説明

炎観賞装置

【課題】インテリアのように設置して室内の雰囲気を演出し、又は炎を観賞して心の癒し即ち安堵感やくつろぎ感を感じられ、しかも設置場所周辺の壁等に熱による損傷を与えず、かつ設置が容易な炎観賞装置を提供する。
【解決手段】第1周壁部22が画成する燃焼室21内の下部にガス燃焼バーナ23を設置し、第1周壁部22外側に間隔31を開けて第2周壁部24を設置する。燃焼室21を覆うフード32が第1周壁部22の上端に載せられ、頂部カバー36がフード32を覆って第2周壁部24の上端に配置され、下端に下部ケーシング30を配置して機械室29を形成する。頂部カバーで形成された頂部空間37に接続された給気ダクト42により頂部空間37に入った空気は、フード32を冷却した後、両周壁部22,24の間隔31を通って機械室29に流れ、各周壁部のガラス窓26,27を冷却した後、ガス燃焼バーナ23の周辺部を通り抜けて燃焼室へ流れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎観賞装置に関し、更に詳細には、例えば、室内にインテリアとして設置し、ガスなどの燃料をバーナなどで燃焼させてその火炎を鑑賞する炎観賞装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人は、昔から、蝋燭、松明、又は燃焼バーナなどを用いて炎を生成し、その炎を観賞、装飾、或いは象徴の道具としてきた。このような観賞、装飾、或いは象徴としている炎としては、例えば、スポーツ施設に設置される炬火(きょか)や聖火、モニュメント等に設置された燃焼バーナで燃える炎、或いはレストランなどの店内の雰囲気を演出するためにその室内や出入り口に設置したトーチ形の燃焼バーナにより生成される炎などを挙げることができる。このように炎は、暖房や照明としての用途ではなく、人の心を癒し、或いは周囲の雰囲気を演出する道具として使用され続けている。
【0003】
観賞、装飾、或いは象徴の道具として炎を生成する装置の一つとして、特許文献1に開示されている炎発生具がある。かかる炎発生具は、液体燃料を充填した容器の口部から燃焼芯材を巻き付けた熱伝導棒を差し込み、その上端部を容器の口部から出して構成されたものである。この炎発生具によると、容器内の液体燃料は、燃焼芯材による毛細管現象により容器の口部から外へ吸い上げられ、この燃焼芯材の上部に吸い上げられる液体燃料を燃焼させることにより炎を形成し、それを観賞したり、装飾物として室内に置いたりするものである。この特許文献1に開示された炎発生具は、蝋燭のように単一の炎を生成し、その際に生成する炎の形態が時間と共に変化することからその変化を観賞して楽しむだけのものであった。
【0004】
ところで、欧州などでは、多くの家庭で暖炉を備え、この暖炉によって室内を暖房している。このような暖炉は、暖房としてだけではなく、薪などの燃料が燃えているときに生成される数多くの炎を見ていることで心の癒し、即ち、安堵感やくつろぎの感覚を感じることができるのもまた事実である。現在では、空調機、スチーム、或いは電気やオイルを用いたパネルヒーターなど種々の暖房装置により室内を暖めることができるので、暖房を目的とせず、燃える炎を観賞することで心の癒し、即ち、安堵感やくつろぎ感を感じ、或いは周囲の雰囲気を演出するために設置する場合も多い。
【0005】
そこで、ガス燃焼バーナを用いて多数の炎を生成し、その炎を観賞できるようにした装置が開発され、既に使用されている。このような炎観賞装置は、インテリアとして、例えばホテルなどのロビーに設置され、当該ホテルの重厚感や、これが置かれているロビーの雰囲気を演出するのに用いられている。このような従来の炎観賞装置は、3タイプのものが知られている。これら3タイプの炎観賞装置は、図5(a),(b),(c)に簡略的に示されている。図5(a)に示される従来の炎観賞装置Aは、二重ガラス1,2を用いた窓部3の内側にガス燃焼バーナ4を設置し、その上部を断熱材の付いたフード5で覆い、このフード5には、ガス燃焼バーナ4による可燃ガスの燃焼で発生した燃焼ガスを排気するために排気ファン6を取り付けた排気ダクト7が接続されている。
【0006】
図5(b)に示される従来の炎観賞装置Bは、ガス燃焼バーナ4の周囲上方をガラス窓8で囲み、その上部を断熱材の付いたフード5で覆って構成され、この炎観賞装置Bは、その全体装置を、窓9の付いたコンクリート壁10で囲まれた特別な設置室11に設置して用いられ、この窓9には防護ガラス12が嵌め込まれている。さらに、図5(c)に示される従来の炎観賞装置Cは、図5(b)に示された炎観賞装置Bの下部に外気導入用の給気ダクト13を接続したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−014208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図5(a)に示される従来の炎観賞装置Aによると、ガス燃焼バーナ4による可燃ガスの燃焼中に炎観賞装置Aを設置している室内の空気が矢印14で示されるように炎観賞装置Aの下部から入り込む。このように炎観賞装置Aの下部に吸い込まれた室内空気は、窓部3における内外のガラス1、2間の通路、及び内側ガラス2の内面側を通って二重ガラス1,2を冷却しながら上昇し、同時にガス燃焼バーナ4による可燃ガスの燃焼のための酸素としても使用される。しかし、この炎観賞装置Aでは、フード5が断熱材で覆われていても相当に加熱し、フード5に近接する建物の一部、例えば壁などが熱により損傷を受け易い、という問題があった。
【0009】
また、図5(b)に示される従来の炎観賞装置Bでは、前述したように該装置Bをボードなどで形成された壁10等で区画された据付室11内に設置して使用される。従って、壁10に形成された窓9の防護ガラス12からガス燃焼バーナ4で燃焼する炎を観賞することになるため、防護ガラス12と炎観賞装置Bの窓ガラス8とが離れすぎると、炎を観賞するという目的から好ましくない。そのため、内装工事などにより壁10を作るとき、炎観賞装置Bに対する寸法精度の確保が非常に難しく面倒である、という問題と、さらに図5(a)に示される炎観賞装置Aについて説明したような問題とがあった。
【0010】
ところで、図5(a),(b)に示される従来の炎観賞装置A,Bでは、いずれも室内の空気を内部に取り込んで、窓ガラスの冷却やガス燃焼バーナでの可燃ガス燃焼用の酸素として使用しているため、炎観賞装置を設置している室内の圧力が何らかの原因で低下した時などは炎観賞装置内に取り込まれる空気量に変動が生じ、それが不完全燃焼の原因となってススを発生させたりすることがあった。そこで、このような問題を起こさないために図5(c)に示される従来の炎観賞装置Cでは、給気ダクト13を炎観賞装置Cの下部に接続し、この給気ダクト13を介して外気を炎観賞装置Cに取り込むようにされた。しかし、実際には、給気ダクト13の炎観賞装置Cへの取り付けが非常に難しく、建物の床下から立ち上げて炎観賞装置Cに接続したり、背面から炎観賞装置Cに接続していたことから、その据付が非常に困難でかつ面倒である、という問題があった。
【0011】
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、室内にインテリアのように設置して室内の雰囲気を演出すると同時に炎を観賞して心の癒し、即ち、安堵感やくつろぎ感を感じることができ、しかも設置場所周辺の壁などに熱による損傷を与えることがなく、かつ設置が容易である炎観賞装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、可燃ガスを燃焼したときの火炎を観賞する炎観賞装置であり、その特徴とするところは、燃焼室を形成するようにその周囲に配置され、少なくとも一部にガラス窓を形成した第1周壁部と、この第1周壁部で囲まれた前記燃焼室の下部に設置されたガス燃焼バーナと、前記第1周壁部に対し間隔を開けてその外側に設置され、前記第1周壁部の前記ガラス窓に対峙する位置にガラス窓を形成した第2周壁部と、前記第2周壁部の下端部に密封状態で接続され、前記ガス燃焼バーナに可燃ガスを供給するガス供給装置を納める機械室を画成する下部ケーシングと、前記第1周壁部の上端部に周囲縁部が密封状態で接続され、該第1周壁部で囲まれる前記燃焼室の上部を覆うフードと、前記第2周壁部の上端部に周囲縁部を密封状態で接続されて前記フード全体を覆うと共に、前記第1周壁と前記第2周壁との間隔に連通する頂部空間を形成する頂部カバーと、前記頂部カバーを通して前記フードに接続された排気ダクトと、前記頂部カバーに接続され、前記頂部空間に連通する給気ダクトとを備え、前記給気ダクトにより前記頂部空間に導入される空気が、前記フードの外表面を冷却し、前記第1周壁と前記第2周壁との間隔を空気流路として通過して前記機械室に流れることにより前記両周壁部にそれぞれ形成された前記ガラス窓と前記機械室内の前記ガス供給装置を冷却し、前記機械室に流れ込んだ前記空気が、前記ガス燃焼バーナによる前記可燃ガスの燃焼用酸素として使用されると共に燃焼時の火炎の揺らぎを防ぐ。
【0013】
本発明に係る炎観賞装置の一実施態様としては、前記炎観賞装置が、前記フード内の排気用空間に配置された整流板を備え、この整流板が、前記ガス燃焼バーナによる前記可燃ガスの燃焼時に発生する燃焼ガスを通過させる多数の穴を備え、前記燃焼ガスをほぼ真っ直ぐ上昇させるように整流する。
【0014】
本発明に係る炎観賞装置の他の実施態様としては、前記燃焼室に配置された装飾用プレートを備え、前記ガス燃焼バーナが、この装飾用プレートに形成された開口部に、その内縁と間隔を開けるように配置され、該間隔が、前記機械室に流れ込む空気を通過させて、前記ガス燃焼バーナのガス噴出穴から立ち上がる炎の揺らぎを抑制する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の炎観賞装置によれば、燃焼室上部のフードと頂部カバーと間の頂部空間に給気ダクトから供給された空気が、フードとこれを覆う頂部カバーとを冷却すると共に、ガラス窓を備える第1周壁部と第2周壁部との間の空気流路を通過して機械室内に流れる際に第1周壁部と第2周壁部とにそれぞれ形成されたガラス窓も冷却し、これにより、頂部カバー、フード及びガラス窓それぞれの温度上昇を防止することができることから、この炎観賞装置を室内のいずれの場所にでも設置でき、しかも観賞者などが誤ってガラス窓に手を触れたりしても熱傷などを負うことがない。
【0016】
また、本発明の炎観賞装置によれば、フード内の排気用空間に、多数の穴を備える整流板が設置されていることにより、ガス燃焼バーナでの可燃ガス燃焼時に排気ダクトに直接向かう上昇流の発生を防止できるので、ガス燃焼バーナでの可燃ガス燃焼時に生成されるそれぞれの炎がほぼ垂直に立ち上がり、しかも揺らぎのない炎となる。
【0017】
さらに、本発明の炎観賞装置によれば、空気流路から機械室に流れ込んだ空気がこの機械室から装飾用プレートの開口部内縁とガス燃焼バーナ周囲との間の間隔を通過して上方へ流れることから、ガス燃焼バーナでの可燃ガス燃焼時に生成される炎廻りへの空気の流入が均一になり、これによりガス燃焼バーナによる可燃ガスの燃焼が安定し、「炎のあばれ」と言われる現象を軽減することができ、さらに、頂部空間に空気を供給する給気ダクトを炎観賞装置が設置されている部屋の外に延ばすことによりこの炎観賞装置を設置している室内の圧力が変化しても燃焼室に供給される空気量に変動を起こすことがなく、ガス燃焼バーナによる可燃ガス燃焼時の不完全燃焼の発生を低減でき、スス等の発生を防ぐと共に安定した炎の生成を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態の炎観賞装置を概略的に示す斜視図。
【図2】図1の炎観賞装置を2−2線で切断して示す縦断面図。
【図3】図1の炎観賞装置を3−3線で切断して示す縦断面図。
【図4】図3の炎観賞装置を4−4線で切断して示す水平断面図。
【図5】従来の炎観賞装置の構造を簡略的に示す構成説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の炎観賞装置を添付の図に示された好適な実施形態についてさらに詳細に説明する。本発明の一実施形態に係る炎観賞装置20は、ガス燃焼バーナで可燃ガスが燃焼しているときの火炎を観賞する装置であり、基本的には暖を採るものではない。この炎観賞装置20は、燃焼室21を形成するように該燃焼室21の周囲に配置された第1周壁部22と、この第1周壁部22で囲まれた燃焼室21の下部に設置されたガス燃焼バーナ23と、第1周壁部22に対し間隔を開けてその外側に設置された第2周壁部24とを備えている。
【0020】
内側に位置する第1周壁部22は、平面的に見てほぼ四角形状に形成され、4つの壁面それぞれには、耐火性のガラス板25を開口部に嵌め込んでなる第1ガラス窓26が形成されている。また、第1周壁部22の外側に位置する第2周壁部24は、第1周壁部22と同様に平面的に見てほぼ四角形状に形成され、4つの壁面それぞれには、第1周壁部22の第1ガラス窓26に対峙する位置に第2ガラス窓27が形成され、この第2ガラス窓27も耐火性のガラス板25を開口部に嵌め込んで構成されている。かかる炎観賞装置20の構成は、単なる一例であって、この炎観賞装置20を設置する場所や種々の条件によって各周壁部に形成されるガラス窓が1〜3つになる場合もある。
【0021】
これにより、燃焼室21は、内側の第1周壁部22とこれに近接する外側の第2周壁部24とによる二重の周壁により囲まれ、従って、これら各周壁部22,24に形成された第1ガラス窓26と第2ガラス窓27とは実質的に二重ガラス構造を形成していることになる。その結果、この炎観賞装置20では、外側の第2周壁部24に形成されている4つの第2ガラス窓27から内側の第1周壁部22に形成されている第1ガラス窓26を介して燃焼室21内を見ることができる。
【0022】
外側に位置する第2周壁部24の下端部には、下部ケーシング30が配置され、この下部ケーシング30により燃焼室21の直下に機械室29が形成されている。この機械室29には、ガス燃焼バーナ23に可燃ガスを供給するガス供給装置28や他の必要な機器(図示せず)が納められている。下部ケーシング30は、上部開放の容器状を呈し、各壁板のそれぞれ上縁部が外側の第2周壁部24の下端部に密封的に連結されている。従って、第1周壁部22と第2周壁部24との間隔31は、下部ケーシング30で形成された機械室29内に連通している。
【0023】
他方、第1周壁部22で囲まれる燃焼室21の上部には、この燃焼室21を覆うようにフード32が配置され、このフード32の外周縁部は、内側の第1周壁部22の上端部に密封的に連結されている。フード32は、金属板の外側に断熱材を張り付けて構成され、燃焼室11内を上昇する燃焼ガスがこのフード32内の一箇所に集まるように逆漏斗状を呈し、従ってその内側は、燃焼ガスを集めて排気するための排気用空間33として作用している。フード32の最も高い位置、即ち逆漏斗状の頂部には、燃焼ガスを排出するための排気穴34が形成され、この排気穴34の外周部から外側に立ち上がるように管状部35が形成されている。
【0024】
フード32の外側には、このフード32と間隔を開けるように頂部カバー36が配置されている。この頂部カバー36は、第2周壁部24の上端部に周囲縁部を密封状態で接続してフード32の全体を覆うと共に、該フード32との間に頂部空間37を形成する。従って、この頂部空間37は、第1周壁22と第2周壁24との間隔31に連通することになる。この頂部カバー36の内面適所は、フード32における排気穴34の外側周囲から立ち上がった管状部35の端面に当接し、その位置には排気ダクト38を接続するための接続穴が形成されている。排気ダクト38の一端部38aは、この接続穴に連結されている。排気ダクト38の他端部38bは、図3に示されるようにこの炎観賞装置20が設置されている室内と室外を仕切っている壁39に形成された挿通口40に嵌合されるか、或いはこの挿通口40から屋外に飛び出している。
【0025】
ところで、前述したように、外側に位置する第2周壁部24と、その下端に配置された下部ケーシング30と、さらに第2周壁部24の上端に配置された頂部カバー36とによりこの炎観賞装置20の筐体が構成される。かかる筐体は、前述したように第2周壁部24の下端部に下部ケーシング30が、また上端部に頂部カバー36がそれぞれ封密的に接続されているので、その筐体は完全な密封構造に形成されており、従って、この炎観賞装置20が設置される室内の空気が筐体内に入り込むこともなく、また給気ダクトから筐体の内側である頂部空間37に導入された空気が筐体から漏れ出ることもない。
【0026】
排気ダクト38の途中には、図3に示されるように排気ファン41が設置され、フード32内の燃焼ガスは、排気ダクト38を介して強制的に室外に排気される。他方、頂部カバー36には、前述した頂部空間37に空気を供給するための給気ダクト42の一端部42aが頂部カバー36に形成された接続穴に嵌合するように取り付けられている。給気ダクト42の他端部42bは、排気ダクト38と同様に壁39に形成された挿通口40に嵌合されるか、或いはこの挿通口40から屋外に飛び出している。
【0027】
フード32の内側、即ち排気用空間33には、ほぼ四角形の整流板43がほぼ水平に配置されている。すなわち、整流板43は、燃焼室21の上方に位置し、図2及び図3から明らかなようにガス燃焼バーナ23により生成される多数の火炎が整列する方向(図1及び図3に矢印Xで示す方向)に直交する方向(図1及び図2に矢印Yで示す方向)側の端部が、フード32の内面にほぼ当接すると共にブラケットなどにより該フード32に連結されている。整流板43における多数の火炎が整列する方向Xに沿う方向の両端部は、図3に示されるようにフード32の内面と若干の隙間を開けている。この整流板43には、多数の穴43aが形成されている。これらの穴43a及び上記隙間は、ガス燃焼バーナ23での可燃ガスの燃焼による燃焼ガスの上昇流を整流するものであり、この整流板43の作用及び効果は、後述する炎観賞装置20の動作説明で詳しく説明する。
【0028】
燃焼室21の下部、即ち内側の第1周壁部22に形成されている第1ガラス窓26の下縁とほぼ同じ水平位置に矩形状の装飾用プレート44が配置され、この装飾用プレート44は、機械室29の上部に配置された台板45により支持されている。すなわち、装飾用プレート44は、燃焼室21の平面形状よりもやや小さく、その外周部が図4に示されるように第1周壁部22との間に間隔46をあけるように配置され、台板45上に取り付けた支持脚47により支持されている。この台板45には空気通過用の多数の開口45aが形成され、その外周部が、第1周壁部22の下端に結合されて機械室29の上部に位置するように堅固に支持されている。装飾用プレート44の中央部には、該プレート44の平面形状に相似する形の開口部48が形成され、この中央開口部48にはガス燃焼バーナ23が配置されている。
【0029】
ガス燃焼バーナ23は、台板45に適切な支持部材により支持されている。ガス燃焼バーナ23の構造は、既に公知のものであるので、その詳細な説明は省略するが、基本的には、図4に示されるように炎観賞装置20の長さ方向(図の矢印Xで示す方向)に延びる細長い管23aに多数のガス噴出穴23bがほぼ一列に整列して形成されたもので、各ガス噴出穴23bから出る可燃ガスが燃焼して火炎49が生成される。
【0030】
かかるガス燃焼バーナ23は、台板45より下側の機械室29内に収納されたガス供給装置28にガス供給管などによって連通され、これにより可燃ガスがガス燃焼バーナ23に供給される。ガス燃焼バーナ23に供給される可燃ガスは、多数のガス噴出穴23bから噴出して燃焼し、多数の火炎49が生成される。このガス燃焼バーナ23が配置される装飾用プレート44の中央開口部48は、その内周縁とガス燃焼バーナ23との間に空気の通過を可能する程度の間隔50を開ける大きさにより形成されている。装飾用プレート44の表面には、多数の石51が装飾として配置されている。しかし、装飾用プレート44上の石51は、かならず配置されなければならないものではなく、あくまで美観上の問題であるので石の配置は必須の要件ではない。
【0031】
次に、炎観賞装置20の動作について説明する。装飾用プレート44に形成された中央開口部48にガス管23aを配置したガス燃焼バーナ23は、自動着火装置を備えていて、この自動着火装置のスイッチを入れることによりガス供給装置28のガス供給弁が開放されてガス燃焼バーナ23の各ガス噴出穴23bから出る可燃ガスに点火され、これにより火炎49が生成される。ガス燃焼バーナ23で可燃ガスが燃焼され始めると、燃焼ガスは、排気用空間33に向かって上昇し、整流板43の各穴43aを通過してその上部の排気穴34に向かい、排気ダクト38を通って屋外に排気される。同時に、屋外の空気は給気ダクト42を通って頂部カバー36内の頂部空間37に入る。この頂部空間37に入った空気は、フード32を冷却し、その後、フード32の全外周囲から第1周壁部22と第2周壁部24との間の間隔31を通って下方へ流れ、機械室29に入る。すなわち、この頂部空間37に導入された空気は、第1周壁部22と第2周壁部24との間隔31を空気流路として機械室29へ向かって流れる。
【0032】
機械室29に流れ込んだ空気は、該機械室29に設置されているガス供給装置28を含めて他の機器を冷却し、さらに台板45に形成されている多数の開口45aから台板45の上方に入り、ガス燃焼バーナ23による可燃ガス燃焼時の酸素供給に利用されると共に、第1周壁部22の内面と装飾用プレート44の外周縁との間の間隔46や、ガス燃焼バーナ23の周囲部と装飾用プレート44の中央開口部48内周縁との間の間隔50から上方に向かって流れ、燃焼ガスの上昇流と共に整流板43の多数の穴43aを通って排気穴34に集まり、排気ダクト38を介して屋外に排気される。
【0033】
このように、ガス燃焼バーナ23により可燃ガスの燃焼が始まると、頂部カバー36内の頂部空間37に流入する空気は、フード32及び頂部カバー36を冷却し続け、さらに第1周壁部22と第2周壁部24との間隔31即ち空気流路を流れ続けるので、これら周壁部22,24に形成されている第1ガラス窓26と第2ガラス窓27とのガラス板25も常時冷却される。その結果、特に、外側の第2周壁部24に形成されている第2ガラス窓27のガラス板25は、第1ガラス窓26との間の間隔31が空気層となって燃焼室21からの熱の伝搬が遮断されると共に、この間隔31を空気流路として流れる空気により冷却されるので、炎観賞装置20の外側から観賞者などが誤って第2ガラス窓27のガラス板25に手を触れたとしても熱傷などの危険を避けることができる。
【0034】
また、第1周壁部22と第2周壁部24との間の間隔31即ち空気流路を通過し、機械室29に入り込んだ空気は、さらに台板45に形成された多数の開口45aを通過し、装飾用プレート44の外周廻りの間隔46と、装飾用プレート44の中央開口部48に配置されたガス燃焼バーナ23の周囲廻りの間隔50とから燃焼室21内へ向かって流れることから、ガス燃焼バーナ23により生成される火炎49をこの空気流で包囲することになるため「炎のあばれ」と言われる現象の軽減や炎の揺らぎの発生を防ぐことができ、観賞用として非常に安定した穏やかで優しい炎を生成することができる。
【0035】
さらに、ガス燃焼バーナ23による可燃ガスの燃焼により発生する燃焼ガスは、上方の整流板43に向かって真っ直ぐ上昇し、多数の穴43aを通過した後に排気穴34に向かって集束するので、この整流板43の存在によってもガス燃焼バーナ23により生成される火炎49の揺らぎを防ぐことができ、穏やかに燃焼する火炎49の様子によって観賞者に安らぎを与えることができる。すなわち、もし、整流板43が存在しなかった場合には、フード32が逆漏斗状になっているためにガス燃焼バーナ23から立ち上がる燃焼ガスは、直ちに排気穴34の位置に向かって流れるので、特に、ガス燃焼バーナ23におけるガス管23aの長さ方向両端側に形成されているガス噴出穴23bにより生成される可燃ガスの火炎49は、燃焼室21の中央側に傾くような状態となり、火炎49の大きな揺らぎや、「炎のあばれ」の発生を招くことになる。しかし、整流板43を設置することで、燃焼ガスの上昇が整流板43までほぼ垂直に上昇するので、ガス燃焼バーナ23のガス管23aにおけるいずれのガス噴出穴23bで生成される火炎49について揺らぎや炎のあばれを起こすことがない。
【0036】
さらにまた、この炎観賞装置20では、前述したように給気ダクト42を備えているので、この給気ダクト42により炎観賞装置20を設置している室外、若しくは屋外から空気を取り込むことができるため、室内の空気を取り込む従来の炎観賞装置に比較して室内の圧力が変化したときの取り込み空気量の変動を防ぐことができ、そのため不完全燃焼も起こらず、従ってススの発生も防ぐことができ、この点でも観賞用の美しい火炎49を生成することができる。
【0037】
以上説明したように、本発明の炎観賞装置によれば、フードの上方における頂部空間に給気ダクトから導入された空気がフードと頂部カバーとを冷却するので、炎観賞装置の頂部が加熱されることがなく、従って炎観賞装置を室内のいずれの場所にでも設置できる。また、本発明の炎観賞装置では、頂部空間に空気を導入すべく給気ダクトが頂部カバーに接続されるので、空気ダクトの筐体への取付けが非常に容易である。さらに、本発明の炎観賞装置では、頂部空間に導入された空気が、下降流となって第1周壁部と第2周壁部との間の空気流路を通過して機械室に流れ込むように構成されているので、第1周壁部及び第2周壁部を効果的に冷却することができる。特に、第1周壁部と第2周壁部との間の空気流路は非常に狭いため、該空気流路を流れる空気の速度が大きくなることから一層その冷却効果が高くなる。その結果、第2ガラス窓の温度上昇が防止され、この炎観賞装置を室内に設置したとき、観賞者などが誤って第2ガラス窓に手を触れたりしても熱傷を負うことがない。
【0038】
また、本発明の炎観賞装置によれば、頂部空間から下降流となって第1周壁部と第2周壁部との間の間隔を通り機械室に流れ込んだ空気は、機械室に収納されているガス供給装置など種々の機器を冷却し、さらにガス燃焼バーナでの可燃ガス燃焼時の酸素として用いられると共にガス燃焼バーナの下側からガス管周辺部を通過して上方へ流れるので、ガス燃焼バーナで生成される火炎がこの空気流により包囲される結果、火炎の揺らぎや暴れが起こらず、炎の形態が安定し、観賞用として好適な炎を生成することができる。このように、本発明の炎観賞装置では、筐体内に給気ダクトによる空気の取り込み方、及びその空気の流し方を工夫することにより、この種の炎観賞装置における種々の問題点を解決することができる。
【符号の説明】
【0039】
20 炎観賞装置
21 燃焼室
22 第1周壁部
23 ガス燃焼バーナ
23a ガス管
23b ガス噴出穴
24 第2周壁部
25 ガラス板
26 第1ガラス窓
27 第2ガラス窓
28 ガス供給装置
29 機械室
30 下部ケーシング
31 間隔(空気流路)
32 フード
33 排気用空間
36 頂部カバー
37 頂部空間
38 排気ダクト
42 給気ダクト
43 整流板
44 装飾用プレート
48 中央開口部
49 火炎(炎)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃ガスを燃焼したときの火炎を観賞する炎観賞装置において、
燃焼室を形成するようにその周囲に配置され、少なくとも一部にガラス窓を形成した第1周壁部と、この第1周壁部で囲まれた前記燃焼室の下部に設置されたガス燃焼バーナと、前記第1周壁部に対し間隔を開けてその外側に設置され、前記第1周壁部の前記ガラス窓に対峙する位置にガラス窓を形成した第2周壁部と、前記第2周壁部の下端部に密封状態で接続され、前記ガス燃焼バーナに可燃ガスを供給するガス供給装置を納める機械室を画成する下部ケーシングと、前記第1周壁部の上端部に周囲縁部が密封状態で接続され、該第1周壁部で囲まれる前記燃焼室の上部を覆うフードと、前記第2周壁部の上端部に周囲縁部を密封状態で接続されて前記フード全体を覆うと共に、前記第1周壁と前記第2周壁との間隔に連通する頂部空間を形成する頂部カバーと、前記頂部カバーを通して前記フードに接続された排気ダクトと、前記頂部カバーに接続され、前記頂部空間に連通する給気ダクトとを備え、
前記給気ダクトにより前記頂部空間に導入される空気が、前記フードの外表面を冷却し、前記第1周壁と前記第2周壁との間隔を空気流路として通過して前記機械室に流れることにより前記両周壁部にそれぞれ形成された前記ガラス窓と前記機械室内の前記ガス供給装置を冷却し、前記機械室に流れ込んだ前記空気が、前記ガス燃焼バーナによる前記可燃ガスの燃焼用酸素として使用されると共に燃焼時の火炎の揺らぎを防ぐ炎観賞装置。
【請求項2】
前記炎観賞装置が、前記フード内の排気用空間に配置された整流板を備え、この整流板が、前記ガス燃焼バーナによる前記可燃ガスの燃焼時に発生する燃焼ガスを通過させる多数の穴を備え、前記燃焼ガスをほぼ真っ直ぐ上昇させるように整流する請求項1に記載の炎観賞装置。
【請求項3】
前記炎観賞装置が、前記燃焼室に配置された装飾用プレートを備え、前記ガス燃焼バーナが、この装飾用プレートに形成された開口部に、その内縁と間隔を開けるように配置され、該間隔が、前記機械室に流れ込む空気を通過させて、前記ガス燃焼バーナのガス噴出穴から立ち上がる炎の揺らぎを抑制する請求項1又は2に記載の炎観賞装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−80701(P2011−80701A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233735(P2009−233735)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(591148174)日精オーバル株式会社 (8)
【出願人】(392010120)株式会社メトス (3)