説明

炉内の廃棄物の高さを検出するためのマイクロ波トランシーバユニット

【解決手段】
シャフト炉に使用されるマイクロ波トランシーバユニットについて記載されている。2個以上のランシーバユニットが炉内に取り付けられ、炉胸内の廃棄物の高さを決定するために使用される。炉の炉胸内の廃棄物の高さを決定するためにそのトランシーバユニットを使用する方法も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物の加工、処理又は処分を含む廃棄物の変換のためのプラント又は装置に関する。特に、本発明は、係るプラント又は装置内の廃棄物の高さを検出し監視するための改善された機構に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマトーチを利用した廃棄物処理プラントによる、都市廃棄物、医療廃棄物、有毒廃棄物及び放射性廃棄物などの廃棄物の処理は周知である。
【0003】
そのようなプラントに共通に生じる1つの問題は、プラントのシャフト炉又は処理チャンバ内の廃棄物の高さを検出することであり、その理由は、そのような目的に使用される検出器は、腐食の可能性もある高温環境で動作しなければならないことである。更に、多くの場合、検出器は、炉の外部からアクセスすることができない。
【0004】
プラントのタイプによっては、処理チャンバに、チャンバ内に延在する供給導管を有する上部廃棄物口があるものがある。この導管の下部に廃棄物の「プラグ」を維持し、その結果廃棄物の柱がこの導管の内部から、廃棄物のガス化と熱分解が進行しているチャンバ下部まで延在することには幾つかの利点がある。特に、廃棄物の柱は、通常、導管の下縁から処理チャンバの内壁に向かって外方に広がる。これにより、チャンバの上部と導管の外壁との間に実質的に周辺空間ができ、チャンバにこの空間と連通する生成ガス出口が設けられる。導管内の廃棄物のプラグは、ガス化プロセスで形成された生成ガスに対して障壁になり、廃棄物口からのガスの流出を実質的に最小限に抑える。これは、ガスが廃棄物口から大気中に放出される場合に生じる可能性がある火災事故や爆発災害の可能性を最小限に抑える。これは、エアロックシステムを含む場合でも可能である。このプラグがあるために、生成ガスは実質的に出口を介してのみチャンバから流れ出る。
【0005】
従って、このような場合に、供給導管自体の中の廃棄物の高さを監視することは特に重要である。しかしながら、高さ検出器と関連する前述の問題は、そのような導管を含む反応炉内の方が更に大きい。例えば、導管が完全にシャフト炉内又は処理チャンバ内にあるために、導管自体には、従来技術の高さ指示計の通常の位置である反応炉の外側よりもアクセスしにくい。従って、導管に接続された通常の検出器は、保守と交換が困難であり、一般に、チャンバの上部及び/又は供給機構を分解しなければならない。更にまた、供給管がチャンバのセラミックライニングに対して熱膨張するので、導管に取り付けられたそのような検出器とチャンバの外側との間の電気接続が膨脹可能でなければならないという問題がある。これに対して、処理チャンバの外側に取り付けられた従来技術の検出器は、導管自体内の廃棄物の高さを検出することができない。
【0006】
廃棄物の高さを検出するためのマイクロ波送受信機構成は、特開平10-307053と特開2000−310554とから一般に知られている。米国特許第3,456,715号、米国特許第6,310,574号、米国特許第5,703,289号、米国特許第5,507,181号、米国特許第4,566,321号、及び特開昭57-029913等の他の従来技術の公報は、高さを監視する材料を収容するケースにボルトで取り付けることができる様々な高さ監視システムに関するものである。米国特許第3,456,715号は、凝固水冷カラー内の溶融物の高さを検出する超音波式システムに関するものである。しかしながら、超音波式システムは、一般に、チャンバ内のプロセスで生じる超音波バックグラウンド信号の影響によって、このような処理チャンバ内の高さ検出には適していない。
【0007】
これらの文献は何れも、シャフト炉内又は処理チャンバ内にある供給導管内の廃棄物の高さを高温環境で監視するという課題の解決策を提供していない。更に、周辺空間内にある検出器のアクセス性と保守或いは供給導管の熱膨張の問題に対処していない。
【0008】
【特許文献1】特開平10-307053号
【特許文献2】特開2000−310554号
【特許文献3】米国特許第3,456,715号
【特許文献4】米国特許第6,310,574号
【特許文献5】米国特許第5,703,289号
【特許文献6】米国特許第5,507,181号
【特許文献7】米国特許第4,566,321号
【特許文献8】特開昭57-029913号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の目的は、プラズマ式廃棄物変換プラント特にその供給導管内の廃棄物の高さを監視するための、従来技術の検出装置及びシステムの制限を克服した高さ検出装置及びシステムを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、都市廃棄物処理装置に組み込むことができるような装置及びシステムを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、比較的機械的に単純であり従って処理プラント設計に低コストで組み込むことができる装置及びシステムを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、プラズマトーチ型廃棄物変換装置の一体部分として組み込まれた装置及びシステムを提供することである。
【0013】
更に、本発明の目的は、少なくとも幾つかの既存のプラズマトーチ型廃棄物変換装置よりも容易に改良することができる装置及びシステムを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、チャンバに対する供給導管の熱膨張によって動作が影響を受けることが実質的にない装置及びシステムを提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、供給機構又はチャンバ自体を分解する必要なしに比較的容易にアクセスし、保守し又は交換することができる装置及びシステムを提供することである。
【0016】
本発明の他の目的と利点は、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【0017】
本発明は、外壁とこれと離間した内壁とを有するシャフト炉で使用するマイクロ波トランシーバユニットに関し、前記マイクロ波トランシーバユニットは、
前記内壁に設けられた適切な開口部に取り付け可能でマイクロ波放射に対して透過性の第1のスクリーン手段と、
前記外壁に設けられたアパーチャを介して前記外壁に可逆的に取り付けるように適応された構造を有する細長い本体であって、前記本体の第1端が前記アパーチャから前記炉内に少なくとも第1のスクリーンの近くまで延在し、前記本体と前記第1のスクリーン手段の相対的な動きを許容する軸方向寸法を有する本体とを有し、
前記本体が、前記第1端と関連付けられると共にマイクロ波発生手段とマイクロ波の検出手段の内の何れか一方と作動的に接続可能なマイクロ波送信/受信手段を有し、
前記マイクロ波トランシーバユニットの動作中においては、前記スクリーンの少なくとも一部分が前記マイクロ波送信/受信手段と位置合わせされた関係にあり、前記スクリーンは、前記マイクロ波送信/受信手段に対する前記第1のスクリーンの変位の範囲で、前記第1のスクリーンの少なくとも一部分が前記マイクロ波送信/受信手段に対して位置合わせされた関係を十分に維持できる大きさである。
【0018】
このような本体は、第1端が前記送信/受信手段に接続されかつ第2端がマイクロ波発生手段とマイクロ波検出手段の内の何れか一方に作動的に接続可能である金属性導波体と、少なくとも前記導波体を実質的に取り囲む絶縁層と、前記絶縁層を実質的に取り囲む外側金属層とを有していてもよい。
【0019】
スクリーン手段と第2のスクリーン手段は、任意の適切な誘電材料で作成することができ、絶縁層は、実質的に管状とすることができる。外側金属層は鋼で作成することができる。本体は、実質的に円筒状の外形を有してもよい。
【0020】
マイクロ波トランシーバユニットは、更に、スリーブ部材を有していてもよく、このスリーブ部材は、スリーブを前記炉の前記壁の前記アパーチャに気密的に取り付けるように構成された外部構造と、前記本体を気密的かつ可逆的に収容するように構成された外部構成とを有する。
【0021】
スリーブ部材と前記本体はそれぞれ、前記スリーブ部材と前記本体を組み合わたときに互いに向かい合う適切なフランジを有することができる。前記スリーブ部材を前記本体に対して封止するために、前記互いに向かう合うフランジの間に嵌るように適応された適切な封止ガスケットを設けてもよい。
【0022】
変位の範囲は、前記外壁に対する前記内壁の熱膨張と関連付けられていてもよい。本体は、前記第1のスクリーン手段の前記マイクロ波送信/受信手段に対しての変位を許容するように前記第1のスクリーン手段から離間されていてもよい。本体は、前記第1のスクリーン手段の前記マイクロ波送信/受信手段に対しての変位を許容するように前記内壁と前記第1のスクリーン手段の一方と当接した状態の変位手段を有することができる。変位手段は、前記本体に対して回転するように取り付けられた少なくとも1個のホイールを含むことができ、前記ホイールは、前記内壁と前記第1のスクリーン手段の少なくとも一方と回転可能に接触している。前記少なくとも1個のホイールに対応して、前記内壁と前記第1のスクリーン手段の少なくとも一方に少なくとも1本の適切なレールを設けてもよく、前記トランシーバユニットの動作中に、前記少なくとも1個のホイールが対応する前記レールと回転可能に接触している。
【0023】
本発明は、また、廃棄物変換装置内の廃棄物を監視する装置を対象とし、前記廃棄物変換装置は、長手方向上端にある廃棄物入口と外周壁とを有する廃棄物処理チャンバを有し、更に内壁の形の廃棄物導管を有し、この導管は、導管と前記外壁の間に周囲空間又は他の空間を形成するように前記入口から前記チャンバ内に所定の深さまで全周において又は部分的に延在している。前記装置は、本発明による少なくとも1台の前記マイクロ波トランシーバを有する少なくとも1対のマイクロ波トランシーバユニットと、内壁の構造により場合によって通常のマイクロ波トランシーバを有し、それぞれの前記対において、前記マイクロ波トランシーバユニットは、前記長手方向上端に対して対向水平関係で配置され、それぞれの前記マイクロ波トランシーバユニットの前記本体は、前記外周壁に形成された前記アパーチャ内に気密的に収容され、前記導管が、前記第1のスクリーン手段を有する1対の開口部を有し、前記開口部が、前記導管上に、前記第1のスクリーン手段がそれぞれ前記対の前記マイクロ波トランシーバユニットの内の対応するものと位置合わせされるような位置に配置されており、一方の前記トランシーバユニットが、適切なマイクロ波発生手段に作動的に接続可能である。他方の前記トランシーバユニットは、適切なマイクロ波検出手段に作動的に接続可能である。
【0024】
装置は、複数対の前記マイクロ波トランシーバユニットを有することが好ましく、前記対はそれぞれ前記導管の前記深さ方向の異なる高さに配置され、前記対はそれぞれ、前記導管の長手軸に対して異なる角度配列で配置されることが好ましい。隣り合った前記対は、前記導管の長手軸に対して直交関係で配列されてもよい。
【0025】
本発明は、また、少なくとも1台の前記装置を有する廃棄物変換装置内の廃棄物を監視するシステムを対象とし、それぞれの前記対のトランシーバユニットごとに、前記対の一方の前記トランシーバユニットが適切なマイクロ波発生手段に作動的に接続され、他方のトランシーバユニットが適切なマイクロ波検出ユニットに作動的に接続されている。システムは、更に、前記マイクロ波発生手段と前記マイクロ波検出ユニットに作動的に接続された適切な制御手段を有することが好ましい。
【0026】
本発明は、また、外壁とこれと離間した内壁とを有するシャフト炉内の廃棄物の高さを監視する方法に関し、この方法は、前記シャフト炉の少なくとも1つの位置に、
前記外壁内にあるアパーチャと、
前記内壁内にあり、適切なスクリーンで覆われたアパーチャと、
前記アパーチャ内を貫通して前記スクリーン手段の近くまで達し、一部分が前記外壁とシール接触する第1の適切なマイクロ波送信/受信手段とを設ける段階と、
前記第1の送信/受信手段と実質的に直径方向反対側に第2のマイクロ波送信/受信手段を設ける段階と、
第1と第2のマイクロ波送信/受信手段の一方によって適切なマイクロ波放射を送り、前記第1と第2のマイクロ波送信/受信手段の他方で受信放射を受け取る段階と、
受信放射の強度を送信放射の強度と比較して前記シャフト炉内の廃棄物の高さを決定する段階とを含む。
【0027】
この方法によれば、前記受信放射の強度が所定のしきい値より低いときに、廃棄物の高さが前記第1のマイクロ波送信/受信手段の高さより実質的低いと判定することができる。これと反対に、前記受信放射の強度が、所定のしきい値と等しいか又はそれよりも高いとき、廃棄物の高さが、前記第1のマイクロ波送信/受信手段の高さと実質的に等しいか又はそれより高いと判定することができる。
【0028】
この方法によれば、第2の対の前記マイクロ波送信/受信手段が、前記第1と第2のマイクロ波送信/受信手段から長手方向にずれた位置に設けられてもよく、その場合、前記炉内の廃棄物の流量は、一方の対のマイクロ波送信/受信手段が廃棄物を検出しなくなった時点と、次の対の前記マイクロ波送信/受信手段が廃棄物を検出しなくなった時点の間の時間間隔を測定することによって決定される。しきい値は、必要に応じて制御されてもよく、前記炉内に導入されている廃棄物の全体的な組成に従って調整されてもよい。
【発明の効果】
【0029】
従って、本発明によれば、装置/システムは、廃棄物処分チャンバの上部に実質的に直径方向に対向する位置関係で配置された少なくとも1台のマイクロ波送信装置とマイクロ波検出器を有する。トランスミッタは、所望の周波数のマイクロ波を送り、レシーバはそのマイクロ波を受け取る。マイクロ波の経路と交差するチャンバの上部に廃棄物が存在するとき、マイクロ波の一部は廃棄物によって吸収され、それに従ってレシーバが受け取る信号の強度が低下する。チャンバのこの部分にある廃棄物の密度と量が増えるにつれて、マイクロ波エネルギーの吸収も増え、受信信号の強度も低下する。受信信号の密度を較正することによって、チャンバ内のトランスミッタとレシーバが配置された高さに廃棄物があるかどうかを判定することができる。
【0030】
トランスミッタとレシーバは交換可能なユニットとして構成され、それぞれ、外側の金属ケーシング、及び最も内側の金属性導波体を取り囲む内側のセラミック又は耐熱材料を有する。導波体は、スクリーンを備えたアンテナを有する。これらのユニットは、適切なアパーチャを介して反応炉の外壁を貫通して取り付けるように適応され、その結果、スクリーンを反応炉の内側管内に設けられた別のスクリーンと当接させることができ、この内側管は、反応炉内にその上部から延在する反応炉の廃棄物入口システムである。内側管内に廃棄物の「プラグ」を維持することが重要であり、トランスミッタとレシーバは、管内の柱の高さを監視する。例えばトランスミッタユニットとレシーバユニットを修理のために取り外すことができ、適切なアパーチャを別のユニット又はプラグで閉じて、実質的に最小のダウンタイムで反応炉を連続運転できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、特許請求の範囲によって定義され、その内容は、本明細書の開示の範囲内に含まれるものとして解釈されるべきであり、添付図面を参照して例示により説明する。
【0032】
マイクロ波放射という語は、UHF(超極短波)レンジ、即ち約300MHz〜約3000MHzの電磁放射を指す。本明細書の「廃棄物変換装置」という語は、特にプラズマ処理によって、都市廃棄物(MSW)、家庭廃棄物、産業廃棄物、医療廃棄物、下水汚泥廃棄物(SSW)、放射性廃棄物、その他の種類の廃棄物を含む任意の廃棄物を処理、加工又は処分するように適応された任意の装置を含む。
【0033】
図1を参照すると、番号(100)で示した代表的なプラズマ廃棄物処理/変換装置又はプラントは、シャフト炉又は処理チャンバ(10)を備える。処理チャンバ(10)は、通常、垂直な炉胸の形であり、その上部(14)は、断面積が高さ方向に一定でもよく或いは増大又は減少してもよい。例えば、チャンバ(10)及び詳細には上部は、円筒又は円錐台の形でもよく、実際には他の任意の所望の形状でよく、断面は実質的に円形である。代替として、チャンバ(10)及び詳細には上部(14)の断面は、図2に示したように多角形、好ましくは長方形である。一般に、固形又は混合廃棄物供給システム(20)は、一般に、エアロック機構(30)を備えた廃棄物入口手段を介してチャンバ(10)の上端に固形廃棄物を投入する。混合廃棄物もチャンバ(10)に投入することができるが、一般に、ガス状及び液状廃棄物は、実質的に処理されずに装置(10)から取り出される。固形/混合廃棄物供給システム(20)は、任意の適切なコンベヤ手段等を備え、廃棄物を更に小さい破片に粉砕する破砕機を更に備えることがある。エアロック機構(30)は、装填チャンバ(36)を間に画定する上側バルブ(32)と下側バルブ(34)を備えることができる。バルブ(32)と(34)は、必要に応じて別々に開閉するように電気、空気圧又は水圧で動作するゲートバルブであることが好ましい。閉鎖可能なホッパ機構(39)は、一般に、上側バルブ(32)が開位置にありかつ下側バルブ(34)が閉位置にあるときに固形及び/又は混合廃棄物を供給システム(20)から装填チャンバ(36)に投入する。装填チャンバ(36)への廃棄物の投入は、廃棄物が上側バルブ(32)の閉鎖を妨げる可能性を最小限に抑えるために、通常は、装填チャンバ(36)内の廃棄物の高さが満杯よりも低い所定のポイントに達するまで続く。次に上側バルブ(32)が閉じられる。閉位置でバルブ(32)と(34)はそれぞれエアシールを提供する。次に、要求に応じて、下側バルブ(34)が開かれ、処理チャンバに空気が殆ど引き込まれない状態で、廃棄物を処理チャンバ(10)内に投入することができる。バルブ(32)と(34)の開閉と供給装置(20)からの廃棄物の供給は、任意の適切なコントローラ(150)によって制御することができ、コントローラ(150)は、コントローラ(150)自体とプラント(100)の他の構成要素とに作動的に接続されたヒューマンコントローラ及び/又は適切なコンピュータ制御システムを有することができる。
【0034】
ホッパ機構(39)は、特に医療廃棄物がプラント(100)によって処理されているときに、必要に応じて消毒薬を定期的又は連続的に吹きかける消毒薬噴霧システム(図1に示していない)を備えることができる。
【0035】
処理チャンバ(10)は、本明細書においてチャンバの高温ゾーンを構成するように画定された下部(17)を有し、この高温ゾーンで熱分解とガス化が行われる。下部(17)は、一般にるつぼの形の液体生成物収集ゾーン(41)を有し、この液体生成物収集ゾーン(41)は、一以上の収集タンク(60)と関連付けられた少なくとも1個の排出口(65)を有する。処理チャンバ(10)は、更に、その上端に、主に廃棄物の処理によって生成された生成ガスを処理チャンバ(10)から排出するための少なくとも1個のガス出口(50)を有する。処理チャンバ(10)の上端は、エアロック機構(30)を備え、処理チャンバ(10)には、一般に、エアロック機構(30)を介してほぼ主ガス出口(50)の高さまで廃棄物が充填される。
【0036】
処理チャンバ(10)の下部(17)にある一以上のプラズマトーチ(40)は、適切な電力、ガス及び冷却水の供給源(45)に作動的に接続されており、プラズマトーチ(40)は、移動式のものでもよく非移動式のものでもよい。トーチ(40)は、トーチ(40)の交換や修理を容易する適切にシールされたスリーブによってチャンバ(10)内に取り付けられる。トーチ(40)は、廃棄物の柱の下端に通常は斜め下方に向いた高温ガスを生成する。トーチ(40)は、動作中、トーチ(40)からのプルーム(plumes)が廃棄物の柱の下部をできるだけ均一に通常は約1600℃以上の高温に加熱するようにチャンバ(10)の下端に分散配置されている。トーチ(40)は、その下流出力端に、約2000℃〜約7000℃の平均温度を有する高温のガス噴流又はプラズマプルームを生成する。トーチ(40)から発する熱は、廃棄物の柱内を上昇し、従って処理チャンバ(10)内に温度勾配ができる。プラズマトーチ(40)によって生成された高温ガスは、チャンバ(10)内の温度レベルを維持する。この温度レベルは、少なくともチャンバ(10)の下部で、廃棄物を出口(50)から流れ出る生成ガスと溶融金属及び/又はスラグを含むことがある液体材料(38)とに連続的に変換するのに十分な高さであり、溶融金属及び/又はスラグは、チャンバ(10)の下端で、一以上のスラグ出口(65)を介して一以上のリザーバ(60)内に定期的又は連続的に収集することができる。一般に、溶融金属とスラグは、専用リザーバに別々に収集される。今後、特に指定しない限り、参照数字(60)はスラグリザーバを示す。
【0037】
有機廃棄物の熱分解中に生成されたチャー(char)を例えばCOやH2等の有用ガスに変換する酸化液を適切な供給源から提供することができる。酸化液は、一以上の適切な入口(70)からチャンバ(10)の下部に導入される。「酸化液」は、本明細書において、廃棄物処理装置の処理チャンバの高温の下部に産出又は生成されたチャーを少なくとも部分的に酸化することができる任意のガスや他の流体を含むように解釈され、酸素、蒸気、空気、CO2、及びこれらの任意の適切な混合物がある。
【0038】
処理チャンバ(10)の(少なくとも下部の)内側の向かい合った面(11)は、一般に、例えばアルミナ、アルミナシリカ、マグネサイト、クロムマグネサイト、シャモット、耐火れんが等の一以上の適切な耐火材からなる。一般に、処理チャンバ(10)とプラント(100)のほぼ全体が、機械的完全性を高めかつ処理チャンバを外部環境に対して気密的に封止できるように、金属層(12)又はケーシングによって覆われている。
【0039】
プラント(100)は、更に、ガス管によってガス出口(50)に作動的に接続された後処理手段(図示せず)を備えることが好ましく、後処理手段では、チャンバ(10)内で生成されたガス生成物が処理され清浄にされる。後処理手段は、装置の廃棄物処理チャンバ、詳細にはそのガス出口に作動的に接続され、廃棄物処理チャンバによって生成された生成ガスを更に処理するように適応された任意の装置又はシステムを有することができる。
【0040】
詳細には、処理チャンバ(10)は、更に、廃棄物入口手段(30)からチャンバ内に延在する供給導管(19)を備える。供給導管(19)は、導管の下部に廃棄物の「プラグ」を収容し維持するように適応されている。廃棄物(35)の柱は、この導管(19)の内側から、廃棄物のガス化と熱分解が進行しているチャンバ(10)の下部(17)まで延在している。導管(19)は、一般に、断面積が高さに沿って一定か或いは増大又は減少する垂直の炉胸の形である。例えば、導管(19)は、円筒又は円錐台の形或いは実際には他の任意の所望の形でよく、断面は実質的に円形である。或いは、導管(19)の断面は、多角形でもよい。導管(19)は、導管(19)近くのチャンバの上部(14)の内側の幅よりも実質的に小さい横方向の外寸(一般に直径)を有する。従って、廃棄物の柱(35)は、導管の下縁から処理チャンバの内壁(11)に向かって外方に広がる。これにより、チャンバの上部(14)と導管外壁(63)の間に実質的に周辺空間(62)ができ、生成ガス出口(50)が、この空間(62)と連通するようにチャンバ(10)に配置される。導管(19)内の廃棄物(64)のプラグは、ガス化プロセスによる生成ガスに対しての障壁となり、廃棄物入口システム(30)からのガスの流出が実質的に最小に抑えられ、それによりガスがエアロックシステム(30)を介して大気中に放出された場合に起こる可能性のある火災又は爆発の危険が最小になる。代わりに、生成ガスは、実質的に出口(50)だけを介してチャンバから流れ出る。
【0041】
本発明により、廃棄物監視システム(200)が提供され、一般にコントローラ(150)又は様々なデータ収集、表示及び/又は制御手段に作動的に接続される。監視システム(200)は、一般に、一以上の適切な検出装置(300)を備え、各検出装置(300)は、後でより詳細に説明するような1対のマイクロ波トランシーバユニット(310)を備える。
【0042】
各マイクロ波トランシーバユニットは、一般に、離間された外壁と内壁を有するシャフト炉で使用される。各マイクロ波トランシーバユニットは、内壁に設けられた適切な開口部に取り付け可能でマイクロ波放射を透過する第1のスクリーン手段と本体を有する。本体は、外壁に設けられた穴を介して外壁に可逆的に取り付けるように適応された構造を有する。本体は、前記本体の第1端が、穴から炉内に少なくとも第1のスクリーンの近くまで延在し、本体と第1のスクリーン手段の間の相対運動を可能にするような軸方向寸法を有する。本体は、第1端と関連付けられかつマイクロ波発生手段とマイクロ波検出手段のどちらとも作動的に接続可能であるマイクロ波送信/受信手段を有する。前記マイクロ波トランシーバユニットの動作中、前記スクリーンの少なくとも一部分が、前記マイクロ波送信/受信手段と位置合わせされた関係であり、前記スクリーンは、前記マイクロ波送信/受信手段に対する前記第1のスクリーンの変位の範囲で、前記第1のスクリーンの少なくとも一部分が前記マイクロ波送信/受信手段と位置合わせされた関係を十分に維持できる大きさである。
【0043】
従って、特に図2と図3を参照すると、本発明の第1の実施形態によれば、各検出装置(300)は、対向関係にありかつ実質的に同じ水平高さでチャンバ(10)の壁(11、12)に取り付けられた1対のトランスミッタ/レシーバまたはトランスミッタ/検出器ユニット(本明細書では、トランシーバユニット(310)と呼ばれる)を有する。所定の検出装置(300)のトランシーバユニット(310)の軸(355)は共軸であり、導管(19)の長手軸(101)(又は中心線)と交差することが好ましい。
【0044】
図4に最もよく示したように、導管(19)の上側の部分、即ち高さ(F)に、廃棄物の高さがその高さに達したことを検出するための少なくとも1台の装置(300)が取り付けられることが好ましい。同様にまた、監視システム(200)は、一般に、導管(19)の高さ(F)から垂直下方にずれた高さ(E)に、廃棄物の高さがその高さに達したことを検出するための少なくとも1台の装置(300)を含む。図2を参照すると、高さ(F)にある装置(300)の軸は、高さ(E)にある装置の軸と角度がずれており、長手軸(101)の方向から見たときの角度のずれが90度であることが好ましい。追加又は代替として、複数対のトランシーバユニット(310)を、各対のトランシーバユニット(310)が互いに適切に角度がずれるように任意の水平高さに設けてもよい。追加又は代替として、トランシーバユニット(310)の対を導管(19)の軸(101)に沿った三以上の高さに設けてもよい。
【0045】
高さ(F)は、チャンバ(10)内及び詳細には導管(19)内の廃棄物の最大安全限界であると好都合であり、高さ(E)は、例えば、これより低いと導管(19)内の廃棄物の「プラグ」が希薄すぎて生成ガスがそこを通ってエアロック機構(30)に漏れるのを防ぐことができない可能性がある導管(19)内の廃棄物の高さを表す。あるいは、高さ(E)は、より多くの廃棄物をチャンバ(10)に効率的に提供できる高さでもよく、従って、導管(19)内の高さ(E)と高さ(F)の間の容積は、装填チャンバ(36)内に収容できる廃棄物の体積とほぼ等しくてもよい。
【0046】
代替又は追加として、装置(300)の高さ(F)及び(E)の位置は、例えば廃棄物の高さが高さ(F)にある時刻と高さ(E)に達した時刻の時間間隔を測定することによってチャンバ(10)を通る廃棄物の実際の流量を求めるのに適切なデータを提供するように選択することができる。また、廃棄物の供給システム(20)から装填チャンバ(36)への装填と装填チャンバ(36)から処理チャンバ(10)への投入を調整するために、コントローラ(150)が、バルブ(32)と(34)に作動的に接続されてもよい。
【0047】
これにより、監視システム(200)に支援によって、(チャンバ(10)内で処理された結果として)廃棄物の高さが十分に低くなったことを検出することができ、従ってコントローラ(150)は、好ましくは廃棄物のプラグが導管(19)内に常に残っているように、装填チャンバ(36)から処理チャンバ(10)に廃棄物のさらに別のバッチを供給できるようにするために必要なコマンドを提供することができる。次に、コントローラ(150)は、下側バルブ(34)を閉じ上側バルブ(32)を開いて装填チャンバ(36)に供給システム(20)が再装填できるようにし、次に次のサイクルの準備のために上側バルブ(32)を閉じる。
【0048】
本発明によれば、各装置(300)の2台のトランシーバユニット(310)は実質的に同一であり、一方のトランシーバユニット(310)は、マイクロ波放射を送るために使用され、従って適切なマイクロ波発生手段(311)に作動的に接続されており、他方のトランシーバユニット(310)は、送られたマイクロ波放射を検出するために使用され、従って対応する検出ユニット(312)に作動的に接続され、検出ユニット(312)は、トランシーバユニット(310)が受け取ったマイクロ波エネルギーを適切な電気信号に変換する。代替として、送信トランシーバユニットと受信トランシーバユニットは互いに異なってもよい。マイクロ波発生手段(311)と検出ユニット(312)は、システム(200)の一部分を構成し、コントローラ(150)に作動的に接続されるか、実際には任意の適切なデータ取得手段、表示手段及び制御手段に接続されている。コントローラ(150)は、検出ユニット(312)によって取得した信号を受け取り、同様に対応するトランシーバユニット(310)から送られたマイクロ波放射の強度を制御し、更に、送られたマイクロ波放射と受け取ったマイクロ波放射の相対強度に基づいて装置のトランシーバユニット(310)が配置された高さに廃棄物が存在するかどうかを判定するのに適切なプログラムを有する。
【0049】
詳細には図3を参照すると、好ましい実施形態において、各トランシーバユニット(310)は、適切なアパーチャ(375)を介してチャンバ(10)の壁(11、12)に可逆的に取り付けるように適応された細長い本体(350)を有する。本体(350)は、後で更に詳しく説明するように、本体(350)の第1端(355)がチャンバ(10)内を少なくとも導管(19)の近くまで延在するか或いは導管と当接するような軸(355)方向の軸方向寸法(L)を有する。一般に、本体(350)は、実質的に円筒形である。
【0050】
アパーチャ(375)はそれぞれ、スリーブ部材(376)をアパーチャ(375)に封止可能に取り付けるように適応された外部構造(一般には適切な形状と寸法の外側面(377))を有する適切なスリーブ部材(376)を有することが好ましい。更にまた、スリーブ部材(376)は、スリーブ部材(376)に対して封止状態で本体(350)を可逆的に収容するように適応された内部構造を有する。従って、一般に、スリーブ部材(376)は、本体(350)の外側面と相補的な円筒状内壁を有し、例えば図3に示したように、本体(350)を導管と対向する必要位置まで差し込むことを可能にする。更に、スリーブ部材(376)は、外壁(12)に当接する環状フランジ(396)を有する。本体(350)は、また、その第2端(356)にフランジ(394)を有し、フランジ(394)は、本体(350)がスリーブ部材(376)に完全に差し込まれたときにフランジ(394)、(396)が本体(350)の外側金属層(318)を取り囲む周辺領域に重なるような十分な寸法と適切な形状のものである。本体(350)とスリーブ部材(376)の間を封止するために、この周辺領域のフランジ(394)と(396)の間にガスケット(393)が設けられる。
【0051】
本体(350)は、前記第1端(355)と関連付けられかつマイクロ波発生手段(311)又はマイクロ波検出ユニット(312)に作動的に接続可能である適切なマイクロ波送信/受信手段を有する。従って、好ましい実施形態において、軸(355)と実質的に位置合わせされた金属性導波体(390)が、一般に、適切な金属(好ましくは、ステンレス鋼、銅、真鍮、又はこれらの合金など)からなる金属管の形で設けられる。導波体(390)の送信/受信端(391)に、電気的に導通するように一体的に形成或いは接続されたアンテナ(340)を有する。従って、アンテナ(340)もまた金属製であり、導波体(390)と同じ材料からなることが好ましく、一般に、形が円錐台で、その軸が軸(355)と位置合わせされ、その大きい方の端が導波体(390)と反対を向いている。そのような構造において、円錐の半角αは、例えば約20〜30度であると好都合である。導波体の第2端(392)は、マイクロ波発生手段(311)又は検出ユニット(312)に接続するように適応されている。
【0052】
導波体(390)は、多孔質セラミックを含む適切な低密度断熱材(好ましくはセラミック材料)からなることが好ましい適切な絶縁層(331)によって取り囲まれている。絶縁体は、半径方向に例えば約15〜20cmの幅(W)を有する管状であり、本体(350)内の導波体(390)全体と更にアンテナ(340)の少なくとも一部分を覆うように広がることが好ましい。
【0053】
本体(350)は、さらに、絶縁層(331)の外側円柱面を覆う円筒状部分(317)と、導管(19)と対向しアンテナ(340)の送信/受信面(341)と対向する窓(332)を有する端部(319)とを有する外側金属層(318)を有する。スクリーン(370)は、窓(332)を覆い、UHF電磁放射を実質的に透過させかつアンテナ(340)を適切に断熱する適切な材料からなる。
【0054】
装置(300)は、更に、導管(19)内に設けられた適切な開口部(380)に取り付けられた別の組のスクリーン手段(360)を備える。開口部(380)は、トランシーバユニット(310)、詳細にはマイクロ波送信/受信手段が対応する開口部に取り付けられたときにそれらの軸(355)がスクリーン手段(360)の少なくとも一部分と位置合わせされるように導管(19)内に配置される。開口部(380)とスクリーン手段(360)は、チャンバ(10)内の温度変化の影響で導管が熱的に膨脹収縮したときもこの位置合わせが維持されるように少なくとも軸(101)に沿った長手方向に十分な大きさである。同時に、また前に述べたように、本体は、前記本体(350)と前記スクリーン手段(360)が相対的に動くことができるように、前記炉内の少なくとも前記スクリーン手段(360)の近くまで延在する。図3に示した実施形態において、前記本体(350)は、前記スクリーン手段(360)の前記マイクロ波送信/受信手段に対する変位を許容できる十分な変位量(d)だけ前記スクリーン手段(360)から離間される。この変位量(d)は、例えば導管(19)の生じる可能性のある半径方向外方の膨脹を許容するように約1cmとされる。
【0055】
前述のように導管(19)は、円筒状でもよく、実際には任意の他の適切な形状でよいが、スクリーン手段(360)は、トランシーバユニット(310)と対向する実質的に平面の外側面(361)を有することが好ましい。図3に示したように、スクリーン(360)の内向面(362)は、導管(19)の形状に従う。実際には、開口部(380)はそれぞれ、トランシーバユニット(310)の方向に延在する適切なフレーム(385)によって取り囲まれ、スクリーン(360)は、前記フレーム(385)と嵌合し、ブラケット(386)とボルト(387)によって固定されたフランジ(365)を有する。面(361)をフランジ(365)からずらし、スロット状構造を設けると好都合である。これに対応して、本体(350)の端(319)は、アンテナ(340)とスクリーン手段(370)の少なくとも一部分を収容しかつスロット状構造に嵌るような外寸を有する突出部分を備える。
【0056】
図5を参照すると、代替の実施形態において、この図では参照数字(350’)で示した本体は、前記スクリーン手段(360’)が前記マイクロ波送信/受信手段に対して動くことができるようにするために、導管(19)の内壁又はスクリーン手段(360’)と当接した状態の変位手段を有する。詳細には、変位手段は、前記本体(350)に対して回転するように取り付けられた少なくとも1個、好ましくは複数個のローラ又はホイール(365’)を有する。ホイールはそれぞれ、導管(19)又はスクリーン手段(360)と回転可能に接触している。好ましくは、ホイール(365’)に対応して導管(19)及び/又はスクリーン手段(360’)上に適切なレール(370’)が設けられ、前記トランシーバユニットの動作中、ホイール(365’)は、対応するレールと回転可能に接触し、導管(19)が実質的に軸(101)に沿った方向に本体に対して摺動変位している間、本体(350’)が実質的に静止したままにすることを可能にする。ホイールとレール(或いはスクリーン又は導管)の間隔は、これらの構成要素が軸(101)方向以外の方向において干渉するのを防ぐのに十分なものである。
【0057】
図2を参照すると、チャンバ(10)の上部(14)が一般に実質的に長方形又は正方形の断面の場合(必ずしもそうでなくてもよい)、トランシーバユニット(310)は、上部(14)に対して、軸(355)がそれぞれ対称面(102)と角度θを成すように配置される。この角度θは、約0°〜約90°の範囲でよい。図3に示した実施形態において、角度θは約10°であるが、この角度は、特定の炉の特定の必要性と設計により変化してもよい。
【0058】
従って、装置(300)は、導管(19)を含む既存の廃棄物処理プラントに対して、最初に外側チャンバ壁にアパーチャ(375)のような適切なアパーチャを設け、次に導管に開口部(380)のような開口部を設けることによって改良可能である。次に、スクリーン手段(360)を開口部に取り付け、前記本体(350)をアパーチャに差し込んでスクリーン手段(360)と位置合わせする。
【0059】
動作において、各対のトランシーバユニット(310)の内の一方ののトランシーバユニット(310)が、マイクロ波エネルギーをスクリーン手段(360)を介して導管(19)で取り囲まれた空間に送り込む。導管内の前記トランシーバユニット(310)の水平高さに廃棄物がない場合、受信側トランシーバユニット(310)は、送信側トランシーバユニット(310)から送られた実質的に十分なマイクロ波エネルギーを受け取り、これは、検出ユニット(312)によって提供される信号によりコントローラ(150)によって検出される。導管内のトランシーバユニット(310)の高さに廃棄物があるときは、受信側トランシーバユニット(310)が受け取るマイクロ波放射の強度が低下し、この低下は、導管(19)内でマイクロ波放射が横切る廃棄物の体積、組成及び密度と互いに関連付けられる。
【0060】
一般に、コントローラ(150)は、トランシーバユニット(310)が配置された高さでの廃棄物の特定の体積、質量及び/又は密度に対応するマイクロ波放射の強度の低下のしきい値を認識するようにプログラムされ、廃棄物のこの体積、質量及び/又は密度は、廃棄物の概略の高さがトランシーバユニット(310)の高さに達するか又はそれより高いことを示すのに十分である。しかしながら、廃棄物の体積、質量及び密度パラメータのそれぞれが、受信放射の強度の低下に影響を及ぼす場合があるので、コントローラ(150)は、好ましくは、トランシーバユニット(310)の高さで廃棄物が導管(19)を完全に満たしている本当の場合と、同じ受信強度の低下を得たが導管(19)が完全に満たされない場合とを区別するようにプログラムされる必要がある。例えば、大量の実質的に均質な低密度/低質量の廃棄物が、トランシーバユニット(310)の高さで導管(19)を完全に満たした場合、受信放射強度はあまり低下しない。一方、比較的少量の高密度で不均質な廃棄物は、例えば廃棄物の平均高さから上方に突出し、対のトランシーバユニット(310)の一方から他方に送られるマイクロ波放射の経路内に至ることがある金属桁(girder)や他の高密度材料を含む場合がある。そのような桁の存在は、たとえ廃棄物の全体的な高さがトランシーバユニット(310)の高さに達しない場合でも、受信トランシーバユニット(310)が受け取る放射の強度を、おそらく前の低密度の場合と同じレベルまで低下させることがある。後者の場合は、導管(19)内への生成ガスの経路ができる状況が生じる可能性があり、この状況は回避されなければならない。
【0061】
高密度の場合の補償を確実にするために受け取るマイクロ波放射の低下についてのしきい値を十分に変化させ、それにより高密度廃棄物がトランシーバユニット(310)のある導管(19)の高さを完全に満たしたときにそのしきい値に達するようにした場合は、導管(19)が低密度廃棄物で完全に満たされたときに、これに対応して廃棄物の存在に対してコントローラ(150)の感度が低くなることが起こる可能性がある。これは、コントローラ(150)が既に一杯の導管(19)に廃棄物を提供し続け、エアロックシステムを詰まらせ、その適切な動作を妨げる可能性があるため望ましくない状況である。
【0062】
しかしながら、実際には、プラント(100)に提供される廃棄物の種類と密度は一般に既知の範囲内に維持されており、従ってこれに対応して廃棄物の予想密度を考慮するようにコントローラ(150)をプログラムすることができる。代替として、コントローラ(150)は、プラント(100)に送られる廃棄物の各バッチの平均密度を決定し、それに応じて各バッチを処理チャンバに導入するときのしきい値を適応させる適切な手段に作動的に接続されてもよい。
【0063】
本発明は、また、図1に関して説明したような処理チャンバ内に突出する導管がなく、プラントが、生成ガスがエアロックシステムから漏れる危険を最小限に抑えるための他の機構を有する他のタイプのプラズマ廃棄物変換/処理プラントも対象とする。従って、図6を参照すると、本発明の装置及びシステムの第2の実施形態において、プラントの上部(14’)は、エアロック機構(30’)の一部分のみから突出する内壁(63’)を有し、それにより、廃棄物(35’)のプラグは、チャンバ(10’)の幅全体に広がる前に外壁(11’)と内壁(63’)の一部によって制限される。従って、外壁(11’)と内壁(63’)の一部分の間に、生成ガスが出口(50’)を介して漏れる可能性があるスペース(62’)ができる。そのような場合は、供給導管に関して前に説明したもの同じように、また必要な変更を加えて、1台の前記トランシーバユニット(310)を外壁(11’)に設け、トランシーバユニット(310)が、内壁(63’)に形成された適切なアパーチャ内に設けられた適切なスクリーン手段の近くまで延在するようにするだけでよい。これと同時に、外壁(11’)の第1のトランシーバ(310)の位置と実質的に直径方向反対側に通常のトランシーバ(310”)を設けてもよい。次に、第1の実施形態に関して前に説明したように、また必要な変更を加えて、廃棄物の高さを決定することができる。
【0064】
本発明は、詳細には、シャフト炉等の中の廃棄物の高さを検出するように適応されているが、例えば冶金設備等の他の高温用途にも有用である。
【0065】
以上の説明は、本発明のわずかな特定の実施形態だけを詳細に説明したが、本発明がこれらの実施形態に限定されず、本明細書に開示した本発明の範囲及び精神から逸脱することなく形態と詳細における他の変形が可能であることを当業者は理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施形態による高さ監視システムを備えた典型的な廃棄物プラズマ処理装置の全体的な配置と主構成要素を概略的に示す図である。
【図2】図1の装置のX−Xに沿った断面を概略的に示す図である。
【図3】本発明のトランシーバユニットの第1の実施形態の主構成要素間の全体的な関係を概略的に示す図である。
【図4】処理装置の導管に対して異なる高さにある図3の2組のトランシーバユニット間の全体的な関係を概略的に示す図である。
【図5】本発明のトランシーバユニットの別の実施形態の主構成要素の全体的な関係を概略的に示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による高さ監視システムを有する別のプラズマ廃棄物処理装置の全体的な配置と主構成要素を概略的に示す破断図である。
【符号の説明】
【0067】
10 シャフト炉
11 外壁
19 内壁
310 マイクロ波トランシーバユニット
340 アンテナ
350 本体
360、370 スクリーン
390 導波体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁とこれと離間した内壁とを有するシャフト炉で使用するマイクロ波トランシーバユニットであって、
前記内壁に設けられた適切な開口部に取り付け可能で、マイクロ波放射に対して透過性の第1のスクリーン手段と、
前記外壁に設けられたアパーチャを介して前記外壁に可逆的に取り付けるように適応された構造を有する細長い本体であって、前記本体の第1端が前記炉内に前記アパーチャから少なくとも前記第1のスクリーンの近くまで延在し、前記本体と前記第1のスクリーン手段の相対的な動きを許容する軸方向の寸法を有する本体とを有し、
前記本体が、前記第1端と関連付けられると共にマイクロ波発生手段とマイクロ波検出手段の内の何れかに作動的に接続可能であるマイクロ波送信/受信手段を有し、
前記マイクロ波トランシーバユニットの動作中においては、前記スクリーンの少なくとも一部分が、前記マイクロ波送信/受信手段と位置合わせされた関係にあり、前記スクリーンが、前記マイクロ波送信/受信手段に対する前記第1のスクリーンの変位の範囲で、前記第1のスクリーンの少なくとも一部分が前記マイクロ波送信/受信手段と位置合わせされた関係を十分に維持できる大きさであるマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項2】
本体が、
第1端で送信/受信手段に結合された金属性導波体であって、導波体の第2端が、マイクロ波発生手段とマイクロ波検出手段の内の何れかに作動的に接続可能である金属性導波体と、
少なくとも前記導波体を実質的に取り囲む絶縁層と、
前記絶縁層を実質的に取り囲む外側金属層とを有する、請求項1に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項3】
マイクロ波送信/受信手段が、導波体に作動的に接続されたアンテナを有する、請求項2に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項4】
アンテナが実質的に円錐台形であり、大きい方の端が送信/受信面である、請求項3に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項5】
導波体とアンテナが一体的に接合された、請求項3に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項6】
導波体とアンテナが、ステンレス鋼、銅及、真鍮、及びそれらの合金の内の任意のものを含む任意の適切な金属で作成された、請求項3に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項7】
アンテナの送信/受信面を覆う第2のスクリーン手段を更に有し、前記第2のスクリーン手段が、マイクロ波電磁放射に対して実質的に透過性である、請求項4に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項8】
第1のスクリーン手段と第2のスクリーン手段が、任意の適切な誘電材料で作成された、請求項7に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項9】
絶縁層が実質的に管状である、請求項2に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項10】
外側金属層が鋼で作成された請求項2から9のいずれか1項に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項11】
本体が、実質的に円筒状の外形を有する、請求項1に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項12】
スリーブ部材であって、
前記スリーブを炉の壁のアパーチャ内に気密的に取り付けるように適応された外部構造と、
本体を気密的かつ可逆的に収容するように適応された内部構造とを有するスリーブ部材を更に有する、請求項11に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項13】
スリーブ部材と本体がそれぞれ、前記スリーブ部材と前記本体が合体されたときに互いに向かい合う適切なフランジを有する、請求項12に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項14】
向かい合ったフランジの間に収容され、スリーブ部材を本体に対して封止するように適応された適切な封止ガスケットを更に有する、請求項13に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項15】
変位の範囲が、外壁に対する内壁の熱膨張と関連付けられた、請求項1に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項16】
本体が、マイクロ波送信/受信手段に対する前記第1のスクリーン手段の変位を許容するために第1のスクリーン手段から十分に離間されている、請求項1に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項17】
本体が、マイクロ波送信/受信手段に対する前記第1のスクリーン手段の変位を許容するために内壁と第1のスクリーン手段の内の一方と当接する変位手段を有する、請求項1に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項18】
変位手段が、本体に対して回転するように取り付けられた少なくとも1個のホイールを有し、前記ホイールが、内壁と第1のスクリーン手段の内の少なくとも一方と回転可能に接触している、請求項17に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項19】
更に、内壁と第1のスクリーン手段の内の少なくとも一方の上に、少なくとも1個のホイールに対応する少なくとも1本の適切なレールを有し、前記トランシーバユニットの動作中に、前記少なくとも1個のホイールが、対応する前記レールと回転可能に接触している、請求項18に記載のマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項20】
廃棄物変換装置内の廃棄物を監視する装置であって、前記廃棄物変換装置が、その長手方向上端にある廃棄物入口と外周壁とを有する廃棄物処理チャンバを有し、更に、前記入口から前記チャンバ内に所定の深さまで延在して廃棄物導管を形成する内壁と、前記内壁の外側と前記外壁の少なくとも一部分の内側との間の空間を有し、前記装置が、請求項1に記載の少なくとも1台の前記マイクロ波トランシーバユニットを有する少なくとも1対のマイクロ波トランシーバユニットを有し、前記対ごとに、
前記マイクロ波トランシーバユニットが、前記長手方向上端に対して対向水平関係で配置され、
それぞれの前記マイクロ波トランシーバユニットの本体が、前記外周壁に形成されたアパーチャ内に摺動式に収容され、
導管が、第1のスクリーン手段を有する1対の開口部を有し、前記開口部は、それぞれの前記第1のスクリーン手段が、前記対の前記マイクロ波トランシーバユニットの内の対応するものと位置合わせれるような前記導管上の位置に配置され、
一方の前記トランシーバユニットが、適切なマイクロ波発生手段に作動的に接続でき、他方の前記トランシーバユニットが、適切なマイクロ波検出手段に作動的に接続可能である装置。
【請求項21】
内壁は、内周壁の形の廃棄物導管であり、導管の外側と外壁の内側との間に周辺空間を形成するように入口からチャンバ内に所定の深さまで延在している、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
少なくとも1対のマイクロ波トランシーバユニットが、通常のマイクロ波トランシーバユニットを有する、請求項20に記載の廃棄物を監視する装置。
【請求項23】
複数対のマイクロ波トランシーバユニットを有し、前記対がそれぞれ、導管の深さ方向の異なる高さに配置された、請求項20に記載の廃棄物を監視する装置。
【請求項24】
複数対のマイクロ波トランシーバユニットを有し、前記対がそれぞれ、導管の長手軸に対して異なる角度配列で配置された、請求項20に記載の廃棄物を監視する装置。
【請求項25】
隣り合った対が、導管の長手軸に対して直交関係で配列された、請求項24に記載の廃棄物を監視する装置。
【請求項26】
各対のトランシーバユニットごとに、前記対の一方の前記トランシーバユニットが、適切なマイクロ波発生手段に作動的に接続されており、他方のトランシーバユニットが、適切なマイクロ波検出ユニットに作動的に接続された、請求項20に記載の少なくとも1台の装置を有する廃棄物変換装置内の廃棄物の監視するためのシステム。
【請求項27】
マイクロ波発生手段とマイクロ波検出ユニットに作動的に接続された適切な制御手段を更に有する、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
外壁とこれと離間した内壁とを有するシャフト炉内の廃棄物の高さを監視する方法であって、
(a)前記シャフト炉上の少なくとも一箇所に、
前記外壁内のアパーチャと、
前記内壁内にあり、適切なスクリーン手段で覆われるアパーチャと、
前記アパーチャ内を貫通して前記スクリーン手段に近くまで達し、一部分が前記外壁と封止状態で接触する第1の適切なマイクロ波送信/受信手段とを設ける段階と、
(b)前記第1の送信/受信手段と実質的に直径方向の反対側に第2のマイクロ波送信/受信手段を設ける段階と、
(c)前記第1と第2のマイクロ波送信/受信手段の内の一方のものによって適切なマイクロ波放射を送り、前記第1と第2のマイクロ波送信/受信手段の内の他方のものによって受信放射を受け取る段階と、
(d)受信放射の強度を送信放射の強度と比較して、前記強度の比較をしきい値と関連づけることによって前記シャフト炉内の廃棄物の高さを決定する段階とを含む方法。
【請求項29】
受信放射の強度が所定のしきい値よりも低いときに、廃棄物の高さが、第1のマイクロ波送信/受信手段の高さよりも実質的に低いと判断する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
受信放射の強度が所定のしきい値と等しいか又はそれよりも高いときに、廃棄物の高さが、第1のマイクロ波送信/受信手段の高さと実質的に等しいか又はそれよりも高いと判断する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
第1と第2のマイクロ波送信/受信手段から長手方向にずれた位置に第2対のマイクロ波送信/受信手段が設けられ、炉内の廃棄物の流量が、前記対の内の1対のマイクロ波送信/受信手段が廃棄物を検出しなくなった時点と、次の対の前記マイクロ波送信/受信手段が廃棄物を検出しなくなった時点の間の時間間隔を測定することによって決定される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
しきい値を必要に応じて制御することができる、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
しきい値が、炉に導入されている廃棄物の全体的な組成に従って調整される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
実質的に添付図面を参照して本明細書に示したようなシャフト炉で使用されるマイクロ波トランシーバユニット。
【請求項35】
実質的に添付図面を参照して本明細書に示したような廃棄物変換装置内の廃棄物を監視する装置。
【請求項36】
実質的に添付図面を参照して本明細書に示したような廃棄物変換装置内の廃棄物を監視するシステム。
【請求項37】
実質的に添付図面を参照して本明細書に示したような廃棄物変換装置内の廃棄物を監視する方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−517212(P2007−517212A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546471(P2006−546471)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/IL2004/001106
【国際公開番号】WO2005/064290
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(503121136)イー.イー.アール. エンバイロメンタル エナジー リソースィズ (イスラエル) リミテッド (2)
【Fターム(参考)】