説明

炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法及び装置

【課題】本発明は、炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明は、連続的な表面処理装置を用いて、酸化剤を含む炭素ナノチューブ混合液の注入された50ないし400atmの亜臨界水又は超臨界水の条件の表面処理反応槽に、一つ以上の官能基を有する機能性化合物を50ないし400atmの圧力及び100ないし600℃の温度で注入して表面処理生成物を得ることを特徴として、炭素ナノチューブに機能性化合物の官能基が容易に導入されて、炭素ナノチューブの表面処理効果が上昇し、それによる分散性が向上する炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法及び装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素(カーボン)ナノチューブの連続的な表面処理方法に関し、具体的に炭素ナノチューブを亜臨界水(subcritical water)又は超臨界水(supercritical water)条件で機能性化合物(functional compound)を導入して連続的に表面を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素ナノチューブ(Carbon nanotube;以下、CNTとする)は、1991年その構造が初めて発見され、これに関する合成と物性、そして応用に関する研究が盛んに行われている。また、CNTは、電気放電時にFe、Ni、Coなどのような遷移金属を添加すれば生成されることが確認されたし、本格的な研究は、1996年レーザー蒸発法により相当量の試料を作り出してから始まった。かかるCNTは、グラファイト(Graphite)面がナノサイズの直径で丸く巻かれた中の空いたチューブ形態であり、このとき、グラファイト面が巻かれる角度及び構造に応じて、電気的特性が導体又は半導体などになる。また、CNTは、グラファイト壁の数に応じて単一壁炭素ナノチューブ(Single-walled carbon nanotube;SWCNT)、二重壁炭素ナノチューブ(Double-walled carbon nanotube;DWCNT)、浅い壁炭素ナノチューブ(Thin multi-walled carbon nanotube)、多重壁炭素ナノチューブ(Multi-walled carbon nanotube;MWCNT)、ロープ型炭素ナノチューブ(Roped carbon nanotube)に区分する。
【0003】
特に、CNTは、機械的強度及び弾性度に優れており、化学的に安定で、環境親和性を持っており、電気的に導体及び半導体性を持っているだけでなく、直径が1nmから数十nmで長さが数μmから数十μmで縦横比が約1,000に達する既存のいかなる物質よりも大きい。また、比表面積が極めて大きいから、今後次世代情報電子素材、高効率エネルギー素材、高機能性複合素材、親環境素材などの分野で21世紀を導いていく先端新素材として脚光を浴びている。
【0004】
しかしながら、CNTが持っている多様な長所にもかかわらず凝集現象が大きく、表面の疏水性(hydrophobic)が大きいため、他の媒質との混合特性が極めて劣悪で、かつ水をはじめとする有機溶剤類に対する溶解性もない。そのため、CNTの長所を生かしつつ様々な用途に活用幅を広めるためには、多様な媒質との相溶性を増大させて分散効率を良好にすることができる方法が必要である。CNTの相溶性を増大させる技術には、表面に別途の特性を付与することのできる官能基置換技術で下記の特許文献1にて、真空及び不活性ガス雰囲気で水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムのような強塩基でCNTの比表面積を増加させたり、下記の特許文献2、3又は4のように強酸又は強塩基を使用して処理する方法などがあり、下記の特許文献1のように強酸又は強塩基を使用すると同時に、有/無機化合物を使用するいろいろな段階の過程を経て機能性官能基を付与する方法がある。
【0005】
しかしながら、上記の技術の場合、硝酸、硫酸などの強酸又は水酸化カリウム、水酸化ナトリウムのような強塩基を使用することから、環境的に有害で取扱が容易でなく、反応器の腐食を引き起こすおそれがあり、有/無機物質の使用に随伴される有害な多量の廃棄物が発生する。また、反応時間が長く、いろいろな反応段階を経なければならない等処理量が制約的であるため効率が低く、表面に酸素以外の官能基を付与するためには、別途の工程を適用しなければならないため費用と時間がかなり増える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許第450029号
【特許文献2】韓国特許公開第2001−102598号
【特許文献3】韓国特許公開第2005−9711号
【特許文献4】韓国特許公開第2007−114553号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】参考論文Chem.Rev,2006,106,1105〜1136
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の問題点を解決するために、本発明の目的は、別途の表面処理工程なしで連続装置を使用して連続的に亜臨界水又は超臨界水条件で機能性化合物を導入して連続的に炭素ナノチューブの表面を処理(functionalizing)する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成すべく、本発明は、酸化剤を含む炭素ナノチューブ混合液の注入された50ないし400atmの亜臨界水又は超臨界水の条件の表面処理反応槽(functionalizing reactor)に、一つ以上の官能基を有する機能性化合物を50ないし400atmの圧力及び100ないし600℃の温度で注入して表面処理生成物(functionalized product)を得ることを特徴とする炭素ナノチューブの連続的な表面処理又は官能基化方法を提供する。
【0010】
また、上記の目的を達成すべく、本発明は、酸化剤を含む炭素ナノチューブ混合液が50ないし400atmの圧力で注入される予熱槽と、前記予熱槽を経た混合液が50ないし400atmの圧力で処理される亜臨界水又は超臨界水の状態で、一つ以上の官能基を有する機能性化合物が50ないし400atmの圧力及び100ないし600℃の温度で注入される表面処理反応槽と、前記表面処理反応槽を経て表面処理された生成物を0ないし100℃に冷却し、1ないし10atmの圧力に減圧する冷却・減圧槽と、前記冷却・減圧槽を経て生成物が回収される生成物保存槽と、を備える炭素ナノチューブの連続的な表面処理装置を提供する。
【0011】
また、上記の目的を達成すべく、本発明は、上記による連続的な方法により表面処理された炭素なのチューブを提供する。
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい一実施例を詳細に説明する。まず、図面中、同じ構成要素又は部品に対しては可能なかぎり同じ参照符号を付けていることに留意せねばならない。本発明を説明するに当たって、関連する公知機能又は構成についての具体的な説明は本発明の要旨を曖昧にしないために省略する。
【0013】
本明細書で使用される用語“約”、“実質的に”などは、言及された意味に固有の製造及び物質の許容誤差が提示されるとき、その数値又はその数値に近接した意味として使用され、本発明の理解を容易にするために、正確又は絶対的な数値の言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0014】
図1は、本発明の好ましい一実施例に係る炭素ナノチューブの連続的な表面処理工程図である。
【0015】
図1に示すように、本発明は、a)予熱工程S100と、b)表面処理工程S200と、機能性化合物注入工程S210と、c)冷却・減圧工程S300と、d)生成物回収工程S400と、を含む炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法を提供し、c)S300工程の冷却後に表面処理された生成物を濾過するe)濾過工程S310がさらに含まれることができ、d)S400工程の生成物を分散させるf)分散工程S410がさらに含まれることができる。
【0016】
図2は、本発明の好ましい一実施例に係る炭素なのチューブの連続的な表面処理装置工程図である。
【0017】
図2に示すように、本発明の連続的な表面処理装置工程は、予熱槽110、表面処理反応槽130、冷却・減圧槽150、及び生成物保存槽170が含まれることができる。
【0018】
本発明は、図2の連続的な表面処理装置を用いて、酸化剤を含むCNT混合液の注入された50ないし400atmの亜臨界水又は超臨界水の条件の表面処理反応槽に、一つ以上の官能基を有する機能性化合物を50ないし400atmの圧力及び100ないし600℃の条件下で注入して表面処理生成物を得ることを特徴とする炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、前記酸化剤を含む炭素ナノチューブ混合液は、炭素ナノチューブ及び溶媒を含む炭素ナノチューブ溶液が表面処理反応槽の前段の予熱槽に注入される途中に、酸化剤が注入されつつ前記CNT溶液と接触してなる炭素ナノチューブ混合液として予熱槽に注入されて200ないし370℃に予熱されることを特徴とするCNTの連続的な表面処理方法を提供する。
【0020】
さらに詳細には、前記予熱工程S100で、前記予熱槽110には、炭素ナノチューブ及び溶媒を含む炭素ナノチューブ溶液及び酸化剤を50ないし400atmの圧力で予熱槽110に注入して前記炭素ナノチューブ混合液を予熱する。
【0021】
前記炭素ナノチューブ及び溶媒を含む炭素ナノチューブ溶液は、前記酸化剤と炭素ナノチューブの混合液が製造される前に、炭素ナノチューブ及び溶媒が前処理槽10に投入されて循環ポンプ11によって製造されることができる。前記炭素ナノチューブ溶液に含まれる前記溶媒は、水、(C1〜C20)の脂肪族アルコール、二酸化炭素及びこれらの混合物からなる群から選択されることができる。
【0022】
前記炭素ナノチューブは、単一壁(single-walled)、二重壁(Double walled)、薄い多重壁(Thin multi-walled)、多重壁(Multi-walled)、ロープ型(Roped)及びこれらの混合物からなる群から選択されることができる。
【0023】
また、前記炭素ナノチューブは、前記溶媒100重量部を基準に0.0001ないし10重量部含まれ、さらに好ましくは、0.001ないし3重量部含まれることができる。前記炭素ナノチューブが0.0001重量部未満である場合、炭素ナノチューブの回収量が少な過ぎる。一方、10重量部を超える場合、前記炭素ナノチューブ溶液の粘度が上昇して、高圧注入が難しくなる。
【0024】
前記製造された炭素ナノチューブ溶液が炭素ナノチューブ溶液高圧注入ポンプ12を通じて50ないし400atmの圧力で予熱槽110に投入される過程で、酸化剤高圧注入ポンプ13を通じて50ないし400atmの圧力で投入される酸化剤と接触して、熱交換器14の前段で前記CNT溶液と酸化剤とが混合されて予熱器110に投入され、この混合液が100ないし370℃に予熱される。
【0025】
前記高圧注入ポンプを通じてCNT溶液及び酸化剤を注入するとき、圧力が50atm未満である場合、CNT溶液及び酸化剤が予熱槽110及び反応槽に注入され難く、400atmを超えれば、高すぎる圧力によってエネルギー損失が発生し、CNTを表面処理する側面で表面処理の程度がそれ以上向上しない。
【0026】
本発明は、前記炭素ナノチューブ溶液が化学式1のニトロ化合物をさらに含むことを特徴とする炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法を提供する。
【0027】
(化学式1)
R−(NO
前記化学式1で、RはC1〜C7のアルキル基又はC6〜C20のアリール基であり、x及びyは、独立した1ないし3の整数である。前記ニトロ化合物は、ニトロメタン、ニトロエタン又はニトロプロパンであることがさらに好ましい。
【0028】
前記ニトロ化合物は、前記CNT溶液内のCNTに対して0.0001ないし1のモル比で含まれ、前記ニトロ化合物が0.0001モル比未満である場合、CNTの表面処理時に酸化効果が低くて機能性化合物の官能基の導入効果が低下し、分散性が改善されない恐れがある。一方、前記ニトロ化合物が1モル比を超えれば、超えた分だけの表面処理効果が低くて原料の無駄遣いをもたらす。
【0029】
前記予熱槽110は、前記混合液が後述する亜臨界水又は超臨界水の条件で処理される前に、前記混合液を予め予熱することにより反応槽130の温度を一定に維持する。
【0030】
したがって、前記予熱器110の前段に熱交換器14を設置して、前記CNT溶液と酸化剤の混合液を予熱させる。前記熱交換器14は、後述する亜臨界水又は超臨界水の条件で表面処理された生成物を最終的に冷却させる前に1次的に温度を下げ、以後の冷却時に消費されるエネルギーの損失を防止する。一方、前記温度が100℃未満である場合、以後の臨界条件で温度をさらに上げて、エネルギーの損失を防止する効果がなく、370℃を超えれば、予熱効果ではない、それ以上の温度を上げるのに使用されるエネルギーの損失がむしろ増大して、熱交換器を設置する効果がなくなる。
【0031】
一方、前記酸化剤は、酸素、空気、オゾン、過酸化水素水、ニトロ化合物及び硝酸形成酸化剤、及びこれらの混合物から選択されることができ、前記酸化剤と炭素ナノチューブの混合液中のCNTの炭素当量に比例して0.001当量ないし10当量含まれることができる。
【0032】
前記酸化剤によってCNTが酸化されつつ表面処理されて、CNTにヒドロキシ、アルコール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、エーテル基のような親水性基が導入される。したがって、前記酸化剤がCNT炭素を基準に0.001当量未満で注入されれば、CNTが酸化剤と共に均一に酸化されず、表面処理の程度が低下して、以後の機能性化合物の官能基付与程度が小さく、分散性も改善されない。一方、10当量を超えれば、超えた量だけの表面処理効果が小さく、原料の無駄遣いをもたらす。
【0033】
前記予熱工程を経た混合液は、表面処理工程S200に進む。
【0034】
b)前記予熱槽110でa)工程を経て予熱された炭素ナノチューブ混合液は連続的な表面処理反応槽130に移送されて、50ないし400atmの亜臨界水又は超臨界水の条件で炭素ナノチューブの表面処理工程が行われる。このとき、前記亜臨界水又は超臨界水の条件は、100℃ないし600℃であることが好ましい。また、前記表面処理工程中に機能性化合物が機能性化合物高圧注入装置15を通じて50ないし400atmの圧力及び100ないし600℃の温度で注入される機能性化合物注入工程S210を経ることにより、表面処理生成物を得ることができる。前記機能性化合物が注入される圧力が50atm未満である場合、機能性化合物が反応槽に注入され難く、一方、400atmを超えれば、高すぎる圧力によってエネルギーの損失をもたらし、CNTの表面を処理する側面で表面処理の程度がそれ以上向上しない。
【0035】
ここで、本発明の前記機能性化合物は、亜臨界水又は超臨界水の状態で、機能性化合物が表面処理反応槽の入口を基準に1/5から出口で注入されることを特徴とする。
【0036】
前記機能性化合物の注入位置は、前記予熱された炭素ナノチューブ混合液が表面処理反応槽130に注入された後、亜臨界水又は超臨界水の状態の表面処理が行われて冷却・減圧槽150に移送される前に注入されることが好ましい。機能性化合物は、表面処理反応槽130の入口を基準に1/5から出口で注入されることが好ましく、3/5ないし4/5の位置で注入されることがさらに好ましい。前記機能性化合物が1/5位置の前部で注入されれば、炭素ナノチューブが酸化剤と反応して親水性基が導入される程度が不十分な状態であるため、炭素ナノチューブの活性化度が低く、機能性化合物の官能基が導入され難くなる。一方、出口より後ろの位置で注入されれば、反応温度が不十分であり、炭素ナノチューブに機能性化合物の官能基の導入割合が低く、表面処理の程度が低くなる恐れがある。
【0037】
本発明は、前記一つ以上の官能基を有する機能性化合物であって、カルボキシル、カルボン酸塩、アミン、アミン塩、4価−アミン、リン酸基、リン酸塩、硫酸基、硫酸塩、アルコール、チオール、エステル、アミド、エポキシド、アルデヒド、ケトン及びこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか一つの官能基を有する機能性化合物であることを特徴とし、アンモニア、アンモニア水、オクチルアミン、トリエチルアミン、ドデシル硫酸ナトリウム、チオ尿素などがさらに好ましい。
【0038】
前記機能性化合物は、前記酸化剤当量に対して0.001ないし10倍の量で注入され、好ましくは、0.1ないし3倍の量で注入される炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法を提供する。前記機能性化合物が酸化剤当量に対して0.01倍未満で注入される場合、機能性化合物による官能基の導入が微々である。一方、10倍を超えれば、超えただけの表面処理の上昇効果が得られず、原料の無駄使いをもたらす。
【0039】
一方、前記亜臨界水の条件は50ないし260atmの圧力であることが好ましく、さらに好ましくは、60atmないし260atmである。また、温度は100ないし380℃であることが好ましく、さらに好ましくは、200ないし350℃である。このときの処理時間は、1分ないし30分間行われることが好ましく、さらに好ましくは、5分ないし15分間行われる。
【0040】
一方、前記超臨界水の条件は、150ないし400atmの圧力であることが好ましく、さらに好ましくは、210ないし300atmである。また、温度は、350ないし600℃であることが好ましく、さらに好ましくは、370ないし500℃である。このときの処理時間は、1分ないし30分間行われることが好ましく、さらに好ましくは、5分ないし15分間行われる。
【0041】
このような亜臨界水又は超臨界水の条件によって前記酸化剤と前記CNT溶液が完壁に混合されて、前記酸化剤が凝結しているCNT粒子の間に迅速かつ均一に浸透されてCNTの表面を均一な濃度に酸化させる。したがって、前記亜臨界又は超臨界の状態で前記酸化剤の浸透力が上昇して、酸化反応がさらに均一かつ迅速に行われて表面処理の効果を上昇させる。
【0042】
前記亜臨界水又は超臨界水の条件は、表面処理程度の調節のための選択条件であり、水が前記に示した温度又は圧力の条件を意味する。
【0043】
特に、亜臨界水の条件で表面処理されたCNTの場合、水又は有機溶剤での分散度がさらに高く、超臨界水の条件の場合、亜臨界水の条件より少量の酸化剤を使用しても、亜臨界水ほどの表面処理効果を示す。
【0044】
c)前記表面処理の生成物は、0ないし100℃に冷却され、1ないし10atmの圧力に減圧される冷却・減圧工程S300と、d)前記冷却・減圧された生成物を回収する生成物回収工程S400と、を経て得られたものであることを特徴とする炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法を提供する。
【0045】
前記予熱器110の前段に設置されて、混合液の予熱に使用された熱交換器14の熱源は、前記表面処理反応槽130から排出されて表面処理された高温の生成物溶液であり、前記混合液は、生成物溶液を100ないし370℃になるように1次冷却するのに使用されることにより、エネルギーの損失を防止することができる。
【0046】
さらに詳細に説明すると、前記表面処理工程を経て表面処理された生成物をc)0ないし100℃に冷却し、1ないし10atmの圧力に冷却・減圧する工程S300を行うことができる。
【0047】
前記表面処理された生成物を前記熱交換器14によって1次冷却した後、冷却装置16を通じて0ないし100℃に冷却する工程を行う。前記冷却温度は、20ないし50℃に調節することがさらに好ましい。
【0048】
前記冷却された生成物を冷却・減圧槽150に移送して1ないし10atmの圧力に冷却・減圧する工程を行うことができるが、前記冷却・減圧は、まず、前記冷却された状態をそのまま維持しつつ、冷却・減圧槽150においてキャピラリー減圧装置によって10ないし100atmにまず減圧し、圧力調節装置17によって1ないし10atmに最終的に減圧する。
【0049】
d)前記冷却・減圧を経た生成物が最終的に生成物保存槽170に回収される工程を行うことができる。したがって、本発明の表面処理された炭素ナノチューブ溶液が完成されて生成物回収工程S400を行うことができる。
【0050】
また、本発明は、前記冷却・減圧工程S300を経た後、濾過工程S310をさらに含む炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法を提供する。
【0051】
e)前記生成物は、液状としてそのまま使用することができるが、粉末状として使用するために回収することも可能である。粉末状のCNTを得るために、前記c)工程で前記表面処理された生成物を冷却させた後、高圧濾過させる工程をさらに含むことができる。したがって、前記表面処理されて冷却・減圧された生成物には濾過工程S310をさらに含むことができる。
【0052】
図3は、本発明の好ましい一実施例に係る炭素ナノチューブの濾過装置を備える連続的な表面処理装置工程図である。
【0053】
図3に示すように、図1の装置で前記表面処理されて冷却された生成物を濾過させるために、0.001ないし10μmの空隙を有する高圧フィルターが並列に連結されてスイッチング方式で運転される濾過槽210及び230をさらに含むことができる。前記濾過槽210及び230を通じて濾過液211及び231と表面処理されたCNT濾過生成物213及び233とに分離排出され、前記濾過液211及び231は、濾過圧力調節装置21を通じて常圧状態に減圧されて、濾過液保存槽300に移送されて処理される。前記濾過槽210及び230は、必要容量によって一つ以上並列に設置することができる。
【0054】
さらに具体的に説明すると、前記並列に連結された濾過槽210及び230で表面処理されたCNT濾過生成物と濾過液とに分離されるとき、前記濾過槽210に圧力がかかれば、弁を閉弁し、濾過槽230を開いて、前記表面処理されて冷却された生成物を濾過させる。それと同時に、濾過槽210内の表面処理されたCNT濾過生成物213を回収し、濾過液211は濾過液保存槽300に移送されて処理される。
【0055】
前記と同じ方法で、濾過槽230に圧力がかかれば、弁を閉弁し、濾過槽210に交替して、前記濾過槽210を開いて、連続的に表面処理されて冷却された生成物を濾過させ、濾過槽230内の表面処理されたCNT濾過生成物233が回収され、濾過液231は濾過液保存槽300に移送されて処理される過程を繰り返して、交互にスィッチ方式で濾過させることによって連続的に表面処理を行う。
【0056】
また、本発明は、前記生成物回収工程を経た後、分散工程をさらに含む炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法を提供する。
【0057】
前記回収された生成物の分散工程S410をさらに含むことができるが、前記分散工程S410は、前記生成物回収工程を経た生成物を水、(C1〜C20)のアルコール、ケトン、アミン、アルキルハロゲン、エーテル、フラン、含硫黄溶剤及びこれらの混合物からなる群から選択される分散溶媒に分散させることを特徴とする炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法を提供する。さらに具体的には、前記分散溶媒としては、水、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレン、コロロベンゼン、1,2,4−卜リクロロベンゼン、1−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン、ヒドロカーボン類、エーテル類及びこれらの混合物からなる群から選択されることができる。
【0058】
前記回収された生成物は、分散溶媒100重量部を基準に0.0001ないし10重量部含まれることができる。前記回収された生成物の含量が分散溶媒100重量部を基準に0.00001未満である場合、表面処理による分散性の向上効果が得られ難く、10重量部を超えれば、分散過程での粘度の上昇によって効果的に分散され難い。
【0059】
また、前記分散は、超音波、流動化剤、ホモゲナイザー、粉砕機、ビーズミル、ペイントシェーカーからなる群から選択される炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法を提供する。
【0060】
本発明において、炭素ナトーチューブの表面処理に使用される連続的な表面処理装置は、前記炭素ナノチューブ混合液及び酸化剤が50ないし400atmの圧力で注入されて予熱される予熱槽110と、前記予熱槽110を経た混合液が50ないし400atmの圧力で処理される亜臨界水又は超臨界水の状態で、機能性化合物が50ないし400atmの圧力及び100ないし600℃の温度で注入されて、機能性化合物の官能基が導入される表面処理反応槽130と、前記表面処理反応槽130を経て表面処理された生成物を0ないし100℃に冷却して1ないし10atmの圧力に減圧する冷却・減圧槽150と、前記冷却・減圧槽150を経て生成物を回収する生成物保存槽170と、を備える。
【0061】
また、本発明は、前記予熱槽110の前段に熱交換器14が備えられ、前記熱交換器14は、前記予熱される前の炭素ナノチューブ混合液と前記表面処理された生成物とが熱交換されることができる。
【0062】
本発明は、前記冷却・減圧槽150で減圧装置としてキャピラリー減圧装置が使用される炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法を提供する。
【0063】
また、本発明は、前記表面処理反応槽130を経て表面処理された生成物を濾過させるために、0.001ないし10μmの空隙を有する高圧フィルターが並列に連結されてスイッチング方式で運転される濾過槽をさらに備える炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法を提供する。前記高圧フィルターの空隙が0.01μm未満である場合、本発明の表面処理された炭素ナノチューブがフィルターを塞いで、エネルギー負荷がかかる恐れがあり、10μmを超えれば、濾過効果がなくなって、炭素ナノチューブ粉末粒子の粒度が均一に回収されない恐れがある。
【0064】
本発明は、前記連続的な方法で表面処理された炭素ナノチューブを提供する。したがって、前記表面処理された炭素ナノチューブの表面処理程度がラマン分光計で0.01≦AD’/A≦0.50であり、XPSで0.1≦O1s,atm%≦30atm%、0≦N1s,atm%≦30atm%である連続的に表面処理された炭素ナノチューブを提供する。
【発明の効果】
【0065】
前述のように、本発明の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法は、亜臨界又は超臨界の条件で無害であり、取り扱い及び廃水処理の容易な酸化剤を使用し、連続的な装置を通じて炭素ナノチューブを表面処理することによって製造工程数を減らすことができるという効果がある。
【0066】
また、連続的な亜臨界又は超臨界の工程中に機能性化合物を注入すれば、炭素ナノチューブに機能性化合物の官能基が容易に導入されて、炭素ナノチューブの表面処理効果が上昇し、それによる分散性が向上し、また官能基の導入によってCNTの応用性を向上させることができるという効果がある。
【0067】
また、本発明の炭素ナノチューブは、連続的な装置を通じて用途によって液状又は粉末状として得られることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の好ましい一実施例に係る炭素ナノチューブの連続的な表面処理工程を示す図である。
【図2】本発明の好ましい一実施例に係る炭素ナノチューブの連続的な表面処理装置工程を示す図である。
【図3】本発明の好ましい一実施例に係る炭素ナノチューブの濾過装置を備える連続的な表面処理装置工程を示す図である。
【図4】本発明の実施例14及び比較例1によって表面処理された炭素ナノチューブの赤外線分光スペクトルの結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例14及び比較例1によって表面処理された炭素ナノチューブのラマンスペクトルの結果を示すグラフである。
【図6】(a)透過電子顕微鏡(TEM)を使用して観察した本発明の比較例1に係る表面処理された炭素ナノチューブの写真である。(b)TEMを使用して観察した本発明の実施例14に係る表面処理された炭素ナノチューブの写真である。
【図7】本発明の実施例14及び比較例1に係る表面処理された炭素ナノチューブの水系分散状態を示す写真である。
【図8】本発明の実施例14及び比較例1に係る表面処理された炭素ナノチューブのX線光電子分光スペクトル(XPS)の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、下記実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0070】
(実施例1)
多重壁CNT 10gと蒸溜水990gを循環ポンプ11で混合して前処理槽10でCNT溶液を用意した。前記CNT溶液を、CNT高圧注入ポンプ12を使用して30g/minの流速で予熱槽110に投入する前に、これと共に245atmないし252atmに圧縮された気状の酸素は、熱交換器14の前段で0.8g/minの流速でCNT溶液と混合され、前記混合液は、熱交換器14を使用して200ないし260℃に予熱された予熱槽110に投入される。
【0071】
前記予熱された混合液は、300ないし360℃及び230atmないし250atmの亜臨界水の状態の表面処理反応器130に注入されて表面処理され、前記表面処理された生成物は熱交換器14に移送されて200℃に1次冷却された後、再度冷却装置15を使用して約25℃に冷却される。したがって、連続的に表面処理された9.8gの生成物が得られた。
【0072】
(実施例2)
酸化剤である酸素が0.4g/minの流速でCNT溶液と混合されて、前記CNT溶液と酸化剤との混合液の予熱時、熱交換器14の温度が350ないし370℃であり、400ないし450℃、230ないし250atmの超臨界水の状態で反応して表面処理を行った以外は、前記実施例1と同様に表面処理して9.2gの生成物を得た。
【0073】
(実施例3)
多重壁CNT 20gと蒸溜水980gを循環ポンプ11で混合して、前処理槽10でCNT溶液を容易した以外は、実施例1と同様に表面処理して18.6gの生成物を得た。
【0074】
(実施例4)
酸化剤として酸素の代わりに空気を使用した以外は、実施例1と同様に表面処理して9.6gの生成物を得た。
【0075】
(実施例5)
酸化剤として酸素の代わりに空気を使用した以外は、実施例2と同様に表面処理して9.7gの生成物を得た。
【0076】
(実施例6)
酸化剤として酸素の代わりにオゾンを使用した以外は、実施例1と同様に表面処理して9.1gの生成物を得た。
【0077】
(実施例7)
酸化剤として酸素の代わりにオゾンを使用した以外は、実施例2と同様に表面処理して9.2gの生成物を得た。
【0078】
(実施例8)
酸化剤として酸素の代わりに50%の過酸化水素水溶液108.8g(1.6M)を使用した以外は、実施例1と同様に表面処理して8.7gの生成物を得た。
【0079】
(実施例9)
酸化剤として酸素の代わりに50%の過酸化水素水溶液108.8g(1.6M)を使用した以外は、実施例2と同様に表面処理して9.0gの生成物を得た。
【0080】
(実施例10)
酸化剤として酸素の代わりに硝酸を使用するが、CNT溶液の製造時に前処理槽10で多重壁CNT 10gを蒸溜水964.8gに入れた後、撹拌させつつ硝酸25.2g(0.4M)を添加してCNT及び硝酸溶液を製造して混合液を製造した以外は、実施例1と同様に表面処理して8.3gの生成物を得た。
【0081】
(実施例11)
酸化剤として酸素の代わりに硝酸を使用するが、CNT溶液の製造時、前処理槽10で多重壁CNT 10gを蒸溜水964.8gに入れた後、撹拌させつつ硝酸25.2g(0.4M)を添加してCNT及び硝酸溶液を製造して混合液を製造した以外は、実施例2と同様に表面処理して8.1gの生成物を得た。
【0082】
(実施例12)
前記実施例1と同様に表面処理された生成物を冷却させた後、0.001ないし10μmの空隙を有する高圧フィルターが並列に連結された濾過槽210及び230で表面処理されたCNT濾過生成物と濾過液とに分離して、表面処理されたCNT濾過生成物を回収し、これから連続的に表面処理された9.5gの生成物を得た。
【0083】
(実施例13)
前記実施例2と同様に表面処理された生成物を冷却させた後、0.001ないし10μmの空隙を有する高圧フィルターが並列に連結された濾過槽210及び230で表面処理されたCNT濾過生成物と濾過液とに分離して、表面処理されたCNT濾過生成物を回収し、これから連続的に表面処理された8.8gの生成物を得た。
【0084】
(実施例14)
350℃及び230atmないし250atmの亜臨界水の状態で表面処理反応中に表面処理反応器の入口を基準に4/5の位置で230ないし250atmの圧力及び300ないし350℃の温度でアンモニア水が0.20g/minの流速で高圧注入された以外は、実施例1と同様に実施して表面処理された9.8gの生成物を得た。
【0085】
(実施例15)
400ないし450℃で、230ないし250atmである超臨界水の状態で表面処理反応中に表面処理反応器の入口を基準に4/5の位置で230ないし250atmの圧力及び400ないし450℃の温度でアンモニア水が0.20g/minの流速で高圧注入された以外は、実施例2と同様に実施して表面処理された9.8gの生成物を得た。
【0086】
(実施例16)
多重壁CNT 10g及び蒸溜水977.8gを入れた後、撹拌させつつニトロメタン12.2g(0.2M)を添加し、循環ポンプ11によって循環させてニトロ化合物を含むCNT溶液を製造した。前記CNT溶液をCNT溶液高圧注入ポンプ12によって30g/minの流速で予熱槽110に投入する前に、これと共に245ないし252atmに圧縮された気状の酸素が熱交換器14の前段で0.4g/minの流速で前記CNT溶液と混合されたCNT混合液は、熱交換器14によって220ないし260℃の温度に予熱される。
【0087】
前記予熱されたCNT混合液は、330ないし360℃の温度及び230atmないし250atmの亜臨界水の状態の表面処理反応槽130に注入されて、前記CNT混合液中のニトロメタンと酸素が反応して、反応式1の反応経路を経て瞬間的に硝酸が形成されて、CNTが表面処理される。
【0088】
(反応式1)
NOCH+2O → HNO+CO+H
前記表面処理反応の進行中に、表面処理反応器の入口を基準に4/5の位置で230ないし250atmの圧力及び350℃の温度でアンモニア水が0.20g/minの流速で高圧注入された以外は、実施例1と同様に実施して連続的に表面処理された9.0gの生成物を得た。
【0089】
(実施例17)
350ないし370℃の温度で予熱させ、400ないし450℃及び230ないし250atmである超臨界水の状態で反応をさせて表面処理を行った以外は、前記実施例16と同様に表面処理して8.9gの生成物を得た。
【0090】
(実施例18)
実施例14と同様に表面処理を行った後、図3の濾過槽を備える連続的な表面処理装置を使用して、0.001ないし10μmの空隙を有する高圧フィルターを使用して濾過して9.0gの表面処理されたCNT生成物を得た。
【0091】
(比較例1)
酸化剤を投入せずに実施例1と同様に反応を行った。
【0092】
(比較例2)
酸化剤を投入せずに実施例2と同様に反応を行った。
【0093】
<試験方法>
1.赤外線分光器(FT-IR spectroscopy)
Varian社の4100モデルを使用し、分析用試料は、臭化カリウム(KBr)粉末と混合してすり鉢で均一に撹拌した後、ペレットを製造して測定した。
【0094】
図4は、本発明の実施例14及び比較例1によって表面処理された炭素ナノチューブの赤外線分光スペクトルの結果を示すグラフである。
【0095】
図4に示すように、比較例1に比べて、表面処理された機能基のピークが示されたことから見て、表面処理が行われたことを確認することができる。前記測定結果によって得られた表面処理された構造は、ヒドロキシル基、アルコール基、カルボン酸基、ケトン基、エーテル基、CH−sp3基、アミン基、アミド基である。
【0096】
2.ラマン分光計(Raman Spectroscopy)
Jobin−Yvon社のLabRam HRモデルであって、800mm focal length monochromator及びアルゴンイオンレーザー514.532nm波長の光源を使用する装置を使用した。試料は、真空乾燥オーブンで水分を乾燥させた粉末を使用した。
【0097】
図5は、本発明の実施例14及び比較例1によって表面処理された炭素ナノチューブのラマンスペクトルの結果を示すグラフである。
【0098】
図5に示すように、比較例1に比べて、1580cm−1の付近(Gピーク)で実施例14のピーク変化を示すことで、表面が酸化されたことを確認することができる。変化されたピークは、1620cm−1ピーク(D’ピーク)で示される。ラマンスペクトルで1580cm−1ピーク及び変化した1620cm−1ピークの割合[R=D’ピーク面積(AD’)/G ピーク面積(A)]を計算してCNTの表面処理程度を測った。
【0099】
3.透過電子顕微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope)
JEOL社のJEM−2100F(HR)モデルであって、ホリックタイプのグリッド上で測定した。
【0100】
図6aは、透過電子顕微鏡(TEM)を使用して観察した本発明の比較例1に係る表面処理された炭素ナノチューブの写真であり、図6bは、TEMを使用して観察した本発明の実施例14に係る表面処理された炭素ナノチューブの写真である。
【0101】
図6a及び図6bに示すように、図6bは、図6aに比べて、表面処理された炭素ナノチューブ壁の境界線が不明であるということが分かる。
【0102】
4.分散状態
本発明の実施例1によって表面処理された炭素ナノチューブ0.2gを水99.8gに分散させた状態である。前記水系の代わりに有機溶剤を使用したときにも分散状態が良好であった。
【0103】
図7は、本発明の実施例14及び比較例1に係る表面処理された炭素ナノチューブの水系分散状態を示す写真である。
【0104】
図7に示すように、比較例1で分散効果が全く得られず、CNTが沈んで水と分離されているが、実施例14の場合、CNTが沈まず、水に均一に分散されていることから見て、表面処理によって分散状態が改善されたことを確認することができる。
【0105】
5.X線光電子分光器(XPS;X-ray photoelectron spectroscopy)
VG Scientifics社のESCALAB 250モデルを使用して測定した。試料は、真空乾燥オーブンで水分を乾燥させた粉末を使用した。
【0106】
図8は、本発明の実施例14及び比較例1に係る表面処理された炭素ナノチューブのX線光電子分光スペクトル(XPS)の結果を示すグラフである。
【0107】
図8に示すように、比較例1に比べて、結合エネルギー564eV及び400eVの付近で著しい頻度を有するピークから見て、CNTの表面処理酸化効果を確認することができる。XPSで観察された炭素と酸素、窒素ピークの相対含量を利用してCNTの表面処理程度を測ることができる。
【0108】
【表1】

【0109】
前記表1は、図5及び図8に示す結果を数値化したものであって、前記表面処理された炭素ナノチューブの表面処理程度がラマン分光計で0.01≦AD’/A≦0.50であり、XPSで0.1≦O1s,atm%≦30atm%、0≦N1s,atm%≦30atm%の範囲で測定されたことが確認された。
【0110】
以上で説明した本発明は、前述した実施の形態及び添付図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を外れない範囲内で種々の置換、変形及び変更が可能であることは本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明らかなことである。
【産業上の利用可能性】
【0111】
前述のように、本発明の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法は、亜臨界又は超臨界の条件で無害であり、取り扱い及び廃水処理の容易な酸化剤を使用し、連続的な装置を通じて炭素ナノチューブを表面処理することによって製造工程数を減らすことができる。
【0112】
また、連続的な亜臨界又は超臨界の工程中に機能性化合物を注入すれば、炭素ナノチューブに機能性化合物の官能基が容易に導入されて、炭素ナノチューブの表面処理効果が上昇し、それによる分散性が向上し、また官能基の導入によってCNTの応用性を向上させることができる。
【0113】
また、本発明の炭素ナノチューブは、連続的な装置を通じて用途によって液状又は粉末状として得られることができる。
【符号の説明】
【0114】
10:前処理槽
11:循環ポンプ
12:CNT溶液高圧注入ポンプ
13:酸化剤高圧注入ポンプ
14:熱交換器
15:機能性化合物高圧注入ポンプ
16:冷却装置
17:圧力調節装置
21:濾過圧力調節装置
110:予熱槽
130:表面処理反応槽
150:冷却・減圧槽
170:生成物保存槽
210、230:濾過槽
211、231:濾過液
213、233:表面処理されたCNT濾過生成物
300:濾過液保存槽


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化剤を含む炭素ナノチューブ混合液の注入された50ないし400atmの亜臨界水又は超臨界水の条件の表面処理反応槽に、一つ以上の官能基を有する機能性化合物を50ないし400atmの圧力及び100ないし600℃の温度で注入して表面処理生成物を得ることを特徴とする炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項2】
前記亜臨界水又は超臨界水の条件は、温度が100ないし600℃であることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項3】
前記一つ以上の官能基を有する機能性化合物は、カルボキシル、カルボン酸塩、アミン、アミン塩、4価−アミン、リン酸基、リン酸塩、硫酸基、硫酸塩、アルコール、チオール、エステル、アミド、エポキシド、アルデヒド、ケトン及びこれらの混合物からなる群から選択されたいずれか一つ以上の官能基を有することを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項4】
前記機能性化合物は、前記酸化剤当量に対して0.001ないし10倍の量で注入されることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項5】
前記機能性化合物は、表面処理反応槽の入口を基準に1/5から反応槽の出口の位置で注入されることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項6】
前記酸化剤を含む炭素ナノチューブ混合液は、
炭素ナノチューブ及び溶媒を含む炭素ナノチューブ溶液が、表面処理反応槽の前段の予熱槽に注入される途中に、酸化剤が注入されつつ前記炭素ナノチューブ溶液と接触してなる炭素ナノチューブ混合液であって、予熱槽に注入されて200ないし370℃に予熱される工程を経ることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項7】
前記炭素ナノチューブは、単一壁、二重壁、薄い多重壁、多重壁、ロープ型及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項8】
前記炭素ナノチューブ溶液に含まれた溶媒は、水、C1〜C20の脂肪族アルコール、二酸化炭素及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項9】
前記炭素ナノチューブは、前記溶媒100重量部を基準に0.0001ないし10重量部含まれることを特徴とする請求項6に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項10】
前記炭素ナノチューブ溶液は、化学式1のニトロ化合物をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
(化学式1)
R−(NO
前記式で、Rは、C1〜C7のアルキル基又はC6〜C20のアリール基であり、x及びyは、独立した1ないし3の整数である。
【請求項11】
前記ニトロ化合物は、前記炭素ナノチューブ溶液内の炭素ナノチューブに対して0.0001ないし1モル比で含まれることを特徴とする請求項10に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項12】
前記酸化剤は、酸素、空気、オゾン、過酸化水素水、硝酸、ニトロ化合物と硝酸形成酸化剤及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項6に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項13】
前記酸化剤は、前記炭素ナノチューブ混合液中の炭素ナノチューブの炭素当量に比例して0.001当量ないし10当量含まれることを特徴とする請求項6に記載の連続的な炭素ナノチューブの表面処理方法。
【請求項14】
前記表面処理生成物が0ないし100℃に冷却され、1ないし10atmの圧力に減圧される冷却・減圧工程と、
前記冷却・減圧された生成物を回収する生成物回収工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項15】
前記冷却・減圧工程を経た後、濾過工程をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項16】
前記生成物回収工程を経た後、分散工程をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項17】
前記分散工程において、前記生成物回収工程を経た生成物は、水、C1〜C20のアルコール、ケトン、アミン、アルキルハロゲン、エーテル、フラン、含硫黄溶剤及びこれらの混合物からなる群から選択される分散溶媒に分散されることを特徴とする請求項16に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項18】
前記生成物は、分散溶媒100重量部を基準に0.0001ないし10重量部含まれることを特徴とする請求項17に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項19】
前記分散は、超音波、流動化剤、ホモゲナイザー、粉砕機、ビーズミル、ペイントシェーカーからなる群から選択されるものを使用して行われることを特徴とする請求項17に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理方法。
【請求項20】
酸化剤を含む炭素ナノチューブ混合液が50ないし400atmの圧力で注入される予熱槽と、
前記予熱槽を経た混合液が50ないし400atmの圧力で処理される亜臨界水又は超臨界水の状態で、一つ以上の官能基を有する機能性化合物が50ないし400atmの圧力及び100ないし600℃の温度で注入される表面処理反応槽と、
前記表面処理反応槽を経て表面処理された生成物を0ないし100℃に冷却し、1ないし10atmの圧力に減圧する冷却・減圧槽と、
前記冷却・減圧槽を経て生成物が回収される生成物保存槽と、を備える炭素ナノチューブの連続的な表面処理装置。
【請求項21】
前記一つ以上の官能基を有する機能性化合物は、カルボキシル、カルボン酸塩、アミン、アミン塩、4価−アミン、リン酸基、リン酸塩、硫酸基、硫酸塩、アルコール、チオール、エステル、アミド、エポキシド、アルデヒド、ケトン及びこれらの混合物からなる群から選択されたいずれか一つの官能基を有することを特徴とする請求項20に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理装置。
【請求項22】
前記予熱槽の前段に熱交換器が備えられ、前記熱交換器は、前記予熱される前の炭素ナノチューブ混合液と前記表面処理された生成物とを熱交換することを特徴とする請求項20に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理装置。
【請求項23】
前記冷却・減圧槽において、減圧装置としてキャピラリー減圧装置が使用されることを特徴とする請求項20に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理装置。
【請求項24】
前記表面処理反応槽を経た表面処理された生成物を濾過させるために、0.001ないし10μmの空隙を有する高圧フィルターが並列に連結されてスイッチング方式で運転される濾過槽をさらに備えることを特徴とする請求項20に記載の炭素ナノチューブの連続的な表面処理装置。
【請求項25】
請求項1に記載の連続的な方法で表面処理された炭素ナノチューブ。
【請求項26】
前記表面処理された炭素ナノチューブは、表面処理程度がラマン分光計で0.01≦AD’/A≦0.50であり、XPSで0.1≦O1s,atm%≦30atm%、0≦N1s,atm%≦30atm%であることを特徴とする請求項25に記載の連続的に表面処理された炭素ナノチューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【図7】
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