炭素被覆高光沢材料
炭素含有イオン種の熱分解物を含んで成る炭素含有被膜が上に位置する板状顔料基質を提供する。本発明の製品は、真珠光沢顔料が今まで用いられていた如何なる用途でも使用可能であり、そのような用途には、これらに限定するものでないが、自動車用塗料および産業用塗料用途が含まれる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は2003年5月19日付けで出願した米国仮出願60/471,636の一部継続出願である。
【0002】
効果顔料(effect pigments)はまた真珠顔料および真珠光沢顔料としても知られていて、様々な高級用途、例えば自動車仕上げなどで幅広く用いられる光沢のある特殊化学品である。そのような効果顔料が有する属性の1つは、それらを見る角度に応じて一連の光学的効果を生じ得る点にある。
【0003】
そのような効果材料が示す隠蔽力は数多くの用途で所望度合以下である。そのような問題を取り扱う目的で用いられた1つの方法は、炭素質材料を配合に組み込む方法である。しかしながら、使用者は、そのような効果材料を付着させる前に使用者が炭素添加剤を個別に加えるのではなくそれが前記効果材料の一部として供給される方を好むであろう。
【0004】
効果顔料はしばしば血小板(platelet)形状の粒子が基になっている。その光学的効果は光が起こす多数の反射と透過の結果であることから、媒体(この中に粒子が入っている)の中で粒子が整列することを実現しかつ望まれる効果を最適にすることができれば、これは望ましいことである。粒子が整列していないか或は添加剤の粒子が存在するか或はそれらの両方が存在するとそのような目的が妨害されかつ当該顔料が示す光学的効果が減少する。従って、隠蔽力を高める目的で用いる炭素添加剤を物理的混合物の一部として存在させるのではなく血小板状物(platelet)と何らかの形で結合させることができれば、これは望ましいことである。
【0005】
炭素の被膜を板状基質の上に形成させることは公知である。炭素の薄くて接着性のある実質的に連続した半透明層で半透性雲母状フレーク基質(flake substrates)を被覆することが特許文献1に開示されている。炭素含有材料に熱分解をそれが前記フレーク基質と接触した状態で不活性雰囲気中で受けさせることで炭素層を前記フレーク基質の上に生じさせている。
【0006】
金色顔料が特許文献2に開示されており、そこに示されている金属酸化物で被覆された基質は、コロイド状有機粒子に熱分解を受けさせることで得た炭素がドーパントとして入っている二酸化チタンの1番目の層と酸化鉄である2番目の層を有することを特徴とする。
【0007】
金属酸化物で被覆されている血小板様基質を生じさせることが特許文献3に教示されており、そこでは、前記血小板様基質をシランと反応させた後に熱分解を起こさせることで表面の黒い色を達成している。
【0008】
特許文献4によれば、有機化合物に熱分解を受けさせるか或は基質をカーボンブラックと混合した後に金属塩に加水分解を受けさせることでカーボンブラックを生じさせる従来技術の方法を用いた時に結果としてもたらされる顔料は耐摩耗性が充分ではないか或は当該顔料の上に付着したカーボンブラックの形態が凝集形態である結果として顔料の隠蔽力が良好ではない。そのような欠点を克服する目的で、特許文献4には、血小板様基質をカーボンブラック粒子および場合により金属酸化物で被覆しそしてアニオン性もしくはカチオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤と有機シラン化合物をドーパントとして添加することで前記カーボンブラックを前記基質に固着させかつ顔料の耐摩滅性および耐染みだし性を向上させることが教示されている。その結果として得た製品に焼成を受けさせている。
【0009】
炭素含有化合物に熱分解を板様金属酸化物もしくは金属酸化物混合物または二酸化チタンで被覆されている基質のいずれかおよび少なくとも1種のさらなる金属酸化物の存在下で前記金属酸化物の金属が還元を受ける条件下で受けさせることで炭素含有板様顔料を生じさせることが特許文献5に教示されている。前記金属酸化物もしくは金属酸化物混合物はFe2O3を含有していてもよい。
【0010】
窒素がドーパントとして添加されている炭素被膜で覆われている血小板様粒子の一群である効果顔料が特許文献6に教示されている。炭素と窒素を含有する重合体(またはそれを生じる単量体)を場合により表面修飾剤、例えば中性、カチオン性、アニオン性もしくは両性界面活性剤、反応性金属化合物または極性重合体などの存在下で液体の中に懸濁している粒子に添加することで前記粒子の表面を前記重合体で覆いそして次に前記粒子に熱分解を気体雰囲気中で受けさせることでそれの製造を行っている。
【特許文献1】米国特許第3,107,173号
【特許文献2】米国特許第5,702,518号
【特許文献3】米国特許第5,356,471号
【特許文献4】米国特許第5,286,291号
【特許文献5】米国特許第5,271,771号
【特許文献6】米国特許第6,436,538号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、炭素を含有する高光沢材料を製造するに適した新規な方法およびその結果としてもたらされた材料を提供することにある。以下に行う詳細な説明から本発明の前記および他の目的が本分野の技術者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、板状顔料基質を含んで成っていて前記板状顔料基質の上に炭素含有イオン種を含んで成る被膜を有する顔料を提供するものであり、ここでは、前記炭素含有イオン種に処理を受けさせることで前記基質の上に炭素の均一もしくは不均一層を生じさせる。
【0013】
本発明は、また、効果顔料基質を含んで成っていて前記効果顔料基質の上に炭素含有イオン種の熱分解物を含んで成る炭素含有被膜を有する顔料も提供する。
【0014】
本発明は、また、効果顔料基質を含んで成っていてこれの表面に薄い炭素含有被膜を有する顔料も提供し、ここで、前記被膜中の炭素は総重量の約5%未満でありかつ前記炭素含有被膜はその炭素で被覆されている顔料が示す隠蔽力の方が前記基質が示すそれよりも高いような被膜である。
【0015】
本発明は、また、炭素で被覆されている高光沢の顔料を製造する方法にも関し、この方法では、効果顔料(基質)を交互に位置する炭素含有カチオン種層と炭素含有アニオン種層で被覆した後にその被膜に熱分解または他の処理を受けさせることで前記基質の上に炭素被膜を生じさせる。
【0016】
本発明は、また、板状顔料基質を含んで成っていて前記板状顔料の上に帯電した炭素含有イオン種または交互に位置する反対の電荷を持つ炭素含有イオン種の層を有する被覆顔料に熱分解を受けさせることを含んで成る炭素被覆高光沢板状顔料製造方法も提供する。
(発明の説明)
本発明で使用可能な基質は公知の如何なる板状顔料であってもよく、好適には効果顔料(これは場合により幅広く多様な無機着色剤で覆われていてもよい)であってもよい。
【0017】
処理を受けさせるべき基質は、また、如何なる板状材料であってもよく、例えば雲母フレーク、二酸化チタン、絹雲母、カオリン、石膏、オキシ塩化ビスマス、ガラス、板状酸化鉄、板状酸化アルミニウム、板状二酸化ケイ素、合成雲母などであってもよい。また、板状基質の適切な混合物も使用可能である。
【0018】
使用可能な被覆されている血小板状物の例は二酸化チタンで被覆、二酸化ジルコニウムで被覆そして/または酸化鉄で被覆されている雲母および/またはガラスである。そのような基質は、また、光学的に変光する真珠光沢もしくは効果顔料であってもよい。
【0019】
良く知られている金属酸化物で被覆されている雲母またはガラスである効果顔料が好適である。そのように基質が金属酸化物で被覆されている真珠顔料は良く知られており、その例は二酸化チタンで被覆および/または酸化鉄で被覆されている雲母である。そのような顔料はとりわけ米国特許第3,437,513号、3,418,146号、3,087,828号および4,083,099号に記述されている。好適な真珠顔料は二酸化チタンで被覆されている雲母である。そのような雲母フレーク基質は一般に約1から約75ミクロン、好適には約5から約35ミクロンの長さおよび約0.3から約3ミクロンの範囲の厚みを有するが、また、寸法がより大きいものおよび小さいものの両方とも使用可能である。前記基質の表面を覆う二酸化チタンまたは他の金属酸化物の厚みを通常は約20から約350ナノメートルにする、即ち基質の比表面積(m2/g)に応じて、それが約50から500mg/m2になるようにする。そのような顔料は、当該金属酸化物被膜の厚みに応じて、青色、緑色、黄色、赤色などの干渉もしくは反射色を示し得る。
【0020】
次に、最終製品の中心部を形成する基質に、交互に位置する帯電した炭素含有イオン種の層を与える。そのような炭素含有カチオン種およびアニオン種は、炭素基、好適には多数の炭素基を含有しかつ反応条件下で正電荷もしくは負電荷を示す如何なる有機化合物であってもよい。また、反応条件下で正電荷もしくは負電荷を示す有機オリゴマーおよびポリマーも好適である。そのような化合物、オリゴマーまたはポリマーはたいてい対イオンを含有するであろう。用いる方法は米国特許第5,152,835号(これの開示は引用することによって本明細書に包含される)に教示されている方法に類似しており、そこでは、顔料スラリー(これにpHが9以上の強アルカリを用いてカチオン性高分子電解質を導入する)の中に少なくとも1種のアニオン性重合体を導入することで不透明化用チタニア−焼成カオリン複合顔料を生じさせた。
【0021】
本発明では、イオン種が中心部粒子の表面に吸着されるのを助長する目的で前記粒子の電荷を用いる。そのようなイオン種はアニオン性もしくはカチオン性のいずれであってもよい。1つの方法では、所望イオン種が入っている溶液もしくは分散液を最初に生じさせる。次に、前記溶液もしくは分散液の混合を行ないながらそれに顔料粒子を添加する。ある種の顔料では、この顔料を前記溶液もしくは分散液に添加する前に湿潤剤で前以て湿らせておく必要がある。即ち、当該中心部粒子が持つ電荷の符号とは反対の符号の電荷を前記粒子に与えるアニオン性もしくはカチオン性いずれかのイオン種を用いて中心部顔料粒子の分散液を生じさせる。
【0022】
そのような中心部顔料粒子の分散液を生じさせる時、通常は、水性媒体を用いる。そのような帯電した炭素含有イオン種、例えばカチオン性もしくはアニオン性重合体などは、当該媒体の中でイオン化する重合体である。そのような帯電した種は、また、イオン化した時に当該顔料の表面に強力に吸着されるアニオンもしくはカチオンを形成する種でもある。そのような吸着が起こる結果として、その粒子は、電荷が逆の作用剤が有する個々のカチオン性もしくはアニオン性に応じて、正もしくは負に帯電する。そのイオンは前記粒子の表面に局在する。粒子上の電荷の大きさは、各粒子に吸着されたイオンの数および各イオンが有する電荷に依存する。
【0023】
電荷反転を利用して一方の材料を他の材料に静電的に付着させることに関する他の記述をValtchevおよびMintova、Microporous and Mesoporous Materials、433(2001)、Wang他、Chemical Communications、2161(2000)およびMillward他、Chemical Communications、1994、(2002)に見ることができる。
【0024】
本発明の帯電した炭素含有種として使用可能なアニオン性重合体には、分子量が低、中および高、例えば約2,000から約500,000の範囲の重合体が含まれる。イオン化した時に大型のポリアニオンを形成し得る高分子種の例は良く知られている。好適な高分子種は水溶性ビニル重合体またはこれのアルカリ金属もしくはアンモニウム塩、またはポリケイ酸のアルカリ金属もしくはアンモニウム塩である。具体例にはポリ(アクリル)酸、ポリ(メタアクリル)酸、置換されているポリ(アクリル酸)、置換されているポリ(メタアクリル酸)、またはそのような酸のいずれかのアルカリ金属もしくはアンモニウム塩が含まれる。1つの市販アニオン種はポリアクリル酸ナトリウムである。ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)をNational Starch and Chemicalから商標「Flexan 130」の下で入手することができる。
【0025】
本発明で用いるに有用な適切なカチオン性重合体の例が米国特許第5,006,574号に開示されている。ある種の有用な水溶性カチオン性高分子材料はアルキルジアリル第四級アンモニウム重合体塩である。そのようなカチオン性重合体は正電荷を高い密度で有することを特徴とする。そのような重合体は好適にはカルボキシルもしくはカルボニル基などの如き負基(negative group)を持たない。
【0026】
米国特許第5,006,574号には、また、脂肪族第二級アミンとエピクロロヒドリンを共重合させることで得られる他の第四級アンモニウムカチオン性重合体も開示されている。更に他の水溶性カチオン性高分子電解質はポリ(第四級アンモニウム)ポリエステル塩であり、これは重合体バックボーンの中に第四級窒素を含有しかつ前記基による鎖伸長を受けている。それらの製造はペンダント型ヒドロキシル基を含有する水溶性ポリ(第四級アンモニウム塩)と二官能反応性鎖伸長剤を用いて行われる。そのような高分子電解質の調製は、N,N,N’,N’−テトラアルキルヒドロキシアルキレンジアミンと有機ジハライド、例えばジハロアルカンまたはジハロエーテルなどにエポキシハロアルカンによる処理を受けさせることで行われる。他の水溶性カチオン性高分子電解質はポリアミン、例えば塩酸ポリアリルアミンおよびアルキルホスホニウム塩などである。
【0027】
水性分散液を用いてカチオン性の水溶性重合体を顔料粒子に吸着させる例が、改良を受けさせた製紙用充填材組成物を製造する目的で米国特許第4,874,466号に記述されている。その重合体は、アルキルおよび/またはアリール第四級アンモニウム塩部分(前記アルキルもしくはアリール部分はヒドロキシ、アミンまたはハライドで置換されていてもよい)で構成されている繰り返し単位を少なくとも50重量パーセント含有して成る。また、ポリアルミニウムクロライドおよびこれとアルキルおよび/またはアリールアンモニウム塩重合体の混合物も有用なカチオン性重合体であるとして開示されている。また、米国特許第4,874,466号の開示も引用することによって本明細書に包含される。
【0028】
また、カチオン性高分子種を商業的に入手することも可能である。例えば、Calgon Corp.はカチオン性オリゴマーを商標「GALGON 261」の下で市販しておりかつNalco Chemical Co.は別のカチオン性オリゴマーを商標「NALCO 7607」の下で市販している。
【0029】
当該基質を炭素含有イオン種、例えばカチオンもしくはアニオンのいずれかの電荷を持つ重合体などで被覆した後、それを洗浄しそして場合により乾燥させてもよく、そして次に、例えば反対の電荷を持つ重合体を用いて前記手順を繰り返してもよい。別法として、処理と処理の間に行う濾過(分離)および洗浄段階を省いてもよい。後者の手順では、1番目の重合体が付着するに適切な付着時間が経過した後に中間的濾過無しに2番目の重合体を加える。そのような被覆段階を所望に応じて交互に数回繰り返してもよくそして最後の被膜は所望に応じてカチオン性またはアニオン性であってもよい。望まれるならば、カチオン性試剤もしくはアニオン性試剤を用いた被覆を複数回行っている時の如何なる時点でも、個々のいずれか(または両方)の試剤の同一性を変えることも可能である。
【0030】
付着工程が完了した時点でサンプルに処理を受けさせることで当該基質の上に炭化した被膜を生じさせる。例えば、前記サンプルに熱処理を制御した雰囲気下で受けさせることで熱分解を受けさせてもよい。その熱処理の温度、処理時間および熱処理雰囲気は、当該基質の被覆で用いた個々の化合物または重合体および当該基質自身に応じて多様である。その処理用気体は一般に窒素であるが、また、他の気体もしくは気体混合物、例えば二酸化炭素と窒素の混合物などを用いることも可能である。CO2含有量が少なくとも約0.1%の窒素流の使用が一例である。その用いる温度は一般に少なくとも約300℃、好適には少なくとも約600℃であり、そして加熱を最終的温度で実施する時間は一般に10分から10時間の範囲、より典型的には30分から2時間の範囲である。使用可能な最大温度は一般に被覆を受けさせた中心材料が示す安定性で決まる。ある種の効果顔料、例えば酸化鉄で被覆されている雲母などの外観は熱分解の影響を受ける可能性があることから、それを考慮に入れて個々の処理パラメーターを選択する。
【0031】
本発明に従って製造した炭素被覆効果顔料(ここで被覆を受けさせた効果顔料は二酸化チタンで被覆されている雲母である)の走査電子顕微鏡画像では、炭素被覆を受けさせる前の効果顔料と同じに見えた。それにも拘らず、本炭素被覆効果顔料が示した隠蔽力は、被覆を受けさせる前の効果顔料単独のそれに比べてもまたそれを同じ炭素濃度のカーボンブラックと混合した場合のそれと比べても高く、そしてこの3種類の材料が示した紫外可視スペクトルは異なっていた。
【0032】
その被膜は熱分解後に炭素含有材料から生じた被膜であることから、炭素が存在することは予期したことであるが、それを元素分析で実証した。XPSの結果は、炭素の被膜が明らかに観察されるがそれでも被覆を受けた効果顔料の中に存在する元素も検出され得ることを示していた。従って、その実現した炭素被膜は非常に薄い。
【0033】
電荷が逆の試剤の被膜の数を変えることで幅広い範囲の炭素含有量を達成することができる。また、熱分解条件を変えることでも炭素含有量を変えることができる。このような炭素含有量に関する柔軟性は一連の光学的特性を達成しようとする時に重要である。
【0034】
本発明の製品中の全窒素含有量は非常に低く、その結果として、常規炭素−水素−窒素分析を用いたのでは正確には検出されない。検出限界が非常に低い、例えば1ppmの如き分析技術を用いることで実測した炭素被膜の窒素含有量(被覆を受けさせる効果顔料の窒素含有量を引いた後)は約1重量%未満であった。また、炭素被膜の窒素含有量が4重量%未満であるのも有用である。
【0035】
当該基質に所望イオン性重合体種による被覆、洗浄そして乾燥を受けさせた後、熱分解を受けさせる前の重合体表面が酸性であることが有用な際立った特徴であることを確認した。酸性であることの1つの重要な結果は、CO2を用いる必要無く窒素を用いて熱分解を一段階で達成することができる点にある。このことは処理費用および必要条件の意味で望ましい可能性がある。加うるに、また、熱分解をCO2/N2混合気体流れの中で起こさせることによって生じさせた顔料と比べた時に、結果として得た炭素被覆顔料が有する特性の点で重要な結果も存在し得る。N2のみを用いて熱分解を受けさせた材料の表面が示す化学的特性とCO2/N2中で熱分解を受けさせた場合のそれが異なる可能性がある。酸性である重合体で被覆されている基質を窒素雰囲気中で加熱すると結果として酸性ではない状態で生じさせた製品に比較して炭素含有量が高い製品がもたらされることを見いだした。
【0036】
本発明の前記面に従い、最終的に重合体を付着させた後の被覆顔料を濾過で単離し、洗浄した後、乾燥させる。その乾燥させた材料の酸性化では、その被覆基質を希鉱酸水溶液に入れて30秒から2時間、典型的には1から45分間撹拌することでそれを達成する。そのような処理を受けさせたサンプルに熱分解を受けさせる前に濾過、洗浄そして乾燥を受けさせておく。使用可能な鉱酸には硫酸、硝酸および燐酸が含まれる。
【0037】
本炭素被覆顔料を場合により幅広く多様な無機および有機着色剤または染料で被覆してもよい。その例が例えば米国特許第4,084,983号、4,755,229号、4,968,351号および6,436,538号に記述されている。
【0038】
望まれるならば、本炭素被覆顔料に吸光顔料[これは水に不溶で透明であり(即ち実質的に光を散乱せず)かつ水溶性反応体1種または2種以上から現場で生じさせることはできないがアニオン性重合体が入っている水もしくは水−アルコールの中に高度に分散し得る]を含有させることも可能である。それらには例えば下記の群の有機顔料が含まれる:アゾ化合物、アントラキノン、ペリノン、ペリレン、ピロール、例えばジケトピロロピロール、キナクリドン、チオインジゴ、ジオキサジンおよびフタロシアニンそしてそれらの金属錯体。そのような吸光顔料を、これらの色強度に応じて、板状基質の重量を基準にして約0.01%から約30%、好適には0.1%から10%の範囲の濃度で用いる。
【0039】
本炭素被覆材料は製造したままの状態では紫外線に長期間さらされると劣化を起こすと言った欠点を有する可能性がある。本材料に金属酸化物もしくは錯体を取り込ませることでそれの紫外安定性を向上させることができる。そのような金属種の具体例には酸化セリウム(III)および酸化セリウム(IV)が含まれる。
【0040】
顔料が示す耐湿性および耐候性の向上は、金属酸化物で被覆されている雲母顔料の表面をシランカップリング剤(silane coupling agent)で処理してそれに加水分解を受けさせることと組み合わせてそれにアルミニウムもしくはアルミニウム−セリウムを持たせることで実現可能である。アミノシラン、アルコキシシランおよびアミノアルコキシシランなどの如きシランカップリング剤が有用である。共通譲渡の米国特許第5,759,255号にそのような被膜が記述されており、それは引用することによって全体が本明細書に包含される。
【0041】
望まれるならば、組み合わせ顔料を混合することで色を調整することも可能である。一般的には、同じもしくは同様な反射色を有する顔料を混合するのが好適である、と言うのは、混ざり合う反射色が非常に異なると反射色が加算的に混ざり合いかつ色強度が低下するからである。そのような吸光顔料成分は減法的に混ざり合いかつ通常の顔料混合手順に従う。
【0042】
本発明の製品は真珠光沢顔料が今まで用いられていた如何なる用途でも使用可能である。従って、本発明の製品はあらゆる種類の自動車および産業的塗料用途、特に深い色強度が要求される有機色彩塗料およびインク分野で無限に使用可能である。例えば、本顔料はあらゆる種類の自動車および自動車以外の運搬手段を吹き付け塗装する目的でマストーン(mass tone)またはスタイリング剤(styling agents)として使用可能である。自動車用配合では、米国特許第5,759,255号に記述されている如き耐候処理が特に有用である。それらは同様にあらゆる粘土/加熱硬化性合成樹脂/木/ガラス/金属/エナメル/セラミックおよび非多孔性もしくは多孔性表面で使用可能である。本顔料は粉体塗装用組成物で使用可能である。それらを玩具産業または家庭用のプラスチック製品に混合することも可能である。本顔料を繊維に含浸させることで新規で美的な色を布またはカーペットに与えることも可能である。それらを用いて靴、ゴムおよびビニール/大理石床材(vinyl/marble flooring)、ビニールサイディングおよび他のあらゆるビニール製品の外観を向上させることができる。加うるに、本着色剤はあらゆる種類の趣味模型製作でも使用可能である。
【0043】
本発明の組成物が有用である上述した組成物は本分野の通常の技術者に良く知られている。その例には印刷用インク、ネイルエナメル、ラッカー、熱可塑性プラスチックおよび熱硬化性材料、天然樹脂および合成樹脂が含まれる。いくつかの非限定例には、ポリスチレンおよびこれの混合重合体、ポリオレフィン、特にポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリアクリル系コンパウンド、ポリビニルコンパウンド、例えばポリ塩化ビニルおよびポリ酢酸ビニルなど、ポリエステルおよびゴム、および同様に、ビスコースとセルロースエーテルで作られたフィラメント、セルロースエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、例えばポリグリコールテレフタレートなど、およびポリアクリロニトリルなどが含まれる。
【0044】
いろいろな顔料用途の包括的序論に関しては、Temple C.Patton編集、The Pigment Handbook、II巻、Applications and Market、John Wiley and Sons、ニューヨーク(1973)を参照のこと。加うるに、インクに関しては、例えばR.H.Leach編集、The Printing Ink Manual、第4版、Van Nostrand Reinhold(international)Co.Ltd.、ロンドン(1988)、特に282−591頁、塗料に関しては、C.H.Hare、Protective Coatings、Technology Publishing Co.、ピッツバーグ(1994)、特に63−288頁を参照のこと。前記文献は本発明の組成物を用いることが可能なインク、塗料およびプラスチックの組成、配合および媒体の教示(着色剤の量を包含)に関して引用することによって本明細書に包含される。例えば、本顔料をオフセット印刷用インクで用いる場合、それを10から15%の濃度で用いてもよく、その残りはゲル化したおよびゲル化していない炭化水素樹脂、アルキド樹脂、蝋状化合物および脂肪族溶媒を含有する媒体である。また、本顔料を自動車塗装配合で用いる場合、それを他の顔料と一緒に例えば1から10%の濃度で用いてもよく、そのような他の顔料には二酸化チタン、アクリル系ラテックス、合体剤、水または溶媒が含まれ得る。また、本顔料をポリエチレンに入れるプラスチック着色用濃縮物として用いる場合、それを例えば20から30%の濃度で用いてもよい。
【0045】
本顔料を化粧品およびパーソナルケア分野で用いる場合、これは目の領域およびあらゆる洗い流し外部用途で使用可能である。従って、それらはヘアースプレー、フェイスパウダー、レッグメーキャップ(leg−makeup)、昆虫忌避用ローション、マスカラケーキ/クリーム、ネイルエナメル、ネイルエナメルリムーバー、パフュームローション、およびあらゆる種類のシャンプー(ゲルまたは液体)で使用可能である。加うるに、それらはシェービングクリーム(エーロゾル、ブラシレス、泡用の濃縮物)、スキングロサースティック(skin glosser stick)、スキンメーキャップ、ヘアグルーム、アイシャドー(液体、ポマード、粉末、スティック、圧縮型またはクリーム)、アイライナー、コロンスティック、コロン、コロンエモリエント、バブルバス、ボディーローション(保湿、洗浄、鎮痛、アストリンゼン)、アフターシェーブローション、アフターバスミルクおよびサンスクリーンローションでも使用可能である。
【0046】
本発明のさらなる説明を行う目的で、数多くの非限定実施例を以下に挙げる。本実施例ばかりでなく本明細書および請求の範囲の全体に渡って、特に明記しない限り、部およびパーセントは全部重量でありそして温度は全部摂氏度である。
【実施例1】
【0047】
ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)(PDADMAC)が0.1MのNaClに1%重量/重量入っている溶液を調製した後、0.1Mのアンモニア溶液を用いてpHを9.5に調整した。100mlの前記溶液に粒径が50μmのTiO2被覆雲母または20μmの板状雲母または100μmのTiO2被覆ガラスフレークのいずれかを20g加えた後、この混合物を室温で15分間撹拌した。15分後、前記基質を濾過で回収して、過剰量の脱イオン水で洗浄した。このような重合体処理によって前記基質に正の電荷を与えた。
【0048】
次に、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた溶液(100ml)に前記基質を入れてスラリー状にし、0.1Mのアンモニアを用いて、室温で連続撹拌しながら15分かけてpHを9.5に調整した。この処理を受けさせた後の基質を濾過で集めた後、脱イオン水で洗浄することで、結合しなかった余分な重合体を除去した。
【0049】
PDADMACを用いた1回の処理に続くPSSを用いた1回の処理を1処理サイクルと定義した。この処理サイクルを繰り返しそして次の各処理サイクル後に材料の一部を保持して、それに熱分解に続いて分析を受けさせた。それによって付着反応を処理サイクル数の関数として検査することができた。
【0050】
サンプルを箱形炉に入れた後、前記炉の中に窒素流を10リットル/分の流量で導入した。サンプルを目標温度に2時間かけて加熱した後、その目標温度に3時間保持した。次に、そのサンプルをこれが炉に入っている状態で周囲温度になるまで冷却した後、前記炉から取り出した。サンプルに熱分解を受けさせた後に元素分析を実施して炭素の重量パーセントを測定した。加うるに、炭素被膜が隠蔽力に対して示す影響を評価する目的でドローダウンフィルム(drawdown films)を調製した。基準点として、カーボンブラックが1%で前記同じ基質(効果顔料)が99%の顔料内容物を用いてドローダウンフィルムを調製した。目で見た検査によって、前記基準ドローダウンの中の炭素の方が前駆体に熱分解を受けさせることで生じさせたそれ(褐色の色合いがより強い)よりも真っ黒であることが分かった。
【0051】
表1に、異なる3種類の基質に5処理サイクルをいろいろな熱分解温度で受けさせた時の炭素濃度を詳細に示す。
【0052】
【表1】
【実施例2】
【0053】
粒径が約20μmのTiO2被覆雲母、粒径が約50μmのTiO2被覆雲母および粒径が約100μmのTiO2被覆ボロシリケートガラスフレークを用いて実施例1で実施した如き重合体付着手順を実施した。重合体付着後、この上に示した実施例1で用いた高純度窒素雰囲気とは対照的に、CO2をN2に1%含有させることで構成させた気体流れを用いて熱分解をいろいろな温度で実施した。この熱分解後に元素分析を実施することで材料の炭素含有量を測定した。この分析を表2a、2bおよび2cに要約する。加うるに、生じさせた炭素被膜が真っ黒であると言った性質を評価する目的でドローダウンフィルムを調製した。検査することで炭素の色は基準ドローダウンフィルムのそれと同様な真っ黒い色であることが分かった。また、元素分析により、熱分解を窒素中で実施した時に比べて炭素が高温でより多い量で保持されたことも分かった。
【0054】
【表2】
【実施例3】
【0055】
実施例1に挙げた手順を用い、酸化鉄被覆雲母を用いて、重合体付着に続く熱分解による炭素被膜形成を実施した。重合体付着段階を複数回実施した後、熱分解を600℃のCO2/N2中で2時間実施することで暗褐色のサンプルを生じさせたが、これは磁性を示した。X線回折データを用いて、Fe(III)の還元が起こってFe3O4、即ち混合Fe(II、III)酸化物が生じたことを立証した。これらの材料を用いて調製したドローダウンフィルムを目で検査することで、重合体付着度によって鉄の還元度合が影響を受けることが分かる。その上、また、基質を600℃のCO2/N2中で重合体の添加無しに2時間加熱すると当該材料の色変化が助長されると思われる。Fe3O4をいくらか含有させた材料にそのような処理を受けさせると、隠蔽力が未処理材料のそれよりも高くなる。
【実施例4】
【0056】
PDADMACが0.1MのNaClに1%重量/重量入っている溶液を調製した後、0.1Mのアンモニア溶液を用いてpHを約9に調整した。100mlの前記溶液にTiO2被覆雲母[ENGELHARDから商業的に入手可能なMagnapearl(商標)1000製品]を20g加えた後、この混合物を室温で15分間撹拌した。15分後、前記基質を濾過で回収して、過剰量の脱イオン水で洗浄した。次に、PSSを0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた溶液(100ml)に前記基質を入れてスラリー状にし、0.1Mのアンモニアを用いてpHを約9に調整しそして室温で15分間撹拌した。この処理を受けさせた後の基質を濾過で集めた後、脱イオン水で洗浄することで、結合しなかった余分な重合体を除去した。次に、前記基質にPDADMACとPSSを交互に用いた反復処理を各重合体に関して全体で5回受けさせた。
【0057】
最終的な濾過および洗浄を受けさせた後のサンプルを90℃の空気中で一晩乾燥させた。次に、このサンプルを組成が7.4%CO2/92.6%N2の流れる気体流れ中で2時間かけて600℃になるまで加熱しそして600℃に2時間保持し、その時点でCO2の流れを止めた。次に、そのサンプルを窒素流中で室温になるまで冷却した。最終的生成物は炭素含有量が0.73%重量/重量の銀色粉末であった。
【0058】
この最終的生成物をニトロセルロースが基になったラッカー配合物に混合した後、延伸でフィルムにした。それを未被覆の同じTiO2被覆雲母と1%重量/重量のカーボンブラックを含有させた配合物を用いて生じさせたフィルムと比較した。炭素を0.73%重量/重量有する前記炭素被覆材料は、カーボンブラックを混合物として導入して1%重量/重量含有させた配合物と良好に合致していた。
【実施例5】
【0059】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMagnapearl(商標)4000製品(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いる以外は実施例4に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.52%重量/重量の銀色粉末であった。
【実施例6】
【0060】
Magnapearl(商標)1000の代わりにFiremist(商標)TiO2被覆ガラスフレーク(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いる以外は実施例4に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.11%重量/重量の銀色粉末であった。
【実施例7】
【0061】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Gold(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いる以外は実施例4に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.78%重量/重量の強い金色の粉末であった。
【0062】
前記最終的生成物をニトロセルロースが基になったラッカー配合物に混合した後、延伸でフィルムにした。それをカーボンブラックを0.75%重量/重量含有させたMearlin(商標)Hi−Lite Super Gold配合物を用いて生じさせたフィルムと比較した。炭素を0.78%重量/重量有する前記炭素被覆材料は、カーボンブラックを0.75%含有させた物理的混合物を用いた場合と比較して、強い金色干渉色を有しかつ鋭角な角度で見た時に向上した色特性を示す。
【実施例8】
【0063】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Blue(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いる以外は実施例4に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.72%重量/重量の強い青色の粉末であった。
【0064】
前記最終的生成物をニトロセルロースが基になったラッカー配合物に混合した後、延伸でフィルムにした。それをカーボンブラックを0.75%重量/重量含有させたMearlin(商標)Hi−Lite Super Blue配合物を用いて生じさせたフィルムと比較した。炭素を0.72%重量/重量有する前記炭素被覆材料は、カーボンブラックを0.75%含有させた物理的混合物を用いた場合と比較して、強い青色干渉色を有しかつ鋭角な角度で見た時に向上した色特性を示す。
【実施例9】
【0065】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Red(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いる以外は実施例4に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.78%重量/重量の強い赤色の粉末であった。
【0066】
前記最終的生成物をニトロセルロースが基になったラッカー配合物に混合した後、延伸でフィルムにした。それを初期顔料を0.75%重量/重量のカーボンブラックと組み合わせて含有させた配合物を用いて生じさせたフィルムと比較した。炭素を0.78%重量/重量有する前記炭素被覆材料は、カーボンブラックを0.75%含有させた物理的混合物を用いた場合と比較して、強い赤色干渉色を有しかつ鋭角な角度で見た時に向上した色特性を示す。
【実施例10】
【0067】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Green(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いる以外は実施例4に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.56%重量/重量の強い緑色の粉末であった。
【0068】
前記最終的生成物をニトロセルロースが基になったラッカー配合物に混合した後、延伸でフィルムにした。それをカーボンブラックを1%重量/重量含有させた配合物を用いて生じさせたフィルムと比較した。炭素を0.56%重量/重量有する前記炭素被覆材料は、カーボンブラックを1%含有させた物理的混合物を用いた場合と比較して、強い緑色干渉色を有しかつ鋭角な角度で見た時に向上した色特性を示す。
【実施例11】
【0069】
加熱用気体の組成を1%CO2/99%N2にする以外は実施例4に従ってTiO2被覆雲母上に炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.73%重量/重量の銀色粉末であった。
【実施例12】
【0070】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMagnapearl(商標)2000製品(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いかつ当該基質に受けさせる処理を各重合体に関して2回のみにしてそれらをPDADMAC、PSS、PDADMACおよびPSSとして交互様式で付着させる以外は実施例11に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物の色は暗銀色でありそして炭素含有量は生成物全体の0.68%重量/重量であった。窒素含有量は生成物全体の105ppmであり、このことは、被膜中の窒素が炭素と窒素のみを基準にして1.52%重量/重量であることに相当していた。
【実施例13】
【0071】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMagnapearl(商標)3000製品(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いかつ当該基質にPDADMACおよびPSSを交互に用いた処理を受けさせる以外は実施例11に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物の色は暗銀色でありそして炭素含有量(炭素%重量/重量)は1から5回の重合体処理サイクルのそれぞれで0.52、0.83、1.21、1.65および1.80であった。1回の重合体処理サイクルを(PDADMAC+PSS)として定義する。
【実施例14】
【0072】
Mearlin(商標)Hi−Lite Super Gold製品を用い、サンプルを2回目、4回目、6回目、8回目および10回目の重合体処理サイクルが終了した時点で取り出す以外は実施例13に従って炭素被覆効果材料を調製した。濾過そして洗浄を受けさせた後の各サンプルを90℃の空気中で一晩乾燥させた。次に、これらのサンプルを7.4%のCO2/92.6%のN2を含有する流れる窒素流中で2時間かけて600℃になるまで加熱しそして600℃に2時間保持し、この時点でCO2の流れを止めた。次に、サンプルを窒素流中で室温になるまで冷却した。
【0073】
各サンプルの炭素含有量を元素分析で測定して、その結果を以下の表に要約するが、ここで、nは(PDADMAC+PSS)重合体処理サイクルの数を表す。
【0074】
【表3】
【0075】
これらのサンプルに関して紫外/可視分光測定を実施することで、炭素含有量がスペクトルに対して示す影響を調査した。図1に、約425nmの所のピークの強度を炭素濃度の関数としてプロットした図を示す。図2に、スペクトルピークの位置を炭素含有量の関数としてプロットした図を示す。
【実施例15】
【0076】
100mlの0.1M NaClにMagnapearl(商標)4000を20g入れてスラリー状にしそしてpHを約9に調整することを通して、炭素被覆効果材料を調製した。それにPDADMACの20%重量/重量水溶液を0.135g加えた後、この混合物を15分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSSを0.0403g加えて、その混合物を15分間撹拌した。次の添加と添加の間に15分間置いてPDADMACとPSSを交互に添加することを伴わせて前記手順を繰り返した。各重合体を全体で5回付加させた後の基質を濾過で集めた後、脱イオン水で洗浄した。濾過および洗浄を受けさせた後のサンプルを90℃の空気中で一晩乾燥させた。次に、このサンプルを7.4%のCO2/92.6%のN2を含有する流れる気体流れ中で2時間かけて600℃になるまで加熱しそして600℃に2時間保持し、その時点でCO2の流れを止めた。次に、そのサンプルを窒素流中で室温になるまで冷却した。最終的生成物は炭素含有量が0.31%重量/重量の銀色粉末であった。
【実施例16】
【0077】
Magnapearl(商標)4000の代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Gold製品を用いそして各重合体の添加で各重合体が0.1MのNaClに1%重量/重量入っている溶液を用いる以外は実施例15に従って炭素被膜を生じさせた。PDADMACの場合には、これの1%溶液を基質20g当たり3.42g添加し、そしてPSSの場合には、これの1%溶液を基質20g当たり5.38g添加した。逐次的に行う重合体付着段階の間に濾過も洗浄も全く行わなかった。(PDADMAC+PSS)重合体を交互に10回付着させた後に付着工程を止めて、基質を濾過で集め、脱イオン水で洗浄した後、サンプルを90℃の空気中で一晩乾燥させた。次に、このサンプルを7.4%のCO2と92.6%のN2を含有する流れる気体流れ中で2時間かけて600℃になるまで加熱しそして600℃に2時間保持し、その時点でCO2の流れを止めた。次に、そのサンプルを窒素流中で室温になるまで冷却した。最終的生成物は炭素含有量が0.84%重量/重量の強い金色の粉末であった。この材料が示した紫外/可視スペクトルを図3に示すことに加えて、修飾を受けさせていないMearlin Hi−Lite Super Gold(対照)のそれも示す。
【実施例17】
【0078】
Mearlin(商標)Hi−Lite Super Goldの代わりにLumina(商標)Turquoise製品を用いる以外は実施例16に従って炭素被覆効果顔料を調製した。熱分解後に粉末にした生成物の色は強い青緑色であり、炭素含有量は0.66%重量/重量であった。この材料が示した紫外−可視スペクトルを図4に示し、この図にはまたカーボンブラックと未修飾Lumina(商標)Turquoiseを炭素濃度が0.75%重量/重量になるように混合した物理的混合物が示したスペクトルも示す。被覆または物理的混合のいずれかで炭素をLumina(商標)Turquoiseに加えると新しい2つの吸収帯が同様な位置に生じる。しかしながら、炭素被覆Lumina(商標)Turquoiseが示した帯強度F(R)の方がカーボンブラック/Lumina(商標)Turquoiseの機械的混合物が示したそれよりもずっと強い。このことは、炭素被覆効果材料が示す色強度の方が相当量のカーボンブラックと機械的に混合することで得た材料のそれよりも強いことを示している。
【実施例18】
【0079】
(PDADMAC+PSS)処理サイクル数を2から10で変えて実施例17の手順を繰り返すことで炭素含有量を変えた。これらの生成物の紫外スペクトルを図5にプロットし、そして約600nmの所のピークの強度を炭素濃度の関数として図6に示す。加うるに、図7に示すように、炭素含有量を変えた時の約600nmと490nmの所の紫外/可視特徴の間の強度の差もプロットした。帯の強度は炭素含有量が0.24%から0.53%に高くなるにつれて強くなった後、炭素含有量が更に0.53%から0.86%にまで高くなっても横ばい状態であった。このことは、光学的向上に好適な炭素濃度が存在していて、それ以上にしても明確な利点は得られずかつ追加的炭素は色特性の意味で有害でさえあり得ることを示している。
【0080】
図8に、炭素被覆Lumina(商標)Turquoiseに関する炭素含有量に伴う帯幅(ピークの半分の高さの所)の変化を示し、これは、炭素含有量を高くすると帯幅が広くなることを示している。図9に、炭素含有量に伴う帯位置のプロットを示す。
【実施例19】
【0081】
Mearlin(商標)Hi−Lite Super Goldの代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Green製品を用いる以外は実施例16に従って炭素被覆効果材料を調製した。熱分解後に粉末にした生成物の色は強い緑色であり、炭素含有量は0.75%重量/重量であった。この材料が示した紫外−可視スペクトルを図10に示し、この図にはまた未修飾Mearlin(商標)Hi−Lite Super Green(対照)が示したスペクトルも示す。
【実施例20】
【0082】
Mearlin(商標)Hi−Lite Super Goldの代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Blue製品を用いる以外は実施例16に従って炭素被覆効果材料を調製した。熱分解後に粉末にした生成物の色は強い青色であり、炭素含有量は0.77%重量/重量であった。この材料が示した紫外−可視スペクトルおよび未修飾Mearlin(商標)Hi−Lite Super Blue(対照)が示したそれを図11に示す。
【実施例21】
【0083】
共通譲渡の米国特許第5,759,255号(引用することによって本明細書に組み入れられる)に従い、実施例20で生じさせた炭素被覆材料に更に耐候性処理による処理も受けさせた。
【実施例22】
【0084】
実施例20の炭素被覆効果材料を下記の配合の粉末アイシャドーに混合した:
材料 重量部
タルク 19.4
Mearlmica(商標)SVA製品 15.0
ミリスチン酸マグネシウム 5.0
シリカ 2.0
防腐剤 0.5
実施例20の生成物 50.0
パルミチン酸オクチル 7.0
ネオペンタン酸イソステアリル 1.0
BHT 0.1
比較の目的で、実施例20の生成物の代わりにHi Lite Super Blueと0.25%のカーボンブラック顔料の物理的混合物を用いて調製を繰り返した。皮膚の拭き取りを行った時、前記混合した顔料では後に残留物が残ったが、炭素被覆顔料では残留物が残らない。
【実施例23】
【0085】
実施例20の炭素被覆効果材料を下記の配合のネールエナメルに混合した:
材料 重量部
懸濁ラッカーSLF−2 82.0
実施例20の生成物 3.0
Lacquer 127P 10.5
Polynex B−75 2.5
酢酸エチル 2.0
【実施例24】
【0086】
ポリプロピレンに実施例17の生成物を1.0重量%の仕込み量で加えて、その中に分散させた後、射出成形を行って平らなプラークを生じさせた。
【実施例25】
【0087】
水が基になっている塗料組成物に実施例17の炭素被覆顔料を顔料/塗料比が0.13になるように混合した。この塗料を下塗りが施されている鋼パネルに約15−20ミクロンになるように噴霧した。そのベースコートに瞬間蒸発(flash)を少なくとも10分間受けさせることに続いて焼き付けを85℃で6.5分間受けさせた後、冷却した。次に、クリアコートを厚みが40−45ミクロンになるように塗布した後、その結果として得たパネルに焼き付けたを140℃で30分間受けさせた。
【実施例26】
【0088】
コロナガンを用いたポリエステルTGIC粉体塗装で実施例17の炭素被覆効果材料をRAL 9005黒色粉末を噴霧しておいた基材の上に充填率が3.5重量%になるように噴霧した。比較の目的で、前記効果顔料の代わりにLumina(商標)Turquoise製品とカーボンブラックの混合物を用いる以外は前記粉体塗装工程を繰り返した。前記炭素被覆効果顔料を用いた塗膜の方が前記混合物を用いた塗膜よりも色度が高くかつ色が明瞭であった。また、前記炭素被覆効果顔料を用いた塗膜は高い乱反射角で強い青緑色を保持していたが、前記混合物を用いた塗膜は青色−灰色に霞むまで色あせた。
【実施例27】
【0089】
用いる効果顔料がLumina(商標)Pearl Radiance 130D Silverである以外は実施例16に記述したようにして炭素被覆効果材料を調製した。この生成物の炭素含有量は0.75%重量/重量でありかつ窒素含有量は215ppmであり、このことは、被膜中の窒素が炭素と窒素のみを基準にして2.79%重量/重量であることに相当していた。
【実施例28】
【0090】
下記の材料を徹底的に混合して分散させることで本発明の顔料を粉末アイシャドーに配合することができる:
材料 重量部
Mearltalc TCA(商標)(タルク) 18
Mearlmica(商標)SVA(雲母) 20
ミリスチン酸マグネシウム 5
シリカ 2
Cloisonne(商標)Red 424C(赤色TiO2被覆雲母) 20
Cloisonne(商標)Violet 525C(紫色TiO2被覆雲母) 13
Cloisonne(商標)Nu−Antique Blue 626CB
(TiO2被覆雲母/酸化鉄被覆雲母) 2
Cloisonne(商標)Cerise Flambe 550Z
(酸化鉄被覆雲母) 2
防腐剤および抗酸化剤 適量
次に、7部のパルミチン酸オクチルと1部のネオペンタン酸イソステアリルの加熱混合を均一になるまで行ない、その時点で、結果として得た混合物を前記分散液の中に噴霧して、混合を継続する。その混合した材料を粉砕した後、Cloisonne(商標)Red 424Cを5部および本発明の顔料を5部加えて、混合を均一な粉末アイシャドーが得られるまで行う。
【実施例29】
【0091】
以下に挙げた材料を下記の量で加熱しておいた容器に入れて温度を85±3℃にまで上昇させることで前記顔料を口紅に配合することができる:
材料 重量部
カンデリラろう 2.75
カルナウバろう 1.25
蜜蝋 1.00
セレシンろう 5.90
オゾケライトろう 6.75
微結晶性ろう 1.40
オレイルアルコール 3.00
パルミチン酸イソステアリル 7.50
イソステアリン酸イソステアリル 5.00
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 5.00
ビス−ジグリセリルポリアルコールアジペート 2.00
アセチル化ラノリンアルコール 2.50
ソルビタントリステアレート 2.00
アロエ 1.00
ヒマシ油 37.50
Red 6レーキ 0.25
酢酸トコフェリル 0.20
フェノキシエタノール、イソプロピルパラベンおよびブチルパラベン 1.00
抗酸化剤 適量
本発明の顔料が13部でカオリンが1部の混合物を加えた後、前記顔料が全部良好に分散するまで混合する。所望に応じて香料を加えた後、撹拌を伴わせて混合する。その結果として得た混合物を75±5℃の鋳型の中に注ぎ込み、冷却した後、炎で処理して口紅にする。
【実施例30】
【0092】
効果顔料のスラリーと重合体の溶液をpH7で用いかつ重合体被覆材料に熱分解を1%のCO2/99%のN2を含有する気体流れ中で600℃で受けさせる以外は実施例7に従って炭素被覆効果材料を調製した。熱分解後の炭素含有量(炭素%重量/重量)は1から5回の重合体処理のそれぞれで0.16、0.30、0.48、0.66および0.86であった。
【実施例31】
【0093】
重合体被覆材料に熱分解を1%のCO2/99%のN2を含有する気体流れ中で650℃で受けさせる以外は実施例30に従って炭素被覆効果材料を調製した。熱分解後の炭素含有量(炭素%重量/重量)は1から5回の重合体処理のそれぞれで0.09、0.24、0.44、0.63および0.80であった。
【実施例32】
【0094】
効果顔料のスラリーと重合体の溶液をpH5で用いる以外は実施例30に従って炭素被覆効果材料を調製した。熱分解後の炭素含有量(炭素%重量/重量)は1から5回の重合体処理のそれぞれで0.16、0.32、0.49、0.70および0.90であった。
【実施例33】
【0095】
重合体被覆材料に熱分解を1%のCO2/99%のN2を含有する気体流れ中で650℃で受けさせる以外は実施例32に従って炭素被覆効果材料を調製した。熱分解後の炭素含有量(炭素%重量/重量)は1から5回の重合体処理のそれぞれで0.10、0.24、0.41、0.60および0.81であった。
【実施例34】
【0096】
重合体の付着を5回の交互重合体付着サイクル[1回のサイクルを(PDADMAC+PSS)と定義]に限定する以外は実施例16に従って炭素被覆Mearlin(商標)Hi−Lite Super Goldを調製した。熱分解後の最終的生成物の炭素含有量は0.41%重量/重量であった。
【実施例35】
【0097】
全体積が100mlになるように0.1MのNaCl水溶液に実施例34の炭素被覆生成物を4.44g入れてスラリーにした後、pHを〜9に調整した。これに、PDADMACを0.1MのNaCl水溶液に1%重量/重量入れることで構成させた溶液を0.76g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、中間的濾過も洗浄も受けさせることなく、PSSを0.1MのNaCl水溶液に1%重量/重量入れることで構成させた溶液を1.19g加えた後、この混合物を室温で5分間撹拌した。次の添加と添加の間に5分間置いてPDADMACとPSSを同じ量で交互に加えた。各重合体を全体で5回付加させた後の基質を濾過で集めた後、脱イオン水で洗浄した。濾過および洗浄を受けさせた後のサンプルを90℃の空気中で一晩乾燥させた。次に、このサンプルを1%のCO2/99%のN2の組成を有する流れる気体流れの中で2時間かけて600℃になるまで加熱しそして600℃に2時間保持し、その時点でCO2の流れを止めた。次に、そのサンプルを窒素流中で室温になるまで冷却した。最終的生成物は炭素含有量が1.78%重量/重量の強い金色の粉末であった。
【実施例36】
【0098】
990mlの0.01M NaClに市販のTiO2被覆雲母(Lumina Red Blue、9B30D)を110g入れてスラリー状にして、このスラリーを一定撹拌下に維持した。このスラリーに、PDADMAC(平均分子量100,000−200,000)を0.01MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた水溶液を10.0g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSS(平均分子量70,000)を0.01MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた水溶液を20.0g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。PDADMACとPSS重合体を測定量で各重合体の全体で8回の添加が終了するまで交互様式で添加した。重合体を0.01MのNaClに1%重量/重量入れて使用した時の各重合体の量を添加毎に以下の表に詳細に示す:
【0099】
【表4】
【0100】
各重合体溶液を交互に8回付加させた後の固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。前記固体サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後のサンプルに関して実施した元素分析は炭素含有量が0.66%重量/重量であることを示していた。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い赤−青色であった。
【実施例37】
【0101】
99mlの0.01M NaClに市販のTiO2被覆雲母(Lumina Red Blue、9B30D)を11g入れてスラリー状にして、pHを約9に調整した。このスラリーを一定撹拌下に維持した。このスラリーに、PDADMAC(平均分子量400,000−500,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた水溶液を2.0g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSS(平均分子量70,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた水溶液を3.0g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。PDADMACとPSS重合体を測定量で各重合体の全体で4回の添加が終了するまで交互様式で添加した。重合体を0.1MのNaClに1%重量/重量入れて使用した時の各重合体の量を添加毎に以下の表に詳細に示す:
【0102】
【表5】
【0103】
各重合体溶液を交互に4回付加させた後の固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。前記固体サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後のサンプルに関して実施した元素分析は炭素含有量が0.46%重量/重量であることを示していた。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い赤−青色であった。
【実施例38】
【0104】
重合体の付着を重合体であるPDADMACとPSSの各々を交互様式で6回の付着で付着させるまで継続する以外は実施例37に記述したようにして材料の調製を行った。重合体を0.1MのNaClに1%重量/重量入れて使用した時の各重合体の量を添加毎に以下の表に詳細に示す:
【0105】
【表6】
【0106】
各重合体溶液を交互に6回付加させた後の固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。前記固体サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後のサンプルに関して実施した元素分析は炭素含有量が0.79%重量/重量であることを示していた。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い赤−青色であった。
【実施例39】
【0107】
90mlの0.1M NaClに市販のTiO2被覆雲母(Lumina Red Blue、9B30D)を10g入れてスラリー状にして、pHを約9に調整した。このスラリーを一定撹拌下に維持した。このスラリーに、PDADMAC(平均分子量100,000−200,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせたpHが9の水溶液を2.52g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSS(平均分子量70,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせたpHが9の水溶液を3.22g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。2.52gのPDADMACと3.22gのPSS重合体の繰り返し添加を各重合体の全体で6回の添加が終了するまで交互様式で実施した。
【0108】
各重合体溶液を交互に6回付加させた後の固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。前記固体サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後のサンプルに関して実施した元素分析は炭素含有量が0.77%重量/重量であることを示していた。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い赤−青色であった。
【実施例40】
【0109】
紫外−可視分光測定を用いて実施例36−39が示す色強度F(R)を調査した。その結果を図12に示す。
【0110】
図12は、重合体を注意深く制御して付着させた後に熱分解を起こさせると高い色強度を得ることができかつ色強度は炭素含有量単独の関数ではないことを示している。
【実施例41】
【0111】
重合体の付着を重合体であるPDADMACとPSSの各々を交互様式で5回の付着で付着させるまで継続する以外は実施例39に記述したようにしてLumina Red Blueへの重合体付着を実施した。サイクル(PDADMACとPSS)後毎に一定分量を取り出した。濾過そして洗浄を受けさせた後の各サンプルを90℃の空気中で乾燥させた後、pHが約2の1%重量/重量の硫酸水溶液に入れてスラリー状にした。15分間の接触時間後にサンプルを濾過し、洗浄した後、乾燥させた。次に、2時間かけて600℃にまで加熱し、600℃に2時間保持した後、室温になるまで冷却することによる熱分解を窒素流中で実施した。そのサンプルの色は強い青色であった。元素分析の結果、1から5回の重合体サイクルのそれぞれの炭素含有量は0.12、0.25、0.38、0.47および0.62%重量/重量であることが分かった。
【実施例42】
【0112】
濃H3POP4が2gで脱イオン水が198gの溶液に市販のTiO2被覆雲母(Lumina Turquoise)を20g加えた。撹拌を室温で15分間行った後の基質を濾過で集め、洗浄した後、90℃で乾燥させた。
【0113】
次に、この基質を100mlの0.1M NaClに加えた。これに、PSSを0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた水溶液を6.44g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PDADMACを0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた水溶液を5.05g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。PSSとPDADMACの交互重合体付着を中間的濾過も洗浄も行うことなく5分間の間隔で各重合体による処理を全体で8回達成するまで行った。この場合、その基質組成物をTCM+(PSS+PDADMAC)8と記述する。次に、この基質を濾過し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で乾燥させた。
【0114】
次に、前記基質を箱形炉に入れて窒素流中で室温から600℃になるまで2時間かけて加熱し、そして窒素流中で温度を600℃に2時間保持した。次に、このサンプルを窒素流中で室温になるまで冷却した。そのサンプルを粉末にした時の色は強い青緑色であった。元素分析の結果、炭素含有量は0.97%重量/重量の炭素であった。
【実施例43】
【0115】
990gの脱イオン水にカチオン性澱粉Cellquat(商標)H−100(National Starch and Chemical)を10g溶解させた。この溶液200mlに市販のTiO2被覆雲母(Lumina Turquoise 9T30D)を20g加えた後、この混合物を室温で5分間撹拌した。5分後の基質を濾過で回収した後、過剰量の水で洗浄した。
【0116】
次に、2gのポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を200gの0.1M NaClに溶解させることで構成させた溶液に前記基質を入れてスラリー状にした。この混合物を室温で5分間撹拌した後、前記基質を濾過で集め、そして過剰量の脱イオン水で洗浄した。
【0117】
次に、H−100とPSSの各々の付着物を全体で5回付着させるまでH−100とPSSを交互に用いた処理を繰り返した。1回目、3回目および5回目のH−100/PSS処理後に一定分量を取り出した。次に、サンプルを90℃の空気中で乾燥させた。乾燥後のサンプルを箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、600℃に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後のサンプルの色は青緑色であった。熱分解を受けさせる前と後のサンプルに関して元素分析を実施することで炭素の重量パーセントを測定した。元素分析の結果、炭素含有量は1回目、3回目および5回目のH−100/PSS処理のそれぞれで0.14、0.17および0.42%の炭素であることが分かった。
【実施例44】
【0118】
1gの4−アミノ安息香酸(パラ安息香酸、PABA)を99gの脱イオン水に入れて透明な液体が得られるまで約45℃に加熱することでそれを溶解させた。この溶液25gに、実施例39に記述したようにして連続(PDADMAC+PSS)重合体添加を7サイクル用いた後に熱分解を600℃の1%CO2/99%N2中で起こさせることで調製した炭素被覆Lumina Red Blueを5g加えた。このPABAと反応させる前の前記基質の炭素含有量は0.71%重量/重量であった。
【0119】
前記炭素被覆基質を前記PABA溶液に入れて5分間撹拌した後、その基質を濾過で集め、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で乾燥させた。元素分析の結果、PABAと反応させた後の炭素含有量は1.05%炭素重量/重量であることが分かった。
【実施例45】
【0120】
72gの0.1M NaCl水溶液に20重量/重量のPDADMAC水溶液を2.0g入れることで構成させたpHが7の溶液に市販のTiO2被覆雲母(Lumina Turquoise 9T30D)を20g入れてスラリー状にした。撹拌を室温で5分間行った後、固体を濾過で回収して、脱イオン水で洗浄した。次に、72gの0.1M NaCl水溶液に40%重量/重量のポリアクリル酸(PAA、平均分子量30,000)を1.0g入れることで生じさせたpHが7の溶液に前記固体を加えた。次に、前記スラリーのpHを〜9.4にまで上昇させた。撹拌を室温で5分間行った後、固体を濾過で回収して、脱イオン水で洗浄した。この固体にPDADMACとPAAを交互に用いた処理を同様な様式で各重合体による交互の処理が全体で4回になるまで繰り返し受けさせた。熱分解を実施例39に詳述したように実施した。熱分解後の材料を元素分析で測定した炭素含有量は0.18%重量/重量であった。
【実施例46】
【0121】
0.1M NaClにポリエチレンイミン(PEI、平均分子量750,000)が1%重量/重量入っている溶液を生じさせた後、pHを約6に調整した。この溶液100mlに市販のTiO2被覆雲母(Lumina Red Blue)を10g加えた後、この混合物を室温で5分間混合した。5分後に基質を濾過で回収した後、pHを〜6に調製しておいた脱イオン水で洗浄した。次に、PSSを0.1M NaClに1%重量/重量入れることで生じさせた溶液100mlに前記基質を入れてスラリー状にして、室温で5分間撹拌した。この処理を受けさせた後の基質を濾過で集めた後、pHを〜6に調整しておいた脱イオン水で洗浄した。次に、この基質にPEIとPSSを交互に用いた繰り返し処置を各重合体による処置が全体で6回になるまで受けさせた。4回目、5回目および6回目の重合体付着サイクル後に一定分量を取り出した。
【0122】
最終的濾過そして洗浄を受けさせた後のサンプルを90℃の空気中で一晩乾燥させた。熱分解を実施例39に詳述したように実施した。重合体付着サイクルを4回、5回および6回用いて調製したサンプルに熱分解を受けさせた後の炭素含有量はそれぞれ0.45%、0.54%および0.65%であった。
【実施例47】
【0123】
666gの脱イオン水に市販のTiO2被覆雲母(Lumina Turquoise 9T30D)を100g入れて分散させた。米国特許第5,759,255号に記述されている方法に従って、前記基質の表面にセリウムおよびアルミニウムを付着させた。セリウム塩とアルミニウム塩の水溶液を固体状生成物の総重量を基準にして0.4%重量/重量のCe充填率と0.29%重量/重量のAl充填率が達成されるに充分な量で加えた。セリウム/アルミニウムを付着させた後の固体を濾過で回収し、脱イオン水で洗浄した後、120℃で乾燥させた。
【0124】
次に、この材料20gを100mlの0.1M NaClに1入れて分散させた後、pHを約9に調整した。このスラリーを一定撹拌下に維持した。このスラリーに、0.1MのNaClにPDADMAC(平均分子量100,000−200,000)を1%重量/重量入れることで生じさせたpHが〜9の水溶液を5.50g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSS(平均分子量70,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせたpHが〜9の水溶液を6.44g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。PDADMACとPSS重合体を交互に用いて各重合体の添加が全体で6回終了するまで、これらの重合体をある量で繰り返し添加した。
【0125】
各重合体溶液を交互に6回添加した後、固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。その固体状サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い青緑色であった。熱分解を受けさせた後のサンプルに関して実施した元素分析は、炭素含有量が0.81%重量/重量であることを示していた。この材料が示した紫外線安定性はセリウム処理をうけさせていない炭素被覆サンプルに比べて向上していた。
【実施例48】
【0126】
Ceの充填率が0.4%重量/重量でAlの充填率が0.29%重量/重量になるように水溶液を用いて行った付着をCe充填率が0.34%重量/重量のみになるように変える以外は実施例47に記述したようにして材料を調製した。熱分解後の材料の色は強い青緑色であった。熱分解後のサンプルに関して実施した元素分析は炭素含有量が0.86%重量/重量であることを示していた。前記炭素被覆サンプルに関して行ったXPSは、表面のセリウム総含有量は1.25原子パーセントでCe3+を0.98%とCe4+を0.27%含有することを示していた(Ce4+/Ce3+=0.28)。
【実施例49】
【0127】
167gの脱イオン水に市販のTiO2被覆雲母(Lumina Turquoise 9T30D)を25g入れて分散させた。米国特許第5,759,255号に記述されている方法に従って、前記基質の表面にセリウムをCe充填率が固体状生成物の総重量を基準にして0.34%重量/重量に相当する量で付着させた。
【0128】
セリウム付着後、熱源を取り外して、中間的濾過も洗浄も行うことなく重合体添加を実施した。スラリーのpHを〜9に調整し、0.1MのNaClにPDADMAC(平均分子量100,000−200,000)を1%重量/重量入れることで生じさせたpHが〜9の水溶液を6.33g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSS(平均分子量70,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせたpHが〜9の水溶液を8.05g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。PDADMACとPSS重合体を交互に用いて各重合体の添加が全体で6回終了するまで、これらの重合体をある量で繰り返し添加した。
【0129】
各重合体溶液を交互に6回添加した後、固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。その固体状サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い青緑色であった。熱分解を受けさせた後のサンプルに関して実施した元素分析は、炭素含有量が0.75%重量/重量であることを示していた。前記炭素被覆サンプルに関して行ったXPSは、表面のセリウム総含有量は1.6原子パーセントでCe3+を0.7%とCe4+を0.9%含有することを示していた(Ce4+/Ce3+=1.3)。
【実施例50】
【0130】
セリウム付着を周囲温度で実施する以外は実施例49に記述したようにして材料を調製した。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い青緑色であり、これは炭素を0.77%重量/重量含有していた。前記炭素被覆サンプルに関して行ったXPSは、表面のセリウム総含有量は1.9原子パーセントでCe3+を0.7%とCe4+を1.2%含有することを示していた(Ce4+/Ce3+=1.7)。
【実施例51】
【0131】
167gの脱イオン水に市販のTiO2被覆雲母(Lumina Turquoise 9T30D)を25g入れて分散させた後、1:1の塩酸を用いてpHを約3に調整した。硫酸セリウム(IV)水化物と硫酸の複合体Ce(SO4)2・H2O・H2SO4を0.42g加えた後、撹拌を室温で約15分間実施した。次に、3.5%のNaOH溶液を添加してpHをゆっくり上昇させて約6.5にした後の混合物を30分間撹拌した。
【0132】
次に、中間的濾過も洗浄も行うことなく重合体添加を実施した。スラリーのpHを〜9に調整し、0.1MのNaClにPDADMAC(平均分子量100,000−200,000)を1%重量/重量入れることで生じさせたpHが〜9の水溶液を6.33g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSS(平均分子量70,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせたpHが〜9の水溶液を8.05g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。PDADMACとPSS重合体を交互に用いて各重合体の添加が全体で6回終了するまで、これらの重合体をある量で繰り返し添加した。
【0133】
各重合体溶液を交互に6回添加した後、固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。その固体状サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い青緑色であり、これは炭素を0.74%重量/重量含有していた。前記炭素被覆サンプルに関して行ったXPSは、表面のセリウム総含有量は0.7原子パーセントでCe3+を0.7%含有していることを示しており、Ce4+は検出されなかった。
【0134】
本発明の方法および生成物(製品)に関して本発明の精神および範囲から逸脱しない限りいろいろな変更および修飾を成してもよい。本明細書に記述および説明した態様は本発明を更に説明する目的で記述および説明したものであり、本発明をそれに限定することを意図するものでない。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1に、1番目の炭素被覆効果顔料が約425nmの所に示した紫外−可視帯の強度が炭素含有量によって受けた影響を示す。
【図2】図2に、1番目の炭素被覆効果顔料が示したスペクトルピーク位置が炭素含有量によって受けた影響を示す。
【図3】図3に、1番目の炭素被覆効果顔料および未被覆効果顔料が示した紫外−可視スペクトルを示す。
【図4】図4に、カーボンブラックと2番目の効果顔料の物理的混合物、それの炭素被覆類似物および効果顔料自身が示した紫外−可視スペクトルを示す。
【図5】図5に、炭素濃度がいろいろな2番目の炭素被覆効果顔料が示した紫外−可視スペクトルを示す。
【図6】図6に、2番目の炭素被覆効果顔料が約600nmの所に示した紫外−可視帯の強度が炭素含有量によって受けた影響を示す。
【図7】図7は、2番目の炭素被覆効果顔料が約600nmと490nmの所に示した紫外−可視特徴の間の強度差をプロットした図である。
【図8】図8に、2番目の炭素被覆効果顔料が示す紫外線ピーク幅が炭素含有量に関して変化することを示す。
【図9】図9は、2番目の炭素被覆効果顔料が示した紫外帯位置を炭素含有量の関数としてプロットした図である。
【図10】図10に、3番目の炭素被覆効果顔料が示した紫外−可視スペクトルを示す。
【図11】図11に、4番目の炭素被覆効果顔料が示した紫外−可視スペクトルを示す。
【図12】図12に、5番目の炭素被覆効果顔料が示した紫外−可視スペクトルを示す。
【背景技術】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は2003年5月19日付けで出願した米国仮出願60/471,636の一部継続出願である。
【0002】
効果顔料(effect pigments)はまた真珠顔料および真珠光沢顔料としても知られていて、様々な高級用途、例えば自動車仕上げなどで幅広く用いられる光沢のある特殊化学品である。そのような効果顔料が有する属性の1つは、それらを見る角度に応じて一連の光学的効果を生じ得る点にある。
【0003】
そのような効果材料が示す隠蔽力は数多くの用途で所望度合以下である。そのような問題を取り扱う目的で用いられた1つの方法は、炭素質材料を配合に組み込む方法である。しかしながら、使用者は、そのような効果材料を付着させる前に使用者が炭素添加剤を個別に加えるのではなくそれが前記効果材料の一部として供給される方を好むであろう。
【0004】
効果顔料はしばしば血小板(platelet)形状の粒子が基になっている。その光学的効果は光が起こす多数の反射と透過の結果であることから、媒体(この中に粒子が入っている)の中で粒子が整列することを実現しかつ望まれる効果を最適にすることができれば、これは望ましいことである。粒子が整列していないか或は添加剤の粒子が存在するか或はそれらの両方が存在するとそのような目的が妨害されかつ当該顔料が示す光学的効果が減少する。従って、隠蔽力を高める目的で用いる炭素添加剤を物理的混合物の一部として存在させるのではなく血小板状物(platelet)と何らかの形で結合させることができれば、これは望ましいことである。
【0005】
炭素の被膜を板状基質の上に形成させることは公知である。炭素の薄くて接着性のある実質的に連続した半透明層で半透性雲母状フレーク基質(flake substrates)を被覆することが特許文献1に開示されている。炭素含有材料に熱分解をそれが前記フレーク基質と接触した状態で不活性雰囲気中で受けさせることで炭素層を前記フレーク基質の上に生じさせている。
【0006】
金色顔料が特許文献2に開示されており、そこに示されている金属酸化物で被覆された基質は、コロイド状有機粒子に熱分解を受けさせることで得た炭素がドーパントとして入っている二酸化チタンの1番目の層と酸化鉄である2番目の層を有することを特徴とする。
【0007】
金属酸化物で被覆されている血小板様基質を生じさせることが特許文献3に教示されており、そこでは、前記血小板様基質をシランと反応させた後に熱分解を起こさせることで表面の黒い色を達成している。
【0008】
特許文献4によれば、有機化合物に熱分解を受けさせるか或は基質をカーボンブラックと混合した後に金属塩に加水分解を受けさせることでカーボンブラックを生じさせる従来技術の方法を用いた時に結果としてもたらされる顔料は耐摩耗性が充分ではないか或は当該顔料の上に付着したカーボンブラックの形態が凝集形態である結果として顔料の隠蔽力が良好ではない。そのような欠点を克服する目的で、特許文献4には、血小板様基質をカーボンブラック粒子および場合により金属酸化物で被覆しそしてアニオン性もしくはカチオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤と有機シラン化合物をドーパントとして添加することで前記カーボンブラックを前記基質に固着させかつ顔料の耐摩滅性および耐染みだし性を向上させることが教示されている。その結果として得た製品に焼成を受けさせている。
【0009】
炭素含有化合物に熱分解を板様金属酸化物もしくは金属酸化物混合物または二酸化チタンで被覆されている基質のいずれかおよび少なくとも1種のさらなる金属酸化物の存在下で前記金属酸化物の金属が還元を受ける条件下で受けさせることで炭素含有板様顔料を生じさせることが特許文献5に教示されている。前記金属酸化物もしくは金属酸化物混合物はFe2O3を含有していてもよい。
【0010】
窒素がドーパントとして添加されている炭素被膜で覆われている血小板様粒子の一群である効果顔料が特許文献6に教示されている。炭素と窒素を含有する重合体(またはそれを生じる単量体)を場合により表面修飾剤、例えば中性、カチオン性、アニオン性もしくは両性界面活性剤、反応性金属化合物または極性重合体などの存在下で液体の中に懸濁している粒子に添加することで前記粒子の表面を前記重合体で覆いそして次に前記粒子に熱分解を気体雰囲気中で受けさせることでそれの製造を行っている。
【特許文献1】米国特許第3,107,173号
【特許文献2】米国特許第5,702,518号
【特許文献3】米国特許第5,356,471号
【特許文献4】米国特許第5,286,291号
【特許文献5】米国特許第5,271,771号
【特許文献6】米国特許第6,436,538号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、炭素を含有する高光沢材料を製造するに適した新規な方法およびその結果としてもたらされた材料を提供することにある。以下に行う詳細な説明から本発明の前記および他の目的が本分野の技術者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、板状顔料基質を含んで成っていて前記板状顔料基質の上に炭素含有イオン種を含んで成る被膜を有する顔料を提供するものであり、ここでは、前記炭素含有イオン種に処理を受けさせることで前記基質の上に炭素の均一もしくは不均一層を生じさせる。
【0013】
本発明は、また、効果顔料基質を含んで成っていて前記効果顔料基質の上に炭素含有イオン種の熱分解物を含んで成る炭素含有被膜を有する顔料も提供する。
【0014】
本発明は、また、効果顔料基質を含んで成っていてこれの表面に薄い炭素含有被膜を有する顔料も提供し、ここで、前記被膜中の炭素は総重量の約5%未満でありかつ前記炭素含有被膜はその炭素で被覆されている顔料が示す隠蔽力の方が前記基質が示すそれよりも高いような被膜である。
【0015】
本発明は、また、炭素で被覆されている高光沢の顔料を製造する方法にも関し、この方法では、効果顔料(基質)を交互に位置する炭素含有カチオン種層と炭素含有アニオン種層で被覆した後にその被膜に熱分解または他の処理を受けさせることで前記基質の上に炭素被膜を生じさせる。
【0016】
本発明は、また、板状顔料基質を含んで成っていて前記板状顔料の上に帯電した炭素含有イオン種または交互に位置する反対の電荷を持つ炭素含有イオン種の層を有する被覆顔料に熱分解を受けさせることを含んで成る炭素被覆高光沢板状顔料製造方法も提供する。
(発明の説明)
本発明で使用可能な基質は公知の如何なる板状顔料であってもよく、好適には効果顔料(これは場合により幅広く多様な無機着色剤で覆われていてもよい)であってもよい。
【0017】
処理を受けさせるべき基質は、また、如何なる板状材料であってもよく、例えば雲母フレーク、二酸化チタン、絹雲母、カオリン、石膏、オキシ塩化ビスマス、ガラス、板状酸化鉄、板状酸化アルミニウム、板状二酸化ケイ素、合成雲母などであってもよい。また、板状基質の適切な混合物も使用可能である。
【0018】
使用可能な被覆されている血小板状物の例は二酸化チタンで被覆、二酸化ジルコニウムで被覆そして/または酸化鉄で被覆されている雲母および/またはガラスである。そのような基質は、また、光学的に変光する真珠光沢もしくは効果顔料であってもよい。
【0019】
良く知られている金属酸化物で被覆されている雲母またはガラスである効果顔料が好適である。そのように基質が金属酸化物で被覆されている真珠顔料は良く知られており、その例は二酸化チタンで被覆および/または酸化鉄で被覆されている雲母である。そのような顔料はとりわけ米国特許第3,437,513号、3,418,146号、3,087,828号および4,083,099号に記述されている。好適な真珠顔料は二酸化チタンで被覆されている雲母である。そのような雲母フレーク基質は一般に約1から約75ミクロン、好適には約5から約35ミクロンの長さおよび約0.3から約3ミクロンの範囲の厚みを有するが、また、寸法がより大きいものおよび小さいものの両方とも使用可能である。前記基質の表面を覆う二酸化チタンまたは他の金属酸化物の厚みを通常は約20から約350ナノメートルにする、即ち基質の比表面積(m2/g)に応じて、それが約50から500mg/m2になるようにする。そのような顔料は、当該金属酸化物被膜の厚みに応じて、青色、緑色、黄色、赤色などの干渉もしくは反射色を示し得る。
【0020】
次に、最終製品の中心部を形成する基質に、交互に位置する帯電した炭素含有イオン種の層を与える。そのような炭素含有カチオン種およびアニオン種は、炭素基、好適には多数の炭素基を含有しかつ反応条件下で正電荷もしくは負電荷を示す如何なる有機化合物であってもよい。また、反応条件下で正電荷もしくは負電荷を示す有機オリゴマーおよびポリマーも好適である。そのような化合物、オリゴマーまたはポリマーはたいてい対イオンを含有するであろう。用いる方法は米国特許第5,152,835号(これの開示は引用することによって本明細書に包含される)に教示されている方法に類似しており、そこでは、顔料スラリー(これにpHが9以上の強アルカリを用いてカチオン性高分子電解質を導入する)の中に少なくとも1種のアニオン性重合体を導入することで不透明化用チタニア−焼成カオリン複合顔料を生じさせた。
【0021】
本発明では、イオン種が中心部粒子の表面に吸着されるのを助長する目的で前記粒子の電荷を用いる。そのようなイオン種はアニオン性もしくはカチオン性のいずれであってもよい。1つの方法では、所望イオン種が入っている溶液もしくは分散液を最初に生じさせる。次に、前記溶液もしくは分散液の混合を行ないながらそれに顔料粒子を添加する。ある種の顔料では、この顔料を前記溶液もしくは分散液に添加する前に湿潤剤で前以て湿らせておく必要がある。即ち、当該中心部粒子が持つ電荷の符号とは反対の符号の電荷を前記粒子に与えるアニオン性もしくはカチオン性いずれかのイオン種を用いて中心部顔料粒子の分散液を生じさせる。
【0022】
そのような中心部顔料粒子の分散液を生じさせる時、通常は、水性媒体を用いる。そのような帯電した炭素含有イオン種、例えばカチオン性もしくはアニオン性重合体などは、当該媒体の中でイオン化する重合体である。そのような帯電した種は、また、イオン化した時に当該顔料の表面に強力に吸着されるアニオンもしくはカチオンを形成する種でもある。そのような吸着が起こる結果として、その粒子は、電荷が逆の作用剤が有する個々のカチオン性もしくはアニオン性に応じて、正もしくは負に帯電する。そのイオンは前記粒子の表面に局在する。粒子上の電荷の大きさは、各粒子に吸着されたイオンの数および各イオンが有する電荷に依存する。
【0023】
電荷反転を利用して一方の材料を他の材料に静電的に付着させることに関する他の記述をValtchevおよびMintova、Microporous and Mesoporous Materials、433(2001)、Wang他、Chemical Communications、2161(2000)およびMillward他、Chemical Communications、1994、(2002)に見ることができる。
【0024】
本発明の帯電した炭素含有種として使用可能なアニオン性重合体には、分子量が低、中および高、例えば約2,000から約500,000の範囲の重合体が含まれる。イオン化した時に大型のポリアニオンを形成し得る高分子種の例は良く知られている。好適な高分子種は水溶性ビニル重合体またはこれのアルカリ金属もしくはアンモニウム塩、またはポリケイ酸のアルカリ金属もしくはアンモニウム塩である。具体例にはポリ(アクリル)酸、ポリ(メタアクリル)酸、置換されているポリ(アクリル酸)、置換されているポリ(メタアクリル酸)、またはそのような酸のいずれかのアルカリ金属もしくはアンモニウム塩が含まれる。1つの市販アニオン種はポリアクリル酸ナトリウムである。ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)をNational Starch and Chemicalから商標「Flexan 130」の下で入手することができる。
【0025】
本発明で用いるに有用な適切なカチオン性重合体の例が米国特許第5,006,574号に開示されている。ある種の有用な水溶性カチオン性高分子材料はアルキルジアリル第四級アンモニウム重合体塩である。そのようなカチオン性重合体は正電荷を高い密度で有することを特徴とする。そのような重合体は好適にはカルボキシルもしくはカルボニル基などの如き負基(negative group)を持たない。
【0026】
米国特許第5,006,574号には、また、脂肪族第二級アミンとエピクロロヒドリンを共重合させることで得られる他の第四級アンモニウムカチオン性重合体も開示されている。更に他の水溶性カチオン性高分子電解質はポリ(第四級アンモニウム)ポリエステル塩であり、これは重合体バックボーンの中に第四級窒素を含有しかつ前記基による鎖伸長を受けている。それらの製造はペンダント型ヒドロキシル基を含有する水溶性ポリ(第四級アンモニウム塩)と二官能反応性鎖伸長剤を用いて行われる。そのような高分子電解質の調製は、N,N,N’,N’−テトラアルキルヒドロキシアルキレンジアミンと有機ジハライド、例えばジハロアルカンまたはジハロエーテルなどにエポキシハロアルカンによる処理を受けさせることで行われる。他の水溶性カチオン性高分子電解質はポリアミン、例えば塩酸ポリアリルアミンおよびアルキルホスホニウム塩などである。
【0027】
水性分散液を用いてカチオン性の水溶性重合体を顔料粒子に吸着させる例が、改良を受けさせた製紙用充填材組成物を製造する目的で米国特許第4,874,466号に記述されている。その重合体は、アルキルおよび/またはアリール第四級アンモニウム塩部分(前記アルキルもしくはアリール部分はヒドロキシ、アミンまたはハライドで置換されていてもよい)で構成されている繰り返し単位を少なくとも50重量パーセント含有して成る。また、ポリアルミニウムクロライドおよびこれとアルキルおよび/またはアリールアンモニウム塩重合体の混合物も有用なカチオン性重合体であるとして開示されている。また、米国特許第4,874,466号の開示も引用することによって本明細書に包含される。
【0028】
また、カチオン性高分子種を商業的に入手することも可能である。例えば、Calgon Corp.はカチオン性オリゴマーを商標「GALGON 261」の下で市販しておりかつNalco Chemical Co.は別のカチオン性オリゴマーを商標「NALCO 7607」の下で市販している。
【0029】
当該基質を炭素含有イオン種、例えばカチオンもしくはアニオンのいずれかの電荷を持つ重合体などで被覆した後、それを洗浄しそして場合により乾燥させてもよく、そして次に、例えば反対の電荷を持つ重合体を用いて前記手順を繰り返してもよい。別法として、処理と処理の間に行う濾過(分離)および洗浄段階を省いてもよい。後者の手順では、1番目の重合体が付着するに適切な付着時間が経過した後に中間的濾過無しに2番目の重合体を加える。そのような被覆段階を所望に応じて交互に数回繰り返してもよくそして最後の被膜は所望に応じてカチオン性またはアニオン性であってもよい。望まれるならば、カチオン性試剤もしくはアニオン性試剤を用いた被覆を複数回行っている時の如何なる時点でも、個々のいずれか(または両方)の試剤の同一性を変えることも可能である。
【0030】
付着工程が完了した時点でサンプルに処理を受けさせることで当該基質の上に炭化した被膜を生じさせる。例えば、前記サンプルに熱処理を制御した雰囲気下で受けさせることで熱分解を受けさせてもよい。その熱処理の温度、処理時間および熱処理雰囲気は、当該基質の被覆で用いた個々の化合物または重合体および当該基質自身に応じて多様である。その処理用気体は一般に窒素であるが、また、他の気体もしくは気体混合物、例えば二酸化炭素と窒素の混合物などを用いることも可能である。CO2含有量が少なくとも約0.1%の窒素流の使用が一例である。その用いる温度は一般に少なくとも約300℃、好適には少なくとも約600℃であり、そして加熱を最終的温度で実施する時間は一般に10分から10時間の範囲、より典型的には30分から2時間の範囲である。使用可能な最大温度は一般に被覆を受けさせた中心材料が示す安定性で決まる。ある種の効果顔料、例えば酸化鉄で被覆されている雲母などの外観は熱分解の影響を受ける可能性があることから、それを考慮に入れて個々の処理パラメーターを選択する。
【0031】
本発明に従って製造した炭素被覆効果顔料(ここで被覆を受けさせた効果顔料は二酸化チタンで被覆されている雲母である)の走査電子顕微鏡画像では、炭素被覆を受けさせる前の効果顔料と同じに見えた。それにも拘らず、本炭素被覆効果顔料が示した隠蔽力は、被覆を受けさせる前の効果顔料単独のそれに比べてもまたそれを同じ炭素濃度のカーボンブラックと混合した場合のそれと比べても高く、そしてこの3種類の材料が示した紫外可視スペクトルは異なっていた。
【0032】
その被膜は熱分解後に炭素含有材料から生じた被膜であることから、炭素が存在することは予期したことであるが、それを元素分析で実証した。XPSの結果は、炭素の被膜が明らかに観察されるがそれでも被覆を受けた効果顔料の中に存在する元素も検出され得ることを示していた。従って、その実現した炭素被膜は非常に薄い。
【0033】
電荷が逆の試剤の被膜の数を変えることで幅広い範囲の炭素含有量を達成することができる。また、熱分解条件を変えることでも炭素含有量を変えることができる。このような炭素含有量に関する柔軟性は一連の光学的特性を達成しようとする時に重要である。
【0034】
本発明の製品中の全窒素含有量は非常に低く、その結果として、常規炭素−水素−窒素分析を用いたのでは正確には検出されない。検出限界が非常に低い、例えば1ppmの如き分析技術を用いることで実測した炭素被膜の窒素含有量(被覆を受けさせる効果顔料の窒素含有量を引いた後)は約1重量%未満であった。また、炭素被膜の窒素含有量が4重量%未満であるのも有用である。
【0035】
当該基質に所望イオン性重合体種による被覆、洗浄そして乾燥を受けさせた後、熱分解を受けさせる前の重合体表面が酸性であることが有用な際立った特徴であることを確認した。酸性であることの1つの重要な結果は、CO2を用いる必要無く窒素を用いて熱分解を一段階で達成することができる点にある。このことは処理費用および必要条件の意味で望ましい可能性がある。加うるに、また、熱分解をCO2/N2混合気体流れの中で起こさせることによって生じさせた顔料と比べた時に、結果として得た炭素被覆顔料が有する特性の点で重要な結果も存在し得る。N2のみを用いて熱分解を受けさせた材料の表面が示す化学的特性とCO2/N2中で熱分解を受けさせた場合のそれが異なる可能性がある。酸性である重合体で被覆されている基質を窒素雰囲気中で加熱すると結果として酸性ではない状態で生じさせた製品に比較して炭素含有量が高い製品がもたらされることを見いだした。
【0036】
本発明の前記面に従い、最終的に重合体を付着させた後の被覆顔料を濾過で単離し、洗浄した後、乾燥させる。その乾燥させた材料の酸性化では、その被覆基質を希鉱酸水溶液に入れて30秒から2時間、典型的には1から45分間撹拌することでそれを達成する。そのような処理を受けさせたサンプルに熱分解を受けさせる前に濾過、洗浄そして乾燥を受けさせておく。使用可能な鉱酸には硫酸、硝酸および燐酸が含まれる。
【0037】
本炭素被覆顔料を場合により幅広く多様な無機および有機着色剤または染料で被覆してもよい。その例が例えば米国特許第4,084,983号、4,755,229号、4,968,351号および6,436,538号に記述されている。
【0038】
望まれるならば、本炭素被覆顔料に吸光顔料[これは水に不溶で透明であり(即ち実質的に光を散乱せず)かつ水溶性反応体1種または2種以上から現場で生じさせることはできないがアニオン性重合体が入っている水もしくは水−アルコールの中に高度に分散し得る]を含有させることも可能である。それらには例えば下記の群の有機顔料が含まれる:アゾ化合物、アントラキノン、ペリノン、ペリレン、ピロール、例えばジケトピロロピロール、キナクリドン、チオインジゴ、ジオキサジンおよびフタロシアニンそしてそれらの金属錯体。そのような吸光顔料を、これらの色強度に応じて、板状基質の重量を基準にして約0.01%から約30%、好適には0.1%から10%の範囲の濃度で用いる。
【0039】
本炭素被覆材料は製造したままの状態では紫外線に長期間さらされると劣化を起こすと言った欠点を有する可能性がある。本材料に金属酸化物もしくは錯体を取り込ませることでそれの紫外安定性を向上させることができる。そのような金属種の具体例には酸化セリウム(III)および酸化セリウム(IV)が含まれる。
【0040】
顔料が示す耐湿性および耐候性の向上は、金属酸化物で被覆されている雲母顔料の表面をシランカップリング剤(silane coupling agent)で処理してそれに加水分解を受けさせることと組み合わせてそれにアルミニウムもしくはアルミニウム−セリウムを持たせることで実現可能である。アミノシラン、アルコキシシランおよびアミノアルコキシシランなどの如きシランカップリング剤が有用である。共通譲渡の米国特許第5,759,255号にそのような被膜が記述されており、それは引用することによって全体が本明細書に包含される。
【0041】
望まれるならば、組み合わせ顔料を混合することで色を調整することも可能である。一般的には、同じもしくは同様な反射色を有する顔料を混合するのが好適である、と言うのは、混ざり合う反射色が非常に異なると反射色が加算的に混ざり合いかつ色強度が低下するからである。そのような吸光顔料成分は減法的に混ざり合いかつ通常の顔料混合手順に従う。
【0042】
本発明の製品は真珠光沢顔料が今まで用いられていた如何なる用途でも使用可能である。従って、本発明の製品はあらゆる種類の自動車および産業的塗料用途、特に深い色強度が要求される有機色彩塗料およびインク分野で無限に使用可能である。例えば、本顔料はあらゆる種類の自動車および自動車以外の運搬手段を吹き付け塗装する目的でマストーン(mass tone)またはスタイリング剤(styling agents)として使用可能である。自動車用配合では、米国特許第5,759,255号に記述されている如き耐候処理が特に有用である。それらは同様にあらゆる粘土/加熱硬化性合成樹脂/木/ガラス/金属/エナメル/セラミックおよび非多孔性もしくは多孔性表面で使用可能である。本顔料は粉体塗装用組成物で使用可能である。それらを玩具産業または家庭用のプラスチック製品に混合することも可能である。本顔料を繊維に含浸させることで新規で美的な色を布またはカーペットに与えることも可能である。それらを用いて靴、ゴムおよびビニール/大理石床材(vinyl/marble flooring)、ビニールサイディングおよび他のあらゆるビニール製品の外観を向上させることができる。加うるに、本着色剤はあらゆる種類の趣味模型製作でも使用可能である。
【0043】
本発明の組成物が有用である上述した組成物は本分野の通常の技術者に良く知られている。その例には印刷用インク、ネイルエナメル、ラッカー、熱可塑性プラスチックおよび熱硬化性材料、天然樹脂および合成樹脂が含まれる。いくつかの非限定例には、ポリスチレンおよびこれの混合重合体、ポリオレフィン、特にポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリアクリル系コンパウンド、ポリビニルコンパウンド、例えばポリ塩化ビニルおよびポリ酢酸ビニルなど、ポリエステルおよびゴム、および同様に、ビスコースとセルロースエーテルで作られたフィラメント、セルロースエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、例えばポリグリコールテレフタレートなど、およびポリアクリロニトリルなどが含まれる。
【0044】
いろいろな顔料用途の包括的序論に関しては、Temple C.Patton編集、The Pigment Handbook、II巻、Applications and Market、John Wiley and Sons、ニューヨーク(1973)を参照のこと。加うるに、インクに関しては、例えばR.H.Leach編集、The Printing Ink Manual、第4版、Van Nostrand Reinhold(international)Co.Ltd.、ロンドン(1988)、特に282−591頁、塗料に関しては、C.H.Hare、Protective Coatings、Technology Publishing Co.、ピッツバーグ(1994)、特に63−288頁を参照のこと。前記文献は本発明の組成物を用いることが可能なインク、塗料およびプラスチックの組成、配合および媒体の教示(着色剤の量を包含)に関して引用することによって本明細書に包含される。例えば、本顔料をオフセット印刷用インクで用いる場合、それを10から15%の濃度で用いてもよく、その残りはゲル化したおよびゲル化していない炭化水素樹脂、アルキド樹脂、蝋状化合物および脂肪族溶媒を含有する媒体である。また、本顔料を自動車塗装配合で用いる場合、それを他の顔料と一緒に例えば1から10%の濃度で用いてもよく、そのような他の顔料には二酸化チタン、アクリル系ラテックス、合体剤、水または溶媒が含まれ得る。また、本顔料をポリエチレンに入れるプラスチック着色用濃縮物として用いる場合、それを例えば20から30%の濃度で用いてもよい。
【0045】
本顔料を化粧品およびパーソナルケア分野で用いる場合、これは目の領域およびあらゆる洗い流し外部用途で使用可能である。従って、それらはヘアースプレー、フェイスパウダー、レッグメーキャップ(leg−makeup)、昆虫忌避用ローション、マスカラケーキ/クリーム、ネイルエナメル、ネイルエナメルリムーバー、パフュームローション、およびあらゆる種類のシャンプー(ゲルまたは液体)で使用可能である。加うるに、それらはシェービングクリーム(エーロゾル、ブラシレス、泡用の濃縮物)、スキングロサースティック(skin glosser stick)、スキンメーキャップ、ヘアグルーム、アイシャドー(液体、ポマード、粉末、スティック、圧縮型またはクリーム)、アイライナー、コロンスティック、コロン、コロンエモリエント、バブルバス、ボディーローション(保湿、洗浄、鎮痛、アストリンゼン)、アフターシェーブローション、アフターバスミルクおよびサンスクリーンローションでも使用可能である。
【0046】
本発明のさらなる説明を行う目的で、数多くの非限定実施例を以下に挙げる。本実施例ばかりでなく本明細書および請求の範囲の全体に渡って、特に明記しない限り、部およびパーセントは全部重量でありそして温度は全部摂氏度である。
【実施例1】
【0047】
ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)(PDADMAC)が0.1MのNaClに1%重量/重量入っている溶液を調製した後、0.1Mのアンモニア溶液を用いてpHを9.5に調整した。100mlの前記溶液に粒径が50μmのTiO2被覆雲母または20μmの板状雲母または100μmのTiO2被覆ガラスフレークのいずれかを20g加えた後、この混合物を室温で15分間撹拌した。15分後、前記基質を濾過で回収して、過剰量の脱イオン水で洗浄した。このような重合体処理によって前記基質に正の電荷を与えた。
【0048】
次に、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた溶液(100ml)に前記基質を入れてスラリー状にし、0.1Mのアンモニアを用いて、室温で連続撹拌しながら15分かけてpHを9.5に調整した。この処理を受けさせた後の基質を濾過で集めた後、脱イオン水で洗浄することで、結合しなかった余分な重合体を除去した。
【0049】
PDADMACを用いた1回の処理に続くPSSを用いた1回の処理を1処理サイクルと定義した。この処理サイクルを繰り返しそして次の各処理サイクル後に材料の一部を保持して、それに熱分解に続いて分析を受けさせた。それによって付着反応を処理サイクル数の関数として検査することができた。
【0050】
サンプルを箱形炉に入れた後、前記炉の中に窒素流を10リットル/分の流量で導入した。サンプルを目標温度に2時間かけて加熱した後、その目標温度に3時間保持した。次に、そのサンプルをこれが炉に入っている状態で周囲温度になるまで冷却した後、前記炉から取り出した。サンプルに熱分解を受けさせた後に元素分析を実施して炭素の重量パーセントを測定した。加うるに、炭素被膜が隠蔽力に対して示す影響を評価する目的でドローダウンフィルム(drawdown films)を調製した。基準点として、カーボンブラックが1%で前記同じ基質(効果顔料)が99%の顔料内容物を用いてドローダウンフィルムを調製した。目で見た検査によって、前記基準ドローダウンの中の炭素の方が前駆体に熱分解を受けさせることで生じさせたそれ(褐色の色合いがより強い)よりも真っ黒であることが分かった。
【0051】
表1に、異なる3種類の基質に5処理サイクルをいろいろな熱分解温度で受けさせた時の炭素濃度を詳細に示す。
【0052】
【表1】
【実施例2】
【0053】
粒径が約20μmのTiO2被覆雲母、粒径が約50μmのTiO2被覆雲母および粒径が約100μmのTiO2被覆ボロシリケートガラスフレークを用いて実施例1で実施した如き重合体付着手順を実施した。重合体付着後、この上に示した実施例1で用いた高純度窒素雰囲気とは対照的に、CO2をN2に1%含有させることで構成させた気体流れを用いて熱分解をいろいろな温度で実施した。この熱分解後に元素分析を実施することで材料の炭素含有量を測定した。この分析を表2a、2bおよび2cに要約する。加うるに、生じさせた炭素被膜が真っ黒であると言った性質を評価する目的でドローダウンフィルムを調製した。検査することで炭素の色は基準ドローダウンフィルムのそれと同様な真っ黒い色であることが分かった。また、元素分析により、熱分解を窒素中で実施した時に比べて炭素が高温でより多い量で保持されたことも分かった。
【0054】
【表2】
【実施例3】
【0055】
実施例1に挙げた手順を用い、酸化鉄被覆雲母を用いて、重合体付着に続く熱分解による炭素被膜形成を実施した。重合体付着段階を複数回実施した後、熱分解を600℃のCO2/N2中で2時間実施することで暗褐色のサンプルを生じさせたが、これは磁性を示した。X線回折データを用いて、Fe(III)の還元が起こってFe3O4、即ち混合Fe(II、III)酸化物が生じたことを立証した。これらの材料を用いて調製したドローダウンフィルムを目で検査することで、重合体付着度によって鉄の還元度合が影響を受けることが分かる。その上、また、基質を600℃のCO2/N2中で重合体の添加無しに2時間加熱すると当該材料の色変化が助長されると思われる。Fe3O4をいくらか含有させた材料にそのような処理を受けさせると、隠蔽力が未処理材料のそれよりも高くなる。
【実施例4】
【0056】
PDADMACが0.1MのNaClに1%重量/重量入っている溶液を調製した後、0.1Mのアンモニア溶液を用いてpHを約9に調整した。100mlの前記溶液にTiO2被覆雲母[ENGELHARDから商業的に入手可能なMagnapearl(商標)1000製品]を20g加えた後、この混合物を室温で15分間撹拌した。15分後、前記基質を濾過で回収して、過剰量の脱イオン水で洗浄した。次に、PSSを0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた溶液(100ml)に前記基質を入れてスラリー状にし、0.1Mのアンモニアを用いてpHを約9に調整しそして室温で15分間撹拌した。この処理を受けさせた後の基質を濾過で集めた後、脱イオン水で洗浄することで、結合しなかった余分な重合体を除去した。次に、前記基質にPDADMACとPSSを交互に用いた反復処理を各重合体に関して全体で5回受けさせた。
【0057】
最終的な濾過および洗浄を受けさせた後のサンプルを90℃の空気中で一晩乾燥させた。次に、このサンプルを組成が7.4%CO2/92.6%N2の流れる気体流れ中で2時間かけて600℃になるまで加熱しそして600℃に2時間保持し、その時点でCO2の流れを止めた。次に、そのサンプルを窒素流中で室温になるまで冷却した。最終的生成物は炭素含有量が0.73%重量/重量の銀色粉末であった。
【0058】
この最終的生成物をニトロセルロースが基になったラッカー配合物に混合した後、延伸でフィルムにした。それを未被覆の同じTiO2被覆雲母と1%重量/重量のカーボンブラックを含有させた配合物を用いて生じさせたフィルムと比較した。炭素を0.73%重量/重量有する前記炭素被覆材料は、カーボンブラックを混合物として導入して1%重量/重量含有させた配合物と良好に合致していた。
【実施例5】
【0059】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMagnapearl(商標)4000製品(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いる以外は実施例4に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.52%重量/重量の銀色粉末であった。
【実施例6】
【0060】
Magnapearl(商標)1000の代わりにFiremist(商標)TiO2被覆ガラスフレーク(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いる以外は実施例4に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.11%重量/重量の銀色粉末であった。
【実施例7】
【0061】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Gold(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いる以外は実施例4に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.78%重量/重量の強い金色の粉末であった。
【0062】
前記最終的生成物をニトロセルロースが基になったラッカー配合物に混合した後、延伸でフィルムにした。それをカーボンブラックを0.75%重量/重量含有させたMearlin(商標)Hi−Lite Super Gold配合物を用いて生じさせたフィルムと比較した。炭素を0.78%重量/重量有する前記炭素被覆材料は、カーボンブラックを0.75%含有させた物理的混合物を用いた場合と比較して、強い金色干渉色を有しかつ鋭角な角度で見た時に向上した色特性を示す。
【実施例8】
【0063】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Blue(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いる以外は実施例4に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.72%重量/重量の強い青色の粉末であった。
【0064】
前記最終的生成物をニトロセルロースが基になったラッカー配合物に混合した後、延伸でフィルムにした。それをカーボンブラックを0.75%重量/重量含有させたMearlin(商標)Hi−Lite Super Blue配合物を用いて生じさせたフィルムと比較した。炭素を0.72%重量/重量有する前記炭素被覆材料は、カーボンブラックを0.75%含有させた物理的混合物を用いた場合と比較して、強い青色干渉色を有しかつ鋭角な角度で見た時に向上した色特性を示す。
【実施例9】
【0065】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Red(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いる以外は実施例4に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.78%重量/重量の強い赤色の粉末であった。
【0066】
前記最終的生成物をニトロセルロースが基になったラッカー配合物に混合した後、延伸でフィルムにした。それを初期顔料を0.75%重量/重量のカーボンブラックと組み合わせて含有させた配合物を用いて生じさせたフィルムと比較した。炭素を0.78%重量/重量有する前記炭素被覆材料は、カーボンブラックを0.75%含有させた物理的混合物を用いた場合と比較して、強い赤色干渉色を有しかつ鋭角な角度で見た時に向上した色特性を示す。
【実施例10】
【0067】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Green(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いる以外は実施例4に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.56%重量/重量の強い緑色の粉末であった。
【0068】
前記最終的生成物をニトロセルロースが基になったラッカー配合物に混合した後、延伸でフィルムにした。それをカーボンブラックを1%重量/重量含有させた配合物を用いて生じさせたフィルムと比較した。炭素を0.56%重量/重量有する前記炭素被覆材料は、カーボンブラックを1%含有させた物理的混合物を用いた場合と比較して、強い緑色干渉色を有しかつ鋭角な角度で見た時に向上した色特性を示す。
【実施例11】
【0069】
加熱用気体の組成を1%CO2/99%N2にする以外は実施例4に従ってTiO2被覆雲母上に炭素被膜を生じさせた。最終的生成物は炭素含有量が0.73%重量/重量の銀色粉末であった。
【実施例12】
【0070】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMagnapearl(商標)2000製品(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いかつ当該基質に受けさせる処理を各重合体に関して2回のみにしてそれらをPDADMAC、PSS、PDADMACおよびPSSとして交互様式で付着させる以外は実施例11に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物の色は暗銀色でありそして炭素含有量は生成物全体の0.68%重量/重量であった。窒素含有量は生成物全体の105ppmであり、このことは、被膜中の窒素が炭素と窒素のみを基準にして1.52%重量/重量であることに相当していた。
【実施例13】
【0071】
Magnapearl(商標)1000の代わりにMagnapearl(商標)3000製品(ENGELHARDから商業的に入手可能)を用いかつ当該基質にPDADMACおよびPSSを交互に用いた処理を受けさせる以外は実施例11に従って炭素被膜を生じさせた。最終的生成物の色は暗銀色でありそして炭素含有量(炭素%重量/重量)は1から5回の重合体処理サイクルのそれぞれで0.52、0.83、1.21、1.65および1.80であった。1回の重合体処理サイクルを(PDADMAC+PSS)として定義する。
【実施例14】
【0072】
Mearlin(商標)Hi−Lite Super Gold製品を用い、サンプルを2回目、4回目、6回目、8回目および10回目の重合体処理サイクルが終了した時点で取り出す以外は実施例13に従って炭素被覆効果材料を調製した。濾過そして洗浄を受けさせた後の各サンプルを90℃の空気中で一晩乾燥させた。次に、これらのサンプルを7.4%のCO2/92.6%のN2を含有する流れる窒素流中で2時間かけて600℃になるまで加熱しそして600℃に2時間保持し、この時点でCO2の流れを止めた。次に、サンプルを窒素流中で室温になるまで冷却した。
【0073】
各サンプルの炭素含有量を元素分析で測定して、その結果を以下の表に要約するが、ここで、nは(PDADMAC+PSS)重合体処理サイクルの数を表す。
【0074】
【表3】
【0075】
これらのサンプルに関して紫外/可視分光測定を実施することで、炭素含有量がスペクトルに対して示す影響を調査した。図1に、約425nmの所のピークの強度を炭素濃度の関数としてプロットした図を示す。図2に、スペクトルピークの位置を炭素含有量の関数としてプロットした図を示す。
【実施例15】
【0076】
100mlの0.1M NaClにMagnapearl(商標)4000を20g入れてスラリー状にしそしてpHを約9に調整することを通して、炭素被覆効果材料を調製した。それにPDADMACの20%重量/重量水溶液を0.135g加えた後、この混合物を15分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSSを0.0403g加えて、その混合物を15分間撹拌した。次の添加と添加の間に15分間置いてPDADMACとPSSを交互に添加することを伴わせて前記手順を繰り返した。各重合体を全体で5回付加させた後の基質を濾過で集めた後、脱イオン水で洗浄した。濾過および洗浄を受けさせた後のサンプルを90℃の空気中で一晩乾燥させた。次に、このサンプルを7.4%のCO2/92.6%のN2を含有する流れる気体流れ中で2時間かけて600℃になるまで加熱しそして600℃に2時間保持し、その時点でCO2の流れを止めた。次に、そのサンプルを窒素流中で室温になるまで冷却した。最終的生成物は炭素含有量が0.31%重量/重量の銀色粉末であった。
【実施例16】
【0077】
Magnapearl(商標)4000の代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Gold製品を用いそして各重合体の添加で各重合体が0.1MのNaClに1%重量/重量入っている溶液を用いる以外は実施例15に従って炭素被膜を生じさせた。PDADMACの場合には、これの1%溶液を基質20g当たり3.42g添加し、そしてPSSの場合には、これの1%溶液を基質20g当たり5.38g添加した。逐次的に行う重合体付着段階の間に濾過も洗浄も全く行わなかった。(PDADMAC+PSS)重合体を交互に10回付着させた後に付着工程を止めて、基質を濾過で集め、脱イオン水で洗浄した後、サンプルを90℃の空気中で一晩乾燥させた。次に、このサンプルを7.4%のCO2と92.6%のN2を含有する流れる気体流れ中で2時間かけて600℃になるまで加熱しそして600℃に2時間保持し、その時点でCO2の流れを止めた。次に、そのサンプルを窒素流中で室温になるまで冷却した。最終的生成物は炭素含有量が0.84%重量/重量の強い金色の粉末であった。この材料が示した紫外/可視スペクトルを図3に示すことに加えて、修飾を受けさせていないMearlin Hi−Lite Super Gold(対照)のそれも示す。
【実施例17】
【0078】
Mearlin(商標)Hi−Lite Super Goldの代わりにLumina(商標)Turquoise製品を用いる以外は実施例16に従って炭素被覆効果顔料を調製した。熱分解後に粉末にした生成物の色は強い青緑色であり、炭素含有量は0.66%重量/重量であった。この材料が示した紫外−可視スペクトルを図4に示し、この図にはまたカーボンブラックと未修飾Lumina(商標)Turquoiseを炭素濃度が0.75%重量/重量になるように混合した物理的混合物が示したスペクトルも示す。被覆または物理的混合のいずれかで炭素をLumina(商標)Turquoiseに加えると新しい2つの吸収帯が同様な位置に生じる。しかしながら、炭素被覆Lumina(商標)Turquoiseが示した帯強度F(R)の方がカーボンブラック/Lumina(商標)Turquoiseの機械的混合物が示したそれよりもずっと強い。このことは、炭素被覆効果材料が示す色強度の方が相当量のカーボンブラックと機械的に混合することで得た材料のそれよりも強いことを示している。
【実施例18】
【0079】
(PDADMAC+PSS)処理サイクル数を2から10で変えて実施例17の手順を繰り返すことで炭素含有量を変えた。これらの生成物の紫外スペクトルを図5にプロットし、そして約600nmの所のピークの強度を炭素濃度の関数として図6に示す。加うるに、図7に示すように、炭素含有量を変えた時の約600nmと490nmの所の紫外/可視特徴の間の強度の差もプロットした。帯の強度は炭素含有量が0.24%から0.53%に高くなるにつれて強くなった後、炭素含有量が更に0.53%から0.86%にまで高くなっても横ばい状態であった。このことは、光学的向上に好適な炭素濃度が存在していて、それ以上にしても明確な利点は得られずかつ追加的炭素は色特性の意味で有害でさえあり得ることを示している。
【0080】
図8に、炭素被覆Lumina(商標)Turquoiseに関する炭素含有量に伴う帯幅(ピークの半分の高さの所)の変化を示し、これは、炭素含有量を高くすると帯幅が広くなることを示している。図9に、炭素含有量に伴う帯位置のプロットを示す。
【実施例19】
【0081】
Mearlin(商標)Hi−Lite Super Goldの代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Green製品を用いる以外は実施例16に従って炭素被覆効果材料を調製した。熱分解後に粉末にした生成物の色は強い緑色であり、炭素含有量は0.75%重量/重量であった。この材料が示した紫外−可視スペクトルを図10に示し、この図にはまた未修飾Mearlin(商標)Hi−Lite Super Green(対照)が示したスペクトルも示す。
【実施例20】
【0082】
Mearlin(商標)Hi−Lite Super Goldの代わりにMearlin(商標)Hi−Lite Super Blue製品を用いる以外は実施例16に従って炭素被覆効果材料を調製した。熱分解後に粉末にした生成物の色は強い青色であり、炭素含有量は0.77%重量/重量であった。この材料が示した紫外−可視スペクトルおよび未修飾Mearlin(商標)Hi−Lite Super Blue(対照)が示したそれを図11に示す。
【実施例21】
【0083】
共通譲渡の米国特許第5,759,255号(引用することによって本明細書に組み入れられる)に従い、実施例20で生じさせた炭素被覆材料に更に耐候性処理による処理も受けさせた。
【実施例22】
【0084】
実施例20の炭素被覆効果材料を下記の配合の粉末アイシャドーに混合した:
材料 重量部
タルク 19.4
Mearlmica(商標)SVA製品 15.0
ミリスチン酸マグネシウム 5.0
シリカ 2.0
防腐剤 0.5
実施例20の生成物 50.0
パルミチン酸オクチル 7.0
ネオペンタン酸イソステアリル 1.0
BHT 0.1
比較の目的で、実施例20の生成物の代わりにHi Lite Super Blueと0.25%のカーボンブラック顔料の物理的混合物を用いて調製を繰り返した。皮膚の拭き取りを行った時、前記混合した顔料では後に残留物が残ったが、炭素被覆顔料では残留物が残らない。
【実施例23】
【0085】
実施例20の炭素被覆効果材料を下記の配合のネールエナメルに混合した:
材料 重量部
懸濁ラッカーSLF−2 82.0
実施例20の生成物 3.0
Lacquer 127P 10.5
Polynex B−75 2.5
酢酸エチル 2.0
【実施例24】
【0086】
ポリプロピレンに実施例17の生成物を1.0重量%の仕込み量で加えて、その中に分散させた後、射出成形を行って平らなプラークを生じさせた。
【実施例25】
【0087】
水が基になっている塗料組成物に実施例17の炭素被覆顔料を顔料/塗料比が0.13になるように混合した。この塗料を下塗りが施されている鋼パネルに約15−20ミクロンになるように噴霧した。そのベースコートに瞬間蒸発(flash)を少なくとも10分間受けさせることに続いて焼き付けを85℃で6.5分間受けさせた後、冷却した。次に、クリアコートを厚みが40−45ミクロンになるように塗布した後、その結果として得たパネルに焼き付けたを140℃で30分間受けさせた。
【実施例26】
【0088】
コロナガンを用いたポリエステルTGIC粉体塗装で実施例17の炭素被覆効果材料をRAL 9005黒色粉末を噴霧しておいた基材の上に充填率が3.5重量%になるように噴霧した。比較の目的で、前記効果顔料の代わりにLumina(商標)Turquoise製品とカーボンブラックの混合物を用いる以外は前記粉体塗装工程を繰り返した。前記炭素被覆効果顔料を用いた塗膜の方が前記混合物を用いた塗膜よりも色度が高くかつ色が明瞭であった。また、前記炭素被覆効果顔料を用いた塗膜は高い乱反射角で強い青緑色を保持していたが、前記混合物を用いた塗膜は青色−灰色に霞むまで色あせた。
【実施例27】
【0089】
用いる効果顔料がLumina(商標)Pearl Radiance 130D Silverである以外は実施例16に記述したようにして炭素被覆効果材料を調製した。この生成物の炭素含有量は0.75%重量/重量でありかつ窒素含有量は215ppmであり、このことは、被膜中の窒素が炭素と窒素のみを基準にして2.79%重量/重量であることに相当していた。
【実施例28】
【0090】
下記の材料を徹底的に混合して分散させることで本発明の顔料を粉末アイシャドーに配合することができる:
材料 重量部
Mearltalc TCA(商標)(タルク) 18
Mearlmica(商標)SVA(雲母) 20
ミリスチン酸マグネシウム 5
シリカ 2
Cloisonne(商標)Red 424C(赤色TiO2被覆雲母) 20
Cloisonne(商標)Violet 525C(紫色TiO2被覆雲母) 13
Cloisonne(商標)Nu−Antique Blue 626CB
(TiO2被覆雲母/酸化鉄被覆雲母) 2
Cloisonne(商標)Cerise Flambe 550Z
(酸化鉄被覆雲母) 2
防腐剤および抗酸化剤 適量
次に、7部のパルミチン酸オクチルと1部のネオペンタン酸イソステアリルの加熱混合を均一になるまで行ない、その時点で、結果として得た混合物を前記分散液の中に噴霧して、混合を継続する。その混合した材料を粉砕した後、Cloisonne(商標)Red 424Cを5部および本発明の顔料を5部加えて、混合を均一な粉末アイシャドーが得られるまで行う。
【実施例29】
【0091】
以下に挙げた材料を下記の量で加熱しておいた容器に入れて温度を85±3℃にまで上昇させることで前記顔料を口紅に配合することができる:
材料 重量部
カンデリラろう 2.75
カルナウバろう 1.25
蜜蝋 1.00
セレシンろう 5.90
オゾケライトろう 6.75
微結晶性ろう 1.40
オレイルアルコール 3.00
パルミチン酸イソステアリル 7.50
イソステアリン酸イソステアリル 5.00
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 5.00
ビス−ジグリセリルポリアルコールアジペート 2.00
アセチル化ラノリンアルコール 2.50
ソルビタントリステアレート 2.00
アロエ 1.00
ヒマシ油 37.50
Red 6レーキ 0.25
酢酸トコフェリル 0.20
フェノキシエタノール、イソプロピルパラベンおよびブチルパラベン 1.00
抗酸化剤 適量
本発明の顔料が13部でカオリンが1部の混合物を加えた後、前記顔料が全部良好に分散するまで混合する。所望に応じて香料を加えた後、撹拌を伴わせて混合する。その結果として得た混合物を75±5℃の鋳型の中に注ぎ込み、冷却した後、炎で処理して口紅にする。
【実施例30】
【0092】
効果顔料のスラリーと重合体の溶液をpH7で用いかつ重合体被覆材料に熱分解を1%のCO2/99%のN2を含有する気体流れ中で600℃で受けさせる以外は実施例7に従って炭素被覆効果材料を調製した。熱分解後の炭素含有量(炭素%重量/重量)は1から5回の重合体処理のそれぞれで0.16、0.30、0.48、0.66および0.86であった。
【実施例31】
【0093】
重合体被覆材料に熱分解を1%のCO2/99%のN2を含有する気体流れ中で650℃で受けさせる以外は実施例30に従って炭素被覆効果材料を調製した。熱分解後の炭素含有量(炭素%重量/重量)は1から5回の重合体処理のそれぞれで0.09、0.24、0.44、0.63および0.80であった。
【実施例32】
【0094】
効果顔料のスラリーと重合体の溶液をpH5で用いる以外は実施例30に従って炭素被覆効果材料を調製した。熱分解後の炭素含有量(炭素%重量/重量)は1から5回の重合体処理のそれぞれで0.16、0.32、0.49、0.70および0.90であった。
【実施例33】
【0095】
重合体被覆材料に熱分解を1%のCO2/99%のN2を含有する気体流れ中で650℃で受けさせる以外は実施例32に従って炭素被覆効果材料を調製した。熱分解後の炭素含有量(炭素%重量/重量)は1から5回の重合体処理のそれぞれで0.10、0.24、0.41、0.60および0.81であった。
【実施例34】
【0096】
重合体の付着を5回の交互重合体付着サイクル[1回のサイクルを(PDADMAC+PSS)と定義]に限定する以外は実施例16に従って炭素被覆Mearlin(商標)Hi−Lite Super Goldを調製した。熱分解後の最終的生成物の炭素含有量は0.41%重量/重量であった。
【実施例35】
【0097】
全体積が100mlになるように0.1MのNaCl水溶液に実施例34の炭素被覆生成物を4.44g入れてスラリーにした後、pHを〜9に調整した。これに、PDADMACを0.1MのNaCl水溶液に1%重量/重量入れることで構成させた溶液を0.76g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、中間的濾過も洗浄も受けさせることなく、PSSを0.1MのNaCl水溶液に1%重量/重量入れることで構成させた溶液を1.19g加えた後、この混合物を室温で5分間撹拌した。次の添加と添加の間に5分間置いてPDADMACとPSSを同じ量で交互に加えた。各重合体を全体で5回付加させた後の基質を濾過で集めた後、脱イオン水で洗浄した。濾過および洗浄を受けさせた後のサンプルを90℃の空気中で一晩乾燥させた。次に、このサンプルを1%のCO2/99%のN2の組成を有する流れる気体流れの中で2時間かけて600℃になるまで加熱しそして600℃に2時間保持し、その時点でCO2の流れを止めた。次に、そのサンプルを窒素流中で室温になるまで冷却した。最終的生成物は炭素含有量が1.78%重量/重量の強い金色の粉末であった。
【実施例36】
【0098】
990mlの0.01M NaClに市販のTiO2被覆雲母(Lumina Red Blue、9B30D)を110g入れてスラリー状にして、このスラリーを一定撹拌下に維持した。このスラリーに、PDADMAC(平均分子量100,000−200,000)を0.01MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた水溶液を10.0g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSS(平均分子量70,000)を0.01MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた水溶液を20.0g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。PDADMACとPSS重合体を測定量で各重合体の全体で8回の添加が終了するまで交互様式で添加した。重合体を0.01MのNaClに1%重量/重量入れて使用した時の各重合体の量を添加毎に以下の表に詳細に示す:
【0099】
【表4】
【0100】
各重合体溶液を交互に8回付加させた後の固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。前記固体サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後のサンプルに関して実施した元素分析は炭素含有量が0.66%重量/重量であることを示していた。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い赤−青色であった。
【実施例37】
【0101】
99mlの0.01M NaClに市販のTiO2被覆雲母(Lumina Red Blue、9B30D)を11g入れてスラリー状にして、pHを約9に調整した。このスラリーを一定撹拌下に維持した。このスラリーに、PDADMAC(平均分子量400,000−500,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた水溶液を2.0g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSS(平均分子量70,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた水溶液を3.0g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。PDADMACとPSS重合体を測定量で各重合体の全体で4回の添加が終了するまで交互様式で添加した。重合体を0.1MのNaClに1%重量/重量入れて使用した時の各重合体の量を添加毎に以下の表に詳細に示す:
【0102】
【表5】
【0103】
各重合体溶液を交互に4回付加させた後の固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。前記固体サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後のサンプルに関して実施した元素分析は炭素含有量が0.46%重量/重量であることを示していた。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い赤−青色であった。
【実施例38】
【0104】
重合体の付着を重合体であるPDADMACとPSSの各々を交互様式で6回の付着で付着させるまで継続する以外は実施例37に記述したようにして材料の調製を行った。重合体を0.1MのNaClに1%重量/重量入れて使用した時の各重合体の量を添加毎に以下の表に詳細に示す:
【0105】
【表6】
【0106】
各重合体溶液を交互に6回付加させた後の固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。前記固体サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後のサンプルに関して実施した元素分析は炭素含有量が0.79%重量/重量であることを示していた。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い赤−青色であった。
【実施例39】
【0107】
90mlの0.1M NaClに市販のTiO2被覆雲母(Lumina Red Blue、9B30D)を10g入れてスラリー状にして、pHを約9に調整した。このスラリーを一定撹拌下に維持した。このスラリーに、PDADMAC(平均分子量100,000−200,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせたpHが9の水溶液を2.52g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSS(平均分子量70,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせたpHが9の水溶液を3.22g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。2.52gのPDADMACと3.22gのPSS重合体の繰り返し添加を各重合体の全体で6回の添加が終了するまで交互様式で実施した。
【0108】
各重合体溶液を交互に6回付加させた後の固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。前記固体サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後のサンプルに関して実施した元素分析は炭素含有量が0.77%重量/重量であることを示していた。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い赤−青色であった。
【実施例40】
【0109】
紫外−可視分光測定を用いて実施例36−39が示す色強度F(R)を調査した。その結果を図12に示す。
【0110】
図12は、重合体を注意深く制御して付着させた後に熱分解を起こさせると高い色強度を得ることができかつ色強度は炭素含有量単独の関数ではないことを示している。
【実施例41】
【0111】
重合体の付着を重合体であるPDADMACとPSSの各々を交互様式で5回の付着で付着させるまで継続する以外は実施例39に記述したようにしてLumina Red Blueへの重合体付着を実施した。サイクル(PDADMACとPSS)後毎に一定分量を取り出した。濾過そして洗浄を受けさせた後の各サンプルを90℃の空気中で乾燥させた後、pHが約2の1%重量/重量の硫酸水溶液に入れてスラリー状にした。15分間の接触時間後にサンプルを濾過し、洗浄した後、乾燥させた。次に、2時間かけて600℃にまで加熱し、600℃に2時間保持した後、室温になるまで冷却することによる熱分解を窒素流中で実施した。そのサンプルの色は強い青色であった。元素分析の結果、1から5回の重合体サイクルのそれぞれの炭素含有量は0.12、0.25、0.38、0.47および0.62%重量/重量であることが分かった。
【実施例42】
【0112】
濃H3POP4が2gで脱イオン水が198gの溶液に市販のTiO2被覆雲母(Lumina Turquoise)を20g加えた。撹拌を室温で15分間行った後の基質を濾過で集め、洗浄した後、90℃で乾燥させた。
【0113】
次に、この基質を100mlの0.1M NaClに加えた。これに、PSSを0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた水溶液を6.44g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PDADMACを0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせた水溶液を5.05g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。PSSとPDADMACの交互重合体付着を中間的濾過も洗浄も行うことなく5分間の間隔で各重合体による処理を全体で8回達成するまで行った。この場合、その基質組成物をTCM+(PSS+PDADMAC)8と記述する。次に、この基質を濾過し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で乾燥させた。
【0114】
次に、前記基質を箱形炉に入れて窒素流中で室温から600℃になるまで2時間かけて加熱し、そして窒素流中で温度を600℃に2時間保持した。次に、このサンプルを窒素流中で室温になるまで冷却した。そのサンプルを粉末にした時の色は強い青緑色であった。元素分析の結果、炭素含有量は0.97%重量/重量の炭素であった。
【実施例43】
【0115】
990gの脱イオン水にカチオン性澱粉Cellquat(商標)H−100(National Starch and Chemical)を10g溶解させた。この溶液200mlに市販のTiO2被覆雲母(Lumina Turquoise 9T30D)を20g加えた後、この混合物を室温で5分間撹拌した。5分後の基質を濾過で回収した後、過剰量の水で洗浄した。
【0116】
次に、2gのポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を200gの0.1M NaClに溶解させることで構成させた溶液に前記基質を入れてスラリー状にした。この混合物を室温で5分間撹拌した後、前記基質を濾過で集め、そして過剰量の脱イオン水で洗浄した。
【0117】
次に、H−100とPSSの各々の付着物を全体で5回付着させるまでH−100とPSSを交互に用いた処理を繰り返した。1回目、3回目および5回目のH−100/PSS処理後に一定分量を取り出した。次に、サンプルを90℃の空気中で乾燥させた。乾燥後のサンプルを箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、600℃に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後のサンプルの色は青緑色であった。熱分解を受けさせる前と後のサンプルに関して元素分析を実施することで炭素の重量パーセントを測定した。元素分析の結果、炭素含有量は1回目、3回目および5回目のH−100/PSS処理のそれぞれで0.14、0.17および0.42%の炭素であることが分かった。
【実施例44】
【0118】
1gの4−アミノ安息香酸(パラ安息香酸、PABA)を99gの脱イオン水に入れて透明な液体が得られるまで約45℃に加熱することでそれを溶解させた。この溶液25gに、実施例39に記述したようにして連続(PDADMAC+PSS)重合体添加を7サイクル用いた後に熱分解を600℃の1%CO2/99%N2中で起こさせることで調製した炭素被覆Lumina Red Blueを5g加えた。このPABAと反応させる前の前記基質の炭素含有量は0.71%重量/重量であった。
【0119】
前記炭素被覆基質を前記PABA溶液に入れて5分間撹拌した後、その基質を濾過で集め、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で乾燥させた。元素分析の結果、PABAと反応させた後の炭素含有量は1.05%炭素重量/重量であることが分かった。
【実施例45】
【0120】
72gの0.1M NaCl水溶液に20重量/重量のPDADMAC水溶液を2.0g入れることで構成させたpHが7の溶液に市販のTiO2被覆雲母(Lumina Turquoise 9T30D)を20g入れてスラリー状にした。撹拌を室温で5分間行った後、固体を濾過で回収して、脱イオン水で洗浄した。次に、72gの0.1M NaCl水溶液に40%重量/重量のポリアクリル酸(PAA、平均分子量30,000)を1.0g入れることで生じさせたpHが7の溶液に前記固体を加えた。次に、前記スラリーのpHを〜9.4にまで上昇させた。撹拌を室温で5分間行った後、固体を濾過で回収して、脱イオン水で洗浄した。この固体にPDADMACとPAAを交互に用いた処理を同様な様式で各重合体による交互の処理が全体で4回になるまで繰り返し受けさせた。熱分解を実施例39に詳述したように実施した。熱分解後の材料を元素分析で測定した炭素含有量は0.18%重量/重量であった。
【実施例46】
【0121】
0.1M NaClにポリエチレンイミン(PEI、平均分子量750,000)が1%重量/重量入っている溶液を生じさせた後、pHを約6に調整した。この溶液100mlに市販のTiO2被覆雲母(Lumina Red Blue)を10g加えた後、この混合物を室温で5分間混合した。5分後に基質を濾過で回収した後、pHを〜6に調製しておいた脱イオン水で洗浄した。次に、PSSを0.1M NaClに1%重量/重量入れることで生じさせた溶液100mlに前記基質を入れてスラリー状にして、室温で5分間撹拌した。この処理を受けさせた後の基質を濾過で集めた後、pHを〜6に調整しておいた脱イオン水で洗浄した。次に、この基質にPEIとPSSを交互に用いた繰り返し処置を各重合体による処置が全体で6回になるまで受けさせた。4回目、5回目および6回目の重合体付着サイクル後に一定分量を取り出した。
【0122】
最終的濾過そして洗浄を受けさせた後のサンプルを90℃の空気中で一晩乾燥させた。熱分解を実施例39に詳述したように実施した。重合体付着サイクルを4回、5回および6回用いて調製したサンプルに熱分解を受けさせた後の炭素含有量はそれぞれ0.45%、0.54%および0.65%であった。
【実施例47】
【0123】
666gの脱イオン水に市販のTiO2被覆雲母(Lumina Turquoise 9T30D)を100g入れて分散させた。米国特許第5,759,255号に記述されている方法に従って、前記基質の表面にセリウムおよびアルミニウムを付着させた。セリウム塩とアルミニウム塩の水溶液を固体状生成物の総重量を基準にして0.4%重量/重量のCe充填率と0.29%重量/重量のAl充填率が達成されるに充分な量で加えた。セリウム/アルミニウムを付着させた後の固体を濾過で回収し、脱イオン水で洗浄した後、120℃で乾燥させた。
【0124】
次に、この材料20gを100mlの0.1M NaClに1入れて分散させた後、pHを約9に調整した。このスラリーを一定撹拌下に維持した。このスラリーに、0.1MのNaClにPDADMAC(平均分子量100,000−200,000)を1%重量/重量入れることで生じさせたpHが〜9の水溶液を5.50g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSS(平均分子量70,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせたpHが〜9の水溶液を6.44g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。PDADMACとPSS重合体を交互に用いて各重合体の添加が全体で6回終了するまで、これらの重合体をある量で繰り返し添加した。
【0125】
各重合体溶液を交互に6回添加した後、固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。その固体状サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い青緑色であった。熱分解を受けさせた後のサンプルに関して実施した元素分析は、炭素含有量が0.81%重量/重量であることを示していた。この材料が示した紫外線安定性はセリウム処理をうけさせていない炭素被覆サンプルに比べて向上していた。
【実施例48】
【0126】
Ceの充填率が0.4%重量/重量でAlの充填率が0.29%重量/重量になるように水溶液を用いて行った付着をCe充填率が0.34%重量/重量のみになるように変える以外は実施例47に記述したようにして材料を調製した。熱分解後の材料の色は強い青緑色であった。熱分解後のサンプルに関して実施した元素分析は炭素含有量が0.86%重量/重量であることを示していた。前記炭素被覆サンプルに関して行ったXPSは、表面のセリウム総含有量は1.25原子パーセントでCe3+を0.98%とCe4+を0.27%含有することを示していた(Ce4+/Ce3+=0.28)。
【実施例49】
【0127】
167gの脱イオン水に市販のTiO2被覆雲母(Lumina Turquoise 9T30D)を25g入れて分散させた。米国特許第5,759,255号に記述されている方法に従って、前記基質の表面にセリウムをCe充填率が固体状生成物の総重量を基準にして0.34%重量/重量に相当する量で付着させた。
【0128】
セリウム付着後、熱源を取り外して、中間的濾過も洗浄も行うことなく重合体添加を実施した。スラリーのpHを〜9に調整し、0.1MのNaClにPDADMAC(平均分子量100,000−200,000)を1%重量/重量入れることで生じさせたpHが〜9の水溶液を6.33g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSS(平均分子量70,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせたpHが〜9の水溶液を8.05g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。PDADMACとPSS重合体を交互に用いて各重合体の添加が全体で6回終了するまで、これらの重合体をある量で繰り返し添加した。
【0129】
各重合体溶液を交互に6回添加した後、固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。その固体状サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い青緑色であった。熱分解を受けさせた後のサンプルに関して実施した元素分析は、炭素含有量が0.75%重量/重量であることを示していた。前記炭素被覆サンプルに関して行ったXPSは、表面のセリウム総含有量は1.6原子パーセントでCe3+を0.7%とCe4+を0.9%含有することを示していた(Ce4+/Ce3+=1.3)。
【実施例50】
【0130】
セリウム付着を周囲温度で実施する以外は実施例49に記述したようにして材料を調製した。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い青緑色であり、これは炭素を0.77%重量/重量含有していた。前記炭素被覆サンプルに関して行ったXPSは、表面のセリウム総含有量は1.9原子パーセントでCe3+を0.7%とCe4+を1.2%含有することを示していた(Ce4+/Ce3+=1.7)。
【実施例51】
【0131】
167gの脱イオン水に市販のTiO2被覆雲母(Lumina Turquoise 9T30D)を25g入れて分散させた後、1:1の塩酸を用いてpHを約3に調整した。硫酸セリウム(IV)水化物と硫酸の複合体Ce(SO4)2・H2O・H2SO4を0.42g加えた後、撹拌を室温で約15分間実施した。次に、3.5%のNaOH溶液を添加してpHをゆっくり上昇させて約6.5にした後の混合物を30分間撹拌した。
【0132】
次に、中間的濾過も洗浄も行うことなく重合体添加を実施した。スラリーのpHを〜9に調整し、0.1MのNaClにPDADMAC(平均分子量100,000−200,000)を1%重量/重量入れることで生じさせたpHが〜9の水溶液を6.33g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。次に、如何なる中間的濾過も洗浄も行うことなく、PSS(平均分子量70,000)を0.1MのNaClに1%重量/重量入れることで生じさせたpHが〜9の水溶液を8.05g加えた後、この混合物を5分間撹拌した。PDADMACとPSS重合体を交互に用いて各重合体の添加が全体で6回終了するまで、これらの重合体をある量で繰り返し添加した。
【0133】
各重合体溶液を交互に6回添加した後、固体状生成物を濾過で回収し、過剰量の脱イオン水で洗浄した後、90℃で一晩乾燥させた。乾燥後の固体を箱形炉に入れて、前記炉の中にCO2含有量が1%の窒素流を導入した。その固体状サンプルを2時間かけて600℃にまで加熱した後、その温度に2時間保持した。次に、このサンプルを炉の中で周囲温度になるまで窒素流下で冷却した後、前記炉から取り出した。熱分解を受けさせた後の材料の色は強い青緑色であり、これは炭素を0.74%重量/重量含有していた。前記炭素被覆サンプルに関して行ったXPSは、表面のセリウム総含有量は0.7原子パーセントでCe3+を0.7%含有していることを示しており、Ce4+は検出されなかった。
【0134】
本発明の方法および生成物(製品)に関して本発明の精神および範囲から逸脱しない限りいろいろな変更および修飾を成してもよい。本明細書に記述および説明した態様は本発明を更に説明する目的で記述および説明したものであり、本発明をそれに限定することを意図するものでない。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1に、1番目の炭素被覆効果顔料が約425nmの所に示した紫外−可視帯の強度が炭素含有量によって受けた影響を示す。
【図2】図2に、1番目の炭素被覆効果顔料が示したスペクトルピーク位置が炭素含有量によって受けた影響を示す。
【図3】図3に、1番目の炭素被覆効果顔料および未被覆効果顔料が示した紫外−可視スペクトルを示す。
【図4】図4に、カーボンブラックと2番目の効果顔料の物理的混合物、それの炭素被覆類似物および効果顔料自身が示した紫外−可視スペクトルを示す。
【図5】図5に、炭素濃度がいろいろな2番目の炭素被覆効果顔料が示した紫外−可視スペクトルを示す。
【図6】図6に、2番目の炭素被覆効果顔料が約600nmの所に示した紫外−可視帯の強度が炭素含有量によって受けた影響を示す。
【図7】図7は、2番目の炭素被覆効果顔料が約600nmと490nmの所に示した紫外−可視特徴の間の強度差をプロットした図である。
【図8】図8に、2番目の炭素被覆効果顔料が示す紫外線ピーク幅が炭素含有量に関して変化することを示す。
【図9】図9は、2番目の炭素被覆効果顔料が示した紫外帯位置を炭素含有量の関数としてプロットした図である。
【図10】図10に、3番目の炭素被覆効果顔料が示した紫外−可視スペクトルを示す。
【図11】図11に、4番目の炭素被覆効果顔料が示した紫外−可視スペクトルを示す。
【図12】図12に、5番目の炭素被覆効果顔料が示した紫外−可視スペクトルを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料であって、効果顔料基質を含んで成っていて前記効果顔料基質の上に炭素含有イオン種を含んで成る炭素含有有機被膜を有しかつ場合により前記顔料の耐候性が向上するように前記炭素被膜の上に付着している金属酸化物およびシランカップリング剤を含有していてもよくかつ場合により二価の鉄、三価の鉄またはこれらの混合物を含有していてもよい顔料。
【請求項2】
前記有機被膜が前記顔料基質の上に炭素被膜を生じるように処理されている請求項1記載の顔料。
【請求項3】
前記効果顔料基質が雲母、オキシ塩化ビスマス、ガラスフレーク、板状酸化鉄、板状酸化アルミニウム、板状二酸化ケイ素またはそれらの金属酸化物被覆誘導体から成る群から選択される板状基質である請求項1記載の顔料。
【請求項4】
前記炭素被膜が該顔料の全重量の約5%未満である請求項2記載の顔料。
【請求項5】
前記炭素含有イオン種が少なくとも1種の重合体である請求項1記載の顔料。
【請求項6】
前記有機被膜が交互に位置するカチオン重合体層とアニオン重合体層で構成されている請求項1記載の顔料。
【請求項7】
前記基質が少なくとも1つの交互に連続するポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドとポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)で被覆されている請求項6記載の顔料。
【請求項8】
更に酸化セリウムも含有する請求項1記載の顔料。
【請求項9】
前記効果顔料基質が二酸化チタンで被覆されている雲母または酸化鉄で被覆されている雲母である請求項1記載の顔料。
【請求項10】
炭素で被覆されている高光沢の板状顔料を製造する方法であって、板状顔料基質を少なくとも1種の炭素含有イオン種でか或は交互に位置する反対の電荷を持つ炭素含有イオン種の層で被覆し、その被膜を処理することで前記基質の上に炭素被膜を生じさせることを含んで成る方法。
【請求項1】
顔料であって、効果顔料基質を含んで成っていて前記効果顔料基質の上に炭素含有イオン種を含んで成る炭素含有有機被膜を有しかつ場合により前記顔料の耐候性が向上するように前記炭素被膜の上に付着している金属酸化物およびシランカップリング剤を含有していてもよくかつ場合により二価の鉄、三価の鉄またはこれらの混合物を含有していてもよい顔料。
【請求項2】
前記有機被膜が前記顔料基質の上に炭素被膜を生じるように処理されている請求項1記載の顔料。
【請求項3】
前記効果顔料基質が雲母、オキシ塩化ビスマス、ガラスフレーク、板状酸化鉄、板状酸化アルミニウム、板状二酸化ケイ素またはそれらの金属酸化物被覆誘導体から成る群から選択される板状基質である請求項1記載の顔料。
【請求項4】
前記炭素被膜が該顔料の全重量の約5%未満である請求項2記載の顔料。
【請求項5】
前記炭素含有イオン種が少なくとも1種の重合体である請求項1記載の顔料。
【請求項6】
前記有機被膜が交互に位置するカチオン重合体層とアニオン重合体層で構成されている請求項1記載の顔料。
【請求項7】
前記基質が少なくとも1つの交互に連続するポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドとポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)で被覆されている請求項6記載の顔料。
【請求項8】
更に酸化セリウムも含有する請求項1記載の顔料。
【請求項9】
前記効果顔料基質が二酸化チタンで被覆されている雲母または酸化鉄で被覆されている雲母である請求項1記載の顔料。
【請求項10】
炭素で被覆されている高光沢の板状顔料を製造する方法であって、板状顔料基質を少なくとも1種の炭素含有イオン種でか或は交互に位置する反対の電荷を持つ炭素含有イオン種の層で被覆し、その被膜を処理することで前記基質の上に炭素被膜を生じさせることを含んで成る方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−523219(P2007−523219A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533160(P2006−533160)
【出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/015475
【国際公開番号】WO2004/104109
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(591044371)エンゲルハード・コーポレーシヨン (43)
【氏名又は名称原語表記】ENGELHARD CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/015475
【国際公開番号】WO2004/104109
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(591044371)エンゲルハード・コーポレーシヨン (43)
【氏名又は名称原語表記】ENGELHARD CORPORATION
【Fターム(参考)】
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