説明

炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法

【課題】専門技術を有する築炉作業者を必要とせず工期が短くしかも事前乾燥が不要な炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法を提供する。
【解決手段】工業用炉の炉底部に耐火断熱レンガ11を敷き詰めて炉床を構築する炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において、複数の耐火断熱レンガ11同士を直接接触させながら所定形状に組み合わせ耐熱性のセラミックロープ12で結束して炉床レンガブロック13を形成し、炉床レンガブロック13間に耐熱性のセラミックファイバー緩衝材18、19を挿入して炉床レンガブロック13を炉底部に並べて敷き詰める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱炉、熱処理炉等の工業用炉の炉床を耐火断熱レンガを用いて構築する方法に係り、詳しくは、築炉(新設、改修、または補修)時に作業者が載って移動し電熱ヒータが設置される炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工業用炉の天井部や側壁を構築する際には、耐火断熱レンガに代わって、単位体積当たりの熱容量が極めて小さく、優れた断熱性を有するセラミックファイバーを用いて成形したセラミックファイバー断熱材が使用されるようになっている。しかし、セラミックファイバー断熱材は多孔性のため、外部荷重に対する強度が小さく、異物も侵入し易いという問題を有している。このため、築炉時には作業者が載って移動するのに耐えられる強度、使用中には電熱ヒータの熱変形を押さえる強固な取り付け力と落下するスケールに対する耐食性が要求される炉床にセラミックファイバー断熱材を適用する場合、種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭56−133583号公報
【特許文献2】実公昭62−37110号公報
【特許文献3】実開昭63−40785号公報
【特許文献4】特開2000−274953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜4に記載された炉床の構築方法は、従来の耐火断熱レンガを用いた構築方法に比較して複雑となっている。このため、工業用炉の炉床をセラミックファイバー断熱材を用いて構築する場合、セラミックファイバー断熱材が耐火断熱レンガに比較して高価であるという材料費の問題に加えて、築炉費用が高くなるという問題が発生し、炉床の構築は耐火断熱レンガを用いて行なわれているのが現状となっている。このため、耐火断熱レンガを積み上げる専門技術を有する築炉作業者を確保せねばならないという問題が生じる。
また、炉床を耐火断熱レンガを用いて構築する場合、耐火断熱レンガ同士を水で流動性を賦与したモルタルと呼ばれる接着剤で接着しながら積み重ねていく。このため、築炉後直ちに工業用炉を稼動させると、モルタル中の水分が工業用炉内の露点を上げて炉内に錆が発生すると共に製品の品質を低下させる。そこで、工業用炉の立ち上げの際には事前に乾燥を行なうことが必須となっているが、乾燥は炉内温度を徐々に上昇させながら行なうため、乾燥が終了するまでには多くの時間を要し、工業用炉の立ち上げに要する総時間も長くなるという問題が生じる。特に、工業用炉の改修や補修のように十分な立ち上げ期間を確保できない場合には大きな問題となっている。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、専門技術を有する築炉作業者を必要とせず工期が短くしかも事前乾燥が不要な炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法は、工業用炉の炉底部に耐火断熱レンガを敷き詰めて炉床を構築する炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において、
複数の前記耐火断熱レンガ同士を直接接触させながら所定形状に組み合わせ耐熱性のセラミックロープで結束して炉床レンガブロックを形成し、該炉床レンガブロック間に耐熱性のセラミックファイバー緩衝材を挿入して該炉床レンガブロックを前記炉底部に並べて敷き詰める。
【0007】
本発明に係る炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において、前記炉床レンガブロックに該炉床レンガブロックの前後方向および左右方向にそれぞれ貫通する貫通孔を複数形成し、該各貫通孔に耐熱性の棒状部材を挿入することが好ましい。
ここで、前記棒状部材は、セラミック織物で形成した棒状成形物をセラミック接着剤を用いて固化させて作製することができる。
また、前記セラミック接着剤は水ガラスとすることができる。
【0008】
本発明に係る炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において、前記耐火断熱レンガの所定位置に予め通し孔を形成し、前記炉床レンガブロックを形成した際に該通し孔の連通により前記貫通孔が形成されることが好ましい。
【0009】
本発明に係る炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において、前記炉床レンガブロックの重量は20kg以下とすることができる。
炉床レンガブロックの重量は、更に好ましくは15kg以下、10kg以上とする。炉床レンガブロックの重量を20kg以下の範囲にすることで、炉床レンガブロックを人手でハンドリングできる範囲のサイズにして、効率的に炉床を構築することができる。また、炉床レンガブロックの重量を10kg以上とすることで、使用する炉床レンガブロックの個数を少なくして、効率的に炉床を構築することができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1〜6記載の炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法においては、形成した炉床レンガブロックを炉底部に並べて炉床を構築するので、専門技術を有する築炉作業者を確保する必要がなくなり、築炉工期の計画が立案し易くなると共に、築炉工期の短縮化を図ることができる。ここで、炉床レンガブロックは、複数の耐火断熱レンガ同士を直接接触させながら(空目地で)所定形状に組み合わせ耐熱性のセラミックロープで結束して形成しているので、立ち上げ時の乾燥が不要になって工業用炉の立ち上げ時間を短くすることができる。また、炉床レンガブロック間にはセラミックファイバーブランケットやセラミックファイバーペーパー等の耐熱性のセラミックファイバー緩衝材が挿入されているので、耐火断熱レンガ同士を直接接触させていても耐火断熱レンガの熱膨張をセラミックファイバー緩衝材で吸収することができ、耐火断熱レンガ同士の押圧による破損を防止できる。なお、セラミックロープの熱膨張量は耐火断熱レンガと同程度の熱膨張を示すので、セラミックロープが切れることはない。
【0011】
特に、請求項2記載の炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法においては、炉床レンガブロックの形状保持性が向上し、炉床レンガブロックの取り扱いが容易になる。
請求項3記載の炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法においては、棒状部材をセラミック織物を棒状に成形しセラミック接着剤を用いて硬化させて形成するので、炉床レンガブロックの形状に合わせた最適長さの棒状部材を容易に得ることができる。
請求項4記載の炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法においては、セラミック接着剤は水ガラスなので、取り扱いが容易で棒状部材を容易に作製できる。
【0012】
請求項5記載の炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法においては、炉床レンガブロックを形成した際に、耐火断熱レンガに予め形成した通し孔の連通により貫通孔が形成されるので、棒状部材の挿入が容易になり、炉床レンガブロックの作製工期が短くなる。
【0013】
請求項6記載の炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法においては、炉床レンガブロックの重量が20kg以下なので、炉床レンガブロックのハンドリングを人手で行なうことができ、炉床の構築を容易に行なうことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、築炉(新設、改修、または補修)時に作業者が載って移動し電熱ヒータが設置される炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法について、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係る炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において形成した電熱ヒータが設置された状態の炉床レンガブロックの斜視図、図2は同炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において形成した炉床レンガブロック本体の斜視図、図3(A)は図2のA−A矢視断面図、(B)は図2のB−B矢視断面図、図4(A)は本発明の第2の実施の形態に係る炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において形成した電熱ヒータが設置された状態の炉床レンガブロックの斜視図、(B)は同炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において形成した電熱ヒータが設置された状態の炉床レンガブロックの正面図、(C)は同炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において形成した電熱ヒータが設置された状態の炉床レンガブロックの平面図、図5は同炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において形成した炉床レンガブロック本体の斜視図である。
【0015】
図1、図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において作製する炉床レンガブロック13は、複数の耐火断熱レンガ11同士を直接接触させながら所定形状に組み合わせ耐熱性のセラミックロープの一例であるアルミナロープ12で結束して形成され、炉床レンガブロック13の前後方向および左右方向にそれぞれ貫通するように形成した複数の貫通孔14、15にそれぞれ挿入される耐熱性の棒状部材の一例であるアルミナ棒状部材16、17とを有し、炉底部に並べて敷き詰める際、炉床レンガブロック13間には耐熱性のセラミックファイバー緩衝材の一例であるアルミナブランケット18、19が挿入される。また、図1に示すように、炉床レンガブロック13は電熱ヒータ22を最上面より1段控えた位置に取り付け部材23を用いて載置する。以下詳細に説明する。
【0016】
耐火断熱レンガ11は、例えば、アルミナ材質で、1000〜1400℃の耐熱性を示し、長さが230mm、幅が114mm、高さが65mmの直方体状で、1個当たりの重量は0.5〜1kgである。これによって、構成される炉床レンガブロック13のサイズを人が抱えられる大きさにして、重量も20kg以下とすることができる。そして、図3(A)、(B)に示すように、炉床レンガブロック13を形成する際の組み合わせ位置に応じて耐火断熱レンガ11の所定の角部には面取り部20が形成され、耐火断熱レンガ11の所定位置には貫通する通し孔21が設けられている。ここで、通し孔21の内径はアルミナ棒状部材16、17が嵌入可能な寸法にする。耐火断熱レンガ11に面取り部20を形成することで、耐火断熱レンガ11を組み合わせて炉床レンガブロック13を形成する際に、角部同士が当たって角部が破損するのを防止できると共に、炉床レンガブロック13を工業用炉の炉底部に並べて敷き詰める際に、炉床レンガブロック13の角部同士が当たって角部が破損するのも防止できる。また、耐火断熱レンガ11の所定位置に予め通し孔21を形成しておくことで、炉床レンガブロック13を形成した際に通し孔21の連通により貫通孔14、15を形成できる。
【0017】
アルミナロープ12は、例えば、1000〜1400℃の耐熱性を示すアルミナ質の長繊維を撚って形成され、直径は5〜7mmである。
アルミナブランケット18、19は、例えば、アルミナ質繊維の厚みが5〜7mmの成形体で1000〜1400℃の耐熱性を有しており、炉床レンガブロック13の前後端面および左右端面の形状に合わせて切り取られたものを隣り合う炉床レンガブロック13の前後端面および左右端面間にそれぞれ挿入する。
【0018】
アルミナ棒状部材16、17は、例えば、1000〜1400℃の耐熱性を示すアルミナ質の長繊維からなる紐を円筒状に編んで形成した長尺のスリーブ(セラミック織物の一例)を所定の長さに切り出し、切り出したスリーブ片の両端を引き伸ばすことで半径方向に縮めて紐を圧密状態にした(棒状成形物とする)後、耐熱性のセラミック接着剤の一例である水ガラスを用いて固化させて作製され、その直径は、例えば5〜7mmである。炉床レンガブロック13に形成された貫通孔14、15の長さと、スリーブ片の伸び率を考慮して、スリーブ片の長さを設定することで、最適長さのアルミナ棒状部材16、17を容易に得ることができる。炉床レンガブロック13の前後方向および左右方向にそれぞれ形成された貫通孔14、15にアルミナ棒状部材16、17をそれぞれ挿入することで、炉床レンガブロック13を構成している各耐火断熱レンガ11にずれが生じるのを防止できる。
【0019】
続いて、本発明の第1の実施の形態に係る炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法について説明する。
図1に示すように、構築しようとする炉床を重量が10〜20kg以下、好ましくは10〜15kg以下となるように分割(ブロック化)して、炉床レンガブロック13の形状を決める。炉床レンガブロック13の形状が決まると、耐火断熱レンガ11同士の組み合わせ方法も決まる。従って、先ず、炉床レンガブロック13を形成する際の組み合わせ位置に基づいて、各耐火断熱レンガ11の所定位置に貫通する通し孔21を設け、更に面取り部20が必要な耐火断熱レンガ11には所定の角部に面取り部20を行なう。また、炉床レンガブロック13の形状が決まると、炉床レンガブロック13に形成された貫通孔14、15の長さも判明するので、アルミナ質の紐を編んで形成した長尺のスリーブから所定の長さのスリーブ片を切り出し、その両端を引き伸ばして紐同士を圧密状態にした後、水ガラスを用いて固化させてアルミナ棒状部材16、17を形成しておく。
【0020】
次いで、通し孔21、面取り部20及び通し孔21の加工が施された各耐火断熱レンガ11同士を直接接触させながら組み合わせ、アルミナロープ12で結束して炉床レンガブロック13を形成する。ここで、形成された炉床レンガブロック13の前後方向および左右方向には、通し孔21が連通した貫通孔14、15がそれぞれ形成されている。そこで、各貫通孔14、15に、予め作製しておいたアルミナ棒状部材16、17を挿入する。炉床レンガブロック13の貫通孔14、15にアルミナ棒状部材16、17をそれぞれ挿入することで、アルミナロープ12で結束されて炉床レンガブロック13を構成している耐火断熱レンガ11同士をアルミナ棒状部材16、17を用いて固定することができ、炉床レンガブロック13の前後方向及び左右方向から剪断力が作用しても、耐火断熱レンガ11にずれが生じるのを確実に防止できる。
【0021】
続いて、炉床レンガブロック13間に、炉床レンガブロック13の前後端面および左右端面の形状に合わせて切り取って成形したアルミナブランケット18、19を挿入して、炉床レンガブロック13を工業用炉の炉底部に配置し、アルミナブランケット18、19の厚みが、例えば半分の厚みに成るように炉床レンガブロック13同士を押圧させながら敷き詰めていくことで、炉床が構築される。ここで、炉床レンガブロック13の重量が20kg以下になるよう調整されているので、炉床レンガブロック13のハンドリングおよび炉底部への敷き詰め作業が容易になる。更に、耐火断熱レンガ11同士がアルミナロープ12とアルミナ棒状部材16、17により固定されているので、炉床レンガブロック13の形状保持性が向上し、炉床レンガブロック13の敷き詰め作業を効率的に行なうことができる。
【0022】
このようにして構築された炉床では、耐火断熱レンガ11同士がモルタルで接合されていないため、立ち上げ時の乾燥が不要になって工業用炉の立ち上げ時間を短くすることができる。また、炉床レンガブロック13内では耐火断熱レンガ11同士が直接接触しているため、工業用炉の立ち上げ時および使用時には、隣り合う炉床レンガブロック13は互いに膨張するが、隣り合う炉床レンガブロック13同士の間には圧密された状態のアルミナブランケット18、19が存在しているので、これらの熱膨張はアルミナブランケット18、19で吸収されて、耐火断熱レンガ11同士の押圧による破損を防止できる。なお、アルミナロープ12、アルミナ棒状部材16、17の熱膨張率は、耐火断熱レンガ11の熱膨張率と同程度であるので、工業用炉の立ち上げ時および使用時にアルミナロープ12が切れたり、アルミナ棒状部材16、17が折損することはない。このため、工業用炉の改修時、補修時に、使用中の炉床レンガブロック13を取り出すことができる。
【0023】
図4、図5に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において作製する炉床レンガブロック24は、図1、図2に示した炉床レンガブロック13よりもブロック化する範囲を狭めて、炉床を炉床レンガブロック24と耐火断熱レンガ25で構成するようにしたものである。このため、炉床レンガブロック24が軽量化し、炉床レンガブロック24をアルミナロープ12のみで一体化できる。なお、炉床レンガブロック24で、アルミナロープ12が接する部位には、予めアルミナロープ12が納まる溝26を形成している。これにより、アルミナロープ12がずれるのを防止できる。
【0024】
本発明の第2の実施の形態に係る炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法では、炉底部の炉幅方向に、炉床レンガブロック24と耐火断熱レンガ25を交互に並べ、炉床レンガブロック24と耐火断熱レンガ25との間に、形状が成形されたアルミナブランケット27を挿入する。一方、炉長手方向には、炉床レンガブロック24の列と、耐火断熱レンガ25列がそれぞれ形成されるので、炉床レンガブロック24間にそれぞれ形状が成形されたアルミナブランケット28を挿入すると共に、耐火断熱レンガ25間には、例えば、炉床レンガブロック24の長さに相当する間隔で存在している耐火断熱レンガ25の目地にそれぞれ形状が成形されたアルミナブランケット29を挿入する。
炉床レンガブロック24は軽量化によりその締結をアルミナロープ12のみとすることができるので、作業性が向上する。また、炉床レンガブロック24では、第1の実施の形態の炉床レンガブロック13と比べて加工内容が平易になると共に、加工量も少なくなり、製作コストが低減できる。
【0025】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、棒状部材として、所定幅のアルミナ織物またはアルミナペーパーを巻き取って棒状成形物を形成し、この棒状成形物を水ガラスで固化させてアルミナ棒状部材を形成することもできる。また、水ガラスの代りにアルミナ微粉粉末が有機物系接着液中に分散したアルミナ質の高温接着剤を使用することもできる。更に、セラミックロープとして、アルミナ−シリカ質のロープを使用してもよい。
更に、本発明の実施の形態では、炉床レンガブロック間にアルミナブランケットを適切な大きさに切断して挿入したが、事前に炉床レンガブロックの前後、左右の端面をアルミナブランケットで覆っておくこともできる。
【0026】
また、セラミックファイバー緩衝材としてアルミナブランケットを使用したが、所定厚みのアルミナペーパーを使用することもできる。アルミナペーパーを使用した場合、炉床レンガブロック同士を押圧させながら敷き詰める必要がなくなり、炉床レンガブロックの敷き詰め作業が容易となる。
更に、耐火断熱レンガに予め通し孔を形成して炉床レンガブロックを形成した際に通し孔を連通させて貫通孔を形成したが、耐火断熱レンガを組み合わせて炉床レンガブロックを形成した後、ドリルで貫通孔を形成するようにしてもよい。ドリルで貫通孔を形成する場合、耐火断熱レンガの事前加工に高い精度が要求される、炉床レンガブロックを短時間で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において形成した電熱ヒータが設置された状態の炉床レンガブロックの斜視図である。
【図2】同炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において形成した炉床レンガブロック本体の斜視図である。
【図3】(A)は図2のA−A矢視断面図、(B)は図2のB−B矢視断面図である。
【図4】(A)は本発明の第2の実施の形態に係る炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において形成した電熱ヒータが設置された状態の炉床レンガブロックの斜視図、(B)は同炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において形成した電熱ヒータが設置された状態の炉床レンガブロックの正面図、(C)は同炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において形成した電熱ヒータが設置された状態の炉床レンガブロックの平面図である。
【図5】同炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において形成した炉床レンガブロック本体の斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
11:耐火断熱レンガ、12:アルミナロープ、13:炉床レンガブロック、14、15:貫通孔、16、17:アルミナ棒状部材、18、19:アルミナブランケット、20:面取り部、21:通し孔、22:電熱ヒータ、23:取り付け部材、24:炉床レンガブロック、25:耐火断熱レンガ、26:溝、27、28、29:アルミナブランケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業用炉の炉底部に耐火断熱レンガを敷き詰めて炉床を構築する炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において、
複数の前記耐火断熱レンガ同士を直接接触させながら所定形状に組み合わせ耐熱性のセラミックロープで結束して炉床レンガブロックを形成し、該炉床レンガブロック間に耐熱性のセラミックファイバー緩衝材を挿入して該炉床レンガブロックを前記炉底部に並べて敷き詰めることを特徴とする炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法。
【請求項2】
請求項1記載の炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において、前記炉床レンガブロックに該炉床レンガブロックの前後方向および左右方向にそれぞれ貫通する貫通孔を複数形成し、該各貫通孔に耐熱性の棒状部材を挿入することを特徴とする炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法。
【請求項3】
請求項2記載の炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において、前記棒状部材は、セラミック織物で形成した棒状成形物をセラミック接着剤を用いて固化させて作製することを特徴とする炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法。
【請求項4】
請求項3記載の炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において、前記セラミック接着剤は水ガラスであることを特徴とする炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において、前記耐火断熱レンガの所定位置には予め通し孔が形成され、前記炉床レンガブロックを形成した際に該通し孔の連通により前記貫通孔が形成されることを特徴とする炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法において、前記炉床レンガブロックの重量は20kg以下とすることを特徴とする炉床の耐火断熱レンガを用いた構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−224145(P2008−224145A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63825(P2007−63825)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】