説明

火力発電プラント

【課題】本発明の目的は、信頼性,コスト削減、および、メンテナンスの容易さを両立し、燃焼効率に優れたボイラから構成される主蒸気温度700℃以上,出力100MW以上の高温火力発電プラントを提供することである。
【解決手段】本発明は、燃料を燃焼させ、燃焼ガスから蒸気により熱を回収するボイラと、前記ボイラを格納するボイラ建屋と、前記ボイラで加熱された蒸気を回転エネルギーに変換する蒸気タービンを持った火力発電プラントにおいて、前記蒸気タービンの全部、あるいは、その一部分が前記ボイラ建屋の中に含まれるよう配置したことを特徴とする。
【効果】本発明によれば、信頼性,コスト削減、および、メンテナンスの容易さを両立し、燃焼効率に優れたボイラから構成される主蒸気温度700℃以上,出力100MW以上の高温火力発電プラントを提供することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2008−261308号公報(特許文献1)がある。この公報には、「主蒸気温度675℃以上,出力100MW以上の高温蒸気タービンプラントについて、トップタービン形式とし、以下の構成にする。VHTタービンが設置された縦型ボイラを含むボイラ建屋と、地面を基礎として設置されたタービン建屋とから構成し、ボイラ上部にVHTタービンおよびそれと連結された発電機を設置し、ボイラ建屋とタービン建屋間の最も高圧な蒸気配管の材質をフェライト鋼またはFeを50重量%以上含むオーステナイト鋼により構成する。また、VHTタービンの入口温度は675℃以上、出口温度は550℃以上,650℃以下とする」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−261308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
主蒸気温度700℃以上を目指した火力発電プラントでは、Ni基超合金を用いてタービンやボイラの高温部を形成する技術に加え、従来の鉄鋼材料と比べて高価であるNi、更には一部のNi基超合金に多く含まれている高価なCo,Moの使用量を少なくすることが大きな課題である。
【0005】
大型火力発電プラントのボイラは一般に70m以上の高さがあり、ボイラ上部に配置された熱交換器ほど高温となる。蒸気タービンに供給される高温高圧蒸気の配管は、ボイラ上部から地面にあるタービン建屋に引き回されるため、その長さは100m以上に及ぶことになる。
【0006】
主蒸気温度700℃以上の大型火力発電プラントでは、鉄鋼材料の耐用温度が650℃程度であるため、上記の高温高圧蒸気配管は高級材料であるNi基超合金で製作する必要がある。この蒸気配管は600mm程度の外径,100mm程度の肉厚があり、その長さが100m以上に及ぶため、配管の総重量はタービンで使用するNi基超合金の量よりも遥かに多くなる。
【0007】
ボイラ材としては、700℃以下の主蒸気温度では、Ni基超合金としてはコスト,製造性に優れたHR6WなどのNi−Fe基超合金を使用できるが、700℃以上では強度の優れたIN617などの固溶強化型Ni基超合金、720℃以上ではさらに強度特性に優れたNimonic263などの析出強化型Ni基超合金を使用する必要がある。IN617やNimonic263などは、コストが高いだけでなく、製造性が悪いため、600mm程度の外径を有する長尺配管の製作が不可能である。したがって、外径の小さい複数の配管で高温高圧の蒸気をボイラ建屋からタービン建屋に供給する必要がある。配管を複数化した場合、流量面積あたりの重量が増えるため、配管重量が増し、これにより、さらにコストが増大する。
【0008】
前記特許文献1には、トップタービン形式、すなわち、ボイラの上部にタービンを設置する形式を採用することで、Ni基超合金の配管長を短縮し、信頼性とコスト削減を両立している。しかし、特許文献1の高温蒸気タービンプラントでは、トップタービン形式であるため、ボイラとタービン両方のメンテナンスが容易ではない。また、タービンの振動を抑えるため、高度な免震構造を有するボイラ建屋が必要となり、コストが増大する可能性がある。
【0009】
本発明の目的は、信頼性,コスト削減、および、メンテナンスの容易さを両立し、燃焼効率に優れたボイラから構成される主蒸気温度700℃以上,出力100MW以上の高温火力発電プラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、蒸気タービンの全部、あるいは、その一部分がボイラ建屋の中に含まれるよう配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、信頼性,コスト削減、および、メンテナンスの容易さを両立し、燃焼効率に優れたボイラから構成される主蒸気温度700℃以上,出力100MW以上の高温火力発電プラントを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の火力発電プラントを横から見た図を示す。
【図2(a)】実施例1のボイラ建屋を真上から見た図を示す。
【図2(b)】実施例1のタービン建屋を真上から見た図を示す。
【図3(a)】実施例1の火力発電プラント内のボイラから、蒸気タービンへ搬送される蒸気を加熱する熱交換器の構造を示す(反流形式の場合)。
【図3(b)】実施例1の火力発電プラント内のボイラから、蒸気タービンへ搬送される蒸気を加熱する熱交換器の構造を示す(並流形式の場合)。
【図4】実施例2の火力発電プラントを横から見た図を示す。
【図5(a)】実施例2のボイラ建屋を真上から見た図を示す。
【図5(b)】実施例2のタービン建屋を真上から見た図を示す。
【図6】実施例3の火力発電プラントを横から見た図を示す。
【図7(a)】実施例3のボイラ建屋を真上から見た図を示す。
【図7(b)】実施例3のタービン建屋を真上から見た図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本実施例による火力発電プラントの実施形態の一例を示す側面図である。
【0015】
図1の火力発電プラントの構造について説明する。本実施例では、以下、ボイラに投入する燃料として石炭を使用するボイラを例に説明するが、油を例とする液体燃料、天然ガスを例とする気体燃料、バイオマスを例とする固体燃料の場合でも本実施例を使用できる。
【0016】
プラント内のガス流れ、および、蒸気流れの概略について述べることで、図中の各構成要素の関連について説明する。
【0017】
プラント内のガス流れの概略について説明する。燃料である石炭は、石炭バンカ18に貯留され、石炭粉砕機19で細かく粉砕される。粉砕された石炭は、空気予熱器21から導入される空気(1次空気)によって、バーナ5で着火され、ボイラ2の中へ搬送される。石炭の燃焼により生じた熱は、燃焼ガスの流れに沿って、ボイラ2の壁面,2次過熱器8,最終過熱器9,最終再熱器11に吸収され、燃焼ガスの温度は次第に低下する。燃焼ガスの下流では、ガスの煙道部が隔壁24により分割されており、煙道部内に1次再熱器10,1次過熱器12、および、節炭器13が設置されており、これらの熱交換器でもガスから熱を吸収する。隔壁24の下方にあるガス分配ダンパ14の開度を調整することで、ガス流量の配分を変化させることにより、1次再熱器10、および、最終再熱器11の収熱量を目標値になるように調整する。その後、燃焼ガスは、排ガス煙道23を通り、脱硝装置20で窒素酸化物(NOx)を除去され、空気予熱器21で、1次空気ファン17と2次空気ファン16から、空気ダクト(図示されていない)を通って搬送された空気と熱交換する。空気予熱器21で加熱された空気は、石炭を搬送する1次空気と、燃焼を促進するためバーナ5へ送られる2次空気として使われる。空気予熱器21を通過した燃焼ガスは、さらに下流にある排ガス処理装置で、より高度な浄化処理を施された後、プラント外へ排出される。また、石炭には灰分が含まれているため、ボイラ内部に灰が堆積する。堆積した灰をボイラ内部から除去するため、缶前側灰処理ホッパ6と缶後側灰処理ホッパ7が備え付けられている。
【0018】
プラント内の蒸気流れの概略について説明する。蒸気は、タービン建屋1内部に格納されている給水加熱器3で、圧力30〜35MPa,温度300℃程度まで加熱され、主給水管105を通して、節炭器13へ送られ、燃焼ガスからの熱を吸収する。その後、蒸気は、ボイラ2の壁面,1次過熱器12,2次過熱器8,最終過熱器9の順に通って燃焼ガスからの熱を吸収し、最終過熱器9の出口で、蒸気出口ヘッダ102に集められ、主蒸気管101を通って、蒸気タービン200へ送られる。最終過熱器9出口では、蒸気の温度は600℃以上の高温になっている。この高温・高圧の蒸気は、蒸気タービン200で、回転による仕事をした後、圧力は5MPa程度まで、温度は300℃程度まで低下し、エネルギーを失う。ボイラ2で回収した熱を有効に利用するため、この蒸気は低温再熱蒸気管106を通して、1次再熱器10へ送り、再びボイラ2の内部で熱回収に利用する。蒸気は、1次再熱器10から最終再熱器11へ送られ、最終再熱器11の出口で、600℃以上の高温蒸気となり、蒸気出口ヘッダ103に集められ、高温再熱蒸気管104を通して、再び蒸気タービン200へ送られる。この高温蒸気は、蒸気タービン200で、回転による仕事をした後、低圧・低温になる。この蒸気は、その後、復水器(図示されていない)にて凝縮して、水質処理を施した後、給水加熱器3へ戻される。
【0019】
図2は、本実施例による火力発電プラントの実施形態の一例を上から見た図である。図2(a)はボイラ建屋4の内部を示す。操作室205には、火力発電プラント全体の動作を制御する機能がある。メンテナンス上、タービン建屋1とボイラ建屋4との両方に近い場所に、操作室205を設置するのが望ましい。本実施例では、タービン建屋1がボイラ2内のガス流れに対して垂直に置かれているため、操作室205はボイラ建屋4の側面に配置されている。図2(b)はタービン建屋1の内部を示す。タービン建屋1の内部には、蒸気タービン200が設置されており、蒸気タービン200は、高圧タービン201,中・低圧タービン202で構成されている。最終過熱器9を出た高温蒸気は、主蒸気管101を通って高圧タービン201へ入る。最終再熱器11を出た高温蒸気は、高温再熱蒸気管104を通って中・低圧タービン202へ入る。これらの高温蒸気によるエネルギーは回転エネルギーに変換される。その回転エネルギーはタービン軸204により発電機203へ伝達されて電気が生じる。
【0020】
本実施例では以下の特徴を有する:(1)蒸気タービン200を内部に収めているタービン建屋1の全部が、ボイラ建屋4の内部に入っている。(2)最終過熱器9および最終再熱器11の蒸気流れの出口に接続されたヘッダ102と103が、燃焼ガス煙道部の下方に配置されている。(3)最終過熱器9の蒸気流れの出口に接続されたヘッダ102と、入口に接続されたヘッダ107が互いに反流形式である。(4)ボイラ2の下方に溝22が掘られており、ボイラ2の一部分が溝22に埋め込まれている。(5)ボイラ建屋4を支える鉄骨柱15がタービン建屋1を支える鉄骨柱と共有されている。(6)最終過熱器9および最終再熱器11が置かれている燃焼ガス煙道部壁面26が、ガス流れ方向へ傾斜している。
【0021】
以下、前記特徴(1)から(6)の詳細とその効果について、各々、説明する。
【0022】
特徴(1)の詳細とその効果について説明する。
【0023】
一般的に、蒸気タービン200とボイラ2は、別個に各々を格納する建屋を持つ。すなわち、ボイラ2はボイラ建屋4へ、蒸気タービン200はタービン建屋1へ格納されている。また、一般に、ボイラ建屋4とタービン建屋1はお互いに20から30m程度離れている。大型火力発電プラントの場合、ボイラ2の地上からの高さは70m以上である。最終過熱器9および最終再熱器11は、ボイラの燃焼ガス流れの方向が上,横,下の順からなるツーパスボイラの場合、ボイラの最も高い場所に設置されている。そのため、ボイラ2から蒸気タービン200へ蒸気を供給する主蒸気管101と高温再熱蒸気管104の長さは100m以上に達する。
【0024】
本実施例では、タービン建屋1の全部がボイラ建屋4の内部に入っている。このようにすると、ボイラ建屋4とタービン建屋1との距離を短くでき、主蒸気管101と高温再熱蒸気管104のコスト削減が可能である。
【0025】
また、本実施例では、蒸気タービン200が最終過熱器9および最終再熱器11の下方に設置されている。このようにすると、主蒸気管101と高温再熱蒸気管104の長さを70m程度までに短縮でき、短縮効果が高い。この配置にすれば、高温配管のコストを70%程度まで削減可能である。
【0026】
さらに、主蒸気管101と高温再熱蒸気管104だけでなく、主給水管105と低温再熱蒸気管106の長さも短縮でき、この分のコスト削減も可能である。
【0027】
また、本実施例のように、ボイラ2とタービン200は互いに近い位置に置くと、両方のメンテナンスをやりやすい。
【0028】
このように、タービン建屋の全部がボイラ建屋の中に含まれるよう配置することで、信頼性,コスト削減、および、メンテナンスの容易さを両立し、燃焼効率に優れたボイラから構成される主蒸気温度700℃以上,出力100MW以上の高温火力発電プラントを提供することが可能である。
【0029】
なお、本実施例では、蒸気タービン200がタービン建屋1へ格納されている場合を説明したが、タービン建屋1が無く、蒸気タービン200のみがボイラ建屋4の中に入っている場合でも同じ効果が得られる。
【0030】
特徴(2)の詳細とその効果について説明する。
【0031】
ツーパスボイラの場合、一般的に、最終過熱器9および最終再熱器11の蒸気流れの出入口はボイラの天井部にある。
【0032】
本実施例では、最終過熱器9および最終再熱器11の蒸気流れの出口に接続されたヘッダ102と103が、燃焼ガス煙道部壁面26の下方に配置されている。このようにすれば、出口の高さ位置が低下するため、地上に配置された蒸気タービン200との距離が短縮されるので、さらに高温配管のコストを削減できる。具体的な削減効果としては、燃焼ガス煙道は高さ方向に10m程度の流路であるので、主蒸気管101と高温再熱蒸気管104の長さを60m程度までに短縮できる。
【0033】
特徴(3)の詳細とその効果について説明する。
【0034】
図3に、本実施例における最終過熱器9の構造の一例を示す。図3(a)は、蒸気流れの入口に接続されたヘッダ107と出口に接続されたヘッダ102が互いに反流形式である場合を示し、図3(b)は並流形式である場合を示す。本実施例では反流形式を用いる。このようにヘッダを反流形式にすると、並流形式に比べ、ヘッダ間の圧力差による蒸気流量の不均等が起こりにくくなり、熱交換器出口での蒸気温度が均一化される。蒸気温度が均一化されると、各伝熱管の熱伸びが均一になるため、ヘッダの損傷が起こりにくい。
【0035】
なお、最終再熱器11にもこの構造は適用できる。
【0036】
特徴(4)の詳細とその効果について説明する。
【0037】
本実施例では、ボイラ2の下方に溝22が掘られており、缶前側灰処理ホッパ6が溝22に埋め込まれている。このようにすれば、最終過熱器9および最終再熱器11と地上に配置された蒸気タービン200との距離がさらに短縮されるので、高温配管のコストを削減できる。
【0038】
なお、溝22への埋め込み高さは、燃料が石炭やバイオマスのような固体の場合、バーナ5の下段までとするのが望ましい。これを超えて埋め込んでしまうと、バーナ5と石炭粉砕機19とを結ぶ給炭管(図には示されていない)が下向きになり、給炭管の中に石炭が溜まり閉塞してしまう可能性がある。溝22への埋め込みは10m程度まで可能であり、この結果、主蒸気管101と高温再熱蒸気管104の長さを50m程度までに短縮できる。
【0039】
特徴(5)の詳細とその効果について説明する。
【0040】
本実施例では、ボイラ建屋4を支える鉄骨柱15がタービン建屋1を支える鉄骨柱と共有されている。このようにすると、ボイラ建屋4とタービン建屋1を支える鉄骨柱の物量を削減できるため、建設費を削減できる。
【0041】
特徴(6)の詳細とその効果について説明する。
【0042】
本実施例では、最終過熱器9および最終再熱器11が置かれている燃焼ガス煙道部壁面26が、ガス流れ方向へ傾斜している。このようにすると、最終過熱器9および最終再熱器11が置かれている燃焼ガス煙道部に石炭灰が堆積しても、缶後側灰処理ホッパ7へ石炭灰が落ちるので、燃焼ガス煙道部が閉塞することがなく、良好にプラントを運転できる。
【0043】
また、燃焼ガス煙道部下方の壁面がガス流れの方向へ傾斜しているので、最終過熱器9および最終再熱器11の設置位置が低下する。したがって、主蒸気管101と高温再熱蒸気管104の長さをさらに短縮できる。
【実施例2】
【0044】
本実施例では、タービン建屋がボイラ建屋の内部へ入ることで、高温蒸気管の長さを短縮できるだけでなく、タービン建屋の一部を灰運搬用コンベア,空気予熱器,脱硝装置,1次空気ファン,2次空気ファンの設置に利用できる火力発電プラントの例を説明する。
【0045】
図4は、実施例2における火力発電プラントの実施形態の一例を示す側面図である。図5は、実施例2における火力発電プラントを真上から見た図を示す。図5(a)はボイラ建屋4の内部を示す。図5(b)はタービン建屋1の内部を示す。
【0046】
図4および図5の火力発電プラントのうち、既に説明した図1および図2に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については説明を省略する。
【0047】
図1および図2で図示しなかった灰運搬用コンベア25について説明する。灰運搬用コンベア25は、缶前側灰処理ホッパ6、あるいは、缶後側灰処理ホッパ7から取り出したボイラ2内部の石炭灰を、ボイラ2の外部にある灰処理装置へ運搬する役割を持つ。灰運搬用コンベアには、一般に、強度保持のため支柱が備え付けられている。
【0048】
本実施例の特徴は、タービン建屋1の天井部に灰運搬用コンベア25を設置していることである。一般に、タービン建屋1がボイラ建屋4の内部に入ると、空気ダクト,灰運搬用コンベア,空気予熱器,脱硝装置を移動させなければならず、敷地面積の増大につながる。本実施例のような構成にすれば、タービン建屋1の一部を灰運搬用コンベア25,空気予熱器21,脱硝装置20の設置に利用できるため、敷地面積増大を抑制でき、大幅なコスト上昇を避けることができる。また、コンベアの強度保持のために必要な支柱も必要ない。
【0049】
なお、本実施例では、タービン建屋の一部に灰運搬用コンベアを設置した場合を説明したが、灰運搬用コンベアの代わりに、空気ダクト,空気予熱器,脱硝装置,1次空気ファン,2次空気ファンを設置してもよい。タービン建屋は非常に強固な構造物であるため、前記構造物をタービン建屋の天井部に載せても強度上の問題は生じない。
【実施例3】
【0050】
本実施例では、タービン軸がボイラの空気予熱器から排出された燃焼ガス流れ方向と平行であり、かつ、ボイラから排出され空気予熱器に流入する燃焼ガスの流れ方向がタービン軸と直角になるよう、タービン建屋がボイラ建屋内部に入ることで、高温蒸気管の長さを短縮できるだけでなく、空気予熱器からボイラ、または、石炭バンカへ搬送する空気ダクトの長さも短縮できる火力発電プラントの例を説明する。
【0051】
図6は、実施例3における火力発電プラントの実施形態の一例を示す側面図である。図7は、実施例3における火力発電プラントを真上から見た図を示す。図7(a)はボイラ建屋4の内部を示す。図7(b)はタービン建屋1の内部を示す。
【0052】
図6および図7の火力発電プラントでは、既に説明した図1から図5に示された同一の符号を付された構成と同一の機能を有するので、各構成要素の説明を省略する。
【0053】
本実施例の特徴は、タービン軸204がボイラ2内の高温域の燃焼ガス流れと平行であるように配置されている点である。タービン建屋幅(図7(a)参照)がボイラ炉幅(図7(a)参照)より短い場合、タービン軸204がボイラ2内の高温域の燃焼ガス流れと平行であるように、タービン建屋1をボイラ建屋4内部に配置すると、タービン建屋1を迂回することなく、1次空気および2次空気を、空気予熱器21からボイラ2または石炭粉砕機19へ搬送できる。そのため、タービン建屋がボイラ建屋に入ったことによる空気ダクトの長さの増加を抑制でき、大幅なコスト上昇を避けることができる。
【0054】
本実施例では、タービン建屋1がボイラ建屋4からはみ出した場合、タービン建屋1のはみ出した部分の天井部分に、灰運搬用コンベア25を設置している。こうすることで、敷地面積増大を抑制でき、大幅なコスト上昇を避けることができる。なお、本実施例では、タービン建屋の一部に灰運搬用コンベアを設置した場合を説明したが、灰運搬用コンベアの代わりに、空気予熱器、あるいは、脱硝装置を設置してもよい。
【0055】
本実施例では、ボイラ2からの燃焼ガスの出口がタービン軸に対して直角方向を向いている。このようにすると、空気予熱器21をボイラ2および石炭粉砕機19に近い位置に配置できるので、1次空気および2次空気のダクト長さを短縮でき、結果、コスト削減が可能になる。
【0056】
また、本実施例では、操作室205をボイラ建屋4の後方、かつ、タービン建屋1の側面に配置している。このように操作室を配置すると、ボイラとタービン両方に近いため、メンテナンスが容易になる。
【0057】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 タービン建屋
2 ボイラ
3 給水加熱器
4 ボイラ建屋
5 バーナ
6 缶前側灰処理ホッパ
7 缶後側灰処理ホッパ
8 2次過熱器
9 最終過熱器
10 1次再熱器
11 最終再熱器
12 1次過熱器
13 節炭器
14 ガス分配ダンパ
15 鉄骨柱
16 2次空気ファン
17 1次空気ファン
18 石炭バンカ
19 石炭粉砕機
20 脱硝装置
21 空気予熱器
22 溝
23 排ガス煙道
24 隔壁
25 灰運搬用コンベア
26 燃焼ガス煙道部壁面
101 主蒸気管
102 最終過熱器の蒸気出口ヘッダ
103 最終再熱器の蒸気出口ヘッダ
104 高温再熱蒸気管
105 主給水管
106 低温再熱蒸気管
107 ヘッダ
200 蒸気タービン
201 高圧タービン
202 中・低圧タービン
203 発電機
204 タービン軸
205 操作室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させ、燃焼ガスから蒸気により熱を回収するボイラと、前記ボイラを格納するボイラ建屋と、前記ボイラで加熱された蒸気を回転エネルギーに変換する蒸気タービンを持った火力発電プラントにおいて、前記蒸気タービンの全部、あるいは、その一部分が前記ボイラ建屋の中に含まれるよう配置したことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項2】
請求項1の火力発電プラントにおいて、前記蒸気タービンを格納するタービン建屋を備え、前記タービン建屋の全部、あるいは、その一部分が前記ボイラ建屋内に含まれるよう配置したことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項3】
請求項2の火力発電プラントにおいて、前記蒸気タービンは高圧タービンと中低圧タービンに別れると共に、前記ボイラから前記高圧タービンへ蒸気を送り出す熱交換器と前記ボイラから前記中低圧タービンへ蒸気を送り出す熱交換器を備え、前記熱交換器群の下方に、前記高圧タービン、あるいは、前記中低圧タービンを配置したことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項4】
請求項3の火力発電プラントにおいて、前記ボイラから前記高圧タービンへ蒸気を送り出す熱交換器、あるいは、前記ボイラから前記中低圧タービンへ蒸気を送り出す熱交換器の蒸気流れの出口に接続されたヘッダが、燃焼ガス煙道部の下方に配置したことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項5】
請求項4の火力発電プラントにおいて、前記熱交換器の入口ヘッダと出口ヘッダが反流形式であることを特徴とする火力発電プラント。
【請求項6】
請求項3の火力発電プラントにおいて、前記ボイラ下方に溝を掘られ、前記ボイラの一部分が当該溝に埋め込まれていることを特徴とする火力発電プラント。
【請求項7】
請求項3の火力発電プラントにおいて、前記ボイラ建屋を支える鉄骨柱が前記タービン建屋を支える鉄骨柱と共有されていることを特徴とする火力発電プラント。
【請求項8】
請求項3の火力発電プラントにおいて、前記ボイラから前記高圧タービンへ蒸気を送り出す熱交換器、および、前記ボイラから前記中低圧タービンへ蒸気を送り出す熱交換器が配置された燃焼ガス煙道部下方の壁面が、燃焼ガス流れ方向へ傾斜していることを特徴とする火力発電プラント。
【請求項9】
請求項3の火力発電プラントにおいて、前記ボイラ内の灰を灰処理装置へ運搬する灰運搬用コンベアと、前記ボイラから排出される燃焼ガスの熱を利用して空気を加熱する空気予熱器と、前記ボイラから排出される燃焼ガスに含有する窒素酸化物を除去する脱硝装置を備え、灰運搬用コンベア,空気予熱器,脱硝装置のいずれかが前記タービン建屋の天井部に配置されていることを特徴とする火力発電プラント。
【請求項10】
請求項2の火力発電プラントにおいて、タービン軸が前記ボイラの空気予熱器から排出された燃焼ガスの流れ方向と平行であり、かつ、ボイラから排出され前記空気予熱器に流入する燃焼ガスの流れ方向がタービン軸と直角になることを特徴とした火力発電プラント。
【請求項11】
請求項10の火力発電プラントにおいて、燃焼ガス流れから見てボイラ建屋後方、かつ、タービン軸から見てタービン建屋側面に、蒸気タービンとボイラの運転を操作するための操作室を備えることを特徴とする火力発電プラント。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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