説明

火炎検知装置

【課題】半導体式光センサのショート故障時のみ、これ以上下がらない飽和電圧値以下となる特性を利用して確実にショート故障検知が出来る炎検知装置を提供する。
【解決手段】燃焼器1の燃焼火炎からの光を受けることで電流値が変化する半導体式光センサ6を備え、更にこの電流値の変化を電圧値の変化に変換する電流電圧変換回路18と、この電流電圧変換回路18からの電圧値と予め設定された判定基準電圧とを比較することにより、火炎の有無を判定する火炎検知装置であって、前記判定基準電圧にはショート故障判定電圧も設け、更にこのショート故障判定電圧を半導体式光センサ6の正常検知最低電圧で、これ以上下がらない飽和電圧値以下としたので、ショート故障を明るさに関係なく明確に他と区別して確実に検知することが出来るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火炎の有無と共に自身のショート故障も確実に検知する火炎検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、cds炎検出センサにより明るさに応じて変化する抵抗値を利用し、着火は着火判定基準値に達したか、又消火は消火判定基準値に達したかと言うことで、各基準値との比較で検知するものであった。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開平5−240424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、着火の明るさが増せば増すほど抵抗値が小さくなり、又cds炎検出センサがショート故障した時も抵抗値は小さくなるので、着火とショート故障とを区別して検出することは出来ないものであった。
又近年環境問題からcds炎検出センサから半導体式光センサ(フォトICダイオード)が使用されるようになって来たが、この半導体式光センサもまた着火の明るさが増せば増すほど電圧値が小さくなり、ショート故障した時も電流値が小さくなるので、着火とショート故障とを区別して検出することは出来ないと言う問題点を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決するため、特にその構成を、燃焼器の燃焼火炎からの光を受けることで電流値が変化する半導体式光センサを備え、更にこの電流値の変化を電圧値の変化に変換する電流電圧変換回路と、この電流電圧変換回路からの電圧値と予め設定された判定基準電圧とを比較することにより、火炎の有無を判定する火炎検知装置であって、前記判定基準電圧にはショート故障判定電圧も設け、更にこのショート故障判定電圧を半導体式光センサの正常検知最低電圧で、これ以上下がらない飽和電圧以下としたものである。
【発明の効果】
【0005】
以上のようにこの発明によれば、着火とショート故障を区別して検知することが出来、ショート故障時には燃焼を停止させて安全を確保することが出来るものであり、安心して使用することが出来、更にこのショート故障検知電圧を、半導体式光センサの特性で正常検知最低電圧であり、これ以上下がらない飽和電圧以下としたことで、ショート故障を明るさに関係なく明確に他と区別して確実に検知することが出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次にこの発明の炎検知装置を給湯機で実施した一実施形態に基づいて説明する。
1はガンタイプバーナからなる給湯機の燃焼器で、燃料噴霧用のノズル2と燃焼空気供給用の送風機3と、点火電極4とこの点火電極4をスパークさせるイグナイタ5と、燃焼火炎からの光を受けることで電流値が変化して火炎を検知するフォトICダイオードからなる半導体式光センサ6が備えられている。
【0007】
7はノズル2に燃料の灯油を供給する電磁ポンプで、油電磁弁8や油比例弁9を有したリターン方式の送油経路10に備えられ燃焼器1を比例燃焼させるものである。
11は途中に前記燃焼器1の燃焼による燃焼熱と熱交換する熱交換器12を備えた給湯回路で、給水側には給水温度を検知する給水サーミスタ13と、水流を検知するフローセンサ14とが備えられ、給湯側には給湯温度を検知する給湯サーミスタ15が備えられている。16は給湯回路が巻回した燃焼缶体で、排気筒17と連通して燃焼排気を排出している。
【0008】
18は前記半導体式光センサ6による火炎検知で変動する電流値を電圧値に変換する電流電圧変換回路で、検知した電圧値は判定処理部19へ入力させ、又この判定処理部19には判定基準記憶部20から予め記憶された基準電圧値が供給されて、検知された電圧値とこの基準電圧値とを比較して、その結果を給湯制御部21に出力するものであり、この電流電圧変換回路18及び判定処理部19及び判定基準記憶部20及び給湯制御部21は1つマイコン22によって構成されている。
【0009】
更に半導体式光センサ6の検知電圧値は、火炎のない暗い状態では高く4〜5Vで炎無しとし、4V未満の所に境界線が引かれており、又火炎がある明るい状態では検知電圧値は低く3〜2Vで炎有りとし、前記の4V未満の境界線の下側としているもので、2〜1Vの所は飽和電圧領域で明るさを増してもこれ以上は電圧値が低下しない領域であが、炎検知では炎有りとなるものであり、半導体式光センサ6のショート故障で唯一この1V未満で0Vに達しない電圧値に下がるもので、この1V未満をショート故障電圧値としているものである。
【0010】
そしてこの半導体式光センサ6で炎有りを検知すれば、給湯制御部21を介して燃焼器1の燃焼を継続させ、炎無しでは給湯制御部21を介して送風機3や電磁ポンプ7の駆動を停止させて燃焼器1の燃焼を停止させるものであり、又半導体式光センサ6のショート故障を検知すると、炎無しと同じく給湯制御部21を介して燃焼を停止させると共に、リモコン等の表示部23にショート故障である旨を表示させて報知するものである。
【0011】
次にこの一実施形態の作動について、図4に示すフローチャートに基づいて説明すれば、給湯回路9の流水をフローセンサ14が検知することで(ステップ24)、YESでステップ25に進み燃焼器1でイグナイタ5による点火電極4のスパークと、電磁ポンプ7の駆動によるノズル2からの燃油の噴霧で燃焼が開始され、そしてステップ26では半導体式光センサ6による炎検知の電圧値が4V未満かを判断し、NOでは4V以上と言うことで炎無しでステップ27で燃焼を停止し、YESではステップ28に進んで炎検知の電圧値が1V未満かを判断して、NOでは3〜1Vであると判断して炎有りでステップ29で燃焼を継続し、YESで1V未満で0Vに達しない電圧値で半導体式光センサ6のショート故障であるとして、ステップ30に進んで燃焼を停止させると共に、半導体式光センサ6のショート故障であることを表示して報知するものである。
【0012】
一方給湯では、燃焼器1の燃焼による燃焼熱で熱交換器12が加熱されることで、該熱交換器12内を流通する流水が温水となり、この温水が給湯設定温度になるように給湯サーミスタ15による検知温度に応じて、燃焼器1の燃焼量を制御して常に良好な給湯が行えるようにするものである。
【0013】
従って、上記のような炎検知が行われることにより、炎の有り無しだけでなく、半導体式光センサ6自身の特性である、どのように明るさが増しても炎検知電圧値が飽和電圧値以下には下がらないが、唯一ショート故障時のみこの飽和電圧値を越えて低下する電圧値により、半導体式光センサ6のショート故障も検知するようにしたことで、炎の有無は勿論ショート故障も確実に検知し、機器の安全を確保出来、長期に渡って安心して使用出来るようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態の炎検知装置を備えた給湯機の概略構成図。
【図2】同要部電気回路のブロック図。
【図3】同炎検知の電圧値を示す比較図。
【図4】同炎検知のフローチャート。
【符号の説明】
【0015】
1 燃焼器
6 半導体式光センサ
18 電流電圧変換回路
19 判定処理部
20 判定基準記憶部
21 給湯制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器の燃焼火炎からの光を受けることで電流値が変化する半導体式光センサを備え、更にこの電流値の変化を電圧値の変化に変換する電流電圧変換回路と、この電流電圧変換回路からの電圧値と予め設定された判定基準電圧とを比較することにより、火炎の有無を判定する火炎検知装置であって、前記判定基準電圧にはショート故障判定電圧も設け、更にこのショート故障判定電圧を半導体式光センサの正常検知最低電圧で、これ以上下がらない飽和電圧以下とした事を特徴とする火炎検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−168384(P2009−168384A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8677(P2008−8677)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】