤滑油から潤滑油分子を抽出する超臨界流体に変化させて、超臨界流体と潤滑油分子との混合物を生じさせるステップを含み得る。さらに、本方法は、潤滑油分子を磁気媒体上に付着させるために混合物を利用するステップを含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油を磁気媒体上に付着させる方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ハードディスクドライブ業界では、潤滑油を磁気記録ディスク上にコーティングする方法として、一般にディップコーティング法および熱気相潤滑法の2つの方法がある。ディップコーティング法では、スパッタ後のディスクがマンドレルに保持されて潤滑液に浸された後、溶液から引上げられる。潤滑油の厚みは、潤滑油濃度およびディスクの引上げ速度を制御することによって制御可能である。しかし、この方法にはいくつかの不利点がある。たとえば、この方法では、高価で揮発性のフッ素化溶媒を多量に使用するため、処理コストが高くなってしまい、環境問題の原因にもなる。
【0003】
熱気相潤滑法は、真空中でのパーフルオロポリエーテル(PFPE)潤滑油の熱蒸発と、その後の潤滑油蒸気の室温薄膜磁気ディスク上への凝縮を伴う。しかし、この技術の1つの欠点は、データ記憶業界に供給されるPFPE潤滑油が純粋ではなく、むしろ分子量分布からなる混合物であることである。混合物の各分子量成分は異なる蒸気圧を有するため、混合物は、付着処理が進行するにつれて分子量によって分別される。したがって、処理中の異なる時間において処理されるディスクは、付着潤滑油の平均分子量が異なり、処理の開始近くではディスク上の材料は軽く、その後ディスク上の材料は重くなる。軽い材料から重い材料への周期は、液体潤滑油が蒸発器に再充填されるたびに繰返される。第2の欠点は、2つ以上の異なる化学成分を含む潤滑油膜の付着は、成分毎の別個の蒸発処理場所を伴うことである。第3の欠点は、高温を長期間使用するため、PFPE材料の熱劣化が生じ得ることである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要約
1つの実施例における方法は、潤滑油を収容する貯槽にガスをポンプ注入するステップを含み得る。また、本方法は、ガスを、潤滑油から潤滑油分子を抽出する超臨界流体に変化させて、超臨界流体と潤滑油分子との混合物を生じさせるステップを含み得る。さらに、本方法は、潤滑油分子を磁気媒体上に付着させるために混合物を利用するステップを含み得る。
【0005】
別の実施例では、システムは、ノズルと、ノズルに結合された、潤滑油を入れるための貯槽とを含み得る。また、本システムは、貯槽にガスをポンプ注入するため、および貯槽の内圧を制御するための圧縮器を含み得る。さらに、本システムは、貯槽の温度を変化させるためのヒータを含み得る。なお、圧縮器およびヒータは、ガスを、潤滑油から潤滑油分子を抽出する貯槽内の超臨界流体に変換させて、超臨界流体と潤滑油分子との混合物を生じさせるためのものであり得る。また、ノズルは、混合物を磁気媒体に向けて出力するためのものであり得る。
【0006】
さらに別の実施例では、方法は、複数の潤滑油を収容する貯槽にガスをポンプ注入するステップを含み得る。本方法はまた、ガスを、複数の潤滑油から潤滑油分子を抽出する超臨界流体に変えて、超臨界流体と潤滑油分子との混合物を生じさせるステップを含み得る。さらに、本方法は、潤滑油を磁気ディスク上に付着させるために、混合物を貯槽から出力するステップを含み得る。
【0007】
本発明に従った特定の実施例が本要約中で具体的に説明されたが、本発明およびクレームされた主題はこれらの実施例によって全く限定されない。
【0008】
本明細書中で言及される図面は、特に言及された場合を除いて同じ割合で描かれていないものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のさまざまな実施例に従ったハードディスクドライブ製造システムのブロック図である。
【図2】本発明のさまざまな実施例に従った潤滑油付着システムのブロック図である。
【図3】本発明のさまざまな実施例に従った別の潤滑油付着システムのブロック図である。
【図4】本発明のさまざまな実施例に従った方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
以下、本発明に従ったさまざまな実施例を詳細に参照し、それらの例は添付の図面に示される。本発明はさまざまな実施例とともに説明されるが、これらのさまざまな実施例は本発明を限定するよう意図されていないことが理解されるであろう。逆に、本発明は、請求項に従って構成される本発明の範囲内に含まれ得る選択肢、修正および均等物を含むよう意図される。さらに、本発明に従ったさまざまな実施例の以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を与えるために多数の具体的な詳細が述べられる。しかし、本発明はこれら具体的な詳細なしでも実施可能であることが当業者に明白となるであろう。場合によっては、周知の方法、手順、構成部品、および回路は、本発明の局面を不必要に不明瞭にしないために詳細に説明されていない。
【0011】
図1は、本発明のさまざまな実施例に従ったハードディスクドライブ製造システム100のブロック図である。たとえば、ハードディスクドライブ製造システム100は、薄膜磁気媒体製造システム102と、潤滑油付着システム106と、追加処理システム110とを含み得るが、これらに限定されない。したがって、ハードディスクドライブ製造システム100は、各々が1つ以上の潤滑薄膜磁気媒体108を含むハードディスクドライブ112を生成可能である。
【0012】
具体的には、薄膜磁気媒体製造システム102内で、1つ以上の薄膜磁気媒体またはディスク(たとえば104)が製造され得、最終的に1つ以上のハードディスクドライブに組込まれ得る。なお、1つ以上の薄膜磁気媒体またはディスク104はさまざまな方法で製造可能である。たとえば1つの実施例では、1つ以上の薄膜磁気媒体104は、薄い無定形炭素層を含む減摩コーティングを含むように実現され得るが、これに限定されない。
【0013】
図1において、1つ以上の薄膜磁気媒体またはディスク104が製造されると、それらの1つ以上が潤滑油付着システム106に装填または挿入され得る。装填されると、1つ以上の潤滑油が、本発明のさまざまな実施例に従って超臨界流体付着法を用いて、薄膜磁気媒体104の1つ以上の露出面上に付着し得る。1つの実施例では、1つ以上の潤滑油を薄膜磁気媒体104上に付着させて、腐食を防ぎ、かつハードディスクドライブヘッドが媒体104と接触した場合に媒体104が損傷するのを防ぐことができる。なお、さまざまな実施例に従った潤滑油付着システム106の具体的な動作が本明細書中に説明されるが、それらに限定されない。潤滑油付着システム106内で利用される1つ以上の潤滑油はさまざまな方法で実現可能であることが指摘される。たとえばさまざまな実施例では、1つ以上の潤滑油は、1つ以上の異なる種類のパーフルオロポリエーテル(PFPE)を含み得るが、これに限定されない。1つの実施例では、Fombline(登録商標)Z Tetraol(登録商標)の製品名で見つけられ得るテトラヒドロキシパーフルオロポリエーテルが潤滑油付着システム106内で利用される潤滑油であり得るが、これに限定されない。
【0014】
潤滑油付着システム106が1つ以上の潤滑媒体またはディスク108を生成すると、それらは追加処理システム110に装填または挿入され得る。なお、追加処理システム110によって、1つ以上の潤滑薄膜磁気媒体108に対してさまざまな行動が行なわれ得る。たとえばさまざまな実施例では、追加処理システム110の行動には、1つ以上の潤滑薄膜磁気媒体108の最終的な研摩動作(「テープバフ/ワイプ」とも称され得る)、1つ以上の潤滑薄膜磁気媒体108を検査して各々がフライ高さを支持するか否かを判断し、かつ欠陥を検出すること、および/または1つ以上の潤滑薄膜磁気媒体108を1つ以上のハードディスクドライブ112に組込むことが含まれ得るが、これらに限定されない。このように、追加処理システム110は、各々が1つ以上の潤滑薄膜磁気媒体またはディスク108を含む1つ以上のハードディスクドライブ112を生成可能である。
【0015】
図2は、本発明のさまざまな実施例に従った潤滑油付着システム200のブロック図である。ある実施例では、潤滑油付着システム200は潤滑油付着システム106(図1)の実現例であり得るが、これに限定されないことが指摘される。図2において、薄膜磁気媒体またはディスク240(媒体104と類似)が一時的にシステム200の筐体242に装填または挿入され得、これによって、本発明の実施例に従った潤滑油付着処理によって1つ以上の潤滑油224を媒体またはディスク240の1つ以上の露出面上に付着させることができる。なお、1つの実施例では、1つ以上の潤滑油224を薄膜磁気媒体240上に付着させて、その耐腐食性を高め、かつハードディスクドライブのヘッドが媒体240と接触した場合に媒体240が摩耗するのを防ぐか保護することができる。その後、付着潤滑剤を含む薄膜磁気ディスク240は、筐体242から取外されるか取出され得る。その後、付着潤滑油を含む薄膜磁気ディスク240は最終的に、ハードディスクドライブ(たとえば112)の構成部品として組込まれ得る。
【0016】
1つの実施例では、潤滑油付着システム200は、1つ以上の潤滑油224を薄膜磁気ディスク240上に付着させるために超臨界流体潤滑処理を実現可能である。たとえばある実施例では、潤滑油付着システム200内の圧縮ガス220が、潤滑油容器226に貯蔵された1つ以上の潤滑油224のための溶媒として本質的に作用する超臨界流体に変換され得る。したがって、1つ以上の潤滑油224の分子とともにガス220の超臨界流体を含む混合物230が作成または生成され得る。したがって、ガス220の超臨界流体は、薄膜磁気ディスク240上に付着し得る1つ以上の潤滑油224の運搬台または付着台として作用し得る。1つの実施例では、超臨界流体とは、気体状態と液体状態との間にあり、したがって気体状態および液体状態の両方の特性を含む物質である。物質は、自身の温度および圧力が自身の熱力学的臨界点を超えるレベルに高められると超臨界流体に変化または変換され得る。なお、物質の熱力学的臨界点は、当該物質が気体および液体の両方の特性を示す組合された最小温度および最小圧力として定義され得る。超臨界流体は気体と同様の態様で材料を通過できることが指摘される。同時に、超臨界流体は、液体と同様の態様で溶媒として機能可能である。
【0017】
図2において、1つの実施例における潤滑油付着システム200は、ポンプ202と、1つ以上のガス206を貯蔵可能なガス槽207と、圧縮器212と、コントローラまたは演算装置214と、電圧源218と、ヒータ228と、毛細管弁208および232と、混合物230とともに1つ以上の潤滑油224を貯蔵可能な貯槽または容器226と、蒸気形状制御装置(またはノズル)236および238と、潤滑油付着筐体242と、毛細管204、210、216、234、234′、234″、および246とを含み得るが、これらに限定されない。ある実施例では、潤滑油付着システム200は付着筐体242を含まないことが指摘される。
【0018】
潤滑油付着システム200の潤滑油槽226は、1つ以上の潤滑油224を含有するか入れることができる。なお、1つ以上の潤滑油224はさまざまな方法で実現可能である。たとえばさまざまな実施例では、1つ以上の潤滑油224は、1つ以上の異なる種類のパーフルオロポリエーテル(PFPE)を含み得るが、これに限定されない。1つの実施例では、Fombline(登録商標)Z Tetraol(登録商標)(異なる分子量での)の製品名で見つけられ得るテトラヒドロキシパーフルオロポリエーテルが潤滑油224であり得るが、これに限定されない。さまざまな実施例では、1つ以上の潤滑油224は、Fombline(登録商標)Z-Dol(異なる分子量での)、株式会社MORESCOのA2OH(商標)(異なる分子量での)などを含み得るが、これらに限定されない。ガス槽(または容器またはシリンダ)207は、1つ以上のガス206を貯蔵するか入れることができることが指摘される。なお、1つ以上のガス206はさまざまな方法で実現可能である。たとえば、1つ以上のガス206は、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、エタン(C26)、エチレン(C24)、水(H2O)、メタノール(CH3OH)、エタノール(C25OH)、アセトン(C36O)、プロパン(C38)、およびプロピレン(C36)などを含むがこれらに限定されない気体および/または液体を用いて実現可能である。1つの実施例では、1つ以上の潤滑油224の抽出効率を高めるために、抽出ガス206に添加物が加えられ得る。たとえばある実施例では、一次ガス/流体206に二次ガス/流体が加えられ得る。二次ガス/流体または添加物は、二酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、水、メタノール、エタノール、アセトン、プロパン、およびプロピレンを含み得るが、これらに限定されない。
【0019】
図2において、(1つの実施例における)潤滑油付着システム200は、潤滑油抽出ユニット222および潤滑油付着ユニット244を含み得るが、これらに限定されない。たとえばある実施例では、潤滑油抽出ユニット222は、1つ以上の潤滑油224を貯蔵するための潤滑油容器226と、潤滑油容器226をその内容物とともに一定温度に加熱するためのヒータユニットまたはコイル228とを含み得るが、これらに限定されない。なお、潤滑油抽出ユニット222は、圧縮器212から圧縮ガス220を受取るための毛細管216も含み得、毛細管216は、潤滑油容器226の入力または入口に結合され得る。このように、圧縮ガス220は圧縮器212によって潤滑油容器226にポンプ注入され得、潤滑油容器226に貯蔵された1つ以上の潤滑油224と混合され得る。1つの実施例では、1つ以上の潤滑油224の抽出効率を高めるために、1つ以上の添加物が、圧縮器212によって圧縮される前の抽出ガス206に加えられ得る。
【0020】
さらに、ある実施例では、潤滑油付着ユニット244は、毛細管弁232と、付着筐体242と、蒸気形状制御装置236および238と、毛細管234、234′、および234″とを含み得るが、これらに限定されない。なお、毛細管弁232は、蒸気形状制御装置236および238を介して磁気ディスク240上に付着する潤滑油224の体積または量を制御可能である。また、蒸気形状制御装置236および238の各々は、1つ以上の潤滑油224を含む、エアロゾル239および241の円錐形プルームをそれぞれ生成可能である。1つの実施例では、潤滑油付着ユニット244(またはその筐体242)内の圧力は、潤滑油抽出ユニット222の潤滑油容器226内の圧力とは異なる(たとえば、より高いかより低い)ため、ガス220の超臨界流体および潤滑油224の分子を含む混合物230を薄膜磁気ディスク240上に流すか吹付けることができる。潤滑油容器226と付着筐体242(または筐体242なしの付着領域)との圧力差によって、薄膜磁気媒体240上への1つ以上の潤滑油224の付着量を変えることができることが指摘される。たとえばある実施例では、潤滑油容器226と付着筐体242(または筐体242なしの付着領域)との間に大きな圧力差がある場合、結果として得られる潤滑油エアロゾル239および241は、より強力であり得、1つ以上の潤滑油224のより大きな液滴を含み得る。
【0021】
図2において、薄膜磁気媒体またはディスク240は、蒸気付着筐体240に装填または挿入され得る。なお、薄膜磁気媒体またはディスク240は、潤滑油付着処理時にさまざまな方法で位置決めされ得る。たとえば1つの実施例では、薄膜磁気媒体240は実質的に垂直に(示されるように)位置決めされ得、薄膜磁気媒体240上への1つ以上の潤滑油224の均一な付着を助け得る。また、蒸気付着筐体242内にはさまざまな圧力が存在し得る。たとえば、蒸気付着筐体242内の圧力は、潤滑油槽226内の圧力よりも高いか、低いか、実質的に同様であり得るが、これらに限定されない。さらに、蒸気付着筐体242内には周囲圧力または周囲圧力を下回る圧力が存在し得るが、これらに限定されない。なお1つの実施例では、周囲圧力は、蒸気付着筐体242内の圧力を制御するための特別の労力をかけなかった(たとえば付着筐体242が封止され得なかった)ことを示し得るが、これに限定されない。またある実施例では、蒸気付着筐体242が封止されると、その内部に真空が形成され得る(たとえば約1×10-6トルであるが、これに限定されない)。上述のように、本発明の実施例に従った超臨界流体潤滑処理を利用して、1つ以上の潤滑油224を薄膜磁気媒体240の1つ以上の表面上に付着させることができる。
【0022】
たとえば1つの実施例では、1つ以上の潤滑油224は潤滑油槽226に入れられ得る。潤滑油槽または容器226の温度および圧力は圧縮器ユニット212およびヒータユニット228を介して制御可能であることが指摘される。このように、1つ以上の潤滑油224の異なる成分を容器226から抽出してもよいし、1つ以上の潤滑油224のすべての成分を容器226から抽出してもよい。上述のように、圧縮ガス220は超臨界流体であるとき、気体状態と液体状態との間にある。したがって、ガス220の超臨界流体の温度および/または圧力を調整することによって、ガス220の超臨界流体の密度をより液体に近づくように、またはより気体に近づくように徐々に変化させることができる。このように、ガス220の超臨界流体の密度を調節することができる。さらに、ガス220の超臨界流体の密度を変化させることによって、ガス220の超臨界流体の特性も変化させることができる。たとえばある実施例では、ガス220の超臨界流体の密度がより気体に近づくように変えられた場合、ガス220の超臨界流体の、潤滑油容器226内の1つ以上の潤滑油224に浸透するためのエネルギを高めることができる。1つの実施例では、ガス220の超臨界流体の密度がより液体に近づくようように修正された場合、ガス220の超臨界流体の、潤滑油容器226内の1つ以上の潤滑油224から分子を抽出する力を高めることができる。
【0023】
図2において、ある実施例において圧縮ガス220を受取る潤滑油槽226の準備の際、潤滑油槽226はヒータユニット228によって一定温度に加熱され得る。なお、本実施例のヒータユニット228は電圧源218に結合されるか電圧源218によって制御され得、電圧源218はコントローラ214に結合されるかコントローラ214によって制御され得る。また、ガス206が容器207内の圧力下で貯蔵され得るため、コントローラ214によって毛細管弁208が開けられると、ガス206は毛細管弁208および毛細管210を通ってガス容器207から出て進むか横切って、圧縮器ユニット212に受取られるか、入力され得る。さらに、コントローラ214は圧縮器212に結合され得、圧縮器212の動作を制御することによって、受取ガス206の所望の圧力を設定または決定できることが指摘される。したがって、圧縮器212は受取ガス206を圧縮または加圧し得、それを圧縮ガス220として毛細管216を介して出力し得る。本実施例では潤滑油槽226は毛細管216に結合されているため、潤滑油槽226は、圧縮器212によって毛細管216にポンプ注入された(そしてされ続け得る)圧縮ガス220を受取り得る。
【0024】
圧縮ガス220は図2の潤滑油槽226によって受取られた後、超臨界流体に変換または変化され得る。たとえば1つの実施例では、毛細管弁232が閉じている間、潤滑油槽226は、内部に貯蔵している1つ以上の潤滑油224とともに、圧縮ガス220の熱力学的臨界点よりも高い温度まで予熱され得る。さらに、圧縮器212は、圧縮ガス220をその熱力学的臨界点を超える圧力まで圧縮または加圧し得る。したがって、圧縮ガス220は潤滑油槽226によって受取られた後、自身の熱力学的臨界点よりも高いレベルに加熱および加圧され得、このとき圧縮ガス220は、潤滑油槽226に貯蔵された1つ以上の潤滑油224のための溶媒のように本質的に作用し得る超臨界流体に変えられ得る。その結果、ガス220の超臨界流体は、1つ以上の潤滑油224から分子を抽出することによって、潤滑油槽226内の混合物230の生成をもたらすことができる。
【0025】
なお1つの実施例では、毛細管弁232はコントローラ214に結合され得、コントローラ214によって制御され得る。したがって、混合物230が生成されると、コントローラ214は弁232を開けることによって、混合物230を毛細管234を介して潤滑油槽226から放出できるようにし得る。したがって、混合物230は毛細管234、234′、および234″を通って進み、蒸気形状制御装置236および238によって出力され得る。なお、混合物230が蒸気形状制御装置236および238から出力されると、ガス220の超臨界流体は混合物230から蒸発し、1つ以上の潤滑油224を含む潤滑油エアロゾル239および241になり得る。したがって、潤滑油エアロゾル239および241の出力吹付または流れによって、1つ以上の潤滑油224が薄膜磁気媒体またはディスク240の1つ以上の表面上に付着し得る。ある実施例では、潤滑油エアロゾル239および241は、本質的に視線経路で磁気媒体240に進み得、その表面上で凝縮し得る。ガス220の超臨界流体は、もはや圧縮または加熱されていないので蒸気形状制御装置236および238から出力されるときに混合物230から蒸発することが指摘される。その結果、ガス220の超臨界流体はガス206に戻り得る。
【0026】
図2において、潤滑油付着システム200は、混合物230が蒸気形状制御装置236および238から出力される間、またはその後に、蒸気付着筐体242内に残存するガス206を回復するためのシステムを含み得ることが指摘される。たとえばある実施例では、蒸気付着筐体242はガス毛細管246を介してポンプ202に結合されることによって、ポンプ202が蒸気付着筐体242から残存ガス206を除去できるようにし得る。さらに、ポンプ202はガス毛細管204を介してガス槽(または容器またはシリンダ)207に結合されることによって、ポンプ202が回復ガス206をガス槽207に加えることができるようにし得る。このように、回復ガス206は潤滑油付着システム200内で再利用され得る。1つの実施例では、ポンプ202はコントローラ214に結合され得、コントローラ214によって制御され得る。したがって、コントローラ214はポンプ202の動作(または機能)を制御し得る。
【0027】
なお、蒸気形状制御装置(またはノズル)236および238の各々はさまざまな方法で実現可能である。たとえば、蒸気形状制御装置(またはノズル)236および238の各々は、漏斗または円錐形装置(図示せず)、任意の種類のエアロゾルノズル、および任意の種類の吹付ノズルを用いて実現可能であるが、これらに限定されない。1つの実施例では、蒸気形状制御装置236は蒸気形状制御装置238とは異なる態様で実現可能であり、その逆も同様である。またある実施例では、蒸気形状制御装置236は蒸気形状制御装置238と同様の態様で実現可能であり、またその逆も同様である。
【0028】
図2において、毛細管弁208および232の各々はさまざまな方法で実現可能である。たとえば1つの実施例では、毛細管弁208および232の各々は、オンおよびオフのパルスを発するパルス化ソレノイド弁を用いて実現可能であるが、これに限定されない。なお、ある実施例では、潤滑油エアロゾル239および241を介した1つ以上の潤滑油224の薄膜磁気媒体またはディスク240の1つ以上の表面上への付着は、磁気媒体24が付着システムの内部または外部にある時間によってではなく、毛細管弁232によって制御され得る。したがって、潤滑油付着システム200の毛細管弁232を利用して、厳密な時間とは対照的に潤滑油付着を制御することができる。毛細管弁208および232の各々は、これらの各々の動作を独立して制御可能なコントローラ(または演算装置)214に結合され得る。たとえば1つの実施例では、コントローラ214は、毛細管弁208および232の各々に電気信号(たとえば3ボルト信号)を別個に送信して、各々を開閉し得る。
【0029】
1つの実施例では、コントローラ214は、ポンプ202、圧縮器212、ヒータ228に結合された電圧源218、ならびに毛細管弁208および232に電気的に結合され得る。このように、コントローラ214は、ポンプ202、圧縮器212、電圧源218を介してヒータ228、ならびに毛細管弁208および232の動作を独立して制御し得る。なお、コントローラ214の機能および/または動作は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアまたはそれらのいずれかの組合せによって制御または管理され得るが、これらに限定されない。さらにある実施例では、コントローラ214は、潤滑油付着システム200用のユーザインターフェイスの一部であり得る。
【0030】
なお、図2の潤滑油付着システム202と同様の潤滑油付着システムを用いて、本発明のさまざまな実施例に従った実験を行なった。たとえば、ある実施例に従った1つの実験では、2グラムのFornblin(登録商標)Z-Dol2000をステンレス鋼抽出器容器(たとえば貯槽226)に加えた。抽出器容器(たとえば226)を摂氏45℃に加熱し、圧縮二酸化炭素ガス(たとえば220)を抽出器容器(たとえば226)に導入した。抽出器容器(たとえば226)内の圧力が100バールに達する間、弁(たとえば232)を開けた。なお、抽出起容器(たとえば226)内の、弁(たとえば232)を開ける前のこれらの一定条件によって、潤滑油(たとえば224)の分子とともに二酸化炭素の超臨界流体(たとえば220)を含む混合物(たとえば230)が抽出器容器(たとえば226)内に生成されていた。その結果、弁(たとえば232)を開けると、潤滑油(たとえば224)が磁気媒体(たとえば240)の1つ以上の表面上に付着した。フーリエ変換赤外(FTIR)計算を用いた結果、磁気ディスク(たとえば240)の表面上の潤滑油の平均厚みは約12オングストローム(A)または1.2ナノメートル(nm)であった。
【0031】
本発明の1つの実施例に従った別の実験では、1グラムのFomblin(登録商標)Z Tetraol(登録商標)2000および1グラムのA2OH(商標)2000をステンレス鋼抽出器容器(たとえば貯槽226)に加えた。抽出器容器(たとえば226)を45℃に加熱し、圧縮二酸化炭素ガス(たとえば220)を抽出器容器(たとえば226)に導入した。抽出器容器(たとえば226)内の圧力が125バールに達する間、弁(たとえば232)を開けた。抽出起容器(たとえば226)内の、弁(たとえば232)を開ける前のこれらの一定条件によって、両潤滑油(たとえば224)の分子とともに二酸化炭素の超臨界流体(たとえば220)を含む混合物(たとえば230)が抽出器容器(たとえば226)内に生成されていた。したがって、弁(たとえば232)を開けると、潤滑油(たとえば224)が磁気媒体(たとえば240)の1つ以上の表面上に付着した。フーリエ変換赤外(FTIR)計算を用いた結果、磁気ディスク(たとえば240)の表面上の潤滑油(たとえば224)の全厚は約21.1Åまたは2.11nmであった。さらに、FTIR計算を用いた結果、潤滑油層は、19.4Å(または1.94nm)のA2OH−2000および1.7Å(または0.17nm)のZ Tetraol(登録商標)2000を含有していることがわかった。
【0032】
潤滑油付着システム200はさまざまな方法で修正可能である。たとえば1つの実施例では、潤滑油付着システム200は、複数の圧縮ガス(たとえば220)を潤滑油槽226にポンプ注入可能であるように変えられ得る。ある実施例では、潤滑油付着システム200は、蒸気形状制御装置(またはノズル)236および238の各々が、潤滑油槽226と同様の別の潤滑油槽に結合可能であるように変更され得る。
【0033】
図2において、潤滑油付着システム200は、ポンプ202と、ガス槽207と、圧縮器212と、コントローラ214と、電圧源218と、ヒータ228と、潤滑油容器226と、弁208および232と、毛細管204、210、216、234、234′、234″、および246と、蒸気形状制御装置(またはノズル)236および238と、付着筐体242とを含み得るが、これらに限定されない。具体的には、ある実施例では、ポンプ202の出力は毛細管204を介してガス槽207の入力に結合され得る。ガス槽207の出力は、毛細管210および毛細管弁208を介して圧縮器212の入力に結合され得る。圧縮器212の出力は、毛細管216を介して潤滑油槽226の入力に結合され得る。潤滑油槽226の出力は、毛細管234、234′、および234″ならびに毛細管弁232を介して、蒸気形状制御装置(またはノズル)236および238に結合され得る。付着筐体242の出力は、毛細管246を介してポンプ202の入力に結合され得る。コントローラ214は、ポンプ202と、毛細管弁208および232と、圧縮器212と、ヒータ228を制御する電圧源218とを制御するように結合され得る。
【0034】
なお、潤滑油付着システム200は図2に示されるすべての要素を含むとは限らない。また、潤滑油付着システム200は、図2に示されない1つ以上の要素を含むように実現可能である。潤滑油付着システム200は、本明細書中に記載されているのと同様の任意の態様で利用または実現可能であるが、これらに限定されないことが指摘される。
【0035】
図3は、本発明のさまざまな実施例に従った潤滑油付着システム200′のブロック図であり、蒸気形状制御装置(またはノズル)250、252、254、および256の配列を含む。本明細書中のいずれかの他の図面の要素と同じ参照番号を有する図3の要素は、本明細書中に記載されているのと同様の任意の態様で動作または機能可能であるが、これらに限定にされないことが指摘される。なお、1つの実施例では、潤滑油付着システム200′は潤滑油蒸気付着システム106(図1)の実現例であり得るが、これに限定されない。
【0036】
具体的には、1つの実施例では、潤滑油付着システム200′は、潤滑油付着均一性をさらに高めるために薄膜磁気媒体240の各面上に1つ以上の潤滑油(たとえば224)を付着させるために利用され得る、複数の蒸気形状制御装置またはノズル(たとえば250、252、254、および256)またはこれらのの配列を含み得るが、これらに限定されない。図3の潤滑油付着システム200′は図2の潤滑油付着システム200と同様の態様で機能および動作可能であるが、これらに限定にされないことが理解される。1つの実施例では、図3の潤滑油付着システム200′は筐体242を含まないことが指摘される。
【0037】
図3において、潤滑油付着システム200′は、1つ以上の潤滑油224を薄膜磁気ディスク240上に付着させるために超臨界流体潤滑処理を実現可能である。たとえば1つの実施例では、潤滑油付着システム200′内で、圧縮ガス220が、潤滑油容器226に貯蔵された1つ以上の潤滑油224のための溶媒として本質的に作用する超臨界流体に変換され得る。その結果、1つ以上の潤滑油224の分子とともにガス220の超臨界流体を含む混合物230が作成または生成され得る。したがって、ガス220の超臨界流体は、蒸気形状制御装置(またはノズル)250、252、254、および256の配列を介して薄膜磁気ディスク240上に付着する1つ以上の潤滑油224の運搬台または付着台として作用し得る。
【0038】
1つの実施例では、潤滑油付着システム200′は、潤滑油抽出ユニット222および潤滑油付着ユニット244′を含み得るが、これらに限定されない。たとえばある実施例では、潤滑油抽出ユニット222は、1つ以上の潤滑油224を貯蔵するための潤滑油容器226と、潤滑油容器226をその内容物とともに一定温度に加熱するためのヒータユニットまたはコイル228とを含み得るが、これらに限定されない。なお、潤滑油抽出ユニット222は、圧縮器212から圧縮ガス220を受取るための毛細管216も含み得、毛細管216は、潤滑油容器226の入力または入口に結合され得る。このように、圧縮ガス220は圧縮器212によって潤滑油容器226にポンプ注入され得、潤滑油容器226に貯蔵された1つ以上の潤滑油224と混合され得る。ある実施例では、1つ以上の潤滑油224の抽出効率を高めるために、1つ以上の添加物が、圧縮器212によって圧縮される前の抽出ガス206に加えられ得る。
【0039】
また、1つの実施例では、潤滑油付着ユニット244′は、毛細管弁232と、付着筐体242と、蒸気形状制御装置(またはノズル)250、252、254、および256と、毛細管234、234′、および234″とを含み得るが、これらに限定されない。なお、毛細管弁232は、蒸気形状制御装置250、252、254、および256を介して磁気ディスク240上に付着する潤滑油224の体積または量を制御可能である。また、蒸気形状制御装置250、252、254、および256の各々は、1つ以上の潤滑油224を含む、エアロゾル239′、239″、241′、および241″の円錐形プルームをそれぞれ生成可能である。1つの実施例では、潤滑油付着ユニット244′(またはその筐体242)内の圧力は、潤滑油抽出ユニット222の潤滑油容器226内の圧力とは異なる(たとえば、より高いかより低い)ため、ガス220の超臨界流体および潤滑油224の分子を含む混合物230を薄膜磁気ディスク240上に流すか吹付けることができる。なお、潤滑油容器226と付着筐体242(または筐体242なしの付着領域)との圧力差によって、薄膜磁気媒体240上への1つ以上の潤滑油224の付着量を変えることができる。たとえば1つの実施例では、潤滑油容器226と付着筐体242(または筐体242なしの付着領域)との間に大きな圧力差がある場合、結果として得られる潤滑油エアロゾル239′、239″、241′、および241″は、より強力であり得、1つ以上の潤滑油224のより大きな液滴を含み得る。
【0040】
図3において、1つの実施例では、毛細管弁232はコントローラ214に結合され得、コントローラ214によって制御され得る。したがって、本明細書中で説明した態様で混合物230が生成されると、コントローラ214は弁232を開けることによって、混合物230を毛細管234を介して潤滑油槽226から放出できるようにし得る。その結果、混合物230は毛細管234、234′、および234″を通って進み、蒸気形状制御装置(またはノズル)250、252、254、および256によって出力され得る。なお、混合物230が蒸気形状制御装置250、252、254、および256から出力されると、ガス220の超臨界流体は混合物230から蒸発し、1つ以上の潤滑油224を含む潤滑油エアロゾル239′、239″、241′、および241″になり得る。したがって、潤滑油エアロゾル239′、239″、241′、および241″の出力吹付または流れによって、1つ以上の潤滑油224が薄膜磁気媒体またはディスク240の1つ以上の表面上に付着し得る。1つの実施例では、潤滑油エアロゾル239′、239″、241′、および241″は、本質的に視線経路で磁気媒体240に進み得、その表面上で凝縮し得る。なお、ガス220の超臨界流体は、もはや圧縮または加熱されていないので蒸気形状制御装置250、252、254、および256から出力されるときに混合物230から蒸発する。したがって、ガス220の超臨界流体はガス206に戻り得る。
【0041】
蒸気形状制御装置(またはノズル)250、252、254、および256の各々はさまざまな方法で実現可能であることが指摘される。たとえば、蒸気形状制御装置(またはノズル)250、252、254、および256の各々は、漏斗または円錐形装置(図示せず)、任意の種類のエアロゾルノズル、および任意の種類の吹付ノズルを用いて実現可能であるが、これらに限定されない。1つの実施例では、蒸気形状制御装置250、252、254、および256の各々は異なる態様で実現可能である。またある実施例では、蒸気形状制御装置250、252、254、および256のすべてが同様の態様で実現可能である。
【0042】
図3において、毛細管弁208および232の各々はさまざまな方法で実現可能である。たとえば1つの実施例では、毛細管弁208および232の各々は、オンおよびオフのパルスを発するパルス化ソレノイド弁を用いて実現可能であるが、これに限定されない。ある実施例では、潤滑油エアロゾル239′、239″、241′、および241″を介した1つ以上の潤滑油224の薄膜磁気媒体またはディスク240の1つ以上の表面上への付着は、磁気媒体240が付着システムの内部または外部にある時間によってではなく、毛細管弁232によって制御され得ることが指摘される。したがって、潤滑油付着システム200′の毛細管弁232を利用して、厳密な時間とは対照的に潤滑油付着を制御することができる。毛細管弁208および232の各々は、これらの各々の動作を独立して制御可能なコントローラ(または演算装置)214に結合され得る。ある実施例では、コントローラ214は、毛細管弁208および232の各々に電気信号(たとえば3ボルト信号)を別個に送信して、各々を開閉し得る。
【0043】
1つの実施例では、コントローラ214の機能および/または動作は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアまたはそれらのいずれかの組合せによって制御または管理され得るが、これらに限定されない。さらにある実施例では、コントローラ214は、潤滑油付着システム200′用のユーザインターフェイスの一部であり得る。
【0044】
図3において、潤滑油付着システム200′はさまざまな方法で修正可能である。たとえばある実施例では、潤滑油付着システム200′は、複数の圧縮ガス(たとえば220)を潤滑油槽226にポンプ注入可能であるように変更され得る。1つの実施例では、潤滑油付着システム200′は、蒸気形状制御装置(またはノズル)250、252、254、および256の各々が、潤滑油槽226と同様の別の潤滑油槽に結合可能であるように修正され得る。
【0045】
潤滑油付着システム200′は、ポンプ202と、ガス槽207と、圧縮器212と、コントローラ214と、電圧源218と、ヒータ228と、潤滑油容器226と、弁208および232と、毛細管204、210、216、234、234′、234″、および246と、蒸気形状制御装置(またはノズル)250、252、254、および256と、付着筐体242とを含み得るが、これらに限定されない。具体的には、1つの実施例では、ポンプ202の出力は毛細管204を介してガス槽207の入力に結合され得る。ガス槽207の出力は、毛細管210および毛細管弁208を介して圧縮器212の入力に結合され得る。圧縮器212の出力は、毛細管216を介して潤滑油槽226の入力に結合され得る。潤滑油槽226の出力は、毛細管234、234′、および234″ならびに毛細管弁232を介して、蒸気形状制御装置(またはノズル)250、252、254、および256に結合され得る。付着筐体242の出力は、毛細管246を介してポンプ202の入力に結合され得る。コントローラ214は、ポンプ202と、毛細管弁208および232と、圧縮器212と、ヒータ228を制御する電圧源218とを制御するように結合され得る。
【0046】
なお、潤滑油付着システム200′は図3に示されるすべての要素を含むとは限らない。また、潤滑油付着システム200′は、図3に示されない1つ以上の要素を含むように実現可能である。潤滑油付着システム200′は、本明細書中に記載されているのと同様の任意の態様で利用または実現可能であるが、これらに限定されないことが指摘される。
【0047】
図4は、潤滑油を薄膜磁気媒体上に付着させる付着処理を用いるための、本発明のさまざまな実施例に従った方法400の流れ図である。流れ図400には具体的な動作が開示されているが、それらの動作は例である。方法400は、図4に示されるすべての動作を含むとは限らない。また、方法400は、さまざまな他の動作および/または図4に示される動作の変形を含み得る。同様に、流れ図400の動作の順序も修正可能である。流れ図400のすべての動作が行われるとは限らないことが認識される。さまざまな実施例では、方法400の1つ以上の動作がソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアまたはそれらのいずれかの組合せによって制御または管理され得るが、これらに限定されない。方法400は、コンピュータまたは演算装置読出可能および実行可能命令(またはコード)の制御下でプロセッサおよび電気部品によって制御または管理され得る本発明の実施例の処理を含み得る。コンピュータまたは演算装置読出可能および実行可能命令(またはコード)は、たとえば、コンピュータもしくは演算装置使用可能揮発性メモリ、コンピュータもしくは演算装置使用可能不揮発性メモリ、および/またはコンピュータもしくは演算装置使用可能大量データ記憶装置などの記憶特徴内に存在し得る。しかし、コンピュータまたは演算装置読出可能および実行可能命令(またはコード)は、如何なる種類のコンピュータまたは演算装置読出可能媒体内に存在してもよい。
【0048】
具体的には、方法400は、1つ以上の薄膜磁気ディスク上に付着させるために1つ以上の潤滑油を潤滑油容器内に加えるステップを含み得る。さらに、薄膜磁気媒体(またはディスク)は、潤滑油付着筐体に装填され得る。超臨界流体を利用して、1つ以上の潤滑油を薄膜磁気媒体の1つ以上の表面または側面上に付着させることができる。潤滑薄膜磁気媒体は、潤滑油付着筐体から取出され得る。そして、処理すべき別の薄膜磁気媒体があるか否かが判断され得る。そのような媒体がある場合、プロセス400は、薄膜磁気媒体を潤滑油付着筐体に装填することを伴う動作に戻り得る。しかし、処理すべき別の薄膜磁気媒体がないと判断された場合、プロセス400は終了し得る。このように、本発明のさまざまな実施例に従って、超臨界流体を利用して、1つ以上の潤滑油を薄膜磁気媒体上に付着させることができる。
【0049】
図4の動作402において、1つ以上の薄膜磁気ディスク(たとえば240)上に付着させるために1つ以上の潤滑油(たとえば224)が潤滑油容器(たとえば226)に入れられるか加えられ得る。動作402はさまざまな方法で実現可能であることが指摘される。たとえば、動作402は本明細書中に記載されているのと同様の任意の態様で実現可能であるが、これらに限定されない。
【0050】
動作404において、薄膜磁気媒体またはディスク(たとえば240)が潤滑油付着筐体(たとえば242)に装填または挿入され得る。なお、動作404はさまざまな方法で実現可能である。たとえば、動作404は本明細書中に記載されているのと同様の任意の態様で実現可能であるが、これらに限定されない。
【0051】
図4の動作406において、超臨界流体を利用して1つ以上の潤滑油(たとえば224)が薄膜磁気媒体の1つ以上の表面または側面上に付着し得る。なお、動作406はさまざまな方法で実現可能である。たとえば、動作406は本明細書中に記載されているのと同様の任意の態様で実現可能であるが、これらに限定されない。
【0052】
動作408において、潤滑薄膜磁気媒体が潤滑油付着筐体から取出され得る。動作408はさまざまな方法で実現可能であることが指摘される。たとえば、動作408は本明細書中に記載されているのと同様の任意の態様で実現可能であるが、これらに限定されない。
【0053】
図4の動作410において、処理すべき別の薄膜磁気媒体またはディスクがあるか否かが判断され得る。そのような媒体またはディスクがある場合、プロセス400は動作404に進み得る。しかし、動作410において処理すべき別の薄膜磁気媒体またはディスクがないと判断された場合、プロセス400は終了し得る。なお、動作410はさまざまな方法で実現可能である。たとえば、動作410は本明細書中に記載されているのと同様の任意の態様で実現可能であるが、これらに限定されない。このように、本発明のさまざまな実施例に従って、超臨界流体を利用して、1つ以上の潤滑油を薄膜磁気媒体上に付着させることができる。
【0054】
本発明に従ったさまざまな具体的な実施例の上記の説明は、例示および説明のために与えられた。これらは排他的であるよう、または開示されたままの形態に本発明を限定するよう意図されておらず、上述の教示内容に鑑みて多くの修正および変形が可能である。本発明は、請求項およびその均等物に従って構成されるものである。
【符号の説明】
【0055】
100 ハードディスクドライブ製造システム、102 薄膜磁気媒体製造システム、106 潤滑油付着システム、110 追加処理システム、200 潤滑油付着システム、202 ポンプ、206 ガス、207 ガス槽、212 圧縮器、214 コントローラ、218 電圧源、220 圧縮ガス、222 潤滑油抽出ユニット、224 潤滑油、226 潤滑油容器、228 ヒータ、230 混合物、236、238 蒸気形状制御装置、239,241 エアロゾル、240 薄膜磁気媒体、242 潤滑油付着筐体、244 潤滑油付着ユニット、204、210、216、234、234′、234″、246 毛細管、208、232 毛細管弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油を収容する貯槽にガスをポンプ注入するステップと、
前記ガスを、前記潤滑油から潤滑油分子を抽出する超臨界流体に変化させて、前記超臨界流体と前記潤滑油分子との混合物を生じさせるステップと、
潤滑油分子を磁気媒体上に付着させるために前記混合物を利用するステップとを備える、方法。
【請求項2】
前記ガスは二酸化炭素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記潤滑油はパーフルオロポリエーテルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記磁気媒体は、減摩コーティングを有する磁気ディスクを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポンプ注入するステップは、前記ガスを圧縮するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記利用するステップは、前記混合物をノズルを介して前記貯槽から出力するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記変化させるステップは、前記貯槽を加熱するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ノズルと、
前記ノズルに結合された、潤滑油を入れるための貯槽と、
前記貯槽にガスをポンプ注入するため、および前記貯槽の内圧を制御するための圧縮器と、
前記貯槽の温度を変化させるためのヒータとを備えるシステムであって、
前記圧縮器および前記ヒータは、前記ガスを、前記潤滑油から潤滑油分子を抽出する前記貯槽内の超臨界流体に変換させて、前記超臨界流体と前記潤滑油分子との混合物を生じさせるためのものであり、
前記ノズルは、前記混合物を磁気媒体に向けて出力するためのものである、システム。
【請求項9】
前記ガスは二酸化炭素を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記潤滑油はパーフルオロポリエーテルを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記磁気媒体は、減摩コーティングを有する磁気ディスクを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記圧縮器および前記ヒータに電気的に結合された、前記圧縮器および前記ヒータを制御するためのコントローラをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記磁気媒体を受けるための筐体をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記ノズルは前記筐体の内部にある、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ノズルはエアロゾルノズルである、請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
複数の潤滑油を収容する貯槽にガスをポンプ注入するステップと、
前記ガスを、前記複数の潤滑油から潤滑油分子を抽出する超臨界流体に変えて、前記超臨界流体と前記潤滑油分子との混合物を生じさせるステップと、
潤滑油を磁気ディスク上に付着させるために、前記混合物を前記貯槽から出力するステップとを備える、方法。
【請求項17】
前記ガスはメタンを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の潤滑油は、テトラヒドロキシパーフルオロポリエーテルを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の潤滑油は、異なる種類のパーフルオロポリエーテルを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記出力するステップは、前記混合物を蒸気形状制御装置を介して前記貯槽から出力するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−233226(P2011−233226A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94952(P2011−94952)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】