説明

炭化水素冷媒及び洗浄剤組成物

本発明の炭化水素冷媒及び洗浄剤組成物は、エアコン、冷蔵庫等のための冷媒として用いられることが可能な炭化水素を主とする組成物である。そして、さらには、精密部品(例えば半導体チップ、マザーボード等)の清掃又は洗浄のための洗浄剤として使うことができる。炭化水素組成物は、体積比において約5.0%のエタン、約60.0%のプロパン、約5.0%のイソブテン及び約30.0%のブタンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素組成物に関する。特に、本発明は、エアコン、冷蔵庫等のための冷媒剤として使用する炭化水素組成物、さらには、精密部品(例えば半導体チップ、マザーボード等)の洗浄のための洗剤として使うことができる洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
Chlorofluorocarbons(CFC)(例えばジクロロジフルオロメタン及びmonochlorodifluoromethane)が、例えば、エアコン、冷蔵庫などのための冷媒として使用されていた。この種の組成物は、精密部品(例えば半導体チップなど)の清浄又は洗浄の両機能のためにも用いられた。CFCは、それらの比較的安全な不燃性、高い安定性及び低い毒性のため用いられていた。しかしながら、公知のようにCFCは地球のオゾン層破壊を促進し、そのため地球環境に対する危険な影響を及ぼす。この理由のため、CFCの生産及び使用は段階的に減らされ、こんにちCFCはほとんど使用されていない。
【0003】
クロロフルオロカーボン類の多種多様な代替物が、冷媒剤及び洗浄剤として導入された。ヒドロフルオロカーボン類(HFC)(例えば、例えば1,1,1,2tetrafluoroethane及び1,1,1―trifloroethane)は、現在CFCの代わりとして利用されている。しかしながら、HFCも、より小さい範囲ではあるがオゾン層破壊を引き起こす。更に、HFCは温室効果ガスとして作用し、地球温暖化に関与する。
【0004】
炭化水素化合物は、環境に対するそれらの比較的良性の効果のため、現在CFC及びHFCの代わりとして調査されている。従来の炭化水素組成物が、通常、CFC、HFC等と結合して用いられているため、まだある程度の割合で環境への危険を提供する。このように、炭化水素組成物は冷媒として独立して用いられるべき必要性が存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の炭化水素冷却物組成物は、単にプロパン及びブタンの混成だけから成る。しかしながら、冷却装置又は他の装置の外側に漏洩した際には、この種の構成物はその個々の構成要素(すなわち、プロパン及びブタン)に分離する傾向がある。その結果、残留した冷媒は冷却装置を破損させる可能性がある。そして、冷媒を完全に交換する必要があり、冷却装置に損害を与える場合もある。
【0006】
更に、こうした冷媒は発火温度が400℃台と低い。このように、こうした組成の冷媒を使用すると、冷却装置周辺で人々の安全性に対して問題を生じる。
【0007】
そのため、上述したような課題を解決するような炭化水素冷媒及び洗浄組成物が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の炭化水素冷媒及び洗浄剤組成物は、エアコン、冷蔵庫等のための冷媒として用いられることが可能な炭化水素を主とする組成物である。そして、さらには、精密部品(例えば半導体チップ、マザーボード等)の清掃又は洗浄のための洗浄剤として使うことができる。
【0009】
炭化水素組成物は、体積比において約5.0%のエタン、約60.0%のプロパン、約5.0%のイソブテン及び約30.0%のブタンを含む。
【0010】
本発明のこれらの又は他の特徴は、以下の明細書におけるさらなる説明によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は冷媒又は洗浄剤として使うことができる炭化水素組成物に関する。炭化水素組成物は、共にエタン、プロパン、イソブテン及びブタンを含む。炭化水素組成物は、環境インパクトが最小で比較的高い発火温度を有する冷媒として用いられることが可能である。これらは炭化水素組成物が従来用いられてきた精密な電子部品(例えば半導体チップ、マザーボード等)の清掃剤(クリーナ)、洗浄剤として用いることができる。
【0012】
炭化水素組成物は、体積比において好ましくは約5.0%のエタン、60.0%のプロパン、5.0%のイソブテン及び30.0%のブタンを含む。バリエーションとして、この好適な構成に、各構成要素を体積比において20%まで含むことができることを理解すべきである。
【0013】
体積比において約5.0%のエタン、60.0%のプロパン、5.0%のイソブテン及び30.0%のブタンを有する炭化水素組成物が、従来の冷媒の代わりとして用いられることが可能である。例えば、1,1,1,2−4フルオロエタン(テトラフルフルオロエタンとも呼ばれる)R―134a、ジェネトロン(R) 134a、スヴァ(R) 134a又はHFC−134aが、R−12(ジクロロジフルオロメタン)と類似の熱力学的特性を有し、オゾン層破壊可能性のない一般的なハロ・アルカン冷媒である。それは化学式CH2FCF3を持ち、沸点−26.3℃(−15.34F)の沸点を有する。炭化水素組成物は、R−134aと同程度効果的で、冷蔵庫システム内のR−134aに対しより少ない量の炭化水素冷媒で置き換えることができる。例えば、1液量オンスの現在の炭化水素冷媒は、4液量オンスのR―134aを使用するのと同じ結果をもたらす。このように、R―134aを現在の炭化水素組成物に置き換えることによって、現在の炭化水素組成物を使用している冷蔵庫は、動作の効率において(冷蔵ユニットのコンプレッサーが減少した量のより少ない容量の冷媒量で働くため)より少ないエネルギーを必要とする。
【0014】
同様に、chlorodifluoromethane又はdifluoromonochloromethaneは塩化フッ化炭化水素(HCFC)が、推進剤として、そして、空気調節アプリケーションで一般的に用いられる。このガスは、HCFC―22又はR―22として共通に公知である。これらのアプリケーションについてこれらのガスを使用することは、有力な温室効果ガスとして及びオゾン層破壊の可能性のために、現在段階的に削減されている。この炭化水素組成物は、R―22の代わりとして用いられることが可能である。その理由は、次のことにある。この炭化水素組成物は、オゾン層破壊可能性及び周知の温室効果を有しない。さらに、体積比においてわずか35〜45%の炭化水素組成物のみが、R−22を置き換えるために必要な量である。上記の如く、これは、冷蔵庫又はエアコンが(又は類似の装置)同じ結果のためにはより少ないエネルギーのみ要するためである。
【0015】
本発明は上記の実施例に限られず、以下の請求項の範囲内のすべての実施例を含むことを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積比で約5.0%のエタン、約60.0%のプロパン、約5.0%のイソブテン及び約30.0%のブタンを含有する炭化水素組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の炭化水素組成物を含有する冷媒。
【請求項3】
請求項1に記載の炭化水素組成物を含有する洗浄剤。
【請求項4】
体積比で約5.0%のエタン、約60.0%のプロパン、約5.0%のイソブテン及び約30.0%のブタンを実質上含む炭化水素組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の炭化水素組成物を含有する冷媒。
【請求項6】
請求項4に記載の炭化水素組成物を含有する洗浄剤。

【公表番号】特表2013−508537(P2013−508537A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548943(P2012−548943)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/060277
【国際公開番号】WO2012/082110
【国際公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【出願人】(512036443)
【出願人】(512036454)エー・エス・トラスト アント゛ホールテ゛ィンク゛ス゛ インク (1)
【Fターム(参考)】