説明

炭化水素留分からの塩素化合物の除去

本発明は、水素の存在下に、改質、芳香族化合物製造、脱水素化、異性化または水素化の帯域からの流出物の少なくとも一部を除去帯域において接触させることによる、塩化水素および有機塩素化合物の形態の塩素の除去による精製方法であって、前記流出物の一部は、オレフィン、塩化水素および有機塩素化合物を含み、該除去帯域は、鎖状配置の2種の集塊を含み、第1の集塊は、第VIII族からの少なくとも1種の金属を鉱物担体上に担持させられて含む集塊であり、第2の集塊は、塩化水素吸着剤である、方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化水素および有機塩素化合物の形態の塩素の除去による精製方法に関する。
【0002】
本発明者らは、改質帯域からの流出物の一部についての塩素の除去による精製方法の場合において本発明を例証するつもりである。
【0003】
接触改質の目的の一つは、オクタン価が向上した炭化水素を得ることにある。炭化水素のオクタン価は、炭化水素が分枝、環式、および実際に芳香族であるかの程度の増加に比例して高くなることが立証されている。このように、炭化水素に対する環化および芳香族化の反応が促進されることになる。
【0004】
通常、このような炭化水素の環化および芳香族化の反応は、塩素化された二金属不均一系触媒の存在下に起こる。これらの塩素化触媒は、アルミナベースであり、最も頻繁には白金および他の金属、例えばスズ、レニウム、イリジウム等を含む。このような触媒中に塩素が存在することは重要である。なぜならアルミナに添加されると、それは系全体の酸性度を保証し、やがて白金の再分散に関与し、このことにより触媒の触媒活性を安定させるのを可能とするからである。
【0005】
しかし、塩素を添加することは、そのことによる不利益を伴わない解決策ではない。実際に、時間の経過と共に、塩素の、特に塩化水素の形態での溶出があることが見いだされている。このような溶出は、触媒に塩素を絶えず補給しなければならないという必要性からまずは明らかである。それはまた、接触改質操作から発する気体および液体の流出物中に塩化水素および他の塩素化合物が存在することに至り、その結果、装置の腐食に関する問題、塩素をベースとする沈着物または塩類の形成に関する問題、あるいは下流に配置された触媒、例えばベンゼン水素化触媒の汚染の加速化に関する問題が生じ得る。
【0006】
接触改質はまた、水素を生じさせる。石油精製において、水素はとりわけ貴重な生成物であり、特に、環境保護向上の目的でますます開発されている水素化処理において用いられるという理由で、水素はとりわけ貴重な生成物である。
【0007】
約2MPaまたは実際にそれ以上の圧力下で行われる従来の接触改質からの排出物として、気体流出物は、大部分は水素、軽質炭化水素、例えばメタン、エタンなどからなり、一般に痕跡量の塩化水素および水を含む。従って、例えばアルミナベースの固体上でそのような流出物から痕跡量の全ての塩化水素を除去し、その後リサイクルし、依然精製状況において精製水素を用いることが可能であることは、重要である。
【0008】
更に、複数の再生方法が、近年考案されており、現場でますます開発されている。これらの方法は0.3〜1.5MPaに近似する圧力下または更に低い圧力下で行われる。
【0009】
再生接触改質操作からの排出物として、水素、軽質炭化水素、および痕跡量の塩化水素と水に加えて、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン等の痕跡量の不飽和炭化水素が検出された。これらの不飽和炭化水素は、塩素の存在下かつ吸着剤と接触させられて、少なくとも部分的に有機塩素化合物へと転換され、該有機塩素化合物は高分子の集塊のオリゴマーの前駆体である。これらの「グリーンオイル」は、装置中において閉塞を起こし得る。それ故、吸着剤の耐用期間の大幅な減少が見いだされる。場合によっては、4〜5倍の減少が観測されてきた。
【0010】
この現象はまた、接触改質からの液体流出物中の塩素の除去に用いられるアルミナベースの固体に関して認められる。接触改質は、存在する有機塩素化合物を完全には除去しない。加えてその結果、モノオレフィン/ジオレフィンおよび塩化水素の存在下に有機塩素化合物が形成され得る。
【0011】
本発明の目的は、塩素化合物および塩化水素、より具体的には気体または液体中の塩素化合物および塩化水素の効果的な除去のための改良方法を提案することにある。本発明の他の目的は、再生改質方法の下流において、オリゴマー、とりわけ「グリーンオイル」と称される塩素化オリゴマーの形成を実質的に減少させるか又は実際に抑制する組成物を用いた方法を提案することにある。
【0012】
本発明の魅力は、塩素化合物が抑制されることにより、特に、NHClの有害な形成および塩素に関連する腐食問題を回避することが可能になることである。
【0013】
本発明の他の魅力は、塩素化合物が抑制されることにより、装置の下流の触媒、とくにベンゼン水素化装置の触媒、を保護することが可能となることである。
【背景技術】
【0014】
特許文献1には、気体または液体中に含まれるハロゲン化合物の除去、減少および/または抑制方法が記載されており、ここで、気体または液体は、少なくとも600℃の温度でアルミナを焼成することによる沈着操作の後、アルカリ金属から選択される少なくとも1種の元素を含む少なくとも1種の化合物のアルミナ上の沈着により得られる組成物と接触させられる。
【0015】
特許文献2には、気体または液体中に含まれるハロゲン化合物を除去する方法が記載されており、ここで、気体または液体は、アルミナおよび/またはアルミナ水和物と、第VIII族、第IB族および/または第IIB族の金属により形成される群から選択される少なくとも1種の金属元素とを含む組成物と接触させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1053053号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0948995号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、水素の存在下に、改質、芳香族化合物製造、脱水素化、異性化または水素化の帯域からの流出物の少なくとも一部を除去帯域において接触させることによる、塩化水素および有機塩素化合物の形態の塩素の除去による精製方法であって、前記流出物の一部は、オレフィン、塩化水素および有機塩素化合物を含み、該除去帯域は、鎖状配置の2種の集塊を含み、第1の集塊は、第VIII族からの少なくとも1種の金属を鉱物担体上に担持させられて含む集塊であり、第2の集塊は、塩化水素吸着剤である、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】改質帯域からの流出物の処理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
本明細書において、第VIII族は、CAS方式による分類に従った第VIII族に相当し、これは新IUPAC方式による分類に従った第8族〜第10族の金属に相当する(CRC Handbook of Chemistry and Physics, publisher CRC Press, editor D R Lide, 81st edition, 2000-2001)。
【0020】
本特許出願の明細書において、オレフィンという用語は、モノオレフィンおよび/またはジオレフィンに相当する。
【0021】
本発明は、水素の存在下に、改質、芳香族化合物製造、脱水素化、異性化または水素化の帯域からの流出物の少なくとも一部を除去帯域において接触させることによる、塩化水素および有機塩素化合物の形態の塩素の除去による精製方法であって、前記流出物の一部は、オレフィン、塩化水素および有機塩素化合物を含み、該除去帯域は、鎖状配置の2種の集塊を含み、第1の集塊は、第VIII族からの少なくとも1種の金属を鉱物担体上に担持させられて含む集塊であり、第2の集塊は、塩化水素吸着剤である、方法に関する。
【0022】
好ましい変形例によると、改質帯域からの流出物の少なくとも一部が気−液分離器中を流通し、前記分離器が水素に富む気体の流れ(A)および液体流出物(B)を生じさせ、前記液体流出物は安定化帯域へと通過させられ、前記安定化帯域により少なくとも2種の留分、すなわち、第1の軽質留分(C)および第1の重質留分(D)が生じるに至り、前記第1の重質留分は分留カラムへと通過させられ、該分留カラムにより少なくとも2種の留分、すなわち、第2の軽質留分(E1)、場合による留分(E2)および第2の重質留分(F)が生じるに至り、該第2の軽質留分(E1)は、カラム頂部で抜き出され、留分(E2)は、カラム頂部とカラム供給口との間で抜き出され、留分(E1)および留分(E2)はそれぞれベンゼン水素化帯域へと通過させられ得る。精製帯域は気−液分離器、安定化カラム、または分留カラムから来る任意の流れ上に配置される。
【0023】
本発明の好ましい変形例によると、精製帯域は水素に富む気体の流れ(A)、液体流出物(B)、または留分(E1)あるいは留分(E2)のいずれか1つの上に配置される。
【0024】
変形例によると、接触操作において、改質、芳香族化合物製造、脱水素化、異性化、水素化の帯域からの流出物の少なくとも一部を除去する帯域上で水素が添加される。
【0025】
収集帯域の2種の集塊は一般に、同一の反応器または2つの異なる反応器のいずれかに充填される。2種の集塊が同一の反応器に充填される場合、第1の集塊は一般に触媒集塊であり、第2の集塊は一般に塩化水素吸着剤である。
【0026】
変形例によると、2種の集塊は同一の反応器に配置され、第1の集塊は一般に収集帯域の頂部に配置される。それは、一般に前記帯域の総体積の10〜60%に相当する体積を占める。
【0027】
変形例によると、第2の集塊が飽和している場合、それは、別個に排出され、その間処理されるべき充填物は、塩化水素吸着剤を含む第3の反応器へと迂回させられる。これにより、操作の連続性が確保される。
【0028】
選択される第VIII族からの金属は、好ましくはパラジウムおよび/または白金である。これらの金属は、当業者に知られた方法を用いて、すなわち、可溶性のパラジウムおよび白金の塩の水溶液の含浸によって、担体上に沈着させられる。例えば、第VIII族金属がパラジウムである場合、それは、パラジウム前駆体の水溶液または有機溶液の含浸を伴う手順によって、導入され得る。該前駆体は例えば、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、テトラミンパラジウムジヒドロキシド、テトラミンパラジウムクロリド等の無機化合物、または、パラジウム ビス z−アリルあるいはパラジウム ビス−アセチルアセトナート等の有機金属化合物であってもよい。パラジウムは好ましくは、表皮部構造中に、すなわち触媒粒、例えばボール状または円筒状の押出物の表面に沈着させられ、ボールまたは円筒の半径の例えば80%を超えない周辺層に含まれる触媒粒中に貫入される。表皮部の厚さは一般に100〜700マイクロメートルである。
【0029】
種々の要素の導入後、触媒は一般に、約120℃で乾燥させられ、その後一般に150〜700℃の間の温度で焼成される。
【0030】
パラジウムまたは白金の含量は、一般に0.1〜1重量%であり、好ましくは0.2〜0.6重量%である。
【0031】
用いられる鉱物担体は、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、シリカマグネシア、酸化チタン、ゼオライトタイプのアルミノケイ酸塩から選択され得、これらの固体は全て単独でまたは混合物として用いられる。好ましくはアルミナが用いられることになる。
【0032】
第2の集塊は、塩化水素の効果的な吸着のために知られたすべてのものから選択され得る。それらは、1種以上のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物と、これを沈着させる、比表面積が一般に50〜400m/gであるアルミナとによって形成され得る。
【0033】
それらはまた、特に銅および/または亜鉛をベースとする混合酸化物を含んでもよい。
【0034】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の含量は、組成物の総重量に対して、一般に0.5〜70重量%であり、好ましくは、2〜35重量%である。
【0035】
アルカリ金属およびアルカリ土類金属の元素の沈着は、当業者に知られたあらゆる方法で行われ得、例えば、可溶性のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩の水溶液をアルミナに含浸させることにより行われる。含浸後、集塊は適切な方法で乾燥させられ焼成される。焼成温度は一般に300〜900℃である。
【0036】
第2の集塊は、最高レベルのアクセシビリティー、それ故に、塩化水素の可及的最大吸着容量を可能にするあらゆる形態であり得る。例えば、ボールまたは押出物が使用されることになり、押出物はあらゆる形状であり得、例えば三葉形態であり得る。ボールおよび押出物の平均径は、できるだけ小さいものとなり、例えば1〜5mmであり、反応器中の過度に大きい圧力の低下をもたらさないように留意する。
【0037】
処理される、改質帯域からの流出物部分は一般に、0.1〜50重量ppmの塩素とみなされる塩素化化合物を含む。一般に除去帯域は、水素の存在下、好ましくは塩素に対する水素のモル比が5超、より好ましくは塩素に対する水素のモル比が5〜10である水素の存在下、25〜350℃の温度で、好ましくは35〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度で、0.2〜5MPaの圧力で、好ましくは0.5〜4MPa、好ましくは1〜3MPaの圧力で、操作される。
【0038】
精製されるべき気体の空間速度(GHSV)は、毎時の気体体積TPNによる流量を集塊の体積で除算したものとして表示され、一般に50〜2000h−1であり、好ましくは100〜1000h−1である。
【0039】
精製されるべき液体の空間速度(LHSV)は、毎時の液体体積による流量を集塊の体積で除算したものとして表示され、一般に1〜50h−1であり、好ましくは2〜40h−1である。
【0040】
水素は、最初に、処理されるべき炭化水素充填物中に存在していてもよい。特に、液体充填物中に100モルppmから溶解した形態である。水素はまた、改質、芳香族化合物製造、脱水素化、異性化または水素化の帯域からの流出物の少なくとも一部に対し、除去帯域における接触操作において、添加され得る。
【0041】
図1は改質帯域からの流出物の処理を示す。
【0042】
改質帯域からの流出物の少なくとも一部は、ライン(1)を介して気−液分離器(10)中を流通し、該分離器は、水素に富む気体の流れ(A)および液体流出物(B)を生じさせ、気体の流れ(A)は、ライン(2)を介して流れ、液体流出物(B)は、ライン(3)を介して流れ、液体流出物は、ライン(3)を介して安定化帯域(11)に通され、安定化帯域は、少なくとも2種の留分である第1の軽質留分(C)および第1の重質留分(D)を生じさせ、第1の軽質留分(C)は、ライン(4)を介して流れ、第1の重質留分(D)は、ライン(5)を介して流れ、第1の重質留分は、ライン(5)を介して分留カラム(12)に通され、この分留カラム(12)は、少なくとも2種の留分である第2の軽質留分(E1)と、場合による留分(E2)と、第2の重質留分(F)とを生じさせ、第2の軽質留分(E1)は、カラム頂部で抜き出され、ライン(6)を介して流れ、留分(E2)は、カラム頂部とカラム供給口との間で抜き出され、ライン(7)を介して流れ、留分(E1)および留分(E2)のそれぞれは、ベンゼン水素化帯域に通され、第2の重質留分(F)は、ライン(8)を介して流れる。精製帯域は気−液分離器(10)、安定化カラム(11)、または分留カラム(12)から来る任意の流れ上に配置される。
【0043】
実施例1:比較例
この手順は、特許出願EP1053053に記載の調製方法に従って調製されるアルミナを用いる。それは、2〜5mmのボール形態であり、その比表面積は349m/gである。まずナトリウムがNaNoの溶液の乾式含浸と称される方法によって組み入れられ、それにより100℃での乾燥および820℃での焼成後にナトリウム6.7重量%を得る。
【0044】
100cmの集塊Aが円筒状反応器中に配置され、反応器に改質装置の気−液分離器から来る液体流出物(高重要度(severity)の改質油)を供給する。流出物は本明細書においてBと称される。
【0045】
高重要度の改質油の特徴は以下の通りである:
ASTM蒸留 始点: 20℃
終点: 200℃
モノオレフィンの含量: 1.9重量%
ジオレフィンの含量: 1000重量ppm
の含量: 0.15モル%
塩素の含量(例えばHCl)6重量ppm (1)
塩素の含量(例えば有機塩素)
2重量ppm (2)
(1)分析方法: UOP588
(2)分析方法: ASTMD4929
改質油は、毎時2リットルの流量で流通し、これは液体空間速度20h−1に相当する。反応器は、140℃の温度で1MPaの圧力下に操作される。
【0046】
反応器は1000時間の期間に渡り操作される。
【0047】
200時間後および1000時間後のオレフィンと塩素の含量が計測された。
【0048】
得られた結果は以下の表に要約される。
【0049】
【表1】

【0050】
200時間後、HClのみが集塊によって吸収されていることがわかる。これに対し、1000時間後には、有機塩素の実質的濃縮の出現がみられ、HCl自体はもはや完全に吸収されているわけではない。このことは、集塊がHClによって飽和させられ、後者の場合吸収される代わりに、存在するオレフィンと反応して有機塩素化合物を形成する、という事実によって説明される。
【0051】
実施例2:本発明に合致
0.3重量%のパラジウムをアルミナ上に沈着させられて含む集塊Bを調製する。乾式含浸と称される方法によってPd(NOからパラジウムを沈着させる。アルミナは、平均径3mmのボール形態であり、その比表面積は120m/gである。含浸後、120℃で集塊を乾燥させ、その後450℃で焼成する。これにより得られた結果は、ボール上の表皮部形態で残留するパラジウムの沈着物である。この表皮部の厚さは300ミクロンである。
【0052】
第2の集塊Cは、特許出願EP1053053に記載の調製方法を用いて調製される。これは、NaNoの含浸、および実施例1で記載されたものと同等のアルミナの820℃での焼成後、Naを6.7%含む。
【0053】
100cmの各集塊が円筒状反応器中に配置され、第1の集塊が頂部、第2の集塊が底部に配置され、これら2種の集塊が金属グリッドによって分離された。
【0054】
操作は、実施例1のものと同様の液体充填物でかつ同様の条件下で、実施される。反応器は、1000時間の期間に渡り操作され、200時間後、800時間後、および1000時間後のオレフィンと塩素の含量が計測された。
【0055】
得られた結果は以下の表に要約される。
【0056】
【表2】

【0057】
すべての有機塩素が転換させられたことがわかる。しかしながらHClの最初の痕跡は、800時間後に出現した。これは、HClの回収集塊の飽和が近づいたことを示す。
【0058】
実施例3:本発明に合致
この実施例では、ベンゼン水素化帯域へと通過させられる前の分留カラムから放出される軽質留分(軽質改質油と称され、ベンゼンの大部分を含む)の処理を伴う。本明細書において、この留分はE1と称される。
【0059】
この留分の特徴は以下の通りである:
ASTM蒸留 始点: 35℃
終点: 75℃
モノオレフィンの含量: 1.0重量%
ジオレフィンの含量: 1000重量ppm
塩素の含量(例えばHCl)2重量ppm (1)
塩素の含量(例えば有機塩素)
1.5重量ppm (2)
実施例2に記載の、100cmのパラジウム触媒集塊Bを、第1の反応器に配置した。
【0060】
実施例2の、100cmのHCl回収集塊Cを、第2の反応器に充填した。
【0061】
毎時1リットルの流量の処理されるべき充填物を、以下の条件下、連続して配置された2つの反応器に通過させた。
【0062】
温度: 140℃
圧力: 2.5MPa
流量: 240リットル TPN/時(すなわちH約1モル/モル(充填物)
2つの反応器は、1000時間の期間に渡り操作され、500時間後および1000時間後のオレフィンと塩素の含量が計測された。
【0063】
得られた結果は以下の表に要約される。
【0064】
【表3】

【0065】
すべての塩素化合物が完全に除去されたことがわかる。
【0066】
実施例4:本発明に合致
今回、改質装置の分離器からの水素に富む気体流出物(本明細書においてAと称する)が処理された。この組成は以下に示す通りである。
【0067】
【表4】

【0068】
塩素化合物の分析
【0069】
【表5】

【0070】
本実施例4は、集塊Aの挙動と集塊BおよびCの組み合わせの挙動とを比較することを伴う。
【0071】
一方のケースでは、実施例1にあるように充填された反応器を用いることを伴い、他方のケースでは、実施例2の配置を用いることを伴う。
【0072】
操作は、以下の条件下に実施された。
【0073】
圧力: 1.5MPa
T℃: 40℃
気体流量: 80リットル/時(GHSV=800h−1
200時間後および1000時間後に得られた結果は、以下の表に要約される。
【0074】
【表6】

【0075】
実施例1の集塊Aでは、1000時間後、吸着によってではなく存在するオレフィンへの付加によって、HClが消失したのが観測される。これに対し、実施例2の集塊Bおよび集塊Cの配置では、事実上完全にHClを除去し続け、存在するオレフィンの事実上完全な水素化により有機塩素の形成を回避している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素の存在下に、改質帯域からの流出物の少なくとも一部を除去帯域において接触させることによる、塩化水素および有機塩素化合物の形態の塩素の除去による精製方法であって、前記流出物の一部は、オレフィン、塩化水素および有機塩素化合物を含み、該除去帯域は、鎖状配置の2種の集塊を含み、第1の集塊は、第VIII族からの少なくとも1種の金属を鉱物担体上に担持させられて含む集塊であり、第2の集塊は、塩化水素吸着剤である、方法。
【請求項2】
改質帯域からの流出物の少なくとも一部が気−液分離器中を流通し、前記分離器が水素に富む気体の流れ(A)および液体流出物(B)を生じさせ、前記液体流出物は安定化帯域へと通過させられ、前記安定化帯域により少なくとも2種の留分、すなわち、第1の軽質留分(C)および第1の重質留分(D)が生じるに至り、前記第1の重質留分は分留カラムへと通過させられ、該分留カラムにより少なくとも2種の留分、すなわち、第2の軽質留分(E1)および第2の重質留分(F)が生じるに至り、該第2の軽質留分(E1)は、カラム頂部で抜き出され、留分(E1)はベンゼン水素化帯域へと通過させられ得、精製帯域は気−液分離器、安定化カラム、または分留カラムから来る任意の流れ上に配置される、請求項1に記載の塩素の除去による精製方法。
【請求項3】
前記分留カラムにより少なくとも3種の留分、すなわち、第2の軽質留分(E1)、留分(E2)、および第2の重質留分(F)が生じるに至り、該第2の軽質留分(E1)は、カラム頂部で抜き出され、留分(E2)は、カラム頂部とカラム供給口との間で抜き出され、留分(E1)および留分(E2)はそれぞれベンゼン水素化帯域へと通過させられ得る、請求項2に記載の塩素の除去による精製方法。
【請求項4】
精製帯域は水素に富む気体の流れ(A)、液体流出物(B)、または留分(E1)あるいは留分(E2)の少なくもいずれか1つの上に配置される、請求項3に記載の塩素の除去による精製方法。
【請求項5】
除去帯域は、塩素に対する水素のモル比が5超である水素の存在下、25〜350℃の温度、0.2〜5MPaの圧力で、操作される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の塩素の除去による精製方法。
【請求項6】
除去帯域の2種の集塊は、同一の反応器または2つの異なる反応器のいずれかに充填される、請求項1〜5のいずれか1つに記載の塩素の除去による精製方法。
【請求項7】
2種の集塊は同一の反応器に充填され、その中で第1の集塊は、第VIII族からの少なくとも1種の金属を鉱物担体上に担持させられて含む集塊であり、第2の集塊は、塩化水素吸着剤である、請求項6に記載の塩素の除去による精製方法。
【請求項8】
第2の集塊が飽和している場合、それは、別個に排出され、その間処理されるべき充填物は、塩化水素吸着剤を含む第3の反応器へと迂回させられる、請求項7に記載の塩素の除去による精製方法。
【請求項9】
第1の集塊は白金およびパラジウムにより形成される群から選択される第VIII族からの少なくとも1種の金属を含む、請求項1〜8のいずれか1つに記載の塩素の除去による精製方法。
【請求項10】
第1の集塊は、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、シリカマグネシア、酸化チタン、アルミノケイ酸塩により形成される群から選択される少なくとも1種の鉱物担体を含む、請求項1〜9のいずれか1つに記載の塩素の除去による精製方法。
【請求項11】
塩化水素吸着剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属で促進されるアルミナである、請求項1〜10のいずれか1つに記載の塩素の除去による精製方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−518813(P2011−518813A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505546(P2011−505546)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000337
【国際公開番号】WO2009/133260
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】