説明

濾過装置およびストレ−ナ

【課題】ストレーナを簡単に且つ迅速取付けることができるとともに、支持砂利をなくして粒径の小さな砂による濾材層を構成することにより、濾材層の交換を容易に行える濾過装置及びストレーナを提供する。
【解決手段】濾過槽2を上部濾過室41および下部濾過室42に区画する濾床51に、ストレーナ6を配置する。ストレーナは、水が通過する複数条のスリット70が形成されたストレーナ本体部61と、前記濾床に形成された貫通孔52に上方から挿入される受け部62とから構成されている。前記スリット70の幅寸法L1は、濾材11の粒径よりも小さく設定されている。前記ストレーナ本体部の脚部63の挿入時に受け部を拡径させて濾床に固定し、ストレーナ本体部には、受け部に設けられた被係合部72に係合する係合部64が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水を濾材層に通過させることによって濾過処理して処理水を得る濾過装置および濾過装置に使用されるストレ−ナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海水等の原水を濾過処理する濾過装置は、濾過槽内が濾材層により上部濾過室と、下部濾過室とに区画されされている。濾材層は、粒径(直径)の相違する2種類の濾材から構成されている。粒径の大きなものは、支持砂利として濾床に敷設されている。この支持砂利の上にさらに濾床が設けられ、この上方の濾床に粒径の小さな砂が敷設されている。
【0003】
また、支持砂利が敷設された下方の濾床には、複数個のストレーナが配置されている。すなわち、濾床には、複数の開口が形成され、各開口にストレーナが上方から挿通される。ストレーナにおける濾床から下方に突出する部分には、おねじ部が設けられている。そして、このおねじ部に、ナットを濾床の下方から螺合することにより、ストレーナは濾床に固定されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、前記濾過装置により原水を濾過する通常の濾過時には、原水が上部濾過室に導入される。上部濾過室に導入された原水は、濾材層を下方に通過し、ストレーナを通過して処理水となって下部濾過室に流入する。そして、濾過された処理水は、濾過槽内から排出される。
【0005】
かかる濾過装置を長期間使用すると、濾材が目詰まりし、効率的な濾過処理が行えなくなる。このため、濾材に付着した汚濁物質を取り除く作業、所謂、逆洗浄作業(逆洗)を行っている。かかる逆洗は、下部濾過室にある処理水を前記濾過時とは反対に上部濾過室に導入して濾材を洗浄し、洗浄後の水を濾過槽内から排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−160432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載の濾過装置は、複数個のストレーナを濾床に取付ける際に、濾床の下方からナットを操作して締結固定しなければならない。このため、濾床の上方からストレーナを濾床の開口に挿入する作業者と、濾床の下方からナットを操作する作業者とが必要となる。また、濾床の下方からナットを操作する作業は、作業スペースが十分に確保することが困難であり、ストレーナの取り付け作業が面倒であった。
【0008】
また、濾材層として使用する支持砂利や砂を交換する場合がある。砂は、粒径が小さいため、作業者がスコップ等の道具で掬って除去することはできるが、支持砂利は、粒径が大きいため、かかる道具で掬うことができず、作業者が支持砂利を持って手作業で除去しているのが現状である。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、ストレーナを濾床に簡単に且つ迅速に取付けることができるとともに、支持砂利をなくして粒径の小さな砂による濾材層を構成することにより、濾材の交換を容易かつ迅速に行える濾過装置およびストレ−ナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、濾過室を有する濾過槽と、前記濾過室内を、上部側の上部濾過室および下部側の下部濾過室に区画する濾床と、前記濾床上面に設けられた濾材から構成されてなる濾材層と、前記濾床に配置されたストレーナとを備え、前記上部濾過室に導入された原水が濾材を通過することにより濾過処理された水を、ストレーナを介して下部濾過室に導入して濾過槽から排出し、下部濾過室内の水を、ストレーナを介して前記濾過時とは反対に上部濾過室に導いて濾材を洗浄し、洗浄後の水を濾過槽から排出する濾過装置において、前記ストレーナは、水が通過する複数条のスリットが形成されたストレーナ本体部と、前記濾床に形成された貫通孔に上方から挿入される筒状の受け部とから構成され、前記スリットの幅寸法は、濾材の粒径よりも小さく設定されており、前記ストレーナ本体部は、前記受け部に上方から挿入される脚部を有し、この脚部の挿入時に受け部を拡径させて濾床に固定させ、ストレーナ本体部には、受け部に設けられた被係合部に係合する係合部が設けられていることにある。
【0011】
前記本発明の濾過装置において、ストレーナを濾床に固定する場合には、先ず、受け部を濾床に形成された貫通孔に上方から挿入する。次に、ストレーナ本体部の脚部を、前記受け部に上方から挿入することにより、この脚部の挿入時に受け部を拡径させて濾床に支持させる。さらに、ストレーナ本体部の係合部を受け部の被係合部に係合させることにより、濾床に固定されている受け部にストレーナ本体部を固定することができる。このように、ストレーナを濾床に固定する作業は、濾床の上方から行うことが可能となる。
【0012】
また、前記本発明の濾過装置におけるストレーナは、ストレーナ本体部に水が通過する複数条のスリットが形成され、前記スリットの幅寸法は、濾材の粒径よりも小さく設定されていることから、濾材はスリットからストレーナ内に入ることはなく、濾材の上面に粒径が小さい濾材を敷設することができ、濾材と濾床との間に支持砂利を介在させる必要がなくなる。
【0013】
前記濾過装置において、前記受け部には、切り欠きが形成され、且つ、前記受け部の内周面は、下方に向けて直径が次第に小さくなるテーパー面に形成され、前記ストレーナ本体部の脚部が前記切り欠きを開くことにより、前記受け部を拡径させる構成であるのが好ましい。
【0014】
前記濾過装置において、前記ストレーナ本体部の係合部は、おねじ部からなり、前記受け部の被係合部は、前記おねじ部が螺合するめねじ部からなるのが好ましい。
【0015】
本発明は、濾過槽内の濾材層を支持する濾床に配置されたストレーナであって、水が通過する複数条のスリットが形成されたストレーナ本体部と、前記濾床に形成された貫通孔に上方から挿入される筒状の受け部とから構成され、前記スリットの幅寸法は、濾材の粒径よりも小さく設定されており、前記ストレーナ本体部は、前記受け部に上方から挿入される脚部を有し、この脚部の挿入時に受け部を拡径させて濾床に固定し、ストレーナ本体部には、受け部に設けられた被係合部に係合する係合部が設けられていることにある。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、ストレーナを濾床に固定する場合には、受け部を濾床に固定する作業と、ストレーナ本体部を濾床に固定されている受け部に固定する作業とを濾床の上方から行うことが可能となる。この結果、従来と異なり、ナットを濾床の下方から操作する必要がなくなり、ストレーナを濾床に固定する作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0017】
また、ストレーナは、ストレーナ本体部に水が通過する複数条のスリットが形成され、前記スリットの幅寸法は、濾材の粒径よりも小さく設定されていることから、濾材の上面に粒径が小さい濾材を敷設しても、濾材はスリットからストレーナ内に入ることはなく、濾材と濾床との間に支持砂利を介在させる必要がなくなる。この結果、濾材層の交換に際して、支持砂利を取り除く作業が不要となり、粒径の小さな濾材を交換するだけでよく、濾材層の交換作業が容易になる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る濾過装置の概略を示す断面図である。
【図2】同濾過装置の平面図である。
【図3】同濾過装置に使用される濾材設置手段を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るストレーナのストレーナ本体部を示し、(a)は半裁断面図、(b)はスリットを示す要部正面図である。
【図5】同ストレーナの受け部を示し、(a)は断面図、(b)は一部を示す底面図である。
【図6】同ストレーナを示し、(a)はストレーナ本体部を受け部に嵌合する直前の断面図、(b)はストレーナ本体部を受け部に嵌合した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1〜図6は、本発明の一実施の形態を示す。
【0020】
図1は、本実施の形態にかかる濾過装置の概略を示す断面図、図2は同濾過装置の平面図である。図1において、かかる濾過装置1は、全体が縦型のタンク形状をした濾過槽2を備えている。この濾過槽2は、その内部の上下方向の中間部に設けた隔壁21によって、上部側の貯水室3と、下部側の濾過室4とに区画形成されている。
【0021】
この隔壁21は、その中央部が上方に膨らんだ球面形状を呈しており、かかる球面形状とすることによって、肉厚を薄くしても貯水室3内の水圧に充分耐えられるような強度を持たせている。なお、濾過槽2の頂部には、貯水室3内に連通する空気孔27が設けられ、貯水室3内は大気開放されている。
【0022】
濾過室4は、通水性を有する濾材設置手段5によって、上部側の上部濾過室41と、下部側の下部濾過室42とに区画されている。濾材設置手段5は、図3に示すように、円盤状の濾床51と、濾床51に放射状に配置された複数個のストレーナ6とから構成されている。
【0023】
濾材設置手段5の上面には、例えば、粒径が0.5mmの砂(濾材)が一定の積層厚で敷設されており、この砂の層が濾材層10を構成している。なお、この濾材層10は、粒径が0.5mmの砂から単層に構成されたもので、従来と異なり支持砂利は敷設されていない。
【0024】
上部濾過室41には、原水供給管22の一端が濾過槽2の壁面を通じて連通されている。原水供給管22は、原水開閉弁としての原水用電動開閉弁23を備えており、この原水用電動開閉弁23を開くことによって、原水供給管22を介して原水が上部濾過室41内に供給される。なお、原水供給管22を介した原水の揚水は、原水供給ポンプ25によって行われる。
【0025】
濾過槽2内には、一端が下部濾過室42内に向かって開口し、他端が貯水室3内に向かって開口する複数本の集水管8が、隔壁21、濾材設置手段5及び濾材層10を貫通して上下方向に配置されている。
【0026】
下部濾過室42内と濾過槽2外部とを連通するように、取水管30が、濾過槽2下部の側壁を貫通して設けられている。取水管30には、処理水開閉弁としての処理水用電動開閉弁31が接続されている。
【0027】
濾過室4の略中心部には、逆洗水排水管9が上下方向に設けられている。逆洗水排水管9は、その上部が隔壁21を貫通するとともに、下部が、水平方向にL字形に屈曲されて濾過槽2の側方に突出している。そして、その突出した先端出口に逆洗開閉弁としての逆洗用電動開閉弁91が取り付けられている。また、この逆洗水排水管9の上部には、上部濾過室41内において開口する排水入り口92が開口されている。
【0028】
前記ストレーナ6は、図4〜図6に示すように、ストレーナ本体部61と、ストレーナ本体部61を濾床51に接続すべく、濾床51に放射状に設けられた複数の貫通孔52に上方から挿入される受け部62とから構成されている。
【0029】
ストレーナ本体部61は、図4(a)に示すように、筒状の脚部63と、脚部63の上部開口端に連設された中空の頭部65とからなる。すなわち、ストレーナ本体部61は、筒状の脚部63の下部開口端が開放された中空の部材である。
【0030】
頭部65の直径D1は、脚部63の直径D2よりも大きくなるように膨出成形されており、頭部65は、筒状の側面66と、この側面66の上端を閉塞する天井面67とを備えている。そして、側面66の周囲には、複数条のスリット70が、頭部65内外を連通するように所定の間隔をおいて形成されている。スリット70の幅寸法(頭部65周方向の長さ)L1は、図4(b)に示すように、前記濾材11の粒径よりも小さく設定されている。例えば、濾材11の粒径が0.5mmの場合、スリット70の幅寸法L1は、0.4mmに設定されている。また、スリット70は、側面66の上下方向の略全長にわたって連続して形成されている。なお、スリット70は、側面66の上下方向に連続して設ける以外に、断続的(不連続)に形成することも可能である。
【0031】
脚部63の上面には、前記頭部65の下面開口を閉塞する環状部69が設けらており、この環状部69の外周面と、頭部65下端周面とが、例えば超音波接着されている。また、脚部63の上部で且つ環状部69の近傍には、係合部としてのおねじ部64が設けられている。
【0032】
受け部62は、図5(a)および(b)に示すように、上下面が開口する筒状の受け部本体68と、受け部本体68の上部に設けられたフランジ部69とからなる。受け部本体68の外径D3と、濾床51に放射状に設けられた複数の貫通孔52の口径とは略同径に設定されており、受け部本体68を貫通孔52に嵌入できるようになっている。
【0033】
また、受け部本体68の内面68aで且つフランジ部69の位置する部分には、前記おねじ部64が螺合する被係合部としてのめねじ部72が設けられている。しかも、受け部本体68の内面68aで且つめねじ部72よりも下方の部分には、受け部本体68の下部開口端に向かって口径が小さくなるテーパー加工が施されている。更に、受け部本体68のテーパー加工が施されている部分には、受け部本体68の下面に開口する切り欠き71が形成されている。
【0034】
次に、前記構成からなるストレーナ6を濾床51に固定する場合について説明する。まず、受け部62の受け部本体68を濾床51の貫通孔52に挿入し、フランジ部69が濾床51の上面に面接触するまで上方から押し込む。このとき、フランジ部69は、濾床51の上面に係合するため、ストッパーの作用をし、受け部62は濾床51に支持される(図6(a)参照)。
【0035】
次いで、濾床51に支持された受け部62の受け部本体68に、ストレーナ本体部61の脚部63を挿入する。この脚部63の外径D2は、受け部本体68における上部開口端の内径と同径に設定されているが、受け部本体68の内面68aには、下部開口端に向かって口径が小さくなるテーパー加工が施されている。このことから、脚部63の挿入が深くなるに伴って、脚部63は受け部本体68の内面68aに沿って摺動する。このように脚部63は受け部本体68のテーパー面となっている内面内面68aに沿って摺動することにより、受け部本体68に設けられた切り欠き71を拡げるため、脚部63は受け部本体68を拡径させながら下降する。
【0036】
さらに、脚部63のおねじ部64が受け部62のめねじ部72に達すると、ストレーナ本体部61を回転させる。受け部本体68の外径D3は、上記したように貫通孔52の口径よりも拡径させられているため、受け部本体68は、濾床51の貫通孔52周面に押圧される。このため、受け部62はストレーナ本体部61の回転により連れ回りすることなく、固定した状態を維持する。
【0037】
従って、回転するストレーナ本体部61のおねじ部64を、固定している受け部62のめねじ部72に螺合させることができる。これによって、ストレーナ本体部61を受け部62に締結固定でき、受け部本体68は、下方が次第に拡径するテーパー状となるため、濾床51から不要意に抜けてしまうことはない。この結果、作業者が、濾床51の上方から各ストレーナ6を、濾床51にガタ付くことなく容易且つ迅速に固定することができる(図6(b)参照)。本実施の形態では、濾床51の上方から各ストレーナ6を固定する作業者は、一人であっても複数人であってもよいが、従来と異なり濾床51の下方からナットを操作する作業者が不要となる。また、各ストレーナ6を固定する作業は、通常、スペースの大きな上部濾過室41側で行うことができる。
【0038】
以上の構成からなる濾過装置を使用して海水等の原水を濾過する場合について説明する。なお。図1において、原水および処理水の流れ方向を実線で示す。
【0039】
まず、原水用電動開閉弁23を開き、処理水用電動開閉弁31および逆洗用電動開閉弁91を閉じた状態で、原水供給ポンプ25によって、原水供給管22を介して上部濾過室41内に原水を供給する。上部濾過室41内に供給された原水は、濾材層10を上部から下部に向かって通過することによって濾過される。
【0040】
濾材層10で濾過された処理水は、ストレーナ6を通過して、下部濾過室42内に流れ込む。具体的には、処理水は、ストレーナ6の頭部65に形成されたスリット70から頭部65内に入る。なお、濾材層10の濾材11は、その粒径がスリット70の幅寸法L1よりも大きいため、濾材11がスリット70から頭部65内に入ることはない。しかも、スリット70は、ストレーナ6の頭部65の上下方向の略全長にわたって連続して形成されている。従って、スリット70は、濾材11が通過しない幅寸法であるにもかかわらず、上下方向に長尺状に開口されているため、処理水が通過するのに十分な開口面積を有している。
【0041】
頭部65内に入った処理水は、脚部63内を下方に流れて下部濾過室42内に流入する。下部濾過室42内に流れ込んだ処理水は、原水供給ポンプ25の圧力により、集水管8内に入り、集水管8を上昇して貯水室3に流出して、貯水室3において貯水される。
【0042】
貯水室3に所定量の処理水を貯留した後に、処理水用電動開閉弁31を開放する。この処理水用電動開閉弁31を開くことによって、下部濾過室42内に蓄えられた処理水が取水管30を介して用水部へ送水される。なお、原水供給管22を介して上部濾過室41内に供給する原水量は、貯水室3に所定量の処理水を貯留できるように、制御されている。かかる原水量の制御は、原水供給ポンプ25を制御して行うことが可能である。
【0043】
次に、前記濾過装置1において、濾材層10に目詰まりが生じたことにより、濾材11を逆洗する場合について説明する。なお。図1において処理水の流れ方向を破線で示す。
【0044】
濾材層10の逆洗は、原水用電動開閉弁23および処理水用電動開閉弁31を閉じ、逆洗用電動開閉弁91を開いて行う。逆洗用電動開閉弁91の開放により、濾過室4側が逆洗用排水管9を通じて大気側に解放される。貯水室3内に貯留されている処理水は、その自重によって、集水管8内へ流入して下部濾過室42内へ流れ込む。
【0045】
下部濾過室42内へ流れ込んだ処理水は、前記とは反対にストレーナ6の受け部材62に流入し、上方に流れてストレーナ本体部61のスリット70から流出する。このとき、スリット70がノズルの機能を発揮し、処理水はストレーナ本体部61から放射状に排出されるため、処理水が拡散し、濾材層10の全面にわたって均一に上昇する。
【0046】
このように、スリット70から流出した処理水は、濾材層10を通って上部濾過室41へ流れて、この濾材層10を通過する際に、詰まった水中浮遊物を取り除く。その取り除いた水中浮遊物が混ざった逆洗水は、逆洗水排水管9の排水入り口92よりこの逆洗水排水管9を通って排出される。これにより、濾材層10を逆洗浄することができる。
【0047】
以上のように、本実施の形態の濾過装置1においては、濾材設置手段5の上面には、粒径0.5mmの砂からなる濾材11が一定の積層厚で敷設されており、この砂の層が濾材層10となる。本実施の形態では、濾材11と濾材設置手段5との問に支持砂利を介在させていないので、濾材層10の交換に際しては、支持砂利を取り除く作業が不要となり、粒径の小さな濾材11を交換するだけでよく、濾材層10の交換作業が容易になる利点がある。
【0048】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、濾過槽2として処理水を貯留しておく貯水室3を備えたものを例示したが、濾過槽2は、貯水室3を備えておらず、逆洗水を貯留するタンクを配管を介して接続した構成のものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 濾過装置
2 濾過槽
3 貯水室
4 濾過室
5 濾材設置手段
6 ストレーナ
10 濾材層
23 原水用電動開閉弁
25 原水供給ポンプ
31 原水用電動開閉弁
41 上部濾過室
42 下部濾過室
51 濾床
52 貫通孔
61 ストレーナ本体部
62 受け部
63 脚部
64 おねじ部(係合部)
65 頭部
70 スリット
71 切り欠き
72 めねじ部(被係合部)
91 逆洗用電動開閉弁
L1 スリットの幅寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過室を有する濾過槽と、
前記濾過室内を、上部側の上部濾過室および下部側の下部濾過室に区画する濾床と、
前記濾床上面に設けられた濾材から構成されてなる濾材層と、
前記濾床に配置されたストレーナとを備え、
前記上部濾過室に導入された原水が濾材を通過することにより濾過処理された水を、ストレーナを介して下部濾過室に導入して濾過槽から排出し、
下部濾過室内の水を、ストレーナを介して前記濾過時とは反対に上部濾過室に導いて濾材を洗浄し、洗浄後の水を濾過槽から排出する濾過装置において、
前記ストレーナは、水が通過する複数条のスリットが形成されたストレーナ本体部と、前記濾床に形成された貫通孔に上方から挿入される筒状の受け部とから構成され、
前記スリットの幅寸法は、濾材の粒径よりも小さく設定されており、
前記ストレーナ本体部は、前記受け部に上方から挿入される脚部を有し、この脚部の挿入時に受け部を拡径させて濾床に固定させ、ストレーナ本体部には、受け部に設けられた被係合部に係合する係合部が設けられていることを特徴とする濾過装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の濾過装置において、前記受け部には、切り欠きが形成され、且つ、前記受け部の内周面は、下方に向けて直径が次第に小さくなるテーパー面に形成され、前記ストレーナ本体部の脚部が前記切り欠きを開くことにより、前記受け部を拡径させる構成であることを特徴とする濾過装置。
【請求項3】
前記請求項1に記載の濾過装置において、前記ストレーナ本体部の係合部は、おねじ部からなり、前記受け部の被係合部は、前記おねじ部が螺合するめねじ部からなることを特徴とする濾過装置。
【請求項4】
濾過槽内の濾材層を支持する濾床に配置されたストレーナであって、
水が通過する複数条のスリットが形成されたストレーナ本体部と、前記濾床に形成された貫通孔に上方から挿入される筒状の受け部とから構成され、
前記スリットの幅寸法は、濾材の粒径よりも小さく設定されており、
前記ストレーナ本体部は、前記受け部に上方から挿入される脚部を有し、この脚部の挿入時に受け部を拡径させて濾床に固定し、ストレーナ本体部には、受け部に設けられた被係合部に係合する係合部が設けられていることを特徴とするストレーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−50944(P2012−50944A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196722(P2010−196722)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】