火災監視装置
【課題】人体センサの検出結果と炎センサとの検出結果を組み合わせて放火判定を行う火災監視装置において、紫外線式炎感知器の誤報防止や電池省力化を図ることで、実用性の高い火災監視装置を提供すること。
【解決手段】監視領域における火災を監視するための火災監視装置1であって、監視領域における所定の状態を検出する赤外線センサ部2と、監視領域における火災を感知する紫外線センサ部3と、赤外線センサ部2にて所定の状態が検出された場合に、紫外線センサ部3をオンする電源制御部3bと、紫外線センサ部3のオン状態における感知結果に基づいて、監視領域における火災の有無を判定する制御部6とを備える。
【解決手段】監視領域における火災を監視するための火災監視装置1であって、監視領域における所定の状態を検出する赤外線センサ部2と、監視領域における火災を感知する紫外線センサ部3と、赤外線センサ部2にて所定の状態が検出された場合に、紫外線センサ部3をオンする電源制御部3bと、紫外線センサ部3のオン状態における感知結果に基づいて、監視領域における火災の有無を判定する制御部6とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視領域における火災の監視を行なう火災監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の火災感知器が提案されており、その一部として、赤外線式炎感知器や紫外線式炎感知器が知られている。赤外線式炎感知器は、炎から発生する光に含まれる赤外線を検出するもので、炎からの赤外線は人工照明や高温物体から放射される赤外線とは異なる特有の周波数でちらつく点や、炎からの赤外線は炭酸ガス(CO2)から共鳴放射される特定波長付近のスペクトル強度が大きい点を利用し、火災とその他の高温物体とを相互に区別して炎を検出する。この赤外線式炎感知器は、検出対象とする赤外線の波長をフィルタにて調節することで、人体から発せられる赤外線を検出する人体検出器として利用し、あるいは、人体から発せられる赤外線と炎から発せられる赤外線との両方を検出する人体火災検出器として利用することができる。例えば、特許文献1〜3には、人体と炎との両方を検出可能な赤外線式感知器が記載されている。
【0003】
また、紫外線式炎感知器は、炎から発生する光に含まれる紫外線を検出するもので、UVトロン(登録商標)と呼ばれる外部光電効果を利用した放電管にて紫外線を受光し、受光された紫外線をパルスとしてカウントして、このカウントが一定値以上になると火災と断定する。
【0004】
ここで、火災の主原因は放火であることが知られており、放火を検出することが防火上の重要な課題になっている。そこで、従来から、特に放火を対象とした火災監視装置が提案されている。このような放火検知用の火災監視装置としては、放火が人為的な着火によるものであることに基づいて、炎検出機能に加えて人体検出機能を持たせ、これらによる炎検出結果と人体検出結果とを組み合わせて、放火判定を行うものがある。例えば、特許文献4には、人体センサの検出結果と炎センサとの検出結果を組み合わせて放火判定を行う火災監視装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−346994号公報
【特許文献2】特開平6−331755号公報
【特許文献3】特開平10−283579号公報
【特許文献4】特開2000−123266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、紫外線式炎感知器は、検出感度が高いため、放火初期の小さな炎でも検出できる一方、人体の静電気を含む各種の紫外線に反応してしまい、誤報を招く可能性もある。また、紫外線式炎感知器を屋外に設定する場合、配線作業を省略できる電池式の紫外線式炎感知器を設置することが好ましいが、このような電池式の紫外線式炎感知器を放火検知のための長時間に渡って駆動させておくことは、電池消耗を招くために実用性に乏しい。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、人体センサの検出結果と炎センサとの検出結果を組み合わせて放火判定を行う火災監視装置において、紫外線式炎感知器の誤報防止や電池省力化を図ることで、実用性の高い火災監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の火災監視装置は、監視領域における火災を監視するための火災監視装置であって、前記監視領域における所定の状態を検出する検出手段と、前記監視領域における火災を感知する火災感知手段と、前記検出手段にて前記所定の状態が検出された場合に、前記火災感知手段をオンする火災感知制御手段と、前記火災感知手段のオン状態における感知結果に基づいて、前記監視領域における火災の有無を判定する火災判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の火災監視装置は、請求項1に記載の火災監視装置において、前記火災感知制御手段は、前記検出手段にて前記所定の状態が検出された場合において、所定の火災感知待機時間の経過後に、前記火災感知手段を所定の火災感知時間だけオンすること、を特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の火災監視装置は、請求項1又は2に記載の火災監視装置において、前記火災感知制御手段は、前記火災感知手段をオンした場合、前記検出手段にて前記所定の状態が検出されてから所定の再検出監視時間の経過前に、当該検出手段にて前記所定の状態が再検出された場合には、当該再検出された時点を基準として前記火災感知時間を再設定すること、を特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の火災監視装置は、請求項3に記載の火災監視装置において、前記火災感知制御手段は、前記火災感知手段をオンした場合、前記検出手段にて前記所定の状態が検出されてから所定の再検出監視時間の経過後に、当該検出手段にて前記所定の状態が再び検出された場合には、前記火災感知手段をオフすると共に、当該オフの時点から前記火災感知待機時間の経過後に、前記火災感知手段を所定の火災感知時間だけオンすること、を特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の火災監視装置は、請求項4に記載の火災監視装置において、前記火災感知制御手段は、前記検出手段にて前記所定の状態が検出された場合において、前記火災感知手段を、前記火災感知待機時間より短い所定の一時火災感知時間だけオンすること、を特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の火災監視装置は、請求項1から5のいずれか一項に記載の火災監視装置において、前記火災感知制御手段は、前記検出手段にて前記所定の状態が検出されるか否かに関わらず、前記火災感知手段を、所定の定期監視間隔毎にオンすること、を特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載の火災監視装置は、請求項1から6のいずれか一項に記載の火災監視装置において、前記検出手段は、前記監視領域における人体を検出する人体検出器であること、を特徴とする。
【0015】
また、請求項8に記載の火災監視装置は、請求項7に記載の火災監視装置において、前記検出手段は、焦電式赤外線センサであり、前記火災感知手段は、紫外線式炎感知器であること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の本発明によれば、検出手段にて所定の状態が検出された場合に火災感知手段をオンすることで、火災感知手段として紫外線センサの如き高感度な感知手段を用いた場合であっても、例えば人体が検出された場合にのみ紫外線センサをオンして火災検出を行う等、火災感知手段の検知タイミングを制御できて、その誤報の可能性を低減できる。また、必要時にのみ火災感知手段をオンし、その他の場合には火災感知手段をオフにすることで、火災監視装置の消費電力を低減でき、特に電池式の火災監視装置を長時間に渡って駆動させることができる。
【0017】
また、請求項2に記載の本発明によれば、火災感知待機時間の経過後に火災感知手段をオンするので、例えば監視領域に人が入室した直後には火災感知を行わず、入室して一定時間経ってから火災感知を行うことで、火災感知手段として紫外線センサの如き高感度な感知手段を用いた場合であっても、人の出入りに伴う静電気等のノイズの影響を受ける可能性を低減し、誤報の可能性を低減できる。
【0018】
また、請求項3に記載の本発明によれば、再検出監視時間の経過前に所定の状態が再検出された場合に、火災感知時間を再設定することで、例えば監視領域に人が入室した後、同一人物が動作している場合には、継続的に火災感知を行うようにして、放火を早期に発見することができる。
【0019】
また、請求項4に記載の本発明によれば、再検出監視時間の経過後に所定の状態が再び検出された場合に、火災感知手段をオフすると共に、当該オフの時点から火災感知待機時間の経過後に火災感知手段をオンすることで、例えば監視領域に人が入室した後、他の人が入室した場合には、直後には火災感知を行わず、入室して一定時間経ってから改めて火災感知を行うことで、人の出入りに伴う静電気等のノイズの影響を受ける可能性を低減し、誤報の可能性を低減できる。
【0020】
また、請求項5に記載の本発明によれば、所定の状態が検出された場合にはその直後に火災感知手段をオンすることで、放火が行われた場合には、放火後に立ち去る犯人の動きによって人体検出が行われることが考えられるため、放火直後の犯人の動作をトリガとして炎の監視を開始することで、放火をより迅速に検出することができる。
【0021】
また、請求項6に記載の本発明によれば、検出手段にて所定の状態が検出されるか否かに関わらず、火災感知手段を定期監視間隔毎にオンすることで、検出手段に何らかの障害があった場合や、放火犯が検出手段で検知されないような態様で入室した場合のように、監視領域に侵入した人間が存在するにも関わらず、検出手段が何らかの原因によって機能しない場合であっても、火災感知手段によって火災が検出された場合には、火災と断定することで失報を防止するためである。
【0022】
また、請求項7に記載の本発明によれば、検出手段として人体検出器を用いることで、人体が検出された場合に火災感知手段をオンすることができ、人体の検出結果と火災の検出結果とに基づいて、放火判定を行なうこと等ができる。特に、火災監視装置に火災感知手段と人体検出器との両方を設けたことから、放火監視機能を1台の火災監視装置に持たせることができ、放火監視が容易になる。
【0023】
また、請求項8に記載の本発明によれば、検出手段を焦電式赤外線センサとすると共に、火災感知手段を紫外線式炎感知器とすることで、焦電式赤外線センサの人体検出結果を受けて、高感度な紫外線式炎感知器をオンすることができ、高感度な紫外線式炎感知器を用いた場合であっても誤報を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る火災監視装置の各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態に係る火災監視装置は、監視領域における火災を監視するための火災監視装置である。この監視領域は任意であるが、例えば、一般住宅の周囲や駐車場を挙げることができる。また、特記する場合を除いて、直接的な検出対象になる物理量やこの物理量を用いた監視対象になる現象も任意であり、例えば、赤外線、紫外線、煙、若しくは、熱を検出することで火災や炎の有無を監視し、あるいは、赤外線や熱を検出することで人体の有無を監視する。以下の形態では、赤外線感知器やその他の防災機器と、紫外線式炎感知器とを組み合わせて使用する例について説明する。
【0026】
この火災監視装置の特徴の一つは、赤外線感知器の感知結果に基づいて、紫外線式炎感知器のオン/オフを制御する点にある。すなわち、常時は、赤外線感知器にて、監視領域における人体の存在を監視し、人体が検出された場合にのみ、紫外線式炎感知器をオンして、炎の有無を判定する。このことで、紫外線式炎感知器を短時間のみオンしてその誤報を防止すると共に、電池式の紫外線式炎感知器の消費電力を削減する。
【0027】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
〔実施の形態1〕
次に、本発明に係る各実施の形態の具体的内容について説明する。まず、実施の形態1の具体的内容について説明する。最初に、火災監視装置の構成を説明し、次いで、火災監視装置における火災監視動作について説明する。
【0028】
(火災監視装置1の構成)
図1は、実施の形態1に係る火災監視装置1の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。火災監視装置1は、赤外線センサ部2、紫外線センサ部3、警報部4、移報部5、及び、制御部6を備えて構成されている。
【0029】
赤外線センサ部2は、監視領域において発せられる赤外線に基づいて人体及び炎を検出するもので、特許請求の範囲における検出手段、人体検出器、及び、焦電式赤外線センサに対応する。具体的には、赤外線センサ部2は、焦電センサ2a、アンプ2b、及び、信号処理部2cを備えて構成されている。焦電センサ2aは、焦電特性を有するPZT系(ジルコン酸チタン酸鉛)等の各種の焦電物質から構成されており、赤外線の熱エネルギーを吸収して温度変化を生じ、この温度変化に比例して誘起した検知信号をアンプ2bに出力する。アンプ2bは、焦電センサ2aからの検知信号を増幅して信号処理部2cに出力する。信号処理部2cは、アンプ2bからの検知信号に基づいて人体又は炎の有無を判定して、人体検知信号又は炎検知信号を制御部6に出力する。
【0030】
ここで、赤外線センサ部2による人体と炎との2種類の検出は、下記のように達成される。まず、焦電センサ2aの受光面には図示しない光学フィルタが設けられており、この光学フィルタは、人体から発せられる赤外線及び炎から発せられる赤外線の両方を透過させるもので、例えば4.4μm以上の波長帯域の光を透過させる。そして、信号処理部2cは、アンプ2bからの検知信号を所定の第1の閾値と比較し、検知信号が第1の閾値を上回った回数が所定カウント数以上になった場合に、人体が検出されたものと判定して人体検知信号を出力し、検知信号が第2の閾値を上回った回数が所定カウント数以上になった場合に、炎が検出されたものと判定して炎検知信号を出力する。一般に、炎による赤外線は人体による赤外線よりも高い周波数で生じるため、ここでは、第1の閾値と第2の閾値とを第1の閾値<第2の閾値になるように設定しておくことで、人体と炎とを区別できる。
【0031】
紫外線センサ部3は、監視領域において発せられる紫外線に基づいて炎を検出するもので、特許請求の範囲における炎感知手段及び紫外線式炎感知器に対応する。具体的には、紫外線センサ部3は、紫外線センサ3a、電源制御部3b、及び、信号処理部3cを備えて構成されている。紫外線センサ3aは、UVトロン(登録商標)と呼ばれる放電管から構成されており、紫外線が図示しないガラス管の内部の陰極に当ると、この陰極から光電効果によって放出された光電子が封入ガスをイオン化させることで、放電信号を出力する。電源制御部3bは、制御部6からの制御信号に基づいて、紫外線センサ部3及び信号処理部3cに対する駆動電源の供給をオン/オフすることで、紫外線センサ部3をオン/オフするためのもので、特許請求の範囲における火災感知制御手段に対応する。信号処理部3cは、紫外線センサ3aからの検知信号に基づいて炎の有無を判定するもので、例えば、紫外線センサ3aからの検知信号の出力回数が所定カウント数以上になった場合に、炎検知信号を制御部6に出力する。
【0032】
警報部4は、制御部6からの制御信号の入力を受けた場合に、警報音又は警報表示を行うための警報手段であり、例えば、圧電スピーカやLED(Light Emitting Diode)を備えて構成されている。
【0033】
移報部5は、制御部6からの制御信号の入力を受けた場合に、火災監視装置1の外部の機器、例えば図示しない集中監視盤に対して移報信号を出力する移報手段である。
【0034】
制御部6は、火災監視装置1の各部を制御する制御手段であり、CPU(Central Processing Unit)及びこのCPUにて解釈実行されるプログラムを含んで構成されている。特に、制御部6は、赤外線センサ部2にてオンされている状態の紫外線センサ部3からの感知結果に基づいて、監視領域における火災の有無を最終的に判定するもので、特許請求の範囲における火災判定手段に対応する。
【0035】
(火災監視動作)
次に、このように構成された火災監視装置1における火災監視動作について説明する。火災監視装置1には、「フル放火検出モード」、「赤外線火災検出モード」、「赤外線人体検出モード」、及び、「省エネ放火検出モード」の4つの動作モードがあり、いずれか一つの動作モードを、図示しないディップスイッチ等のモード設定手段にて設定可能である。そして、火災監視装置1への電源投入後、制御部6は、モード設定手段の設定状態に基づいて動作モードを識別し、設定されている動作モードに応じた制御を行なう。
【0036】
フル放火検出モードでは、制御部6は、赤外線センサ部2と紫外線センサ部3との両方を常時オンし、赤外線センサ部2による人体検出信号と紫外線センサ部3による炎検出信号とのANDが得られた場合にのみ放火があったものと判定する。そして、制御部6は、制御信号を警報部4に出力して警報を行わせると共に、制御信号を移報部5に出力して外部機器への移報信号を出力させる。
【0037】
赤外線検出モードでは、制御部6は、赤外線センサ部2のみを常時オンすると共に、紫外線センサ部3を常時オフし、赤外線センサ部2による炎検出信号が得られた場合には火災があったものと判定する。そして、制御部6は、制御信号を警報部4に出力して警報を行わせると共に、制御信号を移報部5に出力して外部機器への移報信号を出力させる。
【0038】
人体検出モードでは、制御部6は、赤外線センサ部2のみを常時オンすると共に、紫外線センサ部3を常時オフし、赤外線センサ部2による人体検出信号が得られた場合には人体(侵入者)が存在するものと判定する。そして、制御部6は、制御信号を警報部4のみに出力して警報を行わせる。
【0039】
次に、省エネ放火検出モードについて説明する。図2は省エネ放火検出モードにおける火災監視動作のフローチャートである。最初に、制御部6は、電源制御部3bを制御して紫外線センサ部3をオフし、赤外線センサ部2のみによる監視を行う。このように、赤外線センサ部2のみによる監視を行うのは、以下の理由による。すなわち、紫外線センサ部3による監視を常時行うと、照明光等の各種のノイズによって高感度な紫外線センサ部3が誤報を生じる可能性がある。また、放火検知のためには人体が存在することが判明してから炎検知を行なえば足りる。さらには、紫外線センサ部3による監視には高電圧が必要になるため、特に火災監視装置1を電池式とした場合には紫外線センサ部3への通電時間を極力低減することが好ましい。これらのことから、赤外線センサ部2にて人体が検出される迄は、紫外線センサ部3による監視をあえて行わないことで、誤報を防止すると共に、消費電力を低減している。
【0040】
そして、制御部6は、赤外線センサ部2からの検出信号の入力の有無を監視し(ステップSA−1)、検出信号の入力があった場合であって(ステップSA−1,Yes)、この検出信号が人体検出信号であった場合には(ステップSA−2,Yes)、所定の火災感知待機時間t1が経過する迄待機する(ステップSA−3)。そして、制御部6は、火災感知待機時間t1が経過した後(ステップSA−3,Yes)、電源制御部3bを制御して紫外線センサ部3をオンすることで、この紫外線センサ部3による監視を開始する(ステップSA−4)。この場合のタイムチャートを図3に示す。このように、人体検出信号の入力後に直ちに紫外線センサ部3による監視を開始せずに、火災感知待機時間t1の経過を待つのは、人体が監視領域に入った直後に紫外線センサ部3による監視を開始すると、入室した人が上着を脱ぐこと等によって発せられる静電気等の各種のノイズによって、高感度な紫外線センサ部3が誤報を生じる可能性があるからである。このため、人の入室時の初期ノイズが収まるまで待ってから紫外線センサ部3の監視を開始することで、誤報の可能性を低減している。なお、この火災感知待機時間t1の具体的長さは任意であるが、例えば数分間とする。
【0041】
図2において、このように開始された紫外線センサ部3による監視は、所定の火災感知時間t2だけ継続して行われる(ステップSA−5)。そして、この火災感知時間t2の間に、紫外線センサ部3からの炎検知信号の入力や赤外線センサからの人体検出信号の再入力がない場合(ステップSA−7,No、ステップSA−9,No)、制御部6は、電源制御部3bを制御して紫外線センサ部3をオフし、再び、赤外線センサ部2のみによる監視に移行する(ステップSA−5,Yes,ステップSA−6)。このように、紫外線センサ部3による監視を所定の火災感知時間だけ継続して行うことで、上述のように、誤報を防止すると共に、消費電力を低減している。
【0042】
一方、火災感知時間t2の経過前に、紫外線センサ部3からの炎検知信号の入力があった場合(ステップSA−7,Yes)、制御部6は、監視領域で放火が行われた可能性が高いと判定し、制御信号を警報部4に出力して警報を行わせると共に、制御信号を移報部5に出力して外部機器への移報信号を出力させる(ステップSA−8)。このように、放火の可能性が高いと判定するのは、先に赤外線センサ部2によって人体が検出されており、さらに紫外線センサ部3によって炎が検出されたことで、放火と断定する条件が満たされているからであり、このように人体検出結果と炎検出結果のANDが得られた場合にのみ発報を行うことで、誤報の可能性を低減できる。
【0043】
あるいは、火災感知時間t2の経過前に、赤外線センサ部2から人体検出信号が再度入力された場合(ステップSA−9,Yes)、制御部6は、この人体検出信号の再度の入力タイミングが、所定の再検出監視時間t3の経過前であるか否かを判定する(ステップSA−10)。この再検出監視時間t3は、ステップSA−2において赤外線センサ部2から人体検出信号が出力された時点を基準として計時される時間であり、少なくとも火災感知待機時間t1より長い時間であり、かつ、火災感知待機時間t1と火災感知時間t2との合計より短い時間として設定される(t1<t3<t1+t2)。
【0044】
そして、人体検出信号の再度の入力タイミングが、再検出監視時間t3の経過前であると判定された場合(ステップSA−10,Yes)、制御部6は、人体検出信号の再度の入力タイミングの時点を基準として、火災感知時間t2を再設定した上で(ステップSA−11)、ステップSA−5に移行する。この場合のタイムチャートを図4に示す。このような制御を行うのは以下の理由による。すなわち、この場合には、ステップSA−2において検知された人と同一人物が、監視領域に留まって何らかの動作を行なっていると考えられる。従って、入室時の初期ノイズを考慮する必要がなく、また、この人物が放火を行う可能性があるため、炎監視を停止することなく継続的に行うことで、放火を迅速に検知することを可能とする。
【0045】
一方、人体検出信号の再度の入力タイミングが、再検出監視時間t3の経過前ではなく経過後であると判定された場合(ステップSA−10,No)、制御部6は、電源制御部3bを制御して紫外線センサ3aへの通電を一旦オフした後(ステップSA−12)、ステップSA−3に移行して、火災感知待機時間t1が経過するのを再び待ってから、電源制御部3bを制御して紫外線センサ部3をオンすることで、紫外線センサ部3による監視を再び開始する(ステップSA−4)。この場合のタイムチャートを図5に示す。このような制御を行うのは以下の理由による。すなわち、この場合には、ステップSA−2において検知された人とは異なる人物が、監視領域に入ってきたと考えられる。従って、最初に監視領域で人体が検知された場合と同じ条件で放火の監視を行うことが好ましいため、ステップSA−3に移行する。
【0046】
最後に、ステップSA−2において、赤外線センサ部2からの検出信号が人体検出信号ではなく炎検出信号であると判定された場合(ステップSA−2,No)について説明する。この場合、制御部6は、放火か否かに関わらず、監視領域で火災が発生した可能性が高いと判定し、ステップSA−8に移行する。このような制御を行うのは、基本的には赤外線センサ部2と紫外線センサ部3とのANDを取って放火判定を行なうようにしているが、紫外線センサ部3が何らかの障害によって機能しない場合も考えられるため、赤外線センサ部2によって人体検出ではなく炎検出が行われた場合には、紫外線センサ部3の検出結果に関わらず、火災と断定することで失報を防止するためである。
【0047】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、赤外線センサ部2にて人体が検出される迄は、紫外線センサ部3による監視をあえて行わないことで、誤報を防止すると共に、消費電力を低減することができる。また、人体検出信号の入力後に直ちに紫外線センサ部3による監視を開始せずに、火災感知待機時間t1の経過を待ってから監視を開始することで、人の入室時のノイズによる誤報の可能性を低減できる。また、赤外線センサ部2によって人体が検出され、かつ、紫外線センサ部3によって炎が検出された場合に、放火と判定することで、誤報の可能性を低減できる。また、再検出監視時間t3の経過前に人体検出信号が再度入力された場合には、炎監視を停止することなく継続的に行うことで、放火を迅速に検知することを可能とする。さらにまた、再検出監視時間t3の経過後に人体検出信号が再度入力された場合には、炎監視を一旦停止し、火災感知待機時間t1の経過を待ってから再び監視を開始することで、人の入室時のノイズによる誤報の可能性を低減できる。
【0048】
〔実施の形態2〕
次に、本発明に係る実施の形態2の具体的内容について説明する。この実施の形態2は、赤外線センサ部にて人体が検出された直後においても、紫外線センサ部による炎監視を行う形態である。なお、実施の形態2の構成は特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0049】
(火災監視装置20の構成)
図6は、実施の形態2に係る火災監視装置20の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。火災監視装置20は、実施の形態1の制御部6に代えて、制御部7を備えて構成されている。この制御部7は、火災監視装置1の各部を制御する制御手段であり、CPU及びこのCPUにて解釈実行されるプログラムを含んで構成されている。特に、制御部7は、赤外線センサ部2にて人体が検出された直後に、紫外線センサ部3を所定の一時火災感知時間だけオンにするもので、特許請求の範囲における火災判定手段に対応する。
【0050】
(火災監視動作)
次に、実施の形態2における省エネ放火検出モードについて説明する。図7は省エネ放火検出モードにおける火災監視動作のフローチャートである。なお、ステップSB−1〜SB−12は、実施の形態1のステップSA−1〜SA−12に対応するのでその説明を省略する。制御部7は、赤外線センサ部2にて人体が検出された場合には(ステップSB−2,Yes)、火災感知待機時間t1の経過を待つことなく、赤外線センサ部2を所定の一時火災感知時間t4だけオンする(ステップSB−13、SB−14)。そして、この一時火災感知時間t4の間に、紫外線センサ部3からの炎検知信号がなかった場合には(ステップSB−16,No、SB−14,Yes)、赤外線センサ部2を一旦オフにして(ステップSB−15)、ステップSB−2からの火災感知待機時間の経過後に紫外線センサ部を再びオンにする(ステップSB−3,Yes、SB−4)。このような制御下における図3〜5の各場合に対応するタイムチャートを図8〜10に示す。
【0051】
一方、一時火災感知時間t4の間に紫外線センサ部3からの炎検知信号があった場合(ステップSB−16,Yes)、制御部7は、監視領域で放火が行われた可能性が高いと判定し、制御信号を警報部4に出力して警報を行わせると共に、制御信号を移報部5に出力して外部機器への移報信号を出力させる(ステップSB−8)。このような制御を行うのは、放火が行われた場合には、放火後に立ち去る犯人の動きによって人体検出が行われることが考えられるため、放火直後の犯人の動作をトリガとして炎の監視を開始することで、放火をより迅速に検出するためである。なお、一時火災感知時間t4の具体的時間は任意であるが、少なくとも火災感知待機時間t1より短い時間(t4<t1)が設定される。
【0052】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に効果に加えて、赤外線センサ部2にて人体が検出された場合には、赤外線センサ部2を所定の一時火災感知時間t4だけオンすることで、放火直後の犯人の動作をトリガとして炎の監視を開始して、放火をより迅速に検出することができる。
【0053】
〔実施の形態3〕
次に、本発明に係る実施の形態3の具体的内容について説明する。この実施の形態3は、赤外線センサ部ではなく外部信号源からの人体検出結果に基づいて、紫外線センサ部3のオン/オフを制御する形態である。なお、実施の形態3の構成は特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0054】
(火災監視装置30の構成)
図11は、実施の形態3に係る火災監視装置30の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。火災監視装置30は、実施の形態1の赤外線センサ部2に代えて、信号入力部8を備えて構成されている。信号入力部8は、外部信号源9からの人体検出信号を受信する受信手段である。ここで、外部信号源9からの人体検出信号としては、監視領域における人体の存在を示す任意の信号を用いることができ、例えば、監視領域の入口や内部に設けられている自動ドアが作動した旨を示すドア作動信号、監視領域の内部のトイレに設けられている人体感知センサによって人体が感知された旨を示す人体感知信号、監視領域に設けられている防犯設備によって人体が感知された旨を示す人体感知信号、自動販売機等の各種設備が使用された旨を示す動作信号が該当する。この外部信号源9は、特許請求の範囲における検出手段に対応する。
【0055】
(火災監視動作)
このような構成において、制御部6は、実施の形態1の赤外線センサ部2からの人体検出信号に代えて、外部信号源9から信号入力部8に対して入力された人体検出信号に基づいて、実施の形態1と同様の制御を行う。
【0056】
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、実施の形態1と同様に効果に加えて、外部信号源9からの信号に基づいて実施の形態1と同様の制御を行うことができ、赤外線センサ部2を省略して火災監視装置30の構成を簡略化できる。
【0057】
〔実施の形態4〕
最後に、本発明に係る実施の形態4の具体的内容について説明する。この実施の形態4は、紫外線センサ部3のオン/オフを、赤外線センサ部の人体検出結果に関わらず、所定時間間隔で自動的に行う形態である。なお、実施の形態4の構成は特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0058】
(火災監視装置40の構成)
図12は、実施の形態4に係る火災監視装置40の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。火災監視装置40は、実施の形態1の制御部6に代えて制御部41を備えて構成されている。
【0059】
(火災監視動作)
次に、実施の形態4における火災監視動作のうち、省エネ放火検出モードについて説明する。図13は省エネ放火検出モードにおける火災監視動作のフローチャートである。なお、ステップSC−1〜SC−12は、実施の形態1のステップSA−1〜SA−12に対応するのでその説明を省略する。制御部41は、赤外線センサ部2にて人体が検出されない場合であっても(ステップSC−1,No)、所定の定期監視間隔t5が到来する毎に(ステップSC−17,Yes)、ステップSC−4に移行して、赤外線センサ部2を所定の火災感知時間t2だけオンする。このような制御を行うのは、赤外線センサ部2に何らかの障害があった場合、放火犯が焦電センサ2aで検知されない程度の極めて緩慢な速度で監視領域に入室した場合、あるいは、放火犯が低温物体を赤外線センサ部2に向けた状態で監視領域に入室した場合等、監視領域に侵入した人間が存在するにも関わらず赤外線センサ部2が何らかの原因によって機能しない場合が考えられるため、赤外線センサ部2の検出結果に関わらず紫外線センサ部3をオンして、この紫外線センサ部3によって炎が検出された場合には、火災と断定することで失報を防止するためである。この定期監視間隔t5の具体的時間は任意であるが、少なくとも火災感知待機時間t1や火災感知時間t2より長い時間が設定される(火災感知待機時間t1<定期監視間隔t5、火災感知時間t2<定期監視間隔t5)。また、定期監視間隔t5は必ずしも一定である必要はなく、例えば、時計や照度センサと連動させて、昼間は5分毎に紫外線センサ部3をオンし、夜間は1分毎に紫外線センサ部3をオンすることで、昼間の警戒度と夜間の警戒度とを変えてもよい。
【0060】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0061】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0062】
(各実施の形態の組み合わせ)
各実施の形態に示した構成及び制御は、相互に組み合わせることができる。例えば、実施の形態2に示した制御動作に加えて、さらに、実施の形態4に示したように、定期監視間隔t5が到来する毎に赤外線センサ部2を所定の火災感知時間t2だけオンさせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
この発明に係る火災監視装置は、火災を監視する装置、特に放火を監視する装置として利用され、感知器の誤報防止や電池省力化を図ることに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1に係る火災監視装置の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図2】省エネ放火検出モードにおける火災監視動作のフローチャートである。
【図3】火災感知待機時間の経過後に紫外線センサ部をオンとした場合のタイムチャートである。
【図4】再検出監視時間の経過前に人体検出信号が再入力された場合のタイムチャートである。
【図5】再検出監視時間の経過後に人体検出信号が再入力された場合のタイムチャートである。
【図6】実施の形態2に係る火災監視装置の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図7】省エネ放火検出モードにおける火災監視動作のフローチャートである。
【図8】火災感知待機時間の経過後に紫外線センサ部をオンとした場合のタイムチャートである。
【図9】再検出監視時間の経過前に人体検出信号が再入力された場合のタイムチャートである。
【図10】再検出監視時間の経過後に人体検出信号が再入力された場合のタイムチャートである。
【図11】実施の形態3に係る火災監視装置の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図12】実施の形態4に係る火災監視装置の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図13】省エネ放火検出モードにおける火災監視動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1、20、30、40 火災監視装置
2 赤外線センサ部
2a 焦電センサ
2b アンプ
2c 信号処理部
3 紫外線センサ部
3a 紫外線センサ
3b 電源制御部
3c 信号処理部
4 警報部
5 移報部
6、7、41 制御部
8 信号入力部
9 外部信号源
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視領域における火災の監視を行なう火災監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の火災感知器が提案されており、その一部として、赤外線式炎感知器や紫外線式炎感知器が知られている。赤外線式炎感知器は、炎から発生する光に含まれる赤外線を検出するもので、炎からの赤外線は人工照明や高温物体から放射される赤外線とは異なる特有の周波数でちらつく点や、炎からの赤外線は炭酸ガス(CO2)から共鳴放射される特定波長付近のスペクトル強度が大きい点を利用し、火災とその他の高温物体とを相互に区別して炎を検出する。この赤外線式炎感知器は、検出対象とする赤外線の波長をフィルタにて調節することで、人体から発せられる赤外線を検出する人体検出器として利用し、あるいは、人体から発せられる赤外線と炎から発せられる赤外線との両方を検出する人体火災検出器として利用することができる。例えば、特許文献1〜3には、人体と炎との両方を検出可能な赤外線式感知器が記載されている。
【0003】
また、紫外線式炎感知器は、炎から発生する光に含まれる紫外線を検出するもので、UVトロン(登録商標)と呼ばれる外部光電効果を利用した放電管にて紫外線を受光し、受光された紫外線をパルスとしてカウントして、このカウントが一定値以上になると火災と断定する。
【0004】
ここで、火災の主原因は放火であることが知られており、放火を検出することが防火上の重要な課題になっている。そこで、従来から、特に放火を対象とした火災監視装置が提案されている。このような放火検知用の火災監視装置としては、放火が人為的な着火によるものであることに基づいて、炎検出機能に加えて人体検出機能を持たせ、これらによる炎検出結果と人体検出結果とを組み合わせて、放火判定を行うものがある。例えば、特許文献4には、人体センサの検出結果と炎センサとの検出結果を組み合わせて放火判定を行う火災監視装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−346994号公報
【特許文献2】特開平6−331755号公報
【特許文献3】特開平10−283579号公報
【特許文献4】特開2000−123266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、紫外線式炎感知器は、検出感度が高いため、放火初期の小さな炎でも検出できる一方、人体の静電気を含む各種の紫外線に反応してしまい、誤報を招く可能性もある。また、紫外線式炎感知器を屋外に設定する場合、配線作業を省略できる電池式の紫外線式炎感知器を設置することが好ましいが、このような電池式の紫外線式炎感知器を放火検知のための長時間に渡って駆動させておくことは、電池消耗を招くために実用性に乏しい。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、人体センサの検出結果と炎センサとの検出結果を組み合わせて放火判定を行う火災監視装置において、紫外線式炎感知器の誤報防止や電池省力化を図ることで、実用性の高い火災監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の火災監視装置は、監視領域における火災を監視するための火災監視装置であって、前記監視領域における所定の状態を検出する検出手段と、前記監視領域における火災を感知する火災感知手段と、前記検出手段にて前記所定の状態が検出された場合に、前記火災感知手段をオンする火災感知制御手段と、前記火災感知手段のオン状態における感知結果に基づいて、前記監視領域における火災の有無を判定する火災判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の火災監視装置は、請求項1に記載の火災監視装置において、前記火災感知制御手段は、前記検出手段にて前記所定の状態が検出された場合において、所定の火災感知待機時間の経過後に、前記火災感知手段を所定の火災感知時間だけオンすること、を特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の火災監視装置は、請求項1又は2に記載の火災監視装置において、前記火災感知制御手段は、前記火災感知手段をオンした場合、前記検出手段にて前記所定の状態が検出されてから所定の再検出監視時間の経過前に、当該検出手段にて前記所定の状態が再検出された場合には、当該再検出された時点を基準として前記火災感知時間を再設定すること、を特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の火災監視装置は、請求項3に記載の火災監視装置において、前記火災感知制御手段は、前記火災感知手段をオンした場合、前記検出手段にて前記所定の状態が検出されてから所定の再検出監視時間の経過後に、当該検出手段にて前記所定の状態が再び検出された場合には、前記火災感知手段をオフすると共に、当該オフの時点から前記火災感知待機時間の経過後に、前記火災感知手段を所定の火災感知時間だけオンすること、を特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の火災監視装置は、請求項4に記載の火災監視装置において、前記火災感知制御手段は、前記検出手段にて前記所定の状態が検出された場合において、前記火災感知手段を、前記火災感知待機時間より短い所定の一時火災感知時間だけオンすること、を特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の火災監視装置は、請求項1から5のいずれか一項に記載の火災監視装置において、前記火災感知制御手段は、前記検出手段にて前記所定の状態が検出されるか否かに関わらず、前記火災感知手段を、所定の定期監視間隔毎にオンすること、を特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載の火災監視装置は、請求項1から6のいずれか一項に記載の火災監視装置において、前記検出手段は、前記監視領域における人体を検出する人体検出器であること、を特徴とする。
【0015】
また、請求項8に記載の火災監視装置は、請求項7に記載の火災監視装置において、前記検出手段は、焦電式赤外線センサであり、前記火災感知手段は、紫外線式炎感知器であること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の本発明によれば、検出手段にて所定の状態が検出された場合に火災感知手段をオンすることで、火災感知手段として紫外線センサの如き高感度な感知手段を用いた場合であっても、例えば人体が検出された場合にのみ紫外線センサをオンして火災検出を行う等、火災感知手段の検知タイミングを制御できて、その誤報の可能性を低減できる。また、必要時にのみ火災感知手段をオンし、その他の場合には火災感知手段をオフにすることで、火災監視装置の消費電力を低減でき、特に電池式の火災監視装置を長時間に渡って駆動させることができる。
【0017】
また、請求項2に記載の本発明によれば、火災感知待機時間の経過後に火災感知手段をオンするので、例えば監視領域に人が入室した直後には火災感知を行わず、入室して一定時間経ってから火災感知を行うことで、火災感知手段として紫外線センサの如き高感度な感知手段を用いた場合であっても、人の出入りに伴う静電気等のノイズの影響を受ける可能性を低減し、誤報の可能性を低減できる。
【0018】
また、請求項3に記載の本発明によれば、再検出監視時間の経過前に所定の状態が再検出された場合に、火災感知時間を再設定することで、例えば監視領域に人が入室した後、同一人物が動作している場合には、継続的に火災感知を行うようにして、放火を早期に発見することができる。
【0019】
また、請求項4に記載の本発明によれば、再検出監視時間の経過後に所定の状態が再び検出された場合に、火災感知手段をオフすると共に、当該オフの時点から火災感知待機時間の経過後に火災感知手段をオンすることで、例えば監視領域に人が入室した後、他の人が入室した場合には、直後には火災感知を行わず、入室して一定時間経ってから改めて火災感知を行うことで、人の出入りに伴う静電気等のノイズの影響を受ける可能性を低減し、誤報の可能性を低減できる。
【0020】
また、請求項5に記載の本発明によれば、所定の状態が検出された場合にはその直後に火災感知手段をオンすることで、放火が行われた場合には、放火後に立ち去る犯人の動きによって人体検出が行われることが考えられるため、放火直後の犯人の動作をトリガとして炎の監視を開始することで、放火をより迅速に検出することができる。
【0021】
また、請求項6に記載の本発明によれば、検出手段にて所定の状態が検出されるか否かに関わらず、火災感知手段を定期監視間隔毎にオンすることで、検出手段に何らかの障害があった場合や、放火犯が検出手段で検知されないような態様で入室した場合のように、監視領域に侵入した人間が存在するにも関わらず、検出手段が何らかの原因によって機能しない場合であっても、火災感知手段によって火災が検出された場合には、火災と断定することで失報を防止するためである。
【0022】
また、請求項7に記載の本発明によれば、検出手段として人体検出器を用いることで、人体が検出された場合に火災感知手段をオンすることができ、人体の検出結果と火災の検出結果とに基づいて、放火判定を行なうこと等ができる。特に、火災監視装置に火災感知手段と人体検出器との両方を設けたことから、放火監視機能を1台の火災監視装置に持たせることができ、放火監視が容易になる。
【0023】
また、請求項8に記載の本発明によれば、検出手段を焦電式赤外線センサとすると共に、火災感知手段を紫外線式炎感知器とすることで、焦電式赤外線センサの人体検出結果を受けて、高感度な紫外線式炎感知器をオンすることができ、高感度な紫外線式炎感知器を用いた場合であっても誤報を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る火災監視装置の各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態に係る火災監視装置は、監視領域における火災を監視するための火災監視装置である。この監視領域は任意であるが、例えば、一般住宅の周囲や駐車場を挙げることができる。また、特記する場合を除いて、直接的な検出対象になる物理量やこの物理量を用いた監視対象になる現象も任意であり、例えば、赤外線、紫外線、煙、若しくは、熱を検出することで火災や炎の有無を監視し、あるいは、赤外線や熱を検出することで人体の有無を監視する。以下の形態では、赤外線感知器やその他の防災機器と、紫外線式炎感知器とを組み合わせて使用する例について説明する。
【0026】
この火災監視装置の特徴の一つは、赤外線感知器の感知結果に基づいて、紫外線式炎感知器のオン/オフを制御する点にある。すなわち、常時は、赤外線感知器にて、監視領域における人体の存在を監視し、人体が検出された場合にのみ、紫外線式炎感知器をオンして、炎の有無を判定する。このことで、紫外線式炎感知器を短時間のみオンしてその誤報を防止すると共に、電池式の紫外線式炎感知器の消費電力を削減する。
【0027】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
〔実施の形態1〕
次に、本発明に係る各実施の形態の具体的内容について説明する。まず、実施の形態1の具体的内容について説明する。最初に、火災監視装置の構成を説明し、次いで、火災監視装置における火災監視動作について説明する。
【0028】
(火災監視装置1の構成)
図1は、実施の形態1に係る火災監視装置1の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。火災監視装置1は、赤外線センサ部2、紫外線センサ部3、警報部4、移報部5、及び、制御部6を備えて構成されている。
【0029】
赤外線センサ部2は、監視領域において発せられる赤外線に基づいて人体及び炎を検出するもので、特許請求の範囲における検出手段、人体検出器、及び、焦電式赤外線センサに対応する。具体的には、赤外線センサ部2は、焦電センサ2a、アンプ2b、及び、信号処理部2cを備えて構成されている。焦電センサ2aは、焦電特性を有するPZT系(ジルコン酸チタン酸鉛)等の各種の焦電物質から構成されており、赤外線の熱エネルギーを吸収して温度変化を生じ、この温度変化に比例して誘起した検知信号をアンプ2bに出力する。アンプ2bは、焦電センサ2aからの検知信号を増幅して信号処理部2cに出力する。信号処理部2cは、アンプ2bからの検知信号に基づいて人体又は炎の有無を判定して、人体検知信号又は炎検知信号を制御部6に出力する。
【0030】
ここで、赤外線センサ部2による人体と炎との2種類の検出は、下記のように達成される。まず、焦電センサ2aの受光面には図示しない光学フィルタが設けられており、この光学フィルタは、人体から発せられる赤外線及び炎から発せられる赤外線の両方を透過させるもので、例えば4.4μm以上の波長帯域の光を透過させる。そして、信号処理部2cは、アンプ2bからの検知信号を所定の第1の閾値と比較し、検知信号が第1の閾値を上回った回数が所定カウント数以上になった場合に、人体が検出されたものと判定して人体検知信号を出力し、検知信号が第2の閾値を上回った回数が所定カウント数以上になった場合に、炎が検出されたものと判定して炎検知信号を出力する。一般に、炎による赤外線は人体による赤外線よりも高い周波数で生じるため、ここでは、第1の閾値と第2の閾値とを第1の閾値<第2の閾値になるように設定しておくことで、人体と炎とを区別できる。
【0031】
紫外線センサ部3は、監視領域において発せられる紫外線に基づいて炎を検出するもので、特許請求の範囲における炎感知手段及び紫外線式炎感知器に対応する。具体的には、紫外線センサ部3は、紫外線センサ3a、電源制御部3b、及び、信号処理部3cを備えて構成されている。紫外線センサ3aは、UVトロン(登録商標)と呼ばれる放電管から構成されており、紫外線が図示しないガラス管の内部の陰極に当ると、この陰極から光電効果によって放出された光電子が封入ガスをイオン化させることで、放電信号を出力する。電源制御部3bは、制御部6からの制御信号に基づいて、紫外線センサ部3及び信号処理部3cに対する駆動電源の供給をオン/オフすることで、紫外線センサ部3をオン/オフするためのもので、特許請求の範囲における火災感知制御手段に対応する。信号処理部3cは、紫外線センサ3aからの検知信号に基づいて炎の有無を判定するもので、例えば、紫外線センサ3aからの検知信号の出力回数が所定カウント数以上になった場合に、炎検知信号を制御部6に出力する。
【0032】
警報部4は、制御部6からの制御信号の入力を受けた場合に、警報音又は警報表示を行うための警報手段であり、例えば、圧電スピーカやLED(Light Emitting Diode)を備えて構成されている。
【0033】
移報部5は、制御部6からの制御信号の入力を受けた場合に、火災監視装置1の外部の機器、例えば図示しない集中監視盤に対して移報信号を出力する移報手段である。
【0034】
制御部6は、火災監視装置1の各部を制御する制御手段であり、CPU(Central Processing Unit)及びこのCPUにて解釈実行されるプログラムを含んで構成されている。特に、制御部6は、赤外線センサ部2にてオンされている状態の紫外線センサ部3からの感知結果に基づいて、監視領域における火災の有無を最終的に判定するもので、特許請求の範囲における火災判定手段に対応する。
【0035】
(火災監視動作)
次に、このように構成された火災監視装置1における火災監視動作について説明する。火災監視装置1には、「フル放火検出モード」、「赤外線火災検出モード」、「赤外線人体検出モード」、及び、「省エネ放火検出モード」の4つの動作モードがあり、いずれか一つの動作モードを、図示しないディップスイッチ等のモード設定手段にて設定可能である。そして、火災監視装置1への電源投入後、制御部6は、モード設定手段の設定状態に基づいて動作モードを識別し、設定されている動作モードに応じた制御を行なう。
【0036】
フル放火検出モードでは、制御部6は、赤外線センサ部2と紫外線センサ部3との両方を常時オンし、赤外線センサ部2による人体検出信号と紫外線センサ部3による炎検出信号とのANDが得られた場合にのみ放火があったものと判定する。そして、制御部6は、制御信号を警報部4に出力して警報を行わせると共に、制御信号を移報部5に出力して外部機器への移報信号を出力させる。
【0037】
赤外線検出モードでは、制御部6は、赤外線センサ部2のみを常時オンすると共に、紫外線センサ部3を常時オフし、赤外線センサ部2による炎検出信号が得られた場合には火災があったものと判定する。そして、制御部6は、制御信号を警報部4に出力して警報を行わせると共に、制御信号を移報部5に出力して外部機器への移報信号を出力させる。
【0038】
人体検出モードでは、制御部6は、赤外線センサ部2のみを常時オンすると共に、紫外線センサ部3を常時オフし、赤外線センサ部2による人体検出信号が得られた場合には人体(侵入者)が存在するものと判定する。そして、制御部6は、制御信号を警報部4のみに出力して警報を行わせる。
【0039】
次に、省エネ放火検出モードについて説明する。図2は省エネ放火検出モードにおける火災監視動作のフローチャートである。最初に、制御部6は、電源制御部3bを制御して紫外線センサ部3をオフし、赤外線センサ部2のみによる監視を行う。このように、赤外線センサ部2のみによる監視を行うのは、以下の理由による。すなわち、紫外線センサ部3による監視を常時行うと、照明光等の各種のノイズによって高感度な紫外線センサ部3が誤報を生じる可能性がある。また、放火検知のためには人体が存在することが判明してから炎検知を行なえば足りる。さらには、紫外線センサ部3による監視には高電圧が必要になるため、特に火災監視装置1を電池式とした場合には紫外線センサ部3への通電時間を極力低減することが好ましい。これらのことから、赤外線センサ部2にて人体が検出される迄は、紫外線センサ部3による監視をあえて行わないことで、誤報を防止すると共に、消費電力を低減している。
【0040】
そして、制御部6は、赤外線センサ部2からの検出信号の入力の有無を監視し(ステップSA−1)、検出信号の入力があった場合であって(ステップSA−1,Yes)、この検出信号が人体検出信号であった場合には(ステップSA−2,Yes)、所定の火災感知待機時間t1が経過する迄待機する(ステップSA−3)。そして、制御部6は、火災感知待機時間t1が経過した後(ステップSA−3,Yes)、電源制御部3bを制御して紫外線センサ部3をオンすることで、この紫外線センサ部3による監視を開始する(ステップSA−4)。この場合のタイムチャートを図3に示す。このように、人体検出信号の入力後に直ちに紫外線センサ部3による監視を開始せずに、火災感知待機時間t1の経過を待つのは、人体が監視領域に入った直後に紫外線センサ部3による監視を開始すると、入室した人が上着を脱ぐこと等によって発せられる静電気等の各種のノイズによって、高感度な紫外線センサ部3が誤報を生じる可能性があるからである。このため、人の入室時の初期ノイズが収まるまで待ってから紫外線センサ部3の監視を開始することで、誤報の可能性を低減している。なお、この火災感知待機時間t1の具体的長さは任意であるが、例えば数分間とする。
【0041】
図2において、このように開始された紫外線センサ部3による監視は、所定の火災感知時間t2だけ継続して行われる(ステップSA−5)。そして、この火災感知時間t2の間に、紫外線センサ部3からの炎検知信号の入力や赤外線センサからの人体検出信号の再入力がない場合(ステップSA−7,No、ステップSA−9,No)、制御部6は、電源制御部3bを制御して紫外線センサ部3をオフし、再び、赤外線センサ部2のみによる監視に移行する(ステップSA−5,Yes,ステップSA−6)。このように、紫外線センサ部3による監視を所定の火災感知時間だけ継続して行うことで、上述のように、誤報を防止すると共に、消費電力を低減している。
【0042】
一方、火災感知時間t2の経過前に、紫外線センサ部3からの炎検知信号の入力があった場合(ステップSA−7,Yes)、制御部6は、監視領域で放火が行われた可能性が高いと判定し、制御信号を警報部4に出力して警報を行わせると共に、制御信号を移報部5に出力して外部機器への移報信号を出力させる(ステップSA−8)。このように、放火の可能性が高いと判定するのは、先に赤外線センサ部2によって人体が検出されており、さらに紫外線センサ部3によって炎が検出されたことで、放火と断定する条件が満たされているからであり、このように人体検出結果と炎検出結果のANDが得られた場合にのみ発報を行うことで、誤報の可能性を低減できる。
【0043】
あるいは、火災感知時間t2の経過前に、赤外線センサ部2から人体検出信号が再度入力された場合(ステップSA−9,Yes)、制御部6は、この人体検出信号の再度の入力タイミングが、所定の再検出監視時間t3の経過前であるか否かを判定する(ステップSA−10)。この再検出監視時間t3は、ステップSA−2において赤外線センサ部2から人体検出信号が出力された時点を基準として計時される時間であり、少なくとも火災感知待機時間t1より長い時間であり、かつ、火災感知待機時間t1と火災感知時間t2との合計より短い時間として設定される(t1<t3<t1+t2)。
【0044】
そして、人体検出信号の再度の入力タイミングが、再検出監視時間t3の経過前であると判定された場合(ステップSA−10,Yes)、制御部6は、人体検出信号の再度の入力タイミングの時点を基準として、火災感知時間t2を再設定した上で(ステップSA−11)、ステップSA−5に移行する。この場合のタイムチャートを図4に示す。このような制御を行うのは以下の理由による。すなわち、この場合には、ステップSA−2において検知された人と同一人物が、監視領域に留まって何らかの動作を行なっていると考えられる。従って、入室時の初期ノイズを考慮する必要がなく、また、この人物が放火を行う可能性があるため、炎監視を停止することなく継続的に行うことで、放火を迅速に検知することを可能とする。
【0045】
一方、人体検出信号の再度の入力タイミングが、再検出監視時間t3の経過前ではなく経過後であると判定された場合(ステップSA−10,No)、制御部6は、電源制御部3bを制御して紫外線センサ3aへの通電を一旦オフした後(ステップSA−12)、ステップSA−3に移行して、火災感知待機時間t1が経過するのを再び待ってから、電源制御部3bを制御して紫外線センサ部3をオンすることで、紫外線センサ部3による監視を再び開始する(ステップSA−4)。この場合のタイムチャートを図5に示す。このような制御を行うのは以下の理由による。すなわち、この場合には、ステップSA−2において検知された人とは異なる人物が、監視領域に入ってきたと考えられる。従って、最初に監視領域で人体が検知された場合と同じ条件で放火の監視を行うことが好ましいため、ステップSA−3に移行する。
【0046】
最後に、ステップSA−2において、赤外線センサ部2からの検出信号が人体検出信号ではなく炎検出信号であると判定された場合(ステップSA−2,No)について説明する。この場合、制御部6は、放火か否かに関わらず、監視領域で火災が発生した可能性が高いと判定し、ステップSA−8に移行する。このような制御を行うのは、基本的には赤外線センサ部2と紫外線センサ部3とのANDを取って放火判定を行なうようにしているが、紫外線センサ部3が何らかの障害によって機能しない場合も考えられるため、赤外線センサ部2によって人体検出ではなく炎検出が行われた場合には、紫外線センサ部3の検出結果に関わらず、火災と断定することで失報を防止するためである。
【0047】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、赤外線センサ部2にて人体が検出される迄は、紫外線センサ部3による監視をあえて行わないことで、誤報を防止すると共に、消費電力を低減することができる。また、人体検出信号の入力後に直ちに紫外線センサ部3による監視を開始せずに、火災感知待機時間t1の経過を待ってから監視を開始することで、人の入室時のノイズによる誤報の可能性を低減できる。また、赤外線センサ部2によって人体が検出され、かつ、紫外線センサ部3によって炎が検出された場合に、放火と判定することで、誤報の可能性を低減できる。また、再検出監視時間t3の経過前に人体検出信号が再度入力された場合には、炎監視を停止することなく継続的に行うことで、放火を迅速に検知することを可能とする。さらにまた、再検出監視時間t3の経過後に人体検出信号が再度入力された場合には、炎監視を一旦停止し、火災感知待機時間t1の経過を待ってから再び監視を開始することで、人の入室時のノイズによる誤報の可能性を低減できる。
【0048】
〔実施の形態2〕
次に、本発明に係る実施の形態2の具体的内容について説明する。この実施の形態2は、赤外線センサ部にて人体が検出された直後においても、紫外線センサ部による炎監視を行う形態である。なお、実施の形態2の構成は特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0049】
(火災監視装置20の構成)
図6は、実施の形態2に係る火災監視装置20の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。火災監視装置20は、実施の形態1の制御部6に代えて、制御部7を備えて構成されている。この制御部7は、火災監視装置1の各部を制御する制御手段であり、CPU及びこのCPUにて解釈実行されるプログラムを含んで構成されている。特に、制御部7は、赤外線センサ部2にて人体が検出された直後に、紫外線センサ部3を所定の一時火災感知時間だけオンにするもので、特許請求の範囲における火災判定手段に対応する。
【0050】
(火災監視動作)
次に、実施の形態2における省エネ放火検出モードについて説明する。図7は省エネ放火検出モードにおける火災監視動作のフローチャートである。なお、ステップSB−1〜SB−12は、実施の形態1のステップSA−1〜SA−12に対応するのでその説明を省略する。制御部7は、赤外線センサ部2にて人体が検出された場合には(ステップSB−2,Yes)、火災感知待機時間t1の経過を待つことなく、赤外線センサ部2を所定の一時火災感知時間t4だけオンする(ステップSB−13、SB−14)。そして、この一時火災感知時間t4の間に、紫外線センサ部3からの炎検知信号がなかった場合には(ステップSB−16,No、SB−14,Yes)、赤外線センサ部2を一旦オフにして(ステップSB−15)、ステップSB−2からの火災感知待機時間の経過後に紫外線センサ部を再びオンにする(ステップSB−3,Yes、SB−4)。このような制御下における図3〜5の各場合に対応するタイムチャートを図8〜10に示す。
【0051】
一方、一時火災感知時間t4の間に紫外線センサ部3からの炎検知信号があった場合(ステップSB−16,Yes)、制御部7は、監視領域で放火が行われた可能性が高いと判定し、制御信号を警報部4に出力して警報を行わせると共に、制御信号を移報部5に出力して外部機器への移報信号を出力させる(ステップSB−8)。このような制御を行うのは、放火が行われた場合には、放火後に立ち去る犯人の動きによって人体検出が行われることが考えられるため、放火直後の犯人の動作をトリガとして炎の監視を開始することで、放火をより迅速に検出するためである。なお、一時火災感知時間t4の具体的時間は任意であるが、少なくとも火災感知待機時間t1より短い時間(t4<t1)が設定される。
【0052】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に効果に加えて、赤外線センサ部2にて人体が検出された場合には、赤外線センサ部2を所定の一時火災感知時間t4だけオンすることで、放火直後の犯人の動作をトリガとして炎の監視を開始して、放火をより迅速に検出することができる。
【0053】
〔実施の形態3〕
次に、本発明に係る実施の形態3の具体的内容について説明する。この実施の形態3は、赤外線センサ部ではなく外部信号源からの人体検出結果に基づいて、紫外線センサ部3のオン/オフを制御する形態である。なお、実施の形態3の構成は特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0054】
(火災監視装置30の構成)
図11は、実施の形態3に係る火災監視装置30の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。火災監視装置30は、実施の形態1の赤外線センサ部2に代えて、信号入力部8を備えて構成されている。信号入力部8は、外部信号源9からの人体検出信号を受信する受信手段である。ここで、外部信号源9からの人体検出信号としては、監視領域における人体の存在を示す任意の信号を用いることができ、例えば、監視領域の入口や内部に設けられている自動ドアが作動した旨を示すドア作動信号、監視領域の内部のトイレに設けられている人体感知センサによって人体が感知された旨を示す人体感知信号、監視領域に設けられている防犯設備によって人体が感知された旨を示す人体感知信号、自動販売機等の各種設備が使用された旨を示す動作信号が該当する。この外部信号源9は、特許請求の範囲における検出手段に対応する。
【0055】
(火災監視動作)
このような構成において、制御部6は、実施の形態1の赤外線センサ部2からの人体検出信号に代えて、外部信号源9から信号入力部8に対して入力された人体検出信号に基づいて、実施の形態1と同様の制御を行う。
【0056】
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、実施の形態1と同様に効果に加えて、外部信号源9からの信号に基づいて実施の形態1と同様の制御を行うことができ、赤外線センサ部2を省略して火災監視装置30の構成を簡略化できる。
【0057】
〔実施の形態4〕
最後に、本発明に係る実施の形態4の具体的内容について説明する。この実施の形態4は、紫外線センサ部3のオン/オフを、赤外線センサ部の人体検出結果に関わらず、所定時間間隔で自動的に行う形態である。なお、実施の形態4の構成は特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0058】
(火災監視装置40の構成)
図12は、実施の形態4に係る火災監視装置40の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。火災監視装置40は、実施の形態1の制御部6に代えて制御部41を備えて構成されている。
【0059】
(火災監視動作)
次に、実施の形態4における火災監視動作のうち、省エネ放火検出モードについて説明する。図13は省エネ放火検出モードにおける火災監視動作のフローチャートである。なお、ステップSC−1〜SC−12は、実施の形態1のステップSA−1〜SA−12に対応するのでその説明を省略する。制御部41は、赤外線センサ部2にて人体が検出されない場合であっても(ステップSC−1,No)、所定の定期監視間隔t5が到来する毎に(ステップSC−17,Yes)、ステップSC−4に移行して、赤外線センサ部2を所定の火災感知時間t2だけオンする。このような制御を行うのは、赤外線センサ部2に何らかの障害があった場合、放火犯が焦電センサ2aで検知されない程度の極めて緩慢な速度で監視領域に入室した場合、あるいは、放火犯が低温物体を赤外線センサ部2に向けた状態で監視領域に入室した場合等、監視領域に侵入した人間が存在するにも関わらず赤外線センサ部2が何らかの原因によって機能しない場合が考えられるため、赤外線センサ部2の検出結果に関わらず紫外線センサ部3をオンして、この紫外線センサ部3によって炎が検出された場合には、火災と断定することで失報を防止するためである。この定期監視間隔t5の具体的時間は任意であるが、少なくとも火災感知待機時間t1や火災感知時間t2より長い時間が設定される(火災感知待機時間t1<定期監視間隔t5、火災感知時間t2<定期監視間隔t5)。また、定期監視間隔t5は必ずしも一定である必要はなく、例えば、時計や照度センサと連動させて、昼間は5分毎に紫外線センサ部3をオンし、夜間は1分毎に紫外線センサ部3をオンすることで、昼間の警戒度と夜間の警戒度とを変えてもよい。
【0060】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0061】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0062】
(各実施の形態の組み合わせ)
各実施の形態に示した構成及び制御は、相互に組み合わせることができる。例えば、実施の形態2に示した制御動作に加えて、さらに、実施の形態4に示したように、定期監視間隔t5が到来する毎に赤外線センサ部2を所定の火災感知時間t2だけオンさせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
この発明に係る火災監視装置は、火災を監視する装置、特に放火を監視する装置として利用され、感知器の誤報防止や電池省力化を図ることに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1に係る火災監視装置の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図2】省エネ放火検出モードにおける火災監視動作のフローチャートである。
【図3】火災感知待機時間の経過後に紫外線センサ部をオンとした場合のタイムチャートである。
【図4】再検出監視時間の経過前に人体検出信号が再入力された場合のタイムチャートである。
【図5】再検出監視時間の経過後に人体検出信号が再入力された場合のタイムチャートである。
【図6】実施の形態2に係る火災監視装置の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図7】省エネ放火検出モードにおける火災監視動作のフローチャートである。
【図8】火災感知待機時間の経過後に紫外線センサ部をオンとした場合のタイムチャートである。
【図9】再検出監視時間の経過前に人体検出信号が再入力された場合のタイムチャートである。
【図10】再検出監視時間の経過後に人体検出信号が再入力された場合のタイムチャートである。
【図11】実施の形態3に係る火災監視装置の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図12】実施の形態4に係る火災監視装置の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図13】省エネ放火検出モードにおける火災監視動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1、20、30、40 火災監視装置
2 赤外線センサ部
2a 焦電センサ
2b アンプ
2c 信号処理部
3 紫外線センサ部
3a 紫外線センサ
3b 電源制御部
3c 信号処理部
4 警報部
5 移報部
6、7、41 制御部
8 信号入力部
9 外部信号源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域における火災を監視するための火災監視装置であって、
前記監視領域における火災を感知する火災感知手段と、
前記監視領域における所定の状態を検出する検出手段にて当該所定の状態が検出された場合に、前記火災感知手段をオンする火災感知制御手段と、
前記火災感知手段のオン状態における感知結果に基づいて、前記監視領域における火災の有無を判定する火災判定手段と、
を備えることを特徴とする火災監視装置。
【請求項2】
前記火災感知制御手段は、前記検出手段にて前記所定の状態が検出された場合において、所定の火災感知待機時間の経過後に、前記火災感知手段を所定の火災感知時間だけオンすること、
を特徴とする請求項1に記載の火災監視装置。
【請求項3】
前記火災感知制御手段は、前記火災感知手段をオンした場合、前記検出手段にて前記所定の状態が検出されてから所定の再検出監視時間の経過前に、当該検出手段にて前記所定の状態が再検出された場合には、当該再検出された時点を基準として前記火災感知時間を再設定すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の火災監視装置。
【請求項4】
前記火災感知制御手段は、前記火災感知手段をオンした場合、前記検出手段にて前記所定の状態が検出されてから所定の再検出監視時間の経過後に、当該検出手段にて前記所定の状態が再び検出された場合には、前記火災感知手段をオフすると共に、当該オフの時点から前記火災感知待機時間の経過後に、前記火災感知手段を所定の火災感知時間だけオンすること、
を特徴とする請求項3に記載の火災監視装置。
【請求項5】
前記火災感知制御手段は、前記検出手段にて前記所定の状態が検出された場合において、当該所定の状態が検出された直後に、前記火災感知手段を、前記火災感知待機時間より短い所定の一時火災感知時間だけオンすること、
を特徴とする請求項4に記載の火災監視装置。
【請求項6】
前記火災感知制御手段は、前記検出手段にて前記所定の状態が検出されるか否かに関わらず、前記火災感知手段を、所定の定期監視間隔毎にオンすること、
を特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の火災監視装置。
【請求項7】
前記検出手段は、当該火災監視装置に設けられたものであって、前記監視領域における人体を検出する人体検出器であること、
を特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の火災監視装置。
【請求項8】
前記検出手段は、焦電式赤外線センサであり、
前記火災感知手段は、紫外線式炎感知器であること、
を特徴とする請求項7に記載の火災監視装置。
【請求項1】
監視領域における火災を監視するための火災監視装置であって、
前記監視領域における火災を感知する火災感知手段と、
前記監視領域における所定の状態を検出する検出手段にて当該所定の状態が検出された場合に、前記火災感知手段をオンする火災感知制御手段と、
前記火災感知手段のオン状態における感知結果に基づいて、前記監視領域における火災の有無を判定する火災判定手段と、
を備えることを特徴とする火災監視装置。
【請求項2】
前記火災感知制御手段は、前記検出手段にて前記所定の状態が検出された場合において、所定の火災感知待機時間の経過後に、前記火災感知手段を所定の火災感知時間だけオンすること、
を特徴とする請求項1に記載の火災監視装置。
【請求項3】
前記火災感知制御手段は、前記火災感知手段をオンした場合、前記検出手段にて前記所定の状態が検出されてから所定の再検出監視時間の経過前に、当該検出手段にて前記所定の状態が再検出された場合には、当該再検出された時点を基準として前記火災感知時間を再設定すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の火災監視装置。
【請求項4】
前記火災感知制御手段は、前記火災感知手段をオンした場合、前記検出手段にて前記所定の状態が検出されてから所定の再検出監視時間の経過後に、当該検出手段にて前記所定の状態が再び検出された場合には、前記火災感知手段をオフすると共に、当該オフの時点から前記火災感知待機時間の経過後に、前記火災感知手段を所定の火災感知時間だけオンすること、
を特徴とする請求項3に記載の火災監視装置。
【請求項5】
前記火災感知制御手段は、前記検出手段にて前記所定の状態が検出された場合において、当該所定の状態が検出された直後に、前記火災感知手段を、前記火災感知待機時間より短い所定の一時火災感知時間だけオンすること、
を特徴とする請求項4に記載の火災監視装置。
【請求項6】
前記火災感知制御手段は、前記検出手段にて前記所定の状態が検出されるか否かに関わらず、前記火災感知手段を、所定の定期監視間隔毎にオンすること、
を特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の火災監視装置。
【請求項7】
前記検出手段は、当該火災監視装置に設けられたものであって、前記監視領域における人体を検出する人体検出器であること、
を特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の火災監視装置。
【請求項8】
前記検出手段は、焦電式赤外線センサであり、
前記火災感知手段は、紫外線式炎感知器であること、
を特徴とする請求項7に記載の火災監視装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−317135(P2007−317135A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148988(P2006−148988)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
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