説明

火炎検出装置及び燃焼装置

【課題】光センサを有する火炎検出装置が、ボイラ等の燃焼装置においてバーナの燃焼による熱によって加熱される場合に充分な信頼性を確保することが可能な火炎検出装置及びかかる火炎検出装置を用いた燃焼装置を提供すること。
【解決手段】バーナ制御部30により制御されるバーナ12の火炎が発する光を検出する光センサと、この光センサの検出信号に基づいて制御信号を出力する制御部50と、前記光センサの近傍に配置された温度検出手段とを備えた火炎検出装置40であって、前記制御部50は、前記温度検出手段が所定の温度に到達した場合に、前記バーナ12の燃焼停止信号を前記バーナ制御部30に出力するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バーナの火炎を検出する光センサを備えた火炎検出装置と、この火炎検出装置を用いた燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラ等、バーナを用いた燃焼機器には、バーナが失火した状態で重油、ガス等の燃料が未燃のまま放出されるのを防止するために、バーナの火炎の有無を検出し、火炎の有無に基づいてバーナ制御部に制御信号を出力する火炎検出装置が、一般的に設けられている。
【0003】
かかる火炎検出装置のひとつとして、バーナの火炎が発する光を検出可能な光センサを設け、この光センサが検出した信号により火炎を検出してバーナの燃焼状態を判断する火炎検出装置に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参考。)。
【0004】
ところで、バーナの燃焼により発生する熱によって光センサが加熱されると、光センサに暗電流が流れて火炎がないにも関わらず火炎検出信号が出力され、火炎検出装置が所望の機能を果たさなくなる場合がある。
光センサに流れる暗電流に関しては、暗電流を光センサの温度に対応して補正し、光センサが温度の影響を受けないようにするための技術が開示されている(例えば、特許文献2参考。)。
【0005】
しかしながら、近年、性能、小型化や環境問題を起因としてフォトIC等、半導体素子から構成された光センサが一般的となるなか、これら光センサは充分な耐熱性の確保が困難であるため、たとえ光センサにおいて発生する上記暗電流を補正したとしても、バーナ燃焼する際の熱によって光センサが高温になると、光センサとしての充分な信頼性の確保は必ずしも容易とはいえず、バーナが燃焼する際の熱に起因して発生する光センサの信頼性低下を抑制可能な技術が要請されている。
【0006】
また、燃焼装置がボイラの場合、蒸気が良好な乾き度が維持されるように、例えば、水管の給水温度、バーナ燃焼量、蒸気圧力等に基づいて水管内の水位が複数の水位検出用電極棒によって制御され、低水位を検出するための水位検出用電極棒による検出ができなくなるまで水位が低下した場合には給水ポンプを駆動して水管内の水位を上昇させるとともに、水管へのスケールの付着、水管の過熱を温度センサで検出し、過熱の虞がある場合にはバーナの燃焼を停止することによりボイラがダメージを受けるのを抑制するフェールセーフに係るインターロックが設けられている。
しかし、かかるインターロックに支障が発生した場合には、水管の空焚きを完全に防止することができず、かかるバーナの燃焼によりボイラ等の燃焼装置が過熱するのをより確実に防止して燃焼装置が過熱によってダメージを受けるのを抑制したいという技術的要請がある。
【特許文献1】特開2002−303420号公報
【特許文献2】特開昭63−157020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、光センサを有する火炎検出装置が、ボイラ等の燃焼装置においてバーナの燃焼による熱によって加熱される場合に充分な信頼性を確保することが可能な火炎検出装置及びかかる火炎検出装置を用いた燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、バーナ制御部により制御されるバーナの火炎が発する光を検出する光センサと、この光センサの検出信号に基づいて制御信号を出力する制御部と、前記光センサの近傍に配置された温度検出手段と、を備えた火炎検出装置であって、前記温度検出手段が所定の温度に到達した場合に、前記バーナ制御部に前記バーナの燃焼停止信号を出力するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る火炎検出装置によれば、光センサの近傍に配置された温度検出手段が、バーナが燃焼する熱によって所定温度以上に加熱されると、制御部がバーナ制御部に燃焼停止信号を出力するようになっているので、光センサが所定温度以上に加熱されるのが抑制される。
その結果、光センサが温度上昇することに起因する暗電流の発生が抑制されるとともに、温度検出手段が温度上昇により破損するのが抑制され、火炎検出装置の信頼性を向上することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、燃焼装置であって、請求項1に記載の火炎検出装置を備えることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る燃焼装置によれば、光センサが温度上昇することによる暗電流の発生と光センサの熱破損が抑制可能な火炎検出装置を備えているので、燃焼装置の過熱に対する信頼性を向上することができる。
その結果、バーナ失火と燃焼装置の過熱を抑制することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の燃焼装置であって、前記バーナ制御部を備え、前記バーナ制御部は、前記温度検出手段が所定の温度に到達した場合に、前記火炎検出装置への電力供給を停止する電源制御部を備えていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る燃焼装置によれば、温度検出手段により検出する温度が所定の温度に到達した場合に火炎検出装置への電力供給が停止される。その結果、火炎検出信号が出力されなくなるので確実にバーナの燃焼を停止することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る火炎検出装置によれば、光センサが所定温度以上に加熱されるのが抑制され、その結果、光センサが温度上昇することに起因する暗電流の発生が抑制されるとともに、光センサが温度上昇により破損するのが抑制され、火炎検出装置の信頼性を向上することができる。
また、この発明に係る燃焼装置によれば、燃焼装置の過熱に対する信頼性を向上して、バーナ失火と燃焼装置の過熱を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1から図3を参照し、この発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る火炎検出装置をボイラ(燃焼器)に適用した場合の概略図であり、符号1はボイラを、符号40は火炎検出装置を示している。
【0016】
ボイラ1は、図1に示すように、ボイラ本体10と、燃料供給部20と、バーナ制御部30と、火炎検出装置40とを備えており、ボイラ本体10のウインドボックス11が形成され、ウインドボックス11にはバーナ12及び火炎検出装置40の検出部42が配置され、バーナ12の火炎が発する光Lを検出部42により監視可能とされている。
【0017】
また、ボイラ1は、蒸気が良好な乾き度に維持されるように、例えば、水管に供給する水の給水温度、電気伝導度、バーナ燃焼量、蒸気圧力等に基づいて水位制御されるとともに、水管に設けられた図示しない温度センサによって、水管へのスケールの付着、水管の温度を検出し、過熱の虞がある場合にはバーナの燃焼を停止してボイラ1がダメージを受けるのを抑制するフェールセーフに係るインターロックが設けられている。
バーナ12は、例えば、燃料ガスを燃焼させて、高燃焼、低燃焼、燃焼停止の3つの燃焼量を段階的に得ることが可能な3位置制御バーナ12とされている。
【0018】
燃料供給部20は、送風ファン21と、燃料供給バルブ22とを備え、送風ファン21から送風された燃焼用空気と燃料供給バルブ22から供給された生ガスとがダクト内で混合されて燃料ガスが生成されるようになっており、この燃料ガスはバーナ12に供給されるようになっている。
【0019】
送風ファン21は、回転が、例えばインバータにより制御されており、バーナ12の燃焼量に応じてバーナ制御部30から送られる回転制御信号により回転数が制御可能とされ、その結果、燃焼用空気の送風量が調整されるようになっている。
燃料供給バルブ22は、燃料供給源(図示せず)から供給される生ガスの供給量を調整するものであり、バーナ制御部30から送られる供給量制御信号により切換わり生ガス供給量が調整されるようになっている。
【0020】
バーナ制御部30は、例えば、ボイラ本体10内に設けられた図示しない圧力センサによって検出される蒸気圧力に対応して送風ファン21の回転数及び燃料供給バルブ22を切換えて生ガスの供給量を調整し、その結果、バーナ12の燃焼量が調整されるようになっている。
また、バーナ制御部30は電源制御部32を備え、電源制御部32は、火炎検出装置40に電力を供給する(電圧を印加することも含む)電源部34を制御するようになっており、火炎検出装置40の制御部50から送られたバーナ停止信号基づいて電源部34を停止することができるように構成されている。
【0021】
火炎検出装置40は、検出部42と、制御部50とを備え、検出部42は、図2に示すように、光センサ43と、温度センサ(温度検出手段センサ)44と、円筒形状に形成された収納筒45とから構成され、光センサ43及び温度センサ44は収納筒45内に収納されている。なお、この実施の形態において、制御部50と、バーナ制御部30とは、ともに制御盤内のメイン制御部(基板上)に配置されている。
【0022】
光センサ43は、例えば、フォトICにより構成され、電源部34を電源としてバーナ12の火炎の光Lが入射されている場合に火炎検出信号を出力するようになっている。なお、火炎が発する光Lは、紫外線、可視光、赤外線のいずれを用いる構成としてもよい。
【0023】
温度センサ44は、この実施形態においては、例えば、CA等の熱電対により構成されており、光センサ43と直列に電源部34に接続されている。
光センサ43及び温度センサ44は、電源部34により電圧が印加されることにより、火炎の光Lに基づく火炎検出信号及び温度に基づく温度検出信号を、電源部34を経由して制御部50に出力するようになっている。
【0024】
収納筒45は、円筒形状に形成された筒状体からなり、光センサ43及び温度センサ44を収納可能とされている。
光センサ43は、収納筒45の一端側(火炎側)に開口する開口部に受光部43Aを向けて配置され、例えば、受光部43Aの周囲を低熱伝導率材料により囲繞して形成された保持部材45Aを介して収納筒45内周面に支持され、光センサ43に外部からの熱が伝導し難い構成とされている。
【0025】
温度センサ44は、収納筒45の内周面に接触して配置されていて、収納筒45外部の温度が上昇した場合に、光センサ43よりわずかに早く温度が上昇して光センサ43が温度上昇より破損するのを抑制可能とされている。
【0026】
制御部50は、検出部42が検出した火炎検出信号及び温度検出信号が入力され、火炎検出信号に基づいてバーナ12に火炎がない場合、又は温度検出信号に基づいて光センサ43近傍が所定の温度以上になった場合に、バーナ制御部30に燃焼停止信号を出力するようになっている。
【0027】
また、制御部50には、バーナ制御部30に燃焼停止信号を出力する所定温度を、例えば、設定スイッチ(図示せず)により設定可能とされている。
このように、光センサ43近傍の温度が所定の温度に到達することにより制御部50からバーナ制御部30に燃焼停止信号が出力されるため、光センサ43の暗電流の影響が抑制されるとともに光センサ43の過熱による破損が抑制される。
【0028】
次に、作用について説明する。
1)光センサ43がバーナ12の火炎が発する光Lを検出している間は火炎検出信号が出力されて制御部50においてバーナ12が燃焼していると判断され、バーナ12の火炎が発する光Lが検出されない場合には、制御部50においてバーナ12が失火した状態であると判断される。
2)バーナ12が失火することなく燃焼している場合には、制御部50はバーナ制御部30に対して燃焼停止制御信号を出力せずバーナ制御部30はバーナ12に燃料ガスを供給しバーナ12の燃焼が維持される。この場合、制御部50が燃焼維持信号を出力する構成としてもよい。
3)バーナ12が失火していると判断された場合には、制御部50からバーナ制御部30に燃焼停止信号が出力され、バーナ12への燃料ガスの供給が停止される。
4)ボイラ1が長時間連続運転され、水管及びボイラ本体10が過熱状態になると、ウインドボックス11のようにボイラ本体10の上部に配置されバーナ12に近接した領域の温度は早く上昇し、これにともなって光センサ43及び温度センサ44の温度が上昇する。
5)温度センサ44が検出する温度が、例えば、制御部50に予め設定された所定温度以上になると、制御部50はバーナ制御部30に対して燃焼停止信号を出力し、バーナ12への燃料ガスの供給を停止し、バーナ12の燃焼が停止される。
【0029】
この実施形態に係る火炎検出装置40によれば、バーナ12の燃焼によってボイラ1の温度が上昇した場合に、光センサ43の温度が所定温度まで上昇すると、バーナ制御部30に燃焼停止信号を出力するように構成されているので、光センサ43の温度上昇に起因する暗電流の発生が抑制され、暗電流に起因する火炎の誤検出を抑制することができる。
【0030】
また、光センサ43の温度が所定の温度に到達した場合に、電源制御部32が電源部34を停止して光センサ43への電力供給を遮断するので、火炎検出装置40が確実に停止されて光センサ43からの火炎検出信号が出力されなくなるのでバーナ12の燃焼を確実に停止することができる。
【0031】
次に、図4を参照し、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態が、第1の実施形態に係るボイラ1と異なるのは、光センサ43と温度センサ44とが直列接続されるのではなく、制御部50に並列に接続されて火炎検出信号と、温度検出信号とがそれぞれ個別に入力される点と、電源部34が光センサ34及び温度センサ44ではなく制御部50に電力を供給している点であり、他の部分については第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
かかる構成により、温度センサ44の温度が所定温度に到達した場合、検出部42の過熱に基づくバーナ停止信号が制御部50からバーナ制御部30に出力され、このバーナ停止信号に基づいて電源制御部32が電源部34から制御部50への電力供給を停止するようになっている。
【0033】
なお、この発明は、第1、第2の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、第1、第2の実施形態の形態においては、光センサ43がフォトICにより構成される場合について説明したが、その他の光センサ43を適用することも可能である。
【0034】
また、第1、第2の実施形態においては、温度検出手段が、熱電対からなる温度センサ44である場合について説明したが、温度検出手段として熱電対に代えて、例えば、サーミスタ、白金測温抵抗体等の温度センサを用いてもよい。
【0035】
また、温度センサ44に代えて、例えば、温度ヒューズを温度検出手段とし、光センサ43と温度ヒューズを電源部34に直列に接続し、温度ヒューズが所定の温度に到達して溶断されることにより光センサ43と電源部34との電気的接続が遮断され、光センサ43が火炎検出信号を出力しなくなった場合に電源制御部32が電源部34から火炎検出装置40への電力供給を停止する構成としてもよい。なお、温度ヒューズとは、加熱された際の温度に対応して溶解し、構成する回路を遮断とする素子等をいう。
【0036】
また、第1実施形態においては火炎検出装置40の検出部42に電力を供給し、第2の実施形態においては制御部50に電力を供給する場合について説明したが、電源制御部32により制御される電源部34が電力を供給する対象は構成に応じて自在に選択することができる。
【0037】
また、第1、第2の実施形態においては、バーナ12、燃料供給部20が、燃料ガスを燃料とする場合について説明したが、燃料ガスに代えて重油を燃料とする構成としてもよいことはいうまでもない。
また、火炎検出装置40を適用する燃焼装置がボイラ1である場合について説明したが、火炎検出装置40を熱処理炉、溶解炉等、バーナを用いる他の燃焼装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るボイラの概略を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る検出部を示す縦断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る火炎検出装置、電源部、バーナ制御部の概略構成を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る火炎検出装置、電源部、バーナ制御部の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
12 バーナ
20 燃料供給部
30 バーナ制御部
32 電源制御部
40 火炎検出装置
43 光センサ
44 温度センサ(温度検出手段)
50 制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ制御部により制御されるバーナの火炎が発する光を検出する光センサと、
この光センサの検出信号に基づいて制御信号を出力する制御部と、
前記光センサの近傍に配置された温度検出手段と、
を備えた火炎検出装置であって、
前記制御部は、
前記温度検出手段が所定の温度に到達した場合に、前記バーナ制御部に前記バーナの燃焼停止信号を出力するように構成されていることを特徴とする火炎検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の火炎検出装置を備えることを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
請求項2に記載の燃焼装置であって、
前記バーナ制御部を備え、
前記バーナ制御部は、
前記温度検出手段が所定の温度に到達した場合に、前記火炎検出装置への電力供給を停止する電源制御部を備えていることを特徴とする燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−121713(P2009−121713A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293608(P2007−293608)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】