説明

濃着色DVDの製造方法

濃着色光ディスク及びその製造方法の実施形態が開示されている。例えば、明細書では、結合層及びその間に配置されているデータ層を含むDVDの構成を開示し、基板の少なくとも1つは、光学品質のポリカーボネート樹脂及び濃着色ポリカーボネートの0.1wt%〜0.4wt%の範囲内の着色剤組成物を含む濃着色ポリカーボネートを含む読み取り面基板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記憶媒体に関するものであり、特に、濃着色データ記憶媒体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル多目的ディスク(つまりDVD)は、CDに比べて記憶容量が著しく多く、したがって、高デジタル品質のビデオ/オーディオコンテンツを最大8時間まで記録することができる。このような理由から、DVDの市場規模は着実に拡大してきている。市場で売られるDVDの枚数は、2004年までに約40億枚に達すると予測されている。
【0003】
CDと同じ全体寸法を持つディスクで高い記憶密度を達成するために、ディスク構造が変更された。最も基本的で目に見える違いは、DVDは、もはや、厚さ1.2mmの単一のプラスチック基板ではなく、1枚の厚さが0.6mmの基板2枚を貼り合わされたものであるという点である(「DVD Demystified:」by Jim Taylor,ed.McGraw Hill,1998)。さらに、読み取り用レーザー波長は、スペクトルの近赤外線部分に位置するCDの780ナノメートル(nm)から、可視スペクトルに位置するDVDの635又は650nmに変更された。DVD形式の種類(DVD−5、DVD−9、DVD−10、DVD−14、DVD−18、DVD−R、DVD−RWなど)に応じて、DVD−R及びDVD−RWなどの追記型はいうまでもなく、片面/1層(DVD−5)から両面/2層(DVD−18)まで、その構造は非常に多岐にわたる。厳格な規格、例えば、Optical Media consortium(1.20mm DVD読み取り専用ディスク用のEuropean Association for Standardizing Information and Communication Systems(「ECMA」)Specifications #267)によって課されている規格では、DVDの製造は難題となっている。ある規格では、すべてのDVDが示すPISUM8試験値(読み取り誤差の測定結果)は、温度及び湿度環境エージングの後であっても280未満であることを要求している。しかし、ほとんどの光ディスクのメーカーは、なおいっそう厳格な要求条件を定めており、平均値が50未満である約140より大きい初期PISUM8値を許容しない。
【0004】
基板の光学特性だけが、DVDの要求条件であるわけではない。例えば、DVDのデータピットのサイズは、CDに比べてかなり小さい、つまり、DVDはCDに比べて樹脂品質(不純物)に敏感である。さらに、ゲージが比較的薄い(1.2mmではなく0.6mm)ため、DVDはさらに、CDに比べて成形が難しい。したがって、DVDを製造するために使用される樹脂のレオロジー(流動特性)は、重要であり、また厳密に制御されなければならない。さらに、ディスク本体の厚さの不一致も、光ディスクの欠陥の源となる。DVDは、薄く、可視スペクトルで読み取られるだけでなく、通常のCDに比べて高い回転/走査速度で読み取られるため、そのような欠陥の存在にかなり敏感である。最も高度な多層DVD形式(つまり、DVD−9、DVD−14、及びDVD−18)の製造困難度は最高であるが、それは、ピットの2つの層に関連付けられた全反射層と半反射層の両方が存在するからである。単層DVD形式(つまり、DVD−5及びDVD−10)は、半反射層を持たず、ピットの1層しか含まない。ディスク構造に違いがあるため、反射要求条件は、単層ディスクと多層ディスクとでは非常に異なる。
【0005】
高品質DVDを製造するという難題は、使用可能な着色剤の品質が様々であるため着色樹脂が基板層内で依然として採用されている場合に困難さを増す。このような理由から、DVDは、一般に、着色樹脂を使って製造されていない。近年、EZ−D(商標)という商標の新しいDVD製品が市場に導入された。このDVDでは、特殊な着色剤を使用して、DVD形式のレンタル映画の再生可能時間数を制限する。パッケージングから取り出してから数日経つと、ディスクの色が赤色から黒色に変化し、レーザーによるデータの読み取りができなくなり、ディスクは再生不能になる。着色されたDVDは、着色剤のこのような特殊な利用を除き、一般的には、色彩効果が金属化(つまり、データ層)により実現されている場合以外、市場に出回っていない。例えば、通常のアルミニウム反射層の代わりに金が使用された場合に金色ディスクが得られ、同様に、銀又は銀合金が使用された場合に明るい銀色のディスクが得られる。さらに、DVDは、DVDの使用中に読み通されることを意図していない基板内に着色剤を含む片面形式のものが市販されている。着色CDも知られており、ソニーのゲーム機プレイステーションI及びII用に市販されている。これらのCDは、読み取り面基板内に0.13重量パーセントの最大の染料仕込量を有していた。
【0006】
市場に現在出回っているDVDは、大部分、透明(無色)樹脂を使用して製造されている。これらのディスクは、4日間にわたる相対湿度(RH)85%での80℃のエージング後に、良好な光学/電気特性(反射率、ジッタ、PI(Parity Inner)エラー、複屈折など)だけでなく、良好な機械特性(放射/接線/垂直傾斜)を示す。見栄えのよいそのような製品を出すことに対する顧客の関心が高いにもかかわらず、市場には濃着色DVDが存在していないのは、製造される濃着色DVDが光媒体業界で要求する光学及び電気特性並びにエージング特性を一貫して必ず満たすようにする信頼性の高い手段がない結果である。
【0007】
一般に、DVDにおいて見て美しい外観を作るには、着色剤の種類及び望む外観に応じて、樹脂の重量に対して0.15重量%より大きい着色剤仕込量が必要とされる。しかし、着色剤は、その不純物含有量、特に金属不純物含有量のバラツキが大きい。高い着色剤仕込量では、これらの金属不純物は、濃着色DVDの短期的特性及び長期的エージング特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0008】
DVDにとっては有用な着色剤及び濃着色樹脂組成物に存在する金属不純物は、10ミクロンより大きい不純物、及び10ミクロンより小さいか、又は濃着色樹脂組成物に可溶性である不純物の2つのカテゴリに分けられる。10ミクロンより大きい金属不純物の除去は、当業者であれば、樹脂の溶融押出し時に10ミクロン程度のスクリーンサイズの一連のメルトフィルタを使用して行うことができる。10ミクロンより小さい、又は濃着色樹脂組成物に可溶性の存在する金属の除去は、それらの粒子が押出し工程において従来の押出しフィルタを通過するため、かなりより困難である。非常に細かいメッシュサイズの専用押出しフィルタにより、非常に小さい金属粒子の多くを除去することができるが、それを使用した場合、厳しい生産率のペナルティが生じる可能性があり、そのため、濃着色樹脂組成物の製造コストがひどく高くつくことが考えられる。また、金属不純物が濃着色樹脂組成物に可溶性である場合、濾過法ではそれらを除去することができない。DVDで使用するため濃着色樹脂を製造することを望んでいる樹脂メーカーが利用できる他の解決方法として、エレクトロニクス用途で使用されるような高純度染料を使用する方法がある。このような染料は、10ppm以下の金属不純物を含む。しかし、この解決方法では、DVDで使用することが意図されている濃着色樹脂組成物のコストが法外に高いものとなる。さらに、エレクトロニクスグレードの染料は、限られた色しか利用できない。
【特許文献1】米国仮出願第60/514,230号明細書
【特許文献2】米国特許第6475589号明細書
【特許文献2】米国特許第6475588号明細書
【特許文献3】米国特許第4217438号明細書
【特許文献4】米国特許第3635895号明細書
【特許文献5】米国特許第4001184号明細書
【特許文献6】米国特許第4891800号明細書
【特許文献7】米国特許第5142018号明細書
【特許文献8】米国特許第5840395号明細書
【特許文献9】米国特許第6219329号明細書
【特許文献10】米国特許第6623827号明細書
【非特許文献1】「DVD Demystified:」by Jim Taylor,ed.McGraw Hill,1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書では、高品質、濃着色DVD及び濃着色DVD製品を製造するための経済的方法が開示される。様々なDVD構造が、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6475588号に示されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
方法の一例は、光学品質のポリカーボネート樹脂を着色剤組成物と組み合わせて、濃着色ポリカーボネート混合物を形成することを含み、着色剤組成物は、濃着色ポリカーボネート混合物の0.15wt%を超える量で存在する。濃着色ポリカーボネート混合物中の着色剤組成物由来の金属不純物含有量は、通常、1.90ppm未満、0.04ppm超である。
【0011】
他の方法の例も、同様に、光学品質のポリカーボネート樹脂を着色剤組成物と組み合わせて、濃着色ポリカーボネート混合物を形成することを含み、着色剤組成物は、濃着色ポリカーボネート混合物の0.15wt%を超える量で存在する。この例では、濃着色ポリカーボネート混合物中の着色剤組成物由来の鉄、ナトリウム、及びカルシウムの金属不純物の合わせた含有量は、1.90ppm未満、0.04ppm超である。
【0012】
本発明によるDVDの一例は、第1の基板、第2の基板、結合層、及びデータ層を含む。第1及び第2の基板は、通常、DVDの2つの主要外面を形成するが、適宜、他の層で覆うこともできる。データ層及び送信層は、任意の順序で、基板の間にある。データ層は、意味のあるデータに対応する形状を有する。この形状は、第1の基板に入射したレーザービームの反射を検出することによりデータを読み取ることができるように構成されている。第1の基板は、上述のように、濃着色ポリカーボネート混合物である。濃着色ポリカーボネート混合物は、光学品質のポリカーボネート樹脂及び濃着色ポリカーボネートの少なくとも0.15wt%の量の着色剤組成物を含む。総金属不純物は、通常、2.8ppm未満、0.5ppm超である。これらの総金属不純物は、光学品質のポリカーボネート樹脂中に元々存在する金属不純物と、さらに着色剤組成物を加えることにより入り込む金属不純物を含む。着色剤組成物の添加を通じて入り込む濃着色ポリカーボネート混合物中の不純物は、通常、1.90ppm未満、0.04ppm超である。
【0013】
これらの特徴及び他の特徴は、図面の簡単な説明、詳細な説明、及び付属の図面から明らかになるであろう。
【0014】
そこで図面を参照しつつ説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書で使用されている「DVD」という用語は、デジタルデータの格納用に現在市販されているか、又は将来市販されるであろう光媒体形式(デジタルビデオディスク)を意味する。データは、通常、ビデオに対応するが、音楽又はコンピュータプログラム又は他のデータとすることもできる。DVD形式の記憶容量は、音楽ファイルに通常使用されていた旧いコンパクトディスク(CD)より大きい。この用語は、現在の形式又は現在開発中の形式にのみ対応するものと解釈すべきではない。
【0016】
「光学品質のポリカーボネート樹脂」という用語は、少なくとも光媒体用途で使用される微粒子及び他の物質がなく十分にきれいである透明ポリカーボネート樹脂を意味する。通常の市販の光学品質のポリカーボネート樹脂は、融解粘度が比較的低く、また色素レベルも非常に低い。これらは通常、無色に見える。
【0017】
本明細書で使用されている「着色剤組成物」という用語は、着色剤を含む物質を意味する。この物質は、着色剤(例えば、染料又は顔料)を含むポリカーボネートペレット又は粉末濃縮物或いは例えば染料又は顔料を含む添加剤パッケージとすることができる。「添加剤パッケージ」は、販売に先立ってポリカーボネートに通常(例えば、押出しにより)添加される異なる化学物質の組合せを意味する。このような化学物質は、安定剤、離型剤などとしてよい。
【0018】
本明細書に使用されている「着色剤組成物由来の金属不純物」という用語は、濃着色ポリカーボネート混合物を形成するために着色剤組成物が光学品質のポリカーボネート樹脂に添加される状況を指す。このような場合、光学品質のポリカーボネート樹脂は、通常、着色剤組成物が添加される前であっても何らかの初期金属不純物を含む。その結果得られる濃着色ポリカーボネート混合物は、それらの初期不純物とともに着色剤組成物へのブレンドにより入り込んだ不純物を含む。この言い回しは、着色剤組成物により濃着色ポリカーボネート混合物に持ち込まれる付加的不純物のみを意味する。
【0019】
本明細書で使用されている「データ層」という用語は、ディスク内に格納されているデータに対応する光ディスクのその部分を指す。CD−Rタイプの構造では、データ層は、データが「書き込まれ」たときに化学的変化を起こす溝の中に配置されている染料を含む。最も基本的なDVDでは、金属層は、基板と切れ目なく連続しており、データ層として識別可能な物理的に隔てられた層はない。そうであっても、このようなディスクは、著者がここでこの用語を定義することを選択したとおりに「データ層」を持つ、つまり、データ層は、そのデータに対応する形状を有する接合部である。
【0020】
これ以降で使用する「濃着色ポリカーボネート組成物」という用語は、使用される樹脂の重量に対して0.15%を超える着色剤を含む樹脂組成物として定義される。
【0021】
DVDを製造するために使用されたときに、結果として得られる濃着色DVDの品質又はエージング特性を損なわず、高価な高純度着色剤を使用する必要のない、濃着色DVD基板樹脂組成物を行う手段を実現する方法が開示されている。この方法は、樹脂組成物に粉末としてブレンドするか、又はカラーコンセントレートとして添加することができる1種類の着色剤若しくは着色剤の混合物を使用すると、うまく利用できる。粉末は、着色剤の比較的純粋な固形物である。カラーコンセントレートは、最終製品で使用することを意図されている以上に濃縮された形態を含む樹脂である。
【0022】
本明細書で説明されている方法を発見するのに先立って、金属不純物が、約10ppm未満の、エレクトロニクス業界で使用されている着色剤などの非常に高純度の着色剤が、高品質でエージング特性に優れる濃着色DVDを実現するために必要であると当業者により仮定された(着色剤から誘導される濃着色ポリカーボネート混合物の対応する金属不純物レベルは約0.04ppmであろう)。これらの仮定とは反対に、使用される着色剤が特定の総不純物レベルを超えなかった場合には、純度の低い比較的安価な着色剤を使用して許容範囲のDVDを製造できるであろうということが発見された。
【0023】
図1は、高品質DVDの収量に影響を与える、濃着色樹脂組成物中の着色剤から導かれる限界金属不純物レベルがあるという驚くべき発見を示している。濃着色樹脂組成物は、10ミクロンのフィルタを使用せずに押出し成形機で調製した。封入、表面傷、接着の欠陥、傾斜などの欠陥を測定する、インラインプロセス収量を推定するためにDVD業界で広く使用されている、インラインスキャナDr.Schenk装置を使用して樹脂組成物から製造された成形DVDについて収量を測定した。約20%を超える収量は、メルト濾過が存在しない場合に許容範囲の収量であるとみなされたが、それは、メルトフィルタを使用すると、この収量は増大し90%を超えるからである。約20%以上を超える収量を得るためのこの限界値は、着色剤由来の樹脂組成物中の総金属不純物約1.9ppmであると判明した。不純物レベルが1.9ppmを下回るまで純度が高まっても、収量は急激には増えない。この変曲点の後に、純度の上昇とともに収量は急激に増大する。したがって、必要であると以前には考えられていたエレクトロニクスグレードの染料は、必要ではない。総不純物レベルは1.5ppm未満であるのがより好ましい。
【0024】
図2は、ナトリウム、鉄、及びカルシウムの金属不純物の組合せに対し、より厳格な限界金属不純物レベルがあるという驚くべき他の発見を示している。封入、表面傷、接着の欠陥、傾斜などの欠陥を測定する、インラインプロセス収量を推定するためにDVD業界で広く使用されている、インラインスキャナDr.Schenk装置を使用して樹脂組成物から製造された成形DVDについて収量を測定した。約20%を超える収量は、メルト濾過が存在しない場合に許容範囲の収量であるとみなされたが、それは、メルトフィルタを使用すると、この収量は増大し90%を超えるからである。約20%を超える収量を達成するためのこの限界値は、着色剤由来の組み合わせたナトリウム、鉄、及びカルシウムの1.50ppm未満であった。より典型的な値は、1.25ppm未満であった。
【0025】
したがって、着色剤により濃着色樹脂組成物に付与される総金属不純物が総金属の1.9ppmを超えないように、また着色剤により濃着色樹脂組成物に分与されるナトリウム、鉄、及びカルシウムの総不純物が1.5ppmを超えないように着色剤組成物で使用される着色剤を選択することにより、高価で高純度の着色剤を使用せずに高品質のDVDを製造することが可能である。より典型的には、濃着色樹脂組成物は、総金属不純物1.5ppmを超えず、ナトリウム、鉄、及びカルシウムの総金属含有量は、1.25ppm未満である。これらのレベルは、最も典型的には、それぞれ1.2ppm及び1.00ppm未満である。
【0026】
当業者によく知られている従来の10ミクロンフィルタ及び押出し成形法を使用する反応混合物のメルト濾過は、濃着色樹脂組成物から製造されるDVDに対し95%以上の収量を達成することが、そのような組成物において、着色剤により濃着色樹脂に分与される総金属不純物含有量が1.9ppmを超えず、ナトリウム、鉄、及びカルシウムの組み合わせた総量が1.5ppmを超えないならば、可能であることも発見された。上記のレベルを超えた場合、95%以上の収量を達成することは可能でない。
【0027】
PISUM8試験方法により決定される、DVDのエージング特性は、さらに、濃着色樹脂組成物中に存在する金属不純物のレベルに依存していた。1.9ppmの総金属不純物レベルを超える、又は1.5ppmの鉄、ナトリウム、及びカルシウムの組合せレベルを超える、濃着色組成物から製造されたDVDは、エージングの前に140未満の初期の望むPISUM8最大値を達成することはできなかった。
【0028】
着色剤を、ポリカーボネート樹脂と乾燥ブレンドするか、又は押出し成形機内で事前混合し、着色ポリカーボネート(通常は、「コンセントレート」又は「マスターバッチ」と呼ばれる)樹脂を形成することができ、そこでは、着色剤仕込量は、最終的な光学品質の樹脂の最終着色剤仕込量の5〜1000倍の範囲内である。より好ましくは、「コンセントレート」は、最終着色剤仕込量の20倍〜400倍又は50〜200倍の範囲である着色剤仕込量を含む。より典型的な実施形態では、「コンセントレート」は、ペレット化された形態であり、確実に色を一致させるために重量測定供給装置を使用することにより押出し成形ラインに直接供給される。着色剤が混合要素の存在する中で2つの熱サイクルに曝されるため、コンセントレートは通常使用されることに留意されたい。コンセントレートにより、最良の機械的分散が必ず達成される。ポリカーボネート樹脂内の分散が適切でないと、ある種の蛍光ペリレン誘導体などの融点が300℃を超える着色剤を使用したときに問題となる可能性がある。着色剤組成物又は着色剤添加方法のどちらが使用されても、業界品質標準に適合する再生可能DVDを製造するために基板の透過性(例えば、読み取り波長における約60%の透過性以上)が維持されなければならない。
【0029】
基板の透過性は、基板中に存在する散乱粒子の量及びそのサイズに直接関係する。可視波長に比べて著しく小さい場合、散乱は顕著にはならない。着色剤は散乱粒子の主要発生源となりうるため、濃着色ポリカーボネート混合物を作るために溶融押出しが通常使用される。特に、メルトフィルタは、押出し成形機の末端に固定される。光学品質のポリカーボネート樹脂及び着色剤組成物は、異なる押出し成形機(メルトフィルタあり、又はなし)又は染料粉末組成物を使用して着色剤を光学品質のポリカーボネート内に混ぜ込むことによりすでに用意されているマスターバッチとすることができる。着色剤組成物は、さらに、他の添加剤を含むこともできる。好ましくは、濾過された着色剤粒子(及びその集合体)のサイズは、約200ナノメートル(nm)以下である。粒子(及び集合体)のサイズは約50nm以下であるのが典型的である。
【0030】
着色剤は、さらに、着色剤が配置される層を形成するために使用される材料内で安定化するように選択されるのが好ましい。DVD層に使用される材料内で可溶性の着色剤は、染料(例えば、「油溶性染料」)、有機着色剤、顔料などを含む。プラスチック内に分散し、サイズが約200nm以上の集合体を形成しない着色剤が好ましいが、集合体サイズは、約50nm以下であるのが典型的である。いくつかの好適な着色剤としては、限定はしないが、アントラキノン、アントラピリドン、ペリレン、ペリノン、インダンスロン、キナクリドン、キサンチン、オキサジン、オキサゾリン、チオキサンテン、インジゴイド、チオインジゴイド、キノフタロン、ナフタルイミド、シアニン、メチン、ラクトン、クマリン、ビス−ベンゾオキサオキソリルチオフェン(BBOT)、ナフタレンテトラカルボン酸誘導体、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、トリアリルメタン、アミノケトン、ビス(スチリル)ビフェニル誘導体などとともに、前記の少なくとも1つを含む組合せがある。
【0031】
プラスチック/着色剤の組合せ及び使用される着色剤の量を決定する要因は、現在、上述のDVD規格に基づいている(例えば、参照により本明細書に組み込まれているEMCA規格#267)。着色多層DVDの規格の範囲内の半反射データ層及び全反射データ層の反射率を取得するために、光透過率及び着色剤濃度は平衡状態でなければならない。DVDリードバックレーザー波長の第1の基板を通る光透過は、約60%以上であるのが好ましい。着色剤仕込量とともに着色剤の性質(例えば、スペクトル透過曲線の形状)は、目標色及び光透過率に依存する。
【0032】
所望の波長において吸収率が高い着色剤の選択は、機能的多層DVDを製造することが可能な最大着色剤仕込量を制限する。所望の波長で吸収率の低い着色剤は組成物において高い仕込量で使用できるため、機能的ディスクの目標色を得るのが簡単である。例えば、650nmでの吸収率が低いので、青色を得るために、通常、ソルベントバイオレット13をソルベントブルー97の代わりに使用する。適切な着色剤の選択については、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6475589号で詳しく説明されている。
【0033】
濃着色DVDの着色剤仕込量は、通常、着色剤を含む基板の総重量に基づき0.15重量パーセント(wt%)又は0.25wt%又は0.35wt%以上である。染料含有量の許容範囲の上限は変化し、許容できないDVD収量が達成されるまで量を増やしつつ実験することにより決定することができる。さらに、3.0wt%以下、2.0wt%以下、0.5wt%以下、又は0.4wt%以下の量の着色剤を使用するのが普通である。
【0034】
典型的なデジタル多目的ディスク(DVD)は、2つの接着プラスチック基板(又は樹脂層)を含み、それぞれの厚さは、通常、約1.0ミリメートル(mm)以下、又は約0.7mm以下である。約0.4mm以上の厚さが典型的である。ほとんどのDVDは、2枚でできており、それぞれの厚さは0.6mmであり、それが合わさって全体の厚さ1.2mmの1枚のDVDを形成する。少なくとも1つの基板は、データの1つ又は複数の層(例えば、3’5)を含む。一般に層0(又はL0)と呼ばれる、読み取り基板は、データが読み取られるディスクの面に最も近い。一般に層1(L1)と呼ばれる他の層は、さらに、読み取り面からのものである。L0とL1との間に、通常は、接着剤が、また適宜、保護被膜又は分離層が配置される。片面DVD(つまり、DVDの一方の面に配置された単一表面から読み取られるもの)は、さらに、読み出し面の反対側のDVDの裏面保護基板上に配置されたラベルを含むことができる。適宜、裏面保護基板の外部にさらに層がありうる。いずれの場合も、現在知られているすべてのDVDは、少なくとも第1及び第2の基板を有する。
【0035】
単一データ層(例えば、DVD5、DVD10)を持つ片面DVDの場合、データに対応する形状又はデータに対応する特性を持つように変えることができる化学物質を含む刻印面は、スパッタリング又は他の蒸着プロセスにより薄い反射金属層で被覆される。これにより、通常約60〜約100オングストローム(Å)の厚さの金属コーティングを形成する。片面データ層DVD(例えば、DVD9、DVD14、DVD18)では、レーザーは、読み取り時に第1の層から反射できなければならないが、さらに第2の層を読み取っているときに第1の層を通して集束(又は透過)することができなければならない。したがって、第1の反射層は、「半透明」(つまり、半反射)であるが、入射レーザーが当たる第2の反射層は、「全反射」である。Consortium for Optical Mediaにより設定された現行標準に従って、電気的パラメータR14Hに従って測定されるような(ECMA規格#267で説明されている)、全反射及び半反射のデータ層に対する金属化組合せは、レーザーの波長で約18パーセント(%)〜約30%でなければならない。同様に、単一層DVD形式では、R14Hは、45%〜85%の範囲でなければならない。現在のDVDでは、一般に使用されるレーザー波長は、約700nm以下であるが、典型的には約400nm〜約675nm、より典型的には約600nm〜約675nmである。これらの金属化標準は無色の光学品質の樹脂とともに使用されるDVDデータ層に対して設定されているが、着色樹脂を含むDVDシステムにも等しく適用される。
【0036】
色が樹脂に加えられると、基板を通る透過光及び基板からの反射光が有効である。多層DVDについては、半反射層及び全反射層の金属化及び厚さは、基板の光透過に合わせて適合される。望ましい反射率は、金属化厚さと半反射データ層の反射率とのバランスを取り、全反射データ層の厚さを調整してその反射率が所望の規格範囲内に必ず収まるようにすることにより得ることができる。このプロセスは、例えば、米国特許第6475588号で説明されている。
【0037】
個々の(複数の)データ層に対する金属化は、金属、合金などの様々な反射材料を使用して実現できる。好ましい金属化材料は、半反射及び/又は全反射データ層として十分に使用できる反射率を持ち、基板上にスパッタリングすることができる。金、銀、白金、ケイ素、アルミニウムなどと、さらに合金及び前記材料のうちの少なくとも1つを含む組合せは、潜在的に有用な反射材料である。例えば、第1/第2の反射データ層金属化は、金/アルミニウム、銀合金/アルミニウム、銀合金/銀合金などとすることができる。
【0038】
それぞれの層の全体的な反射率に加えて、その後の反射データ層の間の反射率の差は、後続の層の十分な反射率を確保するために制御されなければならない。好ましくは、後続の層の間の反射率の差は、5%、又は4%、又は3%以下である。隣接する反射データ層の反射率の差は0.5%又は1%以上であるのが典型的である。2つの層に関して説明されているが、2つよりも多い層を使用できること、及び後続の層の間の反射率の差は上記のとおりでなければならないことは理解されることに留意されたい。これは、例えば、米国特許第6475588号で説明されている。
【0039】
反射データ層は、通常、成形、エンボス加工などにより基板の表面内に形成されるパターン(例えば、ピット、溝、凹凸、開始/停止オリエンターなどの表面特徴)上にスパッタリングされるか、又は他の何らかの方法で配置される。半反射データ層は、第1のパターン形成基板表面にスパッタリングすることにより作成することができる。その後、仕切り層を半反射データ層の上に配置することができる。複数のデータ層DVD(例えば、DVD14、DVD18など)が形成される場合、第2のパターン形成表面は、半反射データ層の向かい側の仕切り層の面に形成することができる(例えば、刻印することができる)。その後、全反射データ層を仕切り層上にスパッタリングするか、又は他の何らかの方法で蒸着することができる。それとは別に、DVD14構造では、全反射データ層を第2の基板(又は樹脂層)のパターン形成表面上に蒸着することができる。次いで、仕切り層又は保護コーティングを半反射データ層及び全反射データ層の一方又は両方に配置する。次に、結合剤又は接着剤を2つの基板の間に配置することができ、それらを貼り合わせて1枚のディスクを形成することができる。適宜、複数の半反射データ層をそれぞれの後の層の間の仕切り層で蒸着することができる。
【0040】
(複数の)反射データ層の反射率は、反射層の数に応じて、約5%〜約100%とすることができる。単一反射データ層が使用される場合、反射率は、30%〜100%又は35%〜90%又は45%〜85%であるのが好ましい。二重反射データ層が使用される場合、データ層の反射率は、5%〜45%、10%〜40%、又は15%〜約35%、又は18%〜30%であるのが好ましい。最後に、複数の反射データ層(例えば、単一読み取り面から読み取り可能な2つよりも多い反射データ層)が使用される場合、反射率は、5%〜30%又は5%〜25%であるのが好ましい。ECMA規格#267では、範囲は、二重層DVD(例えば、少なくとも1つの全反射層及び少なくとも1つの半反射層)については18%〜30%の反射率、1つの全反射率層を有する単一層DVDについては45%〜85%の範囲である
基板は、レーザーの波長領域の60%〜94%未満の光を透過させることができる光学品質のプラスチックを含むことができる。その透過範囲において、透過率は、70%又は74%又は78%以上であるのが好ましい。使用される着色剤の種類及び量に応じて、透過率は、着色剤の種類により92%又は88%又は85%以下とすることができる。着色された基板のUV−A領域(つまり、400nm未満)内の透過率が減少するにつれ、基板の望ましい接着を得ることはますます困難になることに留意されたい。
【0041】
プラスチック基板は、非結晶性、結晶性、又は半結晶性熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック、又は前記プラスチックのうちの少なくとも1つを含む組合せなどの樹脂を含むことができる。使用可能なプラスチックとしては、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(限定はしないが、線状及び環状ポリオレフィンを含み、またポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレンなどを含む)、ポリエステル(限定はしないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシルメチレンテレフタレートなどを含む)、ポリアミド、ポリサルホン(限定はしないが、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルサルホン、水素化ポリサルホンなどを含む)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ABS樹脂、ポリスチレン(限定はしないが、水素化ポリスチレン、シンジオタクチック及びアタクチックポリスチレン、ポリシクロヘキシルエチレン、スチレン−コーアクリロニトリル、スチレン−コー無水マレイン酸などを含む)、ポリブタジエン、ポリアクリラート(限定はしないが、ポリメチルメタアクリラート、メチルメタクリラート−ポリイミドコポリマーなど)、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル(限定はしないが、2,6−ジメチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールを持つコポリマーからの誘導体などを含む)、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、液晶高分子、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、芳香族ポリエステル、フッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレンフルオロカーボンコポリマー(例えば、Teflons)、エポキシ、石炭酸、アルキド、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリシラン、ビス−マレイミド、シアン酸エステル、ビニル、及びベンゾシクロブテン樹脂、さらにそれに加えて、ブレンド、コポリマー、混合物、反応生成物、及び前記樹脂の少なくとも1つを含む組成物がある。好ましくは、基板は、ポリカーボネートを含み、主にポリカーボネート(例えば、約80%以上のポリカーボネート)の基板が特に典型的である。
【0042】
本明細書で使用されているように、「ポリカーボネート」、「ポリカーボネート組成物」、及び「芳香族カーボネート鎖単位を含む組成物」という用語は、化学式(I)
【0043】
【化1】

の構造単位を有する組成物を含み、
基の全数の少なくとも約60%は、芳香族有機基であり、その残部は、脂肪族、脂環族、又は芳香族基である。好ましくは、Rは芳香族有機基であり、より好ましくは、化学式(II)
【0044】
【化2】

の基であり、
式中、A及びAのそれぞれは、単環式の二価のアリール基であり、Yは、AをAから分離する1つ又は2つの原子を有する架橋基である。例示的な一実施形態では、1つの原子がAをAから分離する。このタイプの基の例示的な、限定しない実施例として、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、メチレン、シクロヘキシル−メチレン、2−[2,2,1]−ビシクロヘプチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、及びアダマンチリデンがある。架橋基Yは、炭化水素基又はメチレン、シクロヘキシリデン、若しくはイソプロピリデンなどの飽和炭化水素基とすることができる。
【0045】
ポリカーボネートは、1つの原子のみがAとAを分離しているジヒドロキシ化合物の界面反応により生成できる。本明細書で使用されている「ジヒドロキシ化合物」という用語は、例えば、以下のように一般化学式(III)を有するビスフェノール化合物を含む。
【0046】
【化3】

式中、R及びRは、それぞれ、ハロゲン原子又は一価の炭化水素基を表し、また同じであっても異なっていてもよく、p及びqは、0〜4のそれぞれ独立した整数であり、Xは、以下の化学式(IV)の基の1つを表す。
【0047】
【化4】

式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は一価の線状若しくは環状炭化水素基であり、Rは、二価の炭化水素基である。
【0048】
好適なジヒドロキシ化合物の同じ例示的な、限定しない例として、二価フェノール及び、米国特許第4217438号の名称又は化学式(一般又は特定の)により開示されているジヒドロキシ置換芳香族炭化水素が含まれる。化学式(III)で表すことができるビスフェノール化合物の様々な種類の具体的な例の非排他的なリストは、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(これ以降「ビスフェノールA」又は「BPA」)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、及び1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカンなどに加えて、前記化合物のうちの少なくとも1つを含む組合せを含む。
【0049】
また、ホモポリマーではなくカーボネートコポリマーが使用に望ましい場合に、2つ以上の異なる二価フェノール或いは二価フェノールとグリコール又はヒドロキシ若しくは酸末端ポリエステル又は二塩基酸又はヒドロキシ酸又は脂肪族二価酸とのコポリマーの重合から生じるポリカーボネートを使用することも可能である。一般に、有用な脂肪族二価酸は、2個〜約40個の炭素を有する。典型的な脂肪族二価酸は、ドデカン二酸である。ポリアリレート及びポリエステル−カーボネート樹脂又はそのブレンドも使用することができる。枝分れポリカーボネートも、線状ポリカーボネート及び枝分れポリカーボネートのブレンドとともに有用である。枝分れポリカーボネートは、重合の際に枝分れ剤を添加することにより製造できる。
【0050】
これらの枝分れ剤は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、無水カルボン酸、ハロホルミル基、及び前記基の少なくとも1つを含む混合物であってよい少なくとも3つの官能基を含む多官能有機化合物を含むことができる。具体的な例としては、トリメリト酸、無水トリメリト酸、三塩化トリメリト酸、トリス−p−ヒドロキシフェニルエタン、イサチン−ビス−フェノール、トリス−フェノールTC(1,3,5−トリス((p−ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリス−フェノールPA(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)、無水4−クロロホルミルフタル酸、トリメシン酸、及びベンゾフェノンテトラカルボン酸などがある。枝分れ剤は、樹脂の総重量に基づいて、約0.05重量パーセント〜約2.0重量パーセントのレベルで添加できる。枝分れポリカーボネートを製造するための枝分れ剤及び手順は、米国特許第3635895号及び同第4001184号で説明されている。あらゆる種類のポリカーボネート末端基について、ここで考察される。
【0051】
典型的なポリカーボネートは、ビスフェノールAに基づいており、A及びAはそれぞれ、p−フェニレンであり、Yはイソプロピリデンである。好ましくは、ポリカーボネートの重量平均分子量は、約5000〜約100000、より好ましくは、約10000〜約65000、最も好ましくは約15000〜約35000である。
【0052】
ポリカーボネート合成を監視し評価する際に、ポリカーボネート中に存在するフリース生成物の濃度を決定することが特に興味深い。指摘されているように、著しいフリース生成物の生成により、ポリマーの枝分れが生じ、その結果、制御不可能な溶融挙動に至る可能性がある。本明細書で使用されているように、「フリース」及び「フリース生成物」という用語は、以下の化学式(V)を持つポリカーボネート内の反復単位を表す。
【0053】
【化5】

式中、Xは、上述の公式(III)に関して説明されているように二価基である。
【0054】
ポリカーボネート組成物は、さらに、この種類の樹脂組成物に通常組み込まれる様々な添加物を含むことができる。このような添加物としては、例えば、充填剤又は強化剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、帯電防止剤、離型剤、付加的樹脂、発泡剤などとともに、前記添加物のうちの少なくとも1つを含む組合せがある。充填剤又は補強剤の実施例としては、グラスファイバ、アスベスト、カーボンファイバ、シリカ、タルク、及び炭酸カルシウムがある。熱安定剤の例としては、トリフェニルホスファイト、トリス−(2,6−ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス−(モノノニルフェニルとジノニルフェニルの混合物)ホスファイト、ジメチルベンゼンホスホネート、及びトリメチルホスフェートがある。酸化防止剤の例としては、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、及びペンタエリトリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロプオネート]がある。光安定剤の例としては、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、及び2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンがある。可塑剤の例としては、ジオクチル−4,5−エポキシ−ヘキサヒドロフタレート、トリス−(オクトキシカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリステアリン、及びエポキシ化大豆油がある。帯電防止剤の例としては、グリセロールモノステアレート、ステアリルスルホン酸ナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがある。離型剤の例としては、ステアリン酸ステアリル、蜜ろう、モンタンろう、及びパラフィンろうがある。他の樹脂の例としては、限定はしないが、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、及びポリフェニレンオキシドがある。前記添加物の任意の組合せを使用することができる。このような添加物は、成分の混合中に適当な時期に混合することで、組成物を形成することができる。
【0055】
ポリマー及び着色材料に加えて、この組成物は、適宜、この種類の樹脂組成物に通常組み込まれる様々な添加物を含むことができる。このような添加物としては、UV吸収材、光及び熱安定剤などの安定剤(例えば、リン酸ベースの化合物)、ヒンダードフェノール、酸化亜鉛、硫化亜鉛粒子、又はその組合せ、潤滑油(鉱物油など)、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤(テトラアルキルアンモニウムベンゼンスルホン酸塩、テトラアルキルホスホニウムベンゼンスルホン酸塩など)、離型剤(テトラステアリン酸ペンタエリトリトール、モノステアリン酸グリセロールなど)など、及び前記添加物のうちの少なくとも1つを含む組合せがある。例えば、基板は、ポリマーの総重量に基づき、約0.01重量パーセントwt%〜約0.1wt%の熱安定剤、約0.01wt%〜約0.2wt%の帯電防止剤、及び約0.1wt%〜約1wt%の離型剤を含むことができる。
【0056】
例えば、可能ないくつかの酸化防止剤としては、有機ホスファイト、例えばトリス(ノニル−フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイトなど、例えば、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシナメート)]メタン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシナメートオクタデシル、2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイトなどのアルキル化モノフェノール、ポリフェノール、及びポリフェノールとジエンとのアルキル化反応生成物、パラクレゾール及びジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、アルキル化ヒドロキノン、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデン−ビスフェノール、ベンジル化合物、一価アルコール又は多価アルコールとのβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸のエステル、一価アルコール又は多価アルコールとのβ(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロピオン酸のエステル、例えば、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジトリデシルなどのチオアルキル又はチオアリール化合物のエステル、β(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸のアミドなどとともに、前記酸化防止剤のうちの少なくとも1つを含む組合せがある。
【0057】
ポリマー、特にポリカーボネートの処理を促進するために、(複数の)触媒を、即ち、押出し成形機又は他の混合装置内で使用することもできる。触媒は、通常、結果として得られる材料の粘度を制御するのを補助する。使用可能な触媒としては、水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化テトラアルキルホスホニウムなどの水酸化物などがあり、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム及び水酸化テトラブチルホスホニウムが典型的である。(複数の)触媒を、単独で、又はリン酸などの酸などのクエンチャーと組み合わせて使用することができる。さらに、合成中に溶融したポリマーの中に水を注入し、水を排気口を通して水蒸気として除去し、残留揮発性化合物を除去することができる。
【0058】
ポリマーは、1軸又は2軸押出し機、ニーダー、ブレンダーなど、様々な前駆体を十分に混合することができる反応容器を使用して製造することができる。その後、ポリマーは、成形、押出し、圧延、刻印、又は類似の手法を使って、1枚の基板に形成される。
【0059】
隣接する基板は、接着剤又は結合剤で貼り合わされる(例えば、仕切り又は結合層)。所望の光学品質を有する結合剤を使用することができる。いくつかの使用可能な結合剤として、膠(例えば、高温の膠)、アクリル樹脂(例えば、透明な(つまり、典型的にはUV硬化アクリル樹脂以上の)紫外線(UV)硬化アクリル樹脂)などとともに、前記結合剤のうちの少なくとも1つを含む組合せがある。
【0060】
結合剤の場合と同様に、分離層は、透明材料を含むことができる。いくつかの使用可能な分離層としては、UV硬化透明樹脂がある。通常、分離(結合)層は、厚さ数百マイクロメートル(μm)以下又はそれ以上であるが、約100μm以下の厚さが有用であり、また現行DVD形式では約40μm〜約70μmの厚さが通常使用される。
【0061】
反射層及び(複数の)仕切り層に加えて、(複数の)保護層などの層(例えば、ラッカーなど)、(複数の)紫外線(UV)抑制層、(複数の)防湿層、(複数の)延性層などとともに、それらの層のうちの少なくとも1つを含む組合せを使用することができる。
【0062】
この開示は、さらに、以下の限定されない実施例で詳しく説明される。
【実施例】
【0063】
後述のように着色ポリカーボネート樹脂組成物A〜Gをテストすることから、作られたDVDをテストするいくつかの実施例を提示する。メルト濾過なしで組成物を調製した場合には、以下のプロセスを使用した。OQポリカーボネート樹脂粉末を添加剤(例えば、熱安定剤及び離型剤)及び着色剤と混合したが、その際に、均一な混合になるまで機械式タンブラーを使用した(通常、30kgのバッチで30〜40分間)。次に、混合物をWerner and Pfleiderer ZSK−30モデル2軸押出し機上で押出し成形した。押出し成形条件は、ゾーン1=480°F、ゾーン2=500°F、ゾーン3=520°F、ゾーン4=540°F、ゾーン5=550°F、ダイヘッド=550°F、及び送り速度=毎分400〜450回転(rpm)であった。ダイヘッドを出たポリマー鎖を水槽で冷却し、ペレット化して最終的な濃着色樹脂を得た。
【0064】
メルト濾過を使用して組成物を調製した場合には、以下のプロセスを使用した。OQポリカーボネート樹脂粉末を着色剤及び0.03〜0.1pphの熱安定剤とブレンドし、1〜40%の着色剤を含む混合物を形成した。その後、43mmの2軸同時回転押出し機上で上述と同じ条件を使用して混合物を混合し、カラーコンセントレートを得た(「マスターバッチ」)。マスターバッチは、生産ライン上のフィーダーの能力に基づき約1%〜約80%の着色剤を含んでいた。通常、10〜30%の範囲の染料仕込量を使用した。供給比99:1で良好な能力を有するフィーダーには約20%の仕込量が最も好ましかった(つまり、実際のライン速度の1%でコンセントレートが供給される場合)。色の一致でフィーダーからの変動を最小に抑えることが重要である。したがって、最終混合段階では、ホッパー及び/又は添加剤フィーダーを介して粉末及び添加物(熱安定剤及び離型剤)を押出し成形機に供給した。その後、コンセントレートを、ライン速度の1〜2%で変化する仕込量でラインに供給した。
【0065】
最終混合押出し成形機の詳細は以下のとおりであった。
【0066】
− 押出し成形機モデル/製造−Werner & Pfleiderer(92mm 2軸押出し機)
− 使用されるRPM−580RPM
− 最大RPM−580RPM
− 使用電流−700アンペア
− 最大電流−800アンペア
− 速度(lb/h又はkg/hr)−4200lb/hr
− 温度設定(ゾーン毎)−420(Z1)、440(Z2)、460(Z3)、480(z4)、500(z5)、520(z6)、540(z7)、565(メルトフィルタ)、アダプタ@565C。
【0067】
生産の最終混合段階で10ミクロンのメルトフィルタを使用した。
【0068】
実施例1
以下の実施例では、DVD9ディスクの歩留まり及び品質に対する有機着色剤品質の影響を示す。Rose ColorとKeystoneの2社が供給するソルベントレッド207を使用して、以下の表に開示されているレシピに従って、メルト濾過を使用せずに事前着色樹脂組成物を製造した。その後、樹脂を、Steag−Hamatech Unline 3000 DVD Bonderを装備するSumitomo SD30成形機上でDVD9ディスクに成形した。インラインスキャナDr.Schenk装置(Model # VCC.ISM)を使用して、封入、表面傷、接着欠陥、傾斜などの欠陥を測定し、その後、インライン歩留まりを推定した。このような市販の装置は、歩留まりを計算するECMA規格に基づくアルゴリズムにより事前にプログラムされている。
【0069】
【表1】

表2から、Rose Colorのソルベントレッド207を使用した組成物(組成物A及びB)はKeystoneの同じ着色剤を使用した配合(組成物C及びD)と比べて著しく低い歩留まりを示していることがわかる。収量損失の主要な原因は、封入として分類される欠陥のレベルが高いことによる。解析的テストの結果、Rose Color ソルベントレッド207組成物A及びBは両方ともそれぞれ1.16及び4.62ppmの着色剤組成物の総金属含有量並びにそれぞれ1.01及び4.03ppmのナトリウム、鉄、及びカルシウムの含有量の組合せを持つことが確認された。Keystone レッド207組成物C及びDはそれぞれ0.47及び1.87の着色剤組成物由来の総金属含有量並びにそれぞれ1.36及び1.43のナトリウム、鉄、及びカルシウムの組合せ含有量を有していた。収量の結果(以下の表2に示されている)対総金属含有量及びナトリウム、鉄、及びカルシウム含有量のグラフがそれぞれ図1及び2に示されている。図1は、総金属不純物が約1.90ppmを下回るまで不純物レベルが減少しても、収量は急激な改善を始めないことを示している。図2は、鉄、ナトリウム、及びカルシウムの総不純物レベルが約1.50ppmを下回るまで減少しても、収量は急激な改善を始めないことを示している。
【0070】
【表2】

実施例2
歩留まり改善の努力を続ける中で、樹脂を生産する方法をさらに改変して、メルト濾過段階を含めるようにした。再びメルト濾過樹脂をDVD9ディスクに成形し、製造過程の収量を前のように測定した。
【0071】
【表3】

追加メルト濾過段階により収量を改善する高品質樹脂の生産が可能となることは明白である。組成物C(つまり、メルト濾過組成物C)は、0.47ppmの着色剤組成物由来の最低の総金属不純物及び0.36ppmの鉄、ナトリウム、及びカルシウムの組み合わせた不純物を有する。組成物Dは、着色剤組成物由来の1.88ppmの総金属不純物、及び着色剤組成物由来の1.44ppmの鉄、ナトリウム、及びカルシウムの組み合わせた金属不純物を有するが、組成物Eは、1.28ppmの組み合わせた総金属不純物及び着色剤組成物由来の1.44ppmの鉄、ナトリウム、及びカルシウム金属の組合せ合計を有する。これらの結果から、95%以上の収量を達成するためには、総金属不純物を1.88ppm未満にする必要があり、また鉄、ナトリウム、及びカルシウムの組み合わせた不純物を約1.25ppm未満にする必要があることがわかる。
【0072】
実施例3
樹脂を生産する方法は、以下の実施例で説明されるように、歩留まりだけでなくDVD9の機能及び性能にも影響を及ぼす。DVD9ディスクの機能及び品質は、ECMAによって確立されているDVD規格において定義されているようにPISum8エラーの総数に関して測定することができる。高品質ディスクは、標準試験と同様に環境曝露した後、成形時の条件で平均が50未満である140未満のPISum8値、及び平均が140未満であるDVD規格(つまり、280未満)の範囲内のPISum8値を示すことが通例である。PISum8試験は、業界の標準であり、例えば、Dr.Schenkにより販売されている市販の機械により実行できる。
【0073】
表4に開示されている配合に従って加工されたメルト濾過樹脂は、DVD9ディスクに成形され、PISum8エラーについて電気テスター(DVDPRO)でテストされた。DVDテスト結果は表5に示されている。
【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

総金属含有量及び鉄、ナトリウム、及びカルシウム含有量が0.06ppm未満である組成物Fは、要求されるPISum8を満たすと見られる。組成物Gは、特に環境曝露後に、PISum8値が高い低品質DVD9ディスクを生産すると見られる。樹脂はメルト濾過されたという事実にもかかわらず、バットレッド41(3000ppm Ca、2100ppm Fe、及び308ppm Na)内の高いイオン量は、組成物Gが着色剤組成物由来の3ppmを超える鉄、ナトリウム、及びカルシウム総金属不純物を含む結果であり、これは、樹脂品質を低下させ、その結果、ディスク性能を落とすことがわかった。
【0076】
実施例4
3つの先行する実施例から、ディスク品質は、最終濃着色樹脂内の着色剤組成物から入り込む金属不純物に依存することは明らかである。しかし、押出し成形プロセスは最終製品内にさらに微粒子を潜在的に持ち込む可能性がある付加的現象(熱、剪断)を伴うので、コンセントレート中の粒子数と最終製品内の粒子数との間には、微粒子の最終レベルを予測できる直線的な相関関係はないことも観察されている。表6及び7は、10個の異なるコンセントレートに対する粒子数データ及び最終製品に対する対応する粒子数を示している。
【0077】
【表6】

【0078】
【表7】

組成物1〜8は、高品質カスタムカラーDVDディスクを生産するために使用されたが、組成物9と10では、PISum8規格に適合しないディスクが生産された。これらの結果から、着色剤組成物由来の金属不純物が、総金属並びに組み合わせた鉄、ナトリウム、及びカルシウムについて1.5及び1.25ppmのレベルの要求条件を満たしている場合、これらの着色剤組成物から生成されるカラーコンセントレートは、生産される高品質、濃着色DVDに対する以下の特定のレベルを満たすのが好ましいことがわかる。
【0079】
PT1〜3<7308個
PT3〜5<972個
PT5〜10<665個
PT10〜150<109個
上記のサンプルの金属分析は、6mlの硝酸(HNO)中の0.45グラムのサンプルを加熱し、その後1nlの塩酸(HCL)を加えてポリカーボネートを消化することにより実行される。その後、サンプルは、ICP分光計内で中和され、結果は、標準と比較された。
【0080】
請求項は、明細書全体の教示に照らして読まれるべきであり、また本明細書で説明されている特定の実施形態又は実施例に限定されるものと解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】許容範囲内のDVDの収量パーセント対濃着色ポリカーボネート混合物中の総金属不純物(ppm)のグラフである。
【図2】許容範囲内のDVDの収量パーセント対濃着色ポリカーボネート混合物中の鉄、ナトリウム、及びカルシウムの総不純物(ppm)のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学品質のポリカーボネート樹脂を着色剤組成物と組み合わせて、濃着色ポリカーボネート混合物を形成することを含む濃着色DVDを製造する方法であって、前記着色剤組成物は、前記濃着色ポリカーボネート混合物の少なくとも0.15wt%の量存在し、前記濃着色ポリカーボネート混合物中の前記着色剤組成物由来の金属不純物の総量は、1.90ppm未満、0.04ppm超である方法。
【請求項2】
光学品質のポリカーボネート樹脂を着色剤組成物と組み合わせて、濃着色ポリカーボネート混合物を形成することを含む濃着色DVDを製造する方法であって、前記着色剤組成物は、前記濃着色ポリカーボネート混合物の少なくとも0.15wt%の量存在し、前記濃着色ポリカーボネート混合物中の前記着色剤組成物由来の鉄、ナトリウム、及びカルシウムの組み合わせた金属不純物の総量は、1.90ppm未満、0.04ppm超である方法。
【請求項3】
光学品質のポリカーボネート樹脂を着色剤組成物と組み合わせて、濃着色ポリカーボネート混合物を形成することを含む濃着色DVDを製造する方法であって、前記着色剤組成物は、前記濃着色ポリカーボネート混合物の少なくとも0.15wt%の量存在し、前記濃着色ポリカーボネート混合物中の前記着色剤組成物由来の総金属不純物は、1.90ppm未満、0.04ppm超であり、前記組合せの段階は、前記光学品質のポリカーボネート樹脂にカラーコンセントレートを添加することを含む方法。
【請求項4】
光学品質のポリカーボネート樹脂を着色剤組成物と組み合わせて、濃着色ポリカーボネート混合物を形成する濃着色DVDを製造する方法であって、前記着色剤組成物は、前記濃着色ポリカーボネート混合物の少なくとも0.15wt%の量存在し、前記濃着色ポリカーボネート混合物中の前記着色剤組成物由来の総金属不純物は、1.90ppm未満、0.04ppm超であり、前記カラーコンセントレートは、1〜3ミクロンの粒子数7500個未満、3〜5ミクロンの粒子数1000個未満、5〜10ミクロンの粒子数700個未満の粒子数プロファイルを有し、前記組合せの段階は、カラーコンセントレートを添加することを含む方法。
【請求項5】
(i)第1の基板と、
(ii)第2の基板と、
(iii)結合層と、
(iv)データ層と
を含む濃着色光ディスクであって、
前記結合層及びデータ層は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、前記データ層は、前記第1の基板に入射したレーザービームの反射を検出することにより読み取られたときに意味のあるデータに対応するように構成された形状を有し、前記第1の基板は、光学品質のポリカーボネート樹脂及び濃着色カーボネートの少なくとも0.15wt%の範囲内の着色剤組成物を含む濃着色ポリカーボネート混合物を含み、前記濃着色ポリカーボネート混合物中の総金属不純物は、2.80ppm未満、0.50ppm超である、濃着色光ディスク。
【請求項6】
前記第1の基板は、5以上のUV結合指数を有する請求項5記載の濃着色DVD。
【請求項7】
(i)第1の基板と、
(ii)第2の基板と、
(iii)結合層と、
(iv)データ層と
を含む濃着色光DVDであって、
前記大結合層及びデータ層は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、前記データ層は、前記第1の基板に入射したレーザービームの反射を検出することにより読み取られたときに意味のあるデータに対応するように構成された形状を有し、前記第1の基板は、光学品質のポリカーボネート樹脂及び前記濃着色カーボネートの0.15〜0.4重量%の範囲内の着色剤組成物を含む濃着色ポリカーボネート混合物を含み、前記DVDは、前記光学品質のポリカーボネート樹脂に着色剤組成物を添加する段階を含む方法により製造され、前記濃着色ポリカーボネート混合物中の着色剤組成物由来の総金属不純物は、1.50ppm未満、0.04ppm超である、濃着色光ディスク。
【請求項8】
前記着色剤組成物は、前記濃着色ポリカーボネート混合物の0.4wt%未満の量存在する請求項1乃至4のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記着色剤組成物は、前記濃着色ポリカーボネート混合物の0.4wt%未満の量存在する請求項5記載の濃着色DVD。
【請求項10】
前記着色剤組成物は、前記濃着色ポリカーボネート混合物の0.4wt%未満の量存在する請求項7記載の濃着色DVD。
【請求項11】
前記ディスクは、4日間80℃及び相対湿度85%でエージングを行った後、280未満のPISUM8試験値を有する請求項9及び10記載の濃着色DVD。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−509459(P2007−509459A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536665(P2006−536665)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/033509
【国際公開番号】WO2005/043526
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】