説明

濁水処理装置

【課題】小型、高性能で、迅速に懸濁物質を除去できるようにした濁水処理装置を提供する。
【解決手段】濁水が上方に向かって流通するようにした処理槽内に、複数の通水孔9を穿設した多孔板10を、水平または側方に傾斜させて配設するとともに、各通水孔9の縁に、上向筒状の起立縁11を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濁水内の懸濁物質を除去する濁水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
渓流水や谷水を原水とする小規模の浄水装置として、上向性ろ過池が設置されている地域においては、夏期の雷雨や集中豪雨、台風等の異常降雨により、急激な増水で、上水道原水濁度(濁度の定義はJIS K0101による)の急上昇が頻繁に発生し、これによって、ろ過池のろ層が閉塞するという問題が発生する。
この濁水の主要な成分は、無機性物質であり、山土や砂が大半を占めている。
このような河川の上流域における濁水の流入継続時間は、中、下流域と異なり、長くとも数時間ということが多い。
【0003】
このような問題を解決するには、濁水中の懸濁物質を除去するか、濁水の流入を阻止する以外に方法はない。
懸濁物質の除去手段としては、沈殿槽(例えば特許文献1参照)や沈殿池(例えば非特許文献1参照)が知られている。
非特許文献1には、緩速ろ過池の流入原水の濁度は、概ね10度以下と定められている。ただし、原水の濁度上昇に対して、沈殿処理または一次ろ過設備を、緩速ろ過の前に追加して対応できるとしている。なお、普通沈殿池や沈殿槽においての滞留時間は約8時間である。
しかし、沈殿池や沈殿槽は広い面積を要し、山間部の小規模浄水施設では、地形や面積等の制約から、設置していないところが多い。
【0004】
濁水の流入を阻止する手段としては、高濁度感知システムにより、高濁度時に原水の流入を停止する等の制御を行い、ろ過池のろ層閉塞を防止するようにしたものがある。
この手段では、原水の流入が停止するため、その間は、浄水が得られない。断水を避けるためには、浄水を貯留する大きな配水池が必要となるが、高濁度が継続する時間は推定の域を出ないため、この大きさを計画することが困難となっている。また、高濁度感知システムおよび制御装置には、多額の工事費を要するとともに、管理上の難度が高いため、小規模浄水施設での採用は少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−229437号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「水道施設設計指針 2000年度版」日本水道協会発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ろ過池のろ層の閉塞を回復したり、浄化機能を維持するためには、ろ層の洗浄作業が欠かせない。上向性ろ過池の標準的な洗浄頻度は、1年に1〜2回であるが、雷雨、台風、集中豪雨等の高濁度原水の流入の程度によっては、1年に数回ないし毎月1回、場合によっては、降雨の都度実施しなければならないこともある。緊急の洗浄作業に際しては、洗浄作業要員の緊急出動、および洗浄水量の確保が必要である。また、浄水を貯留する配水池の貯留量と使用水量である給水量とのバランスによるが、洗浄作業中に断水を余儀なくされる事態が発生することも予測される。
【0008】
新設および既設の浄水装置に、濁水の流入態様に応じた効果的な除濁の機能を有する濁水処理装置を前置することにより、障害が回避され、不安が解消される。また、この濁水処理装置は、狭隘な場所に設置されることが多いことから、小型化できることが望ましい。
【0009】
本発明は、上記のような状況に鑑み、小型、高性能で、迅速に懸濁物質を除去できるようにした濁水処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 濁水が上方に向かって流通するようにした処理槽内に、複数の通水孔を穿設した多孔板を、水平または側方に傾斜させて配設するとともに、前記各通水孔の縁に、上向筒状の起立縁を設ける。
【0011】
このような構成とすると、濁水が多孔板の各通水孔を上方に向かって通過する際に、一時的に流速が大となり、その側部においては、ベルヌーイの定理に従って減圧され、通水孔の通過流を中心とする放射方向に渦流が発生し、濁水中の懸濁物質は、この渦流に乗って、多孔板の上面における通水孔の外周部に滞留する。
多孔板の上面に滞留した懸濁物質は、渦流の巻き込み作用により、通水孔に向って移動させられようとするが、通水孔の縁には、上向筒状の起立縁が設けられているので、懸濁物質は、通水孔を通過する濁水と合流することなく、多孔板の上面に滞留し続ける。
したがって、濁水が各通水孔を通過した後、懸濁物質は迅速に多孔板上に沈殿するので、懸濁物質の除去効率を高めることができるとともに、多孔板に多数の起立縁付きの通水孔を設けることにより、小型、高性能化を図ることができる。
【0012】
(2) 上記(1)項において、処理槽内に、複数の多孔板を多段状に配設する。
【0013】
このような構成とすると、さらに小型、高性能化を図ることができる。
【0014】
(3) 上記(1)または(2)項において、起立縁の高さを、3〜7mmとする。
【0015】
このような構成とすると、多孔板の上面に滞留した懸濁物質が、渦流の巻き込み作用により、通水孔に向って移動させられ、通水孔を通過する濁水と合流するのを確実に阻止することができる。
なお、多孔板の上面に滞留することが予測される懸濁物質の量に基づいて、起立縁の高さを、上記の範囲内において適宜定めるのがよい。
【0016】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、処理槽内に、多孔板を側方に傾斜させて設けるとともに、多孔板の下端側に、沈殿物を沈殿物滞留部に導く流下樋を設ける。
【0017】
このような構成とすると、長期間に亘って処理作業を継続することができ、多孔板上に滞留した懸濁物質の洗浄による除去作業の回数を少なくすることができる。
【0018】
(5) 上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、処理槽の上部に、上向流ろ過手段を配設する。
【0019】
このような構成とすると、本発明の濁水処理装置を、上向流ろ過装置に、その前処理手段として、一体的に組み込むことができ、設置スペースの削減、設置費用の低減、および処理効率の向上を図ることができる。
【0020】
(6) 上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、処理槽の下端部に、ドレン管を接続し、かつ処理槽内における多孔板の上方に、多孔板上に滞留した沈殿物を洗浄する洗浄装置を設ける。
【0021】
このような構成とすると、多孔板上に滞留した懸濁物質の量が大となったとき、一旦濁水処理作業を一時的に停止して、滞留した懸濁物質を迅速に洗浄し、ドレン管より排出することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、小型、高性能で、迅速に懸濁物質を除去できるようにした濁水処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の濁水処理装置の第1の実施形態の模式的縦断正面図である。
【図2】作用を説明するための多孔板の一部の拡大縦断正面図である。
【図3】比較例を示す、図2と同様の拡大縦断正面図である。
【図4】本発明の濁水処理装置の第2の実施形態の模式的縦断正面図である。
【図5】本発明の濁水処理装置の効果を説明するための実験装置と、それへの原水供給装置との模式的縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の濁水処理装置1を、原水を浄化して上水とするための浄化装置(図示略)の前処理装置として使用する場合の第1の実施形態を示す。
図1に示すように、この濁水処理装置1は、懸濁物質が流入して濁水となった原水2が上方に向かって流通するようにした処理槽3を備えている。
【0025】
処理槽3の底面3aは、中央に向かって下向傾斜するロート状としてあり、その中央部には、ドレン弁4を備えるドレン管5が設けられている。
処理槽3の下部には、原水供給源6に接続され、かつ流入弁7を備える流入管8が設けられており、この流入管8の先端は、処理槽3の下部中央において開口している。
【0026】
処理槽3内には、図2に示すように、複数の通水孔9が、予め定めたパターンで穿設された複数の多孔板10が、それぞれ水平をなして、上下多段状に配設されている。
【0027】
図2に示すように、各多孔板10における各通水孔9の縁には、上向筒状の起立縁11が設けられている。
多孔板10の材質は、特に限定する必要はなく、金属または合成樹脂により形成することができる。
起立縁11の高さは、3〜7mmとするのが好ましい。
【0028】
各段の多孔板10の通水孔9の孔径、通水孔9の相互の間隔、起立縁11の高さ等は、例えば下段のものほど、それらを大とする等、互いに異ならせて実施してもよい。
【0029】
最上段の多孔板10より上方における処理槽3の上部側面には、処理槽3内の原水2の水位が予め定めた水位以上となったとき、濁水処理された原水2が溢流するようにした流出管12が設けられている。
【0030】
また、処理槽3の上部には、洗浄弁13を介して原水供給源6またはその他の水源に接続された、洗浄装置をなす散水管14が設けられており、この散水管14の下面には、多数の散水ノズル14aが設けられている。
【0031】
処理槽3のいずれかの側壁3bには、必要に応じて、透明のガラス板等を液密に嵌合して形成した観察窓15を設けておくのがよい。
【0032】
原水供給源6の出口部分には、原水供給源6の原水2を、流入管8および散水管14側と、バイパス管16側とに選択的に供給する第1切換弁17が設けられている。
また、バイパス管16の出口端と、流出管12の出口端とは、第2切換弁18を介して、上記浄化装置(図示略)における原水流入管19に接続され、バイパス管16を通って送られてきた原水2と、濁水処理装置1を通って濁水処理された原水2とを、選択的に原水流入管19に供給しうるようになっている。
【0033】
第1および第2切換弁17、18、ドレン弁4、流入弁7、洗浄弁13等のすべての弁は、手動操作により開閉するようにしてもよいが、図1に模式的に示す制御装置20の指令によって開閉させられるようにするのが好ましい。
【0034】
特に、第1および第2切換弁17、18は、原水供給源6の原水2の濁度が予め定めた濁度以下の場合は、制御装置20の指令により、原水2がすべてバイパス管16を通るように制御され、原水供給源6の原水2の濁度を検出する濁度検出装置(図示略)が、予め定めた濁度を検出するか、または目視により原水供給源6の原水2が濁ったことを確認して、制御装置20に濁水処理装置1の作動指令を手動入力した場合は、原水2がすべて濁水処理装置1側に供給されるように、制御装置20により、同時に切り換えられるようにするのがよい。
【0035】
次に、濁水処理装置1の作動および取り扱いについて説明する。
制御装置20に濁水処理装置1の作動指令が入力されると、ドレン弁4および洗浄弁13を閉じ、流入弁7を開く。このときの流入弁7の開度は適宜調節できるようにしておくのが好ましい。
【0036】
流入弁7を開くと、原水供給源6の原水2が、流入管8を通って処理槽3内に供給され、処理槽3内の原水2の水位が漸次上昇する。
処理槽3内の原水2が、各段の多孔板10の通水孔9を上方に向かって通過する際に、図2に拡大して示すように、通水孔9を通過する原水2の流速が、周囲のものより大となり、その通過流Aの外周においては、ベルヌーイの定理に従って減圧され、通過流Aを中心とする放射方向に渦流Bが発生し、原水2中の懸濁物質Cは、この渦流Bに乗って、各多孔板10の上面における通水孔9の外周部に滞留する。
【0037】
多孔板10の上面に滞留した懸濁物質Cは、渦流Bの巻き込み作用により、通水孔9に向って移動させられようとするが、通水孔9の縁には、上向筒状の起立縁11が設けられているので、懸濁物質Cは、通過流Aと合流することなく、多孔板10の上面に滞留し続ける。
【0038】
したがって、原水2は、処理槽3内を上昇するにつれて、すなわち各多孔板10を通過する毎に、懸濁物質Cが漸次除去され、流出管12に溢流する際には、大部分の懸濁物質Cが除去され、清浄化された状態で、浄化装置の原水流入管19に供給される。
【0039】
図3は、多孔板10における通水孔9の縁に、起立縁11を設けなかった場合の比較例を示す。
この場合には、多孔板10の上面に滞留した懸濁物質Cは、渦流Bの巻き込み作用により、通水孔9に向って移動させられ、通過流Aと合流し、再度巻き上げられるので、懸濁物質Cの除去効率はきわめて悪い。
【0040】
いずれかの多孔板10上に滞留した懸濁物質Cの高さが、起立縁11の高さに近づいたことを、観察窓15からの視認により確認したときは、流入弁7を閉じて、流入管8からの原水2の供給を停止し、かつドレン弁4と洗浄弁13とを開いて、ドレン管5から処理槽3内の原水2と懸濁物質Cとを排出しつつ、散水管14より散水して、各多孔板10上に滞留した懸濁物質Cを洗い流す。
【0041】
このときの多孔板10の洗浄を容易にするため、各多孔板10の全周縁またはその一部と、処理槽3の内面との間に、起立縁のない間隙を設けておくのがよい。
また、散水管14は、処理槽3内の上部だけでなく、中間部や、各多孔板10のそれぞれの上方に設けておいてもよい。
さらに、各多孔板10を、処理槽3の内面に設けたブラケット10a上に、単に載置するだけとし、そこから簡単に取り外して、洗浄できるようにしたり、各多孔板10の一方の側端部を、処理槽3の内面に水平軸(図示略)をもって枢着し、同じく他方の側端部を支持するブラケット10aを処理槽3の内面から外すか、または移動させることによって、各多孔板10が上記水平軸から下向傾斜して、洗浄しやすくなるようにしてもよい。
【0042】
多孔板10の洗浄作業終了後、ドレン弁4と洗浄弁13とを閉じ、流入弁7を開くことにより、原水2からの懸濁物質Cの除去作業を再開することができる。
【0043】
図4は、本発明の濁水処理装置の第2の実施形態の模式的縦断正面図である。
この実施形態では、処理槽3の上下方向の中間部に、多数の透水孔21を穿設した水平受板22を設け、その上に、従来の上向流ろ過装置におけるのと同様の砕石、砂利、砂等を、下方から上方に向けて順に細粒化したろ過層からなる上向流ろ過手段23を設けることにより、濁水処理装置1を、上向流ろ過装置24の前処理手段として、一体的に形成したものとしてある。
【0044】
処理槽3内における水平受板22の下方には、流入管8の上方において、中央部から両側方に向かって下向傾斜する複数の山形の多孔板25が、上下方向に多段状に設けられ、各多孔板25の両側端部には、沈殿物を沈殿物滞留部(図示略)に導く流下樋26が設けられている。
【0045】
山形の各多孔板25に穿設した複数の通水孔26の縁に設けた円筒形の起立縁27の高さは、傾斜の低いところにあるものほど高くしてあり、各多孔板25上に堆積した懸濁物質C(図2参照)が、傾斜の低いところにある起立縁27を乗り越えて、通水孔26を通る通過流A(図2参照)と合流しないようにしてある。
その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0046】
第2の実施形態によると、第1の実施形態におけるのと同様の作用により、各多孔板25上に沈殿した懸濁物質Cは、各多孔板25の傾斜に沿ってゆっくりと流化した後、流下樋26に沿って沈殿物滞留部に導かれる。
したがって、長期間に亘って多孔板25の洗浄作業を行う必要がなく、洗浄作業回数を少なくすることができる。
【実施例】
【0047】
図5は、本発明の濁水処理装置による除濁効果の有効性を把握するための実験装置である。
原水槽30内には、攪拌装置31とポンプ32とを設け、鹿沼土を投入して、原水2を攪拌装置31により攪拌し、ポンプ32によりくみ上げた原水2を、流量調整槽33において、流量と濁度とが下記の諸元となるように調整して、流入管8より処理槽3内に供給するようにしてある。
この実験装置の諸条件は、次の通りである。
処理槽3の大きさ :縦285mm×横285mm×高さ850mm
処理槽3内の原水2の滞留時間 :1.13リットル/分・・・1.62m3/日
処理槽3内の原水2の上向流速 :20m/日・・・0.83m/時間
多孔板10の通水孔の内径と間隔:直径7mm×間隔15mm、直径5mm×間隔15mm
多孔板10の枚数 :直径7mm×2枚、直径5mm×5枚
多孔板10の上下方向の間隔 :75mm
原水2の初期濁度 :約80度
実験継続時間 :6〜8時間
【0048】
平常時の渓流水や谷水の平均濁度は5以下であるが、降雨時には、濁度が50前後に急激に上昇し、異常降雨時には、さらにこれを超えることが多い。従来の上向流ろ過装置における原水の最高濁度は、一般的に50度であるので、これより高い約80度の濁度で実験を実施した。
【0049】
実験継続時間を6〜8時間としたのは、渓流水や谷水の場合、降雨初期の濁度上昇は大きいが、降雨が継続していても数時間後には、濁度が比較的低下することを考慮したものである。
【0050】
この実験装置の除濁効果の有効性を確認するため、同一の実験装置を用いて、多孔板10をすべて取り外し、他の条件をすべて同一として、自然沈降分離のみによる空運転を実施し、濁度の変化を観察した。その結果は、表1および表2に示すとおりである。
【表1】

【表2】

【0051】
この実験結果から明らかなように、空運転での濁質分の除去率が5.7%であるのに対して、多孔板10を用いたものでは、濁質分の除去率は35.3%である。この差は、本発明の濁水処理装置が、大きな除濁作用を有していること示している。
【0052】
処理水の濁度の平均値が50.20であることから、この実験装置をほぼそのまま、従来の上向流ろ過装置の前処理装置として用いることもできる。
【0053】
処理槽3における中間資料採取位置から採取した中間水の濁度の測定結果から、除濁作用は、多孔板10の設置段数によって異なることがわかる。
中間資料採取位置より下方で捕捉される濁質分と、同じく上方で捕捉される濁質分とは、ある程度成分が異なることは予測されるが、採取される原水2中の濁質成分に合わせて、多孔板10の設置段数、通水孔9の内径や間隔等を定めることにより、さらに効率的な除濁効果が得られるものと推測される。
【0054】
実験を行った8時間の間、ほぼ同程度の除去率が得られていることから、実際に高濁度の濁水が継続すると予測される降雨初期の数時間において、本発明の装置を有効に利用できることが証明された。
【0055】
なお、実験終了後、処理槽3の底部から、排泥、排水を行った後、上方から清水を散水すると、各多孔板10上に堆積した濁質成分は、上段の通水孔9から落下する洗浄水により洗浄されて、数分で処理槽3外部に排出された。
【0056】
上記の実験に用いた処理槽3は、従来の上向流ろ過装置の面積の約1/4、高さ(槽の深さ)1/2に当たる。また、この容積で、上向流速20m/日、滞留時間1時間として、濁度80の原水2を、濁度約50度まで除濁することができる。
この処理時間は、普通沈殿池の沈殿時間8時間と比較すると、1/8である。
従って、山間部の浄水装置の前処理装置等として、狭隘なスペースにも、有効に設置することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 濁水処理装置
2 原水(濁水)
3 処理槽
3a底面
3b側壁
4 ドレン弁
5 ドレン管
6 原水供給源
7 流入弁
8 流入管
9 通水孔
10 多孔板
10aブラケット
11 起立縁
12 流出管
13 洗浄弁
14 散水管
14a散水ノズル(洗浄装置)
15 観察窓
16 バイパス管
17 第1切換弁
18 第2切換弁
19 (浄化装置の)原水流入管
20 制御装置
21 透水孔
22 水平受板
23 上向流ろ過手段
24 上向流ろ過装置
25 多孔板
26 通水孔
27 起立縁
30 原水槽
31 攪拌装置
32 ポンプ
33 流量調整槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濁水が上方に向かって流通するようにした処理槽内に、複数の通水孔を穿設した多孔板を、水平または側方に傾斜させて配設するとともに、前記各通水孔の縁に、上向筒状の起立縁を設けたことを特徴とする濁水処理装置。
【請求項2】
処理槽内に、複数の多孔板を多段状に配設した請求項1記載の濁水処理装置。
【請求項3】
起立縁の高さを、3〜7mmとした請求項1または2記載の濁水処理装置。
【請求項4】
処理槽内に、多孔板を側方に傾斜させて設けるとともに、多孔板の下端側に、沈殿物を沈殿物滞留部に導く流下樋を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の濁水処理装置。
【請求項5】
処理槽の上部に、上向流ろ過手段を配設した請求項1〜4のいずれかに記載の濁水処理装置。
【請求項6】
処理槽の下端部に、ドレン管を接続し、かつ処理槽内における多孔板の上方に、多孔板上に滞留した沈殿物を洗浄する洗浄装置を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の濁水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−172872(P2010−172872A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21416(P2009−21416)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(591251393)岡田産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】