説明

炭酸ジメチル混合物

【課題】 炭酸ジメチルの乾燥が遅い、冬期に凍結し易いという欠点を改良し、かつ環境安全上問題のない溶剤を提供する。
【解決手段】 炭酸ジメチルにアセトンを5重量分率以下の割合で混合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥速度の迅速化を測った特に洗浄用途の溶剤混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸ジメチルは、その高い極性の上に、従来からリチウムイオン二次電池の電解液の成分として、広く使用されてきている。
【0003】
しかし、高い極性を利用して有機化学薬品・有機化合物の洗浄溶剤として使用すると、以下のような問題点があった。
【0004】
一番目に、他の有機溶剤例えば酢酸チルと比較すると、沸点が高く乾燥速度が遅い問題が挙げられる。
【0005】
二番目に、炭酸ジメチルの融点が、他の有機溶剤例えば酢酸チルと比較すると高くて、冬期に凍結し易く使用上不利という。問題が挙げられる。
【0006】
三番目に、かかる問題点の克服のために他の有機溶剤と混合すると、炭酸ジメチルの環境安全面の優位性、たとえば、毒物劇物取締法の該当物質でない、悪臭防止法の対象物質でない等が損なわれてしまう問題があった。
【特許文献1】 日本公開特許 平11−67266号
【特許文献2】 日本公開特許 2007−287570号
【非特許文献1】 有機溶剤中毒予防規則 第一章第一条
【非特許文献2】 15308の化学商品 (化学工業日報社)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上に述べた、従来の炭酸ジメチル単体では、他の有機溶剤例えば酢酸チルと比較すると乾燥速度が遅い、冬期に凍結し易く使用上不利という問題があった。
【0008】
本発明は、かかる従来の炭酸ジメチルが有していた問題点を解決しようとするものであり、炭酸ジメチルの乾燥速度を向上させ、冬期の凍結を防止し、かつ炭酸ジメチルの環境安全面の優位性を損なわない洗浄溶剤を提供することを、目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして本発明は、上記の目的を達成するために、炭酸ジメチルにアセトンを5重量パーセント以下、好ましくは2重量パーセント以下のアセトンを混合したものである。
【0010】
本発明において、炭酸ジメチルの混合相手としてアセトンを選択した理由としては、アセトンの沸点が摂氏56度と低くて、沸点が摂氏90度の炭酸ジメチルと混合した際に沸点を下げ、乾燥速度を向上できることが第一に挙げられる。
【0011】
第二に、沸点が炭酸ジメチルより低い溶剤の中でも、アセトンが毒物劇物取締法の対象物質でないことから、炭酸ジメチルが同法の対象物質でないことを混合溶剤が覆さいことが挙げられる。
【0012】
第三に、アセトンの混合濃度を5重量パーセント以下としたのは、炭酸ジメチルにアセトンを混合した際に有機溶剤中毒予防規則が適用される限界の濃度として5重量パーセントを上限として選定した。
【0013】
また、驚くべきことに本発明の混合物は、炭酸ジメチルより融点が下がり、冬期の凍結防止対策としても極めて有効であることが判明した。
【0014】
以上のように本発明による混合溶剤は、従来の炭酸ジメチルの使用上の難点を大幅に改良したものである。
【実施例】
炭酸ジメチルは、中国の山東石大勝華化工 有限公司製品の炭酸ジメチル(一級)を用いた。アセトンは日本での市販品を使用し、沸点と融点は熱分析(熱天秤法及び操作型熱量計)の手法により評価した。


炭酸ジメチル;CAS番号 [616−38−6]
アセトン ;CAS番号 [67−64−1]
酢酸エチル ;CAS番号 [171−78−6]

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸ジメチルにアセトンを混合したことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前項において、アセトンの重量分率が五重量百分率以下であることを特徴とする組成物。

【公開番号】特開2009−293007(P2009−293007A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175037(P2008−175037)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(508202016)安藤パラケミー株式会社 (1)
【出願人】(508200595)山東石大勝華化工有限公司 (1)
【Fターム(参考)】