説明

濾過装置

【課題】浴場などにおいて水の循環利用する際に使用される濾過装置であって、濾材の劣化状態を簡単に確認でき、濾材の交換が極めて容易な濾過装置を提供する。
【解決手段】濾過装置は、容器本体1に濾材収容篭3を装入して構成される。濾材収容篭3の上半部には、格子構造の底部を各備えた2つの受皿が重箱状に積み重ねられた状態で収容されており、上段側の第1の受皿には、第1のスポンジシートが濾材として敷かれ、下段側の第2の受皿には、第1のスポンジシートよりも低発泡の第2のスポンジシートが濾材として敷かれている。第1の受皿および第2の受皿の各側面には、濾材点検用窓が設けられ、容器本体の側面部および濾材収容篭の上半部には、覗き窓12が設けられており、第1のスポンジシート及び第2のスポンジシートの劣化状態を随時視認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過装置に関するものであり、詳しくは、浴場やプールにおいて水を循環利用する際に使用される濾過装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公衆浴場などの入浴施設、プール等においては、水を循環利用するため、各種の濾過装置が設置されており、斯かる濾過装置においては、濾材として、砂礫、珪藻土あるいは多孔質構造のセラミックが使用されている。例えば、砂礫を濾材に利用した濾過装置は、筐体の上部に被処理水の導入口を設け、筐体の下端に濾過水の排出口を設けると共に、濾材として、粒径の異なる砂礫(バラス)を筐体内に充填して構成される。そして、上記の濾過装置においては、濾材が劣化した場合、被処理水の流路の切替えによって濾材の逆洗浄も可能であるが、逆洗浄による再生効果の問題などから、通常は新しい濾材に交換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−119944号公報
【特許文献2】特開2010−264334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、浴場などに使用される上記のような濾過装置は、濾材である砂礫などの劣化の程度に応じて濾過能力を発揮するが、筐体上部から濾材を入れ替える構造を備えており、しかも、設備規模によっては濾材の充填量が多いため、濾材の交換作業に多大な労力を必要とする。更に、濾材の劣化程度、すなわち、汚れ具合が正確に確認できないため、濾材の交換時期を逸し、その結果、十分に濾過されない状態で水を循環させる虞がある。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、浴場などにおいて水を循環利用する際に使用される濾過装置であって、濾材の劣化状態を簡単に確認でき、しかも、濾材の交換が極めて容易な濾過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、上部から被処理水を導入し且つ下部から濾過水を排出する構造の容器本体の内部を上下に濾材収容篭で仕切り、当該濾材収容篭内に第1及び第2の2つの受皿を収容し、これら受皿にそれぞれ濾材として発泡倍率の異なるスポンジシートを配置することにより、被処理水を2枚のスポンジシートで濾過すると共に、濾材であるスポンジシートが劣化した場合には、容器本体から濾材収容篭を取り出し、更に濾材収容篭から2つの受皿を取り出して各スポンジシートを交換できるようにした。しかも、本発明では、第1及び第2の受皿の各側面に濾材点検用窓を設け、かつ、容器本体の側面部および濾材収容篭の上半部に覗き窓を設けることにより、各スポンジシートの表面を外部から随時視認できる様にした。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、水を循環利用する際に使用される濾過装置であって、上部に被処理水の導入口が設けられ且つ下部に濾過水の排出口が設けられた容器本体と、当該容器本体に装入されて容器本体内部を上下に仕切る濾材収容篭とを備え、当該濾材収容篭は、底部を含む下半部が多孔状の材料で構成され且つ上端面が開放された上半部が非透水性の材料で構成され、前記濾材収容篭の上半部には、格子構造の底部を各備えた2つの受皿が重箱状に積み重ねられた状態で収容され、上段側の第1の受皿には、第1のスポンジシートが濾材として敷かれ、下段側の第2の受皿には、前記第1のスポンジシートよりも低発泡の第2のスポンジシートが濾材として敷かれ、前記第1の受皿および前記第2の受皿の各側面の同等の部位には、濾材点検用窓がそれぞれ設けられ、かつ、前記容器本体の側面部および前記濾材収容篭の上半部には、前記各濾材点検用窓に重畳する位置に覗き窓が設けられていることを特徴とする濾過装置に存する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の濾過装置によれば、容器本体の側面部および濾材収容篭の上半部に設けられた覗き窓、第1及び第2の受皿の各側面に設けられた濾材点検用窓を通じて、濾材である各スポンジシートの表面を外部から随時視認でき、その劣化状態を簡単に確認できる。そして、濾材であるスポンジシートが劣化した場合には、容器本体から濾材収容篭を取り出し、更に濾材収容篭から2つの受皿を取り出すことにより、極めて容易にこれらスポンジシートを交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】内部構造の一部を透視して示した本発明に係る濾過装置の外観斜視図である。
【図2】本発明に係る濾過装置の内部構造を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る濾過装置における濾材収容篭の構成を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る濾過装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の濾過装置は、公衆浴場などの各種の入浴施設、プール等において水を循環利用する際に使用される装置である。すなわち、上記の濾過装置は、水をポンプ循環させながら濾過する方式の循環濾過システムにおいて使用される。
【0011】
本発明の濾過装置は、図1に示す様に、上部に被処理水の導入口11が設けられ且つ下部に濾過水の排出口13が設けられた容器本体1と、容器本体1に上方から出し入れ可能に装入されて容器本体1内部を上下に仕切る濾材収容篭3とから主に構成される。なお、後述する濾材(第1のスポンジシート51、第2のスポンジシート52)や幾つかの窓部分を除き、容器本体1、濾材収容篭3及び受皿4(図2、図3参照)は、耐腐食性を高める観点から、通常はステンレスで製作される。
【0012】
容器本体1は、外形が例えば直方体の箱状に構成される。水の処理量によっても異なるが、容器本体1の内容積は、0.1〜0.4m程度、通常は、保守管理における取扱性を考慮し、0.15〜0.3m程度に設計される。容器本体1は、濾材収容篭3を出し入れするために上端が開口されており、容器本体1の上端開口部は、防塵を図る観点から、上蓋2で封止されるようになされている。導入口11は、例えば浴場から回収された被処理水を容器本体1へ導入するための配管接続口であり、排出口13は、濾過した水を浴槽やその前段の熱交換器へ供給するための配管接続口である。なお、図中、接続用の継ぎ手類や弁類は省略している。
【0013】
また、図1に示すように、容器本体1の側面部には、濾材の状態を確認するための覗き窓12が設けられる。覗き窓12は、容器本体1の側面部に設けられた円形または四角形の穴にガラス板または透明アクリル板などの透明な樹脂板を取り付けて構成される。覗き窓12の大きさは、例えば円形窓の場合で直径100〜200mm程度とされる。覗き窓12は、1箇所でもよいし、複数個所設けられてもよい。図1に例示した濾過装置においては、容器本体1の1つの側面部(図1において正面)及びこれと平行な他の側面部(図1において背面)の略中央部にそれぞれ設けられている。
【0014】
更に、容器本体1の側面部、例えば上記の覗き窓12の設けられていない他の側面部には、濾材収容篭3の投光用窓33(図3参照)に光を照射する照明具7が付設される。照明具7は、濾材の劣化状態および濾材の上側(上流側)の水の濁度を確認する際に光を照射するために設けられる。照明具7は、容器本体1の内部を照らすように容器本体1の側面部に直接取り付けられてもよいが、通常は、容器本体1の側面部に開口された穴にガラス板または透明な樹脂板が取り付けられてその外側に配置される。照明具7としては、濾材表面における照度が80〜300lx程度となるような白色光または疑似白色光を照射する光源、例えば電球10〜40W相当の白色LEDライトが使用される。また、図2に示すように、容器本体1の内壁部の上部には、当該容器本体内に濾材収容篭3を吊持するため、一定の幅の張出片である掛止部1cが設けられる。
【0015】
濾材収容篭3は、濾材(第1のスポンジシート51及び第2のスポンジシート52)を収容する容器であり、水平断面が例えば略長方形に形成された有底筒状に構成される。濾材収容篭3の内容積は、通常、0.05〜0.15m程度に設計される。図3に示すように、濾材収容篭3は、底部を含む下半部3aが多孔状の材料で構成され且つ上端面が開放された上半部3bが非透水性の材料で構成される。
【0016】
具体的には、濾材収容篭3の下半部3aは、多数の小孔が設けられたパンチングメタル等の金属板または金網で構成され、濾材収容篭3の上半部3bは、ステンレス板で構成される。濾材収容篭3の下半部3aをパンチングメタルで構成する場合、その小孔の直径は3〜15mm程度であり、開口率は40〜70%程度である。また、金網で構成する場合、その目開きは2〜9mm程度である。濾材収容篭3の下半部3aがパンチングメタル等で構成されていることにより、濾材(第2のスポンジシート52)が破損した場合でも、比較的大きな異物捕捉する濾材として機能させることができる。
【0017】
また、図2に示すように、後述する受皿4(第2の受皿4b)を濾材収容篭3の内部で吊持するため、濾材収容篭3は、例えば、上半部3bを構成するステンレス板の内周部分に対し、下半部3aを構成するパンチングメタルの上縁部分が接合されており、上半部3bと下半部3aとの接合部が段差部に形成される。そして、斯かる段差部に第2の受皿4bの受皿本体の外周縁が引掛るようになされている。
【0018】
図2及び図3に示すように、濾材収容篭3には、当該濾材収容篭を容器本体1に出し入れするため、例えば上部の平行な2辺部にそれぞれ把手31が設けられる。更に、濾材収容篭3の上半部3bの上端周縁には、当該濾材収容篭を容器本体1において吊持するため、前述の掛止部1c(図2参照)に引掛る一定の幅の張出片(鍔)3cが設けられる。
【0019】
また、図3に示すように、濾材収容篭3の上半部3bには、濾材の状態を確認するための覗き窓32が設けられる。覗き窓32は、濾材収容篭3の上半部3bの側面に設けられた例えば四角形の穴にガラス板または透明アクリル板などの透明な樹脂板を取り付けて構成される。覗き窓12の大きさは、一辺の長さを100〜200mm程度とされる。覗き窓32は、前述の覗き窓12に対応する位置に設けられ、図に例示した濾過装置においては、濾材収容篭3の上半部3bの1つの側面(図1、図3において正面)及びこれと平行な他の側面(図1、図3において背面)の略中央部にそれぞれ設けられている。
【0020】
更に、濾材収容篭3の上半部3bには、上記の照明具7の光を透過するための投光用窓33が設けられる。投光用窓33は、濾材収容篭3の上半部3bの覗き窓32のない他の側面に設けられ、上記の覗き窓32と同様に、濾材収容篭3の上半部3bに設けられた四角形または円形の穴にガラス板または透明アクリル板などの透明な樹脂板を取り付けて構成される。投光用窓33の大きさは、一辺の長さ又は直径を100〜200mm程度とされる。
【0021】
また、図2に示すように、濾材収容篭3の上半部3bには、格子構造の底部を各備えた2つの受皿4、すなわち、第1の受皿4a及び第2の受皿4bが重箱状に上下に積み重ねられた状態で収容される。第1の受皿4a及び第2の受皿4bは、図3に示すように、濾材収容篭3に対して上方から出し入れ可能に装入される。上記の2つの受皿4は、後述する2つ濾材(第1のスポンジシート51と第2のスポンジシート52)を交換可能に収容すると共に、濾材間に隙間を形成し、濾材に被処理水を均一に透過させるために配置される。
【0022】
上段および下段の各受皿4は、部品数を減らし且つ製造コストを低減するため、同一形状で且つ同一寸法に設計される。受皿4の受皿本体(濾材を収容する上側部分)は、水平断面が例えば長方形に形成されて濾材収容篭3の上半部3bの内周部に緩く嵌合する浅皿状に構成され、その底部は、格子構造に構成される。受皿4の受皿本体の深さは、30〜50mm程度に設計され、底部の格子の開口の一辺は、30〜100mm程度に設計される。なお、本発明において、受皿4の底部の格子構造とは、目開きの比較的大きな網目構造を含む概念であり、水の抵抗が少なく且つ濾材(第1のスポンジシート51及び第2のスポンジシート52)を安定して支持し得る限り、特に形状を限定されるものではない。
【0023】
各受皿4の1つの側面(図3において正面)及びこれと平行な他の側面(図3において背面)の略中央部には、濾材(第1のスポンジシート51又は第2のスポンジシート52)の状態を確認するための濾材点検用窓42が設けられる。濾材点検用窓42は、前述の覗き窓32と同様に、受皿4の受皿本体の側面に設けられた例えば長方形の穴にガラス板または透明アクリル板などの透明な樹脂板を取り付けて構成される。濾材点検用窓42の大きさは、短辺部の長さ(高さ)を20〜35mm程度、長辺部の長さを100〜200mm程度とされる。濾材点検用窓42は、前述の覗き窓32に対応する位置に設けられる。
【0024】
更に、各受皿4には、前述の照明具7の光を導入するための採光用窓43が設けられる。採光用窓43は、受皿4の受皿本体の濾材点検用窓42の設けられていない側面に設けられ、前述の投光用窓33と同様に、受皿4の側面に設けられた例えば長方形の穴にガラス板または透明アクリル板などの透明な樹脂板を取り付けて構成される。採光用窓43の大きさは、短辺部の長さ(高さ)を20〜35mm程度、長辺部の長さを100〜200mm程度とされる。
【0025】
各受皿4の下端側(受皿本体の底部の下側)には、受皿本体の内周部に嵌合するスカート部41が設けられる。スカート部41は、受皿4の底部に対し、受皿本体のほぼ板厚分だけ内側に後退した位置に立ち下げられた状態で設けられる。スカート部41の高さ(上下方向に亙る幅)は、濾材(後述する第2のスポンジシート52)の厚さ分だけ受皿本体の深さよりも短く設定される。
【0026】
上段の第1の受皿4aのスカート部41は、下段側の第2の受皿4bに積み重ねる際に当該第2の受皿の受皿本体に対する嵌合部として機能し、これにより、受皿4同士は、上下に積み重ねることができる。また、第1の受皿4aのスカート部41は、下段の第2の受皿4bに敷かれた濾材(第2のスポンジシート52)の周縁を押えて当該濾材の遊動を規制する。従って、上下に受皿4を重ねた場合には、濾材(第2のスポンジシート52)の水流による変形を防止できる。
【0027】
一方、下段の第2の受皿4bのスカート部41は、当該第2の受皿を濾材収容篭3に装入する際に濾材収容篭3の下半部3aに対する嵌合部として機能する。すなわち、スカート部41は、濾材収容篭3の下半部3aの内側に勘合する大きさに設計される。従って、図2に示すように、第2の受皿4bを装入した場合には、濾材収容篭3の下半部3aと上半部3bの前述の段差部分に対して、受皿4の底部とスカート部41との段差部分が引掛り、その結果、濾材収容篭3内で第2の受皿4bを吊持することができる。
【0028】
また、第1の受皿4aを第2の受皿4bに積み重ねた際、上段の第1の受皿4aのスカート部41によって下段の第2の受皿4bの濾材点検用窓42及び採光用窓43が塞がれないように、受皿4のスカート部41は、濾材点検用窓42及び採光用窓43に対応する各部位が開口されている。
【0029】
図2及び図3に示すように、上段側の第1の受皿4aには、第1のスポンジシート51が濾材として敷かれ、下段側の第2の受皿4bには、第1のスポンジシート51よりも目の細かい第2のスポンジシート52が濾材として敷かれる。例えば浴場水の循環に使用される場合、第1のスポンジシート51は、被処理水に混入している比較的大きな異物、具体的には毛髪、タオル等の糸くず、皮膚片などを除去するための濾材であり、第2のスポンジシート52は、被処理水に混入している更に小さな異物、具体的には垢、滑り、濁り等を除去するための濾材である。
【0030】
上記のスポンジシート51,52としては、伸張性および通水性に優れた濾過用の各種スポンジシート、例えば、ポリウレタン、塩化ビニル、ポリエチレン等の各種合成樹脂から成るスポンジシートが使用される。斯かるスポンジシートの嵩密度(目の粗さ)は、第1のスポンジシート51の場合で30〜60kg/m程度、第2のスポンジシート52の場合で50〜80kg/m程度とされる。すなわち、第2のスポンジシート52として、第1のスポンジシート51よりも低発泡のもの(目の細かいもの)が使用される。各スポンジシート51,52の厚さ(吸水していない常態厚さ)は、3〜10mm程度である。第1のスポンジシート51及び第2のスポンジシート52の密度を上記の範囲に設定し、捕捉する異物を大きさで区別することにより、濾過機能および耐久性を高め、かつ、処理流量を十分に確保することができる。
【0031】
また、第1の受皿4aには、多孔構造の蓋6が第1のスポンジシート51を被う状態で濾材として収容される。すなわち、蓋6が落し蓋として第1の受皿4aに被せられる。蓋6は、多数の小孔が設けられたパンチングメタル等の金属板または金網で構成され且つ深さの浅い逆椀型状に形成される。蓋6をパンチングメタルで構成する場合、その小孔の直径は3〜15mm程度であり、開口率は40〜70%程度である。また、蓋6を金網で構成する場合、その目開きは2〜9mm程度である。
【0032】
蓋6は、第1の受皿4aに敷かれた第1のスポンジシート51の周縁を押えて当該スポンジシートの遊動を規制する。従って、第1の受皿4aに蓋6を落し込むことにより、濾材(第1のスポンジシート51)の水流による変形を防止できる。また、蓋6は、また、比較的大きな異物の濾材収容篭3への流入を抑制するように機能し、第1のスポンジシート51が閉塞するのを防止する。例えば浴場水の循環に使用される場合には、被処理水に混入した比較的大きな異物、具体的には包装容器、包装容器の蓋、包装袋、紙片などを蓋6によって除去することができる。
【0033】
上記のように、本発明の濾過装置においては、容器本体1の外部から濾材である第1のスポンジシート51及び第2のスポンジシート52の劣化状態を視認できるように、第1の受皿4a及び第2の受皿4bの各側面の同等の部位には、これら受皿の内部を観察する濾材点検用窓42がそれぞれ設けられており、容器本体1の側面部および濾材収容篭3の上半部3bには、各濾材点検用窓42に重畳する位置に覗き窓12,32が設けられている。
【0034】
更に、本発明の濾過装置においては、濾材収容篭3の内部、換言すれば、第1のスポンジシート51及び第2のスポンジシート52の各表面をより確実に確認できるように、第1の受皿4a及び第2の受皿4bの各側面の同等の部位には、これら受皿の内部に光を導入する採光用窓43がそれぞれ設けられ、濾材収容篭3の上半部3bには、各採光用窓43に重畳する位置に投光用窓33が設けられ、そして、容器本体1の側面部には、投光用窓33に光を照射する照明具7が付設されている。
【0035】
次に、本発明の濾過装置の使用方法および機能について説明する。本発明の濾過装置を使用する場合には、濾材である第1のスポンジシート51及び第2のスポンジシート52と共に濾材収容篭3を容器本体1内に配置する。スポンジシート51,52の装着は、濾材収容篭3にスポンジシート51,52を収容した後、容器本体1に濾材収容篭3を装入してもよいし、予め容器本体1に濾材収容篭3だけを装入し、これにスポンジシート51,52を収めるようにしてもよい。濾材収容篭3の組立においては、先ず、濾材収容篭3に第2の受皿4bを落し込んだ後、当該第2の受皿に第2のスポンジシート52を敷き、次いで、第2の受皿4bに第1の受皿4aを積み重ね、当該第1の受皿に第1のスポンジシート51を敷く。そして、第1の受皿4aに蓋6を落し込み、斯かる蓋6によって第1のスポンジシート51を押える。また、濾材収容篭3を装入した後は、容器本体1に上蓋2を被せる。
【0036】
上記の様に組み立てられた濾過装置においては、循環濾過システムの稼働により、被処理水が導入口11から流入し、濾材収容篭3を通過して濾過された濾過水が排出口13から排出される。例えば浴場水を濾過する場合、濾材収容篭3に被せた蓋6は、被処理水に混入したシャンプー等の包装容器やその蓋、包装袋、紙片などの比較的大きな異物が濾材収容篭3内へ流れ込むのを防止する。第1のスポンジシート51は、被処理水に混入した毛髪、糸くず等の小さな異物を捕捉し、また、第2のスポンジシート52は、垢、滑り、濁り等の更に小さな異物を捕捉する。すなわち、本発明の濾過装置においては、蓋6及び発泡倍率の異なる2種類の第1のスポンジシート51、第2のスポンジシート52を備えており、大型の異物から微細な異物までをそれぞれ別個に捕捉できる。従って、本発明の濾過装置は、目詰まりが少なく、長く濾過機能を維持できる。
【0037】
一方、日常点検においては、濾材の劣化状態、換言すれば、汚れ具合を簡単に確認できる。濾材(スポンジシート51,52)の状態を確認するには、照明具7を点灯させ、濾材収容篭3の投光用窓33、第1の受皿4a及び第2の受皿4bの各採光用窓43を通じて、第1の受皿4a及び第2の受皿4bの内部を照光する。そして、容器本体1の側面部の覗き窓12、濾材収容篭3の上半部3bの覗き窓32ならびに第1の受皿4a及び第2の受皿4bの各濾材点検用窓42を通じて、第1のスポンジシート51の表面および第2のスポンジシート52の表面を観察する。すなわち、本発明の濾過装置においては、第1のスポンジシート51及び第2のスポンジシート52の表面を外部から随時視認でき、それらの劣化状態を簡単に確認できる。特に、照明具7が設けられていることにより、濾過装置の設置場所に拘わらず、第1の受皿4a及び第2の受皿4bの内部を照すことができ、濾材表面を一層簡単に視認できる。
【0038】
第1のスポンジシート51及び第2のスポンジシート52における劣化が確認された場合には、容器本体1の蓋6を外し、容器本体1から濾材収容篭3を引き上げるようにして取り出し、更に、濾材収容篭3の組立操作とは逆の手順により、蓋6、第1の受皿4a、第2の受皿4bを順に濾材収容篭3から取り出すことにより、第1のスポンジシート51及び第2のスポンジシート52を交換する。また、濾材収容篭3、第1の受皿4a、第2の受皿4b、蓋6はそれぞれに洗浄する。すなわち、本発明の濾過装置においては、容器本体1から濾材収容篭3を取り出すだけで、極めて容易に濾材を交換することができる。
【0039】
なお、本発明の濾過装置においては、第1のスポンジシート51及び第2のスポンジシート52の劣化状態を一層正確に把握するため、容器本体1の排出口13には、流量計が設置されてもよい。第1のスポンジシート51及び第2のスポンジシート52の目視確認に加え、濾過水の流量の変動を流量計で確認することにより、第1のスポンジシート51及び第2のスポンジシート52の交換時期を一層正確に把握することができる。
【0040】
また、本発明の濾過装置は、処理量が大きくなる場合、複数基を並列に配置して使用してもよい。更に、本発明の濾過装置は、濾材(スポンジシート51,52)を一層長時間使用するため、濾材(スポンジシート51,52)を逆洗浄するように構成されてもよい。逆洗浄手段としては、容器本体1の下部(濾材収容篭3よりも下方)から導入した水を容器本体1の上部(濾材収容篭3よりも上方)から排出する各種の手段、例えば、排出口13から水を導入し且つ導入口11から水を排出する流路の切替手段、あるいは、容器本体1の下部および上部にそれぞれ逆洗浄用の水の導入口と排出口を設けた構造などが挙げられる。
【符号の説明】
【0041】
1 :容器本体
11:導入口
12:覗き窓
13:排出口
1c:掛止部
2 :上蓋
3 :濾材収容篭
31:把手
32:覗き窓
33:投光用窓
3a:濾材収容篭の下半部
3b:濾材収容篭の上半部
3c:張出片
4 :受皿
41:スカート部
42:濾材点検用窓
43:採光用窓
4a:第1の受皿
4b:第2の受皿
51:第1のスポンジシート
52:第2のスポンジシート
6 :蓋
7 :照明具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を循環利用する際に使用される濾過装置であって、上部に被処理水の導入口が設けられ且つ下部に濾過水の排出口が設けられた容器本体と、当該容器本体に装入されて容器本体内部を上下に仕切る濾材収容篭とを備え、当該濾材収容篭は、底部を含む下半部が多孔状の材料で構成され且つ上端面が開放された上半部が非透水性の材料で構成され、前記濾材収容篭の上半部には、格子構造の底部を各備えた2つの受皿が重箱状に積み重ねられた状態で収容され、上段側の第1の受皿には、第1のスポンジシートが濾材として敷かれ、下段側の第2の受皿には、前記第1のスポンジシートよりも低発泡の第2のスポンジシートが濾材として敷かれ、前記第1の受皿および前記第2の受皿の各側面の同等の部位には、濾材点検用窓がそれぞれ設けられ、かつ、前記容器本体の側面部および前記濾材収容篭の上半部には、前記各濾材点検用窓に重畳する位置に覗き窓が設けられていることを特徴とする濾過装置。
【請求項2】
第1の受皿には、多孔構造の蓋が第1のスポンジシートを被う状態で収容されている請求項1に記載の濾過装置。
【請求項3】
第1の受皿および第2の受皿の各側面の同等の部位には、採光用窓がそれぞれ設けられ、前記濾材収容篭の上半部には、前記各採光用窓に重畳する位置に投光用窓が設けられ、前記容器本体の側面部には、前記投光用窓に光を照射する照明具が付設されている請求項1又は2に記載の濾過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−152709(P2012−152709A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15394(P2011−15394)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(396020305)株式会社イフェクト (6)
【Fターム(参考)】