説明

炭化ケイ素粉末の製造方法及び炭化ケイ素粉末

【課題】平均粒子径が50nm以下でありかつ粒度分布の幅が狭い炭化ケイ素粉末を工業的規模で安価に製造することが可能な炭化ケイ素粉末の製造方法及び炭化ケイ素粉末を提供する。
【解決手段】本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法は、炭素源及びケイ素源を混合した混合物からなる炭化ケイ素前駆体を、不活性雰囲気中にて熱処理し、さらに酸化性雰囲気中にて熱処理し、得られた炭化ケイ素含有物をフッ化水素酸または強塩基性溶液を用いて洗浄し、この炭化ケイ素含有物に含まれる不純物を除去し、平均粒子径が50nm以下でありかつ粒度分布の幅が狭い炭化ケイ素粉末を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化ケイ素粉末の製造方法及び炭化ケイ素粉末に関し、更に詳しくは、平均粒子径が50nm以下でありかつ粒度分布の幅が狭い炭化ケイ素粉末を工業的規模で安価に製造することが可能な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、炭化ケイ素粉末は、主にアソチン法等の酸化ケイ素と炭素を高温で反応させる方法により作製されているが、この方法では、平均粒子径がサブミクロン以下の炭化ケイ素粉末を得ることが難しい。それ故に、平均粒子径がサブミクロンよりも小さいナノ粒子は、工業的には、気相熱分解反応により作製されている。
【0003】
一方、微細かつ高純度の炭化ケイ素粉末を製造する方法としては、ケイ素と炭素とを含む原料を非酸化性雰囲気で加熱して単相のβ型炭化ケイ素粉末を製造する際に、原料として、常温で液状のケイ素化合物と、官能基を有し加熱により炭素を生成する常温で液状の有機化合物と、少なくとも前記有機化合物と均一に溶化する重合または架橋触媒とを含む液が、重合または架橋反応により分子的に均一に混合して得られたケイ素、酸素及び炭素を含む前駆体物質を用いる方法が提案されでおり、この方法で得られる炭化ケイ素粉末の粒径は0.15〜0.20μmである(特許文献1)。
【特許文献1】特公平1−42886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の気相熱分解反応にて得られた炭化ケイ素粒子の平均粒子径は、20nmから40nm程度であるが、粒度分布が広いために、平均粒子径が20nmであっても50nm以上の粒子も多く含まれており、粒度分布の幅が狭いナノメートル級の炭化ケイ素粉末を得ることができないという問題点があった。
また、この炭化ケイ素粒子は、粒子同士の凝集が強いために他の材料と混合して使用する場合、ほとんどがサブミクロン級以上の大きさの凝集体となってしまい、ナノ粒子としての特性が得られ難くなるという問題点があった。また、気相であり危険物でもある原料を使用するため、製造コストが高くなってしまうという問題点もあった。
【0005】
一方、原料にケイ素、酸素及び炭素を含む前駆体物質を用いる方法では、確かに、微細かつ均一な炭化ケイ素粉末を得ることができるが、その平均粒子径は小さいものでも100nm程度であり、平均粒子径が50nm以下の炭化ケイ素粉末を得ることは非常に難しいという問題点があった。また、前駆体物質を加熱する際の温度を低くすることにより、粉末中の結晶子の径を数10nm程度にすることができるが、結晶子を分離して単一の粒子として取り出すことは極めて難しく、やはり、粒度分布の幅が狭いナノメートル級の炭化ケイ素粉末を得ることができないという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、平均粒子径が50nm以下でありかつ粒度分布の幅が狭い炭化ケイ素粉末を工業的規模で安価に製造することが可能な炭化ケイ素粉末の製造方法及び炭化ケイ素粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、炭素源及びケイ素源を混合して炭化ケイ素前駆体とし、この炭化ケイ素前駆体を不活性雰囲気中にて熱処理し、さらに酸化性雰囲気中にて熱処理し、得られた炭化ケイ素含有物から不純物を除去すれば、平均粒子径が50nm以下でありかつ粒度分布の幅が狭い炭化ケイ素粉末を、工業的規模で安価に得ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法は、炭素源及びケイ素源を含む炭化ケイ素前駆体を不活性雰囲気中にて熱処理し、さらに酸化性雰囲気中にて熱処理し、得られた炭化ケイ素含有物から不純物を除去し炭化ケイ素粉末とすることを特徴とする。
【0009】
前記不活性雰囲気中における熱処理温度は、1200℃以上かつ1700℃以下であることが好ましい。
前記酸化性雰囲気中における熱処理温度は、500℃以上かつ1600℃以下であることが好ましい。
【0010】
前記炭素源とケイ素源を混合してなる混合物に炭化処理を施し、前記炭化ケイ素前駆体とすることとしてもよい。
前記炭化ケイ素含有物をフッ化水素酸または強塩基性溶液を用いて洗浄し、この炭化ケイ素含有物に含まれる不純物を除去することが好ましい。
【0011】
本発明の炭化ケイ素粉末は、本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法により得られた炭化ケイ素粉末であって、平均粒子径が50nm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法によれば、炭素源及びケイ素源を含む炭化ケイ素前駆体を不活性雰囲気中にて熱処理し、さらに酸化性雰囲気中にて熱処理し、得られた炭化ケイ素含有物から不純物を除去するので、平均粒子径が50nm以下でありかつ粒度分布の幅が狭い炭化ケイ素粉末を、工業的規模で安価かつ簡便に製造することができる。
また、炭化ケイ素前駆体を熱処理するので、従来の気相熱分解反応に比べて反応を均一に進行させることができる。したがって、微細かつ均一な粒子を容易に得ることができる。
【0013】
本発明の炭化ケイ素粉末によれば、平均粒子径が50nm以下でありかつ粒度分布の幅が狭い(最大粒子径が平均粒子径の2.5倍以下)炭化ケイ素粉末を容易かつ安価に提供することができる。
また、この炭化ケイ素粉末は、溶液中への分散が容易であるから、分散媒に対する分散性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法及び炭化ケイ素粉末を実施するための最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0015】
本実施形態の炭化ケイ素粉末の製造方法は、炭素源及びケイ素源を含む炭化ケイ素前駆体を不活性雰囲気中にて熱処理し、さらに酸化性雰囲気中にて熱処理し、得られた炭化ケイ素含有物から不純物を除去し、炭化ケイ素粉末とする方法である。
この炭化ケイ素前駆体は、炭素源とケイ素源を混合した混合物、この混合物に炭化処理を施した炭化処理物、のいずれかである。
【0016】
以下、本実施形態の炭化ケイ素粉末の製造方法について詳細に説明する。
まず、炭素源及びケイ素源を混合する。
炭素源としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等の固体の炭素も使用できるが、液状のものでしかも加熱した際の残炭率が高い有機化合物、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等の樹脂のモノマーやプレポリマーが好適に用いられる。
その他、セルロース、しょ糖、ピッチ、タール等も使用可能である。
【0017】
ケイ素源としては、固体状、液状のいずれであってもよく、固体状のものとしては、例えば、シリカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部に水酸基(OH−)やアルコキシル基を含む)、二酸化ケイ素(シリカゲル、微細シリカ、石英粉末)等が挙げられる。これらの固体状のものを炭素源と均一に混合させるためには、微細な粒子径の粉末を使用することが好ましい。
また、液状のものとしては、例えば、ケイ酸アルカリ水溶液を酸分解または脱アルカリすることにより得られたもの、例えば、水ガラスの脱アルカリにて得られたケイ酸ポリマー、水酸基(OH−)を有する有機化合物とケイ酸のエステル、テトラエトキシシラン(Si(OC)、テトラメトキシシラン(Si(OCH)等の加水分解性を有するケイ酸化合物と有機化合物または有機金属化合物とのエステル、等が挙げられる。
【0018】
これら炭素源及びケイ素源を混合する際の混合割合としては、特に制限は無いが、ケイ素源が多いと熱処理後に酸化ケイ素が多く残存し、一方、炭素源が多いと炭素が多く残存し、いずれにしても一方が過多になると得られる炭化ケイ素の品質及び形状に悪影響を及ぼすために、炭素源及びケイ素源のモル比(C/Si)は、1以上かつ4以下が好ましい。
【0019】
これら炭素源及びケイ素源を混合する手段としては、特に制限は無いが、通常用いられているホモジナイザー(乳化器)、超音波分散装置、ビーズミル、ボールミル、遊星式ボールミル等の湿式混合装置、アルティマイザー等の二流衝突式混合装置等を適宜使用することができる。この混合の際に、固体状のケイ素源を均一に分散させるための分散剤等を適宜用いてもよい。
【0020】
これら炭素源及びケイ素源を混合してなる混合物は、液状であっても固体状であっても良いが、液状である場合には、後述する熱処理の前に硬化させて固体状にしておくことが好ましい。固体状にする方法としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱により架橋する方法、硬化触媒により硬化する方法、電子線や放射線、超音波等により硬化する方法等が挙げられる。
これにより、炭素源とケイ素源を混合した混合物からなる炭化ケイ素前駆体が得られる。
【0021】
この混合物に後述する熱処理を施す前に、炭化処理を行ってもよい。
炭化処理としては、例えば、アルゴン(Ar)や窒素ガス(N)等の不活性雰囲気中、800℃以上かつ1200℃以下、好ましくは900℃以上かつ1100℃以下の温度範囲にて、1分以上かつ4時間以下、好ましくは30分以上かつ2時間以下保持することが好ましい。
この炭化処理により、混合物中の炭素源及びケイ素源の一部が炭化し、炭素源及びケイ素源を含む炭化処理物からなる炭化ケイ素前駆体が得られる。
【0022】
次いで、炭化ケイ素前駆体に含まれる炭素源とケイ素源とを反応させて炭化ケイ素を生成させるために、この炭化ケイ素前駆体を不活性雰囲気中にて熱処理する。
この不活性雰囲気としては、アルゴン(Ar)、窒素ガス(N)等の不活性ガス雰囲気が好ましい。
この不活性雰囲気中における熱処理温度は、1200℃以上かつ1700℃以下が好ましく、より好ましくは1400℃以上かつ1600℃以下である。また、この熱処理温度における保持時間は、1分以上かつ4時間以下、好ましくは30分以上かつ2時間以下である。
【0023】
ここで、不活性雰囲気における熱処理温度を1200℃以上かつ1700℃以下としたのは、熱処理温度が1200℃より低いと、炭素源とケイ素源とが充分に反応せず、一方、熱処理温度が1700℃より高いと、得られる炭化ケイ素の粒子径が大きくなり過ぎてしまい、平均粒子径が50nm以下でありかつ粒度分布の幅が狭い(最大粒子径が平均粒子径の2.5倍以下)炭化ケイ素粉末が得られなくなるからである。
【0024】
この熱処理の後、生成した炭化ケイ素の分散を容易にするとともに、残留する未反応の炭素(遊離炭素)を焼成し取り除くために、さらに酸化性雰囲気中にて熱処理する。
この酸化性雰囲気としては、大気の他、酸素ガスを19〜23体積%含む窒素ガス(N)等が好ましい。
この酸化性雰囲気中における熱処理温度は、500℃以上かつ1600℃以下が好ましく、より好ましくは600℃以上かつ900℃以下である。また、この熱処理温度における保持時間は、熱処理温度にもよるが、1分以上かつ4時間以下、好ましくは1時間以上かつ2時間以下である。
【0025】
ここで、酸化性雰囲気における熱処理温度を500℃以上かつ1600℃以下としたのは、熱処理温度が500℃より低いと、生成した炭化ケイ素の分散効果が小さく、また、未反応の炭素が焼成されないで残ってしまうからである。熱処理温度が500℃より高くなるにしたがって炭化ケイ素の分散が容易になり、残留する炭素も少なくなるが、熱処理温度が1600℃を越えると、炭化ケイ素が酸化して酸化ケイ素となる割合が高くなるので、好ましくない。
これにより、生成した炭化ケイ素微粒子を含む炭化ケイ素含有物が得られる。
【0026】
次いで、この炭化ケイ素含有物から不純物を除去し、炭化ケイ素粉末を得る。
不純物を除去する方法としては、この炭化ケイ素含有物をフッ化水素酸または強塩基性溶液を用いて洗浄し、この炭化ケイ素含有物に含まれる未反応の酸化ケイ素等の不純物を除去する方法が好ましい。
強塩基性溶液としては、2N〜8Nの水酸化ナトリウム水溶液、2N〜8Nの水酸化カリウム水溶液等が好適である。
この洗浄の際に、必要に応じて強塩基性溶液を加熱してもよい。強塩基性溶液を加熱することにより、この強塩基性溶液と炭化ケイ素含有物との反応が促進され、不純物が効率良く除去される。
【0027】
このようにして得られた炭化ケイ素粉末は、平均粒子径が50nm以下でありかつ粒度分布の幅が狭いものになっている。
ここで、「粒度分布の幅が狭い」とは、粒度分布の最大粒子径と平均粒子径を比較した場合に、最大粒子径が平均粒子径の2.5倍以下となることであり、最大粒子径を平均粒子径の2.5倍以下とすることにより、ナノ粒子としての特性を発現することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0029】
[実施例1]
ケイ素源としてテトラエトキシシラン(Si(OC)、炭素源としてレゾール型フェノール樹脂を用い、テトラエトキシシラン(Si(OC)103gとレゾール型フェノール樹脂52gと純水35gを重合触媒と共に60℃にて攪拌混合してゲルを得た。得られたゲルを120℃にて乾燥し、茶褐色の固体を得た。
【0030】
次いで、この茶褐色の固体を窒素雰囲気中、1000℃にて2時間、炭化処理を行い、酸化ケイ素と炭素が均一に混合した炭化ケイ素前駆体を得た。この前駆体のC/Si比は3.1であった。
次いで、得られた炭化ケイ素前駆体をアルゴン雰囲気中、1600℃にて2時間、熱処理を行い、遊離炭素を21重量%、酸化ケイ素を16重量%含む炭化ケイ素含有体を得た。
【0031】
次いで、この炭化ケイ素含有体から10gを採取し、酸化性雰囲気中、800℃にて2時間熱処理を行った。この熱処理過程で遊離炭素が燃焼して重量が減少し、8gとなった。
次いで、これを5mol/Lの水酸化カリウム水溶液300gに浸し、100℃にて2時間加熱し、その後、遠心分離により固形分を取り除き、さらに純水による洗浄を行い、5gの粉末を得た。
【0032】
この粉末について、X線回折による相の同定を行ったところ、β型の炭化ケイ素(β−SiC)であった。
この粉末を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、平均粒子径は20nm、最大粒子径は30nmであった。
【0033】
[実施例2]
ケイ素源として平均粒子径が7nmの酸化ケイ素粉末、炭素源として液状の水溶性レゾール型フェノール樹脂を用い、この酸化ケイ素粉末31gと水溶性レゾール型フェノール樹脂33gを純水500g中にて混合し、100℃にて加熱しながら撹拌し、水分を蒸発させてゲル化した。得られたゲルを120℃にて乾燥し、白褐色の固体を得た。
【0034】
次いで、この白褐色の固体を窒素雰囲気中、1000℃にて2時間、炭化処理を行い、酸化ケイ素と炭素が均一に混合した炭化ケイ素前駆体を得た。この前駆体のC/Si比は1.9であった。
次いで、得られた炭化ケイ素前駆体をアルゴン雰囲気中、1600℃にて2時間、熱処理を行い、遊離炭素を9重量%、酸化ケイ素を24重量%含む炭化ケイ素含有体を得た。
【0035】
次いで、この炭化ケイ素含有体から1.2gを採取し、酸化性雰囲気中、800℃にて2時間熱処理を行った。この熱処理過程で遊離炭素が燃焼して重量が減少し、1.1gとなった。
次いで、これを50V/V%のフッ化水素酸溶液20gに浸し、12時間静置した後、遠心分離により固形分を取り除き、さらに純水による洗浄を行い、0.4gの粉末を得た。
【0036】
この粉末について、X線回折による相の同定を行ったところ、β型の炭化ケイ素(β−SiC)であった。
この粉末を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、平均粒子径は10nm、最大粒子径は20nmであった。
【0037】
[比較例1]
実施例2と同様の方法にて作製した炭化ケイ素前駆体をアルゴン雰囲気中、1750℃にて2時間、熱処理を行ったところ、遊離炭素が1重量%以下、酸化ケイ素が2重量%以下である炭化ケイ素粉末を得た。
この粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は150nm、最大粒子径は300nmであった。
【0038】
[比較例2]
周波数が約4MHzの高周波により励起されたアルゴン熱プラズマ中に、モノシランガス(SiH)とエチレンガス(C)を導入し、反応系の圧力を260torrに制御しつつ気相反応させて炭化ケイ素粉末を得た。
この粉末を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、平均粒子径は40nm、最大粒子径は120nmであった。
実施例1、2及び比較例1、2各々の平均粒子径及び最大粒子径を表1にまとめてある。
【0039】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法は、炭素源及びケイ素源を含む炭化ケイ素前駆体を不活性雰囲気中にて熱処理し、さらに酸化性雰囲気中にて熱処理し、得られた炭化ケイ素含有物から不純物を除去することで、平均粒子径が50nm以下でありかつ粒度分布の幅が狭い炭化ケイ素粉末を、工業的規模で安価かつ簡便に製造することを可能にしたものであるから、粒度分布の幅が狭いナノメートル級の炭化ケイ素粉末が要求される様々な工業分野においても、その効果は大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素源及びケイ素源を含む炭化ケイ素前駆体を不活性雰囲気中にて熱処理し、さらに酸化性雰囲気中にて熱処理し、得られた炭化ケイ素含有物から不純物を除去し炭化ケイ素粉末とすることを特徴とする炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項2】
前記不活性雰囲気中における熱処理温度は、1200℃以上かつ1700℃以下であることを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項3】
前記酸化性雰囲気中における熱処理温度は、500℃以上かつ1600℃以下であることを特徴とする請求項1または2記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項4】
前記炭素源とケイ素源を混合してなる混合物に炭化処理を施し、前記炭化ケイ素前駆体とすることを特徴とする請求項1、2または3記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項5】
前記炭化ケイ素含有物をフッ化水素酸または強塩基性溶液を用いて洗浄し、この炭化ケイ素含有物に含まれる不純物を除去することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の炭化ケイ素粉末の製造方法により得られた炭化ケイ素粉末であって、
平均粒子径が50nm以下であることを特徴とする炭化ケイ素粉末。

【公開番号】特開2008−50201(P2008−50201A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227753(P2006−227753)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】