説明

炭化水素ストリームからの硫黄化合物の吸着方法

本発明は、硫黄を炭化水素ストリームから除去するための高容量吸着剤を提供する。吸着剤は、ニッケルリン化物複合物NiPの粒子を含む複合物質を含む。吸着剤は、追加の水素を必要とせず、かつ約150℃〜約400℃の範囲の比較的低温で行われる硫黄除去方法で用いられる。本発明の方法により、約1ppm以下のレベルへ下げる「超深」脱硫が、可能にされる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
硫黄−有機物を、水素を加えずに、適切な吸着剤の硫黄容量を用いて吸着することによる液体炭化水素燃料の超深脱硫は、二つの次のプロセスを用いて行うことができる。即ち、複合物担体上に析出された金属ニッケル(Ni)を含む収着剤を用いる硫黄化合物の反応吸着(Niがバルクニッケル硫化物相へ転化される)(これは、特許文献1(2005年)に明示される)、および部分還元されたCu(1+)カチオンを含むゼオライト収着剤を用いる硫黄化合物の平衡吸着(これは、非特許文献1によって明示される)である。両プロセスは、本発明に比較して、欠点がある。第一のプロセスにおけるNi相の硫黄容量は、高ニッケル分散>30%においてさえ、燃料中に存在する不飽和炭化水素を炭素質デポジットへ転化するというNiの傾向によって限定される。これは、Ni相をバルクニッケル硫化物へ完全転化するのに必要とされるものより早い速度で、収着剤表面の目詰まりをもたらす。これはまた、失活されたニッケル収着剤が、還元処理および酸化再生技術(物質を回復するのに用いられるのに必要である)によって再生されることができない理由の一つである。酸化再生、即ち炭素質デポジットの焼却は、Ni相を、不十分に分散されたNiO相へ転化する。NiOをNiへ還元して戻すことにより、Niのより低い分散が維持され、これは、引続く脱硫サイクルにおいて、より低い硫黄容量をもたらす。軽質ガソリン燃料に含まれるオレフィンのコーク形成能力は、ガソリンへ一般に添加される含酸素化合物(MTBE、エタノール等)によって顕著に中和される。これにより、収着剤100g当りの硫黄容量が1g超に達し、これは、同時係属中の特許文献1(2005年)に教示される。含酸素化合物を含まないが、高いコーク形成能力を有するモノ−、ビ−、およびトリ芳香族を含む化石源から誘導されるディーゼル燃料の場合には、Niベースの収着剤を実行するプロセスは、100g当り0.1g未満の非常に低い硫黄容量をもたらす。この低い容量、および収着剤の非再生性は、実質的に、ディーゼル燃料を超深脱硫するための、これらのプロセスの商業的な適用を損なう。
【0002】
Cu(1+)含有ゼオライト収着剤を用いる平衡吸着プロセスは、一般に、比較的高い50ppmを超える硫黄含有量を有する炭化水素原料材に限定される。ここで教示されるように、原料材中の硫黄含有量が20ppm未満の場合(現代の水素化されたディーゼル燃料の場合である)では、このプロセスにおいて、従来温度で確立される吸着平衡は、硫黄を、1ppm未満へ低減しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第20050258077(A1)号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A.J.Hernandez−Maldonado、R.T.Yang(Ind.Eng.Chem.Res.、第42巻、第123頁、2003年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、硫黄化合物を、液体炭化水素ストリームから、高容量の吸着剤を用いて除去するための方法を提供する。その際、この吸着剤は、Ni/P比約0.5:4、好ましくは約2:3、最も好ましくは約2.2:2.5を有するニッケルリン化物複合物の粒子を含む複合物質である。複合物は、好ましくは、シリカ、アルミナ、または炭素を含む相中に分配され、リン酸ニッケル(Ni)、酸化ニッケル、および/または水酸化ニッケル、リン酸アンモニウム((NHHPO)からなる複合物質を還元することによって得られる。その際、複合物質は、好ましくは、ニッケルおよびリンの塩を、シリカ、中間細孔シリカ、シリカ−アルミナ、または炭素の物質上に析出することによって形成される。本発明には、更に、吸着剤を用いる工程が含まれる。その際、シリカまたは炭素の一部は、還元後に、前記複合物質から除去され、ニッケルリン化物複合物の充填が増大される。本発明の脱硫方法は、好ましくは、150℃〜400℃の範囲の温度で行われる一段法であり、それは、水素富化雰囲気を必要としない。本方法は、バッチ方式および連続方式の両方で行うことができる。硫黄化合物に対する吸着剤の親和力は、約1ppm以下のレベルへ下げる超深脱硫を可能にする。本発明は、吸着剤100g当り硫黄1g超を吸着することができる。本発明は、更に、吸着された硫黄を還元雰囲気中で除去することによって、吸着剤の定期的な再生を可能にする。これにより、有効全硫黄容量が、100g当り硫黄容量約2.0g超へ増大される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】新鮮なNiP/SiOおよび使用後のNiP/SiOのXRDパターンを示す。
【図2】参照収着剤の活性を示す。
【図3】本発明の実施例2〜4の吸着剤活性を示す。
【図4】本発明の実施例5の収着剤活性を示す。
【図5】本発明の実施例について、再生性、および収着剤活性を示す。
【図6】その沸点範囲および硫黄種分化が異なる数種のディーゼル燃料の試料について、吸着剤性能を示す。
【図7】吸着剤性能を、LHSVの関数として示す。
【図8】吸着剤性能を、反応温度の関数として示す。
【図9】原料および生成物ディーゼル燃料の沸点曲線を示す。
【図10】原料および生成物ディーゼル燃料の基本的なバルク特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
式MP(式中、Mは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Nb、Mo、Ta、およびWからなる群から選択され、xは0.1〜10である)で表される遷移金属リン化物物質は、高表面積の酸化物担体上に分散されるが、これは、炭化水素原料材を、有機−硫黄化合物をHSへ転化することによって水素化脱硫するための知られた触媒である。本発明は、この群に属する、選択された物質が、実質量の有機硫黄を、水素を加えずに炭化水素ストリームから吸着するという発見に基づく。新規の吸着剤は、ニッケルリン化物複合物NiP(x=2〜3)であり、これは、NiP、Ni12、NiP相、またはそれらの混合物の2〜50nmのナノ結晶の形態で、中間細孔担体母材中に安定化される。この物質による硫黄の吸着は、硫黄約20ppmを含む水素化された炭化水素燃料について、残留硫黄約1ppm以下のレベルへ、収着剤100g当り硫黄容量1g超で超深脱硫するのに十分である。本発明には、水素化された炭化水素液体原料材、特にディーゼル燃料の超深脱硫方法が含まれる。
【0008】
ニッケルリン化物複合物
本発明の一実施形態は、相NiP、Ni12、NiP、またはそれらの混合物の2〜50nmのナノ粒子を含むニッケルリン化物複合物であり、これは、ジベンソチオフェン誘導体(水素化されたディーゼル燃料中に存在するものなど)を反応吸着するための活性物質として用いられてもよい。特定の理論に束縛されることを望むものでないものの、これらの化合物におけるニッケルの金属特性は、S−化合物の最低空分子軌道(LUMO)と、NiP相における表面ニッケル原子の価電子帯との強い相互作用を引き起こすと考えられる。これは、吸着平衡(NiP+S−R←→S−R・・・NiP)を右へシフトするC−S結合の分解をもたらす。これにより、原料の硫黄含有量を、入口硫黄約20ppmに対してさえ、1ppm未満へ低減することが可能にされる。電子密度の一部を、ニッケル原子から、NiP相中のリンによって引抜くことにより、部分正電荷(Niδ+)が、ニッケル原子へ与えられる。これにより、求電子性硫黄と相互作用するそれらの能力が低下され、バルクニッケル−硫化物相の形成が抑制される。新しく還元された、および使用済みの30wt%Ni12/SiO(硫黄含有量15ppmを有する標準ディーゼル燃料の脱硫において、物質100g当り硫黄1.05gを吸着した後)のX線回折パターンは、図1に示されるように、実質的に同じである。これは、バルクニッケル硫化物相の不在を示す。同時に、NiP相におけるニッケル原子上の部分正電荷は、芳香族化合物を高密炭素質デポジットに転化するそれらの能力を低減し、そのために運転後の炭素デポジットの量は、約4〜5wt%を超えないと考えられる。使用済みのNiPベースの物質の還元処理により、吸着された硫黄を、使用済みの収着剤の表面から除去することが可能にされる。これにより、同じNiPベースの物質を用いて、本発明による数回の硫黄吸着サイクルを行うことが可能にされる。これは、一バッチの収着剤によって吸着されることができる硫黄の全量を増加する。
【0009】
本発明の一実施形態においては、吸着剤は、高充填の分散NiP複合物(約15wt%〜約80wt%、好ましくは20wt%〜約60wt%の範囲)を有する。分散NiP複合物は、約2nm〜約50nm(好ましくは2〜30nm)の範囲の結晶サイズを有し、約200m/gm〜約800m/gmの範囲の表面積、および約5nm〜約30nmの範囲の細孔直径を有するシリカ、中間構造シリカ、シリカ−アルミナ、炭素、またはそれらの組み合わせの上に析出される。物質は、中間細孔担体上に、リン酸アンモニウム塩と共に析出されたリン酸ニッケルまたはニッケル酸化物(水酸化物)を、還元することによって調製される。
【0010】
Ni(NOおよび(NHHPOの透明水溶液(Ni/P比約0.5〜4.0(好ましくは2〜3)で、HNO(pH=4)を用いて安定化される)を用いる中間細孔担体(即ち、シリカまたはシリカ−アルミナ)の含浸は、単独では、還元後、担体の細孔の実質的な目詰まりおよび大きなNiPナノ粒子(>30nm)の形成なしに、NiP充填30wt%超に達するのに不十分であってもよい。本発明の一態様は、NiP充填を、60〜80wt%まで増大することである。これは、析出技術を向上することによって達成されてもよいものの、本発明の一実施形態においては、増大された充填は、シリカを、還元されたNiP/SiO(SiO−Al)複合物質から抽出することによって達成される。一実施形態においては、還元された吸着剤を、強塩基(NaOH)の溶液または水性HFを用いて、活性NiP相の組成に影響を及ぼさない条件で処理することにより、シリカの抽出がもたらされ、結果的にNiPの充填が増大される。シリカ担体物質は、上述される化学処理によって、還元された吸着剤物質から、優先的に、部分的または完全に「浸出」される。これらの化学物質は、活性NiPに対して実質的な影響を全く与えず、従って活性相の組成は、実質的に不変である。他の実施形態においては、活性相NiPの高充填は、次によって得られてもよい。即ち、高度に分散されたNiOを、中間細孔シリカ(シリカ−アルミナ)担体上に、尿素の存在下にNi−塩の水溶液から、Ni充填50〜80wt%で均質な析出−沈澱を行い(これは、同時係属中の特許文献1(2005年)に教示される)、続いて(NHHPOを、NiO/SiO(SiO−Al)物質上に析出し、そのように得られた物質を還元することによる。更なる実施形態においては、高充填のNiP相は、高度に分散されたリン酸ニッケルを、ニッケル充填45〜65%で、尿素の存在下に、中間細孔シリカ(シリカ−アルミナ)担体上に、Ni−塩およびリン酸アンモニウムの両方を含む水溶液(硝酸により安定化される)から均質な析出−沈澱を行い、続いてそのように得られた物質を還元することによって得られてもよい。
【0011】
上述される実施形態は、限定するものでない。潜在的に、微細結晶質NiPを多孔質担体上に析出するという他の技術が存在する。これは、当業者に明らかであろう。本発明は、所望のNiP充填(60〜80%)および結晶子サイズ(2〜50nm)、表面積(200〜800m/g)、および細孔径(5〜30nm)を有する吸着剤である。
【0012】
硫黄の除去方法
硫黄化合物を、液体炭化水素ストリームから除去するための本発明の方法は、i)NiP、Ni12、NiP相、またはそれらの混合物を、サイズ2〜50nmを有するナノ結晶として含む複合物質を提供し、その際20〜80wt%の充填は、200〜800m/gの範囲の表面積、および5〜30nmの範囲の平均細孔直径を有する中間細孔シリカ、シリカ−アルミナ、または炭素担体母材中に安定化される工程、ii)前記液体炭化水素ストリームを、約150〜400℃の範囲、好ましくは250〜350℃の範囲の温度で、吸着剤と接触させる工程を含む。本方法は、水素を加えずに行われ、それは、バッチ方式または連続方式で行われることができる。本方法が連続である場合には、液空間速度は、必要とされる硫黄残渣レベルに達するように選択される。LHSVは、約0.5〜30/時、好ましくは約1〜20/時、最も好ましくは約3〜15/時である。本発明の方法で用いられる吸着剤中の好ましいニッケル含有量は、20wt%〜80wt%、好ましくは25wt%〜70wt%であり、Ni/P原子比は、約2〜約3、好ましくは約2.2〜約2.5である。
【0013】
組成物中の還元された複合物質、活性ニッケルリン化物相の結晶サイズ、および母材組織は、有機−硫黄化合物(特に水素化されたディーゼル燃料などの液体炭化水素ストリーム中に従来的に存在するジベンゾチオフェン)と反応して、硫黄が吸着されるのに役立つ。収着剤、および有機−硫黄化合物(油精製所における水素化脱硫処理後に、ディーゼル燃料中に残存する)のこれらの不可逆性相互作用は、ディーゼル燃料の主要部分を構成する炭化水素に対して、実質的に全く他の影響を及ぼすことなく、硫黄の超深除去をもたらす。
【0014】
硫黄化合物で飽和された後、本発明の方法で用いられた吸着剤は、還元処理によって再生されることができる。例えば、吸着剤を、約450〜600℃で、水素流に暴露することによる。これにより、吸着された硫黄が除去され、収着剤の再使用が、更に、第一の運転におけるとほぼ同じ吸着剤条件(同じレベルの残留硫黄に達する)で可能にされる。吸着剤は、数回の吸着−再生サイクルで、成功裡に再利用されることができ、収着剤100g当り硫黄>2gの全有効硫黄容量が得られる。
【0015】
別の実施形態においては、本明細書に記載されるNiPベースの吸着剤は、硫黄化合物を異なる炭化水素ストリームから除去するのに用いられてもよい。その際、炭化水素は、オクタン価を向上するために含酸素化合物が添加された水素化ナフサ、ディーゼルおよびジェット燃料、アルカン、アルケン、並びに芳香族炭化水素から選択される物質を含むことができ、硫黄化合物は、有機硫化物、有機二硫化物、チオール、および芳香族化合物(チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、およびそれらの誘導体など)から選択される物質を含むことができる。
【実施例】
【0016】
実施例1(比較例)
加熱バスに入れられた250mlフラスコ(マグネチックスターラーおよび冷却器付き)に、500℃で2時間焼成され、表面積220m/g、および細孔直径26nmを有するシリカゲル(PROMEKS、PI−258)5gを、二種の溶液(アルミニウムトリ−secブドキシド0.5gとトルエン100mL、およびトリエチルアミン1.5gと100mL)の混合物と共に入れた。トルエン懸濁液を、激しく、85℃で6時間撹拌し、次いで固体を、ろ過によって分離した。アルミナ−グラフト化中間細孔シリカ固体を、水0.22gを含むエタノール溶液150mLに懸濁し、それを、室温で24時間撹拌した。アルミナ−グラフト化中間細孔シリカ固体を、次いでろ過し、減圧で、85℃で2時間乾燥し、続いて温度250℃および400℃で、2時間徐々に焼成し、次いで空気中500℃で、4時間焼成した。アルミナ−グラフト化中間細孔シリカ物質は、表面積243m/g、および狭い中間細孔径分布を示し、平均細孔直径5nmおよび細孔容積0.3cm/gを有する。SEM Quanta 2000(Philips Fay Co.)を用いるEDX分析は、Al、Si、およびOの含有量それぞれ、2.35、50.32、および47.35wt%を示した。
【0017】
先の工程で得られたアルミナ−グラフト化中間細孔シリカ物質6.4gを、硝酸ニッケル(Ni(NO6HO)0.14モル/l、尿素0.42モル/l、およびHNO0.02モル/lを含む水溶液(pH1.5)50ml中に懸濁した。混合物を、撹拌し、90℃で24時間加熱した。この時間中、pHは、6.4へ増大した。混合物を、氷浴上で20℃へ急冷し、ろ過した。固体を、蒸留水200mlを用いてフィルター上で洗浄し、蒸留水200mlを用いてフラスコに移し、60℃で15分間撹拌し、再度ろ過した。この洗浄手順を、二回繰り返した。
【0018】
洗浄された物質を、空気中90℃で、24時間乾燥し、500℃で4時間焼成した(加熱速度5℃/分)。これにより、19.2グラムを得た。EDX分析は、Ni、Si、Al、およびOの含有量が、それぞれ、63.47、21.19、1.3、および14.04wt%であることを示した。複合物質の表面積(BET法によって測定される)は、304m/gであった。
【0019】
上記で得られた複合物質を、内径10mmおよび長さ100mmを有し、内部サーモウェルおよび加熱オーブンを装備されたステンレススチール反応器に入れた。温度調節装置により、温度は、±1℃内で維持された。吸着剤を、水素ストリーム中450℃で、GHSV(ガス空間速度)12000時−1で8時間還元し、次いでHe流中で不動態化し、He中で周囲温度へ冷却した。物質(本明細書ではBGU−1という)は、ほぼ全てのニッケルを、Ni−酸化物の形態でもたらす。水素還元後、これは、金属Ni相をもたらし、その特徴は、図1(回折ピーク(2θ)=44.5、51.8°)示され、XRDピークの幅から決定された結晶サイズ4〜5nmに相当する高い分散を有する。
【0020】
実施例2
表面積220m/gおよび細孔直径26nmを有するシリカゲル(PROMEKS、PI−258)6gの試料を、500℃で2時間焼成した。湿潤点におけるその水容量は、2.7cc(HO)/gであった。透明溶液16.2mlを、蒸留HO6mlおよび68%HNO2.5mlを混合し、Ni(NO6HO9g(Ni:0.031モル)を添加し、(NHHPO4.1g(P:0.031モル)を緩やかに挿入することによって調製した。撹拌を、全ての塩が溶解されるまで、30分間継続し、透明な緑色溶液(pH4.0)が得られた。溶液を、初期湿潤法によって、シリカゲルの細孔内に挿入した。含浸された物質を、空気中120℃で、4時間乾燥し(加熱速度5℃/分)、次いで500℃で、6時間焼成した(加熱速度1℃/分)。焼成された複合物のEDX分析は、Ni、P、Si、Oの含有量が、それぞれ、22.9、10.9、35.1、および31.1wt%であることを示し、Ni/Pの原子比は、1.1であった。
【0021】
上記の複合物質0.5gを、石英反応器中大気圧下に、H流速1000cc−1−1を用いて、580℃で0.5時間還元し(周囲温度から350℃まで3.6℃/分、および350℃から580℃まで1℃/分)、次いでHe流中で不動態化し、He下に周囲温度へ冷却した。還元された物質(本明細書ではBGU−2という)のXRD分析は、2θ=22°を中心とする幅広い非晶質ハロ(hallo)(シリカに対応する)を示し、2θ=40.8、44.6、47.3、54.2、および66.2°にピーク(XRDピーク幅から決定された結晶ドメインサイズ10nmを有するNiPリン化物相に対応する)を示す(図1)。BGU−2物質中のこの相の全充填は、EDXおよびXRD分析に基づいて30wt%であった。
【0022】
実施例3
表面積480m/gおよび平均細孔直径10nmを有するシリカゲル(PQ Co−PM5308)10gの試料を、500℃で2時間焼成した。湿潤点におけるその水容量は、2.31cc(HO)/g(シリカ)であった。透明溶液23mlを、蒸留HO8mlおよび68%HNO3.25mlを混合し、Ni(NO6HO16.25g(Ni:0.056モル)を加え、(NHHPO3.75g(P:0.028モル)を緩やかに挿入することによって調製した。撹拌を、全ての塩が溶解されるまで、30分間継続し、透明な緑色溶液(pH3.5)が得られた。含浸された物質を、空気中120℃で、4時間乾燥し(加熱速度5℃/分)、次いで500℃で6時間焼成した(加熱速度1℃/分)。焼成された複合物のEDX分析は、Ni、P、Si、Oの含有量が、それぞれ、26.2、6.4、38.9、および28.5wt%であることを示し、Ni/Pの原子比は、1.97であった。
【0023】
上記の複合物質0.5gを、石英反応器中大気圧下に、H流速1000cc−1−1を用いて、580℃で0.5時間還元し(周囲温度から350℃まで3.6℃/分、および350℃から580℃まで1℃/分)、次いでHe流中で不動態化し、He下に周囲温度へ冷却した。還元された物質(BGU−3という)のXRD分析は、2θ=22゜を中心とする幅広い非晶質ハロ(シリカに対応する)以外に、2θ=32.7、38.4、41.7、44.4、47.0、および49.0゜のピーク(XRDピーク幅から決定された結晶ドメインサイズ9nmを有するNi12リン化物相に対応する)を示した(図1)。BGU−2物質中のこの相の全充填は、EDXおよびXRD分析に基づいて31wt%であった。
【0024】
実施例4
表面積220m/gおよび細孔直径26nmを有するシリカゲル(PROMEKS、PI−258)6gの試料を、500℃で2時間焼成した。焼成されたシリカの湿潤点は、2.7cc(HO)/g(シリカ)であり、含浸方法は、初期湿潤であった。透明溶液27mlを、蒸留HO13mlおよび68%HNO3.25mlを混合し、Ni(NO6HO16.25g(Ni:0.056モル)を加え、(NHHPO2.96g(P:0.022モル)を緩やかに挿入することによって調製した。撹拌を、全ての塩が溶解して、透明な緑色溶液が得られるまで、30分間継続した。含浸された物質を、乾燥オーブン中120℃で、4時間乾燥し(加熱速度5℃/分)、次いで500℃で6時間焼成した(加熱速度1℃/分)。焼成された複合物のEDX分析は、Ni、P、Si、Oの含有量が、それぞれ、24.9、5.3、40.3、および29.5wt%であることを示し、Ni/Pの原子比は、2.48であった。
【0025】
上記の複合物質0.5gを、石英反応器中大気圧下に、H流速1000cc−1−1を用いて、580℃で0.5時間還元し(周囲温度から350℃まで3.6℃/分、および350℃から580℃まで1℃/分)、次いでHe流中で不動態化し、He下に周囲温度へ冷却した。還元された物質(BGU−4という)のXRD分析は、2θ=22゜を中心とする幅広い非晶質ハロ(シリカに対応する)以外に、2θ=32.7、38.4、41.7、44.4、47.0、および49.0゜のピーク(Ni12リン化物相に対応する)、および2θ=36.4、41.8、43.6、46.6゜のピーク(NiP相に対応する)を、重量比0.6./0.4で、およびそれぞれ、結晶サイズ10nmおよび15nmで示した(図1)。BGU−4物質中のこれらの相の全充填は、EDXおよびXRD分析に基づいて、30wt%であった。
【0026】
実施例5
表面積400m/gおよび平均細孔直径8nmを有するシリカゲル(DAVICAT、ID−2411)10gの試料を、550℃で2時間焼成した。それを、加熱バスに挿入された250mlのフラスコ(マグネチックスターラーおよび冷却器付き)に入れた。これは、Ni(NO6HO93g、尿素84g、HNO(70%)7mL、および(NHHPO11.9gを、HO150mLに溶解することによって調製された水溶液を含む。混合物を、80℃へ加熱し、この温度で、24時間撹拌した。この時間中に、pHは、0.96から5へ増大した。混合物を、室温へ冷却し、ろ過した。固体を、蒸留水200mLを用いて、60℃でフラスコに移し、1.5分撹拌し、再度ろ過した。この洗浄手順を、二回繰り返した。洗浄された物質を、120℃で4時間乾燥し(加熱速度5℃/分)、空気中500℃で、6時間焼成した(加熱速度1℃/分)。EDX分析は、機器SEM Quanta 2000(Philips Fay Co.)によって行われたが、これは、Ni、P、Si、およびOの含有量が、それぞれ、62.8、13.1、6.4、および17.6wt%であることを示した。複合物質の表面積(BET法によって測定される)は、175m/gであった。
【0027】
上記の複合物質0.5gを、石英反応器中大気圧下に、H流速1000cc−1−1を用いて、580℃で0.5時間還元し(周囲温度から350℃まで3.6℃/分、および350℃から580℃まで1℃/分)、次いでHe流中で不動態化し、He下に周囲温度へ冷却した。還元された物質(BGU−5という)のXRD分析は、2θ=22゜を中心とする低強度の幅広い非晶質ハロ(シリカに対応する)以外に、2θ=32.7、38.4、41.7、44.4、47.0、および49.0゜のピーク(XRDピーク幅から決定された結晶ドメインサイズ30nmを有するNi12リン化物相に対応する)、および2θ=36.4、41.8、43.6、46.6゜のピーク(XRDピーク幅から決定された結晶ドメインサイズ3nmを有するNiP相に対応する)を示した。BGU−5物質中のこれらの相の全充填は、EDXおよびXRD分析に基づいて、62.2wt%であった。還元されたBGU−5物質の表面積は、205m/gであった。
【0028】
実施例6
実施例1〜5に従って調製されたBGU収着剤物質0.8gの試料を、空気中で焼成した後、内径5mmおよび長さ10cmを有し、外部サーモウェルおよび加熱オーブンを取付けた管状ステンレススチール反応器に入れた。温度制御装置を用いて、温度が、±1℃内に維持された。吸着剤を、大気圧下に、H流速1000cc−1−1を用いて、580℃で0.5時間還元し(周囲温度から350℃まで3.6℃/分、および350℃から580℃まで1℃/分)、H流下に、反応温度300℃へ冷却した。水素化されたディーゼル燃料(IBP=193℃、およびFBP=351℃、密度0.83388g/cmを有し、芳香族炭化水素30.6vol%、オレフィン1.9vol%、パラフィン67.5vol%、および硫黄15wppmを含む)を、収着剤を試験するための原料として用いた。運転を、先ず、系をHeでパージすることによって開始し、次いでHeを用いて圧力が、17バールまで増大された。液体を、LHSV(液空間速度)3.5時−1で、300℃で保持された反応器を通して圧送し、反応器を通過後、冷却されたトラップに捕集した。反応器出口におけるディーゼル燃料の硫黄含有量(Sout、wppm)を、定期的に、硫黄分析用検出器GC−355SCDを取付けたHP6890A装置を用いて、GC法によって分析した。
【0029】
金属ニッケル相を含むBGU−1参照物質の試験結果を、図2に示す。この収着剤のニッケル相は、硫黄を、ディーゼル燃料から、選択された空間時間(接触時間)で1ppm未満へ除去するのに十分活性でない。運転の初期には、Soutは、3wppmであり、約50時間の間に、ゆっくり約8wppmへ上昇した。
【0030】
異なるニッケルリン化物相を含むBGU−2、BGU−3、およびBGU−4収着剤の試験結果を、図3に示す。全ての物質は、高い活性を表示した。これは、Sout.〜0.1wppmを、選択された接触時間で得るのに十分高い硫黄吸着速度を意味する。Sout.値が1wppmに達した際に、停止された運転におけるBGU−2、BGU−3、およびBGU−4収着剤について得られた全硫黄容量は、それぞれ、収着剤100g当り0.65、1.00、および0.85gであった。使用済みの収着剤のEDX分析は、それぞれ、硫黄0.67、1.02、および0.88wt%を示した。使用済みの収着剤のXRD回折図のパターンは、実質的に、水素還元後の新鮮な試料のそれと同一であった(図1に示される)。
【0031】
高められたニッケルリン化物相の充填62.2wt%を有するBGU−5収着剤の試験結果を、図4に示す。物質は、高い活性を表示した。これは、Sout.<0.5wppmを、選択された接触時間2.7時−1で得るのに十分高い硫黄吸着速度を意味する。Sout.値が0.5wppmを越えた際に、停止された運転におけるBGU−5収着剤について得られた全硫黄容量は、収着剤100g当り〜1.5gであった。使用済みの収着剤のEDX分析は、硫黄1.6wt%を示した。
【0032】
実施例7
収着剤BGU−3を、実施例5に従って、ディーゼル燃料の脱硫において、LHSV=3.5時−1で試験した。液体ポンプを、処理されたディーゼル燃料中の硫黄含有量Soutが0.2wppmに達した際に停止した。反応器内の圧力を、大気圧へ低減し、温度を、H流速1000cc−1−1下に、550℃へ昇温し(加熱速度1℃/分)、550℃で3.5時間保持し、収着剤の還元再生が為された。反応器を、次いで、H流下に反応温度300℃へ冷却して下げ、次いでHeでパージし、Heの圧力を、17バールへ増大した。運転を、LHSV3.3時−1で再開した。処理されたディーゼル燃料中の硫黄含有量は、更なる110時間にわたって、0.1〜0.3wppmであった。これを、図5に示す。ディーゼル燃料からBGU−3収着剤によって除去された硫黄の量は、更に0.66wt%上昇された(全部で、0.85+0.66=1.51wt%)。同じ条件での還元再生手順を、更に二回繰り返した。これを、図5に示す。それにより、ディーゼル燃料から除去された硫黄の全量は、2.35wt%に達した。この運転後の使用済みの収着剤BGU−3を、XRDによって分析した。これは、Ni12相のパターンが、実質的に、図1に示されるものと変わらなかったことを示した。
【0033】
実施例8
この実施例は、本発明の収着剤により、一連の硫黄化合物(メルカプタン、硫化物、二硫化物、チオフェン、ベンゾチオフェン(BT)、ジベンゾチオフェン(DBT)および置換DBT)が、炭化水素燃料混合物から除去されることを示す。種々のディーゼル燃料の試料を、BGU−4収着剤による脱硫に付した。これらのディーゼル燃料の試料は、全硫黄濃度、および硫黄種分化のタイプが異なる。例えば、ディーゼルA(沸点範囲:136〜387℃)は、全硫黄11ppmによって特徴付けられる。しかし、難脱硫性硫黄化合物(DBT、およびより高級なDBT)は、この試料では、単に1ppmを占める。ディーゼルBは、4,6−ジメチル−DBTをディーゼルAへ添加することによって得られ、全硫黄濃度が、14.3ppmへ上昇された。ディーゼルC(沸点範囲:107〜362℃)は、比較的高沸点の留分であり、より軽質の沸点留分とブレンドされて、最終ディーゼル燃料が作製される。ディーゼルC中の硫黄の種分化は、難脱硫製硫黄化合物によって特色付けられる。硫黄の94%超は、DBTより難脱硫性であり、76%は、4,6−ジメチル−DBTより難脱硫性である。加えて、硫黄化合物の50%は、4,6−ジメチル−DBTより重質である。ディーゼルD(沸点範囲:127〜336℃)は、添加剤処理されていない全範囲ディーゼルの試料であり、典型的には、ヨーロッパ市場で販売される。脱硫を、収着剤6cmを含む反応器において、LHSV6時−1で、300℃で圧力250psig下に行った。結果を、図6に示す。図6から分かるように、収着剤BGU−3は、サブppm脱硫を、種々のディーゼル燃料の試料(沸点範囲および硫黄種分化が異なる)について達成可能である。BGU−3は、硫黄原子を、種々の有機硫黄化合物から抽出する。これには、従来の水素化脱硫プロセスによって除去することが困難である難脱硫性硫黄化合物が含まれる。
【0034】
実施例9
BGU−4収着剤は、その反応性(wt%硫黄捕捉)を、一連の燃料流速にわたって保持する。収着剤の反応性に対して流速(液空間速度、またはLHS)を変動する影響を、300℃および250psigで運転される6cmの固定床反応器で定量化した。これらの実験を、ディーゼルB(上記の実施例8で詳述される)を用いて行った。図7に示されるデータは、処理された破過燃料の容積(出口のS濃度1ppmで測定される)が、試験されたLHSVの範囲で、認められる程度に、変わらないことを示す。従って、BGU−4は、その反応性を、大きなターンダウン比にわたって保持することが可能である。これは、この脱硫プロセスを、固有の過渡運転で適用することを容易にする。車載などである。高いLHSV運転は、この収着剤を、空間が制約された環境で用いることを可能にする。
【0035】
実施例10
BGU−4は、その反応性を、広い温度範囲にわたって保持する。収着剤の反応性に対する反応温度の影響を、LHSV6/時および250psigで運転される6cmの固定床反応器で定量化した。これらの実験を、ディーゼルB(上記の実施例8で詳述される)を用いて行った。図8に示されるデータは、サブppm脱硫が、試験された温度範囲275〜350℃で達成されることを示す。収着剤によるwt%S捕捉は、この温度範囲で、急な最大値をまた示さない。反応温度に対する収着剤の頑健性は、特に、過渡運転に対して有益である。車上でのディーゼル燃料(全硫黄10〜50ppmを含む)のサブppm脱硫などである。
【0036】
実施例11
脱硫プロセスは、実質的に、得られる脱硫された燃料の特性を変更せず、従って、より低硫黄の燃料生成物が燃料規格を満足することを、確実にさせる。次の試験を、ディーゼルAの試料について行った。これは、BGU−4吸着剤を用いて、300℃、250psig、およびLHSV6時−1で脱硫された。図9に示されるように、ディーゼルA、およびこの脱硫プロセスの結果としてのディーゼルAのサブppm硫黄の生成物の沸点範囲には、認められる程度の変化は全くない(ASTM D86−01)。また、API比重(ASTM D4052−96)、計算セタン指数(ASTM D4737−96a(2001))、および平均磨耗痕長さ(ASTM D6079)によって測定された燃料の潤滑性に、実質的な変化は全くなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素ストリームから硫黄を除去するための吸着剤複合物であって、
i.シリカ、アルミナ、炭素またはそれらの組み合わせを含む高表面積の担体;および
ii.前記担体上に配置され、NiP、Ni12、NiPまたはそれらの混合物を含むニッケルリン化物粒子
を含むことを特徴とする吸着剤複合物。
【請求項2】
前記粒子は、サイズが2nm〜30nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の吸着剤。
【請求項3】
前記粒子は、前記吸着剤の15wt%〜80wt%を構成することを特徴とする請求項1に記載の吸着剤。
【請求項4】
前記粒子は、前記吸着剤の20wt%〜60wt%を構成することを特徴とする請求項3に記載の吸着剤。
【請求項5】
前記粒子は、サイズが2nm〜30nmの範囲であることを特徴とする請求項2に記載の吸着剤。
【請求項6】
前記担体は、シリカ、中間細孔シリカ、シリカ−アルミナ、炭素またはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の吸着剤。
【請求項7】
前記担体は、200m/g〜800m/gの範囲の表面積を有するものとして更に特徴付けられることを特徴とする請求項6に記載の吸着剤。
【請求項8】
前記表面は、5nm〜50nmの範囲の平均細孔直径を有する細孔を有するものとして更に特徴付けられることを特徴とする請求項7に記載の吸着剤。
【請求項9】
前記粒子は、前記吸着剤の45wt%超を構成することを特徴とする請求項3に記載の吸着剤。
【請求項10】
炭化水素ストリームから硫黄を除去するための吸着剤を作製する方法であって、
(a)シリカ、アルミナまたはそれらの組み合わせを含む担体を提供する工程;
(b)Ni錯体を前記担体上に析出する工程;および
(c)前記Ni錯体を還元して、NiP、Ni12、NiPまたはそれらの組み合わせを含むNiPナノ粒子を前記担体上に形成する工程
を含むことを特徴とする吸着剤の作製方法。
【請求項11】
前記担体は、中間細孔のシリカ、アルミナまたはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記中間細孔担体は、200m/g〜800m/gの範囲の表面積および5nm〜50nmの範囲の平均細孔径を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ニッケルリン化物粒子は、リン酸ニッケル、または酸化ニッケルとリン酸アンモニウムの組み合わせを還元することによって調製されることを特徴とする請求項10または12に記載の方法。
【請求項14】
前記複合物からシリカを抽出することによって、前記吸着剤のNiP含有量を増大させることを特徴とする請求項10または12に記載の方法。
【請求項15】
前記シリカの抽出は、前記複合物を水酸化ナトリウムまたはフッ化水素酸と接触させる工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記リン酸ニッケルNi錯体を、尿素の存在下、析出−沈殿法によって、ニッケル塩およびリン酸アンモニウムの水溶液から前記担体上に析出させ、
前記水溶液を、酸(好ましくは硝酸)によって、pH0.2〜3、好ましくは0.8〜1.2で安定化させることを特徴とする請求項10または12に記載の方法。
【請求項17】
炭化水素ストリームから硫黄を除去する方法であって、シリカ、中間細孔シリカ、シリカ−アルミナまたは炭素の担体上に析出されたNiP、Ni12、NiPまたはそれらの混合物の粒子を有するニッケルリン化物複合物を含む複合物吸着剤と、前記ストリームと接触させる工程を含むことを特徴とする硫黄の除去方法。
【請求項18】
前記粒子は、サイズが2nm〜30nmの範囲であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記粒子は、前記吸着剤の15wt%〜80wt%を構成することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記炭化水素ストリームとの接触の後、450〜580℃で3〜6時間という、吸着された硫黄種を還元するのに十分な条件で前記吸着剤を水素に暴露することによって、前記吸着剤を再生させることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
硫黄を20ppmから1ppm未満へ低減させることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項22】
水素を加えずに前記硫黄の除去を達成することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記硫黄原子を、炭化水素燃料混合物中に典型的に存在する種々の有機硫黄含有化合物(メルカプタン、硫化物、二硫化物、チオフェン、ベンゾチオフェン(BT)、ジベンゾチオフェン(DBT)その他の置換DBTを含むが、それらに限定されない)から除去することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記収着剤は、その容量を、流速0.5/時〜30/時、好ましくは1〜20/時、最も好ましくは3〜15/時の範囲にわたって保持することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記収着剤は、広い温度範囲150〜400℃、好ましくは200〜375℃、最も好ましくは275〜350℃の範囲にわたって、確固とした反応性を保持することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記脱硫プロセスは、添加剤処理されていないディーゼル燃料のバルク特性を実質的に変更しないことを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−508138(P2010−508138A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534695(P2009−534695)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/022857
【国際公開番号】WO2008/054712
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【出願人】(509120160)ビー.ジー.ネゲブ テクノロジーズ アンド アプリケーションズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】