説明

炉内アルミニウム処理方法

【課題】 酸化アルミニウムの形成を低減する炉内アルミニウム処理方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも1つのバーナーに供給される酸化剤が酸素を10体積%以上、好ましくは21体積%以上を含有し、前記酸化剤の流量が実質的に一定になる間にアルミニウム溶湯の酸化が減少する最終段階で、少なくとも1つのバーナーに噴射される燃料の流量が前記雰囲気中または煙道ガス中の金属酸化物一酸化炭素COmoおよび/または金属酸化物水素H2moの濃度に従って選択されるか又はその逆に前記濃度が前記燃料流量に従って選択され、この金属酸化物一酸化炭素COmoおよび/または金属酸化物水素H2moの濃度は、前記炉内にチャージがないことを除いては、前記測定された種濃度と固有COとの間の差分として、または前記少なくとも1つのバーナーを持つ炉内の燃料と酸化剤との燃焼によって生じるH2種濃度として算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉内のアルミニウムを処理するための方法に係り、アルミニウムおよび任意に1つ又はそれ以上の塩を含有する材料を炉内に装入し、この材料は酸化剤および燃料を供給される少なくとも1つのバーナーを用いる熱の入力によって溶融され、特にアルミナおよび少なくとも1つの塩を有するスラグで任意に覆われたアルミニウム溶湯を得るために、炉雰囲気中または炉から出ている燃料ガス中の一酸化炭素(COm)および/または水素(H2m)の濃度を測定する炉内アルミニウム処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次アルミニウムの溶解の分野において、これは回転炉または反射炉において実施される。この溶解方法が連続していてもよいにもかかわらず、その溶解は通常バッチで実施される。溶融金属がその使用場所に注入される前に、材料は1つ以上の連続したサイクルの炉に装入される。この目的のために、溶融金属は、約740℃の温度を有しなければならない。750℃より上の温度域では、溶融アルミニウムの酸化率はかなり(ほとんど指数的に)上昇する。溶解サイクル中に、1つは最初の期間を先ず第1に区別することができ、材料が固体であるときに、熱の大量の吸収を許容し、約660℃でアルミニウムを溶かす。
【0003】
使用する炉のタイプにかかわりなく、スラグの存在または液体金属の表面に観察される「ドロス」の存在、塩(塩が使われる場合)の混合物である前記スラグまたはドロス、その混合物は酸化アルミニウムおよび酸化物中に捕捉されたアルミニウムである。
【0004】
このスラグまたはドロスは、いわゆる「点火ロス(loss on ignition)」とも呼ばれている消失又は酸化する金属の量がアルミニウム製造者のための材料の無視できないロスとして現われる。そのロスは溶解方法の収益性を増やすために最小にされなければならない。この酸化を減らすために、アルミニウムの温度を維持する方法が約750℃未満の値で溶解することは公知である。しかし、この方法は経験的である。その理由は、次のことにある。局部酸化を引き起こして、ホットスポットが表面に現われることがあるからである。
【0005】
他の公知の解決は、オキシダントを有する金属表面の接触を減らすことによって酸化を防ごうとする。
【0006】
例えば、特許文献1(JP53−227706)は、酸化防止を確実にするために煙道ガス中のCOおよびH2成分の測定を用いること、非鉄金属の溶解炉内において、設置されるバーナーが95〜100%の燃料流量に対するオキシダント流量の比率の範囲にサブ化学量論的モードにおいて操作すること、を提案している。
【0007】
特許文献2(EP962540)は、炉内の金属を溶解するための燃焼方法を記載している。この文献の方法では、液体金属と接触するバーナーの炎よりも上方に、酸素富化ガスを送風する。バーナーは、サブ化学量論的モードにおいて作動し、酸素富化ガスと溶融金属表面との間にシールドを形成する還元炎を生じさせる。
【0008】
特許文献3(US5,563,903)は、不活性ガスまたは還元性ガスがアルミニウム溶融面と炉の上部に位置する燃焼ゾーンとの間にシールドを形成する方法を記載している。
【0009】
特許文献4(US3,759,702)は、溶かされる材料の表面より上方でバーナーを移動させ、初期の溶解をオープン・エア中に置く方法を記載している。バーナー炎は、わずかにサブ化学量論的であり、それゆえに還元性である。
【0010】
全ての方法が、アルミニウムの酸化のリスクが存在するときのみばかりでなく、溶解の持続の全体にわたり適用され、結果への接近を生み出している。その理由は、次のことにある。この知識は当業者にこれまで欠如していた。
【特許文献1】JP53−227706号公報
【特許文献2】EP962540号公報
【特許文献3】US5,563,903号公報
【特許文献4】US3,759,702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の方法は、提起される課題を解決し、酸化アルミニウムの形成を低減するのに役立つものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、少なくとも1つのバーナーに供給される酸化剤が酸素を10体積%以上、好ましくは21体積%以上含有し、酸化剤流量が実質的に一定になる間にアルミニウム溶湯の酸化が減少する最終段階で、少なくとも1つのバーナーに噴射される燃料の流量が前記雰囲気中または煙道ガス中の金属酸化物一酸化炭素(COmo)および/または金属酸化物水素(H2mo)の濃度に従って選択されるか又はその逆に前記濃度が前記燃料流量に従って選択され、この金属酸化物一酸化炭素および/または金属酸化物水素の濃度((COmo)および/または(H2m))は、前記炉内にチャージがない場合を除いて、前記測定された種濃度と固有COとの間の差分または前記少なくとも1つのバーナーを持つ炉内の燃料および酸化剤の燃焼によって生じるH2種濃度として算出されることを特徴とする。(固有のCOおよびH2濃度は、バーナーに供給される酸化剤を伴う燃料の燃焼の一方での計算を明らかにすべきであるが、そればかりではなく前記炉の吸気口を介して炉内に入れられて前記燃料と反応する酸化剤についても同様である。)
好ましくは、酸化剤は88体積%以上のO2(好ましくは95体積%以上のO2)を含む。より好ましくは、酸化剤は工業的に純粋な酸素である。
【0013】
燃料は、いかなる炭化水素もまたは軽いか重い燃料油(バーナーの適切な燃料油スプレー・システムで)であってもよく、天然ガス、メタン、プロパン、その他が、好ましく用いられる。燃料に対する酸素の体積測定比は、1と5との間に、好ましくは1.5と3との間に維持される。
【0014】
本発明の変形例によれば、金属酸化物一酸化炭素(COmo)および/または金属酸化物水素(H2mo)の濃度は、1%と8%との間、好ましくは2%と5%との間、より好ましくは約3体積%の値でこの酸化減少段階の間中を通して実質的に一定に保たれる。
【0015】
一般に、酸化減少段階(フェーズ)は炭化水素燃焼段階に先行するものである。炭化水素燃焼段階の期間中において、材料に存在する全ての有機化合物が実質的に熱分解によって破壊される。炭化水素燃焼段階は、任意に(しかし必然的ではない)安定化段階に続く。
【0016】
好ましくは、炭化水素燃焼段階は、(COm)の値が課されたセットポイント値で安定するときに終了する。これに対して安定化段階は、実質的に一定である酸化剤の一定の(COm)濃度および酸素濃度で起こる。(安定化段階は、もしあれば固体材料が未だ全て溶解しきれていないが全ての有機化合物が破壊される期間の段階と一致する。)
アルミニウム酸化減少段階は、炉内にアルミニウム含有材料を新たにチャージする再導入で終了するか、またはその使用のポイントに液体アルミニウムを注ぎ出すことによって終了する。本発明によるアルミニウム含有材料は、特に(例えば)アルミニウムのインゴット、アルミニウム部の旋盤ワークからのシェービング、飲料および保存食品の缶、廃棄物、製造スクラップ、ドロス、アルミニウム含有スラグ、そして、一般的にアルミニウムを含んでいるいかなる材料であってもよい。また、本発明は、明らかに液体アルミニウムのための炉に保持される温度に適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、以下の実施形態に限定されるものではないが、添付の図面とともに以下の実施形態からよりよく理解される。
【0018】
図1は、単一のバーナーを備える炉の概略図であり、煙道ガスの分析およびバーナーの制御を示すブロック図である。
【0019】
図2はCOの模式的なプロット線および、規則のない従来技術に従って、回転する炉の2つの連続したアルミニウム溶解の間の時間の関数としてのH2濃度を形どる(CO)および/または(H2)を示す特性線図である。
【0020】
図3は時間の関数として(CO)および/または(H2)の変化を示し、本発明の方法の3つのフェーズ(またはサブフェーズ)を例示しているグラフである。
【0021】
図4はバーナーのO2/NG体積比の関数として、炉に関連するバーナーの金属酸化物一酸化炭素および固有の一酸化炭素ではあるが、各アルミニウム溶解の最終段階(ファイナル・フェーズ)の間には金属が無い、測定一酸化炭素濃度(COm )の変化を示す特性線図である。
【0022】
図1Aは(横断面の)炉1および本発明の制御システムの概略図、図lBは制御システム(実施例)の詳細を示す概略図である。
【0023】
バーナー10は、金属3を加熱して溶融させる火炎2を発生し、液体の形態にする。炉1から出ているガス、特にバーナーから燃焼によって生じる煙道ガス4をダクト18を介して排出する。COおよび/またはH2検出器5と6(本質的に公知)は、前記煙道ガスのCOおよび/またはH2濃度を計測するためにそれぞれ設けられている。各検出器5,6からの指示は、動作が後述される制御装置8に接続線によって送られる。バーナー10は、それぞれバーナーに酸化剤および燃料の適切な流量を分配するための制御弁12および11(例えば、質量流量計)を介して酸化剤13および燃料14が供給されるようになっている。この流量は接続ライン15を介して制御装置8によって制御される。接続ライン17と16は制御装置8に弁12および11の開口部の測定値を送信し、またセンサによって溶融金属3の温度に関するデータを受信する。下図1Bに示すように、制御装置8はCO(および/またはH2)濃度のセットポイントの調整を有するものである。
【0024】
センサ5および/または6により制御装置8に送られたCOおよび/またはH2濃度の測定値が前記セットポイントより高いか又は低いかによって、装置は、煙道ガスの一酸化炭素および/または水素の濃度を増加または減少させるために、酸化剤13および燃料14の注入を調整する制御弁12と11へ接続ライン15を介して制御信号を発信する。制御装置8は、更に詳細に図1Bに記載されている。制御装置8は、バーナーおよび/または炉での固有の(CO)および/またはH2濃度を記録するリードメモリ40を有する。(吸気口を)使用する炉のために、これらの値の表は、種々の酸化剤/燃料比、および種々のバーナー容量に一致する。また、接続43を通って使用されるバーナーのパワーPのデータ、および、接続42を通る酸化剤/燃料比(O2/NG比)のデータを受信するプロセッサ41によりメモリ40を読み込むことができるようになっている。弁または流量計13,14に対する制御データは、接続44および制御ライン15を通ってプロセッサ41から送られるようになっている。
【0025】
本発明の制御システムおよびその方法の動作は、図2〜図4の助けを借りてよりよく理解される。
【0026】
図2は、本発明を実施することなく、時間の関数として、また燃焼を調整することなく、金属酸化物COの関数として、炉から出ている煙道ガスのCOまたはH2の濃度変化を示す。
【0027】
アルミニウム溶解炉は、先ず最初にアルミニウム廃物、スクラップ等のようなアルミニウム含有材料を装入し、必要に応じて任意に湯面上に塩の溶融層をつくる塩を装入し、これにより金属湯面を酸化から保護する。
【0028】
図2において、この装入は時間t1で終了する。この時間では、炉から出ている煙道ガスに認められるCOおよびH2濃度は低く(この図2において用いられる目盛上の約0.03)、炎燃焼ガスだけに対応している(酸素を伴うCH4のような炭化水素の燃焼により、燃焼が完全な場合は、炎は理想的にはCO2およびH2Oの混合物を生じる)。
【0029】
実際には、前記燃焼は、決して完全ではなく、更に水素H2および一酸化炭素COを生じる。
【0030】
装入物(チャージ)の温度が上がるように、有機化合物は、完全な燃焼生成物H2OおよびCO2の他に、追加のCOおよびH2を生成するために迅速に燃焼される。この結果から明らかなようにCOおよびH2濃度のピーク30は、図の時間t2において迅速に到達する。
【0031】
有機化合物の迅速な熱分解のために、濃度ピーク30はそれから急速に降下して、時間t3でこの濃度は非常に低くなり、時間t4まで非常に低いままである。濃度は、装入物が炉内に導入される前にそれが有した値と同じ程度の値まで上昇する。装入物溶融段階(フェーズ)は時間t5までで終了する。この第1の溶融後に、第2のアルミニウム装入物が溶かされる。時間t6での炉ドアの開放は、図2に示すように、有機化合物の燃焼のために新たなH2およびCOピークの前に、湯浴上方の雰囲気の組成に障害を引き起こす。
【0032】
図3は、本発明による方法の種々のサブフェーズ(第1の溶融、第2の溶融、その他の各々の異なる段階の)を示す。この図は、時間の関数として、炉から出てくる煙道ガスのCO濃度を示すものである。図中の時間t1、t3およびt4は図2と同様の意味を有する。曲線はCO濃度を示す。類似の曲線は、パラメータとして煙道ガスの水素濃度を用いて得られる。第1アルミニウム溶融の第1の段階は時間t1とt2の間にほぼ位置する。この段階(フェーズ)において、アルミニウム含有材料のチャージのはじめに、金属浴より上方の雰囲気および煙道ガスのCO濃度が突然上昇する。実際には、有機物(油、その他)は本質的に炭素元素および水素元素を含み、それは大気中において利用可能な酸素と反応してCO、CO2、水素および水蒸気を生成する。この追加の燃料入力は、大気中のCO濃度を迅速に減少させるために補助酸素入力を必要とし、それを「COセットポイント1」セットポイント値に戻す。(事実COおよび/またはH2濃度をこの下のセットポイント値に下げることは、前記COおよび/またはH2を大気中に存在する酸素とともに反応させて、追加のNG燃料を消費することなく、エネルギーを炉に加えるのに役立つ)。酸化剤流量(酸素の変動量を含む)が増加して、ピーク(わずかに、制御ループを原因として生じるのでCOピークから相殺されて)を通過して、それからその初期値1に後退する間において、NG燃料流量は一定のままとすることができる。酸素流量がその初期値1に戻るときに、これは装入物内で有機化合物の熱分解の第1のステップが終了することを意味する。それゆえに、時間t2はNG燃料および酸化剤O2が一定の流量で導かれる(バーナー内に)安定化フェーズの開始をしるすことになる。これにより、一定のパワーを装入物に加えて、溶融浴より上方に好ましくは非酸化又はわずかに酸化の雰囲気を発達させる。
【0033】
本発明によれば、バーナーはアルミニウムの酸化に従って制御され、それは後述する方法によって炉において観測される。
【0034】
アルミニウムは、以下の反応によってバーナーから燃焼ガスとともに反応する。
【0035】
2A1+3CO2 → Al23+3CO(以下、金属酸化物COと呼ぶ)
2A1+3H2O → A123 +3H2(以下、金属酸化物H2と呼ぶ)
2Al+3/2O2 → A123
他の残りのものは全て等しい場合に、炉からの煙道ガスの一酸化炭素または水素の見掛け上の状況、または煙道ガス中の一酸化炭素または水素の濃度変化は、アルミニウムの酸化を検出するのに役立つ。
【0036】
この目的のために、バーナーに供給される酸化剤/燃料比(OFR)は、酸化剤については、検出される酸化の関数として制御される。酸化剤は、酸素を含む流体、例えば空気または純粋な酸素であるか、あるいは酸素リッチにされた空気および燃料である。燃料は、例えば、リリース・エネルギー(例えば天然ガス、燃料油、石炭、その他)に酸化剤に存在する酸素と反応しやすい材料を含む流体である。
【0037】
この制御のために、バーナー(炉内に設けられ、加熱されるチャージが無い状態で、空気の取り入れの計算のために、この空気は炉雰囲気に存在するCOとH2と反応する)からCOおよび/またはH2を放出する。バーナーにおいて、炉の煙道ガスおよびバーナーの調整の特徴ある化合物間の相関関係を決定するためにいくつかの酸化剤/燃料比が測定される。したがって、各々のOFRのために、バーナーが加熱される装入物が無い状態で作動するときには、煙道ガスのCOとH2の比率は公知であり、その固有のCO濃度と固有のH2濃度と呼ばれる関係にある。これらの全てのデータは、酸化剤/燃料「O2/GB比」および他の必要なパラメータ上のバーナー・パワーP.に関するデータを受信するマイクロプロセッサ41に接続されたメモリ40(図lB)に保存される。他の必要なパラメータとは、例えばライン7を通って出てくる(COm)または(H2m)の測定値のようなものをいう。また、マイクロプロセッサ41は、流量計13および14に対して制御ライン15を介して、(COmo)または(H2mo)(または関数の)の値に比例する信号をライン44に送り出す。煙道ガスは、種COまたはH2のうちの少なくとも1つ、COmまたはH2mと呼ばれている測定された値(煙道ガスの全COまたはH2濃度を示すために)のための適切な手段(例えば分析的サンプルを採取するための抽出システムまたはレーザー・ダイオード(COのための)により射出される放射の吸収を測定するための計測システム)によって連続的に分析される。
【0038】
OFRは、(COm −COintrinsic)差分を維持するために、または(H2m−H2intrinsic)差分が所望レベル(COまたは金属酸化物H2セットポイント値)を下回るようにするために調整される。(異なるCOm−COintrinsicまたはH2m−H2intrinsicは、炉雰囲気のアルミニウムとガスとの間の化学反応によってつくられるので、それぞれ「金属酸化物CO」(COmo)または「金属酸化物H2」(H2mo)と呼ばれている。)
本発明によれば、OFRは金属酸化物COおよび/または金属酸化物水素の算出濃度に従って制御され、これらの濃度がアルミニウムの酸化を反映する。
【0039】
したがって、第1のサブ段階(図3)において、NG燃料流量は一定であり、酸化剤O2流量は測定されたトータルCO(セットポイント値の安定化)の関数である。
【0040】
第2のサブ段階の間において、セットポイント煙道ガスのCO濃度の測定値を考慮することなく、NGおよびO2流量がそれぞれのポイントに調整される。
【0041】
第3のサブ段階の間において、O2流量は一定であり、HG流量は、測定されたCOとバーナーOFRのためのバーナーの固有のCO値(この値は制御システム8のメモリに保存されている)との差分として算出される化学COの関数である。
【0042】
一般に、サブ段階(時間t3およびt4)の変化は、関係する段階の間における炉内に噴射されたNGの量または酸素の量によって決定される。システムがこのことによりいかなるバーナー・シャットダウンも考慮するので、この解決は好ましいものである。
【0043】
2/NG容量測定比(OFR)が1.5と3との間の範囲内に限って(O2は酸化剤およびNGの酸素の量がいかなる燃料も示すことを示す)保持されることが好ましい。
【0044】
好ましくは、サブ段階1および3において、第1のサブ段階(セットポイント1)の全COセットポイントのCOおよび/またはH2、および第3のサブ段階(セットポイント2)の金属酸化物COは、パラメータ化されることができる。例えば、約3体積%のCOまたは水素のセットポイント値を用いることができる。
【0045】
図4は、使用したOFR O2/NG容積測定比の関数として、煙道ガスのトータルCO濃度の変化を模式的に示す特性図である。より低いOFRでは、より多いCOがバーナーによって発生するのに対して、金属酸化物COの割り当てはトータルCOにおいて減少し、アルミニウムの酸化が減少することを示している。但し、トータルCOは増加する。
【0046】
この結論は明らかに、本発明がどのように完全に従来技術の解決と異なるかについてを示している。その理由は、次のことにある。本発明によれば、煙道ガスのCO(またはH2)濃度は容易にドロスの酸化およびそれゆえに量が形成した減少に増やされることができる。それによって点火の金属ロスが低減される。
【0047】
本発明の変形例によれば、一定のNG燃料流量を維持することが(逆に)可能であり、バーナーの酸化剤注入を調整することができる。これはサイクル時間を長くすることになり、アルミニウムの酸化に対して不適合である。この効果(必要なより多くの熱パワー)は、より高い酸素濃度(好ましくは88%以上の酸素)を有する酸化剤を使用することによって補償されることができる。他の変形例(主要部としてより複雑な)は、燃料と同様に酸化剤の流量を調整することにある。
【0048】
同様に、本発明の他の変形例(それはまた、炉への空気取り入れ口(吸気口)が低いときに、良い結果を生むことができる)によれば、バーナーによって生じる固有のCOおよび/またはH2濃度を決定する際に、およびCOとH2種のみを考慮する際に、これらの吸気口を無視することにある。
【0049】
本発明の実施例
先ず、従来のテストの間において、熱分解中に有機化合物もCOもH2(または非常に取るに足りない量)も出さない約65トンの材料を炉に装入する。これらの材料は、例えば、塩(NaClまたはKC1)またはエナメル、ペンキ、油などが無いアルミニウム合金である。
【0050】
各バーナー・パワーのために、および特に名目上の溶融パワーのために、または13MW、COm(および/またはH2m)濃度は概して1.5と3との間でOFR比を変えて測定される。これは、固有のCO(および/またはH2)濃度(それは本質的に炉のバーナーおよび吸気口の調整に依存する)を与え、次の再読のためにメモリ40の表に格納される。
【0051】
上記の通りにチャージしている4−段階(フェーズ)の本発明の実施の間において、塩を再加熱するための最後の段階を除いて、全ての段階(フェーズ)は、3つのサブ段階(サブフェーズ)に分けられる。すなわち、有機化合物燃焼サブ段階、遷移(移行)または安定化のサブ段階、そして最後に酸化減少サブ段階である。サブ段階の変化は、燃料(ここでは天然ガス)の累積量によって決まる。使用する値は、下表において与えられ、炉の初期の審査の間に決定される。第1のサブ段階において、セットポイントCOmは、全ての段階(最後を除いて)の1%の値でセットされる。
【0052】
安定化サブ段階(それは表に示すように実行に非常に不足している)において、燃料および天然ガス流量は固定された値を割り当てられ、したがってOFR比は変化しない。 13MWの公称パワーのために、天然ガス流量は1300Sm3/hに設定され、かつ酸素流量は2500Sm3/hに設定される。これらは全ての段階(フェーズ)のために設定される。
【0053】
最後に、第3の酸化物減少サブ段階において、金属酸化物CO(COmo)または(H2mo)セットポイントは1.5%に設定される。
【0054】
最後に塩を過熱する段階(フェーズ)において、安定化サブ段階(固定された流量、固定されたOFR)のパラメータが調整される。
【表1】

【0055】
課されたパラメータの値および方法のための測定の典型的な値を上記に記載した。
【0056】
(累積値は、上記に示したチャージ量に有効なだけである。)
多くのパラメータの関数として、特に液体アルミニウムの温度、測定されたCOmは、2%と10%との間で粗く変化するのが観測される。第3のサブ段階において、その注ぎ出し温度に近い液体アルミニウムの最小の制御酸化を保証するために、アルミニウムの注ぎ出し(第2のアルミニウムの装入)前に、本発明に従う調整は最小限許容される(1.5)で、かつ高い固有CO(約8.5%〜9%まで)にバーナー率を近づけようとしている。
【0057】
比較例(同じ炉における従来技術および本発明)
27トンの塩および27トンのアルミニウム廃棄物を13MWのバーナーを備えた回転炉内に装入した。その装入物を、従来法では2500Sm3(従来技術方法)の天然ガス消費で加熱するか、または本発明方法では2550Sm3(本発明による方法)の天然ガス消費で加熱した。それから65トンのアルミニウム廃棄物を再び装入して、その装入物を天然ガスの3300Sm3(従来技術)の消費で加熱するか、または3400Sm3(本発明)の消費で加熱した。それから35トンのアルミニウム廃棄物を再び装入して、その装入物を天然ガスの4600Sm3(従来技術)の消費で加熱するか、または4750Sm3(本発明)の消費で加熱した。それから98トンのアルミニウムを注ぎ出し(従来技術)、また99トンのアルミニウムを注ぎ出した(本発明)。それから炉内にある塩およびドロスを天然ガスの5350Sm3(従来技術)の消費で加熱するか、または5500Sm3(本発明)の消費で加熱した。最後に、炉内に残留するアルミニウムを注ぎ出した。残留アルミニウムの注ぎ出し量は、従来技術および本発明ともに9トンであった。
【0058】
バーナーの燃焼は、スタック(COm )のダクト上に取り付けられたレーザー・ダイオードによって測定されたCOの分析により本発明に従って制御された。
【0059】
従来技術では、酸化剤/燃料比を一定に保ち、これにより温度が制御される場合、このことにより粗くトータルCOを一定に保持しておく。
【0060】
以下の結果は、それから得られたものである(前の適用の本発明の結果)。
【表2】

【0061】
本発明を実施するこのケースで必要とする追加の燃料の150Sm3が回復されたアルミニウムの値と比べてかなり軽微な余分のコストが現われる。
【0062】
特定の種類の有機物質の高い濃度を有するチャージのために、第1のサブ段階(有機化合物の燃焼)の間において回復されるエネルギーが第3のサブ段階のために必要な追加の燃料を補償するのに役立つと言及することはまた、重要である。その結果、サイクルの総消費が初期の方法のそれと比べて同等であるか又は低くさえなる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1A】図1Aは単一のバーナーを備える炉の概略図である。
【図1B】図1Bは煙道ガスの分析およびバーナーの制御を示すブロック図である。
【図2】図2はCOの模式的なプロット線および、規則のない従来技術に従って、回転する炉の2つの連続したアルミニウム溶解の間の時間の関数としてのH2濃度を形どる(CO)および/または(H2)を示す特性線図である。
【図3】図3は時間の関数として(CO)および/または(H2)の変化を示し、本発明の方法の3つのフェーズ(またはサブフェーズ)を例示しているグラフである。
【図4】図4はバーナーのO2/NG体積比の関数として、炉に関連するバーナーの金属酸化物一酸化炭素および固有の一酸化炭素ではあるが、各アルミニウム溶解の最終段階(ファイナル・フェーズ)の間には金属が無い、測定一酸化炭素濃度(COm )の変化を示す特性線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムおよび任意に1つ又はそれ以上の塩を含有する材料を炉内に装入し、この材料は酸化剤および燃料を供給される少なくとも1つのバーナーを用いる熱の入力によって溶融され、特にアルミナおよび少なくとも1つの塩を有するスラグで任意に覆われたアルミニウム溶湯を得るために、炉雰囲気中または炉から出ている燃料ガス中の一酸化炭素COmおよび/または水素H2mの濃度を測定する炉内アルミニウム処理方法において、
少なくとも1つのバーナーに供給される酸化剤が酸素を10体積%以上、好ましくは21体積%以上を含有し、
前記酸化剤の流量が実質的に一定になる間にアルミニウム溶湯の酸化が減少する最終段階で、少なくとも1つのバーナーに噴射される燃料の流量が前記雰囲気中または煙道ガス中の金属酸化物一酸化炭素COmoおよび/または金属酸化物水素H2moの濃度に従って選択されるか又はその逆に前記濃度が前記燃料流量に従って選択され、この金属酸化物一酸化炭素COmoおよび/または金属酸化物水素H2moの濃度は、前記炉内にチャージがないことを除いては、前記測定された種濃度と固有COとの間の差分として、または前記少なくとも1つのバーナーを持つ炉内の燃料と酸化剤との燃焼によって生じるH2種濃度として算出されることを特徴とする炉内アルミニウム処理方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
前記酸化剤は、O2を88体積%以上、好ましくは95体積%以上を含有する。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項の方法において、
前記酸化剤は、工業的に純粋な酸素である。
【請求項4】
請求項1の方法において、
前記燃料は、天然ガス、炭化水素および軽燃料油又は重燃料油のうちから選択される。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項の方法において、
燃料に対する酸素の体積測定率が1および5の間に、好ましくは1.5および3の間に維持される。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項の方法において、
前記酸化減少段階の期間中はずっと金属酸化物一酸化炭素(COmo)および/または金属酸化物水素(H2mo)の濃度が1%および8%の間の値、好ましくは2%および5%の間の値、より好ましくは約3%の値に実質的に一定に保たれる。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項の方法において、
前記酸化減少段階は、材料内に存在する全ての有機物が熱分解によって実質的に破壊される間に、炭化水素燃焼段階により先導される。
【請求項8】
請求項7の方法において、
(CO)mおよび/または(H2mの測定値が課されたセットポイント値に安定するときに、前記炭化水素燃焼段階が終了する。
【請求項9】
請求項7又は8のいずれか1項の方法において、
前記安定化段階では測定された(CO)mおよび/または(H2m濃度が一定値に落ち着き、その間に前記バーナー内の酸化剤の流量が実質的に一定になる。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項の方法において、
前記アルミニウム酸化減少段階では前記炉内へのアルミニウム含有材料の新たなチャージの再装入を終わらせる。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項の方法において、
前記(CO)mはレーザー・ダイオードを使用して測定される。
【請求項12】
請求項1乃至11のうちの少なくとも1項の方法に従って、前記炉の少なくとも1つのバーナーの燃焼を制御するためにアルミニウム炉内のCOを測定するレーザー・ダイオードの使用。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−525428(P2006−525428A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505864(P2006−505864)
【出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050134
【国際公開番号】WO2004/099453
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・ア・ディレクトワール・エ・コンセイユ・ドゥ・スールベイランス・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】