炭素強化吸収非犠牲電極の製造方法および脱イオン装置
【課題】従来の方法で製造された電極プレートは高価であって商業規模では実用化できない。
【解決手段】本発明の炭素強化吸収非犠牲電極の製造方法は、レソルシノールをホルムアルデヒド中に溶解させてリカーを生じさせる工程と、リカーと炭素強化剤を混ぜ合わせてブロスを生じさせる工程と、ブロスの稠度が、炭素強化剤がブロス中で沈降することがないほどになるまでブロスを十分な温度で十分な時間をかけて加熱する工程と、ブロスを少なくとも3mmの厚さに注ぎ込む工程と、ブロスが固体になるほどブロスを十分な温度で十分な時間をかけて硬化させる工程と、前記固体を十分な温度で十分な時間をかけて焼き、前記固体が炭化して導電性のプレートになるようにする工程とを含む。
【解決手段】本発明の炭素強化吸収非犠牲電極の製造方法は、レソルシノールをホルムアルデヒド中に溶解させてリカーを生じさせる工程と、リカーと炭素強化剤を混ぜ合わせてブロスを生じさせる工程と、ブロスの稠度が、炭素強化剤がブロス中で沈降することがないほどになるまでブロスを十分な温度で十分な時間をかけて加熱する工程と、ブロスを少なくとも3mmの厚さに注ぎ込む工程と、ブロスが固体になるほどブロスを十分な温度で十分な時間をかけて硬化させる工程と、前記固体を十分な温度で十分な時間をかけて焼き、前記固体が炭化して導電性のプレートになるようにする工程とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素強化吸収非犠牲電極の製造方法および脱イオン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レソルシノールは、樹脂、染料、接着剤、医薬品、及び他の用途で通常用いられている周知の材料である。これは、種々の等級及び種々の形態、例えば結晶、フレーク、ペレット等で入手できる。種々の形態のレソルシノールは、水、アルコール、エーテル、ベンゼン、グリセロール及びホルムアルデヒドに溶ける。
ファーマー氏に付与された米国特許第5,425,858号(特許文献1)に記載されているように、レソルシノールを用いると炭素エーロゲルを合成できる。具体的に説明すると、炭素エーロゲルは、僅かに塩基性の基材中でレソルシノール及びホルムアルデヒドの重縮合を行い、次に不活性雰囲気中における超臨界乾燥及び熱分解を行うことにより生成できる。かかる炭素エーロゲルで作られた薄型電極は、この米国特許に記載されているように、容量性脱イオン用途に利用できる。なお、かかる米国特許の内容を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,425,858号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この方法で製造された薄いプレート状の電極(厚さ約0.25mm)は、多くの欠点をもっている。第1に、かかる電極プレートは、高価であって商業規模では実用化できず、1平方インチの表面積当たりの費用は1000ドル台にもなる。第2に、これら電極を用いる装置は、水の電気分解の際の電圧及び電流よりも低い電圧及び電流で駆動された場合に有効であるに過ぎない。また、プレートが薄いので脱イオン能力が制限される。薄いプレートは、自立形にはならず、これらプレート相互を高信頼度で直に電気接続することは難しい。最後に、これら電極は、チタン製のプレートに接着されるので、これらプレートの各々の一方の側は、脱イオン表面として使えない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数の脱イオンセルを有する槽又はタンクを有する脱イオン装置に関する。各脱イオンセルは、2つの互いに異なる形式の3つの非犠牲電極から成る。一電極は、互いに逆の方向に向いた2つの側部又は側面を備えるプレートとして形成された表面積の大きな吸収材料(high surface area absorptive material )で構成されている(以下、「HSAAM電極」という)。HSAAM電極は、脱イオンされるべき液体からイオンを除く。このHSAAM電極は、その各側に設けられていて、脱イオンされるべき液体からイオンを除かない2つの電極と境を接している。
【0006】
槽の底部は、空気を導入するためのネットワーク状の管を備えるのがよく、各管には、空気を逃がす小さな穴が設けられている。これら管を介して圧送された空気は、脱イオン対象の液体を拡販してこれを混合し、かくしてHSAAM電極へのイオンの接触及び捕捉を促進する。
【0007】
本発明で用いられる非HSAAM電極は、平らな非導電性の構造的支持部材の各側に取り付けられた炭素布(CC)又は黒鉛プレートの形態で設けられる。構造的支持部材の一方の側の非HSAAM電極は、構造的支持部材の他方の側の非HSAAM電極から電気的に絶縁されている。かくして、各非HSAAM電極は、それぞれ別のHSAAM電極と連携する。この結果、第1及び第2の非HSAAM電極を有する脱イオンセルが得られ、非HSAAM電極はそれぞれ、異なる構造的支持部材に取り付けられるが、これらの間にサンドイッチされた同一のHSAAM電極に向いている。
【0008】
脱イオンセルに用いられるHSAAM電極を製造するには、先ず最初に、レソルシノールをホルムアルデヒド中に溶解させて当初のリカーを生じさせる。触媒を添加して重合を促進させると共にHSAAMの最終構造を得る。所定量の非犠牲材料を強化材料としてリカーに加える。この混合物を、重合が生じて混合物が強化材料を支持するのに十分な稠度に達するようになるほど十分な温度で又は十分な時間をかけて加熱して十分な熱を加える。次に、その結果得られた粘性のある液体の重合を続行させて成形型内に固体を生じさせる。次いで、その結果得られたブロックを炭化するまでオーブン内で焼き、その後、これを機械加工し、しかる後、脱イオン装置内に使用する。
本発明の上記特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、図面を参照して以下の説明を読むと明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に従って構成された装置の斜視図である。
【図2A】本発明の装置で用いられる槽を示す図である。
【図2B】槽内のHSAAMプレートを固定する一構成例を示す図である。
【図2C】槽内のHSAAMプレートを固定する別の構成例を示す図である。
【図3】蛇行した流れのために構成された図1の装置の平面図である。
【図4A】隣り合う電極で形成された脱イオンセルを示す図である。
【図4B】隣り合う電極で形成された脱イオンセルを示す図である。
【図5】3つの直列に連結された装置を備えた装置を示す図である。
【図6A】全ての電極が互いに平行な構成例とは別の構成例を示す図である。
【図6B】全ての電極が互いに平行な構成例とは別の構成例を示す図である。
【図7】イオン出口穴が設けられた槽の平面図である。
【図8】図5に示す内容に従って構成された実験装置を示す図である。
【図9A】図8の装置を用いて得られたバッチ処理の結果を示すグラフ図である。
【図9B】図8の装置を用いて得られたバッチ処理の結果を示すグラフ図である。
【図9C】図8の装置を用いて得られたバッチ処理の結果を示すグラフ図である。
【図9D】図8の装置を用いて得られたバッチ処理の結果を示すグラフ図である。
【図9E】図8の装置を用いて得られたバッチ処理の結果を示すグラフ図である。
【図10】自動脱イオン装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明に従って構成された装置18を示している。この装置は、多数の互いに平行に配置された直立の電極20,22を有している。以下に説明するように、2つの互いに異なる形式の電極及びこれらの変形例が提供される。
【0011】
この装置の電極は、実質的に矩形の室又は槽24内に幅方向に設けられている。槽又はタンク24自体は、一対の側壁26,28と、一対の端壁30,32と、平らな底部34とから成る。槽壁は好ましくは、ガラス、プラスチック、プレキシグラス又は他の電気絶縁性水密材料で作られる。
【0012】
底部に設けられた入口36及び第1の端壁に設けられた出口38は、槽内にある間に脱イオンされる液体の入口及び出口となっている。変形例として、入口を、図3に下線の経路で示すように蛇行状態の流れが望ましい場合には第2の端壁に設けてもよい。また、単一の槽を用いて異なる源からの液体を脱イオンする場合、多数の入口及び出口を底部又は側部に互いに間隔を置いて設けてもよく、各液体は、互いに異なる極性をもっていて除去されるべきサイズのイオンを含んでいる。
【0013】
槽の底には散気装置42が設けられ、この散気装置を介して空気が導入される。図2Aに示すように、散気装置は、スチレン等から形成された多数の互いに平行に配置された管44から成り、これら管には小さな開口部が設けられている。管44は、槽の幅全体にわたって延びており、好ましい実施形態では、向い合った電極相互間に配置されている。装置の動作中、空気をこれらの管を介して圧送して、この空気が槽内の液体を曝気して攪拌するようにする。これにより、槽内の液体を混ぜ合わせて互いに反対の極に帯電している電極相互間でイオンを攪拌することにより脱イオンが促進される。
【0014】
当業者であれば、これらと均等な曝気手段を、開口部が設けられた互いに平行な管のネットワークに代えて使用できることは明らかである。例えば、有孔底又は入れ底を設けてもよく、そして槽底部と有孔底との間に圧送された空気が、有孔底に形成された開口部を通ってパーコレートするようにしてもよい。別法として、槽底部に実質的に平らなプラスチック製の袋を設けることが挙げられ、空気は、袋の中にいったん圧送されると、その上側に設けられた開口部を通って液体に入り込むことができる。
【0015】
槽の側壁26,28の内方に向いた表面には、これまたスチレン又は他のプラスチックで成形された列状の取付けクリップが設けられている。取付けクリップ46,48は図2Aに示すように、槽内に挿入される電極を整列させると共に保持するのに役立つ。取付けクリップ46,48は、これらの受入れ設計対象である電極20,22の物理的性質及び化学的性質に応じて大きさ、形状及び素材が異なるものであるのがよい。
【0016】
電極をその各側縁部のところで開口した取付けクリップ内に直接挿入することができる。かかる場合、電極は、これらが取付けクリップ内に挿入される場所に隣接して図3に示すように開口部50を備えるのがよい。この開口部50は、液体が槽内を通って流れる時に通過することができる通路としての役目を果たす。
【0017】
変形例として、電極を、取付けクリップにより、その端部の内の一方又は両方に設けられたアクリル製のスペーサ52を介して間接的に保持してもよく、このアクリルスペーサは、連結クリップ54によって電極に固定されている。かかる場合、開口部56を、アクリルスペーサそれ自体に形成して液体がこれを通過することができるようにするのがよい。この構成は、開口部を構造的観点からの理由、電気的観点からの理由又は他の理由で電極それ自体に形成することができない場合に特に有利である。
【0018】
加うるに、槽の底部34は、図2Bに示すようなプラスチック製の保護部材57又は図2Cに示すような溝58を備えるのがよく、これらは槽の幅全体にわたって延びている。かかる保護部材及び溝は、電極を一方の側壁又は他方の側壁に向かって選択的に摺動自在に調節できるようになる。これは、各電極の各フェースを越えて槽の一方の端壁のところの入口から反対側の端壁に形成された出口にいたる液体の蛇行状の流れを設けることが望ましい場合には特に有利である。電極を摺動させる保護部材又は溝に代わる手段として、底壁の中央は、スロットを備えてもよく、これらスロット内に、直立した底部クリップ又はばね押しリテーナが挿入される。次に、電極の底縁部を、いずれか一方の側壁から測って任意所望の距離のところでこれら底部クリップ又はリテーナに挿入するのがよい。上述したように、アクリルスペーサバーを用いると、電極の自由縁部と取付けクリップとの間の隙間を橋渡しすることができる。
【0019】
母線60を、槽の外部側壁に設けるのがよい。各母線は、互いに電気的に絶縁された複数の端子62を備えており、各端子は、関連の電極に接続されるよう配置されている。これにより、各電極に印加される電圧及び電流を個々に制御することができる。個々の端子を、従来型電気リード線、例えばワニクリップ又はこれと均等な接続手段でこれらと関連のある電極に電気的に接続するのがよい。しかしながら、より好ましくは、個々の端子の接続は、非犠牲黒鉛ロッドを介して対応の取付けクリップ又は対応の接続クリップ(用いられた場合)のいずれかに接続された銅線64によって行うのがよい。すると、電極は、取付けクリップ又は接続クリップに挿入されると黒鉛ロッドに接触する。この電気的接触を容易にするために、板ばね等を周知の方法で導電性ストリップの端部に取り付けるのがよい。次に、板ばねをクリップの溝に固定するのがよく、この溝内には、電極の縁部が挿入される。
【0020】
上述したように、本発明に従って構成された装置では、2つの形式の導電性非犠牲電極が用いられている。好ましい実施形態では、平らなプレートとして形成された第1の形式の電極は各側部が第2の形式の電極と接している。3つの電極は一緒になって脱イオンセルを形成する。作動中、実質的に同一の電位差又は電圧が第1形式の電極と第2形式の電極の各々との間に生じるのが通例である。これは、電圧源の一リード線を第1の形式の電極に接続すると共にその同一電圧源からの一対の共通リード線を第2形式の2つの電極の各々に接続することによって達成される。共通リード線により、実質的に同一の電位差が、第1形式の電極と、第1形式の電極を境界づける第2の形式の電極の各々との間に維持されるようになる。
【0021】
第1形式の電極(22)は、炭素を基材とする表面積の大きな吸収部材から作られている(これを「HSAAM電極」という)。その電極は、電流を流した時に水溶液からイオンを除いてこれを保持する。好ましい実施形態では、HSAAM電極は、レソルシノール、ホルムアルデヒド、炭素繊維、炭素フェルト及び炭素セルロールのうち少なくとも1つ、触媒、及び炭化形態のその反応生成物から作られている。HSAAM電極を製造する方法について以下に詳細に説明する。
【0022】
第2形式の電極(20)は、導電性材料から作られているが、電流を流してもイオンを除かず、或いは保持せず、したがって非吸収性である(これを「非HSAAM電極」という)。この性質は、炭素布、黒鉛、金、プラチナ及び水溶液中の電界内で劣化しない他の導電性材料から作られた電極に共通している。好ましい実施形態では、非HSAAM炭素電極は、黒鉛から作られるか、或いはより好ましくは、炭素布、例えばゾルテク社から入手できる部品番号PANEX30繊維織物から作られる。
【0023】
図4Aに示すように、非HSAAM炭素電極20は、互いに電気的に絶縁された状態にある一対の導電性表面を有する点においてデュアル又は複式電極として形成されている。複式電極20は、別々の炭素布72a,72bを厚さ3/8インチ(9.5mm)のシート状のプレキシグラス74の各側に固定することによって形成される。プレキシグラスは、非導電性の構造的に剛性の支持部材として役立つと共に、両方の炭素布を直接通る液体の流れを防止する。かくして、プレキシグラスに代えて、ガラス、アクリル樹脂等を用いてもよい。好ましい実施形態では、炭素繊維は、エポキシ系接着剤によってプレキシグラスシートの各側に固定される。当業者には知られているように、他の接着剤及び機械的固定手段、例えば、ねじ、クリップ等を用いて炭素布(CC)電極を固定してもよい。
【0024】
いったんプレキシグラスシート74の各側に固定すると、炭素布72aの一方の側を所望ならば、同一シート74の他方の側のその対応炭素布72bに電気的に接続してもよい。しかしながら、通常はこのようにはせず、別個独立の電圧源を用いてプレキシグラスの各側の炭素布に互いに異なる電圧を印加できるようにする。かかる場合、単一の槽内の隣り合うセルは、互いに異なる電圧源によって駆動できる。
【0025】
図4Bに示すように、本発明の装置では、これら2つの側部を持つ非HSAAM電極20は、槽内でHSAAM電極22と交互に配置され、かかるHSAAM電極の各々には、任意所与の時期に単一電圧だけを印加できる。かくして、本発明の装置では、HSAAM電極の一方の側は、プレキシグラスの第1のシート74に固定されたCC電極72bに対面し、HSAAM電極の反対側の第2の側は、プレキシグラスの第2のシート78に取り付けられたCC電極76aに対面する。このようにすると、一対の対応した非HSAAM布電極を備えたHSAAM電極22の各々は、脱イオンセル80を形成する。端壁30,32は、これらの内方に向いた側部に取り付けられた炭素布電極を有し、この電極はセルの一部となる。
【0026】
作用を説明すると、同一のHSAAM電極22に向いた2つのCC電極72b,76aは、通常は、同一の極性及び同一の電圧レベルに維持される。変形例として、所望ならば、かかるCC電極72bがそれぞれ母線60のそれぞれの端子62を備えると、これらを互いに異なるレベルに維持することができる。電圧HSAAM電極22とその対応の非HSAAM電極72b,76aとの間に印加すると、セル80は動作状態になり、脱イオンがHSAAM電極22の両側で行われる。好ましくは、同一電圧レベルを単一セルの両方の非HSAAM電極に印加する。しかしながら、もしHSAAM電極の各側の2つの非HSAAM電極が互いに異なる表面積を有していて、互いに異なる電流密度を維持できる場合には、これらを互いに異なる電圧で駆動することができる。
【0027】
HSAAM電極を非HSAAM電極に対して正又は負に帯電させることができる。HSAAM電極を正に帯電させると、この電極は負のイオンを引き寄せ、吸着し、保持する。これにより、セルの直ぐ近くに位置する水のpHは大きくなり、又は一層苛性になる。HSAAM電極を負に帯電させると、この電極は正イオンを引き寄せ、吸着し、保持し、かくして水のpHを下げてこれを一層酸性にする。
【0028】
各HSAAM電極22は各側がそれ自体対をなすCC電極と接しているので、同一槽内の隣り合う脱イオンセルは、互いに異なる種類のイオンを除くのに用いることができる。かくして、もし一対の互いに間隔を置いた入口又は出口が同一槽の底部又は側部に設けられていると、これらの入口に近い脱イオンセルは、第1の組をなすセルが第1の種類のイオンを除き、第2の組をなすセルが第2の種類のイオンを除くような動作状態になる。同様に、蛇行した流体の流れが望ましい場合、流体が出会う第1の上流側の組をなすセルを動作させて第1の種類のイオンを除き、第2の下流側の組をなすセルを動作させて第2の種類のイオンを除く。
【0029】
所与の槽内には代表的には複数のセルが設けられる。槽内の水を完全に脱イオンするためには、正に帯電したHSAAM電極と負に帯電したHSAAM電極の両方が設けられるべきである。一般に、イオン除去を行うためには互いに異なる電圧を正のセル及び負のセルに印加すべきであり、正及び負に帯電したセルの数は同一ではないのがよい。これにより、正及び負に帯電したHSAAM電極を互いに独立して且つ互いに異なる電圧レベルで動作状態にすることができる。プレート相互間の間隔及び印加電圧を変えることにより、処理されるべき流体から特定のイオンを除去することができる。
【0030】
図5に示すように、多数の槽を鎖状に連結してもよく、槽の出口は次の槽の入口に連結されている。かかる場合、各槽内の脱イオンセルは、各槽が一種類のイオンの除去を集中して行うよう共通の仕方で動作状態にするのがよい。変形例として、連続した槽を用いて同一イオンの除去量を次第に減少させてもよい。
【0031】
図6A及び図6Bに示すように、一方の形式の電極を、他方の形式の電極に対して僅かに傾斜させるのがよい。図6Aでは、HSAAM電極は、互いに対して平行に且つ直立したものとして示されている。これとは対照的に、HSAAM電極の各側の非HSAAM炭素布電極は、HSAAM電極の回りに対称に傾斜している。かかる場合、隣り合うHSAAM電極は、異なる態様で傾斜したそれぞれの炭素布電極を有している。同様に、図6Bに示すように、炭素布電極を直立した状態にし、HSAAM電極を炭素布電極に対して傾斜させてもよい。図6Bの構成例では、HSAAM電極は、依然として互いに平行であるが、例えば槽の底及び壁に対して傾斜している。
【0032】
図7は、4つの脱イオンセルを有する槽の平面図である。正に帯電したHSAAMプレートを有する第1の対をなす脱イオンセルは、負に帯電したHSAAMプレートを有する第2の対と交互に配置されている。槽の底は、各脱イオンセルの下に位置する領域において、列状の穴を備えている。正に帯電した脱イオンセルの場合、これらは、穴82として示され、負に帯電した脱イオンセルの場合、これらは穴84として示されている。
【0033】
穴82,84の目的は、槽が動作している時にHSAAMプレート上に集められた正及び負のイオンを選択的に除去できるようにすることにある。かくして、正に帯電したHSAAMプレートを有するセルでは、負のイオンはプレート上に集まるであろう。セルを再生すると、これらイオンを穴82を通して集めることができる。同様に、再生中、負に帯電したHSAAMプレート上に集められたイオンを穴84を通して集めることができる。図7に示すように、穴82,84は、ほぼ同一の大きさ及び配置状態を有している。しかしながら、これは必ずしも必要ではない。例えば、負に帯電したイオンの穴は、正に帯電したイオンの穴よりも小さくてもよい。また、HSAAM電極及び非HSAAM電極に平行に配置された列状の穴の代わりに、一層不規則なパターンの穴、例えばチェス盤又はハチの巣状に見える穴を用いてもよい。
【0034】
上述したように、HSAAM電極は、表面積の大きな吸収部材で作られている。本発明では、この材料は、3つの構成成分、即ちレソルシノール、ホルムアルデヒド及び例えば炭素源のような強化剤を必要とする本発明の方法によって製造される。また、触媒を用いてレソルシノール−ホルムアルデヒド樹脂の重合を容易にするのがよい。
【0035】
レソルシノールには多くの異なる等級があり、これらを多くの供給業者からペレット、フレーク及び他の従来形態で得ることができる。以下の例では、ホーチスト・セラニーズ・カンパニイから入手できる有機化学的処方に適した形態のレソルシノールを用いた。
【0036】
ホルムアルデヒドは、種々の供給業者から入手でき、かかるホルムアルデヒドには種々の等級及び種々の形態がある。以下に示す例では、ジョージア−パシフィック・レジン・スペクトラム・ケミカル・カンパニイから入手できる染料、樹脂及び生物学的保存に適したホルマリンの形態のホルムアルデヒドを使用した。
【0037】
HSAAM電極の製造の際に強化剤として用いられる炭素源には、種々の形態のものがある。例えば、ばらばらの炭素繊維、例えばアモコ社から入手できるTHORNEL(登録商標)P25 4K1/4インチカット炭素繊維のファイバーを用いると、本発明に用いられるHSAAM電極を製造するのに上首尾であった。また首尾よく用いられた別の例として、カーボンフェルト、黒鉛フェルト等級のwdf3331060又はカーボンフェルトVDG3330500が挙げられ、これらは共にナショナル・エレクトリック・カーボン・カンパニイから入手できる。一般的に言って、比較的純粋であれば任意の炭素源を所定量で用いることができる。ただし、これを後で硬化するレソルシノール−ホルムアルデヒドのリカー中に十分に分散させることができ、或いは、これがマトリックス中のほぼ同一の量のリカーを吸収できて次に硬化できることを条件とする。炭素繊維は導電性であることが重要である。本発明の実施形態は、炭素フェルトから成る炭素布を必要とするが、重要なことは、非犠牲電気導体を用いるということである。したがって、例えば黒鉛、金、プラチナ、導電性プラスチック、ガラス状炭素、例えばペンシルベニア州セントメイズ所在のSGL・カーボン・グループ社から入手できるSIGRADURのような材料を、炭素布又は炭素フェルトに代えて用いることができる。
【0038】
使用する強化剤が何であれ、SAAM電極を製造する方法の開始の仕方は同じである。4ポンドの固形レソルシノールを、3.5リットルのホルムアルデヒドに添加し、室温で約1対2のモル比が得られるようにする。当然のことながら、上述の量を一定の割合でスケールアップ又はスケールダウンすれば、この最初の配合物の量全体を様々な量にすることができる。この最初の配合物を30分〜90分間、或いはレソルシノールが溶解するまで混ぜ合わせる。
【0039】
レソルシノールが完全に溶解すると、その結果得られた混合物は、琥珀色乃至ピンク色である。この混合物を、レソルシノールの溶解後、約12〜24時間の間、室温又はそれ以下の温度、即ち約72°Fに維持すれば、この色は、乳白色且つ乳光のリカーに変わる。
【0040】
所定量の炭酸ナトリウム触媒をリカーの測定部分に添加し、炭素源及びリカーを完全に混ぜ合わせる。
【0041】
次に、その結果得られた材料を加熱し、厚さ約3/4インチ(約19mm)になるまで8インチ×8インチ(約203mm×約203mm)の成形型内に注ぎ込み、ここで硬化させてキセロゲル(これは、重合レソルシノール−ホルムアルデヒドから成る)のブロックにする。成形型を室温で水準面上に置き、ここで、重合反応を空気中で続行させると、その間に材料がキセロゲルブロックになる。成形型内の材料は室温で凝固するのに約20〜60分かかる。この材料は凝固すると各寸法が約0.5〜1.0%だけ縮み、成形型の1又は2以上の側壁から離れる。次に、成形型をひっくり返すだけでブロックを取り出すことができる。
【0042】
各ブロックをその成形型から取り出すと、各ブロックを空気中において約80°〜90°F(約26.7°C〜32.2°C)の温度状態で約2時間かかって硬化させ、それにより完全な重合を達成する。従来硬化法とは異なり、本発明の硬化法は、臨界点乾燥法(即ち、超臨界乾燥法)を必要としない。これにより、時間及び費用が相当節約できる。硬化により、過剰液体のうち何割かが除去されるが、その結果得られたブロックは依然として著しい電気不良導体である。
【0043】
硬化後、ブロックをオーブン内で平らにし、次に炭化させる。炭化中、重しを各ブロックの上に載せて、亀裂、不均等な座屈及びその縁部のカールの発生を防止する。炭化は好ましくは、約1850°〜2200°F(1010°C〜1204°C)の温度で行われる。しかしながら、経験の示すところによれば、1750°F(約954°C)という低い温度及び10〜20分間の炭化時間も又、許容範囲であり、温度が低ければ低いほどそれだけ一層炭化時間が長くなることが分かった。ブロックにこの温度を適用することにより、乾燥保存が一段と達成され、元々の構成成分中に存在している不純物のうち多くが焼失する。好ましい実施形態では、ブロックの厚さは焼失に起因する材料のうち幾分かの損失に耐えることができるので、炭化を空気環境中で実施できる。これは、比較的薄いブロックが炭化中に消費されるのを防ぐために窒素又は他の不活性ガス雰囲気を用いなければならなかった従来法とは対照的である。
【0044】
炭化がいったん完了すると、次に、その結果得られたHSAAMプレートを機械加工又は切削加工し、サンダー仕上げして、所望の形状、サイズ及び厚さのプレーナ電極の状態にすることができる。好ましくは、電極は、自立する(例えば、一端を立てた時にそれ自体の重さに耐えることができる)十分な厚さを有している。このためには、2インチ×4インチ(5.08cm×10.16cm)の電極の場合、少なくとも約1mmの厚さが必要である。これよりも薄いプレートを形成することができるが、材料がもろくなるので、かかる薄いプレートは取扱いが難しくなり、溶液からイオンを除いて保存する能力が著しく制限される。一般に、プレートの厚さは、これらの表面積に比例して設定されるべきであり、一般にプレートが大きければ厚くする必要がある。ブロックは、炭化後においては厚さとは無関係に電気の良導体である。
【0045】
触媒及び炭素源をリカーに添加する工程の詳細は、使用する炭化源のタイプに応じて、2以上の方法で実施できる。次に、この工程について、より詳細に検討する。
【0046】
先ず最初に、THORNEL(登録商標)炭化繊維を用いる場合について説明する。800ミリリットル(ml)のリカーを3オンス(85.05グラム)の上述の1/4インチTHORNEL(登録商標)炭化繊維及び重合を促進する触媒として働く10mlの炭酸ナトリウムの1.0モル溶液と共にブレンダー内に注ぎ込む。次に、この組合せを、約3〜5分間ブレンドしてついには炭素繊維とリカーが完全に結合するようにする。ブレンドの際、炭素繊維を一段と細断して小片の状態にする。このブレンドの結果として、粘性のある黒色のブロス(broth )が得られ、かかるブロスは、炭酸ナトリウムと混合されたレソルシノールとホルムアルデヒドから成るリカー及びこれと結合された炭素繊維を含む。ブレンド工程実施後のブロスの温度は、約90°F(約32.2°C)である。この例では使用したリカーは800mlに過ぎないが、この工程は拡大縮小可能であることは注目されるべきである。かくして、数リットル又はそれ以上を同一時間でバッチ処理できる。
【0047】
次に、この方法で得られたブロスを1600ml分、ステンレス鋼製の混合ボウルに移送し、卓上電気ヒータを用いてブロスを次第に加熱する。ブロスを、加熱しながら攪拌し、その温度を厳密にモニターする。このようにしてブロスの温度を25分間〜45分間かけて上昇させ、温度を約130〜140°F(約54.4°C〜約65.6°C)に維持する。なお、135°F(約57.2°C)が最適温度である。
【0048】
加熱工程中、ブロスの温度を制御して、この温度が、重合を制御外れにする150°F(約65.6°C)を越えないようにする。温度制御は、多数の手段、例えば熱電セル、冷却剤が循環するコイル、及び混合ボウルを下降させてこれを入れることができる水浴を用いて行うことができる。また、幾つかの周知のモニター及び制御装置のうち任意のものを用いて自動温度調整を行うことができる。
【0049】
加熱中、ブロスの稠度(コンシステンシー)も又、モニターする。これを行うことにより、炭素繊維が互いにかたまりになり又は集まって、その結果としてマット状炭素繊維の分散度が不均一な凝集が生じることがないようにする。これが生じると、ブロスをブレンダー内に戻してその内容物を一段と均質化するのがよい。
【0050】
ブロスを約135°F(約57.2°C)の温度に維持し、連続的に攪拌して均一な重合を可能にする。この温度は、約35分間保たれ、この時点において、ブロスが数秒間攪拌されなくても僅かなスキンがブロスの表面上に生成する。重合が続くと、ブロスは濃厚になり、次第に粘度が大きくなって、ついには炭素繊維がコロイド粒子としてブロス中に懸濁するような稠度に達するようになる。この時点に達すると、加熱されたブロスを約3/4インチ(約19mm)の厚さまで8インチ×8インチ(約203mm×約203mm)の成形型内に注ぎ込む。
【0051】
ブロスを注ぎ込む時のその温度は、130°〜150°F(約54.4°C〜約65.6°C)そこらの範囲にあるべきであることは注目されるべきである。これにより、ブロスが固まると、その結果得られた固形ブロックが等方性の機械的及び電気的性質を有するようになる。ブロスを、150°F(約65.6°C)を越える温度で注ぎ込むと、或いはこの温度を越えるようにすると、暴走反応が生じ、その結果、気泡や他の不均一な表面及び体積的特異部分を有する変形したブロックが生じる。これらの結果として、構造的及び電気的に異方性のブロックが生じることになる。
【0052】
第2の場合は、炭素フェルト、平滑なセルロース繊維又は活性炭を含浸させたセルロース繊維を用いてレソルシノール−ホルムアルデヒド樹脂を強化する場合である。炭素繊維フェルト又はマットを切断して成形型内に納める。次に、レソルシノール−ホルムアルデヒドから成るリカーを成形型内に注ぎ込んで炭素フェルトを覆い、それによりフェルト内に閉じ込められていた空気を押し退ける。次に、成形型を92°F(約33.3°C)に設定された硬化用オーブン内に移送し、約72時間かけて重合させてキセルゲルブロックを形成する。次に、キセルゲルをオーブンに入れ、1850〜2200°F(約1010°C〜約1204°C)で炭化させる。オーブン内での炭化中に、キセルゲルを0.5〜0.8ポンド/平方インチ(35.15〜56.24g/cm2 )の力で耐火ブロックの形に拘束した。この目的に用いられるオーブンは、頂部ベントを有する電気マッフル炉であった。この炭化の結果として、HSAAM生成物が得られる。HSAAMを炉から取り出した後、空気中で放冷した。次に、冷えたHSAAMを平らな研磨ホイールで機械加工して所望の一様な厚さにした。最後に、このプレートを卓上超硬のこぎりを利用して正方形にした。使用する炭素源とは無関係に、結果的に得られたブロックは色が黒であり、電気の導体として役立つ。
【0053】
上述の説明では、レソルシノールは、構成成分又は配合剤の1つとして用いられている。しかしながら、経験の示すところによれば、適当なブロックをレソルシノールに代えて以下の化学薬品のうち1つを用いることにより形成できることが分かった。かかる化学薬品とは、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン及び1,4−ジヒドロキシベンゼンである。これら化学薬品は各々、ホルムアルデヒドとポリマーを形成することが判明し、これを炭化すると首尾よくブロックの状態になり、次に、電流を流すと脱イオン水になった。この場合一般に、レソルシノールに代えて任意のジヒドロキシ又はポリヒドロキシベンゼン又はナフタレンを使用できると考えられる。この理由は、これら化学薬品は化学構造が似ていて、ホルムアルデヒドとポリマーを形成する特性を共有し、イオン除去に用いることができる炭化ブロックを形成しやすいことにある。現時点においては、レソルシノールが好ましい。その理由は、レソルシノールは、費用が安く、多くの量で広範に使用でき、室温及び大気圧でホルムアルデヒドと反応しやすいからである。
【0054】
図8は、本発明に従って構成された装置を示している。この装置は、3つの槽102,104,106を有している。3つの槽をコロラド州プエブロ市の廃水を脱イオンするために直列に連結して用いた。廃水を第1の槽102の入口108に導入し、最終生成物が槽106の出口122からシステムを出た。全体的に、システムは、毎分最高1500ミリリットル(ml/分)を脱イオンできた。
【0055】
このシステムでは、槽102,106は同一構造のものであった。各槽は、6つの脱イオンセルを備えるものであった。槽102,106の両方では、隣り合う脱イオンセル内のHSAAM電極は、互いに異なる極性を有していた。これにより、各槽内には、電圧はさみ込み脱イオン装置(voltage-interleaved deionization arrangement)が得られた。その結果、両方の槽102,106を、正と負の両方のイオンを取り出すよう配列した。したがって、これら槽は各々、2つの電圧源を有しており、一方の電圧源は正に帯電した脱イオンセルを形成するよう配置され、第2の電圧源は負に帯電した脱イオンセルを形成するよう配列された。
【0056】
槽102を中間槽104に連結した。槽102からの部分的に脱イオンされた廃水は、出口110、弁112、入口114を通り、そして第2の槽104に流入した。単一の入口としては示されていないが、入口114は事実上、第2の槽104に入る多数の導管である。弁112の目的は、槽102,104相互の導通を遮ることにある。また、槽102の出口110は、槽102の性能を評価するために部分的に脱イオンされた廃水を試験するためにブリード(図示せず)を備えるのがよい。
【0057】
槽104は又、6つの脱イオンセルを備えている。しかしながら、これら脱イオンセルは、2つ分の長さのものである。各脱イオンセルのHSAAM電極は、これらの端部にさねはぎ部を備えていて、これら電極は類似のプレートの相補形状の構造と嵌合することができるようになっている。槽102とは対照的に、槽104内の脱イオンセルは全て、正で帯電したHSAAM電極を有している。これは、負のイオンだけが槽104から除かれることを意味している。
【0058】
槽104から出た一段と脱イオンされた廃水は、出口116を通って流出し、弁118を通り、入口120に入り、ここから槽106自体に流入する。出口116も又、槽104からの廃水の試料を採取するようブリードを備えるのがよい。
【0059】
上述したように、槽106は槽102と構造が類似している。これは、入口120に流入した液体を一段と脱イオンする。槽106からの脱イオン流出物は、出口122からシステムを出る。
【0060】
槽102,106では、HSAAM電極は、6.5インチ×13インチ×0.4インチ(16.51cm×33.02cm×1.01cm)であり、寸法が6.5×6.5×0.4インチの2枚のプレートから作られていた。槽102,106のプレートを形成するため、0.25インチ(6.35mm)のさねはぎ接合部を一方の縁部に切断形成し、これと相補する接合部を当接プレートから見て反対側の縁部に切断形成した。2枚のプレートをフレーム内に嵌入し、端と端を突き合わせて導電性エポキシで接着した。槽104については、4枚のプレートをほぼ同一の方法で嵌め合わせた。全ての槽に関し、電気接続は、炭素繊維ワイヤを、HSAAMプレートをフレームに取り付けるクリップに例えばエポキシで接着することによって行われた。
【0061】
槽102,106では、水を単一の箇所でHSAAM電極の頂部近傍で各槽内に導入した。水をいったん槽内に入れると、脱イオン中、水を絶え間なく混合した。混合の目的は、脱イオン中における槽の局所的酸性又は苛性領域の生成の防止を可能にすることにある。混合は、槽をその槽の底部に沿って多数の箇所で曝気することにより達成できる。ただし、他の混合手段、例えば磁気又は機械的攪拌機及びスピナをその代わりに用いてもよい。所与の槽内における水の総保持時間を流量だけで決定し、これは上述したように1500ml/分以下であった。
【0062】
水を槽の各々の単一箇所で導入する代替手段として、各槽にHSAAMプレート及び非HSAAMプレートの一端に多数の入口を設けると共にプレートの他端に多数の出口を設けてもよい。かかる場合、水は脱イオンセルの長さ分移動し、その後に流出する。
【0063】
槽102,106には、脱イオンされるべき水の導電率で決まる電圧が印加された。印加電圧は、これら2つの槽内における脱イオン中0.01〜15ボルトの範囲にある。対応のアンペア数は、脱イオン中0.01〜10アンペアの範囲にある。水の脱イオン速度(即ち、イオンの除去速度)は、脱イオンされるべき水の清浄の関数であった。それゆえ、不純物の多い槽102内の脱イオン速度は、既に2回脱イオンした水を処理している槽106の脱イオン速度よりも大きかった。
【0064】
第2の槽104は負に帯電したイオンを除いた。この結果として、この槽内の水は苛性になり、かくして苛性フロックが形成された。第2の槽は、蛇行状の流れパターンで動作され、入口はHSAAMプレートの底部近傍に位置していた。槽104内の水に印加された電圧及び電流は、水の電気分解を引き起こすのに十分であった。この第2の槽内の水の処理の結果として、導電率の約300〜500μmho/cm又はμS/cmが除かれた。しかしながら、この槽からの苛性流出物のpHは8〜12の範囲にあり、これは次に第3の槽106に送られた。
【0065】
表1は、図8のシステムを用いて得られた実験結果を示している。特に、表1は、本発明の従って構成された装置を用いた場合の各脱イオン工程の効果を示している。表1の報告の示すところによれば、槽106(最後の槽)からのアウトプットが連邦政府の水質基準の規制を満たしているので飲料水と変わらない。
【0066】
【表1】
備考:図8のシステムを用いたコロラド州プエブロ市の下水の脱イオン
表2は、図8のシステムを用いて得られた実験結果を示している。特に、表2は、本発明の従って構成された装置を用いた場合の各脱イオン工程の効果を示している。
【0067】
【表2】
備考:コロラド州リードビル付近のアサルコ・インコーポレイテッドにより操業されているヤック・タネル/カリフォルニア・ガルチの試験型スーパー・ファンド・サイトにおいて、図8のシステムを用いた場合の脱イオン結果 連続流脱イオンに加えて、本装置は、バッチ処理方式による脱イオンにも使える。バッチ処理の結果は、図9A〜図9Eに示されている。特に、これらの図は、既知の濃度の鉄イオン、ナトリウムイオン及び銅イオンを加えた一バッチの水を脱イオンした場合の結果を示している。鉄及び銅イオンは、1ppb以下のレベルまで除かれ、ナトリウムイオンは、2ppm以下のレベルまで除かれ、導電率は、12,150μSから410μSに減少した。
【0068】
3つの槽の各々の中の水のpHレベル及び導電率レベルをモニターしてHSAAMプレートの飽和時期を確定した。流出水の導電率が上昇し、これに対応してpHが変化すると、これは、HSAAMプレートがイオンで飽和したことを意味し、そして本装置を再生する必要があることを意味する。同様に、蓄えられた電荷は、セル内のpH及び導電率と共に、本装置の再生が必要な時期を指示するのに利用できる。一般に、HSAAMプレートは、水の脱イオンを行うにつれて変色するようになる。変化のタイプ及び色は、処理対象の水の性状で決まる。たとえば、水のサルフェートレベルが高いと、HSAAMプレートは、サルフェートがHSAAMプレート上に析出すると白色に変わる。同様に、水中の有機廃材含有量が多いと、HSAAMプレートは茶色に変わる。いずれにしても、この変色により、イオン飽和レベルに起因して再生が必要であることが分かる。
【0069】
槽102,106を用いると、再生中、酸化フロック又は濃厚イオン溶液の何れかを生成できた。一方が生成するか他方が生成するかは、印加した電圧レベルで決まった。水の電気分解を引き起こすのに必要な電圧よりも低い電圧を印加すると、イオンに富んだ水を図7に示すように底部穴82,84を経て負又は正に帯電した脱イオンセルから集めることができた。他方、水を電気分解させるのに十分な電圧を印加すると、その結果として酸化フロックが生じた。かかる場合、このフロックを生じさせてこれを槽から送り出すためには、再生中、混合が必要であった。
【0070】
第2の槽104では、負に帯電したイオンを除いた。この結果として、水は苛性になり、その結果8〜12台のpHが得られた。また、この結果として、苛性フロックが生じた。作動中、槽104内の脱イオンセルに印加された電圧は、水の電気分解を引き起こすのに十分であった。かくして、印加された電圧は、1〜12ボルト台であり、アンペア数は1.3〜12アンペアであった。この作用効果として、第2の槽104は、導電率の300〜500μmho/cm又はμS/cmが除かれた。
【0071】
第2の槽104内におけるプレートの再生は、セルの蓄積電荷に打ち勝つのに十分な電圧(カウンタEMF)でプレートに与えられた電流を逆に流すことにより行われた。この場合も又、流出水の導電率が上昇し、これに対応してpHが変化すると、これは、第2の槽104内のHSAAMプレートがイオンで飽和し、そして本装置を再生する必要があることを意味する。これはたいていの場合、HSAAMプレートが著しく変色し、変化のタイプ及び色は、処理されるべき水の清浄で決まるということによって容易に識別できた。再生中、酸化フロックは、システムの作動中に生じたEMFに対抗するのに必要な電圧で装置を作動させることによって得られた。
【0072】
次に、これらフロックを槽104の底部の穴を通して捕集できた。再生後、次いで3つ全ての槽102,104,106を再使用でき、この場合従前と同一の効果が得られる。
【0073】
好ましくは、脱イオンに必要な電圧を供給するのに用いられる電源を、有限範囲の電圧で制御することができる。この場合、代表的には、電源は、ACコンセントに差込み可能なタイプのものである。しかしながら、かなり低い電圧及び電流が必要な場合、ある特定の装置では持ち運び可能な電池式の電源を使用するのがよい。この場合、太陽電池式脱イオン装置を構成して用いると、これは低い処理量であれば上首尾であった。サイズを小さくした太陽電池式システム及び電池式システムを用いると、費用が安く、且つ携帯性が高いという二重の利点が得られる。
【0074】
図10は、本発明の自動脱イオン制御システム130の全体図である。このシステムは、水の品質をモニターして自動的に電圧を調整し、それにより目標の脱イオン速度を達成する。この図に示すように、システム130は、2つの槽132,134の作動を制御する。しかしながら、制御システムを単一の槽又は3又は4以上の槽に用いてもよいことは留意されるべきであり、後者の場合、これらは直列又は並列に、或いはこれらの組合せ状態で連結される。
【0075】
制御システムは、センサモジュール138を用い、これらセンサモジュールは脱イオンプラント内における種々の段階での流出液をモニターする。これらセンサモジュール138は、かかる特性を流出液のpH、導電率、水の流量、温度、光学特性等として計測するよう構成された1又は2以上のセンサから成る。センサモジュールは、イオン専用プローブ、例えば、弗化物、アンモニア、塩化物及び他のもの、例えば、表1及び表2に列記されたパラメータを測定するプローブを更に有するのがよい。センサは、所定の周期で、或いはコントローラ136からの要求の際に流出液の試料を連続的に採取することができる。好ましい実施形態ではセンサは槽に連結されている管中の流出液の試料を採取するよう示されているが、センサを槽の内側に配置してもよい。
【0076】
センサのデータは、プログラムドロジックコントローラ136に送られる。コントローラは、マイクロプロセッサ又はこれと均等の装置として実現できる。コントローラ136は、センサのデータに基づいて槽132,134の性能を評価する。コントローラはこれらのデータを用いて、流量及び流れパターンの変化を行うべきかどうかを判定する。もしそうであれば、コントローラは、電動式弁140への信号を出力して流量を調節する。これら弁を同時に制御しても別個独立に制御してもよい。多数の入口又は多数の出口が設けられている場合、これらのサブセットだけを制御しても、オーバーフローをどの槽についても生じさせないようにすることができる。
【0077】
流量を選択的に制御することに加えて、コントローラ136は、全体を符号142で示す種々の電源によって印加される電圧を制御する。特に、コントローラはセンサのデータを処理し、電源への制御信号を出力し、それにより槽内の脱イオンセルに印加される電圧及び(又は)電流を制御する。コントローラ136は、センサのデータを利用して、槽内の電極を再生する必要があるかどうかを判定し、もし必要があれば電源への適当な信号を出力し、再生を実施する。
【0078】
上述したような制御システムは、1時間当たり数千ガロン台の流量を取り扱うことができる大規模脱イオン装置に有用である。かくして、かかる装置をスケールアップすれば、工業プラント、水道水及び下水の処理施設等の脱イオンの要望に応えることができる。実験結果の示すところによれば、電極の寸法及び電極の本数を、印加される電圧又は流される電流の何れにも著しい影響を及ぼすことなく一定の割合で増加させることができるということが分かった。
【0079】
本発明の装置は、厳密に言えば、非HSAAM(非吸収性)電極が実際には電荷を蓄積しないという点において容量性脱イオンを実行しないということは注目されるべきである。たしかに、イオンはこれら電極の帯電方式とは無関係にこれら電極には付着せず、HSAAM電極だけがイオンを捕捉して蓄積する。
【0080】
上述の好ましい実施形態はプレーナ電極の形成及び使用法を教示していることは注目されるべきである。しかしながら、電極と脱イオンセルが交互になった幾何学的構成も使用できる。かかる一例は、(1)中実又は環状内側非HSAAM電極、(2)内側非HSAAM電極と同心の環状HSAAM電極、及び(3)最初の2つの電極と同心の環状の外側非HSAAM電極から成る環状脱イオンセルである。かかる構成により、環状HSAAM電極と2つの非HSAAM電極との間に流体を流すことができる。しかしながら、かかる構成では、内側非HSAAM電極と外側非HSAAM電極は、HSAAM電極に向いた表面の表面積は互いに異なる。したがって、2つの非HSAAM電極とこれら2つの間にサンドイッチされたHSAAM電極との間に互いに異なる電圧又は電流の何れかを用いることが必要となる。
【0081】
本発明を幾つかの好ましい実施形態を参照して説明したが、これら実施形態は本発明を限定するものではない。当業者であれば、これら実施形態の変形例を容易に想到でき、かかる変形例は、請求の範囲に記載された本発明の範囲に属する。
【0082】
本発明に関する上記の教示を考慮に入れるならば、本発明の種々の変更が可能であることは明白である。本発明は、特許請求の範囲において特定したものとは異なる態様で実施することも可能である。
【0083】
本発明に関連する好ましい態様として、例えば、以下のものをあげることができる。
〔態様1〕 非犠牲吸収電極であって、
ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン及びトリヒドロキシナフタレンから成る群から選択された少なくとも1つと、
ホルムアルデヒドと、
炭素強化剤と、
触媒又は炭化形態のその反応生成物とを含み、
前記電極は、厚さが3mmよりも大きく、前記炭素強化剤は、前記厚さの全体にわたって実質的に分散していることを特徴とする電極。
【0084】
〔態様2〕 ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン及びトリヒドロキシナフタレンから成る群から選択された前記1つは、レソルシノールであることを特徴とする上記態様1記載の電極。
〔態様3〕 前記炭素強化剤は、炭素繊維、炭素フェルト及びセルロースから成る群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする上記態様2記載の電極。
【0085】
〔態様4〕 液体の脱イオン装置であって、
前記液体を入れるための少なくとも1つの開口部を備えた第1の槽部材と、
前記第1の槽内に配置されていて、各々が互いに異なる方向に向いた一対の側面を有し、かつ互いに間隔を置いた複数の第1形式の非犠牲吸収電極と、
前記第1形式の電極の各々の各側に配置されていて、前記第1形式の電極とは異なる組成を有する複数の第2形式の非犠牲電極と、
少なくとも1つの第1形式の電極と、前記なくとも1つの第1形式の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第1の電圧を印加するよう構成された第1の電圧源とを備え、
第1形式の前記電極は、
ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン及びトリヒドロキシナフタレンから成る群から選択された少なくとも1つと、
ホルムアルデヒドと、
炭素強化剤と、
触媒又は炭化形態のその反応生成物とを含み、
第1形式の前記電極の厚さは、少なくとも1mmである、
ことを特徴とする装置。
【0086】
〔態様5〕 第2形式の前記電極は、炭素布、炭素フェルト、黒鉛、金、プラチナ、導電性プラスチック及びガラス状炭素から成る群から選択された1つであることを特徴とする上記態様4記載の装置。
〔態様6〕 前記槽内に配置されると共に、前記槽内で脱イオンされるべき液体を混合するように構成された混合手段を更に有することを特徴とする上記態様4記載の装置。
〔態様7〕 前記混合手段は、前記槽の内側底面に沿って配置された曝気装置を更に有し、前記曝気装置は、ガスを液体中へ導入するように構成されていることを特徴とする上記態様4記載の装置。
〔態様8〕 前記第1形式の電極は、前記第1の槽部材内では、前記第2形式の電極に対して角度をなして傾斜していることを特徴とする上記態様4記載の装置。
【0087】
〔態様9〕 少なくとも1つの第2形式の電極が、実質的に平らな非導電性構造的支持部材の互いに逆方向に向いた第1の側部と第2の側部の各々に取り付けられ、前記構造的支持部材の第1の側部に取り付けられた第2形式の電極は、前記構造的支持部材の第2の側部に取り付けられた第2形式の電極から電気的に絶縁されており、第2形式の前記電極が取り付けられている前記構造的支持部材は、第1形式の2つの電極相互間に位置していることを特徴とする上記態様4記載の装置。
〔態様10〕 前記互いに間隔を置いた第1形式の電極相互間で第1の槽部材の底部材に設けられた複数の穴を更に有し、前記穴は、第1の電圧の極性を逆にすると、固形フロックの除去に適合するように寸法決めされていることを特徴とする上記態様9記載の装置。
〔態様11〕 前記槽内に配置されると共に、前記槽内で脱イオンされるべき液体を混合するように構成された混合手段を更に有することを特徴とする上記態様10記載の装置。
〔態様12〕 前記混合手段は、前記槽の内側底面に沿って配置された曝気装置を更に有し、前記曝気装置は、ガスを液体中へ導入するよう構成されていることを特徴とする上記態様11記載の装置。
【0088】
〔態様13〕 液体の脱イオン装置であって、
前記液体を入れる少なくとも1つの開口部を備えた第1の槽部材と、
前記第1の槽内に配置されていて、各々が互いに異なる方向に向いた一対の側面を有っし、かつ互いに間隔を置いた複数の第1形式の非犠牲吸収電極と、
前記第1形式の電極の各々の各側に配置されていて、前記第1形式の電極とは異なる組成を有する複数の第2形式の非犠牲電極と、
少なくとも1つの第1形式の電極と、前記少なくとも1つの第1形式の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第1の電圧を印加するよう構成された第1の電圧源と、
第1形式の別の電極と、第1の槽部材内で前記第1形式の別の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第2の電圧を印加するよう構成された第2の電圧源と、
を備えることを特徴とする装置。
【0089】
〔態様14〕 前記第1の電圧と前記第2の電圧は、互いに異なる極性を有していることを特徴とする上記態様13記載の装置。
〔態様15〕 前記第1の槽部材の出口に連結された入口を有する第2の槽部材を備え、
さらに、第2の槽部材内の少なくとも1つの第1形式の電極と、第2の槽部材内で前記少なくとも1つの第1形式の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第3の電圧を印加するよう構成された第3の電圧源を備える、
ことを特徴とする上記態様13記載の装置。
〔態様16〕 第2の槽部材内の少なくとも1つの別の第1形式の電極と、第2の槽部材内で前記少なくとも1つの別の第1形式の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第4の電圧を印加するよう構成された第4の電圧源を更に有することを特徴とする上記態様15記載の装置。
〔態様17〕 前記第1の電圧と前記第2の電圧は、互いに異なる極性を有し、前記第3の電圧と前記第4の電圧は、互いに異なる極性を有していることを特徴とする上記態様16記載の装置。
【0090】
〔態様18〕 前記第2の槽部材の出口に連結された入口を有する第3の槽部材を備え、
さらに、第3の槽部材内の少なくとも1つの第1形式の電極と、第3の槽部材内で前記少なくとも1つの第1形式の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第5の電圧を印加するよう構成された第5の電圧源を備える、
ことを特徴とする上記態様16記載の装置。
〔態様19〕 第3の槽部材内の少なくとも1つの別の第1形式の電極と、第3の槽部材内で前記少なくとも1つの別の第1形式の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第6の電圧を印加するよう構成された第6の電圧源を更に有することを特徴とする上記態様18記載の装置。
〔態様20〕 前記第1の電圧と前記第2の電圧は、互いに異なる極性を有し、前記第3の電圧と前記第4の電圧は、互いに異なる極性を有し、前記第5の電圧と前記第6の電圧は、互いに異なる極性を有していることを特徴とする上記態様19記載の装置。
〔態様21〕 少なくとも1つの第2形式の電極が、実質的に平らな非導電性構造的支持部材の互いに逆方向に向いた第1の側部と第2の側部の各々に取り付けられ、前記構造的支持部材の第1の側部に取り付けられた第2形式の電極は、前記構造的支持部材の第2の側部に取り付けられた第2形式の電極から電気的に絶縁されており、第2形式の前記電極が取り付けられている前記構造的支持部材は、第1形式の2つの電極相互間に位置していることを特徴とする上記態様13記載の装置。
【0091】
〔態様22〕 第1形式の前記電極は、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン及びトリヒドロキシナフタレンから成る群から選択された少なくとも1つと、ホルムアルデヒドと、炭素強化剤と、触媒又は炭化形態のその反応生成物とから成り、第1形式の前記電極の厚さは、少なくとも1mmであることを特徴とする上記態様21記載の装置。
〔態様23〕 第2形式の前記電極は、炭素布、炭素フェルト、黒鉛、金、プラチナ、導電性プラスチック及びガラス状炭素から成る群から選択された1つであることを特徴とする上記態様22記載の装置。
〔態様24〕 処理対象の液体の性質を測定して前記性質を表す第1のデータ信号を出力するよう構成された少なくとも1つのセンサと、前記第1のデータ信号を受けてこれに応答して第1の制御信号を出力するコントローラとを更に備え、前記第1の制御信号は、前記第1の電圧源、前記第2の電圧源によりそれぞれ印加される前記第1の電圧、第2の電圧のうち少なくとも一方を調節することを特徴とする上記態様13記載の装置。
〔態様25〕 前記第1の槽内への液体の流量を制御する弁を更に有し、前記コントローラは、前記流量に影響を及ぼすように前記弁の位置を調節する第2の制御信号を出力することを特徴とする上記態様24記載の装置。
【符号の説明】
【0092】
18 本発明に従って構成された装置
20 電極
22 電極
24 槽
26 側壁
28 側壁
30 端壁
32 端壁
34 底部
36 入口
38 出口
42 散気装置
44 管
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素強化吸収非犠牲電極の製造方法および脱イオン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レソルシノールは、樹脂、染料、接着剤、医薬品、及び他の用途で通常用いられている周知の材料である。これは、種々の等級及び種々の形態、例えば結晶、フレーク、ペレット等で入手できる。種々の形態のレソルシノールは、水、アルコール、エーテル、ベンゼン、グリセロール及びホルムアルデヒドに溶ける。
ファーマー氏に付与された米国特許第5,425,858号(特許文献1)に記載されているように、レソルシノールを用いると炭素エーロゲルを合成できる。具体的に説明すると、炭素エーロゲルは、僅かに塩基性の基材中でレソルシノール及びホルムアルデヒドの重縮合を行い、次に不活性雰囲気中における超臨界乾燥及び熱分解を行うことにより生成できる。かかる炭素エーロゲルで作られた薄型電極は、この米国特許に記載されているように、容量性脱イオン用途に利用できる。なお、かかる米国特許の内容を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,425,858号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この方法で製造された薄いプレート状の電極(厚さ約0.25mm)は、多くの欠点をもっている。第1に、かかる電極プレートは、高価であって商業規模では実用化できず、1平方インチの表面積当たりの費用は1000ドル台にもなる。第2に、これら電極を用いる装置は、水の電気分解の際の電圧及び電流よりも低い電圧及び電流で駆動された場合に有効であるに過ぎない。また、プレートが薄いので脱イオン能力が制限される。薄いプレートは、自立形にはならず、これらプレート相互を高信頼度で直に電気接続することは難しい。最後に、これら電極は、チタン製のプレートに接着されるので、これらプレートの各々の一方の側は、脱イオン表面として使えない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数の脱イオンセルを有する槽又はタンクを有する脱イオン装置に関する。各脱イオンセルは、2つの互いに異なる形式の3つの非犠牲電極から成る。一電極は、互いに逆の方向に向いた2つの側部又は側面を備えるプレートとして形成された表面積の大きな吸収材料(high surface area absorptive material )で構成されている(以下、「HSAAM電極」という)。HSAAM電極は、脱イオンされるべき液体からイオンを除く。このHSAAM電極は、その各側に設けられていて、脱イオンされるべき液体からイオンを除かない2つの電極と境を接している。
【0006】
槽の底部は、空気を導入するためのネットワーク状の管を備えるのがよく、各管には、空気を逃がす小さな穴が設けられている。これら管を介して圧送された空気は、脱イオン対象の液体を拡販してこれを混合し、かくしてHSAAM電極へのイオンの接触及び捕捉を促進する。
【0007】
本発明で用いられる非HSAAM電極は、平らな非導電性の構造的支持部材の各側に取り付けられた炭素布(CC)又は黒鉛プレートの形態で設けられる。構造的支持部材の一方の側の非HSAAM電極は、構造的支持部材の他方の側の非HSAAM電極から電気的に絶縁されている。かくして、各非HSAAM電極は、それぞれ別のHSAAM電極と連携する。この結果、第1及び第2の非HSAAM電極を有する脱イオンセルが得られ、非HSAAM電極はそれぞれ、異なる構造的支持部材に取り付けられるが、これらの間にサンドイッチされた同一のHSAAM電極に向いている。
【0008】
脱イオンセルに用いられるHSAAM電極を製造するには、先ず最初に、レソルシノールをホルムアルデヒド中に溶解させて当初のリカーを生じさせる。触媒を添加して重合を促進させると共にHSAAMの最終構造を得る。所定量の非犠牲材料を強化材料としてリカーに加える。この混合物を、重合が生じて混合物が強化材料を支持するのに十分な稠度に達するようになるほど十分な温度で又は十分な時間をかけて加熱して十分な熱を加える。次に、その結果得られた粘性のある液体の重合を続行させて成形型内に固体を生じさせる。次いで、その結果得られたブロックを炭化するまでオーブン内で焼き、その後、これを機械加工し、しかる後、脱イオン装置内に使用する。
本発明の上記特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、図面を参照して以下の説明を読むと明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に従って構成された装置の斜視図である。
【図2A】本発明の装置で用いられる槽を示す図である。
【図2B】槽内のHSAAMプレートを固定する一構成例を示す図である。
【図2C】槽内のHSAAMプレートを固定する別の構成例を示す図である。
【図3】蛇行した流れのために構成された図1の装置の平面図である。
【図4A】隣り合う電極で形成された脱イオンセルを示す図である。
【図4B】隣り合う電極で形成された脱イオンセルを示す図である。
【図5】3つの直列に連結された装置を備えた装置を示す図である。
【図6A】全ての電極が互いに平行な構成例とは別の構成例を示す図である。
【図6B】全ての電極が互いに平行な構成例とは別の構成例を示す図である。
【図7】イオン出口穴が設けられた槽の平面図である。
【図8】図5に示す内容に従って構成された実験装置を示す図である。
【図9A】図8の装置を用いて得られたバッチ処理の結果を示すグラフ図である。
【図9B】図8の装置を用いて得られたバッチ処理の結果を示すグラフ図である。
【図9C】図8の装置を用いて得られたバッチ処理の結果を示すグラフ図である。
【図9D】図8の装置を用いて得られたバッチ処理の結果を示すグラフ図である。
【図9E】図8の装置を用いて得られたバッチ処理の結果を示すグラフ図である。
【図10】自動脱イオン装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明に従って構成された装置18を示している。この装置は、多数の互いに平行に配置された直立の電極20,22を有している。以下に説明するように、2つの互いに異なる形式の電極及びこれらの変形例が提供される。
【0011】
この装置の電極は、実質的に矩形の室又は槽24内に幅方向に設けられている。槽又はタンク24自体は、一対の側壁26,28と、一対の端壁30,32と、平らな底部34とから成る。槽壁は好ましくは、ガラス、プラスチック、プレキシグラス又は他の電気絶縁性水密材料で作られる。
【0012】
底部に設けられた入口36及び第1の端壁に設けられた出口38は、槽内にある間に脱イオンされる液体の入口及び出口となっている。変形例として、入口を、図3に下線の経路で示すように蛇行状態の流れが望ましい場合には第2の端壁に設けてもよい。また、単一の槽を用いて異なる源からの液体を脱イオンする場合、多数の入口及び出口を底部又は側部に互いに間隔を置いて設けてもよく、各液体は、互いに異なる極性をもっていて除去されるべきサイズのイオンを含んでいる。
【0013】
槽の底には散気装置42が設けられ、この散気装置を介して空気が導入される。図2Aに示すように、散気装置は、スチレン等から形成された多数の互いに平行に配置された管44から成り、これら管には小さな開口部が設けられている。管44は、槽の幅全体にわたって延びており、好ましい実施形態では、向い合った電極相互間に配置されている。装置の動作中、空気をこれらの管を介して圧送して、この空気が槽内の液体を曝気して攪拌するようにする。これにより、槽内の液体を混ぜ合わせて互いに反対の極に帯電している電極相互間でイオンを攪拌することにより脱イオンが促進される。
【0014】
当業者であれば、これらと均等な曝気手段を、開口部が設けられた互いに平行な管のネットワークに代えて使用できることは明らかである。例えば、有孔底又は入れ底を設けてもよく、そして槽底部と有孔底との間に圧送された空気が、有孔底に形成された開口部を通ってパーコレートするようにしてもよい。別法として、槽底部に実質的に平らなプラスチック製の袋を設けることが挙げられ、空気は、袋の中にいったん圧送されると、その上側に設けられた開口部を通って液体に入り込むことができる。
【0015】
槽の側壁26,28の内方に向いた表面には、これまたスチレン又は他のプラスチックで成形された列状の取付けクリップが設けられている。取付けクリップ46,48は図2Aに示すように、槽内に挿入される電極を整列させると共に保持するのに役立つ。取付けクリップ46,48は、これらの受入れ設計対象である電極20,22の物理的性質及び化学的性質に応じて大きさ、形状及び素材が異なるものであるのがよい。
【0016】
電極をその各側縁部のところで開口した取付けクリップ内に直接挿入することができる。かかる場合、電極は、これらが取付けクリップ内に挿入される場所に隣接して図3に示すように開口部50を備えるのがよい。この開口部50は、液体が槽内を通って流れる時に通過することができる通路としての役目を果たす。
【0017】
変形例として、電極を、取付けクリップにより、その端部の内の一方又は両方に設けられたアクリル製のスペーサ52を介して間接的に保持してもよく、このアクリルスペーサは、連結クリップ54によって電極に固定されている。かかる場合、開口部56を、アクリルスペーサそれ自体に形成して液体がこれを通過することができるようにするのがよい。この構成は、開口部を構造的観点からの理由、電気的観点からの理由又は他の理由で電極それ自体に形成することができない場合に特に有利である。
【0018】
加うるに、槽の底部34は、図2Bに示すようなプラスチック製の保護部材57又は図2Cに示すような溝58を備えるのがよく、これらは槽の幅全体にわたって延びている。かかる保護部材及び溝は、電極を一方の側壁又は他方の側壁に向かって選択的に摺動自在に調節できるようになる。これは、各電極の各フェースを越えて槽の一方の端壁のところの入口から反対側の端壁に形成された出口にいたる液体の蛇行状の流れを設けることが望ましい場合には特に有利である。電極を摺動させる保護部材又は溝に代わる手段として、底壁の中央は、スロットを備えてもよく、これらスロット内に、直立した底部クリップ又はばね押しリテーナが挿入される。次に、電極の底縁部を、いずれか一方の側壁から測って任意所望の距離のところでこれら底部クリップ又はリテーナに挿入するのがよい。上述したように、アクリルスペーサバーを用いると、電極の自由縁部と取付けクリップとの間の隙間を橋渡しすることができる。
【0019】
母線60を、槽の外部側壁に設けるのがよい。各母線は、互いに電気的に絶縁された複数の端子62を備えており、各端子は、関連の電極に接続されるよう配置されている。これにより、各電極に印加される電圧及び電流を個々に制御することができる。個々の端子を、従来型電気リード線、例えばワニクリップ又はこれと均等な接続手段でこれらと関連のある電極に電気的に接続するのがよい。しかしながら、より好ましくは、個々の端子の接続は、非犠牲黒鉛ロッドを介して対応の取付けクリップ又は対応の接続クリップ(用いられた場合)のいずれかに接続された銅線64によって行うのがよい。すると、電極は、取付けクリップ又は接続クリップに挿入されると黒鉛ロッドに接触する。この電気的接触を容易にするために、板ばね等を周知の方法で導電性ストリップの端部に取り付けるのがよい。次に、板ばねをクリップの溝に固定するのがよく、この溝内には、電極の縁部が挿入される。
【0020】
上述したように、本発明に従って構成された装置では、2つの形式の導電性非犠牲電極が用いられている。好ましい実施形態では、平らなプレートとして形成された第1の形式の電極は各側部が第2の形式の電極と接している。3つの電極は一緒になって脱イオンセルを形成する。作動中、実質的に同一の電位差又は電圧が第1形式の電極と第2形式の電極の各々との間に生じるのが通例である。これは、電圧源の一リード線を第1の形式の電極に接続すると共にその同一電圧源からの一対の共通リード線を第2形式の2つの電極の各々に接続することによって達成される。共通リード線により、実質的に同一の電位差が、第1形式の電極と、第1形式の電極を境界づける第2の形式の電極の各々との間に維持されるようになる。
【0021】
第1形式の電極(22)は、炭素を基材とする表面積の大きな吸収部材から作られている(これを「HSAAM電極」という)。その電極は、電流を流した時に水溶液からイオンを除いてこれを保持する。好ましい実施形態では、HSAAM電極は、レソルシノール、ホルムアルデヒド、炭素繊維、炭素フェルト及び炭素セルロールのうち少なくとも1つ、触媒、及び炭化形態のその反応生成物から作られている。HSAAM電極を製造する方法について以下に詳細に説明する。
【0022】
第2形式の電極(20)は、導電性材料から作られているが、電流を流してもイオンを除かず、或いは保持せず、したがって非吸収性である(これを「非HSAAM電極」という)。この性質は、炭素布、黒鉛、金、プラチナ及び水溶液中の電界内で劣化しない他の導電性材料から作られた電極に共通している。好ましい実施形態では、非HSAAM炭素電極は、黒鉛から作られるか、或いはより好ましくは、炭素布、例えばゾルテク社から入手できる部品番号PANEX30繊維織物から作られる。
【0023】
図4Aに示すように、非HSAAM炭素電極20は、互いに電気的に絶縁された状態にある一対の導電性表面を有する点においてデュアル又は複式電極として形成されている。複式電極20は、別々の炭素布72a,72bを厚さ3/8インチ(9.5mm)のシート状のプレキシグラス74の各側に固定することによって形成される。プレキシグラスは、非導電性の構造的に剛性の支持部材として役立つと共に、両方の炭素布を直接通る液体の流れを防止する。かくして、プレキシグラスに代えて、ガラス、アクリル樹脂等を用いてもよい。好ましい実施形態では、炭素繊維は、エポキシ系接着剤によってプレキシグラスシートの各側に固定される。当業者には知られているように、他の接着剤及び機械的固定手段、例えば、ねじ、クリップ等を用いて炭素布(CC)電極を固定してもよい。
【0024】
いったんプレキシグラスシート74の各側に固定すると、炭素布72aの一方の側を所望ならば、同一シート74の他方の側のその対応炭素布72bに電気的に接続してもよい。しかしながら、通常はこのようにはせず、別個独立の電圧源を用いてプレキシグラスの各側の炭素布に互いに異なる電圧を印加できるようにする。かかる場合、単一の槽内の隣り合うセルは、互いに異なる電圧源によって駆動できる。
【0025】
図4Bに示すように、本発明の装置では、これら2つの側部を持つ非HSAAM電極20は、槽内でHSAAM電極22と交互に配置され、かかるHSAAM電極の各々には、任意所与の時期に単一電圧だけを印加できる。かくして、本発明の装置では、HSAAM電極の一方の側は、プレキシグラスの第1のシート74に固定されたCC電極72bに対面し、HSAAM電極の反対側の第2の側は、プレキシグラスの第2のシート78に取り付けられたCC電極76aに対面する。このようにすると、一対の対応した非HSAAM布電極を備えたHSAAM電極22の各々は、脱イオンセル80を形成する。端壁30,32は、これらの内方に向いた側部に取り付けられた炭素布電極を有し、この電極はセルの一部となる。
【0026】
作用を説明すると、同一のHSAAM電極22に向いた2つのCC電極72b,76aは、通常は、同一の極性及び同一の電圧レベルに維持される。変形例として、所望ならば、かかるCC電極72bがそれぞれ母線60のそれぞれの端子62を備えると、これらを互いに異なるレベルに維持することができる。電圧HSAAM電極22とその対応の非HSAAM電極72b,76aとの間に印加すると、セル80は動作状態になり、脱イオンがHSAAM電極22の両側で行われる。好ましくは、同一電圧レベルを単一セルの両方の非HSAAM電極に印加する。しかしながら、もしHSAAM電極の各側の2つの非HSAAM電極が互いに異なる表面積を有していて、互いに異なる電流密度を維持できる場合には、これらを互いに異なる電圧で駆動することができる。
【0027】
HSAAM電極を非HSAAM電極に対して正又は負に帯電させることができる。HSAAM電極を正に帯電させると、この電極は負のイオンを引き寄せ、吸着し、保持する。これにより、セルの直ぐ近くに位置する水のpHは大きくなり、又は一層苛性になる。HSAAM電極を負に帯電させると、この電極は正イオンを引き寄せ、吸着し、保持し、かくして水のpHを下げてこれを一層酸性にする。
【0028】
各HSAAM電極22は各側がそれ自体対をなすCC電極と接しているので、同一槽内の隣り合う脱イオンセルは、互いに異なる種類のイオンを除くのに用いることができる。かくして、もし一対の互いに間隔を置いた入口又は出口が同一槽の底部又は側部に設けられていると、これらの入口に近い脱イオンセルは、第1の組をなすセルが第1の種類のイオンを除き、第2の組をなすセルが第2の種類のイオンを除くような動作状態になる。同様に、蛇行した流体の流れが望ましい場合、流体が出会う第1の上流側の組をなすセルを動作させて第1の種類のイオンを除き、第2の下流側の組をなすセルを動作させて第2の種類のイオンを除く。
【0029】
所与の槽内には代表的には複数のセルが設けられる。槽内の水を完全に脱イオンするためには、正に帯電したHSAAM電極と負に帯電したHSAAM電極の両方が設けられるべきである。一般に、イオン除去を行うためには互いに異なる電圧を正のセル及び負のセルに印加すべきであり、正及び負に帯電したセルの数は同一ではないのがよい。これにより、正及び負に帯電したHSAAM電極を互いに独立して且つ互いに異なる電圧レベルで動作状態にすることができる。プレート相互間の間隔及び印加電圧を変えることにより、処理されるべき流体から特定のイオンを除去することができる。
【0030】
図5に示すように、多数の槽を鎖状に連結してもよく、槽の出口は次の槽の入口に連結されている。かかる場合、各槽内の脱イオンセルは、各槽が一種類のイオンの除去を集中して行うよう共通の仕方で動作状態にするのがよい。変形例として、連続した槽を用いて同一イオンの除去量を次第に減少させてもよい。
【0031】
図6A及び図6Bに示すように、一方の形式の電極を、他方の形式の電極に対して僅かに傾斜させるのがよい。図6Aでは、HSAAM電極は、互いに対して平行に且つ直立したものとして示されている。これとは対照的に、HSAAM電極の各側の非HSAAM炭素布電極は、HSAAM電極の回りに対称に傾斜している。かかる場合、隣り合うHSAAM電極は、異なる態様で傾斜したそれぞれの炭素布電極を有している。同様に、図6Bに示すように、炭素布電極を直立した状態にし、HSAAM電極を炭素布電極に対して傾斜させてもよい。図6Bの構成例では、HSAAM電極は、依然として互いに平行であるが、例えば槽の底及び壁に対して傾斜している。
【0032】
図7は、4つの脱イオンセルを有する槽の平面図である。正に帯電したHSAAMプレートを有する第1の対をなす脱イオンセルは、負に帯電したHSAAMプレートを有する第2の対と交互に配置されている。槽の底は、各脱イオンセルの下に位置する領域において、列状の穴を備えている。正に帯電した脱イオンセルの場合、これらは、穴82として示され、負に帯電した脱イオンセルの場合、これらは穴84として示されている。
【0033】
穴82,84の目的は、槽が動作している時にHSAAMプレート上に集められた正及び負のイオンを選択的に除去できるようにすることにある。かくして、正に帯電したHSAAMプレートを有するセルでは、負のイオンはプレート上に集まるであろう。セルを再生すると、これらイオンを穴82を通して集めることができる。同様に、再生中、負に帯電したHSAAMプレート上に集められたイオンを穴84を通して集めることができる。図7に示すように、穴82,84は、ほぼ同一の大きさ及び配置状態を有している。しかしながら、これは必ずしも必要ではない。例えば、負に帯電したイオンの穴は、正に帯電したイオンの穴よりも小さくてもよい。また、HSAAM電極及び非HSAAM電極に平行に配置された列状の穴の代わりに、一層不規則なパターンの穴、例えばチェス盤又はハチの巣状に見える穴を用いてもよい。
【0034】
上述したように、HSAAM電極は、表面積の大きな吸収部材で作られている。本発明では、この材料は、3つの構成成分、即ちレソルシノール、ホルムアルデヒド及び例えば炭素源のような強化剤を必要とする本発明の方法によって製造される。また、触媒を用いてレソルシノール−ホルムアルデヒド樹脂の重合を容易にするのがよい。
【0035】
レソルシノールには多くの異なる等級があり、これらを多くの供給業者からペレット、フレーク及び他の従来形態で得ることができる。以下の例では、ホーチスト・セラニーズ・カンパニイから入手できる有機化学的処方に適した形態のレソルシノールを用いた。
【0036】
ホルムアルデヒドは、種々の供給業者から入手でき、かかるホルムアルデヒドには種々の等級及び種々の形態がある。以下に示す例では、ジョージア−パシフィック・レジン・スペクトラム・ケミカル・カンパニイから入手できる染料、樹脂及び生物学的保存に適したホルマリンの形態のホルムアルデヒドを使用した。
【0037】
HSAAM電極の製造の際に強化剤として用いられる炭素源には、種々の形態のものがある。例えば、ばらばらの炭素繊維、例えばアモコ社から入手できるTHORNEL(登録商標)P25 4K1/4インチカット炭素繊維のファイバーを用いると、本発明に用いられるHSAAM電極を製造するのに上首尾であった。また首尾よく用いられた別の例として、カーボンフェルト、黒鉛フェルト等級のwdf3331060又はカーボンフェルトVDG3330500が挙げられ、これらは共にナショナル・エレクトリック・カーボン・カンパニイから入手できる。一般的に言って、比較的純粋であれば任意の炭素源を所定量で用いることができる。ただし、これを後で硬化するレソルシノール−ホルムアルデヒドのリカー中に十分に分散させることができ、或いは、これがマトリックス中のほぼ同一の量のリカーを吸収できて次に硬化できることを条件とする。炭素繊維は導電性であることが重要である。本発明の実施形態は、炭素フェルトから成る炭素布を必要とするが、重要なことは、非犠牲電気導体を用いるということである。したがって、例えば黒鉛、金、プラチナ、導電性プラスチック、ガラス状炭素、例えばペンシルベニア州セントメイズ所在のSGL・カーボン・グループ社から入手できるSIGRADURのような材料を、炭素布又は炭素フェルトに代えて用いることができる。
【0038】
使用する強化剤が何であれ、SAAM電極を製造する方法の開始の仕方は同じである。4ポンドの固形レソルシノールを、3.5リットルのホルムアルデヒドに添加し、室温で約1対2のモル比が得られるようにする。当然のことながら、上述の量を一定の割合でスケールアップ又はスケールダウンすれば、この最初の配合物の量全体を様々な量にすることができる。この最初の配合物を30分〜90分間、或いはレソルシノールが溶解するまで混ぜ合わせる。
【0039】
レソルシノールが完全に溶解すると、その結果得られた混合物は、琥珀色乃至ピンク色である。この混合物を、レソルシノールの溶解後、約12〜24時間の間、室温又はそれ以下の温度、即ち約72°Fに維持すれば、この色は、乳白色且つ乳光のリカーに変わる。
【0040】
所定量の炭酸ナトリウム触媒をリカーの測定部分に添加し、炭素源及びリカーを完全に混ぜ合わせる。
【0041】
次に、その結果得られた材料を加熱し、厚さ約3/4インチ(約19mm)になるまで8インチ×8インチ(約203mm×約203mm)の成形型内に注ぎ込み、ここで硬化させてキセロゲル(これは、重合レソルシノール−ホルムアルデヒドから成る)のブロックにする。成形型を室温で水準面上に置き、ここで、重合反応を空気中で続行させると、その間に材料がキセロゲルブロックになる。成形型内の材料は室温で凝固するのに約20〜60分かかる。この材料は凝固すると各寸法が約0.5〜1.0%だけ縮み、成形型の1又は2以上の側壁から離れる。次に、成形型をひっくり返すだけでブロックを取り出すことができる。
【0042】
各ブロックをその成形型から取り出すと、各ブロックを空気中において約80°〜90°F(約26.7°C〜32.2°C)の温度状態で約2時間かかって硬化させ、それにより完全な重合を達成する。従来硬化法とは異なり、本発明の硬化法は、臨界点乾燥法(即ち、超臨界乾燥法)を必要としない。これにより、時間及び費用が相当節約できる。硬化により、過剰液体のうち何割かが除去されるが、その結果得られたブロックは依然として著しい電気不良導体である。
【0043】
硬化後、ブロックをオーブン内で平らにし、次に炭化させる。炭化中、重しを各ブロックの上に載せて、亀裂、不均等な座屈及びその縁部のカールの発生を防止する。炭化は好ましくは、約1850°〜2200°F(1010°C〜1204°C)の温度で行われる。しかしながら、経験の示すところによれば、1750°F(約954°C)という低い温度及び10〜20分間の炭化時間も又、許容範囲であり、温度が低ければ低いほどそれだけ一層炭化時間が長くなることが分かった。ブロックにこの温度を適用することにより、乾燥保存が一段と達成され、元々の構成成分中に存在している不純物のうち多くが焼失する。好ましい実施形態では、ブロックの厚さは焼失に起因する材料のうち幾分かの損失に耐えることができるので、炭化を空気環境中で実施できる。これは、比較的薄いブロックが炭化中に消費されるのを防ぐために窒素又は他の不活性ガス雰囲気を用いなければならなかった従来法とは対照的である。
【0044】
炭化がいったん完了すると、次に、その結果得られたHSAAMプレートを機械加工又は切削加工し、サンダー仕上げして、所望の形状、サイズ及び厚さのプレーナ電極の状態にすることができる。好ましくは、電極は、自立する(例えば、一端を立てた時にそれ自体の重さに耐えることができる)十分な厚さを有している。このためには、2インチ×4インチ(5.08cm×10.16cm)の電極の場合、少なくとも約1mmの厚さが必要である。これよりも薄いプレートを形成することができるが、材料がもろくなるので、かかる薄いプレートは取扱いが難しくなり、溶液からイオンを除いて保存する能力が著しく制限される。一般に、プレートの厚さは、これらの表面積に比例して設定されるべきであり、一般にプレートが大きければ厚くする必要がある。ブロックは、炭化後においては厚さとは無関係に電気の良導体である。
【0045】
触媒及び炭素源をリカーに添加する工程の詳細は、使用する炭化源のタイプに応じて、2以上の方法で実施できる。次に、この工程について、より詳細に検討する。
【0046】
先ず最初に、THORNEL(登録商標)炭化繊維を用いる場合について説明する。800ミリリットル(ml)のリカーを3オンス(85.05グラム)の上述の1/4インチTHORNEL(登録商標)炭化繊維及び重合を促進する触媒として働く10mlの炭酸ナトリウムの1.0モル溶液と共にブレンダー内に注ぎ込む。次に、この組合せを、約3〜5分間ブレンドしてついには炭素繊維とリカーが完全に結合するようにする。ブレンドの際、炭素繊維を一段と細断して小片の状態にする。このブレンドの結果として、粘性のある黒色のブロス(broth )が得られ、かかるブロスは、炭酸ナトリウムと混合されたレソルシノールとホルムアルデヒドから成るリカー及びこれと結合された炭素繊維を含む。ブレンド工程実施後のブロスの温度は、約90°F(約32.2°C)である。この例では使用したリカーは800mlに過ぎないが、この工程は拡大縮小可能であることは注目されるべきである。かくして、数リットル又はそれ以上を同一時間でバッチ処理できる。
【0047】
次に、この方法で得られたブロスを1600ml分、ステンレス鋼製の混合ボウルに移送し、卓上電気ヒータを用いてブロスを次第に加熱する。ブロスを、加熱しながら攪拌し、その温度を厳密にモニターする。このようにしてブロスの温度を25分間〜45分間かけて上昇させ、温度を約130〜140°F(約54.4°C〜約65.6°C)に維持する。なお、135°F(約57.2°C)が最適温度である。
【0048】
加熱工程中、ブロスの温度を制御して、この温度が、重合を制御外れにする150°F(約65.6°C)を越えないようにする。温度制御は、多数の手段、例えば熱電セル、冷却剤が循環するコイル、及び混合ボウルを下降させてこれを入れることができる水浴を用いて行うことができる。また、幾つかの周知のモニター及び制御装置のうち任意のものを用いて自動温度調整を行うことができる。
【0049】
加熱中、ブロスの稠度(コンシステンシー)も又、モニターする。これを行うことにより、炭素繊維が互いにかたまりになり又は集まって、その結果としてマット状炭素繊維の分散度が不均一な凝集が生じることがないようにする。これが生じると、ブロスをブレンダー内に戻してその内容物を一段と均質化するのがよい。
【0050】
ブロスを約135°F(約57.2°C)の温度に維持し、連続的に攪拌して均一な重合を可能にする。この温度は、約35分間保たれ、この時点において、ブロスが数秒間攪拌されなくても僅かなスキンがブロスの表面上に生成する。重合が続くと、ブロスは濃厚になり、次第に粘度が大きくなって、ついには炭素繊維がコロイド粒子としてブロス中に懸濁するような稠度に達するようになる。この時点に達すると、加熱されたブロスを約3/4インチ(約19mm)の厚さまで8インチ×8インチ(約203mm×約203mm)の成形型内に注ぎ込む。
【0051】
ブロスを注ぎ込む時のその温度は、130°〜150°F(約54.4°C〜約65.6°C)そこらの範囲にあるべきであることは注目されるべきである。これにより、ブロスが固まると、その結果得られた固形ブロックが等方性の機械的及び電気的性質を有するようになる。ブロスを、150°F(約65.6°C)を越える温度で注ぎ込むと、或いはこの温度を越えるようにすると、暴走反応が生じ、その結果、気泡や他の不均一な表面及び体積的特異部分を有する変形したブロックが生じる。これらの結果として、構造的及び電気的に異方性のブロックが生じることになる。
【0052】
第2の場合は、炭素フェルト、平滑なセルロース繊維又は活性炭を含浸させたセルロース繊維を用いてレソルシノール−ホルムアルデヒド樹脂を強化する場合である。炭素繊維フェルト又はマットを切断して成形型内に納める。次に、レソルシノール−ホルムアルデヒドから成るリカーを成形型内に注ぎ込んで炭素フェルトを覆い、それによりフェルト内に閉じ込められていた空気を押し退ける。次に、成形型を92°F(約33.3°C)に設定された硬化用オーブン内に移送し、約72時間かけて重合させてキセルゲルブロックを形成する。次に、キセルゲルをオーブンに入れ、1850〜2200°F(約1010°C〜約1204°C)で炭化させる。オーブン内での炭化中に、キセルゲルを0.5〜0.8ポンド/平方インチ(35.15〜56.24g/cm2 )の力で耐火ブロックの形に拘束した。この目的に用いられるオーブンは、頂部ベントを有する電気マッフル炉であった。この炭化の結果として、HSAAM生成物が得られる。HSAAMを炉から取り出した後、空気中で放冷した。次に、冷えたHSAAMを平らな研磨ホイールで機械加工して所望の一様な厚さにした。最後に、このプレートを卓上超硬のこぎりを利用して正方形にした。使用する炭素源とは無関係に、結果的に得られたブロックは色が黒であり、電気の導体として役立つ。
【0053】
上述の説明では、レソルシノールは、構成成分又は配合剤の1つとして用いられている。しかしながら、経験の示すところによれば、適当なブロックをレソルシノールに代えて以下の化学薬品のうち1つを用いることにより形成できることが分かった。かかる化学薬品とは、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン及び1,4−ジヒドロキシベンゼンである。これら化学薬品は各々、ホルムアルデヒドとポリマーを形成することが判明し、これを炭化すると首尾よくブロックの状態になり、次に、電流を流すと脱イオン水になった。この場合一般に、レソルシノールに代えて任意のジヒドロキシ又はポリヒドロキシベンゼン又はナフタレンを使用できると考えられる。この理由は、これら化学薬品は化学構造が似ていて、ホルムアルデヒドとポリマーを形成する特性を共有し、イオン除去に用いることができる炭化ブロックを形成しやすいことにある。現時点においては、レソルシノールが好ましい。その理由は、レソルシノールは、費用が安く、多くの量で広範に使用でき、室温及び大気圧でホルムアルデヒドと反応しやすいからである。
【0054】
図8は、本発明に従って構成された装置を示している。この装置は、3つの槽102,104,106を有している。3つの槽をコロラド州プエブロ市の廃水を脱イオンするために直列に連結して用いた。廃水を第1の槽102の入口108に導入し、最終生成物が槽106の出口122からシステムを出た。全体的に、システムは、毎分最高1500ミリリットル(ml/分)を脱イオンできた。
【0055】
このシステムでは、槽102,106は同一構造のものであった。各槽は、6つの脱イオンセルを備えるものであった。槽102,106の両方では、隣り合う脱イオンセル内のHSAAM電極は、互いに異なる極性を有していた。これにより、各槽内には、電圧はさみ込み脱イオン装置(voltage-interleaved deionization arrangement)が得られた。その結果、両方の槽102,106を、正と負の両方のイオンを取り出すよう配列した。したがって、これら槽は各々、2つの電圧源を有しており、一方の電圧源は正に帯電した脱イオンセルを形成するよう配置され、第2の電圧源は負に帯電した脱イオンセルを形成するよう配列された。
【0056】
槽102を中間槽104に連結した。槽102からの部分的に脱イオンされた廃水は、出口110、弁112、入口114を通り、そして第2の槽104に流入した。単一の入口としては示されていないが、入口114は事実上、第2の槽104に入る多数の導管である。弁112の目的は、槽102,104相互の導通を遮ることにある。また、槽102の出口110は、槽102の性能を評価するために部分的に脱イオンされた廃水を試験するためにブリード(図示せず)を備えるのがよい。
【0057】
槽104は又、6つの脱イオンセルを備えている。しかしながら、これら脱イオンセルは、2つ分の長さのものである。各脱イオンセルのHSAAM電極は、これらの端部にさねはぎ部を備えていて、これら電極は類似のプレートの相補形状の構造と嵌合することができるようになっている。槽102とは対照的に、槽104内の脱イオンセルは全て、正で帯電したHSAAM電極を有している。これは、負のイオンだけが槽104から除かれることを意味している。
【0058】
槽104から出た一段と脱イオンされた廃水は、出口116を通って流出し、弁118を通り、入口120に入り、ここから槽106自体に流入する。出口116も又、槽104からの廃水の試料を採取するようブリードを備えるのがよい。
【0059】
上述したように、槽106は槽102と構造が類似している。これは、入口120に流入した液体を一段と脱イオンする。槽106からの脱イオン流出物は、出口122からシステムを出る。
【0060】
槽102,106では、HSAAM電極は、6.5インチ×13インチ×0.4インチ(16.51cm×33.02cm×1.01cm)であり、寸法が6.5×6.5×0.4インチの2枚のプレートから作られていた。槽102,106のプレートを形成するため、0.25インチ(6.35mm)のさねはぎ接合部を一方の縁部に切断形成し、これと相補する接合部を当接プレートから見て反対側の縁部に切断形成した。2枚のプレートをフレーム内に嵌入し、端と端を突き合わせて導電性エポキシで接着した。槽104については、4枚のプレートをほぼ同一の方法で嵌め合わせた。全ての槽に関し、電気接続は、炭素繊維ワイヤを、HSAAMプレートをフレームに取り付けるクリップに例えばエポキシで接着することによって行われた。
【0061】
槽102,106では、水を単一の箇所でHSAAM電極の頂部近傍で各槽内に導入した。水をいったん槽内に入れると、脱イオン中、水を絶え間なく混合した。混合の目的は、脱イオン中における槽の局所的酸性又は苛性領域の生成の防止を可能にすることにある。混合は、槽をその槽の底部に沿って多数の箇所で曝気することにより達成できる。ただし、他の混合手段、例えば磁気又は機械的攪拌機及びスピナをその代わりに用いてもよい。所与の槽内における水の総保持時間を流量だけで決定し、これは上述したように1500ml/分以下であった。
【0062】
水を槽の各々の単一箇所で導入する代替手段として、各槽にHSAAMプレート及び非HSAAMプレートの一端に多数の入口を設けると共にプレートの他端に多数の出口を設けてもよい。かかる場合、水は脱イオンセルの長さ分移動し、その後に流出する。
【0063】
槽102,106には、脱イオンされるべき水の導電率で決まる電圧が印加された。印加電圧は、これら2つの槽内における脱イオン中0.01〜15ボルトの範囲にある。対応のアンペア数は、脱イオン中0.01〜10アンペアの範囲にある。水の脱イオン速度(即ち、イオンの除去速度)は、脱イオンされるべき水の清浄の関数であった。それゆえ、不純物の多い槽102内の脱イオン速度は、既に2回脱イオンした水を処理している槽106の脱イオン速度よりも大きかった。
【0064】
第2の槽104は負に帯電したイオンを除いた。この結果として、この槽内の水は苛性になり、かくして苛性フロックが形成された。第2の槽は、蛇行状の流れパターンで動作され、入口はHSAAMプレートの底部近傍に位置していた。槽104内の水に印加された電圧及び電流は、水の電気分解を引き起こすのに十分であった。この第2の槽内の水の処理の結果として、導電率の約300〜500μmho/cm又はμS/cmが除かれた。しかしながら、この槽からの苛性流出物のpHは8〜12の範囲にあり、これは次に第3の槽106に送られた。
【0065】
表1は、図8のシステムを用いて得られた実験結果を示している。特に、表1は、本発明の従って構成された装置を用いた場合の各脱イオン工程の効果を示している。表1の報告の示すところによれば、槽106(最後の槽)からのアウトプットが連邦政府の水質基準の規制を満たしているので飲料水と変わらない。
【0066】
【表1】
備考:図8のシステムを用いたコロラド州プエブロ市の下水の脱イオン
表2は、図8のシステムを用いて得られた実験結果を示している。特に、表2は、本発明の従って構成された装置を用いた場合の各脱イオン工程の効果を示している。
【0067】
【表2】
備考:コロラド州リードビル付近のアサルコ・インコーポレイテッドにより操業されているヤック・タネル/カリフォルニア・ガルチの試験型スーパー・ファンド・サイトにおいて、図8のシステムを用いた場合の脱イオン結果 連続流脱イオンに加えて、本装置は、バッチ処理方式による脱イオンにも使える。バッチ処理の結果は、図9A〜図9Eに示されている。特に、これらの図は、既知の濃度の鉄イオン、ナトリウムイオン及び銅イオンを加えた一バッチの水を脱イオンした場合の結果を示している。鉄及び銅イオンは、1ppb以下のレベルまで除かれ、ナトリウムイオンは、2ppm以下のレベルまで除かれ、導電率は、12,150μSから410μSに減少した。
【0068】
3つの槽の各々の中の水のpHレベル及び導電率レベルをモニターしてHSAAMプレートの飽和時期を確定した。流出水の導電率が上昇し、これに対応してpHが変化すると、これは、HSAAMプレートがイオンで飽和したことを意味し、そして本装置を再生する必要があることを意味する。同様に、蓄えられた電荷は、セル内のpH及び導電率と共に、本装置の再生が必要な時期を指示するのに利用できる。一般に、HSAAMプレートは、水の脱イオンを行うにつれて変色するようになる。変化のタイプ及び色は、処理対象の水の性状で決まる。たとえば、水のサルフェートレベルが高いと、HSAAMプレートは、サルフェートがHSAAMプレート上に析出すると白色に変わる。同様に、水中の有機廃材含有量が多いと、HSAAMプレートは茶色に変わる。いずれにしても、この変色により、イオン飽和レベルに起因して再生が必要であることが分かる。
【0069】
槽102,106を用いると、再生中、酸化フロック又は濃厚イオン溶液の何れかを生成できた。一方が生成するか他方が生成するかは、印加した電圧レベルで決まった。水の電気分解を引き起こすのに必要な電圧よりも低い電圧を印加すると、イオンに富んだ水を図7に示すように底部穴82,84を経て負又は正に帯電した脱イオンセルから集めることができた。他方、水を電気分解させるのに十分な電圧を印加すると、その結果として酸化フロックが生じた。かかる場合、このフロックを生じさせてこれを槽から送り出すためには、再生中、混合が必要であった。
【0070】
第2の槽104では、負に帯電したイオンを除いた。この結果として、水は苛性になり、その結果8〜12台のpHが得られた。また、この結果として、苛性フロックが生じた。作動中、槽104内の脱イオンセルに印加された電圧は、水の電気分解を引き起こすのに十分であった。かくして、印加された電圧は、1〜12ボルト台であり、アンペア数は1.3〜12アンペアであった。この作用効果として、第2の槽104は、導電率の300〜500μmho/cm又はμS/cmが除かれた。
【0071】
第2の槽104内におけるプレートの再生は、セルの蓄積電荷に打ち勝つのに十分な電圧(カウンタEMF)でプレートに与えられた電流を逆に流すことにより行われた。この場合も又、流出水の導電率が上昇し、これに対応してpHが変化すると、これは、第2の槽104内のHSAAMプレートがイオンで飽和し、そして本装置を再生する必要があることを意味する。これはたいていの場合、HSAAMプレートが著しく変色し、変化のタイプ及び色は、処理されるべき水の清浄で決まるということによって容易に識別できた。再生中、酸化フロックは、システムの作動中に生じたEMFに対抗するのに必要な電圧で装置を作動させることによって得られた。
【0072】
次に、これらフロックを槽104の底部の穴を通して捕集できた。再生後、次いで3つ全ての槽102,104,106を再使用でき、この場合従前と同一の効果が得られる。
【0073】
好ましくは、脱イオンに必要な電圧を供給するのに用いられる電源を、有限範囲の電圧で制御することができる。この場合、代表的には、電源は、ACコンセントに差込み可能なタイプのものである。しかしながら、かなり低い電圧及び電流が必要な場合、ある特定の装置では持ち運び可能な電池式の電源を使用するのがよい。この場合、太陽電池式脱イオン装置を構成して用いると、これは低い処理量であれば上首尾であった。サイズを小さくした太陽電池式システム及び電池式システムを用いると、費用が安く、且つ携帯性が高いという二重の利点が得られる。
【0074】
図10は、本発明の自動脱イオン制御システム130の全体図である。このシステムは、水の品質をモニターして自動的に電圧を調整し、それにより目標の脱イオン速度を達成する。この図に示すように、システム130は、2つの槽132,134の作動を制御する。しかしながら、制御システムを単一の槽又は3又は4以上の槽に用いてもよいことは留意されるべきであり、後者の場合、これらは直列又は並列に、或いはこれらの組合せ状態で連結される。
【0075】
制御システムは、センサモジュール138を用い、これらセンサモジュールは脱イオンプラント内における種々の段階での流出液をモニターする。これらセンサモジュール138は、かかる特性を流出液のpH、導電率、水の流量、温度、光学特性等として計測するよう構成された1又は2以上のセンサから成る。センサモジュールは、イオン専用プローブ、例えば、弗化物、アンモニア、塩化物及び他のもの、例えば、表1及び表2に列記されたパラメータを測定するプローブを更に有するのがよい。センサは、所定の周期で、或いはコントローラ136からの要求の際に流出液の試料を連続的に採取することができる。好ましい実施形態ではセンサは槽に連結されている管中の流出液の試料を採取するよう示されているが、センサを槽の内側に配置してもよい。
【0076】
センサのデータは、プログラムドロジックコントローラ136に送られる。コントローラは、マイクロプロセッサ又はこれと均等の装置として実現できる。コントローラ136は、センサのデータに基づいて槽132,134の性能を評価する。コントローラはこれらのデータを用いて、流量及び流れパターンの変化を行うべきかどうかを判定する。もしそうであれば、コントローラは、電動式弁140への信号を出力して流量を調節する。これら弁を同時に制御しても別個独立に制御してもよい。多数の入口又は多数の出口が設けられている場合、これらのサブセットだけを制御しても、オーバーフローをどの槽についても生じさせないようにすることができる。
【0077】
流量を選択的に制御することに加えて、コントローラ136は、全体を符号142で示す種々の電源によって印加される電圧を制御する。特に、コントローラはセンサのデータを処理し、電源への制御信号を出力し、それにより槽内の脱イオンセルに印加される電圧及び(又は)電流を制御する。コントローラ136は、センサのデータを利用して、槽内の電極を再生する必要があるかどうかを判定し、もし必要があれば電源への適当な信号を出力し、再生を実施する。
【0078】
上述したような制御システムは、1時間当たり数千ガロン台の流量を取り扱うことができる大規模脱イオン装置に有用である。かくして、かかる装置をスケールアップすれば、工業プラント、水道水及び下水の処理施設等の脱イオンの要望に応えることができる。実験結果の示すところによれば、電極の寸法及び電極の本数を、印加される電圧又は流される電流の何れにも著しい影響を及ぼすことなく一定の割合で増加させることができるということが分かった。
【0079】
本発明の装置は、厳密に言えば、非HSAAM(非吸収性)電極が実際には電荷を蓄積しないという点において容量性脱イオンを実行しないということは注目されるべきである。たしかに、イオンはこれら電極の帯電方式とは無関係にこれら電極には付着せず、HSAAM電極だけがイオンを捕捉して蓄積する。
【0080】
上述の好ましい実施形態はプレーナ電極の形成及び使用法を教示していることは注目されるべきである。しかしながら、電極と脱イオンセルが交互になった幾何学的構成も使用できる。かかる一例は、(1)中実又は環状内側非HSAAM電極、(2)内側非HSAAM電極と同心の環状HSAAM電極、及び(3)最初の2つの電極と同心の環状の外側非HSAAM電極から成る環状脱イオンセルである。かかる構成により、環状HSAAM電極と2つの非HSAAM電極との間に流体を流すことができる。しかしながら、かかる構成では、内側非HSAAM電極と外側非HSAAM電極は、HSAAM電極に向いた表面の表面積は互いに異なる。したがって、2つの非HSAAM電極とこれら2つの間にサンドイッチされたHSAAM電極との間に互いに異なる電圧又は電流の何れかを用いることが必要となる。
【0081】
本発明を幾つかの好ましい実施形態を参照して説明したが、これら実施形態は本発明を限定するものではない。当業者であれば、これら実施形態の変形例を容易に想到でき、かかる変形例は、請求の範囲に記載された本発明の範囲に属する。
【0082】
本発明に関する上記の教示を考慮に入れるならば、本発明の種々の変更が可能であることは明白である。本発明は、特許請求の範囲において特定したものとは異なる態様で実施することも可能である。
【0083】
本発明に関連する好ましい態様として、例えば、以下のものをあげることができる。
〔態様1〕 非犠牲吸収電極であって、
ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン及びトリヒドロキシナフタレンから成る群から選択された少なくとも1つと、
ホルムアルデヒドと、
炭素強化剤と、
触媒又は炭化形態のその反応生成物とを含み、
前記電極は、厚さが3mmよりも大きく、前記炭素強化剤は、前記厚さの全体にわたって実質的に分散していることを特徴とする電極。
【0084】
〔態様2〕 ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン及びトリヒドロキシナフタレンから成る群から選択された前記1つは、レソルシノールであることを特徴とする上記態様1記載の電極。
〔態様3〕 前記炭素強化剤は、炭素繊維、炭素フェルト及びセルロースから成る群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする上記態様2記載の電極。
【0085】
〔態様4〕 液体の脱イオン装置であって、
前記液体を入れるための少なくとも1つの開口部を備えた第1の槽部材と、
前記第1の槽内に配置されていて、各々が互いに異なる方向に向いた一対の側面を有し、かつ互いに間隔を置いた複数の第1形式の非犠牲吸収電極と、
前記第1形式の電極の各々の各側に配置されていて、前記第1形式の電極とは異なる組成を有する複数の第2形式の非犠牲電極と、
少なくとも1つの第1形式の電極と、前記なくとも1つの第1形式の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第1の電圧を印加するよう構成された第1の電圧源とを備え、
第1形式の前記電極は、
ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン及びトリヒドロキシナフタレンから成る群から選択された少なくとも1つと、
ホルムアルデヒドと、
炭素強化剤と、
触媒又は炭化形態のその反応生成物とを含み、
第1形式の前記電極の厚さは、少なくとも1mmである、
ことを特徴とする装置。
【0086】
〔態様5〕 第2形式の前記電極は、炭素布、炭素フェルト、黒鉛、金、プラチナ、導電性プラスチック及びガラス状炭素から成る群から選択された1つであることを特徴とする上記態様4記載の装置。
〔態様6〕 前記槽内に配置されると共に、前記槽内で脱イオンされるべき液体を混合するように構成された混合手段を更に有することを特徴とする上記態様4記載の装置。
〔態様7〕 前記混合手段は、前記槽の内側底面に沿って配置された曝気装置を更に有し、前記曝気装置は、ガスを液体中へ導入するように構成されていることを特徴とする上記態様4記載の装置。
〔態様8〕 前記第1形式の電極は、前記第1の槽部材内では、前記第2形式の電極に対して角度をなして傾斜していることを特徴とする上記態様4記載の装置。
【0087】
〔態様9〕 少なくとも1つの第2形式の電極が、実質的に平らな非導電性構造的支持部材の互いに逆方向に向いた第1の側部と第2の側部の各々に取り付けられ、前記構造的支持部材の第1の側部に取り付けられた第2形式の電極は、前記構造的支持部材の第2の側部に取り付けられた第2形式の電極から電気的に絶縁されており、第2形式の前記電極が取り付けられている前記構造的支持部材は、第1形式の2つの電極相互間に位置していることを特徴とする上記態様4記載の装置。
〔態様10〕 前記互いに間隔を置いた第1形式の電極相互間で第1の槽部材の底部材に設けられた複数の穴を更に有し、前記穴は、第1の電圧の極性を逆にすると、固形フロックの除去に適合するように寸法決めされていることを特徴とする上記態様9記載の装置。
〔態様11〕 前記槽内に配置されると共に、前記槽内で脱イオンされるべき液体を混合するように構成された混合手段を更に有することを特徴とする上記態様10記載の装置。
〔態様12〕 前記混合手段は、前記槽の内側底面に沿って配置された曝気装置を更に有し、前記曝気装置は、ガスを液体中へ導入するよう構成されていることを特徴とする上記態様11記載の装置。
【0088】
〔態様13〕 液体の脱イオン装置であって、
前記液体を入れる少なくとも1つの開口部を備えた第1の槽部材と、
前記第1の槽内に配置されていて、各々が互いに異なる方向に向いた一対の側面を有っし、かつ互いに間隔を置いた複数の第1形式の非犠牲吸収電極と、
前記第1形式の電極の各々の各側に配置されていて、前記第1形式の電極とは異なる組成を有する複数の第2形式の非犠牲電極と、
少なくとも1つの第1形式の電極と、前記少なくとも1つの第1形式の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第1の電圧を印加するよう構成された第1の電圧源と、
第1形式の別の電極と、第1の槽部材内で前記第1形式の別の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第2の電圧を印加するよう構成された第2の電圧源と、
を備えることを特徴とする装置。
【0089】
〔態様14〕 前記第1の電圧と前記第2の電圧は、互いに異なる極性を有していることを特徴とする上記態様13記載の装置。
〔態様15〕 前記第1の槽部材の出口に連結された入口を有する第2の槽部材を備え、
さらに、第2の槽部材内の少なくとも1つの第1形式の電極と、第2の槽部材内で前記少なくとも1つの第1形式の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第3の電圧を印加するよう構成された第3の電圧源を備える、
ことを特徴とする上記態様13記載の装置。
〔態様16〕 第2の槽部材内の少なくとも1つの別の第1形式の電極と、第2の槽部材内で前記少なくとも1つの別の第1形式の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第4の電圧を印加するよう構成された第4の電圧源を更に有することを特徴とする上記態様15記載の装置。
〔態様17〕 前記第1の電圧と前記第2の電圧は、互いに異なる極性を有し、前記第3の電圧と前記第4の電圧は、互いに異なる極性を有していることを特徴とする上記態様16記載の装置。
【0090】
〔態様18〕 前記第2の槽部材の出口に連結された入口を有する第3の槽部材を備え、
さらに、第3の槽部材内の少なくとも1つの第1形式の電極と、第3の槽部材内で前記少なくとも1つの第1形式の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第5の電圧を印加するよう構成された第5の電圧源を備える、
ことを特徴とする上記態様16記載の装置。
〔態様19〕 第3の槽部材内の少なくとも1つの別の第1形式の電極と、第3の槽部材内で前記少なくとも1つの別の第1形式の電極の各側に設けられていて、これと対応した対をなす第2形式の電極との間に第6の電圧を印加するよう構成された第6の電圧源を更に有することを特徴とする上記態様18記載の装置。
〔態様20〕 前記第1の電圧と前記第2の電圧は、互いに異なる極性を有し、前記第3の電圧と前記第4の電圧は、互いに異なる極性を有し、前記第5の電圧と前記第6の電圧は、互いに異なる極性を有していることを特徴とする上記態様19記載の装置。
〔態様21〕 少なくとも1つの第2形式の電極が、実質的に平らな非導電性構造的支持部材の互いに逆方向に向いた第1の側部と第2の側部の各々に取り付けられ、前記構造的支持部材の第1の側部に取り付けられた第2形式の電極は、前記構造的支持部材の第2の側部に取り付けられた第2形式の電極から電気的に絶縁されており、第2形式の前記電極が取り付けられている前記構造的支持部材は、第1形式の2つの電極相互間に位置していることを特徴とする上記態様13記載の装置。
【0091】
〔態様22〕 第1形式の前記電極は、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン及びトリヒドロキシナフタレンから成る群から選択された少なくとも1つと、ホルムアルデヒドと、炭素強化剤と、触媒又は炭化形態のその反応生成物とから成り、第1形式の前記電極の厚さは、少なくとも1mmであることを特徴とする上記態様21記載の装置。
〔態様23〕 第2形式の前記電極は、炭素布、炭素フェルト、黒鉛、金、プラチナ、導電性プラスチック及びガラス状炭素から成る群から選択された1つであることを特徴とする上記態様22記載の装置。
〔態様24〕 処理対象の液体の性質を測定して前記性質を表す第1のデータ信号を出力するよう構成された少なくとも1つのセンサと、前記第1のデータ信号を受けてこれに応答して第1の制御信号を出力するコントローラとを更に備え、前記第1の制御信号は、前記第1の電圧源、前記第2の電圧源によりそれぞれ印加される前記第1の電圧、第2の電圧のうち少なくとも一方を調節することを特徴とする上記態様13記載の装置。
〔態様25〕 前記第1の槽内への液体の流量を制御する弁を更に有し、前記コントローラは、前記流量に影響を及ぼすように前記弁の位置を調節する第2の制御信号を出力することを特徴とする上記態様24記載の装置。
【符号の説明】
【0092】
18 本発明に従って構成された装置
20 電極
22 電極
24 槽
26 側壁
28 側壁
30 端壁
32 端壁
34 底部
36 入口
38 出口
42 散気装置
44 管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素強化吸収非犠牲電極の製造方法であって、
レソルシノールをホルムアルデヒド中に溶解させてリカーを生じさせる工程と、
リカーと炭素強化剤を混ぜ合わせてブロスを生じさせる工程と、
ブロスの稠度が、炭素強化剤がブロス中で沈降することがないほどになるまでブロスを十分な温度で十分な時間をかけて加熱する工程と、
ブロスを少なくとも3mmの厚さに注ぎ込む工程と、
ブロスが固体になるほどブロスを十分な温度で十分な時間をかけて硬化させる工程と、
前記固体を十分な温度で十分な時間をかけて焼き、前記固体が炭化して導電性のプレートになるようにする工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
炭素強化剤は炭素繊維を含み、前記混合工程では、炭素繊維を細断して小片にすることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
加熱工程中、ブロスの温度を130°Fから0°F(54.4°Cから65.6°C)に制御することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
ブロスを3mmから3/4インチ(19.1mm)の厚さまで注ぎ込むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
ブロスを空気中で硬化させることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記固体を焼く前に、前記固体の上に重しを載せて、結果的に得られるプレートの変形を防止する工程を更に含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記固体を1750°Fから2200°F(954°Cから1204°C)の温度で空気中で焼くことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記固体を965°Cから975°Cの温度で空気中で焼くことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記固体を焼いた後、前記プレートを機械的に加工する工程を更に有し、前記機械的加工は、プレートのサンダー仕上げ又は切削加工を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
炭素強化吸収非犠牲電極の製造方法であって、
マトリックス構造を有する炭素マットを容器内に導入する工程と、
レソルシノールをホルムアルデヒド中に溶解させてリカーを生じさせる工程と、
前記リカーを前記容器内へ導入して前記リカーを前記マトリックス構造中へ実質的にその全体にわたって分散させ、それにより前記マトリックス構造中に存在していた空気を押し退けるようにする工程と、
リカーを分散させた前記マトリックス構造を、前記マトリックス構造が硬化してキセロゲルブロックの状態になるほど十分な温度に且つ十分な時間の間、維持する工程と、
ブロックを十分な温度で十分な時間をかけて焼き、前記ブロックが炭化して導電性のプレートになるようにする工程とを含み、
炭素マットは、ブロックが炭化して厚さが3mmよりも大きな導電性プレートになるほど十分な厚さのものであることを特徴とする方法。
【請求項11】
炭素マットは、炭素フェルト、平滑なセルロース繊維、活性炭を含浸させたセルロース繊維から成る群から選択された1つであることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
リカーを分散させたマトリックス構造を、92°F(33.3°C)の温度に維持することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項13】
ブロックを焼く前に、これを重しで拘束することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項14】
ブロックを1850°Fから2200°F(1010°Cから1204°C)の温度で焼くことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記ブロックを焼いた後、前記プレートを機械的に加工する工程を更に有し、前記機械的加工は、プレートのサンダー仕上げ、又は、プレートの切削加工を含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項16】
液体の脱イオン装置であって、
背中合わせに配列された複数の脱イオンセルを収容している槽部材を備え、
前記各々の脱イオンセルは、
第1の材料で形成された第1形式の炭素強化非犠牲電極と、
前記第1形式の電極の各側に配置され、かつ、前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成された第2形式の非犠牲電極と、
第1番目の脱イオンセルの各々において、前記第1形式の電極と、前記第2形式の電極との間に第1の電圧を印加するように構成された第1の電源と、
第2番目の脱イオンセルの各々において、前記第1形式の電極と、前記第2形式の電極との間に第2の電圧を印加するように構成された第2の電源とを備えており、
前記第1の電圧は前記第2の電圧とは異なる、
ことを特徴とする装置。
【請求項17】
液体の脱イオン装置であって、
第1の槽部材及び第2の槽部材を備え、前記第1の槽部材から前記第2の槽部材に流体を流すために前記第1の槽部材と前記第2の槽部材との間に設けられた導管を備え、前記各々の槽部材は、それぞれの中に少なくとも1つの脱イオンセルを収容しており、
前記少なくとも1つの脱イオンセルは、
第1の材料で形成された第1形式の炭素強化非犠牲電極と、
前記第1形式の電極の各側に配置され、かつ、前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成された第2形式の非犠牲電極と、
前記第1の槽部材の中の前記少なくとも1つの脱イオンセルにおいて、前記第1形式の電極と、前記第2形式の電極との間に第1の電圧を印加するように構成された第1の電源と、
前記第2の槽部材の中の前記少なくとも1つの脱イオンセルにおいて、前記第1形式の電極と、前記第2形式の電極との間に第2の電圧を印加するように構成された第2の電源とを備えており、
前記第1の電圧は前記第2の電圧とは異なる、
ことを特徴とする装置。
【請求項1】
炭素強化吸収非犠牲電極の製造方法であって、
レソルシノールをホルムアルデヒド中に溶解させてリカーを生じさせる工程と、
リカーと炭素強化剤を混ぜ合わせてブロスを生じさせる工程と、
ブロスの稠度が、炭素強化剤がブロス中で沈降することがないほどになるまでブロスを十分な温度で十分な時間をかけて加熱する工程と、
ブロスを少なくとも3mmの厚さに注ぎ込む工程と、
ブロスが固体になるほどブロスを十分な温度で十分な時間をかけて硬化させる工程と、
前記固体を十分な温度で十分な時間をかけて焼き、前記固体が炭化して導電性のプレートになるようにする工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
炭素強化剤は炭素繊維を含み、前記混合工程では、炭素繊維を細断して小片にすることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
加熱工程中、ブロスの温度を130°Fから0°F(54.4°Cから65.6°C)に制御することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
ブロスを3mmから3/4インチ(19.1mm)の厚さまで注ぎ込むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
ブロスを空気中で硬化させることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記固体を焼く前に、前記固体の上に重しを載せて、結果的に得られるプレートの変形を防止する工程を更に含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記固体を1750°Fから2200°F(954°Cから1204°C)の温度で空気中で焼くことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記固体を965°Cから975°Cの温度で空気中で焼くことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記固体を焼いた後、前記プレートを機械的に加工する工程を更に有し、前記機械的加工は、プレートのサンダー仕上げ又は切削加工を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
炭素強化吸収非犠牲電極の製造方法であって、
マトリックス構造を有する炭素マットを容器内に導入する工程と、
レソルシノールをホルムアルデヒド中に溶解させてリカーを生じさせる工程と、
前記リカーを前記容器内へ導入して前記リカーを前記マトリックス構造中へ実質的にその全体にわたって分散させ、それにより前記マトリックス構造中に存在していた空気を押し退けるようにする工程と、
リカーを分散させた前記マトリックス構造を、前記マトリックス構造が硬化してキセロゲルブロックの状態になるほど十分な温度に且つ十分な時間の間、維持する工程と、
ブロックを十分な温度で十分な時間をかけて焼き、前記ブロックが炭化して導電性のプレートになるようにする工程とを含み、
炭素マットは、ブロックが炭化して厚さが3mmよりも大きな導電性プレートになるほど十分な厚さのものであることを特徴とする方法。
【請求項11】
炭素マットは、炭素フェルト、平滑なセルロース繊維、活性炭を含浸させたセルロース繊維から成る群から選択された1つであることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
リカーを分散させたマトリックス構造を、92°F(33.3°C)の温度に維持することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項13】
ブロックを焼く前に、これを重しで拘束することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項14】
ブロックを1850°Fから2200°F(1010°Cから1204°C)の温度で焼くことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記ブロックを焼いた後、前記プレートを機械的に加工する工程を更に有し、前記機械的加工は、プレートのサンダー仕上げ、又は、プレートの切削加工を含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項16】
液体の脱イオン装置であって、
背中合わせに配列された複数の脱イオンセルを収容している槽部材を備え、
前記各々の脱イオンセルは、
第1の材料で形成された第1形式の炭素強化非犠牲電極と、
前記第1形式の電極の各側に配置され、かつ、前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成された第2形式の非犠牲電極と、
第1番目の脱イオンセルの各々において、前記第1形式の電極と、前記第2形式の電極との間に第1の電圧を印加するように構成された第1の電源と、
第2番目の脱イオンセルの各々において、前記第1形式の電極と、前記第2形式の電極との間に第2の電圧を印加するように構成された第2の電源とを備えており、
前記第1の電圧は前記第2の電圧とは異なる、
ことを特徴とする装置。
【請求項17】
液体の脱イオン装置であって、
第1の槽部材及び第2の槽部材を備え、前記第1の槽部材から前記第2の槽部材に流体を流すために前記第1の槽部材と前記第2の槽部材との間に設けられた導管を備え、前記各々の槽部材は、それぞれの中に少なくとも1つの脱イオンセルを収容しており、
前記少なくとも1つの脱イオンセルは、
第1の材料で形成された第1形式の炭素強化非犠牲電極と、
前記第1形式の電極の各側に配置され、かつ、前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成された第2形式の非犠牲電極と、
前記第1の槽部材の中の前記少なくとも1つの脱イオンセルにおいて、前記第1形式の電極と、前記第2形式の電極との間に第1の電圧を印加するように構成された第1の電源と、
前記第2の槽部材の中の前記少なくとも1つの脱イオンセルにおいて、前記第1形式の電極と、前記第2形式の電極との間に第2の電圧を印加するように構成された第2の電源とを備えており、
前記第1の電圧は前記第2の電圧とは異なる、
ことを特徴とする装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【公開番号】特開2009−190030(P2009−190030A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63335(P2009−63335)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【分割の表示】特願2000−514726(P2000−514726)の分割
【原出願日】平成10年10月5日(1998.10.5)
【出願人】(504445460)ゼノモシス リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【分割の表示】特願2000−514726(P2000−514726)の分割
【原出願日】平成10年10月5日(1998.10.5)
【出願人】(504445460)ゼノモシス リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
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