説明

濡れセンサ及び濡れ検出システム

【課題】低コストで且つおむつの乾燥状態及び濡れ状態を高精度に検出することができる濡れセンサ及び濡れ検出システムを提供する。
【解決手段】おむつ1の人体に接触する内面側に貼着されて前記おむつ1の濡れ状態及び乾燥状態を検出する濡れセンサ10であって、共振タグ20と、該共振タグ20を前記おむつ1に貼着する粘着層30と、該粘着層30の粘着面を被覆すると共に剥離可能な剥離膜40とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつの濡れ状態を検出することが可能な共振タグ及びその共振タグを用いておむつの濡れ状態を検出する濡れ検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康の保全・増進をはかると共に、疾病に対する予防・治療に努めるために、あらゆる場面における衛生面が見直されている。特に、病人のいる病院や施設、又は免疫力が劣る幼児や老人のいる一般家庭などにおいては、生活全般において衛生状態や衛生環境を保つことが心がけられている。例えば、病院や施設においては、体の不自由な病人が多く、疾病に対する予防・治療のために、おむつの交換が必要となっていた。すなわち、糞尿があったにも関わらずおむつの交換をしない時間が継続したりすると、カビ、かぶれ及び床ずれなどの副次的な症状を引き起こす原因となるからである。また、一般家庭においても、老人及び幼児のおむつを定期的に交換することが衛生面や健康面を維持するために必要不可欠となっている。
【0003】
しかしながら、おむつの交換は、介護者や看護士などにとって非常に負担の大きい作業であった。すなわち、おむつの交換を要する糞尿の有無には個人差が非常に大きく、時間帯や頻度も異なるため、個人に応じてきめ細かく対応することが困難であった。
【0004】
また、おむつの交換を要する糞尿の有無を確認するためには、おむつの内部に手を入れて確認するなどの行為が必要であり、病気の大人や老人などに対しておむつの内部に手を入れて確認するという作業は、衛生面での問題や、羞恥心の問題などがある。
【0005】
このため、濡れ検出に関する技術として、例えば、取り扱いが容易で且つ低コストで連続製造ができる濡れ検出可能なおむつ(例えば、特許文献1参照)や、LC共振タグを内臓して、LC共振タグの反射波により衛星用品の汚れを検知するサニタリー用センサーシステム(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
【0006】
また、ICタグにより濡れ状態を検出するICタグ及びICタグを用いた濡れ検出システム並びに濡れ検出おむつが提案されている(例えば、特許文献3参照)
【特許文献1】特開2005−052563号公報
【特許文献2】特開2001−134726号公報
【特許文献3】WO2006/134940A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3のように、おむつに濡れセンサを埋め込むタイプのものでは、おむつの製造段階から濡れセンサをおむつに埋め込まなくてはならず、煩雑であると共に、おむつは種類やサイズが複数存在するため、全てのおむつに対応させるためには高コストになってしまうという問題がある。特に、特許文献3のようにICタグを用いると、ICタグは高価であるため、おむつが高コストになってしまう。
【0008】
また、特許文献2のように、共振タグを用いて、反射波の周波数の違いからおむつの乾燥状態又は濡れ状態を検出することができるが、共振タグとおむつの吸水パッドとの間に隙間が生じたり、共振タグのコイル部分に相対向する吸水パッドの領域が全て吸水していない場合などでは、おむつの乾燥状態又は濡れ状態を正確に検出することができないという問題がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、低コストで且つおむつの乾燥状態及び濡れ状態を高精度に検出することができる濡れセンサ及び濡れ検出システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の態様は、おむつの人体に接触する内面側に貼着されて前記おむつの濡れ状態及び乾燥状態を検出する濡れセンサであって、共振タグと、該共振タグを前記おむつに貼着する粘着層と、該粘着層の粘着面を被覆すると共に剥離可能な剥離膜とを具備することを特徴とする濡れセンサにある。
【0011】
かかる態様では、おむつの製造段階で濡れセンサを埋め込む必要がなく、市販される一般的なおむつに濡れセンサを取り付けることができる。したがって、サイズや用途の異なるおむつに対して同じ濡れセンサを用いることができるため、濡れセンサを量産化することができると共に、おむつに濡れセンサを埋め込む必要がなく、おむつの製造コストが増大するのを防止して、コストを低減することができる。
【0012】
また、前記共振タグの少なくとも前記おむつと相対向する面とは反対側の表面には、保護膜が設けられていることが好ましい。これによれば、保護膜を設けることによって、共振タグによるおむつを装着した人体のかぶれを防止することができる。
【0013】
また、前記保護膜が、前記共振タグより広い面積で且つ前記共振タグを覆う大きさで設けられていることが好ましい。これによれば、保護膜によって、共振タグの側面を含む表面全てを覆うことができるため、おむつを装着した人体のかぶれをさらに確実に防止できる。
【0014】
ここで、前記共振タグが、前記保護膜と前記粘着層とで挟み込まれるように設けられており、当該粘着層に前記剥離膜が設けられているのが好ましい。これにより、共振タグが保護膜と粘着層とで挟持され、より確実におむつに保持される。
【0015】
又は、共振タグが、保護層及び剥離膜と別体であってもよい。これによれば、濡れセンサの構造を簡略化してコストを低減することができる。
【0016】
また、前記保護膜が、不織布からなることが好ましい。これによれば、人体のかぶれを確実に防止できる。
【0017】
ここで、前記共振タグの前記おむつに相対向する面には、吸水層が設けられていることが好ましい。これによれば、濡れセンサとおむつ(特におむつの吸水部)との間に空間が生じた場合や、糞尿の量が少なく、おむつの濡れセンサに相対向する領域が濡れていない状態であっても、吸水層がおむつよりも先に積極的に吸水を行わせることができるため、濡れセンサによるおむつの濡れ状態の検出を高精度に行うことができる。
【0018】
さらに、本発明の他の態様は、乾燥状態及び濡れ状態となるおむつの人体に接触する内面側に貼着された粘着層と、該粘着層を介して貼着された共振タグとを有する濡れセンサと、外部から前記おむつを介して前記共振タグに電波を送信すると共に、前記共振タグで共振した反射波を前記おむつを介して受信して、受信結果に基づいて前記おむつの乾燥状態又は濡れ状態を識別する検出装置とを具備することを特徴とする濡れ検出システムにある。
【0019】
かかる態様では、おむつの交換を要する糞尿の有無を確認するために、おむつの内部に手を入れて確認する必要がなくなり、検査者の衛生を図ることができると共に、検査者やおむつを装着した被検査者に羞恥心を抱かせるのを防止することができる。また、おむつの濡れ状態を個別に検査する必要がなくなり、おむつの濡れ状態の検出を容易に且つ効率的に行うことができる。
【0020】
ここで、前記検出装置が、前記共振タグに間欠的に電波を送信するものであることが好ましい。これによれば、病院内であっても、検出装置の送信する電波及び共振タグの反射波が精密機器やペースメーカーなどに悪影響を及ぼすのを防止して、安全におむつの濡れ状態の識別を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、濡れセンサを既存のおむつに貼着することで利用することができるため、おむつの製造段階から濡れセンサを埋め込む必要がなく、おむつのコストを低減することができる。また、濡れセンサをおむつの人体に接触する内面側に貼着可能とすることで、濡れセンサによるおむつの乾燥状態及び濡れ状態の正確な検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0023】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るおむつ及び濡れセンサの斜視図であり、図2は、濡れセンサの平面図及び断面図である。
【0024】
図1に示すように、濡れセンサ10は、幼児用、大人用の各種サイズの紙おむつや布おむつなどのおむつ1の人体に接触する内面側に貼着されるものである。ここで、本実施形態のおむつ1は、図2(c)に示すように、吸水シート2と、吸水シート2の外側に設けられた防水シート3と、吸水シート2の内側に設けられた保護シート4とを具備するものである。
【0025】
濡れセンサ10は、図2(b)に示すように、共振タグ20と、共振タグ20の一方面に設けられた粘着層30と、粘着層30の共振タグ20とは反対側の面に剥離可能に設けられた剥離膜40とを具備する。
【0026】
共振タグ20は、一般的に用いられる共振タグであり、本実施形態では、図2(a)に示すように、フレキシブル基板等の基板21上に導電体からなるコイル部22と、キャパシタ部23とが設けられたものである。このようなコイル部22及びキャパシタ部23は、例えば、基板21上に金属ペーストを所定形状に印刷することにより形成することができる。勿論、共振タグ20の製造方法は特にこれに限定されず、例えば、基板21上の全面に亘って金属膜を成膜した後、金属膜をエッチングすることにより、所定形状のコイル部22及びキャパシタ部23を形成してもよく、また、基板21上に所定形状のマスクを形成した後、基板21上に金属を蒸着やスパッタリング法などにより形成することで、所定形状のコイル部22及びキャパシタ部23を形成するようにしてもよい。
【0027】
一方、粘着層30は、共振タグ20の一方面側に設けられて、共振タグ20をおむつ1に貼着させるものであり、例えば、樹脂等の接着剤が挙げられる。また、粘着層30は、人体の皮膚に付着した際にかぶれが生じ難いもの、例えば、絆創膏などで使用されるアクリル系の接着剤を用いるのが好ましい。粘着層30は、基本的におむつ1の内面に貼着されるため、人体への接触はほとんどないが、粘着層30としてかぶれが生じ難いアクリル系の接着剤を用いることで、人体の動きになどによって濡れセンサ10が折り返された場合などに粘着層30が人体に接触してもかぶれるのを確実に防止できる。
【0028】
また、粘着層30の共振タグ20とは反対側の面には、粘着層30から剥離可能な剥離膜40が設けられている。剥離膜40は、一般的に粘着テープの粘着面を保護する剥離紙などからなる。剥離膜40としては、例えば、紙等の支持体上にポリエチレン等のフィルムをラミネートし、その上にシリコーン等の剥離剤層を設けたものなどが挙げられる。
【0029】
このような濡れセンサ10は、剥離膜40を粘着層30から剥離し、おむつ1の人体に接触する内面側の所望の位置に貼着される。このため、おむつ1の製造段階で濡れセンサ10を埋め込む必要がなく、市販される一般的なおむつ1に濡れセンサ10を取り付けることができる。すなわち、サイズや用途の異なるおむつ1に対して同じ濡れセンサ10を用いることができるため、濡れセンサ10を量産化することができると共に、おむつ1に濡れセンサ10を埋め込む必要がなく、おむつの製造コストが増大するのを防止して、コストを低減することができる。
【0030】
ここで、上述した濡れセンサ10を用いた濡れ検出システムについて詳細に説明する。なお、図3は、濡れ検出システムの構成を示す概略図である。
【0031】
図3に示すように、濡れ検出システム50は、濡れセンサ10と、おむつ1の外部からおむつ1を介して共振タグ20に電波を送信すると共に、共振タグ20で共振した反射波をおむつを介して受信して、受信結果に基づいておむつ1の乾燥状態又は濡れ状態を識別する検出装置60とを具備する。
【0032】
検出装置60は、濡れセンサ10の共振タグ20に所定の周波数の電波を送信すると共に、共振タグ20が共振した反射波を受信する送受信装置70と、送受信装置70が受信した電波強度からおむつ1の乾燥状態又は濡れ状態を識別する比較器80と、比較器の比較結果を通知する通知手段90とを具備する。
【0033】
送受信装置70は、濡れセンサ10の共振タグ20に所定の周波数の電波を送信する送信部71(Tx)と、共振タグ20が共振した反射波を受信する受信部72(Rx)とを具備する。
【0034】
なお、送信部71(Tx)は、例えば、送信アンテナ、発振器及び増幅回路(アンプ)などが含まれているものである。また、受信部72(Rx)は、例えば、受信アンテナ及び増幅回路(アンプ)などが含まれているものである。
【0035】
そして、送受信装置70の受信部72が受信した共振タグ20の反射波は、受信部72から電波強度を表す電圧として比較器80に送られる。
【0036】
比較器80は、予め設定された基準電圧(Vref)と、受信部72から送られた反射波の電波強度を表す電圧とを比較し、反射波の電波強度を表す電圧が基準電圧(Vref)よりも低い場合に、通知手段90に信号を送る。また、比較器80は、受信部72から送られた反射波の電波強度を表す電圧が、基準電圧(Vref)よりも高い場合には、通知手段90に信号を送出しない。
【0037】
ここで、送信部71から送信された電波は、おむつ1を介して共振タグ20に受信され、共振タグ20で共振した反射波は、おむつ1を介して受信部72に受信される。すなわち、送受信装置70から送信された電波及び共振タグ20で共振した反射波は、全ておむつ1を通過する。このため、受信部72が受信する共振タグ20の反射波の強度は、おむつ1が乾燥した乾燥状態と、おむつ1が糞尿により濡れた濡れ状態とで差が生じることになる。すなわち、おむつ1が乾燥状態では、共振タグ20で共振した反射波の強度は強く、おむつ1が濡れ状態では、共振タグ20で共振した反射波の強度は、乾燥状態に比べて弱くなる。したがって、受信部72が受信した反射波の強度を電圧として比較器80に送り、比較器80が反射波の電波強度を示す電圧と、基準電圧(Vref)とを比較することで、おむつ1が乾燥状態か濡れ状態かを検出することができる。
【0038】
なお、基準電圧(Vref)は、おむつ1が乾燥状態で受信した反射波の電波強度と、おむつ1が濡れ状態で受信した反射波の電波強度との間で、おむつ1自体による電波強度への影響や検出距離などを考慮して閾値として適宜設定すればよい。
【0039】
また、通知手段90は、看護士、介護士又はおむつ1の装着者などの検出者に対して、おむつ1の濡れ状態を通知するものであり、例えば、画像や文字などを表示することにより検出者におむつ1の濡れ状態を知らせるモニタ、音の有無や音の違いにより検出者におむつ1の濡れ状態を知らせるブザー、光の有無により検出者におむつ1の濡れ状態を知らせるランプなどが挙げられる。本実施形態では、通知手段90としてブザーを用いるようにした。なお、比較器80は、反射波の電圧が基準電圧(Vref)よりも低い場合に、通知手段90にこのことを現す信号を送出し、反射波の電圧が基準電圧(Vref)よりも高い場合に、前記信号を送出しないことで、ブザーからなる通知手段90を鳴動させるか否かを行う。これにより、検出者は、通知手段90が鳴動している場合には、おむつ1が濡れ状態であると判断できると共に、通知手段90が鳴動していない場合には、おむつ1が乾燥状態であると判断できる。
【0040】
なお、本実施形態では、送信部71による電波の送信を、制御部73によって間欠的に行うようになっている。すなわち、本実施形態の検出装置60は、常に電波を送信しているのではなく、数十秒置きや数分置きなどの所定の間隔で電波を送信し、おむつ1の濡れ状態を検査する。これにより、病院内であっても、検出装置60の送信する電波及び共振タグ20の反射波が精密機器やペースメーカーなどに悪影響を及ぼすのを防止すると共に人体への影響をなくして、安全におむつ1の濡れ状態の識別を行うことができる。
【0041】
このように、本実施形態の濡れ検出システム50によれば、共振タグ20を有する濡れセンサ10をおむつ1の人体に接触する内面側に貼着し、外部から検出装置60を用いておむつ1の濡れ状態を検出することができるため、おむつ1の交換を要する糞尿の有無を確認するために、おむつ1の内部に手を入れて確認する必要がなくなり、検査者の衛生を図ることができると共に、検査者やおむつ1を装着した被検査者に羞恥心を抱かせるのを防止することができる。
【0042】
また、このような濡れ検出システム50によれば、おむつ1の濡れ状態を個別に検査する必要がなくなり、おむつ1の濡れ状態の検出を容易に且つ効率的に行うことができる。
【0043】
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係る濡れセンサの断面図及び濡れセンサをおむつに貼着した断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0044】
図4に示すように、本実施形態の濡れセンサ10Aは、共振タグ20と、共振タグ20の一方面側に設けられた吸水層100と、吸水層100の共振タグ20とは反対側の面に設けられた粘着層30と、剥離膜40とを具備する。
【0045】
すなわち、本実施形態では、実施形態1の濡れセンサ10の共振タグ20と粘着層30との間に吸水層100が設けられた構成である。
【0046】
なお、吸水層100としては、多孔質材料、例えば、綿状パルプ、高分子吸水ポリマー、ウレタンフォームなどを挙げることができる。
【0047】
このように、濡れセンサ10Aに吸水層100を設けることによって、吸水層100が最初に濡れるので、図5に示すように、濡れセンサ10Aとおむつ1の吸水シート2との間に空間Aが生じた場合であっても、濡れセンサ10Aの糞尿を吸水した吸水層100が、上述した検出装置60(図3参照)によるおむつ1の濡れ検出を高精度に行うことができる。ちなみに、吸水層100が設けられていない濡れセンサの場合、濡れセンサとおむつ1の吸水シート2との間に空間Aが生じると、検出装置60からの電波及び共振タグで共振した反射波が空間を介して送受信されるため、おむつ1の吸水シート2が実際に濡れている(吸水している)にも関わらず、検出装置60がおむつ1が乾燥状態であると誤認してしまう可能性がある。
【0048】
本実施形態では、濡れセンサ10Aに吸水層100を設けることで、空間Aによる検出装置60の誤認を低減させて、おむつ1の濡れ状態の検出を高精度に行うことができる。
【0049】
なお、糞尿の量が少なく、濡れセンサ10Aに相対向する領域が濡れていない状態であっても、濡れセンサ10Aをおむつ1の人体に触れる内面側に設けると共に濡れセンサ10Aに吸水層100を設けることによって、吸水層100におむつ1よりも先に積極的に吸水を行わせることができるため、検出装置60によるおむつ1の濡れ状態の検出を高精度に行うことができる。
【0050】
(実施形態3)
図6は、本発明の実施形態3に係る濡れセンサの断面図及び濡れセンサをおむつに貼着した断面図である。なお、上述した実施形態1及び2と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0051】
図6に示すように、本実施形態の濡れセンサ10Bは、共振タグ20、粘着層30及び剥離膜40と、共振タグ20の粘着層30とは反対側の表面に設けられた保護膜110とを具備する。
【0052】
保護膜110は、共振タグ20と同じ大きさで設けられて、共振タグ20の粘着層30とは反対側の表面に接着剤などを介して接着されている。この保護膜110は、濡れセンサ10Bが人体に接触した際に、人体がかぶれるのを防止するものである。このような保護膜110としては、例えば、布、紙、樹脂などが挙げられる。本実施形態では、保護膜110として不織布を用いた。
【0053】
このように、濡れセンサ10Bに保護膜110を設けることによって、濡れセンサ10Bをおむつ1の人体に接触する内面側に貼着しても、濡れセンサ10Bによる人体のかぶれを確実に防止することができる。
【0054】
(実施形態4)
図7は、本発明の実施形態4に係る濡れセンサの断面図及び濡れセンサをおむつに貼着した断面図である。なお、上述した実施形態1〜3と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0055】
図7に示すように、本実施形態の濡れセンサ10Cは、共振タグ20、吸水層100、粘着層30A、共振タグ20よりも広い面積を有する剥離膜40A及び共振タグ20よりも広い面積を有する保護膜110Aを具備する。
【0056】
保護膜110Aは、共振タグ20の粘着層30Aとは反対側の表面に接着剤などを介して接着されている。また、保護膜110Aは、共振タグ20を覆う大きさで設けられている。
【0057】
そして、粘着層30Aは、共振タグ20と保護膜110Aの外周側の共振タグ20側の面とに亘って連続して設けられている。また、剥離膜40Aは、共振タグ20よりも広い面積を有し、共振タグ20と保護膜110Aとの粘着層30Aの粘着面を保護する。
【0058】
このような濡れセンサ10Cでは、図7(b)に示すように、保護膜110Aを共振タグ20よりも広い面積として、保護膜110Aを粘着層30Aを介しておむつ1に貼着することで、保護膜110Aによって、共振タグ20の側面を含む表面全てを覆うことができる。このため、共振タグ20の表面、特に側面が人体に接触することによる人体のかぶれを確実に防止することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、濡れセンサ10Cに吸水層100を設けたため、保護膜110Aは、透水性を有する材料が好ましい。本実施形態では、保護膜110Aとして不織布を用いた。
【0060】
また、本実施形態では、共振タグ20と保護膜110Aとに共通の粘着層30Aを設け、この粘着層30Aの粘着面を1枚の剥離膜40Aで保護するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、上述した実施形態1〜3と同様に共振タグ20と同一面積の粘着層30及び剥離膜40を設け、保護膜110Aの保護膜用粘着層及び保護膜用剥離膜が、共振タグ20の粘着層30及び剥離膜40の何れか一方又は両方と不連続となるように独立して設けるようにしてもよい。
【0061】
(実施形態5)
図8は、本発明の実施形態5に係る濡れセンサの断面図及び濡れセンサをおむつに貼着した断面図である。なお、上述した実施形態1〜4と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0062】
図8に示すように、本実施形態の濡れセンサ10Dは、共振タグ20と、この共振タグ20とは別体で当該共振タグ20を粘着するための粘着体として、共振タグ20よりも広い面積を有する保護膜110Bと、この保護膜110Bに一面に設けられた粘着層30Bと、この粘着層30Bに設けられた剥離膜40Bとを具備する。
【0063】
このような濡れセンサ10Dでは、図8(b)に示すように、共振タグ20よりも広い面積の保護膜110B及び粘着層30Bを介して共振タグ20をおむつ1に貼着することで、保護膜110B及び粘着層30Bによって、共振タグ20の側面を含む表面全てを覆っておむつ1に固定することができる。このため、共振タグ20の表面、特に側面が人体に接触することによる人体のかぶれを確実に防止することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、濡れセンサ10Dに吸水層100を設けていないが、共振タグ20のおむつ1に相対向する一方面に上述した実施形態と同様な吸水層100を設けてもよい。
【0065】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した各実施形態では、濡れセンサ10〜10Dに、1つの共振タグ20と、1つの剥離膜40〜40Bとを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、複数の共振タグ20を、共振タグ20よりも広い面積を有する1枚の共通の剥離膜40に貼着するようにしてもよい。すなわち、濡れセンサ10〜10Dは、剥離膜40〜40Bから取り外しておむつ1に貼着されるため、複数の共振タグ20が1枚の共通の剥離膜40に貼着されていても特に問題がない。
【0066】
また、上述した各実施形態では、検出装置60が、共振タグ20の反射波の電波強度を電圧として取得し、取得した電圧と基準電圧(Vref)とを比較することで、おむつ1の濡れ状態を検出するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、検出装置60の発信部71が所定の範囲の周波数帯の掃引信号を送信するようにして、比較器80が、乾燥状態のおむつ1で受信した反射波の周波数と、濡れ状態のおむつ1で受信した反射波の周波数との位相を比較するようにしてもよい。これによれば、受信部72が受信する電波の強度が、検出装置60のおむつ1からの距離の変化や遮蔽物の有無などにより影響を受けたとしても、受信した電波強度に関わらずおむつ1の濡れ状態を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態1に係る濡れセンサ及びおむつの概略斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る共振タグの平面図及び濡れセンサの断面図並びに濡れセンサをおむつに貼着した断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る濡れ検出システムを示す概略図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る濡れセンサの断面図並びに濡れセンサをおむつに貼着した断面図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る濡れセンサをおむつに貼着した断面図である。
【図6】本発明の実施形態3に係る濡れセンサの断面図並びに濡れセンサをおむつに貼着した断面図である。
【図7】本発明の実施形態4に係る濡れセンサの断面図並びに濡れセンサをおむつに貼着した断面図である。
【図8】本発明の実施形態5に係る濡れセンサの断面図並びに濡れセンサをおむつに貼着した断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 おむつ
2 吸水シート
3 防水シート
4 保護シート
10、10A、10B、10C、10D 濡れセンサ
20 共振タグ
30、30A、30B 粘着層
40、40A、40B 剥離膜
50 濡れ検出システム
60 検出装置
100 吸水層
110、110A 保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
おむつの人体に接触する内面側に貼着されて前記おむつの濡れ状態及び乾燥状態を検出する濡れセンサであって、
共振タグと、該共振タグを前記おむつに貼着する粘着層と、該粘着層の粘着面を被覆すると共に剥離可能な剥離膜とを具備することを特徴とする濡れセンサ。
【請求項2】
前記共振タグの少なくとも前記おむつと相対向する面とは反対側の表面には、保護膜が設けられていることを特徴とする請求項1記載の濡れセンサ。
【請求項3】
前記保護膜が、前記共振タグより広い面積で且つ前記共振タグを覆う大きさで設けられていることを特徴とする請求項2記載の濡れセンサ。
【請求項4】
前記共振タグが、前記保護膜と前記粘着層とで挟み込まれるように設けられており、当該粘着層に前記剥離膜が設けられていることを特徴とする請求項2又は3記載の濡れセンサ。
【請求項5】
前記共振タグが、前記保護層及び前記剥離膜と別体であることを特徴とする請求項3記載の濡れセンサ。
【請求項6】
前記保護膜が、不織布からなることを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載の濡れセンサ。
【請求項7】
前記共振タグの前記おむつに相対向する面には、吸水層が設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の濡れセンサ。
【請求項8】
乾燥状態及び濡れ状態となるおむつの人体に接触する内面側に貼着された粘着層と、該粘着層を介して貼着された共振タグとを有する濡れセンサと、外部から前記おむつを介して前記共振タグに電波を送信すると共に、前記共振タグで共振した反射波を前記おむつを介して受信して、受信結果に基づいて前記おむつの乾燥状態又は濡れ状態を識別する検出装置とを具備することを特徴とする濡れ検出システム。
【請求項9】
前記検出装置が、前記共振タグに間欠的に電波を送信するものであることを特徴とする請求項8記載の濡れ検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−272331(P2008−272331A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121910(P2007−121910)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(504246409)株式会社スーパー・フェイズ (6)
【Fターム(参考)】