説明

火災時消音装置および火災時消音方法

【課題】外付スピーカが設けられる音響装置を用いてサービスを提供する施設において、音響装置の外付スピーカから音声を発しているときに火災が発生した場合に、火災報知設備が発する警報音を、当該サービスの提供を受ける者が聞き取れるようにすることを、安価に実現することを課題とする。
【解決手段】外付スピーカ32が設けられる音響装置31を用いてサービスを提供する施設3に設置されて、火災時に音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を消音させる火災時消音装置1Aであって、施設3に設置される火災報知設備4に接続され、火災信号を火災報知設備4の受信機43が受信した際に消音信号を発信する消音信号発信機10と、無線回線を通じて消音信号を受信可能に消音信号発信機10に接続され、消音信号を受信した際に外付スピーカ32が発する音声を消音させる消音機20Aと、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災時消音装置および火災時消音方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の施設に設置される火災報知設備に関する技術は公知となっている(特許文献1参照)。
また、前記種々の施設のうち、ネットカフェ、ビデオ試写室、カラオケボックス、スナックバーのように、外付スピーカが設けられる音響装置を用いてサービスを提供する施設においても、火災報知設備が設置されている。
ここで、音響装置とは、音声を再生したり変換したりするための、所謂、オーディオ機器や、オーディオ機器の機能を備える機器(PC、PCに接続されるモニタ、TV、カラオケ機器、オーディオ機器、等)、を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−26902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような外付スピーカが設けられる音響装置を用いてサービスを提供する施設では、音響装置の外付スピーカから音声を発しているとき(サービスの提供中)に火災が発生した場合であっても、当該施設の利用者が施設から避難できるように、火災報知設備が発する火災時の警報音を、外付スピーカからの音声が妨げとならないようにして、当該施設の利用者に聞き取らせる必要がある。
また、前記サービスの提供中に火災報知設備の警報音を当該施設の利用者が聞き取れるようにするためには、音響装置や火災報知設備を交換したり、施設のフロアに配線を引き回したりすることを要し、音響装置や火災報知設備の交換費用や配線工事費用が高額になってしまう。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、外付スピーカが設けられる音響装置を用いてサービスを提供する施設において、音響装置の外付スピーカから音声を発しているときに火災が発生した場合に、火災報知設備が発する警報音を、当該サービスの提供を受ける者が聞き取れるようにすることを安価に実現すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、外付スピーカが設けられる音響装置を用いてサービスを提供する施設に設置されて、火災時に前記音響装置の外付スピーカが発する音声を消音させる、火災時消音装置であって、前記施設に設置される火災報知設備に接続され、火災を感知した前記火災報知設備の感知器から発信される火災信号、または、火災を感知した者の操作によって前記火災報知設備の発信機から発信される火災信号、を前記火災報知設備の受信機が受信した際に、消音信号を発信する、消音信号発信機と、無線回線を通じて前記消音信号を受信可能に前記消音信号発信機に接続され、前記消音信号発信機からの消音信号を受信した際に前記音響装置の外付スピーカが発する音声を消音させる、消音機と、を具備するものである。
【0008】
請求項2においては、火災報知設備が設置されるとともに、外付スピーカが設けられる音響装置を用いてサービスを提供する施設において、火災時に前記音響装置の外付スピーカが発する音声を消音させる火災時消音方法であって、火災を感知した前記火災報知設備の感知器から発信される火災信号、または、火災を感知した者の操作によって前記火災報知設備の発信機から発信される火災信号、を前記火災報知設備の受信機が受信した際に、前記施設に設置されるとともに前記火災報知設備に接続される火災時消音装置の消音信号発信機が、消音信号を発信する工程と、無線回線を通じて前記消音信号を受信可能に前記火災時消音装置の消音信号発信機に接続された前記火災時消音装置の消音機が、前記火災時消音装置の消音信号発信機からの前記消音信号を受信する工程と、前記火消音信号を受信した前記火災時消音装置の消音機が、前記音響装置の外付スピーカが発する音声を消音させる工程と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
即ち、本発明によれば、外付スピーカが設けられる音響装置を用いてサービスを提供する施設において、音響装置の外付スピーカから音声を発しているときに火災が発生した場合に、火災報知設備が発する警報音を、当該サービスの提供を受ける者が聞き取れるようにすることを、安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一実施形態に係る火災時消音装置と、外付スピーカが設けられる音響装置を用いてサービスを提供する施設と、当該施設に設置される火災報知設備と、を示した概念図。
【図2】本発明の第一実施形態に係る火災時消音装置の消音機と、音響装置と、外付スピーカとを示した概念図。
【図3】発明の実施形態に係る火災時消音方法のフローチャート図。
【図4】(a)本発明の第一実施形態に係る火災時消音装置のブロック図、(b)は同じく火災時消音装置の消音機の一部回路図。
【図5】本発明の第二実施形態に係る火災時消音装置の消音機と、音響装置と、電源と、を示した概念図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の第一実施形態に係る火災時消音装置1Aについて、図1から図4を用いて説明する。
【0013】
火災時消音装置1Aは、図1に示すように、外付スピーカ32が設けられる音響装置31を用いてサービスを提供する施設3(以下、「施設3」という)、に設置される。また、火災時消音装置1Aは、施設3において、火災時に、音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を消音させる装置である。
【0014】
施設3とは、ネットカフェ、ビデオ試写室、カラオケボックス、スナックバーのように、外付スピーカ32が設けられる音響装置31を用いてサービスを提供する施設を示す。施設3には、火災報知設備4が設置される。
【0015】
外付スピーカ32が設けられる音響装置31とは、音声を再生したり変換したりするための、所謂、オーディオ機器や、オーディオ機器の機能を備える機器(PC、PCに接続されるモニタ、TV、カラオケ機器、オーディオ機器、等)、を示す。音響装置31は、施設3において、単数台または複数台設置される。
【0016】
音響装置31に設けられる外付スピーカ32とは、音響装置31に接続されて、音声に関する電気信号を音声に変換する装置であって、同一の部屋中にいる複数人に同一の音声を聞かせることができるようなスピーカ(例えば、ブックシェルフ型スピーカやフロア型スピーカ)や、音声を一人で聞くことを目的とするスピーカ(イヤホン、ヘッドホン、ヘッドセット)を示す。
【0017】
なお以下において、施設3はネットカフェを示すものとして説明する。
また以下において、外付スピーカ32が設けられる音響装置31は、施設3(ネットカフェ)において前記サービスを提供するための、PC、PCに接続されるモニタ、または、TV、を示すものとして説明する。音響装置31は、施設3において複数の仕切られた空間毎に、複数台設置される。
また以下において、音響装置31に設けられる外付スピーカ32は、施設3に設置される複数台の音響装置31のそれぞれに接続されて、施設3の利用者5がそのサービスの提供を受けるために着用するヘッドホンを示すものとして説明する。
【0018】
火災報知設備4は、これが設置される施設3で火災が発生した際に、施設3内にいる人に避難を促し、または、初期消火活動を促すための設備である。
火災報知設備4は、感知器41と、発信機42と、受信機43と、を具備する。火災報知設備4の感知器41と受信機43とは、有線回線または無線回線を通じて電気的に接続される。火災報知設備4の発信機42と受信機43とは、有線回線または無線回線を通じて電気的に接続される。
【0019】
火災報知設備4の感知器41は、施設3内の一または二以上の箇所に設置されて、当該施設3内の設置された箇所で火災が発生したことを自動的に感知するものである。火災報知設備4の感知器41は、火災時にける煙や温度や炎等を感知することによって、火災が発生したことを感知する。
火災報知設備4の感知器41は、施設3内の火災を感知した際に、火災報知設備4の受信機43に前記回線を通じて火災信号を発信する。
【0020】
火災報知設備4の発信機42は、施設3内の一または二以上の箇所に設置される。
火災報知設備4の発信機42は、施設3内において火災を感知した者がこれを手動で操作する(例えば、発信機42が備える押しボタンを押す)ことによって、火災報知設備4の受信機43に、前記回線を通じて火災信号を発信するものである。
【0021】
火災報知設備4の受信機43は、施設3内に一台設置されて、単数台または複数台の感知器41や発信機42からの火災信号を、前記回線を通じて受信するものである。
前記火災報知設備4の感知器41や発信機42から発信される火災信号のうち少なくとも一つの火災信号を、火災報知設備4の受信機43が受信した際に、火災報知設備4は、自動的に、管理者や警備会社等に、火災が発生した旨や火災の発生場所等を、有線回線または無線回線を通じて知らせる。
前記少なくとも一つの火災信号を火災報知設備4の受信機43が受信した際に、火災報知設備4は、自動的に、施設3内において警報音を発する。例えば、火災報知設備4の受信機43が火災信号を受信した際に、火災報知設備4は、自動的に、施設3内に設置された地区音響装置のベルを鳴動させ、または、非常放送設備を可動させて火事が発生した旨のガイダンスを施設3内に放送させる。
【0022】
火災時消音装置1Aは、消音信号発信機10と、消音機20Aと、を具備する。火災時消音装置1Aの消音信号発信機10と消音機20Aとは、無線回線を通じて電気的に接続される。
【0023】
火災時消音装置1Aの消音信号発信機10は、施設3に設置される火災報知設備4の受信機43に有線回線を通じて電気的に接続される。
火災時消音装置1Aの消音信号発信機10は、前記少なくとも一つの火災信号を、火災報知設備4の受信機43が受信した際に、無線回線を通じて、消音信号を消音機20Aに発信するように構成される。
例えば、火災時消音装置1Aの消音信号発信機10は、火災報知設備4の受信機43が火災信号を受信した際に、火災報知設備4の受信機43から火災時消音装置1Aの消音信号発信機10に所定の電圧が出力したことを検知するように構成され、当該所定の電圧を検知したことを契機に、火災時消音装置1Aの消音機20Aに消音信号を発信するように構成される。
【0024】
火災時消音装置1Aの消音機20Aは、消音信号発信機10からの消音信号を受信した際に音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を、消音させるものである。
火災時消音装置1Aの消音機20Aは、複数台の音響装置31(PC、PCに接続されるモニタ、TV)と、当該複数台の音響装置31のそれぞれに設けられる外付スピーカ32(ヘッドホン)と、の間にそれぞれ配置される。
それぞれの火災時消音装置1Aの消音機20Aは、火災時消音装置1Aの消音信号発信機10から発信される消音信号を、無線回線を通じて受信可能に構成される。
【0025】
図2に示すように、火災時消音装置1Aの消音機20Aは、外付スピーカ32のイヤホンプラグ33が挿し込み可能なイヤホンジャック21と、音響装置31のイヤホンジャックに挿し込み可能なイヤホンプラグ22と、を備える。
そして、火災時消音装置1Aの消音機20Aは、消音機20Aのイヤホンジャック21に外付スピーカ32のイヤホンプラグ33を挿し込むとともに、消音機20Aのイヤホンプラグ22を音響装置31のイヤホンジャックに挿し込むことで、消音機20Aを介して、音響装置31から送信される音声に関する電気信号(以下、「音声信号」いう)を、外付スピーカ32に送信可能に構成される。
火災時消音装置1Aの消音機20Aは、火災時消音装置1Aの消音信号発信機10からの消音信号を受信した際に、音響装置31から送信される音声信号を遮断するように構成される。
【0026】
このように、火災時消音装置1Aでは、その消音信号発信機10が火災信号を受信して消音信号を発信し、そのそれぞれの消音機20Aが当該消音信号を受信して音響装置31から送信されるそれぞれの音声信号を遮断することにより、火災時において、当該それぞれの音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を消音させる。
このため、火災時消音装置1Aでは、従来から設置されている音響装置31を交換することを要さない。また、火災時消音装置1Aでは、施設3のフロアに配線を引き回すことを要さず、火災時消音装置1Aの設置作業を簡易に行うことができる。
したがって、火災時消音装置1Aによれば、従来から設置されている音響装置31を交換したり、施設3のフロアに配線を引き回したりすることを要さずに、施設3において、外付スピーカ32から音声を発しているときに火災が発生した場合に、火災報知設備4が発する警報音を、当該サービスの提供を受ける者が聞き取れるように(外付スピーカ32から音声が妨げとならないように)することができる。
よって、火災時消音装置1Aによれば、音響装置31の外付スピーカ32から音声を発しているときに火災が発生した場合に、火災報知設備4が発する警報音を、当該サービスの提供を受ける者が聞き取れるように(外付スピーカ32から音声が妨げとならないように)することができることを、安価に実現することができる。
【0027】
また、火災時消音装置1Aでは、火災時において、音響装置31から送信されるそれぞれの音声信号を遮断することにより、音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を消音させる。つまり、火災時消音装置1Aでは、音響装置31の電力を遮断せずに、音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を消音させる。
したがって、火災時消音装置1Aによれば、電源のON・OFFによる負担を音響装置31にかけることなく、音響装置31の外付スピーカ32から音声を発しているときに火災が発生した場合に、火災報知設備4が発する警報音を、当該サービスの提供を受ける者が聞き取れるようにすることができる。
【0028】
次に、施設3において、火災時に前記音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を消音させる火災時消音方法について、図3を用いて説明する。
【0029】
図3に示すステップS1において、施設3内に設置された火災報知設備4の感知器41のうち少なくとも一台の感知器41が、当該施設3内の設置された箇所で火災が発生したことを感知する。前記処理を行った後、ステップS2に移行する。施設3内に設置された火災報知設備4の感知器41の感知器41が火災が発生したことを感知していない場合には、ステップS3に移行する。
【0030】
図3に示すステップS2において、火災報知設備4の感知器41は、施設3内の火災を感知した際に、火災報知設備4の受信機43に火災信号を発信する。前記処理を行った後、ステップS4に移行する。
【0031】
図3に示すステップS3において、施設3内に設置された火災報知設備4の発信機42のうち少なくとも一台の発信機42を、当該施設3内において火災を感知した者が操作すると、当該発信機42は、火災報知設備4の受信機43に、火災信号を発信する。前記処理を行った後、ステップS4に移行する。施設3内に設置された火災報知設備4の発信機42が当該施設3内において火災を感知した者に操作されず、発信機42が、火災信号を発信しない場合には、ステップS1に戻る。
【0032】
図3に示すステップS4において、火災報知設備4の感知器41または発信機42から発信される火災信号を、火災報知設備4の受信機43が受信する。前記処理を行った後、ステップS5に移行する。
【0033】
図3に示すステップS5において、火災時消音装置1Aの消音信号発信機10は、火災報知設備4の感知器41または発信機42から発信される火災信号のうち少なくとも一つの火災信号を、火災報知設備4の受信機43が受信した際に、消音信号を消音機20Aに発信する。前記処理を行った後、ステップS6に移行する。
【0034】
図3に示すステップS6において、火災時消音装置1Aの消音機20Aは、火災時消音装置1Aの消音信号発信機10からの消音信号を受信する。前記処理を行った後、ステップS7に移行する。
【0035】
図3に示すステップS7において、火災時消音装置1Aは、その消音機20Aが消音信号を受信した際に音響装置31から送信されるそれぞれの音声信号を遮断して、音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を消音させる。
【0036】
このように、施設3において火災時に前記音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を消音させる火災時消音方法では、火災時消音装置1Aの消音信号発信機10が火災信号を受信して消音信号を発信し、消音機20Aが当該消音信号を受信して音響装置31から送信されるそれぞれの音声信号を遮断することにより、火災時において、音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を消音させる。
このため、前記火災時消音方法では、従来から設置されている音響装置31を交換することを要さない。また、前記火災時消音方法では、施設3のフロアに配線を引き回すことを要さず(消音信号発信機10や消音機20Aを設置するだけで)、火災時消音装置1Aの設置作業を簡易に行うことができる。
したがって、前記火災時消音方法によれば、従来から設置されている音響装置31を交換したり、施設3のフロアに配線を引き回したりすることを要さずに、施設3において、外付スピーカ32から音声を発しているときに火災が発生した場合に、火災報知設備4が発する警報音を、当該サービスの提供を受ける者が聞き取れるようにすることができる。
よって、前記火災時消音方法によれば、音響装置31の外付スピーカ32から音声を発しているときに火災が発生した場合に、火災報知設備4が発する警報音を、当該サービスの提供を受ける者が聞き取れるようにすることができることを、安価に実現することができる。
【0037】
なお、火災報知設備4は、その感知器41と発信機42とのうち、いずれか一方を具備する構成としてもよい。
火災時消音装置1Aは、火災信号を受信していた火災報知設備4の受信機43が火災信号を受信しなくなった場合に、火災時消音装置1Aの消音信号発信機10からの消音信号の発信を停止して、消音機20Aが音響装置31からの音声信号を遮断する状態を解消するように構成してもよい。
火災時消音装置1Aの消音信号発信機10および消音機20Aは、ACアダプタを介して家庭用電源から電力が供給されるように構成してもよく、これらに電源としての電池を備える構成としてもよい。
【0038】
また、図4(a)に示すように、火災時消音装置1Aの消音信号発信機10は、情報処理装置11と記憶装置12とを具備する。火災時消音装置1Aの消音機20Aは、情報処理装置23と記憶装置24とを具備する。
【0039】
火災時消音装置1Aの消音信号発信機10における情報処理装置11は、火災報知設備4の受信機43が火災信号を受信した際における消音機20Aへの消音信号の発信や、火災報知設備4の受信機43が火災信号を受信しなくなった際における消音機20Aへの消音信号の発信の停止、を制御するものである。
火災時消音装置1Aの消音信号発信機10におけるの記憶装置12は、種々のデータを記憶するとともに、前記種々のデータを出力するためのものである。火災時消音装置1Aの消音信号発信機10におけるの記憶装置12は、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)、HDD(Hard Disc Drive)等により構成される。
【0040】
火災時消音装置1Aの消音信号発信機10におけるの記憶装置12には、予め、個別ID情報61が記憶されている。個別ID情報61とは、火災時消音装置1Aのそれぞれの消音機20Aごとに割付けられた個別のIDに関する情報である。
火災時消音装置1Aは、その消音信号発信機10における情報処理装置11が、個別ID情報61に基づいて個別の消音機20Aごとに、前記消音信号の発信や前記消音信号の発信の停止を制御できるように、構成される。
【0041】
火災時消音装置1Aの消音機20Aにおける情報処理装置23は、消音信号発信機10からの消音信号を受信した際に音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を消音させる制御をするものである。
火災時消音装置1Aの消音機20Aにおけるの記憶装置24は、種々のデータを記憶するとともに、前記種々のデータを出力するためのものである。火災時消音装置1Aの消音機20Aにおけるの記憶装置24は、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)、HDD(Hard Disc Drive)等により構成される。
火災時消音装置1Aの消音機20Aにおけるの記憶装置24には、予め、その消音機20A自身についての個別ID情報61が記憶されている。
【0042】
そして、火災時消音装置1Aは、その消音信号発信機10にPCを接続可能に構成するとともに、火災時消音装置1Aの消音信号発信機10と消音機20Aとを双方向送受信可能に構成して、前記消音信号発信機10に接続されるPCの操作よって、消音機20Aの動作試験、消音機20Aの設定等を可能に構成される。
火災時消音装置1Aは、前記消音信号発信機10に接続されるPCの操作よる消音機20Aの動作試験や消音機20Aの設定の際に、個別ID情報61を、前記前記消音信号発信機10に接続されるPCの操作よって選択して、当該選択された個別の消音機20Aごとに、消音機20Aの動作試験や消音機20Aの設定をおこなうことができるように構成される。
【0043】
火災時消音装置1Aは、消音機20Aの動作状態を確認することができるように構成してもよい。火災時消音装置1Aの消音機20Aの動作状態とは、例えば、消音機20Aの電源がONされているか若しくはOFFされているか、また、消音信号発信機10と消音機20Aとが無線回線を通じて接続されているか、等の状態をいう。
火災時消音装置1Aの消音機20Aの動作状態の確認は、例えば、まず、予め設定された所定の時間ごとに火災時消音装置1Aの消音信号発信機10が、動作確認のための信号を、各消音機20Aに発信する。次に、当該動作確認のための信号を受信した火災時消音装置1Aの消音機20Aは、動作確認のための信号を受信した旨の信号を、消音信号発信機10に発信する。ここで、当該動作確認のための信号を受信した旨の信号には、これを発信する消音機20Aに割付けられた個別ID情報61が付されている。そして、当該動作確認のための信号を受信した旨の信号を火災時消音装置1Aの消音信号発信機10が受信する。火災時消音装置1Aの消音信号発信機10は、当該動作確認のための信号を受信した旨の信号を受信することによって、前記動作確認のための信号を受信した旨の信号を発信した消音機20Aごとの個別ID情報61と、前記動作確認のための信号を受信した旨の発信していない消音機20Aごとの個別ID情報61と、を認識する。さらに、火災時消音装置1Aは、前記動作確認のための信号を受信した旨の発信していない消音機20Aごとの個別ID情報61を、消音信号発信機10に接続されるPCのモニタに表示する。
このようにして、火災時消音装置1Aは、消音機20Aの動作状態を作業者が確認することができるように構成される。
【0044】
また、火災時消音装置1Aは、消音機20Aにおける動作試験の際においては、前記動作確認のための信号を受信した旨の信号を発信していない消音機20Aの個別ID情報61を消音信号発信機10が認識した場合に、消音信号発信機10がブザー音を発するように構成してもよく、または、消音信号発信機10に接続されるPCのモニタに表示するように構成してもよい。
【0045】
また、図4(a)に示すように、火災時消音装置1Aの消音機20Aにおけるの記憶装置24には、予め、ガイダンス情報62が記憶されている。ガイダンス情報62とは、火災時において、外付スピーカ32から発する任意の音声ガイダンス(例えば、「火事です」)に関する情報である。
そして、火災時消音装置1Aは、その消音機20Aが消音信号を受信して音響装置31から送信される音声信号を遮断した際に、前記ガイダンスを、外付スピーカ32から発するように構成される(図4(b)参照)。
なお、火災時消音装置1Aは、外付スピーカ32から発するガイダンスを、個別の消音機20Aごとに種類を変えて外付スピーカ32から発するように構成してもよい。
【0046】
また、火災時消音装置1Aは、前記ガイダンスを発するか否かの設定または発する前記ガイダンスの種類の設定を、火災時消音装置1Aの消音信号発信機10に接続されるPCや、音響装置31(PC)の操作によって変更可能なように構成したり、火災時消音装置1Aの消音信号発信機10または消音機20Aに当該設定変更用のスイッチを設けて、当該設定を変更可能なように構成してもよい。
火災時消音装置1Aは、これの消音信号発信機10を操作することによって、消音機20Aにおける電源のON/OFFが可能となるように構成してもよい。
【0047】
火災時消音装置1Aは、その消音信号発信機10と消音機20Aとが、消音信号発信機10と消音機20Aとの間に中継機を介して接続可能に構成してもよい。このように、火災時消音装置1Aの消音信号発信機10と消音機20Aとが中継機を介して接続可能に構成されることにより、例えば、火災時消音装置1Aの消音信号発信機10と消音機20Aとがそれぞれことなるフロアに設置されて互いの通信状態が不良なことが予測される場合にも、当該通信状態を良好にすることができる。
【0048】
火災時消音装置1Aは、その消音機20Aが消音信号を受信して音響装置31から送信される音声信号を遮断した際に、マイクで集音した外部の音声を、外付スピーカ32(または音響装置31)から発するように構成してもよい。
【0049】
次に、本発明の第二実施形態に係る火災消音装置1Bについて、図5を用いて説明する。
なお、第二実施形態に係る火災消音装置1Bは、第一実施形態に係る火災消音装置1Aと同様の構成を有する部分があるため、火災消音装置1Bの説明は、火災消音装置1Aと同様の構成の部分については適宜省略し、火災消音装置1Aの構成と異なる部分を中心に説明する。
なお以下において、外付スピーカ32が設けられる音響装置31は、施設3(ネットカフェ)において前記サービスを提供するための、PCに接続されるモニタ、を示すものとして説明する。
【0050】
火災時消音装置1Bの消音機20Bは、複数台の音響装置31(PCに接続されるモニタ)と、当該複数台の音響装置31のそれぞれに電力を供給する電源と、の間にそれぞれ配置される。
【0051】
火災時消音装置1Bの消音機20Bは、図5に示すように、音響装置31の電源プラグ34が挿し込み可能な電源ジャック25と、音響装置31に電力を供給する電源の電源ジャック71に挿し込み可能な電源プラグ26と、を備える。
そして、火災時消音装置1Bの消音機20Bは、消音機20Bの電源ジャック25に音響装置31の電源プラグ34を挿し込むとともに、消音機20Bの電源プラグ26を前記電源の電源ジャック71に挿し込むことで、消音機20Bを介して、前記電源から音響装置31に電力を供給可能に構成される。
火災時消音装置1Bの消音機20Bは、火災時消音装置1Bの消音信号発信機10からの消音信号を受信した際に、前記電源から供給される電力を遮断するように構成される。
【0052】
このように、火災時消音装置1Bでは、その消音信号発信機10が火災信号を受信して消音信号を発信し、そのそれぞれの消音機20Bが当該消音信号を受信してそれぞれの音響装置31に供給される電力を遮断することにより、火災時において、当該それぞれの音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を消音させる。
このため、火災時消音装置1Bでは、従来から設置されている音響装置31を交換することを要さない。また、火災時消音装置1Bでは、施設3のフロアに配線を引き回すことを要さず、火災時消音装置1Bの設置作業を簡易に行うことができる。
したがって、火災時消音装置1Bによれば、従来から設置されている音響装置31を交換したり、施設3のフロアに配線を引き回したりすることを要さずに、施設3において、外付スピーカ32から音声を発しているときに火災が発生した場合に、火災報知設備4が発する警報音を、当該サービスの提供を受ける者が聞き取れるようにすることができる。
よって、火災時消音装置1Bによれば、音響装置31の外付スピーカ32から音声を発しているときに火災が発生した場合に、火災報知設備4が発する警報音を、当該サービスの提供を受ける者が聞き取れるようにすることができることを、安価に実現することができる。
【0053】
また、火災時消音装置1Bでは、火災時において、音響装置31(PCに接続されるモニタ)に供給される電力を遮断することにより、音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を消音させる。つまり、火災時消音装置1Bでは、音響装置31が接続されるPCの電力を遮断せずに、音響装置31の外付スピーカ32が発する音声を消音させる。
したがって、火災時消音装置1Bによれば、音響装置31が接続されるPCに電源のON・OFFによる負担をかけることなく、音響装置31の外付スピーカ32から音声を発しているときに火災が発生した場合に、火災報知設備4が発する警報音を、当該サービスの提供を受ける者が聞き取れるようにすることができる。
【符号の説明】
【0054】
1A 火災時消音装置
3 施設
4 火災報知設備
5 利用者
10 消音信号発信機
20A 消音機
31 音響装置
32 外付スピーカ
41 感知器
42 発信機
43 受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外付スピーカが設けられる音響装置を用いてサービスを提供する施設に設置されて、火災時に前記音響装置の外付スピーカが発する音声を消音させる、火災時消音装置であって、
前記施設に設置される火災報知設備に接続され、火災を感知した前記火災報知設備の感知器から発信される火災信号、または、火災を感知した者の操作によって前記火災報知設備の発信機から発信される火災信号、を前記火災報知設備の受信機が受信した際に、消音信号を発信する、消音信号発信機と、
無線回線を通じて前記消音信号を受信可能に前記消音信号発信機に接続され、前記消音信号発信機からの消音信号を受信した際に前記音響装置の外付スピーカが発する音声を消音させる、消音機と、
を具備する、火災時消音装置。
【請求項2】
火災報知設備が設置されるとともに、外付スピーカが設けられる音響装置を用いてサービスを提供する施設において、火災時に前記音響装置の外付スピーカが発する音声を消音させる火災時消音方法であって、
火災を感知した前記火災報知設備の感知器から発信される火災信号、または、火災を感知した者の操作によって前記火災報知設備の発信機から発信される火災信号、を前記火災報知設備の受信機が受信した際に、前記施設に設置されるとともに前記火災報知設備に接続される火災時消音装置の消音信号発信機が、消音信号を発信する工程と、
無線回線を通じて前記消音信号を受信可能に前記火災時消音装置の消音信号発信機に接続された前記火災時消音装置の消音機が、前記火災時消音装置の消音信号発信機からの前記消音信号を受信する工程と、
前記火消音信号を受信した前記火災時消音装置の消音機が、前記音響装置の外付スピーカが発する音声を消音させる工程と、
を具備する、火災時消音方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−33115(P2012−33115A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174004(P2010−174004)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(510210748)タイホ防災工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】