説明

潤滑膜の評価装置

【課題】
摺動膜の走行面と摺動子との間の凝着力を評価することにより、潤滑膜の状態を評価することを目的とする。
【解決手段】
ディスク4の表面の潤滑膜6には、摺動子8が接触させられる。摺動子8の上下方向への変位はレーザーセンサ12により検出される。摺動子8は、ピエゾアクチュエータ36の作動により、上下方向に移動させられる。また、エアシリンダ31の作動により、摺動子8は上下方向に移動させられる。摺動子8の左右方向への変位は、プローブ20により検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、磁気ディスク等の表面に塗布される潤滑膜の評価を行う装置および評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク等の記憶媒体の表面には、信頼性および耐久性を確保するために、厚さ1.5nm〜2nmの潤滑膜が塗布されている。このような潤滑膜の信頼性および耐久性を評価するために、各種の評価装置や評価方法が用いられている。現在までに用いられている方法は、主に、スピンスタンド(Spin−stand)を使用して加速寿命試験(重荷重、高速、繰り返し起動停止などを行うもの)を行うことにより、ヘッドと潤滑膜の間の摩擦係数や接触によって起こるAE(Acoustic−Emission)、励起される振動などを測定するものであった。これらの方法は以下の特許文献に記載されている。
【特許文献1】特開2001−91445号公報
【特許文献2】特開2000−28506号公報
【特許文献3】特開平5−60679号公報
【0003】
また、分子潤滑膜の基本的特性を測定する方法としては、汎用のSPM(走査型プローブ顕微鏡)やSFA(Surface Force Analyzer)などを用いて測定が行われていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、磁気ディスク等の記憶媒体の記憶密度を高めるために、ディスクとヘッドの間の浮上すきまを微小化することが行われており、最近では、浮上すきまは10nmに達している。この浮上すきまの微小化に伴い、ヘッドのディスクとの接触に対する浮上すきまのマージンが減少し、ヘッドとディスクの接触の機会が増大することが予想される。このようなヘッドとディスクの接触に際し、ディスクの表面を覆う潤滑膜の特性を精密に評価することが重要な課題となっているが、これまで行われてきた上記特許文献の方法では、潤滑膜の特性を精密に測定することは困難であった。ナノレベルの潤滑膜においては、潤滑膜の走行面とヘッドの一部である摺動子の間に液架橋(メニスカス)が形成され、走行面と摺動子の間に強大なメニスカス力が作用する。従来の評価方法では、摺動子を上方に高精度で引き上げることができなかったため、走行面と摺動子との間の凝着力を測定することが困難であった。また、SPMやSFAは分子レベルでトライボロジー特定を測定するものであるが、磁気ディスクの実際の使用状態における凝着力を考慮してトライボロジー特性を測定することはできなかった。このように、摺動子を高精度に潤滑膜から引き上げる機構の開発が求められるとともに、実際に装置を使用する際に、ディスク交換等を容易に行なうことができる潤滑膜の評価装置の開発が望まれていた。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、摺動子から潤滑膜に及ぼす荷重を調整する機構と、潤滑膜に摺動子を近づける評価状態と離間させる離間状態を切り替える機構を備えることにより、高精度に潤滑膜の状態を評価することができる評価装置を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1に係る発明は、表面に潤滑膜が塗布された平面部材と、前記平面部材の表面と垂直な方向である所定方向に移動し、前記潤滑膜と接触することが可能な摺動子と、前記摺動子の前記所定方向への変位を検出する摺動子変位検出手段と、一端で前記摺動子を支持する板バネ状部材と、前記板バネ状部材の他端を支持するアーム部と、前記アーム部を前記所定方向に移動させるアクチュエータより構成され、前記摺動子と前記潤滑膜の接触状態において、前記摺動子が前記潤滑膜に近づく方向および前記摺動子が前記潤滑膜から離間する方向への荷重を調整する荷重調整手段と、前記荷重調整手段とは別個独立に前記アーム部を前記所定方向に移動させるものであり、前記摺動子を前記潤滑膜に近づけて、前記潤滑膜を評価するセット状態と、前記摺動子が前記潤滑膜から所定量離間する離間状態の2つの状態を切り替えるスイッチング手段と、前記スイッチング手段により前記摺動子がセット状態に配置された状態で、前記摺動子の前記所定方向の位置を調節することにより、前記潤滑膜に対する前記摺動子の位置を調整する位置調整手段とを備えることを特徴とする潤滑膜の評価装置によって構成される。上記の構成によれば、摺動子が潤滑膜に近づけられたセット状態において、摺動子の潤滑膜に対する位置が位置調整手段により調整することができるため、潤滑膜に対する摺動子の初期位置を評価毎に同じ位置にすることができる。したがって、平面部材を交換した場合でも、交換前と同じ位置より潤滑膜の評価を行なうことができるため、精度良く、潤滑膜の特性を評価することができる。また、本発明では、潤滑膜に対する摺動子の位置を離間状態に切り替えることができるスイッチング手段を備えるため、容易に平面部材を交換することができる。
【0007】
なお、平面部材の表面と垂直な方向である所定方向とは、例えば、平面部材の表面が水平面と平行な方向の場合は、所定方向は鉛直方向であり、平面部材の表面が鉛直方向と平行な方向の場合は、水平方向である。また、摺動子変位検出手段は、摺動子の変位を検出することができるものであれば、レーザ式、LED式、超音波式、接触式、渦電流式等の形式のものを用いることができる。また、摺動子が潤滑膜から所定量離間する離間状態とは、当該装置から平面部材を交換する場合や、摺動子の潤滑膜に対する位置(例えば、半径方向位置)を変更する際に、摺動子を潤滑膜からある程度、離間させる状態のことである。
【0008】
また、本発明は、前記アーム部は上部アーム部と下部アーム部より構成されるものであり、前記下部アーム部は前記アクチュエータに固定され、前記上部アーム部は前記下部アーム部に対して、前記上部アーム部の前記摺動子に近い側の端部付近でベアリング支持されることを特徴とする潤滑膜の評価装置によって構成することもできる。この構成によれば、上部アーム部は下部アーム部に対し、ベアリング支持されているので、摺動子の位置を精度良く調整することができる。また、上部アーム部は摺動子に近い側の端部でベアリング支持されるため、上部アーム部の中央付近でベアリング支持されるものに対し、位置調整手段の調整を精度良く行なうことができる。
【0009】
また、本発明は、前記位置調整手段は、前記下部アーム部に対する前記上部アーム部の位置を調節するものであり、前記位置調整手段は、前記上部アーム部の前記摺動子から遠い側の端部付近に設けられることを特徴とする潤滑膜の評価装置によって構成することもできる。この構成によれば、位置調整手段が上部アーム部の摺動子から遠い側の端部付近に設けられるため、ベアリング支持部からの距離を十分とることができ、精度良く摺動子の位置調整を行なうことができる。
【0010】
また、本発明は、前記位置調整手段は、前記上部アーム部を下方から上方に付勢するエアシリンダと、前記上部アーム部の上方への移動距離を規制するマイクロポジショナーより構成されることを特徴とする潤滑膜の評価装置によって構成することもできる。この構成によれば、エアシリンダから上部アーム部を上方に付勢された状態で、摺動子の位置調整を行なうことができるため、摺動子の位置調整を精度良く行なうことができる。また、エアシリンダの付勢力を抜くことで、上部アーム部を下方に移動させることができるため、摺動子をスイッチング手段の離間状態とすることができ、平面部材の交換等が容易となる。
【0011】
また、本発明は、前記上部アーム部の下方への移動を規制する規制手段が前記下部アーム部に固定されることを特徴とする潤滑膜の評価装置によって構成することもできる。この構成によれば、規制手段が設けられているため、スイッチング手段により摺動子が離間状態とされる際、過度に潤滑膜から離間することが無くなり、装置の故障を防止することができる。また、規制手段が設けられているため、離間状態からエアシリンダによって上部アーム部を移動させる距離を少なくすることができ、速やかに潤滑膜の評価を行なうことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、上記の構成により、潤滑膜に対する摺動子の位置を、評価毎に同じ位置に初期設定することができるため、評価の精度を向上させることができる。また、スイッチング手段により、潤滑膜の交換等も容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための実施の形態について以下に詳細に説明する。図1は、本発明が適用された第1の実施形態の潤滑膜評価装置2の全体構成を示す図である。なお、図1の潤滑膜評価装置2は、主に外観を図示するが、装置をより詳しく説明するために、潤滑膜評価装置2の一部の部分は内部の構成を示すものとする。
【0014】
潤滑膜評価装置2は、平面部材であるディスク4と、ディスク4の潤滑膜6表面に摺動子8を押し当て、摺動子8が受ける力を測定する装置本体10と、摺動子8の変位を測定するレーザーセンサ12より構成されている。
【0015】
ディスク4は、円盤状のものであり、ディスク4の磁気記録面は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)で覆われている。ディスク4のDLCの上には、潤滑膜6がコーディングされている。潤滑膜6の詳細については、後述する。
【0016】
摺動子8は、グラスボールよりなり、その一部を板バネ状部材11に固定されている。板バネ状部材11は、金属製で板状のばね部材であり、摺動子8を図1の垂直方向(ディスク4の潤滑面6に垂直な方向)に付勢するものである。
【0017】
板バネ状部材11の一端は摺動子8に固定されており、板バネ状部材11の他端は、平行ばね14の下端部16に固定されている。平行ばね14は、アルミ棒を放電加工した平行ばねであり、平行ばね14の上端部が装置本体10の支持アーム18に固定されている。また、平行ばね14は、ディスク4の回転に伴い、摺動子8から板バネ状部材11が受けた力により変位するが、平行ばね14の作用により、下端部16の変位を水平方向への変位とするものである。
【0018】
平行ばね14の下端部16と水平方向にて対向する位置には、プローブ20が設けられている。プローブ20は、支持アーム18より延びる支持体22に固定され、平行ばね14の下端部16と微小な距離(約2〜4μm)を隔てた位置に配置される。プローブ20は、静電容量式の変位センサであり、平行ばね14の下端部の水平方向への変位を検出することができる。
【0019】
支持アーム18は、装置本体10の上部アーム24にネジ留めされて固定されている。上部アーム24の下には下部アーム26が配置され、上部アーム24の左端部と下部アーム26の左端部の間には、ヒンジ部28が設けられており、上部アーム24は下部アーム26に対し、ヒンジ部28を支点として回動することが可能とされている。ヒンジ部28は、上部アーム24とヒンジ部28の間に設けられるベアリング29と、下部アーム26にヒンジ部の下端を固定するボルトより構成される。また、上部アーム24の右端下方には、エアシリンダ31が配置され、エアシリンダ31のピストン部分が上部アーム24に当接している。エアシリンダ31のピストンの上下運動により、上部アーム24および支持アーム18は、ベアリング29を支点として、下部アーム26に対して回動させられる。
【0020】
上部アーム24の右端上方には、マイクロポジショナー32が配置されている。マイクロポジショナー32は、下部アーム26に対する上部アーム24の上方への離間距離を所定値に制限するためのものであり、マイクロポジショナー32の軸部の最下端は下部アーム26に固定され、この軸部が上部アーム24の孔を貫通してマイクロポジショナー32の頭部にねじ固定される。マイクロポジショナー32の頭部を回転させることで、1μmの分解能で、上部アーム24の垂直方向位置を調整するものである。なお、マイクロポジショナー32は、スクリューねじで構成される構成としたが、これに限らず、ピエゾ素子より構成されるピエゾアクチュエータで構成しても良い。このように構成すると、精度良く摺動子8の初期位置を設定することができる。また、上部アーム24と下部アーム26の間には、下方移動規制部材33が設けられている。下方移動規制部材33は、下部アーム26に固定されるものであり、上方アーム24の下方への移動を規制するものである。図1に示すように、潤滑膜6の評価状態では、上部アーム24と下方移動規制部材33は当接しておらず、隙間が形成されている。一方、潤滑膜6の交換等で、エアシリンダ31のピストンを下方に移動させた場合は、上方アーム24は下方移動規制部材33に当接し、下方への移動を制限される。
【0021】
下部アーム28の下には、下部アーム支持体34が配置されている。下部アーム支持体34の下には、ピエゾアクチュエータ36が配置されている。ピエゾアクチュエータ36については、ピエゾアクチュエータ36の内部構造を説明するために、内部の部品を図示するものである。ピエゾアクチュエータ36は、ピエゾ素子38を備え。ピエゾ素子38の一端はフレーム部40の内壁に当接しており、他端はフレーム部の一部であるピエゾ位置固定部42に当接している。フレーム部40は、ピエゾ素子38の体積変化による変位をてこの原理を応用し、拡大して垂直方向変位として出力するものであり、ピエゾ素子38の変位により、下部アーム26、上部アーム24および支持アーム18を上下方向に移動させ、さらに摺動子8のディスク4の潤滑膜6に対する垂直方向位置を変化させるものである。本実施形態では、ピエゾ素子38は水平方向では、約20nmの分解能を有しているが、フレーム部40により、垂直方向に最大70μmの変位を実現することができる。フレーム部40の鉛直方向(図1の上下方向)への変位は、変位センサ43により測定することができる。変位センサ43は、ピエゾ素子38の拡大された変位を検出するものであり、下部アーム26の上方に配置され、上方からレーザーを下部アーム26の一部に照射することにより、下部アーム26の移動距離を測定するものである。また、ピエゾ位置固定部42の右方には、ピエゾ位置調整部44が配置されており、ピエゾ位置調整部44の頭部を回転させることにより、ピエゾ位置固定部42の水平方向位置を調整し、ピエゾ素子38の右端部の位置を調整する。ピエゾアクチュエータ36の下方には、ピエゾアクチュエータ36を下方より支持するベース部46が設けられている。
【0022】
摺動子8の上方には、レーザーセンサ12が配置されている。レーザーセンサ12は、摺動子8の垂直方向位置の変化を測定するものである。レーザーセンサ12の内部には、摺動子8に対して光を投光する投光部48と、摺動子8の固定部の板バネ状部材11に反射した光を受光する受光部50を備えている。レーザーセンサ12は、受光部50の光の強度の変化を検出することで、摺動子8の垂直方向位置の変化を検出することができる。
【0023】
次に、本発明の第1の実施形態の作用について説明する。潤滑膜評価装置2は、潤滑膜の評価を行うにあたり、評価対象であるディスク4を図示しない回転モータの上に設置する。ディスク4を設置する前に、エアシリンダ31のピストンを下方に移動させて、上部アーム24、支持アーム18および板バネ状部材11を上方に移動させる。これにより、摺動子8はディスク4の設置部に対してある程度上方に離間した状態となり、ディスク4の設置を行うことができる。ディスク4の設置を行った後、エアシリンダ31のピストンを上方に移動させて、上部アーム24、支持アーム18および板バネ状部材11を下方に移動させることにより、摺動子8はディスク4の潤滑膜6に比較的近い位置に配置させる。この状態で、マイクロポジショナー32を用いて摺動子8の潤滑膜6に対する垂直方向位置の調整を行う。これは、本実施形態の潤滑膜の評価装置では、摺動子8の潤滑膜6に対する垂直方向位置を、常に同じ位置を初期位置として評価を行うためである。摺動子8の垂直方向位置は、レーザーセンサ12によって検出する。
【0024】
マイクロポジショナー32によって、摺動子8が潤滑膜6から所定距離離間した位置になった後、ディスク4をモータにより回転させる。また、ピエゾ素子38に電圧を印加し、ピエゾ素子38の体積を徐々に減少させていく。これにより、摺動子8は徐々に潤滑膜6に近づき、その後、潤滑膜6に当接する。摺動子8が潤滑膜6に当接した後もピエゾ素子38の体積を減少させることにより、より大きな荷重で摺動子8は潤滑膜6を押圧する。この時、ディスク4の回転により摺動子8は水平方向に力を受けるため、摺動子8はディスク4上を水平方向に移動する。摺動子8の水平方向の移動により、平行ばね14の下端部16も水平方向に変位するが、下端部16の水平方向の変位をプローブ20により検出する。
【0025】
その後、ピエゾ素子40の体積を徐々に増加させて摺動子8が潤滑膜6に及ぼす荷重を減少させていき、さらに摺動子8を潤滑膜6から離間させていく。この状態でも、プローブ20およびレーザーセンサ12による測定を継続して行う。
【0026】
したがって、本発明の第1の実施形態においては、摺動子8の鉛直方向への変位をレーザーセンサ12により検出し、摺動子8の水平方向への変位をプローブ20で検出するため、摺動子8と潤滑膜6の間のトライボロジー特性を評価することができる。また、本実施形態のピエゾアクチュエータ36は、潤滑膜6に対して摺動子8を、押し付ける方向(図1の下方)だけでなく、離間させる方向(図1の上方)へ移動させることができるため、潤滑膜6に対する摺動子8の摩擦力に加え、凝着力も測定することができる。また、本実施形態においては、エアシリンダ31およびヒンジ部28、ベアリング29等により、摺動子8を潤滑膜6から大きく上方に引き上げることが可能なため、ディスク4を交換したり、摺動子8のディスク4上の半径方向の位置を変更する際、容易に交換、位置変更を行うことができる。また、マイクロポジショナー32により上部アーム24の上下方向の位置を微調整することができるため、摺動子8の潤滑膜6に対する位置を精度良く、測定毎に同じ状態とすることができる。
【0027】
また、本実施形態においては、上部アーム24の左方側端部付近にベアリング29が設けられ、さらに、上方アーム24の右方端部付近にマイクロホジショナー32が設けられており、この構成により上方アーム24が下方アーム26に対して回動する構成のため、摺動子8の潤滑膜6に対する初期位置の調整を精度良く行なうことができる。ベアリング29は下方アーム26と上方アーム24の間の支点となるため、マイクロポジショナー32をできるだけ支点から遠い位置に配置することで、摺動子8の上下方向の位置調整が可能となるためである。また、本実施形態においては、下方移動規制部材33が設けられているため、ディスク4を交換する際に、摺動子8が過度に上方に移動することを防止することができる。また、ディスク4を交換後、評価を行なう際に、エアシリンダ31を上方に移動させる距離を少なくすることができ、速やかに潤滑膜6の評価を行なうことができるというメリットもある。
【0028】
(潤滑膜の凝着力の測定および評価)
次に、本発明の第1の実施形態の潤滑膜評価装置2を用いて行った潤滑膜6の評価結果について説明する。まず、摺動子8を潤滑膜6から離間させる際に発生する凝着力を測定し、測定結果に基づき、潤滑膜の評価を行った。なお、本評価においては、ディスク4の直径を約6.35mm(2.5インチ)、ディスク4の回転速度を1rpm(2.1mm/s)、DLCの厚さは3nm、表面粗さは、Ra=0.45nmとした。また、摺動子8の直径は1.5mm、表面粗さ(中心線平均粗さ)は、Ra=0.6nm、表面粗さの最大高さは、Rmax=5nmとした。また、板バネ状部材11の垂直方向のばね定数は、18.4N/m、プローブ20の分解能を2.5nmとした。また、レーザーセンサ12の測定レンジは±1mm、分解能は0.1μmであった。
【0029】
また、摺動子8の材料はBK7、プローブ20はMTI社製ASP−1−ILA、ピエゾアクチュエータ36はシグマ光機製SFS−60Z、ピエゾ位置調整部はミツトヨ社製LGB2−105L、レーザーセンサ12はキーエンス製LK−3100を用いた。なお、潤滑膜評価装置2は、震動等の外部の影響を受けないチャンバー内に配置し、チャンバー内の温度は22±2℃、湿度は20±3%とした。
【0030】
また、潤滑膜6は以下の3種類を用いた。膜の種類は、PEPE(全フッ素化ポリエーテル:perfluoropolyether)のFomblin ZのNon−Polar Z03膜(分子量Mw=4000g/mol、F−CF2−O−(CF2−CF2−O)p−(CF2−O)q−CF2−F、以下Z03膜と称す)、Fomblin ZdolのPolar Zdol2000膜(Mw=2000g/mol、OH−CH2−F−CF2−O−(CF2−CF2−O)p−(CF2−O)q−CF2−CH2−OH、以下Zdol2000膜と称す)、Fomblin Zdol4000膜(Mw=4000g/mol、OH−CH2−F−CF2−O−(CF2−CF2−O)p−(CF2−O)q−CF2−CH2−OH、以下Zdol4000膜と称す)の3つである。
【0031】
まず、潤滑膜6としてZdol2000膜を用い、摺動子8を潤滑膜6に押し付け、その後離間させた場合の測定結果を図2に示す。図2は、ピエゾアクチュエータ36の鉛直方向(図1の上下方向)の変位量と摺動子8の変位量の鉛直方向(図1の上下方向)の関係を表すグラフである。この測定においては、摺動子8と潤滑膜6を所定距離離間させた位置から、ピエゾアクチュエータ36を作動させて摺動子8を潤滑膜6に接触させ、再び摺動子8を潤滑膜6から所定距離離間させた位置まで摺動子8を移動させたものである。図2の横軸は、測定開始時からのピエゾアクチュエータ36の下方への変位量を示しており、ピエゾ素子38に電圧を印加し、ピエゾ素子38の体積変化をフレーム部40で垂直方向の変位量として拡大されたものを、変位センサ43を用いて測定したものであり、図1の下方へ支持アーム18等が移動すると横軸の値は増加する。また、図2の縦軸は、測定開始時からの摺動子8の変位量をレーザーセンサ12で測定したものであり、図1の下方へ摺動子8が移動すると、縦軸の値は増加する。
【0032】
図2に示すように、グラフ上のゼロ点からA点までは、横軸の値の増加に伴い、縦軸の値もほぼ同じ量増加する。これは、摺動子8が潤滑膜6に接触する前の段階であるため、ピエゾアクチュエータ36の変位量と摺動子8の変位量が等しくなるからであると考えられる。次に、グラフ上のA点からB点にかけては、摺動子8の変位量が急に増加している。これは、摺動子8と潤滑面6の間隔が微小な距離となったため、両者の間にメニスカス力が働き、摺動子8が潤滑面6に引き寄せられたためと考えられる。次に、グラフ上の点がB点を通過してからは、横軸の値が増加しても縦軸の値はほとんど増加していない。これは、摺動子8が潤滑面6に接触し、摺動子8の下方への移動が制限されているためである。次に、グラフ上の点がB点からC点に向かう過程においては、横軸の値が減少しても縦軸の値はほとんど減少していないことが分かる。これは、摺動子8と潤滑膜6の間に凝着力が働き、摺動子8の変位を妨げているためである。その後、グラフ上の点がC点を通過すると、摺動子8は急激に潤滑膜6から離間し、摺動子8と潤滑膜6の距離はD点で振動する。その後、グラフ上の点はD点を通過し、原点に戻っていく。
【0033】
図2のグラフに示す測定結果については、以下のように説明することができる。図3は、測定中における摺動子8と潤滑膜6の相互の位置関係を示す概念図である。図2のグラフの原点からA点までは、図3(a)のような状態である。図2の横軸の値の増加に従い縦軸の値も増加している。図2のB点からC点までは、図3(b)の状態である。また、図2のB´点からC点までは、図3(c)の状態であると考えられる。ピエゾアクチュエータ36の上方への移動により、板バネ状部材11は上方に移動させられているが、摺動子8は潤滑膜6の凝着力により上方への移動を妨げられているのである。その後、図2のC点からD点にかけては、特にD点においては、摺動子8は上下に振動しながら、上方に移動させられるのである。上記説明により、図2のB´点からC点までの距離は、摺動子8と潤滑膜6が凝着した状態でピエゾアクチュエータ36が上方に移動した距離であり、図2のB´点とC点の距離と板バネ状部材のばね定数を乗算することにより、摺動子8と潤滑膜6の間の凝着力を演算することができる。なお、B´点は、グラフ2の横軸(ピエゾアクチュエータ36の変位量)と縦軸(摺動子8の変位量)が比例する直線を延長して、この延長線と横軸に対して縦軸が一定値となった直線とが交わった点であり、B´点とC点間の距離を用いることにより、精度良く凝着力を演算することができるのである。
【0034】
次に、上述の演算方法により、3種類の潤滑膜に対して凝着力の測定を行った。潤滑膜6の厚さと、測定結果より演算された潤滑膜6の凝着力の関係を図4に示す。図4は、潤滑膜6として、Z03膜、Zdol2000膜、およびZdol4000膜の3種類について、3種類の潤滑膜6の厚さをそれぞれ変化させて凝着力を測定した結果を示すグラフである。なお、凝着力の測定に際しては、摺動子8を潤滑膜6に0.5mNの力で押し付け、その状態を5秒間保持し、その後、摺動子8を潤滑膜6から離間させて凝着力を測定した。
【0035】
図4のグラフに示すように、各潤滑膜とも、潤滑膜6の厚さが増加するにつれて凝着力は低下し、いずれの種類の潤滑膜6においても、潤滑膜6が十分に厚い領域では凝着力はほぼ一定値となった。また、潤滑膜6の厚さが薄い場合(約2nm付近)では、Zol4000膜の凝着力が3つの潤滑膜の中で最も大きくなった。このような凝着力の演算結果より、ディスク4上の潤滑膜6の状態を以下のように評価することができる。まず、図4に示すように、凝着力の大きさの変化より、潤滑膜6の厚さが約3nm以下のDLC膜の表面力主体の領域と、潤滑膜6の厚さが約5nm以上のメニスカス力主体の領域に分けて考える。DLC膜の表面力主体の領域においては、DLC膜の表面力が凝着力として摺動子8に及ぼす力は、DLC膜上の潤滑膜6の厚さが大きくなるにつれて小さくなる。これは、潤滑膜6の低表面自由エネルギーが作用し、DLC膜の表面力を減少させているためである。Zdol2000膜やZdol4000膜のような極性を有する潤滑膜においては、単層膜の組織はZdol2000膜で約2nm、Zdol4000膜で約2.8nmで終結する。また、非極性のZ03膜においては、DLC膜上の分子はフラットな組織を形成しており、潤滑膜6が薄い場合でも、DLC膜を十分にカバーすることができる。よって上記の考察より、ディスク4上の潤滑膜6の状態を以下のように評価することができる。
【0036】
潤滑膜6がZdol2000膜である場合、単層膜の組織は約2nmであるため、Zdol2000膜はDLC膜上をある程度覆うことができる。これに対し、Zdol4000膜は、単層膜の組織が約2.8nmのため、DLC膜の表面を十分に覆うことができない。このことは、図4の潤滑膜6が2nmの場合に、Zdol4000膜の凝着力がZdol2000膜の凝着力よりも大きいことと一致している。Z03膜はDLC膜上にフラットにフラットに形成されているため、DLC膜の表面力を十分に減少させることができる。これについても、図4の潤滑膜6が2nmの場合の凝着力が、他の2つの潤滑膜よりも小さい測定結果と一致している。したがって、本実施形態では、潤滑膜評価装置2を用いて、摺動子8を潤滑膜6から変位させて図4に示す凝着力を測定することにより、ディスク4の表面上の各潤滑膜6の状態を評価することができる。
【0037】
なお、図4において、各潤滑膜6の凝着力は、潤滑膜6の厚さが約5nm以上のメニスカス力主体の領域では、約0.2mNに収束している。これについても評価を行った。連続的な液体膜に球体が近接する場合においては、メニスカス力は以下の式より演算することができる。
=2πRγ(cosθ+1)
ここで、Rは球体(摺動子8)の半径、γは液体膜(潤滑膜6)の表面張力、θは球体からの接触角である。各潤滑膜6の表面張力は、実験的に、Zdol2000膜は24mN/m、Zdol4000膜は22mN/m、Z03膜は23mN/mであり、測定された摺動子8の接触角は約25°であった。これらの値より、各潤滑膜6のメニスカス力を演算すると、Zdol2000膜は0.215mN、Zdol4000膜は0.197mN、Z03膜は0.206mNであった。3種類の潤滑膜6のメニスカス力は、いずれも約0.2mN付近であり、図4の凝着力の測定結果と良く一致していることが分かる。これにより、上述したように、潤滑膜6の厚さが5nm以上の領域においては、凝着力はメニスカス力が主体となっていると評価することができる。
【0038】
(潤滑膜の摩擦力の測定および評価)
次に、本発明の第1の実施形態の潤滑膜評価装置2を用いて、潤滑膜6の摩擦力を測定し、評価を行った。なお、潤滑膜の摩擦力の測定においても、「潤滑膜の凝着力の測定および評価」で用いた潤滑膜を用い、評価装置の各部分の寸法等の数値も同じものを用いた。本測定では、各潤滑膜6の厚さは、2nmとした。
【0039】
摩擦力の測定においては、潤滑膜評価装置2のピエゾアクチュエータ36を作動させ、潤滑膜6に摺動子8を所定の力で押し付ける。摺動子8を潤滑膜6に押し付ける力である荷重Fは、摺動子8が潤滑膜6に接触してからのピエゾアクチュエータ36の下方への変位量を変位センサ43で検出し、検出された変位量と板バネ状部材11のばね定数を乗算したものを用いた。また、荷重Fは、0.1mNら0.9mNまで0.2mN間隔で変化させ、各荷重において、ディスク4を2回転させて摩擦力Fを測定した。各潤滑膜6についての摩擦力の測定結果を図5に示す。図5(a)はZdol2000膜、図5(b)はZdol4000膜、図5(c)はZ03膜についての摩擦力Fの測定結果である。図5によれば、各潤滑膜6においては、いずれの荷重Fにおいても再現性良く、摩擦力を測定することができたといえる。
【0040】
次に、荷重Fの変化に対する各潤滑膜6の摩擦力Fの変化を図6に示す。図6は、各潤滑膜6において、荷重Fを変化させて摩擦力Fを測定し、それぞれの測定を3回繰り返した結果である。図6に示すように、各潤滑膜とも荷重Fの増加にしたがい直線的に摩擦力Fが増加している。また、Zdol2000膜は、Zdol4000膜に比べ、摩擦力Fの増加の傾きが大きい。Zdol2000膜とZ03膜の傾きは同じ特性を示し、Zdol2000膜はZdol膜よりも摩擦力が大きいことが分かる。
【0041】
これらの摩擦力Fの測定結果より、ディスク4上の潤滑膜6の状態を以下のように評価することができる。図7はディスク4上の各潤滑膜6の状態を示す概念図であり、2nmの厚さの各潤滑膜の状態を示している。図7(a)および(b)に示すように、Zdol2000膜は、DLC膜の表面をほとんどカバーしているのに対し、Zdol4000膜はDLC膜の一部分を覆っている。これは、Zdol4000膜の分子鎖がZdol2000膜の分子鎖よりも長く、Zdol4000膜の回転半径が大きくなるためである。また、図7(c)に示すように、Z03膜はDLC膜の表面をフラットな状態で覆っている。荷重Fが比較的小さな領域では、Zdol2000膜は、DLC膜に強固に固着された分子はせん断力に対抗し、弾性体の固体表面のように振る舞う。一方、Z03膜は小さなせん断力をもってDLC膜と摺動子8の表面の間を動くことができる。Zdol4000膜もDLC膜の表面に固着しているが、Zdol2000膜と比較すると小さいせん断力でフレキシブルな特性を表す。また、Zdol4000膜は、図7のように部分的にDLC膜を覆う状態のため、Zdol2000膜よりも実際の液体/固体接触面積が小さく、摩擦力Fの値が小さくなると考えられる。
【0042】
また、図6に示すように、荷重Fがゼロの点、すなわち摺動子8が潤滑膜6に接触した瞬間において、いずれの潤滑膜6についても摩擦力Fが発生している。これは、摺動子8と潤滑膜6の接触点にメニスカス(液架橋)が発生し、摺動子8が潤滑膜6に吸引されるからである。したがって、潤滑膜6の表面には、外部荷重であるFとメニスカス力による荷重との和がトータルの荷重(F)として及ぼされる。上述したように、各潤滑膜6のメニスカス力は約0.2mNであるため、摺動子8を潤滑膜6から0.2mNで引き上げる力を加えたと仮定すると、図6のグラフの破線の部分を得ることができる。図6のZ03膜のグラフにおいては、摩擦力Fは、荷重Fが−0.2mNの点でゼロとなっている。これに対し、Zdol2000膜とZdol4000膜においては、荷重F=−0.2mN付近では、摩擦力がゼロから急激に上昇していると考えられる。これは以下のように説明することができる。
【0043】
=F+μ(F+F)=F+μ
ここで、μは動摩擦力係数、Fは外部からおよぼされる荷重(下に向かう向きを正とする、以下F、Fも同じ)、Fは凝着力による荷重であり、FはFとFの和であり、実際に潤滑膜6に外部から及ぼされる荷重である。Fは、潤滑膜6の特性に関連する擬似的な動摩擦パラメータである。パラメータFは非極性のZ03膜ではゼロであり、極性を有するZdol2000膜およびZdol4000膜ではFの関数である。
【0044】
上記のようにFを定義した場合、F=0では摺動子8と潤滑膜6の接触は起こっていないため、Fはゼロとなる。その後、Fがゼロから増加すると、Fは増加するが、この時、非極性の潤滑膜Z03と、極性を有する潤滑膜Zdol2000膜およびZdol4000膜では特性が異なる。この状態をモデル化したものを図8に示す。図8は摺動子8と潤滑膜6の接触状態を示す概念図である。図8(a)に示す非極性の潤滑膜においては、分子がフラットな組織のため、分子の変形はほとんど起きず、摺動子8と潤滑膜6の間の接触面積は比例して増加し、これにより、摩擦力Fも比例して増加する。一方、図8に示す極性を有する潤滑膜においては、潤滑膜の分子はDLC膜に強固に固着しているため、接触状態の初期においては、分子の変形が発生する。これにより、摺動子8と潤滑膜6の接触面積は急激に増加し、摩擦力Fも急激に増加する。その後、摺動子8と潤滑膜6の接触点の数が増加すると、摩擦力FはFの増加に従い、比例的に増加する。
【0045】
したがって、本実施形態の潤滑膜評価装置2を用いることにより、外部荷重が小さい状態から摩擦力を測定することができる。また、複数の種類の潤滑膜について摩擦力を測定し、それぞれの測定結果を比較することにより、潤滑膜6の状態を評価することができる。なお、本発明は、例えば、磁気ディスクの評価装置に限定されるわけではなく、他の記録媒体等のその他の部材、部品等に使用される潤滑膜の評価装置に適用することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る第一実施形態の潤滑膜評価装置2の全体構成を示す図である。
【図2】本発明に係る第一実施形態のピエゾアクチュエータ36の変位に対する摺動子8の変位を示すグラフである。
【図3】本発明に係る第一実施形態の潤滑膜6に対する摺動子8の相互の位置関係を示す概念図である。
【図4】本発明に係る第一実施形態の潤滑膜6の厚さに対する凝着力の大きさの変化を示すグラフである。
【図5】本発明に係る第一実施形態の各潤滑膜6における摩擦力の値を示すグラフである。
【図6】本発明に係る第一実施形態の各潤滑膜6における外部荷重に対する摩擦力の変化を示すグラフである。
【図7】本発明に係る第一実施形態の各潤滑膜6の状態を説明するための概念図である。
【図8】本発明に係る第一実施形態の潤滑膜6と摺動子8の接触状態を示す概念図である。
【符号の説明】
【0047】
2 潤滑膜評価装置
4 ディスク
6 潤滑膜
8 摺動子
10 装置本体
11 板バネ状部材
12 レーザーセンサ
20 プローブ
24 上方アーム
26 下方アーム
28 ヒンジ部
29 ベアリング
30 ボルト
31 エアシリンダ
32 マイクロポジショナー
33 下方移動規制部材
36 ピエゾアクチュエータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に潤滑膜が塗布された平面部材と、
前記平面部材の表面と垂直な方向である所定方向に移動し、前記潤滑膜と接触することが可能な摺動子と、
前記摺動子の前記所定方向への変位を検出する摺動子変位検出手段と、
一端で前記摺動子を支持する板バネ状部材と、前記板バネ状部材の他端を支持するアーム部と、前記アーム部を前記所定方向に移動させるアクチュエータより構成され、前記摺動子と前記潤滑膜の接触状態において、前記摺動子が前記潤滑膜に近づく方向および前記摺動子が前記潤滑膜から離間する方向への荷重を調整する荷重調整手段と、
前記荷重調整手段とは別個独立に前記アーム部を前記所定方向に移動させるものであり、前記摺動子を前記潤滑膜に近づけて、前記潤滑膜を評価するセット状態と、前記摺動子が前記潤滑膜から所定量離間する離間状態の2つの状態を切り替えるスイッチング手段と、
前記スイッチング手段により前記摺動子がセット状態に配置された状態で、前記摺動子の前記所定方向の位置を調節することにより、前記潤滑膜に対する前記摺動子の位置を調整する位置調整手段と、
を備えることを特徴とする潤滑膜の評価装置。
【請求項2】
前記アーム部は上部アーム部と下部アーム部より構成されるものであり、前記下部アーム部は前記アクチュエータに固定され、前記上部アーム部は前記下部アーム部に対して、前記上部アーム部の前記摺動子に近い側の端部付近でベアリング支持されることを特徴とする請求項1に記載の潤滑膜の評価装置。
【請求項3】
前記位置調整手段は、前記下部アーム部に対する前記上部アーム部の位置を調節するものであり、前記位置調整手段は、前記上部アーム部の前記摺動子から遠い側の端部付近に設けられることを特徴とする請求項2に記載の潤滑膜の評価装置。
【請求項4】
前記位置調整手段は、前記上部アーム部を下方から上方に付勢するエアシリンダと、前記上部アーム部の上方への移動距離を規制するマイクロポジショナーより構成されることを特徴とする請求項3に記載の潤滑膜の評価装置。
【請求項5】
前記上部アーム部の下方への移動を規制する規制手段が前記下部アーム部に固定されることを特徴とする請求項4に記載の潤滑膜の評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−128693(P2008−128693A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311055(P2006−311055)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【特許番号】特許第3975450号(P3975450)
【特許公報発行日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 日本機械学会(JSME)と米国機械学会(ASME)共催の研究集会 Micromechatronics for Information and Precision Equipment 2006(開催日 :2006年6月21〜23日)に文書をもって発表
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(598141604)株式会社交洋製作所 (6)