説明

炭化物含有粒状材、炭化物含有粒状材の製造方法及び炭化物含有粒状材を備えた水質浄化装置並びに植栽基盤

【課題】浚渫泥土などの泥土と炭化物を用い、泥土を有効利用するとともに炭化物の流失を防止でき、微生物の担体として好適に水質浄化や植栽基盤に利用可能な炭化物含有粒状材、炭化物含有粒状材の製造方法及び炭化物含有粒状材を備えた水質浄化装置並びに植栽基盤を提供する。
【解決手段】表面に炭化物2が露出するように泥土3と固化材4の混合物5に炭化物2を一体に保持させて、微生物の担体としての炭化物含有粒状材1を略球形に形成する。また、この炭化物含有粒状材1を、泥土3と固化材4と炭化物2を混合して形成し、粒径を5〜30mmで形成する。また、この炭化物含有粒状材1を、泥土3と固化材4と炭化物2を混合するとともに略球形に造粒し、表面に炭化物2を露出させるように泥土3と固化材4の混合物5の一部を除去して製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化物含有粒状材、炭化物含有粒状材の製造方法及び炭化物含有粒状材を備えた水質浄化装置並びに植栽基盤に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば木質の炭化物(炭)は、ミクロンレベル〜ミリメートルレベルの細孔を多く有しており、物質吸着性能に加え、付着した微生物の増殖性能(親和性)に優れることが知られている(例えば、特許文献1参照)。このため、炭化物を吸着材、微生物の担体として水処理や農業、園芸の技術分野などで利用することが提案・実用化されている。例えば、モミガラ燻炭や細粒炭を農地に撒いて混合し、土中の微生物の活性を高めて植物の耐力増進や収穫量の増加などを図ったり、炭化物を水中に混合・設置して微生物の繁殖場をつくり、湖沼水や工場排水などの水質浄化を行ったり、合併浄化槽の中に炭化物を設けて浄化の促進を図るなどの試みがなされている。
【0003】
一方、最終処分場の不足などに伴い、従来から浚渫土砂や建設残土を有効利用することが要望されている。これに対し、浚渫土砂や建設残土のうち泥土に、セメントと水を混合してスラリー状の混合材をつくり、例えば流動化処理土工法の地盤材料(裏込め材)などとして活用したり、泥土とセメントと水を低含水比で混合するとともに粒状に成形し、この粒状の混合材を路床などの材料として活用することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−43692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、炭化物を水処理などに利用する場合において、この炭化物が軽量であるが故に雨水や流水によって流失しやすく、また、特に細粉の炭化物は細孔に目詰まりが生じやすいうえ、炭化物同士の間隙が小さくなりこの間隙に目詰まりが生じやすいという問題がある。これに対し、例えばプラスチック製のネットに炭化物を詰めて流失防止を図ったり、小型のネットを1ユニットとし、複数のユニットを組積して大きな間隙を確保する工夫がなされている。しかしながら、このような手法は、長期的な使用の観点からネットの破損などが生じて炭化物が広範に流出し大きな被害を生じさせるおそれがあるため、広く普及するに至っていない。
【0006】
浚渫泥土や建設残土の泥土は、上記のように裏込め材などに有効利用されているが、力学的特性に主眼をおいた活用が多く、その利用率は例えば平成17年度で48%であり非常に低い。特に有機物を多く含む浚渫泥土は埋立材以外の用途が乏しく、現在においても新用途の開発が急務とされている。一方、例えば浚渫土砂中には多種多様な微生物が棲息しており、この微生物には水質浄化や植物の生育に適する種も確実に存在する。このため、泥土の力学的特性ではなく、棲息微生物に主眼をおいた新用途を開発し、浚渫土砂や建設残土の有効利用を図ることが強く望まれている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、浚渫泥土などの泥土と炭化物を用い、泥土を有効利用するとともに炭化物の流失を防止でき、微生物の担体として好適に水質浄化や植栽基盤に利用可能な炭化物含有粒状材、炭化物含有粒状材の製造方法及び炭化物含有粒状材を備えた水質浄化装置並びに植栽基盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0009】
本発明の炭化物含有粒状材は、表面に炭化物が露出するように泥土と固化材の混合物に前記炭化物を一体に保持させて略球形に形成されていることを特徴とする。
なお、「略球形」とは、真球でない球形を含むことを意味する。
【0010】
この発明においては、水質浄化や植栽基盤に炭化物含有粒状材を適用した際に、質量が大きい浚渫泥土などの泥土と固化材の混合物に炭化物が保持されているため、雨水や流水によって流失することを防止できる。また、このように浚渫泥土などの泥土と固化材と炭化物で構成されていることにより、例えば、従来から微生物の担体として使用されている多孔質セラミックスと比較し、焼成処理が不要になり、安価につくることが可能になる。
【0011】
また、表面に炭化物が露出しているため、周囲環境の微生物が炭化物に容易に着床し、炭化物の細孔によって付着した微生物を増殖させることができる。さらに、泥土中に棲息する微生物を炭化物によって増殖させることができる。これにより、水質浄化に適用した場合には、微生物が増殖することで溶解性有機炭素量や総窒素量を減少させる水質浄化効果を得ることができ、また、植栽基盤に適用した場合には、微生物が増殖することで植物の耐力増進、収穫量の増加などを図る効果を得ることができる。
【0012】
さらに、略球形に形成されているため、隣り合う炭化物含有粒状材の間の間隙を大きく確保することができ、流通する水に含まれる懸濁物や藻類などによって間隙に目詰まりが生じることを防止でき、確実に水質浄化効果や植物の耐力増進、収穫量の増加などを図る効果を発揮させることが可能になる。
【0013】
また、本発明の炭化物含有粒状材においては、前記泥土と前記固化材と前記炭化物を混合して形成されていることが望ましい。
【0014】
この発明においては、泥土と固化材(泥土/固化材の混合物)と炭化物とを略均等に混合して炭化物含有粒状材を形成することができる。これにより、使用時に炭化物含有粒状材が変形して割裂するようなことがあっても、新たな炭化物を表面に露出させることができ、確実に微生物の担体として水質浄化効果や植物の耐力増進、収穫量の増加などの効果を発揮させることが可能になる。また、表面に露出した炭化物を泥土と固化材の混合物に強固に保持させることが可能になる。
【0015】
さらに、本発明の炭化物含有粒状材においては、粒径が5〜30mmで形成されていることがより望ましい。
【0016】
この発明においては、粒径を5mmよりも大きくして炭化物含有粒状材を形成することで、隣り合う炭化物含有粒状材の間の間隙が小さくなって目詰まりが生じることを確実に防止できる。また、粒径を30mmよりも小さくすることで、表面に露出した炭化物の接触面積(露出面積)を大きく確保することができる。
【0017】
本発明の炭化物含有粒状材の製造方法は、上記のいずれかの炭化物含有粒状材を製造する方法であって、前記泥土と前記固化材と前記炭化物を混合するとともに略球形に造粒し、前記泥土と固化材の混合物の一部を除去して表面に前記炭化物を露出させることを特徴とする。
【0018】
この発明においては、泥土と固化材と炭化物を混合するとともに略球形に造粒し、泥土と固化材の混合物の一部を除去して炭化物を表面に露出させるため、炭化物を泥土と固化材の混合物に強固に保持させることが可能になる。すなわち、例えば、泥土と固化材を混合して造粒し、硬化前の泥土と固化材の混合物の表面に炭化物を押し付けて(埋め込んで)保持させた場合や、硬化した泥土と固化材の表面に接着剤などを用いて炭化物を接着して保持させた場合と比較し、炭化物が剥落(脱落)しにくく、長期的に利用することが可能になる。また、このように製造することで、上記の炭化物含有粒状材による作用効果を確実に発揮させることができる。
【0019】
本発明の水質浄化装置は、微生物の担体として上記のいずれかの炭化物含有粒状材を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明の植栽基盤は、微生物の担体として上記のいずれかの炭化物含有粒状材を備えることを特徴とする。
【0021】
これら水質浄化装置や植栽基盤の発明においては、微生物の担体として上記の炭化物含有粒状材を備えていることで、雨水や流水によって炭化物が流失することを防止でき、確実に微生物を増殖させることができる。すなわち、上記の炭化物含有粒状材の作用効果を確実に発揮させることができる。
【0022】
また、本発明の植栽基盤においては、前記炭化物含有粒状材が水域で使用した炭化物含有粒状材を再利用したものであってもよい。
【0023】
この発明においては、例えば湖沼や河川、工場排水などの水中に設けて水質浄化などに使用した後、地上に回収した炭化物含有粒状材を植栽基盤として再利用する。これにより、炭化物含有粒状材(ひいては泥土)の有効利用を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の炭化物含有粒状材、炭化物含有粒状材の製造方法及び炭化物含有粒状材を備えた水質浄化装置並びに植栽基盤においては、水質浄化や植栽基盤に炭化物含有粒状材を適用した際に、泥土と固化材の混合物に炭化物が保持されているため、雨水や流水によって流失することを防止できる。
【0025】
また、この炭化物含有粒状材は、表面に炭化物が露出しているため、微生物を炭化物によって増殖させることができ、水質浄化効果や植物の耐力増進、収穫量の増加などを図る効果を得ることができる。
【0026】
さらに、略球形に形成されているため、隣り合う炭化物含有粒状材の間の間隙を大きく確保することができ、間隙に目詰まりが生じすることを防止できる。
【0027】
よって、浚渫泥土などの泥土を有効利用、炭化物の流失のない炭化物含有粒状材を得ることができ、この炭化物含有粒状材を微生物の担体として好適に水質浄化や植栽基盤に利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る炭化物含有粒状材を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る炭化物含有粒状材(水質浄化装置)を水中に設置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図1及び図2を参照し、本発明の一実施形態に係る炭化物含有粒状材、炭化物含有粒状材の製造方法及び炭化物含有粒状材を備えた水質浄化装置について説明する。
【0030】
本実施形態の炭化物含有粒状材1は、図1に示すように、炭化物2と泥土3と固化材4を混合して略球形に形成されるとともに、表面から炭化物2が露出するように形成されている。また、粒径が5〜30mmで形成されている。
【0031】
炭化物2は、木炭、竹炭、ヤシ殻炭、籾殻炭などの植物性の炭化物が好ましいが、例えば古タイヤなどのゴムを再生するなどした炭化物(活性炭)を用いてもよい。なお、炭化物2は、微生物を担持するために比較的大きな孔を有していることが好ましい。そして、この目的には、例えば、従来から燃料用として活用されている備長炭などよりも杉炭のような、いわゆるクズ炭を用いることが好ましい。
【0032】
本実施形態の泥土3は、浚渫土砂や建設残土を有効利用する観点から、浚渫土砂や建設残土から得られる泥土、例えば浚渫泥土などが用いられる。
【0033】
固化材4は、泥土3を固形化させて炭化物2を保持することが可能であればよく、例えばセメントなどの自硬性材料、ガラス繊維などの繊維材料が用いられる。
【0034】
このような本実施形態の炭化物含有粒状材1を製造する際には、泥土3と固化材4と炭化物2を混合して練り合わせるとともに、パンペレタイザー、押し出し造粒機、転動造粒機等を用いて略球形に造粒する。そして、固化材4にセメントなどの自硬性材料を使用している場合には、混練後数日間養生した段階(泥土3と固化材4の混合物5が完全硬化する前の段階)で、混合物5の表面側の一部を削り取って(除去して)炭化物2を露出させる。これにより、泥土3と固化材4の混合物5に炭化物2が略均等に分散し、表面に炭化物2が露出した状態の略球形の炭化物含有粒状材1が製造される。
【0035】
そして、この炭化物含有粒状材1は、浚渫泥土などの泥土3を用い、炭化物2を泥土3と固化材4の混合物5に保持して形成されるため、水処理において従来から微生物の担体として使用されている多孔質セラミックスなどと比較し、安価に製造される。
【0036】
一方、本実施形態の水質浄化装置6は、このような炭化物含有粒状材1を微生物の担体として備え、例えば図2に示すように、複数の炭化物含有粒状材1を積み上げて構成され、例えば湖沼水や河川水、工場排水などを浄化する際には、隣り合う炭化物含有粒状材1の間の隙間に水が流通するように水中に設置される。
【0037】
設置した炭化物含有粒状材1は、質量が大きい浚渫泥土などの泥土3と固化材4の混合物5に炭化物2が保持されているため、炭化物2が流水によって流失するようなことはない。また、略球形に形成されているため、隣り合う炭化物含有粒状材1の間の間隙が大きく確保され、流通する水に含まれる懸濁物や藻類などによって間隙に目詰まりが生じることもほとんどない。
【0038】
また、炭化物含有粒状材1が5〜30mmの粒径で形成されている。粒径を5mmよりも大きくして炭化物含有粒状材1を形成することで、隣り合う炭化物含有粒状材1の間の間隙が小さくなりすぎて目詰まりが生じることがない。また、粒径を30mmよりも小さくすることで、表面に露出した炭化物2と水の接触面積(炭化物2の露出面積)が大きく確保される。
【0039】
なお、水質浄化装置6は、隣り合う炭化物含有粒状材1の間の隙間に浄化対象の水が流通するように構成されていればよく、例えば複数の炭化物含有粒状材1をカラムに充填したり、ネットで一体に纏めるなどして構成してもよい。すなわち、水質浄化装置6の構成は、図2に示すように限定する必要はない。
【0040】
また、炭化物含有粒状材1の表面に炭化物2が露出しているため、周囲環境の微生物が炭化物2に容易に着床し、炭化物2の細孔によって付着した微生物が増殖する。さらに、泥土3中に棲息する微生物が炭化物2によって増殖する。このため、この炭化物含有粒状材1は、多孔質セラミックスと比較して微生物濃度が高くなる。そして、隣り合う炭化物含有粒状材1の間の間隙を水が流通するとともに、増殖した微生物によって溶解性有機炭素量や総窒素量が減少し、確実に水が浄化されることになる。
【0041】
一方、長期にわたって水中に炭化物含有粒状材1を設置して使用する場合には、炭化物含有粒状材1が割裂することも考えられる。そして、このように炭化物含有粒状材1が割裂するようなことがあっても、泥土3と固化材4(泥土/固化材の混合物5)と炭化物2とを略均等に混合して炭化物含有粒状材1が形成されているため、割裂とともに新たな炭化物2が表面に露出することになる。このため、炭化物含有粒状材1が割裂するようなことがあっても確実に微生物の担体として水質浄化効果が発揮される。また、新たに表面に露出した炭化物2も泥土3と固化材4の混合物5に強固に保持されているため、流失するようなことはない。
【0042】
したがって、本実施形態の炭化物含有粒状材1及びこれを備えた水質浄化装置6においては、水質浄化に適用した際に、質量が大きい浚渫泥土などの泥土3と固化材4の混合物5に炭化物2が保持されているため、流水によって流失することを防止できる。また、このように泥土3と固化材4と炭化物2で構成されていることにより、例えば、従来から微生物の担体として使用されている多孔質セラミックスと比較し、焼成処理が不要になり、安価につくることが可能になる。
【0043】
また、表面に炭化物2が露出しているため、周囲環境の微生物が炭化物2に容易に着床し、炭化物2の細孔によって付着した微生物を増殖させることができる。さらに、泥土3中に棲息する微生物を炭化物2によって増殖させることができる。これにより、微生物が増殖することで溶解性有機炭素量や総窒素量を減少させる水質浄化効果を得ることができる。
【0044】
さらに、略球形に形成されているため、隣り合う炭化物含有粒状材1の間の間隙を大きく確保することができ、流通する水に含まれる懸濁物や藻類などによって間隙に目詰まりが生じることを防止でき、確実に水質浄化効果を発揮させることが可能になる。
【0045】
また、泥土3と固化材4と炭化物2を混合して形成されていることにより、泥土3と固化材4と炭化物2とを略均等に混合して炭化物含有粒状材1を形成することができる。これにより、使用時に炭化物含有粒状材1が変形して割裂するようなことがあっても、新たな炭化物2を表面に露出させることができ、確実に微生物の担体として水質浄化効果を発揮させることが可能になる。また、表面に露出した炭化物2を泥土3と固化材4の混合物5に強固に保持させることが可能になる。
【0046】
さらに、粒径を5mmよりも大きくして炭化物含有粒状材1を形成することで、隣り合う炭化物含有粒状材1の間の間隙が小さくなって目詰まりが生じることを確実に防止できる。また、粒径を30mmよりも小さくすることで、表面に露出した炭化物2の接触面積(露出面積)を大きく確保することができる。
【0047】
よって、浚渫泥土などの泥土3を有効利用、炭化物2の流失のない炭化物含有粒状材1を得ることができ、この炭化物含有粒状材1を微生物の担体として好適に水質浄化に利用することが可能になる。
【0048】
また、本実施形態の炭化物含有粒状材1の製造方法においては、泥土3と固化材4と炭化物2を混合するとともに略球形に造粒し、泥土3と固化材4の混合物5の一部を除去して炭化物2を表面に露出させるため、炭化物2を泥土3と固化材4の混合物5に強固に保持させることが可能になる。これにより、炭化物2が剥落(脱落)しにくく、長期的に利用することが可能になる。そして、このように製造することで、上記の炭化物含有粒状材1による作用効果を確実に発揮させることができる。
【0049】
以上、本発明に係る炭化物含有粒状材、炭化物含有粒状材の製造方法及び炭化物含有粒状材を備えた水質浄化装置の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、炭化物含有粒状材1が、泥土3と固化材4と炭化物2を混合して形成されているものとしたが、本発明に係る炭化物含有粒状材は、泥土3と固化材4を混合して造粒し、泥土3と固化材4の混合物5の表面に炭化物2を押し付けて(埋め込んで)形成してもよい。また、硬化した泥土3と固化材4の混合物5の表面に接着剤などを用いて炭化物2を接着して形成してもよい。
【0050】
また、本実施形態では、炭化物含有粒状材1を水質浄化(水質浄化装置6)に用いるものとして説明を行ったが、本発明に係る炭化物含有粒状材は、植栽基盤として使用してもよい。そして、炭化物含有粒状材1を植栽基盤に使用した場合には、水質浄化に使用した場合と同様、質量が大きい浚渫泥土などの泥土3と固化材4の混合物5に炭化物2が保持されているため、雨水などによって流失することを防止できる。また、微生物が増殖することで植物の耐力増進、収穫量の増加などを図る効果を得ることができる。さらに、略球形に形成されていることで、隣り合う炭化物含有粒状材1の間の間隙を大きく確保することができ、間隙に目詰まりが生じることを防止できる。このため、確実に植物の耐力増進、収穫量の増加などを図る効果を発揮させることが可能になる。また、植栽基盤に適用した場合においても、泥土3と固化材4と炭化物2とを略均等に混合して炭化物含有粒状材1を形成することで、炭化物含有粒状材1が変形して割裂するようなことがあっても、新たな炭化物2を表面に露出させることができ、確実に微生物の担体として植物の耐力増進、収穫量の増加などの効果を発揮させることが可能になる。
【0051】
また、植栽基盤として炭化物含有粒状材を使用する場合には、この炭化物含有粒状材が水域で使用した炭化物含有粒状材を再利用したものであってもよい。すなわち、例えば湖沼や河川、工場排水などの水中に設けて水質浄化などに使用した後、地上に回収した炭化物含有粒状材を植栽基盤として再利用するようにしてもよい。そして、このようにした場合には、炭化物含有粒状材の有効利用ひいては泥土のさらなる有効利用を図ることが可能になる。
【符号の説明】
【0052】
1 炭化物含有粒状材
2 炭化物
3 泥土
4 固化材
5 泥土と固化材の混合物
6 水質浄化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に炭化物が露出するように泥土と固化材の混合物に前記炭化物を一体に保持させて略球形に形成されていることを特徴とする炭化物含有粒状材。
【請求項2】
請求項1記載の炭化物含有粒状材において、
前記泥土と前記固化材と前記炭化物を混合して形成されていることを特徴とする炭化物含有粒状材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の炭化物含有粒状材において、
粒径が5〜30mmで形成されていることを特徴とする炭化物含有粒状材。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の炭化物含有粒状材を製造する方法であって、
前記泥土と前記固化材と前記炭化物を混合するとともに略球形に造粒し、前記泥土と固化材の混合物の一部を除去して表面に前記炭化物を露出させることを特徴とする炭化物含有粒状材の製造方法。
【請求項5】
微生物の担体として請求項1から請求項3のいずれかに記載の炭化物含有粒状材を備えることを特徴とする水質浄化装置。
【請求項6】
微生物の担体として請求項1から請求項3のいずれかに記載の炭化物含有粒状材を備えることを特徴とする植栽基盤。
【請求項7】
請求項6記載の植栽基盤において、
前記炭化物含有粒状材が水域で使用した炭化物含有粒状材を再利用したものであることを特徴とする植栽基盤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−240607(P2010−240607A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93880(P2009−93880)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】