説明

炭化水素基含有グラフト重合体およびその製造方法

【課題】高硬度の水を用いて洗浄しても界面活性剤が析出することを効果的に抑制でき、かつ、汚れの再汚染を効果的に防止しうる重合体洗剤ビルダーを提供する。
【解決手段】 下記式(1):


で表されるポリオキシアルキレン系化合物に対して、アニオン性基または水酸基を有する親水性単量体を含む単量体成分がグラフト重合されてなる、炭化水素基含有グラフト重合体、該グラフト重合体を含む洗剤組成物、および該グラフト重合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素基含有グラフト重合体およびその製造方法に関する。詳細には、本発明は、洗剤ビルダーとしての性能に優れる炭化水素基含有グラフト重合体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣料類に用いられる洗剤には、洗剤の洗浄効果を向上させることを目的として、ゼオライト、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどの洗剤ビルダー(洗剤助剤)を配合することが行われている。
【0003】
また、上記の各種洗剤ビルダーに加えて、近年では、重合体を洗剤ビルダーとして洗剤組成物に配合されている。
【0004】
例えば、所定量のグラフト成分と、所定の鎖長を有するポリグリコールエーテル鎖を介して当該グラフト成分と結合されている疎水性残基とを有する水溶性/水分散性グラフト重合体を、洗剤ビルダーとして用いることが開示されている(特許文献1を参照)。
【0005】
また、特に液体洗剤用に好適な洗剤ビルダーとして、ポリエーテル部分を含む主鎖に不飽和カルボン酸系単量体を含む単量体成分がグラフト重合されてなるグラフト重合体を2種以上含むグラフト重合体組成物であって、前記2種以上のグラフト重合体のうちの2種のグラフト重合体の間で、それぞれの主鎖の両末端に位置する構造単位を構成する炭素数を所定の条件下で比較したときに、末端の構造単位の炭素数が3以上異なる、グラフト重合体組成物が開示されている(特許文献2を参照)。
【0006】
ところで、洗剤ビルダーに要求される性能としては、洗剤の洗浄力を向上させる性能は勿論のこと、洗浄力の低下につながる界面活性剤の析出や、汚れの再汚染を抑制/防止する性能もまた、要求されているのが現状である。ここで、界面活性剤の析出の問題は、アニオン界面活性剤である、ドデシルベンゼンスルホン酸のような直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(塩)(LAS)が、水中に存在するカルシウムイオンやマグネシウムイオンと結合することにより生じるため、比較的硬度の高い水を用いて洗浄を行う場合に顕著である(非特許文献1を参照)。
【0007】
しかしながら、上記のいずれのグラフト重合体も、洗剤ビルダーとして用いた場合には、界面活性剤の析出を抑制する性能(以下、単に「析出抑制能」とも称する)および/または汚れ(特に、クレーなどの疎水性汚れ)の再汚染を抑制する性能(以下、単に「再汚染防止能」とも称する)について必ずしも満足のいくものではない。
【0008】
なお、洗剤ビルダー用途ではないが、上記の重合体と同様の構造を有するグラフト重合体も公知である。例えば、紙の表面処理剤として用いられるグラフト重合体として、ポリエーテル(A)と、所定のエチレン性不飽和単量体(B)と、必要に応じて他の単量体(C)とを、所定の量比でグラフト重合して得られるグラフト重合体が知られている(特許文献3を参照)。さらに、染料または蛍光増白剤として用いられるグラフト重合体として、ポリアルキレングリコールの2つの末端ヒドロキシル基が8〜26個の炭素原子を有する脂肪酸によってエステル化されてなるポリアルキレングリコールエーテル鎖の炭素原子に、エチレン不飽和単量体由来の側鎖を含有させたグラフト重合体が知られている(特許文献4を参照)。
【特許文献1】特開昭59−62614号公報
【特許文献2】特開2002−332391号公報
【特許文献3】特開昭58−109700号公報
【特許文献4】特開昭62−4712号公報
【非特許文献1】Louis Ho Tan Tai,“Formulating Detergents and Personal Care Products”,AOCS Press,pp.53−54(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、従来、種々のグラフト重合体が報告されてはいるものの、洗剤ビルダーとして用いられた場合に析出抑制能および再汚染防止能の双方について優れた性能を発揮しうるグラフト重合体は存在せず、これらの双方の性能を十分に発揮しうる洗剤ビルダー(グラフト重合体)の開発が望まれているのが現状である。
【0010】
そこで本発明は、高硬度の水を用いて洗浄しても界面活性剤が析出することを効果的に抑制でき、かつ、汚れの再汚染を効果的に防止しうる重合体洗剤ビルダーを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、このような重合体を効率よく製造可能な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、炭化水素基を含有する所定のポリオキシアルキレン系化合物に対して、所定の親水性単量体を含む単量体成分がグラフト重合されてなる炭化水素基含有グラフト重合体が、洗剤ビルダーとして優れた性能を発揮しうる、具体的には、析出抑制能および再汚染防止能に優れることを見出した。また、本発明者らは、研究の過程において、上記特許文献1のグラフト重合体を洗剤ビルダーとして用いた場合に必ずしも優れた析出抑制能や再汚染防止能が得られない原因を探索した。その結果、特許文献1に記載されているような乳化重合によってグラフト重合体を得ようとしても、グラフトさせようとする成分がポリグリコールエーテル鎖に完全にはグラフトされず、一部がグラフト重合体とは別の重合体(例えば、ポリアクリル酸)となっていることを見出した。そして、このことが、グラフト重合体の洗剤ビルダーとしての性能が十分に発揮されない原因となっているのではないかとの考えに基づき、溶媒量の少ない反応系においてグラフト重合反応を行ったところ、所望のグラフト重合体が確実に得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明の第1は、下記式(1):
【0014】
【化1】

式中、Rは直鎖または分岐の炭素数10〜20のアルキル基またはアルケニル基を表し;Xは、
【0015】
【化2】

を表し;pは0または1であり;Yは、
【0016】
【化3】

式中、R1〜Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Rは水素原子、または下記化学式(2)で表される基;
【0017】
【化4】

式中、R、Rは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、sは0〜200の整数である、
である:
であり;Zは炭素数2〜6のオキシアルキレン基を表し;qは17〜200の整数であり;rは1〜6の整数である、
で表されるポリオキシアルキレン系化合物に対して、アニオン性基または水酸基を有する親水性単量体を含む単量体成分がグラフト重合されてなる、炭化水素基含有グラフト重合体である。
【0018】
また、本発明の第2は、下記式(1):
【0019】
【化5】

式中、Rは直鎖または分岐の炭素数10〜20のアルキル基またはアルケニル基を表し;Xは、
【0020】
【化6】

を表し;pは0または1であり;Yは、
【0021】
【化7】

式中、R1〜Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Rは水素原子、または下記化学式(2)で表される基;
【0022】
【化8】

式中、R、Rは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、sは0〜200の整数である、
である:
であり;Zは炭素数2〜6のオキシアルキレン基を表し;qは17〜200の整数であり;rは1〜6の整数である、
で表されるポリオキシアルキレン系化合物に対して、溶媒の含有量が反応系の全量に対して10質量%以下の反応系において、アニオン性基または水酸基を有する親水性単量体を含む単量体成分を、100℃以上の温度条件下でグラフト重合させる段階を有する、炭化水素基含有グラフト重合体の製造方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の炭化水素基含有グラフト重合体を洗剤ビルダーとして用いると、高硬度の水を用いて洗浄しても界面活性剤の析出が効果的に抑制され、かつ、汚れの再汚染が効果的に防止されうる。また、本発明の製造方法によれば、本発明の重合体が効率よく製造されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0025】
本発明の第1は、炭化水素基含有グラフト重合体に関する。具体的には、本発明の第1は、下記式(1):
【0026】
【化9】

式中、Rは直鎖または分岐の炭素数10〜20のアルキル基またはアルケニル基を表し;Xは、
【0027】
【化10】

を表し;pは0または1であり;Yは、
【0028】
【化11】

式中、R1〜Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Rは水素原子、または下記化学式(2)で表される基;
【0029】
【化12】

式中、R、Rは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、sは0〜200の整数である、
である:
であり;Zは炭素数2〜6のオキシアルキレン基を表し;qは17〜200の整数であり;rは1〜6の整数である、
で表されるポリオキシアルキレン系化合物に対して、アニオン性基または水酸基を有する親水性単量体を含む単量体成分がグラフト重合されてなる、炭化水素基含有グラフト重合体である。
【0030】
本発明の炭化水素基含有グラフト重合体は、上述したように、炭化水素基を含有する所定のポリオキシアルキレン系化合物に対して、所定の親水性単量体を含む単量体成分がグラフト重合されてなる構造を有する。以下、本発明のグラフト重合体を構成する各成分について、詳細に説明する。なお、本発明の重合体は、ポリオキシアルキレン系化合物由来の構成単位と、アニオン性基または水酸基を有する親水性単量体を含む単量体成分由来の構成単位とを有していればよく、当該重合体が製造方法(例えば、後述するグラフト重合(付加重合)など)によって限定されるわけではない。
【0031】
[ポリオキシアルキレン系化合物]
ポリオキシアルキレン系化合物は、下記式(1):
【0032】
【化13】

で表される。
【0033】
上記式(1)において、Rは、直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基を表す。この際、Rの有する炭素原子数は、10〜20個であり、好ましくは11〜18個であり、より好ましくは12〜14個である。Rの有する炭素原子数が10個未満であると、界面活性剤との相互作用が弱くなり、その析出抑制能が低下する虞がある。一方、Rの有する炭素原子数が20個を超えると、粘度が高くなり、重合が困難となるか、仮に重合できたとしてもビルダーとしての使用が困難となる虞がある。アルキル基としては、例えば、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基などが挙げられる。また、アルケニル基としては、例えば、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、イコシレン基などが挙げられる。なかでも、Rは、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基であることが好ましく、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基であることがより好ましい。なお、比較的粘度が低く取扱いが簡便であるという観点からは、Rは第2級のアルキル基またはアルキレン基であることが好ましい。
【0034】
上記式(1)において、Xは、
【0035】
【化14】

を表し、pは、0または1である。なお、本発明のグラフト重合体は、その構造中に芳香環を含まないことが好ましい。これは、本発明のグラフト重合体が環境中に排出された場合、重合体が分解すると、重合体中に含まれる芳香環は有害物質の原因となりうるためである。従って、上記式(1)において、pが1である場合、Xはカルボニル基であることが好ましい。ただし、pは0である(すなわち、Xは存在しない)ことがより好ましい。
【0036】
上記式(1)において、Yは、
【0037】
【化15】

のいずれかを表す。ここで、R〜Rはそれぞれ独立して、炭素数2〜6、好ましくは炭素数2〜4、より好ましくは炭素数2〜3、最も好ましくは炭素数2のアルキレン基を表す。また、Rは、水素原子、または下記化学式(2)で表される基:
【0038】
【化16】

である。式(2)において、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数2〜6、好ましくは炭素数2〜4、より好ましくは炭素数2〜3、最も好ましくは炭素数2のアルキレン基を表す。また、sは0〜200の整数であり、好ましくは0〜100であり、より好ましくは0〜70であり、さらに好ましくは0〜55である。なお、sが2以上である場合、Rとしては1種のみが単独で存在していてもよいし、2種以上が混在していてもよい。ここで、析出抑制能の向上という観点からは、Yは好ましくは−O−R−である。
【0039】
上記式(1)において、Zは、オキシアルキレン基を表す。この際、Zの有する炭素原子数は、2〜20であり、好ましくは2〜15個であり、より好ましくは2〜10個であり、さらに好ましくは2〜5個であり、特に好ましくは2〜3個であり、最も好ましくは2個である。オキシアルキレン基としては、例えば、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、イソブチレンオキサイド、1−ブテンオキサイド、2−ブテンオキサイド、トリメチルエチレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、テトラメチルエチレンオキサイド、ブタジエンモノオキサイド、オクチレンオキサイド、スチレンオキサイド、1,1−ジフェニルエチレンオキサイド等の化合物由来の基が例示されうる。なかでも、Yは、EOまたはPO由来の基(すなわち、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基)であることが好ましく、オキシエチレン基であることがより好ましい。なお、Zとしては、1種のみが単独で存在してもよいし、2種以上が混在していてもよい。上記式(1)において、qは、17〜200の整数であり、好ましくは18〜150であり、より好ましくは19〜100であり、さらに好ましくは20〜60である。qが小さすぎると、重合が困難となる虞がある。また、重合体の水溶性の低下に伴って、析出抑制能も低下する虞がある。一方、qが大きすぎると、粘度が高くなり、重合が困難となるか、仮に重合できたとしてもビルダーとしての使用が困難となる虞がある。
【0040】
オキシアルキレン基により形成される基(すなわち、上記式(1)中のZ)は、オキシエチレン基(−O−CH−CH−)を主体とするものであることが好ましい。この場合、「オキシエチレン基を主体とする」とは、オキシアルキレン基が単量体中に2種以上存在する場合に、全オキシアルキレン基の存在数において、オキシエチレン基がその大半を占めるものであることを意味する。これにより、製造時の重合がスムーズに進行し、かつ、水溶性が向上するという優れた効果が得られる。
【0041】
上記式(1)中のZにおいて、「オキシエチレン基を主体とする」ことを全オキシアルキレン基100モル%中のオキシエチレン基のモル%で表すとき、50〜100モル%であることが好ましい。オキシエチレン基の含量が50モル%未満であると、オキシアルキレン基から形成される基の親水性が低下する虞がある。より好ましくは、60モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上であり、特に好ましくは80モル%以上であり、最も好ましくは90モル%以上である。
【0042】
上記式(1)において、rは、1〜6の整数である。rが2以上である場合、上記式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物は、上記で説明したR(所定のアルキル基またはアルキレン基)の異なる炭素原子に、上記式(1)のかっこ書きで表される基がそれぞれ結合している構造を有するのであって、上記式(1)のかっこ書きで表される基を繰り返し単位とする繰り返し構造が含まれるわけではない。この際、上記式(1)のかっこ書きで表される基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。なお、rは、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜2であり、最も好ましくは1である。
【0043】
このようなポリオキシアルキレン系化合物は、商品が市販されている場合には当該商品を購入したものであってもよいし、自ら調製したものであってもよい。ポリオキシアルキレン系化合物を自ら調製する手法としては、例えば、1)アルカリ金属の水酸化物、アルコキシド等の強アルカリや、アルキルアミン等を塩基触媒として用いるアニオン重合、2)金属および半金属のハロゲン化物、鉱酸、酢酸等を触媒として用いるカチオン重合、3)アルミニウム、鉄、亜鉛等の金属のアルコキシド、アルカリ土類化合物、ルイス酸等を組み合わせたものを用いる配位重合などの手法を用いて、ポリオキシアルキレン系化合物の炭化水素基部分を含むアルコール、エステル、アミン、アミド、チオール、スルホン酸などに、上述したアルキレンオキサイドを付加する手法が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン系化合物の商品としては、例えば、ソフタノール(登録商標)Mシリーズ(株式会社日本触媒製)が挙げられる。
【0044】
[単量体成分]
本発明のグラフト重合体において、単量体成分は、グラフト重合により、上述したポリオキシアルキレン系化合物のポリオキシアルキレン鎖の炭素原子にグラフトした鎖を形成する。
【0045】
単量体成分は、親水性単量体を含む。親水性単量体は、アニオン性基または水酸基を有する単量体である。ここで、アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基などが挙げられる。かような親水性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸などのカルボキシル基を有する単量体;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシ−1−プロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸などのスルホン酸基を有する単量体;ビニルホスホン酸、(メタ)アリルホスホン酸などのホスホン酸基を有する単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体等が例示される。なかでも、重合性が高く、弱酸性で取扱いが簡便であるという観点からは、親水性単量体は、カルボキシル基を有するものであることが好ましく、(メタ)アクリル酸であることがより好ましく、アクリル酸であることがさらに好ましい。これらの親水性単量体は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0046】
なお、単量体成分は、上述した親水性単量体を含むが、単量体成分には、上述した親水性単量体に加えて、当該親水性単量体と共重合可能な他の単量体が含まれてもよい。他の単量体としては、特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステル化により得られるアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;スチレン、スチレンスルホン酸等の芳香族ビニル系単量体類;マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体類;(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール:ビニルピロリドン等のその他官能基含有単量体類;等が挙げられる。これらの他の単量体についても、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、単量体成分が親水性単量体に加えて他の単量体を含む場合、これらの単量体成分から構成されるグラフト鎖において、各単量体成分由来の構成単位の付加形態は特に制限されず、例えばランダム状に付加していてもよいし、ブロック状に付加していてもよい。
【0047】
なお、単量体成分に占める親水性単量体の割合は特に制限されないが、本発明の作用効果を十分に発揮させるという観点から、単量体成分の全量に対する親水性単量体の割合は、好ましくは80〜100モル%であり、より好ましくは90〜100モル%であり、さらに好ましくは95〜100モル%であり、最も好ましくは100モル%である。
【0048】
[炭化水素基含有グラフト重合体]
上述したように、本発明のグラフト重合体は、炭化水素基を含有する所定のポリオキシアルキレン系化合物に対して、所定の親水性単量体を含む単量体成分がグラフト重合されてなる構造を有する。
【0049】
単量体成分のグラフト量は特に制限されず、洗剤ビルダーとしての所望の性能や製造の容易さなどを考慮して適宜設定されうる。特に、単量体成分に含まれる親水性単量体の量を制御するとよい。好ましくは、重合体中に存在するポリオキシアルキレン系化合物由来の部分と親水性単量体由来の部分との質量比が、ポリオキシアルキレン系化合物由来の部分:親水性単量体由来の部分の比で、99:1〜60:40であり、より好ましくは99:1〜70:30であり、さらに好ましくは99:1〜75:25であり、特に好ましくは99:1〜80:20である。親水性単量体由来の部分(グラフト部分)の量が少なすぎると、水溶性が低下する虞がある。一方、親水性単量体由来の部分(グラフト部分)の量が多すぎると、粘度が高くなり、また、製造する際に不純物として混入する未反応の単量体の量が増加するという問題が生じる虞がある。なお、ポリオキシアルキレン系化合物のポリオキシアルキレン鎖の特定の部位に、親水性単量体由来のグラフト鎖を選択的にグラフトさせることは困難である。従って、上記の質量比を算出する際、「親水性単量体由来の部分」とは、ポリオキシアルキレン鎖にグラフトした全てのグラフト鎖の合計部分を意味する。
【0050】
本発明の炭化水素基含有グラフト重合体の重量平均分子量は、洗剤ビルダーとしての所望の性能などを考慮して適宜設定されうるため、特に限定されないが、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体の重量平均分子量は、具体的には、好ましくは1000〜100000であり、より好ましくは1500〜50000であり、さらに好ましくは2000〜30000であり、特に好ましくは3000〜10000である。この重量平均分子量の値が大きすぎると、粘度が高くなり、取扱いが煩雑になる虞がある。一方、この重量平均分子量の値が小さすぎると、析出抑制能が低下し、洗剤ビルダーとして十分な性能が発揮されなくなる虞がある。なお、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体の重量平均分子量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
【0051】
また、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体は、上述したように、炭化水素基として比較的炭素原子数の多いアルキル基またはアルキレン基を含有し、当該基は疎水性を示す。一方、本発明のグラフト重合体が洗剤ビルダーとして優れた性能を発揮するには、一定の親水性もまた、要求される。具体的には、下記数式1:
【0052】
【数1】

で定義されるI値が、好ましくは80以上であり、より好ましくは83以上であり、さらに好ましくは86以上である。なお、当該I値の上限値について特に制限はないが、I値が大きすぎると逆に親水性が高くなりすぎてしまい、洗剤ビルダーとして十分な性能が発揮されない虞がある。かような観点から、I値は、好ましくは99以下であり、より好ましくは98以下である。なお、I値の値としては、NMR法により算出される値を採用するものとする。
【0053】
本発明の炭化水素基含有グラフト重合体は、上述したように、洗剤ビルダーとして用いられると、高硬度の水を用いて洗浄しても界面活性剤が析出することを効果的に抑制でき、かつ、汚れの再汚染を効果的に防止しうる。すなわち、優れた析出抑制能および再汚染防止能を有する。従って、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体は、洗剤ビルダーとして用いられることが好ましい。この際、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体の析出抑制能の具体的な形態は特に制限されないが、析出抑制率として、好ましくは50%であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、特に好ましくは80%以上である。また、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体の再汚染防止能の具体的な形態についても特に制限はないが、再汚染防止率として、好ましくは75%以上であり、より好ましくは78%以上であり、さらに好ましくは82%以上であり、特に好ましくは85%以上である。なお、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体の析出抑制率および再汚染防止率の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
【0054】
[製造方法]
本発明の炭化水素基含有グラフト重合体の製造方法について特に制限はなく、従来公知の知見を適宜参照することにより、製造可能である。ただし、上述したように、本発明者らは、特許文献1に記載されているような乳化重合によってグラフト重合体を得ようとしても、グラフトさせようとする成分がポリグリコールエーテル鎖に完全にはグラフトされず、一部がグラフト重合体とは別の重合体(例えば、ポリアクリル酸)となっていることを見出し、さらに、溶媒量の少ない反応系においてグラフト重合反応を行ったところ、所望のグラフト重合体が確実に得られることを見出した。
【0055】
そこで、本発明の第2は、炭化水素基含有グラフト重合体を効率的に製造可能な製造方法を提供する。すなわち、本発明の第2は、下記式(1):
【0056】
【化17】

で表されるポリオキシアルキレン系化合物に対して、溶媒の含有量が10質量%以下の反応系において、アニオン性基または水酸基を有する親水性単量体を含む単量体成分を、100℃以上の温度条件下でグラフト重合させる段階を有する、炭化水素基含有グラフト重合体の製造方法である。
【0057】
なお、ポリオキシアルキレン系化合物および単量体成分の具体的な形態および好ましい形態については、本発明の第1の欄において説明した通りである。従って、ここでは詳細な説明を省略する。ただし、本発明の第1の炭化水素基含有グラフト重合体の技術的範囲が、本発明の第2の製造方法により製造されたもののみに限定されるわけではない。
【0058】
本発明の第2の製造方法においては、上記式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物に対して、所定の単量体成分をグラフト重合させる。そして、本発明の第2の製造方法は、このグラフト重合の反応系として、溶媒の含有量が反応系の全量に対して10質量%以下の反応系を用いる点に特徴を有する。換言すれば、本発明の第2の製造方法において、グラフト重合は、実質的に塊状重合(バルク重合)の形態において行われる。かような形態でグラフト重合を行うことによって、ポリオキシアルキレン系化合物のポリオキシアルキレン鎖に対して単量体成分を効率的にグラフトさせることが可能となり、上述したような優れた作用効果が得られる。
【0059】
重合の具体的な形態は特に制限されず、塊状重合(バルク重合)に関する従来公知の知見が適宜参照され、さらに必要に応じて改良されて、本発明の製造方法に採用されうる。
【0060】
グラフト重合を行う際には、まず、グラフト重合体の幹となるポリオキシアルキレン系化合物およびグラフト重合体の枝となる単量体成分を、それぞれ所望の量だけ準備する。この際、準備する各成分の量は、本発明の第1の欄において説明した好ましい組成比が得られるように調節されることが好ましい。
【0061】
また、グラフト重合を行う際には、重合開始剤として公知のラジカル重合開始剤を用いるとよい。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられうる。有機過酸化物としては、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレエート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)オクタン等のパーオキシケタール類;p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ヘキシルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2−(4−メチルシクロヘキシル)−プロパンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ)p−ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ)p−イソプロピルヘキシン等のジアルキルパーオキサイド類;イソブチリルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−アリルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;α,α’−ビス(ネオデカノパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシビバレート、tert−ブチルパーオキシビバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジブチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシマレイックアシッド、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジブチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシ−m−トルイルベンゾエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(tert−ブチルパーオキシ)イソフタレート、クミルパーオキシオクトエート、tert−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート等のパーオキシエステル類;tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド等のその他有機過酸化物類;等が挙げられる。なかでも、芳香環を有しない開始剤が用いられることが好ましい。これは、芳香環を有する開始剤(例えば、ベンゾイルパーオキサイド)が用いられると、有害なベンゼン等が発生しうるためである。なお、開始剤としては、ジアルキルパーオキサイド類が用いられることがより好ましく、ジ−tert−ブチルパーオキサイドが用いられることが特に好ましい。これらの有機過酸化物は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0062】
グラフト重合に用いられるラジカル重合開始剤の使用量は特に制限されないが、グラフト重合に用いられる単量体成分の全量に対して、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜8質量%であり、さらに好ましくは1〜6質量%である。ラジカル重合開始剤の使用量が少なすぎると、ポリオキシアルキレン鎖への単量体成分のグラフト率が低下する虞がある。一方、ラジカル重合開始剤の使用量が多すぎると、使用量の増加に見合った効果が得られず、製造コストが高騰する虞がある。なお、ラジカル重合開始剤の添加形態は特に制限されない。ただし、単量体成分と同時に、かつ、予めポリオキシアルキレン化合物と混合されていない状態で添加されることが好ましい。しかしながら、ラジカル重合開始剤を予めポリオキシアルキレン系化合物または単量体成分の少なくとも一方に添加した状態でグラフト重合を行う形態もまた、採用されうる。
【0063】
グラフト重合の際には、上述したラジカル重合開始剤に加えて、ラジカル重合開始剤の分解触媒や還元性化合物を反応系に添加してもよい。ラジカル重合開始剤の分解触媒としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム等のハロゲン化金属;酸化チタン、二酸化ケイ素等の金属酸化物;塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸等の無機酸の金属塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラク酸、イソラク酸、安息香酸等のカルボン酸、そのエステルおよびその金属塩;ピリジン、インドール、イミダゾール、カルバゾール等の複素環アミンおよびその誘導体等が挙げられる。これらの分解触媒は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0064】
また、還元性化合物としては、例えば、フェロセン等の有機金属化合物;ナフテン酸鉄、ナフテン酸銅、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン等の、鉄、銅、ニッケル、コバルト、マンガン等の金属イオンを発生できる無機化合物;三フッ化ホウ素エーテル付加物、過マンガン酸カリウム、過塩素酸等の無機化合物;二酸化硫黄、亜硫酸塩、硫酸エステル、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、スルホキシ酸塩、ベンゼンスルフィン酸とその置換体、パラトルエンスルフィン酸等の環状スルフィン酸の同族体等の硫黄含有化合物;オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオプロピオン酸、α−チオプロピオン酸ナトリウムスルホプロピルエステル、α−チオプロピオン酸ナトリウムスルホエチルエステル等のメルカプト化合物;ヒドラジン、β−ヒドロキシエチルヒドラジン、ヒドロキシルアミン等の窒素含有化合物;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、イソバレリアンアルデヒド等のアルデヒド類;アスコルビン酸等が挙げられる。これらの還元性化合物もまた、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0065】
本発明の第2の製造方法は、実質的に塊状重合(バルク重合)の形態で、グラフト重合を行う点に特徴を有する。具体的には、このグラフト重合の反応系として、溶媒の含有量が反応系の全量に対して10質量%以下の反応系を用いる。これにより、上述したように、ポリオキシアルキレン系化合物のポリオキシアルキレン鎖に対して単量体成分を効率的にグラフトさせることが可能となり、従来の乳化重合などにより得られるグラフト重合体において問題となっていたような単量体成分由来の不純物に起因するビルダー性能の低下といった問題の発生が抑制されうる。
【0066】
本発明の第2の製造方法において、溶媒の使用量は、反応系の全量に対して10質量%以下であるが、好ましくは7質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下であり、最も好ましくは実質的に溶媒を含まない。「実質的に溶媒を含まない」とは、グラフト重合時に積極的に溶媒を添加しない形態を意味し、不純物程度の溶媒の混入は許容されうることを意味する。
【0067】
反応系が溶媒を含む場合、用いられる溶媒は特に制限されないが、単量体成分の溶媒への連鎖移動定数が小さいものや、常圧下で使用可能な沸点80℃以上のもの等が好ましい。このような溶媒としては、例えば、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類;エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル等のジエーテル類;酢酸、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノアルキルエーテルの酢酸エステル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルの酢酸エステル等の酢酸系化合物;等が挙げられる。これらの溶媒は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。上記アルコール類およびジエーテル類中のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0068】
本発明の第2の製造方法において、グラフト重合の際の温度は100℃以上であり、好ましくは100〜160℃であり、さらに好ましくは110〜150℃である。重合時の温度が低すぎると、反応液の粘度が高くなり過ぎ、グラフト重合が進行しにくく、単量体成分のグラフト率が低下する虞がある。一方、重合時の温度が高すぎると、ポリオキシアルキレン系化合物および得られるグラフト重合体の熱分解が起こる虞がある。なお、グラフト重合時の温度は、重合反応の進行中において、常に一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間または昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応の進行中に経時的に重合温度を変動(昇温または降温)させてもよい。
【0069】
重合時間は特に制限されないが、好ましくは60〜420分であり、より好ましくは90〜390分であり、さらに好ましくは120〜360分である。
【0070】
反応系内の圧力としては、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれであってもよいが、得られる重合体の分子量の点では、常圧下、または、反応系内を密閉し、加圧下で行うことが好ましい。また、加圧装置や減圧装置、耐圧性の反応容器や配管等の設備の点では、常圧(大気圧)下で行うことが好ましい。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でもよいが、不活性雰囲気とするのが好ましく、例えば、重合開始前に系内を窒素等の不活性ガスで置換することが好ましい。
【0071】
グラフト重合の際には、グラフト重合体の幹となるポリオキシアルキレン系化合物の一部または全部を反応系に仕込んだ状態で、重合を開始するとよい。例えば、ポリオキシアルキレン系化合物の全量を反応系に仕込み、反応系を昇温させた後、単量体成分および必要に応じてラジカル重合開始剤を別々に添加して、グラフト重合反応を進行させる形態が例示される。かような形態によれば、得られるグラフト重合体の分子量が容易に調整されうるため、好ましい。なお、グラフト重合は、回分式で行われてもよいし、連続式で行われてもよい。
【0072】
本発明の第1の炭化水素基含有グラフト重合体、および本発明の第2の製造方法により製造された炭化水素基含有グラフト重合体においては、ポリオキシアルキレン系化合物のポリオキシアルキレン鎖に対して、単量体成分が効率的にグラフトされている。特に好ましくは、グラフト率100%の重合体の構造であり、かような形態によれば、従来の乳化重合のような手法で得られたグラフト重合体において問題となっていたグラフトされない単量体成分に由来する不純物(例えば、ポリアクリル酸)の残留、およびこれに伴うビルダー性能の低下といった問題の発生が抑制されうる。この効果を定量的に表現すると、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体を電気泳動法により分析した際に観察される、グラフトした親水性単量体由来のピーク面積(h)と、グラフトしていない親水性単量体由来のピーク面積(h)との比の値(h/h)は、好ましくは1以上であり、より好ましくは4以上であり、さらに好ましくは9以上である。なお、各ピーク面積の値としては、以下の条件下にて、電気泳動法により測定される値を採用するものとする。
【0073】
【表1】

本発明の第1のグラフト重合体、または本発明の第2の製造方法により得られるグラフト重合体は、上述したように、洗剤ビルダーとして用いられうる。洗剤ビルダーとしては、衣料用、食器用、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用、及び自動車用など、様々な用途の洗剤に添加されて使用されうる。このように、上記のグラフト重合体から構成される洗剤ビルダーを含む洗剤組成物もまた、本発明の好ましい実施形態の一つである。したがって、本発明の第3は、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体を含む洗剤組成物をも提供する。
【0074】
本発明の第3の洗剤組成物は、上述した炭化水素基含有グラフト重合体を含むが、洗剤組成物における当該炭化水素基含有グラフト重合体の含有量は特に制限されない。ただし、優れたビルダー性能を発揮しうるという観点からは、炭化水素基含有グラフト重合体の含有量は、洗剤組成物の全量に対して、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
【0075】
本発明の第3の洗剤組成物には、通常、洗剤に用いられる界面活性剤や添加剤が含まれる。これらの界面活性剤や添加剤の具体的な形態は特に制限されず、洗剤分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。また、本発明の第3の洗剤組成物は、粉末洗剤組成物であってもよいし、液体洗剤組成物であってもよい。
【0076】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択される1種または2種以上である。2種以上が併用される場合、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との合計量は、界面活性剤の全量に対して50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。
【0077】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステルまたはその塩、アルケニルリン酸エステルまたはその塩等が好適である。これらのアニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0078】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が好適である。これらのノニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0079】
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が好適である。また、両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が好適である。これらのカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0080】
上記界面活性剤の配合割合は、通常、洗剤組成物の全量に対して10〜60質量%であり、好ましくは15〜50質量%であり、さらに好ましくは20〜45質量%であり、特に好ましくは25〜40質量%である。界面活性剤の配合割合が少なすぎると、十分な洗浄力を発揮できなくなる虞があり、界面活性剤の配合割合が多すぎると、経済性が低下する虞がある。
【0081】
添加剤としては、アルカリビルダー、キレートビルダー、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の汚染物質の再沈着を防止するための再付着防止剤、ベンゾトリアゾールやエチレン−チオ尿素等の汚れ抑制剤、ソイルリリース剤、色移り防止剤、柔軟剤、pH調節のためのアルカリ性物質、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、溶媒等が好適である。また、粉末洗剤組成物の場合にはゼオライトを配合することが好ましい。
【0082】
本発明の第3の洗剤組成物は、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体に加えて、他の洗剤ビルダーを含んでもよい。他の洗剤ビルダーとしては、特に制限されないが、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩などのアルカリビルダーや、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、ボウ硝、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、クエン酸塩、(メタ)アクリル酸の共重合体塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体、フマル酸塩、ゼオライト等のキレートビルダー、カルボキシメチルセルロース等の多糖類のカルボキシル誘導体等が挙げられる。上記ビルダーに用いられる対塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニウム、アミン等が挙げられる。
【0083】
上記添加剤/他の洗剤用ビルダーの配合割合は、通常、洗浄剤組成物100質量%に対して0.1〜20質量%が好ましい。より好ましくは0.2〜15質量%であり、さらに好ましくは0.3〜10質量%であり、特に好ましくは0.4〜8質量%であり、最も好ましくは0.5〜5質量%以下である。添加剤/他の洗剤ビルダーの配合割合が0.1質量%未満であると、十分な洗剤性能を発揮できなくなる虞があり、20質量%を超えると経済性が低下する虞がある。
【0084】
本発明の第3の洗剤組成物に含まれる炭化水素基含有グラフト重合体の配合形態は、液状、固形状等のいずれであってもよく、洗剤の販売時の形態(例えば、液状物または固形物)に応じて決定することができる。
【0085】
なお、本発明の第3の洗剤組成物の概念には、家庭用洗剤の合成洗剤、繊維工業その他の工業用洗剤、硬質表面洗浄剤のほか、その成分の1つの働きを高めた漂白洗剤等の特定の用途にのみ用いられる洗剤も含まれる。
【0086】
本発明の第3の洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、液体洗剤組成物に含まれる水分量は、通常、液体洗剤組成物の全量に対して0.1〜75質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜70質量%であり、さらに好ましくは0.5〜65質量%であり、さらにより好ましくは0.7〜60質量%であり、特に好ましくは1〜55質量%であり、最も好ましくは1.5〜50質量%である。
【0087】
本発明の第3の洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、当該洗剤組成物は、カオリン濁度が200mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは150mg/L以下であり、さらに好ましくは120mg/L以下であり、特に好ましくは100mg/L以下であり、最も好ましくは50mg/L以下である。
【0088】
また、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体を洗剤ビルダーとして液体洗剤組成物に添加する場合としない場合とでのカオリン濁度の変化(差)は、500mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは400mg/L以下であり、さらに好ましくは300mg/L以下であり、特に好ましくは200mg/L以下であり、最も好ましくは100mg/L以下である。カオリン濁度の値としては、以下の手法により測定される値を採用するものとする。
【0089】
<カオリン濁度の測定方法>
厚さ10mmの50mm角セルに均一に攪拌した試料(液体洗剤)を仕込み、気泡を除いた後、日本電色株式会社製NDH2000(商品名、濁度計)を用いて25℃でのTubidity(カオリン濁度:mg/L)を測定する。
【0090】
上記洗浄剤組成物に配合することができる酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が好適である。中でも、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼ及びアルカリセルラーゼが好ましい。
【0091】
上記酵素の添加量は、洗浄剤組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、洗浄力の向上が見られなくなり、経済性が低下するおそれがある。
【0092】
本発明の第3の洗剤組成物は、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの濃度が高い硬水中で使用しても、塩の析出が少なく、優れた洗浄効果を有する。すなわち、本発明の第4は、本発明の第3の洗剤組成物と、硬度100mg/L(炭酸カルシウム換算)以上の水と、を用いる洗濯方法である。ドデシルベンゼンスルホン酸塩のような直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)と、洗浄時に使用される水中に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンとが塩を形成し、この塩がLASの洗浄効果を抑制することは、前に述べたとおりである。これは、水道水中に含まれるカルシウム濃度が高い地域、具体的には水の硬度が100mg/L以上の地域では、特に問題となるところである。これに対し、本発明の第3の洗剤組成物を用いて洗濯を行うことによって、かような問題は解決されうる。この効果は、本発明の第3の洗剤組成物が、LASのようなアニオン界面活性剤を含む場合に特に顕著である。
【0093】
本発明の第4の洗濯方法においては、上述した本発明の第3の洗剤組成物が用いられる。洗濯時に用いられる洗剤組成物の量は、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、通常は、洗濯水中0.3〜3.0g/Lで使用される。この範囲の使用量であれば、洗浄性や洗剤の溶解性などの点で、好ましい。
【0094】
本発明の第4の洗濯方法において、洗濯に使用される水は、硬度が100mg/L(炭酸カルシウム換算)以上のものであるが、より好ましくは、炭酸カルシウム換算で、硬度100〜500mg/Lであり、さらに好ましくは硬度100〜300mg/Lである。なお、本発明でいう「硬度」とは、JIS K0101に従って測定される全硬度を意味する。
【0095】
本発明の第4の洗濯方法においては、本発明の第3の洗剤組成物を用いて、硬度100mg/L以上の水で洗濯する限りは、洗濯に用いる手段(洗濯機、手洗い等)や洗濯回数などの具体的な形態は特に制限されない。
【実施例】
【0096】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0097】
また、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体の重量平均分子量、析出抑制能および再汚染防止能は、下記の方法に従って測定した。
【0098】
【表2】

<析出抑制能の測定方法>
(1)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを200mg/L、サンプル重合体を10mg/L含有する水(pH10)に、炭酸カルシウム濃度で610mg/Lの硬度を有するように塩化カルシウム水溶液を添加した。
【0099】
(2)塩化カルシウム2水和物14.7gに純水を加えて100gとし、1mol/Lの塩化カルシウム水溶液を調製した。
【0100】
(3)グリシン4.5g、塩化ナトリウム3.5gに純水を加えて1,000gとし、グリシン緩衝液を作製した。なお、pHは水酸化ナトリウムにて10に調整した。
【0101】
(4)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0gに、サンプル重合体0.1gを加え、これに純水を加えて200gとし、試験液を調製した。
【0102】
(5)(3)のグリシン緩衝液3.6g、(4)の試験液1.8gに純水を加えて90gとした後、マグネチックスターラーを用いて十分に攪拌してサンプル溶液を調製した。
【0103】
(6)(5)で作製したサンプル溶液に、平沼産業製自動滴装置(本体:COM−550、光度速度ユニット;M−500)を用いて、1mol/L塩化カルシウム水溶液で滴定した後、サンプル水溶液の透過率を測定(波長:650nm)した。なお、塩化カルシウム水溶液の滴定量は0.55ml、滴下速度は0.025ml/sとした。
【0104】
(7)以上の測定結果から、塩化カルシウム水溶液を0.55ml添加時点のサンプル水溶液の透過率を測定し、その値を析出抑制率とした。なお、析出抑制率が高いほど、析出抑制能に優れることを意味する。
【0105】
<再汚染防止率の測定方法>
(1)Test fabric社より入手したポリエステル布を5cm×5cmに切断し、白布を作成した。この白布を予め日本電色工業株式会社製の測色色差計SE2000型を用いて、白色度を反射率にて測定した。
【0106】
(2)塩化カルシウム2水和物4.41gに純水を加えて15kgとし、硬水を調製した。
【0107】
(3)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.0g、炭酸ナトリウム6.0g、硫酸ナトリウム2.0gに純水を加えて100.0gとし、界面活性剤水溶液を調製した。
【0108】
(4)ターゴットメーターを25℃にセットし、硬水1Lおよび界面活性剤水溶液5g、固形分換算で2%の重合体水溶液1g、ゼオライト0.15g、カーボンブラック0.25gをポットに入れ、100rpmで1分間攪拌した。その後、白布10枚を入れ100rpmで10分間攪拌した。
【0109】
(5)手で白布の水を切り、25℃にした水道水1Lをポットに入れ、100rpmで2分間攪拌した。これを2回行った。
【0110】
(6)白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、上記測色色差計にて再度白布の白色度を反射率にて測定した。
【0111】
(7)以上の測定結果から下記数式2により再汚染防止率を求めた。なお、再汚染防止率が高いほど、再汚染防止能に優れることを意味する。
【0112】
【数2】

<実施例1−1>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、ソフタノール500(株式会社日本触媒製;第2級アルコール(C12−14)のエチレンオキサイド50モル付加物)181.3gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、126℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、126℃に保持された重合反応系中に、100%アクリル酸(以下、「AA」とも称する)32.0g、ジ−tert−ブチルパーオキサイド(以下、「DTBP」とも称する)1.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、DTBPは200分間、AAはDTBP滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0113】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を126℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水92.1gを加え、重合反応液を希釈した。
【0114】
このようにして、重量平均分子量5,800、固形分濃度70%の重合体1の水溶液を得た。
【0115】
<実施例1−2>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、ソフタノール300(株式会社日本触媒製;第2級アルコール(C12−14)のエチレンオキサイド30モル付加物)74.7gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、126℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、126℃に保持された重合反応系中に、AA32.0g、DTBP1.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、DTBPは200分間、AAはDTBP滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0116】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を126℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水46.4gを加え、重合反応液を希釈した。
【0117】
このようにして、重量平均分子量4,700、固形分濃度70%の重合体2の水溶液を得た。
【0118】
<実施例1−3>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、ソフタノール300 181.3gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、126℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、126℃に保持された重合反応系中に、AA32.0g、DTBP1.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、DTBPは200分間、AAはDTBP滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0119】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を126℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水92.1gを加え、重合反応液を希釈した。
【0120】
このようにして、重量平均分子量4,400、固形分濃度70%の重合体3の水溶液を得た。
【0121】
<実施例1−4>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、ソフタノール200(株式会社日本触媒製;第2級アルコール(C12−14)のエチレンオキサイド20モル付加物)74.7gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、126℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、126℃に保持された重合反応系中に、AA32.0g、DTBP1.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、DTBPは200分間、AAはDTBP滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0122】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を126℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水46.4gを加え、重合反応液を希釈した。
【0123】
このようにして、重量平均分子量4,700、固形分濃度70%の重合体4の水溶液を得た。
【0124】
<実施例1−5>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、ソフタノール600(株式会社日本触媒製;第2級アルコール(C12−14)のエチレンオキサイド60モル付加物)152.0gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、126℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、126℃に保持された重合反応系中に、AA8.0g、DTBP0.4gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、DTBPは200分間、AAはDTBP滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0125】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を126℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水68.7gを加え、重合反応液を希釈した。
【0126】
このようにして、重量平均分子量5,100、固形分濃度70%の重合体5の水溶液を得た。
【0127】
<実施例1−6>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、ラウリルアルコールのエチレンオキサイド23モル付加物(以下、「LA23」とも称する)181.3gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、126℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、126℃に保持された重合反応系中に、AA32.0g、DTBP1.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、DTBPは200分間、AAはDTBP滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0128】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を126℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水92.1gを加え、重合反応液を希釈した。
【0129】
このようにして、重量平均分子量5,200、固形分濃度70%の重合体6の水溶液を得た。
【0130】
<実施例1−7>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、ソフタノール300 96.0gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、76℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、76℃に保持された重合反応系中に、AA32.0g、ベンゾイルパーオキサイド(以下、「BZP」とも称する)1.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、BZPは200分間、AAはBZP滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0131】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を76℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水55.5gを加え、重合反応液を希釈した。
【0132】
このようにして、重量平均分子量8,300、固形分濃度70%の重合体7の水溶液を得た。
【0133】
<実施例1−8>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、ソフタノール300 96.0g、マレイン酸6.4gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、126℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、126℃に保持された重合反応系中に、AA25.6g、DTBP1.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、DTBPは200分間、AAはDTBP滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0134】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を126℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水55.5gを加え、重合反応液を希釈した。
【0135】
このようにして、重量平均分子量8,800、固形分濃度70%の重合体8の水溶液を得た。
【0136】
<実施例1−9>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、ソフタノール300 96.0g、イタコン酸6.4gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、126℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、126℃に保持された重合反応系中に、AA25.6g、DTBP1.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、DTBPは200分間、AAはDTBP滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0137】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を126℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水55.5gを加え、重合反応液を希釈した。
【0138】
このようにして、重量平均分子量6,200、固形分濃度70%の重合体9の水溶液を得た。
【0139】
<実施例1−10>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコにソフタノール300 96.0gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、126℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、126℃に保持された重合反応系中に、AA25.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、「HEMA」とも称する)6.4g、DTBP1.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、DTBPは200分間、AAはDTBP滴下開始20分後より210分間、HEMAはDTBP滴下開始20分後より190分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0140】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を126℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水55.5gを加え、重合反応液を希釈した。
【0141】
このようにして、重量平均分子量6,600、固形分濃度70%の重合体10の水溶液を得た。
【0142】
<実施例1−11>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、ソフタノール300 96.0gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、126℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、126℃に保持された重合反応系中に、AA25.6gと2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(以下、「AMPS」とも称する)6.4gとの混合液、およびDTBP1.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、DTBPは200分間、AAはDTBP滴下開始20分後より210分間、AMPSはDTBP滴下開始20分後より190分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0143】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を126℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水55.5gを加え、重合反応液を希釈した。
【0144】
このようにして、重量平均分子量8,600、固形分濃度70%の重合体11の水溶液を得た。
【0145】
<比較例1>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、フェノールのエチレンオキサイド20モル付加物(以下、「PH20」とも称する)96.0g、マレイン酸6.4gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、126℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、126℃に保持された重合反応系中に、AA25.6g、DTBP1.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、DTBPは200分間、AAはDTBP滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0146】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を126℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水55.5gを加え、重合反応液を希釈した。
【0147】
このようにして、重量平均分子量8,400、固形分濃度70%の比較重合体1の水溶液を得た。
【0148】
<比較例2>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、メタノールのエチレンオキサイド10モル付加物(以下、「ME10」とも称する)74.7g、マレイン酸10.7gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、126℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、126℃に保持された重合反応系中に、AA21.3g、DTBP1.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、DTBPは200分間、AAはDTBP滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0149】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を126℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水46.4gを加え、重合反応液を希釈した。
【0150】
このようにして、重量平均分子量6,300、固形分濃度70%の比較重合体2の水溶液を得た。
【0151】
<比較例3>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、メタノールのエチレンオキサイド25モル付加物(以下、「ME25」とも称する)74.7gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、126℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、126℃に保持された重合反応系中に、AA32.0g、DTBP1.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、DTBPは200分間、AAはDTBP滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
【0152】
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を126℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水46.4gを加え、重合反応液を希釈した。
【0153】
このようにして、重量平均分子量9,500、固形分濃度70%の比較重合体3の水溶液を得た。
【0154】
上記の実施例1−1〜1−11および比較例1〜3で得られた重合体の組成を下記の表3に示す。
【0155】
【表3】

<実施例2>
実施例2では、上記の実施例1−1〜1−11および比較例1〜3で得られた重合体について、洗剤組成物としての評価を行なうため、上記方法に従って析出抑制能および再汚染防止能について評価を行なった。その結果を下記の表4に示す。なお、表4には、参考のために、重合体を添加せずに同様の実験を行なった結果を合わせて記載する(表4における「重合体無添加」の欄)。
【0156】
【表4】

表4に示す結果から、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体は、重合体を添加しない場合や、従来のグラフト重合体を添加した場合と比較して、有意に優れた析出抑制能および再汚染防止能を有していることが示される。従って、本発明の炭化水素基含有グラフト重合体を洗剤ビルダーとして用いると、高硬度の水を用いて洗浄しても界面活性剤の析出が効果的に抑制され、かつ、汚れの再汚染が効果的に防止されうることが期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】

式中、Rは直鎖または分岐の炭素数10〜20のアルキル基またはアルケニル基を表し;Xは、
【化2】

を表し;pは0または1であり;Yは、
【化3】

式中、R1〜Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Rは水素原子、または下記化学式(2)で表される基;
【化4】

式中、R、Rは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、sは0〜200の整数である、
である:
であり;Zは炭素数2〜6のオキシアルキレン基を表し;qは17〜200の整数であり;rは1〜6の整数である、
で表されるポリオキシアルキレン系化合物に対して、アニオン性基または水酸基を有する親水性単量体を含む単量体成分がグラフト重合されてなる、炭化水素基含有グラフト重合体。
【請求項2】
重合体中に存在する前記ポリオキシアルキレン系化合物由来の部分と前記親水性単量体由来の部分との質量比が、99:1〜60:40(ポリオキシアルキレン系化合物由来の部分:親水性単量体由来の部分)である、請求項1に記載の炭化水素基含有グラフト重合体。
【請求項3】
下記数式1:
【数1】

で定義されるI値が80以上である、請求項1または2に記載の炭化水素基含有グラフト重合体。
【請求項4】
前記グラフト重合体の構造中に芳香環を含まない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化水素基含有グラフト重合体。
【請求項5】
洗剤ビルダーとして用いられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化水素基含有グラフト重合体。
【請求項6】
析出抑制率が50%以上である、請求項5に記載の炭化水素基含有グラフト重合体。
【請求項7】
再汚染防止率が75%以上である、請求項5または6に記載の炭化水素基含有グラフト重合体。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の炭化水素基含有グラフト重合体を含む洗剤組成物。
【請求項9】
下記式(1):
【化5】

式中、Rは直鎖または分岐の炭素数10〜20のアルキル基またはアルケニル基を表し;Xは、
【化6】

を表し;pは0または1であり;Yは、
【化7】

式中、R1〜Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Rは水素原子、または下記化学式(2)で表される基;
【化8】

式中、R、Rは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、sは0〜200の整数である、
である:
であり;Zは炭素数2〜6のオキシアルキレン基を表し;qは17〜200の整数であり;rは1〜6の整数である、
で表されるポリオキシアルキレン系化合物に対して、溶媒の含有量が反応系の全量に対して10質量%以下の反応系において、アニオン性基または水酸基を有する親水性単量体を含む単量体成分を、100℃以上の温度条件下でグラフト重合させる段階を有する、炭化水素基含有グラフト重合体の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の製造方法により製造された炭化水素基含有グラフト重合体であって、
前記グラフト重合体を電気泳動法により分析した際に観察される、グラフトした親水性単量体由来のピーク面積(h)と、グラフトしていない親水性単量体由来のピーク面積(h)との比の値(h/h)が、1以上である、炭化水素基含有グラフト重合体。
【請求項11】
請求項8に記載の洗剤組成物、または請求項9に記載の製造方法により製造された炭化水素基含有グラフト重合体もしくは請求項10に記載の炭化水素基含有グラフト重合体を含む洗剤組成物と、硬度100mg/L(炭酸カルシウム換算)以上の水と、を用いる洗濯方法。

【公開番号】特開2007−254679(P2007−254679A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83817(P2006−83817)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】