説明

火災受信機

【課題】火災受信機の電話ジャックに送受話器が差し込まれている状態でも、端末機器から呼び出しがあれば、LCD等の表示によって、端末機器から呼出されていることを作業者が認識することができる火災受信機を提供することを目的とするものである。
【解決手段】端末機器に設けられている電話ジャックに、送受話器が差し込まれていることを検出する端末機器用差し込み検出手段と、火災受信機の電話ジャックに送受話器が差し込まれていることを検出する火災受信機用差し込み検出手段と、端末機器に設けられている電話ジャックに送受話器が差し込まれ、しかも、火災受信機の電話ジャックに送受話器が差し込まれているときに、電話呼出中であることを示すアイコンを、火災受信機の画面に点灯表示または点滅表示させる表示制御手段とを有する火災受信機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災受信機の電話ジャックに送受話器が差し込まれている状態でも、端末機器から呼び出しがあれば、LCD等の表示によって、端末機器から呼出されていることを認識することができる火災受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の火災受信機は、現場から電話呼出があると、呼出音響を鳴動し、着信中であることを通知する。そして、この呼出音響鳴動中に、火災受信機の電話ジャックに送受話器を接続すると、呼出音響が停止し、通話可能状態に移行する(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平05−062083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、終話時に、電話ジャックから送受話器を取り外さなければ、以降、端末機器からの電話呼出があっても、呼出音響が鳴動できない状態になり、呼出中であることを通知することができない。
【0004】
したがって、上記従来例では、作業者が送受話器を装着(電話ジャックへ接続)したままの状態で、他の作業を行っていると、端末機器側から緊急に連絡したいときに呼びかけることができないという問題がある。
【0005】
すなわち、作業者は、送受話器の電話ジャックへの装着中は、送受話器を常時使用していなければならず、手から外すときには、送受話器を電話ジャックから取り外さなければならない。
【0006】
本発明は、火災受信機の電話ジャックに送受話器が差し込まれている状態でも、端末機器から呼び出しがあれば、LCD等の表示によって、端末機器から呼出されていることを作業者が認識することができる火災受信機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、端末機器に設けられている電話ジャックに、送受話器が差し込まれていることを検出する端末機器用差し込み検出手段と、火災受信機の電話ジャックに送受話器が差し込まれていることを検出する火災受信機用差し込み検出手段と、端末機器に設けられている電話ジャックに送受話器が差し込まれ、しかも、火災受信機の電話ジャックに送受話器が差し込まれているときに、電話呼出中であることを示すアイコンを、火災受信機の画面に点灯表示または点滅表示させる表示制御手段とを有する火災受信機である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、火災受信機の電話ジャックに送受話器が差し込まれている状態でも、端末機器から呼び出しがあれば、LCD等の表示によって、端末機器から呼出されていることを作業者が認識することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例1である火災受信機RE1を含む火災報知設備FA1のシステム構成を示すブロック図である。
【0011】
火災報知設備FA1は、端末機器として、差動式スポット型感知器SE1と、光電式スポット型感知器SE2と、熱アナログ感知器SE3と、光電式アナログ感知器SE4と、アドレッサブル発信機G1(電話ジャックJ1付き)と、ショートサーキットアイソレータSCIと、防排煙制御用中継器C1と、火災監視用中継器C2、C3、C8と、地区音響制御用中継器C4と、ガス漏れ検知用中継器C5と、防排煙制御用中継器C6と、中継器C7とを有する。これらは、伝送線(1系統)を介して、火災受信機RE1に接続されている。
【0012】
また、火災報知設備FA1は、メッセージ表示機D1、D2、〜、D31(電話ジャック付き)と、ディスプレイシステムDP1、および各中継器に接続される機器として、一般型感知器SE6、SE7、SE8と、ガス漏れ検知器SE9と、P型発信機G2、G3(電話ジャックJ1、J2付き)と、地区ベルBLと、防排煙機器(設備)DS1、DS2とを有する。また、火災報知設備FA1は、電話ジャックJ1、J2、J3、J4に着脱される送受話器TR1、TR2、TR3、TR4を有し、また、発信機G1、G2、G3、およびメッセージ表示機D1〜D31は、電話線TL1を介して、火災受信機RE1に接続されている。
【0013】
差動式スポット型感知器SE1は、いわゆる熱感知器であって、火災による熱(温度上昇)を検出して火災と判別されるときに、火災信号を送信する。光電式スポット型感知器SE2は、いわゆる煙感知器であって、火災による煙を検出して火災と判別されるときに、火災信号を送信する。熱アナログ感知器SE3は、熱感知器の一種であって、火災による熱を検出するために、周囲温度のアナログ値を送信する。
【0014】
アドレッサブル発信機G1は、いわゆる火災発信機であって、火災の発見者が手動操作する押しボタンを備え、火災信号を送信する。
【0015】
ショートサーキットアイソレータSCIは、後段の伝送線の短絡発生時に、後段の伝送線を切り離す装置であって、通常、信号伝送の必要はないが、火災受信機RE1からの復旧信号を受信し、復旧するものもある。ここでは、後段の伝送線の短絡解消時に、回復信号を送信する。
【0016】
防排煙制御用中継器C1は、火災受信機RE1からの制御信号を受信して、接続される防排煙機器DS1を制御する。火災監視用中継器C2、C3は、信号線を介して一般型感知器または火災発信機が接続され、それらからの火災信号(スイッチング動作)を受信して、火災信号を送信する。火災監視用中継器C2は、自動試験機能付火災感知器を接続することができる。
【0017】
地区音響制御用中継器C4は、火災受信機RE1からの制御信号を受信して、接続されている地区ベルBLを鳴動させる。ガス漏れ検知用中継器C5は、信号線を介してガス漏れ検知器SE9が接続され、信号(スイッチング動作)を受信して、ガス漏れ信号を送信する。
【0018】
防排煙制御用中継器C6は、防排煙制御用中継器C1と同様である。中継器C7は、従来の中継器である。火災監視用中継器C8は、火災監視用中継器C3と同様である。
【0019】
電話線TL1は、メッセージ表示機D1等の端末機器と火災受信機RE1とを接続する電話線である。
【0020】
図2は、火災受信機RE1を示すブロック図である。
【0021】
火災受信機RE1は、PSU基板10と、プリンタPR1と、OPO基板B1と、OPIN基板B2と、OPPS基板B3、B4と、NIU基板(ホスト接続用基板)B5と、MCU基板20と、スピーカSP1と、インバータINV1と、タッチパネルTPとして作用するLCD30と、送受話器TR10が着脱される電話ジャックJ10と、CTU基板(伝送基板)B6〜Bnと、AC/DC電源AC/DCと、予備電源BTと、電話線TL1と、電話灯22とを有する。
【0022】
PSU基板10は、AC/DC電源AC/DCとしてのAC/DCコンバータによってAC100Vから生成された直流電圧、DC24Vを各基板10、20、B3〜Bnに電源供給する基板であり、また、OPO基板B1、OPIN基板B2に対して、移報を制御する基板である。MCU基板20は、主制御ユニット基板であり、表示部・メイン処理用の基板であり、メモリカードMC1が挿入、接続される。OPO基板B1は、移報出力用基板である。OPIN基板B2は、移報入力用基板である。
【0023】
OPPS基板B3、B4は、端末機器の電源供給用基板であり、中継器C1〜C8の2次側に接続された端末機器(たとえば地区ベルBL)に電源を供給する基板である。NIU基板B5は、ホスト接続用基板であり、ホスト伝送線を介して、ディスプレイシステムDP1と接続される基板である。
【0024】
インバータINV1は、LCD30のバックライトを駆動する電源を制御するものである。
【0025】
タッチパネルTPとして作用するLCD30は、入力および表示手段の例である。
【0026】
CTU基板B6〜Bnは、端末機器と接続する伝送基板であり、2系統分の伝送線を制御する。
【0027】
AC/DC電源AC/DCは、商用交流電源AC100Vを所定の直流電圧、DC24Vの電源電圧に変換してPSU基板10に出力するものである。予備電源BTとしてのバッテリは、AC100Vによって、PSU基板10、トランス、充電回路を介して常時充電され、AC100Vの停電時に、AC/DC電源AC/DCの代わりに、直流電圧DC24VをPSU基板10に供給する。
【0028】
なお、図2に示すように、PSU基板10の電源部(AC/DC電源AC/DCおよび予備電源BT)からの電源電圧DC24Vは、電源線を介して、各基板10、20、B3〜Bnに電源供給される。
【0029】
ここで、MCU基板20、NIU基板B5、CTU基板B6〜Bnは、電源部(不図示)が設けられ、PSU基板10からの電源電圧DC24Vは、各電源部に電源供給され、各電源部が必要な電源電圧(DC24V、DC5V等)を生成し、内部回路等へ電源供給する。
【0030】
また、PSU基板10、MCU基板20、NIU基板B5、CTU基板B6〜Bnは、上記電源部の他に、A/D変換部、ROM、RAMを内部に有するマイコン(CPU)が搭載されている。
【0031】
図3は、火災報知設備FAの主要部を示すブロック図である。
【0032】
火災受信機RE1は、電話線TL1(T、TC線)を介して、発信機等の端末機器と接続される。
【0033】
PSU基板10は、制御回路(CPU)11と、通話回路12と、発信機側接続検出回路13と、火災受信機側接続検出回路14と、電話ジャックJ10とを有する。
【0034】
発信機側接続検出回路13は、端末機器の電話ジャックJ1〜J4に、送受話器TR1〜TR4の電話プラグP1〜P4が接続されていることを検出する端末機器用差し込み検出手段の例である。つまり、発信機側接続検出回路13は、端末機器から電話呼出があることを検出する。
【0035】
火災受信機側接続検出回路14は、火災受信機RE1の電話ジャックJ10に送受話器TR10の電話プラグP10が接続されたことを検出する火災受信機用差し込み検出手段の例である。
【0036】
すなわち、端末機器と火災受信機RE1とは、それぞれに送受話器が接続されると、通話回路12を介して、互いに通話することができる。
【0037】
各検出回路13、14の各検出結果は、制御回路11に入力される。
【0038】
MCU基板20は、制御回路(CPU)21と、電話灯22と、スピーカSP1、インバータINV1と、LCD/TP30とを有する。
【0039】
制御回路(CPU)21は、PSU基板10の制御回路(CPU)11から、上記検出結果を入力し、電話灯22、スピーカSP1、LCD/TP30を制御する。
【0040】
制御回路21は、端末機器に設けられている電話ジャックに送受話器が差し込まれ、しかも、火災受信機の電話ジャックに送受話器が差し込まれているときに、電話呼出中であることを示すアイコンを、火災受信機RE1の画面(LCD)30に点灯表示させる表示制御手段の例である。
【0041】
図4は、実施例1における電話状態監視動作を示すフローチャートである。
【0042】
図5は、実施例1において、LCD30にアイコン50が表示されている例を示す図である。
【0043】
メンテナンス等においては、各端末機器と火災受信機RE1との間で、順次、通話する。通常、端末機器から電話呼出があると(S1)、火災受信機側送受話器TR10が電話ジャックJ10に接続されていないので(S2)、電話呼出音響を鳴動させ(S3)、電話灯22を点滅させ(S4)、電話呼出中であることを示すアイコン50を、LCD30に点滅表示させ(S5)、S1へ戻る。
【0044】
電話呼出音響、電話灯の点滅表示、または、アイコン50が点滅表示されていることに作業員が気付くと、端末機器から呼出があることを知り、作業員は火災受信機側送受話器TR10を電話ジャックJ10に差し込む。これによって、端末機器と火災受信機RE1との間で通話可能状態になる。つまり、端末機器からの電話呼出があると(S1)、火災受信機側送受話器TR10が電話ジャックJ10に接続され(S2)、通話可能状態となり、そして、電話呼出音響鳴動を停止させ(S6)、電話灯22を点灯させ(S7)、アイコン50を点滅表示から点灯表示に切り替える(S8)。
【0045】
終話時は、通常、端末機器側の送受話器が電話ジャックから取り外されるので、端末機器から電話呼出がなくなり(S1)、また、火災受信機側の送受話器TR10が電話ジャックJ10から取り外されるので、火災受信機側送受話器TR10が接続されず(S9)、電話呼出音響の鳴動を停止させ(S10)、電話灯22を消灯させ(S11)、アイコン50をLCD30から消去させ(S12)、S1へ戻る。
【0046】
ここで、終話時に、S9で、火災受信機側の送受話器TR10を電話ジャックJ10から取り外すことを忘れると、火災受信機側送受話器TR10が接続されているので(S9)、電話呼出音響の鳴動を停止させ(S13)、電話灯22を点灯させたままの状態に維持し(S14)、火災受信機側の送受話器TR10が取り外し忘れであることを作業者に通知し、アイコン50をLCD30から消去させ(S12)、S1へ戻る。
【0047】
ここで、端末機器から電話呼出があったときに(S1)、前回の通話後に火災受信機側送受話器TR10を抜き忘れた等によって火災受信機側送受話器TR10が電話ジャックJ10に接続されたままである場合(S2)、電話呼出音響の鳴動を停止させ(S6)、電話灯22を点灯させ(S7)、アイコン50をLCD30に点灯表示させる(S8)。このように、アイコン50が消灯表示から点灯表示に切り替わるので、火災受信機側送受話器TR10が電話ジャックJ10に接続されたままであっても、端末から電話呼出を受けていることを作業者が知ることができる。
【0048】
実施例1では、一旦通話が終了し、再び端末機器から電話呼出があった場合に(S1)、火災受信機側送受話器TR10が電話ジャックJ10に接続されたままであったとしても(S2)、電話呼出音響が鳴動停止状態のままであり(S6)、電話灯22が点灯状態のままであり(S7)、これだけだと端末から電話呼出を受けていることを作業者へ知らせることができないが、さらに、アイコン50をLCD30に消灯表示から切り替えて点灯表示させる(S8)ので、端末から呼び出されていることを作業者へ知らせることができる。
【0049】
一方、従来の火災受信機では、現場から電話呼出があった場合、呼出音響を鳴動させ、着信中であることを通知している。ここで、呼出音響鳴動中に火災受信機の電話ジャックに送受話器を接続すると呼出音響が停止し、通話状態に移行するが、終話時に送受話器TR10を電話ジャックJ10から取り外さなければ、以降、電話呼出があっても着信音が鳴動できず、呼出中であることに作業者が気付かない。
【0050】
なお、図4において、破線で囲まれたステップS8、S5、S15、S12を省略したフローチャートが、従来例における動作を示すフローチャートである。
【0051】
上記実施例によれば、火災受信機RE1の電話ジャックJ10に送受話器TR10が差し込まれている状態でも、端末機器から呼び出しがあれば、LCD30にアイコン50が表示されるので、端末機器から呼出されていることを作業者が認識することができる。
【0052】
つまり、火災受信機RE1の盤面で作業者が作業し、送受話器TR10を電話ジャックJ10に接続したまま他の作業に没頭しても、端末機器が火災受信機RE1に呼びかけることができる。また、盤面で作業する場合、LCD30を操作することが多く、LCD30へアイコン表示するので、作業者に気付かせることができる。
【0053】
なお、電話灯22は、盤面に多数の表示灯が存在するので、電話灯22の表示変化を、作業者に確実かつ迅速に認識させにくく、また、火災受信機RE1の電話ジャックJ10に送受話器TR10が差し込まれている状態であれば、端末機器からの呼出の有無に拘わらず点灯してしまう。
【0054】
しかし、アイコン50は、火災受信機RE1の電話ジャックJ10に送受話器TR10が差し込まれている状態であって、端末機器からの呼出がないときは消去され、火災受信機RE1の電話ジャックJ10に送受話器TR10が差し込まれている状態であって、端末機器からの呼出があったときにのみ点灯するので、端末機器から呼び出されていることを作業者が確実に認識することができる。なお、アイコン50の表示状態は、点灯でも点滅でも呼出時に表示されさえすればよい。したがって、図4に示すS5とS8にいて、点滅表示と点灯表示とが逆であってもよい。
【0055】
上記実施例において、呼出音響の鳴動状態、電話灯22の表示状態、アイコン50の表示状態は、マイコンで制御されるように、ブロック的に示したが、回路的に実現するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例1である火災受信機RE1を含む火災報知設備FA1のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】火災受信機RE1を示すブロック図である。
【図3】火災報知設備FAの主要部を示すブロック図である。
【図4】実施例1における電話状態監視動作を示すフローチャートである。
【図5】実施例1において、LCD30にアイコン50が表示されている例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
FA1…火災報知設備、
RE1…火災受信機、
J1、J2、J3、J4…電話ジャック、
TR1、TR2、TR3…送受話器、
30…LCD、
50…アイコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末機器に設けられている電話ジャックに、送受話器が差し込まれていることを検出する端末機器用差し込み検出手段と;
火災受信機の電話ジャックに送受話器が差し込まれていることを検出する火災受信機用差し込み検出手段と;
端末機器に設けられている電話ジャックに送受話器が差し込まれ、しかも、火災受信機の電話ジャックに送受話器が差し込まれているときに、電話呼出中であることを示すアイコンを、火災受信機の画面に点灯表示または点滅表示させる表示制御手段と;
を有することを特徴とする火災受信機。
【請求項2】
請求項1において、
上記表示制御手段は、端末機器の電話ジャックに送受話器が差し込まれているが、上記火災受信機の電話ジャックに送受話器が差し込まれていないときに、上記アイコンを点滅表示または点灯表示させる手段であることを特徴とする火災受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−323196(P2007−323196A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150456(P2006−150456)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】