説明

炭酸水製造器

【課題】炭酸ガス濃度を順次上昇させる高濃度の炭酸入浴水や、炭酸飲料水、更には食料用水を簡単に製造することができる移設可能な炭酸水製造器を提供する。
【解決手段】入浴水、飲料水等の水槽からの貯水を吸水するポンプ7と、このポンプから揚水された貯水を垂下パイプの上部より下端に自然流下させて放射状に散水させると共に、この散水状態において、外部設置の炭酸ガスボンベからの送出炭酸ガスとの噴出混合により生成する円筒型生成タンク14とを筐体内に収納装備し、この円筒型生成タンクからの生成水を前記水槽に還流すると共に、所定の設定時間内において反復循環して貯水の炭酸ガス濃度を順次上昇させる閉配管回路を構成することにより、家庭にても簡単に炭酸水を製造することが出来、而も製造器の移設も容易に行えるのは勿論、特に水と炭酸ガスとの混合を攪拌せずに行うことによってガス気泡の粉砕に繋がる渦流発生を無くする炭酸水製造器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガス濃度を順次上昇させた高濃度の炭酸入浴水や、炭酸飲料水、更には食料用水を簡単に家庭にて製造することができると共に自在に移設可能な炭酸水製造器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に遊離炭酸を含有する炭酸泉に入浴すると、炭酸泉内の炭酸成分が皮膚下の毛細血管に作用してこの毛細血管を拡張させ、これにより入浴者の血行が改善されて入浴者の疲労回復や健康増進が図れることは、既に広く知られている。
特に、最近はレストラン等の外食施設においても簡易に利用できる足湯の普及も著しい。
そこで、浴槽水(入浴に適したお湯)に炭酸ガスを供給混合させるシステム、更には水道水に炭酸ガスを供給混合させるシステムが提案されている。
先ず浴槽水に炭酸ガスを供給混合させるシステムの一例として、下記特許文献1が存在する。
即ち、浴槽の入浴水をポンプに吸水(引込み)させ、この状態にて給湯燃焼排気ガスを該ポンプに導入して、ポンプ内にて排気ガスである炭酸ガスと入浴水とを攪拌混合させた後、浴槽に還流させることとしている。
然しながら、この特許文献1のものであると、給湯燃焼排気ガスを導入する設備が大掛かりになること、炭酸ガスは大気中において水と混合し難く、前記炭酸ガスとしての効能を発揮するまでに給湯燃焼排気ガスの濃度を高めることは容易ではない。これは、一見、水中(お湯も含め)での炭酸ガスが混入した状態での、攪拌がより混合度、即ち炭酸ガス濃度を高めると思われるが、これは全く逆であって、攪拌によって渦流が発生し、ガス気泡が粉砕され、大気中に逃げてしまうこととなり、ガスの飽和状態までに濃度を上げることはできないのである。
従って、上記文献1を精査すると、単にシステム原理、イメージを描写したに過ぎず、完成製品としての具現化に向けての実施例には至っていない。
上記と同様に特許文献2も存在する。
これは飲料水への展開であって、同様に抽象的な単なるペーパープランに過ぎない。
また、特許文献3も存在する。
更に水、温水への炭酸ガスを供給攪拌するものとして文献4が存在するが、これとても上記と同様に炭酸水製造装置としてのシステム原理、イメージを描写に過ぎず、ひとつの完成製品としての開示がされておらず、家庭にて簡単に製造することができ、且つ自在に移設可能な炭酸水製造器とは程遠いといえるのは勿論、攪拌によって渦流が発生し、ガス気泡が粉砕され、大気中に逃げてしまうこととなり、ガスの飽和状態までに濃度を上げることはできないのである。
【0003】
【特許文献】特開2005−288052号・・・文献1 特許第3328101号・・・・・・文献2 特開平5−213395号・・・・・文献3 特開2005−262019号・・・文献4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、炭酸ガス濃度を順次上昇させる高濃度の炭酸入浴水や、炭酸飲料水、更には食料用水を簡単に家庭にて製造することができる移設可能な炭酸水製造器の具現化、特に水と炭酸ガスとの混合を攪拌せずに行うことによってガス気泡の粉砕に繋がる渦流発生を無くするという課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために本発明は、入浴水、飲料水等の水槽からの貯水を吸水するポンプと、このポンプから揚水された貯水を垂下パイプの上部より下端に自然流下させて放射状に散水させると共に、この散水状態において、外部設置の炭酸ガスボンベからの送出炭酸ガスとの噴出混合により生成する円筒型生成タンクとを筐体内に収納装備し、この円筒型生成タンクからの生成水を前記水槽に還流すると共に、所定の設定時間内において反復循環して貯水の炭酸ガス濃度を順次上昇させる閉配管回路を構成することにより、家庭にても簡単に炭酸水を製造することが出来、而も製造器の移設も容易に行えるのは勿論、特に水と炭酸ガスとの混合を攪拌せずに行うことによってガス気泡の粉砕に繋がる渦流発生を無くする炭酸水製造器。
【発明の効果】
【0006】
(1)水槽からの貯水を入水するポンプと、更に炭酸ガスとの噴出混合により生成する円筒型生成タンクとは一つの筐体内に収納装備して炭酸製造器としたから、水槽との生成水還流は、筐体外部での閉配管回路を接続すればよく、従って、家庭にても簡単に炭酸水を製造することが出来、而も製造器の移設も容易に行え、利便性に優れている。
(2)また、円筒型生成タンク内においては、垂下パイプの下端より流下された貯水は放射状に散水されると共に、この散水状態において送出炭酸ガスと攪拌することなく、自然混合状態で、而も、該タンクの内周壁に沿って垂下するから、ガス気泡の粉砕に繋がる渦流の発生を可及的減少させることができる。
【0007】
(3)筐体を構成するベースの上面には、ポンプ及び生成タンクが固定され、水槽とポンプとの吸水接続口及び生成タンクと水槽との還流接続口とをベースの上面に固定されたジョイント台に装備して夫々の接続口を前記カバーの前面に露出させたから、水槽との配管接続は製造器の前面にて接続すればよく、且つ移設或いは清掃等においても簡単に脱着でき、不必要に内部の機器に触れることもなく、誤動作に繋がることがない。
(4)更に、ポンプ及び生成タンクの夫々の接続口と共に、炭酸ガスの接続口を合わせてジョイント台に装備してカバーの前面に露出させたから、移設、清掃等における脱着、特に頻繁に行うこととなる炭酸ガスボンベの取替作業も容易、且つ確実となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を実施形態の図面に基づいて説明する。
図1は本発明炭酸水製造器の斜視図を示し、筐体1は図2に示す如くベース2とこのベース2に被さるカバー3とで構成している。而してこのカバー3は前後面板4,5と、更に前後面板4,5側が開口6aし、且つ下側も開口6bするコ字型枠6とより成っている。
このベース2とカバー3とは、ステンレスにて作られている。勿論、合成樹脂製としてもよい。
図3は本発明炭酸水製造器の断面側面図、図4は断面平面図を示し、入浴水、飲料水等の水槽Hからの貯水Wを吸水するポンプ7をベース2に装備している。具体的にはベース2に直立した取付フレーム8に取付座9を固定している。而して図5にポンプ7の一例を示している。即ち、下端の一方に貯水Wを吸水する吸水口10を、他方に送水口11を備え、且つ羽根車12とそのモーター13とより成っている。尚、吸水口10及び送水口11には夫々後述する閉配管回路Pを構成する連結管P1、P2を接続している。
【0009】
図6はこのポンプ7からの貯水Wが揚水される円筒型生成タンク14を示している。この円筒型生成タンク14は合成樹脂にて成型された円形中筒15とその上下円形キャップ16、17にて構成している。具体的には上下円形キャップ16、17の円周壁16a、17aに円形中筒15を嵌合させ、夫々を接着剤にて結合している。この上側円形キャップ16には前記ポンプ7の送水口11の連結管P2が接続されており貯水Wが揚水される。また、連結管P2を接続するエルボ18と円筒型生成タンク14内に垂下した有底型垂下パイプ19とをネジ結合し、この垂下パイプ19の内孔19aを自然流下した貯水Wは底部19bに至り、垂下パイプ19の下端に形成されたスリット20から矢印に示す如く放射状に散水する。この垂下パイプ19の具体例は図7に示す。尚、ここで言う自然流下とは前記ポンプ7からの揚水圧力での流下を指すものである。
【0010】
図6に示す如く、上円形キャップ16には外部設置の炭酸ガスボンベGとの連結管G1を接続するエルボ21を介してガス噴出ノズル22が取付けられている。
而して、この噴出した炭酸ガスと自然流下による放射状に散水した貯水Wが混合し、生成水W1となって円筒型生成タンク14の下端の還流口23の連結管P3から水槽Hに還流され、水槽H内の貯水Wと混合し、これを反復繰返すことによって、炭酸ガス濃度の高い入浴水や、飲料水、更には食料用水を得ることとなる。
更にベース2の上面には、カバー3の前面板4側に位置したジョイント台24を固定している。このジョイント台24には前記ポンプ7の吸水口10及び還流口23の連結管P1、P3の接続口25、26を装備しており、炭酸ガスボンベGとの連結管G1を接続する接続口27も併せて装備し、前記カバー3の前面板4側に露出する様、窓孔28に位置する。
【0011】
図8は入浴における水槽Hの実施例であり、ジョイント台24の接続口25、26に更に水槽Hとの連通管P4、P5が接続されている。
また、炭酸ガスボンベGとの連結管G1も同様に接続口27に接続されている。吸水口10側の連通管P4の先端にはフィルター28が備えられている。
図9は飲料水、更には食料用水への展開を示し、水槽Hからの貯水Wをポンプ7にて吸水し、上記と同様に還流させる。
尚、炭酸ガスの引込接続口27と円筒型生成タンク14との連結管G1の中間に、電気的に開閉操作をさせることによって炭酸ガス噴出時間を制御する電磁弁装置29を挿入して円筒型生成タンク14への炭酸ガス噴出時間を制御している。炭酸ガスの引込接続口27は、回転手動によってガス供給量を調整するコントローラ30を有する。炭酸ガス供給及び還流設定時間を設定するタイマー表示ランプ31と、更に電源スイッチ32とを有する操作部33を筐体1の前面に装備している。また、上記手電気的回路構成及び部品はプリント板33に組込み配線され、電源コード34と接続されている。
【動作】
【0012】
次に本発明に係る炭酸水の製造順序を図8の入浴水を一例として説明すると、水槽Hに注がれた貯水Wをフィルター28を通して連通管P4、接続口25、連結管P1、ポンプ7に吸水し、送水口11の連結管P2から揚水されて円筒型生成タンク14に至り、該タンク14の垂下パイプ19の内孔19aを自然流下した貯水Wは底部19bに至り、垂下パイプ19の下端に形成されたスリット20から矢印に示す如く放射状に散水する。この自然流下の散水状態において炭酸ガスが噴出混合し、生成水W1となって円筒型生成タンク14の下端の還流口23の連結管P3から水槽Hに還流され、水槽H内の貯水Wと混合し、これを反復繰返すことによって、炭酸ガス濃度が飽和状態に近くまで高められることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】 本発明炭酸水製造器の斜視図
【図2】 同上の筐体の分解斜視図
【図3】 同上の縦断側面図
【図4】 同上の横断平面図
【図5】 ポンプの断面図
【図6】 円筒型生成タンクの断面図
【図7】 垂下パイプの斜視面図
【図8】 炭酸入浴水の製造図
【図9】 炭酸飲料水、食料用水の製造図
【符号の説明】
【0014】
H 水槽
W 貯水
G 炭酸ガスボンベ
P 閉配管回路
P1連結管
P2連結管
P3還流管
1 筐体
2 ベース
3 カバー
7 ポンプ
10 吸水口
11 送水口
14 円筒型生成タンク
24 ジョイント台
27 炭酸ガスの引込接続口
29 還流接続口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入浴水、飲料水等の水槽からの貯水を吸水するポンプと、このポンプから揚水された貯水を垂下パイプの上部より下端に自然流下させて放射状に散水させると共に、この散水状態において、外部設置の炭酸ガスボンベからの送出炭酸ガスとの噴出混合により生成する円筒型生成タンクとを筐体内に収納装備し、この円筒型生成タンクからの生成水を前記水槽に還流すると共に、所定の設定時間内において反復循環して貯水の炭酸ガス濃度を順次上昇させる閉配管回路を構成したことを特徴とする炭酸水製造器。
【請求項2】
ベースとこのベースに被さるカバーとで筐体を構成し、このベースの上面にポンプ及び円筒型生成タンクを固定し、水槽からの連結管と着脱自在に接続されるポンプの吸水接続口及び水槽の還流管と着脱自在に接続される円筒型生成タンクの還流接続口とをジョイント台に装備して夫々の接続口を前記カバーの前面に露出させ、更に円筒型生成タンク内に導入する炭酸ガスの引込接続口をカバーの前面に露出させたことを特徴とする請求項1記載の炭酸水製造器具。
【請求項3】
ポンプ、円筒型生成タンク、炭酸ガスの三者の接続口をジョイント台に装備してカバーの前面に露出させたことを特徴とする請求項2記載の炭酸水製造器。
【請求項4】
炭酸ガスの引込接続口と円筒型生成タンクとの連結管の中間に、電気的に開閉操作をさせることによって炭酸ガス噴出時間を制御する電磁弁装置を挿入して円筒型生成タンクへの炭酸ガス噴出時間を制御することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1記載の炭酸水製造器。
【請求項5】
炭酸ガスの引込接続口は、回転手動によってガス供給量を調整するコントローラ機能を有することを特徴とする請求項1〜2或いは4のいずれか1記載の炭酸水製造器。
【請求項6】
炭酸ガス供給及び還流設定時間を設定するタイマー表示ランプと、更に電源スイッチとを有する操作部を筐体の前面に装備したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1記載の炭酸水製造器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−188577(P2008−188577A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52020(P2007−52020)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(505088787)
【出願人】(503463287)
【出願人】(503460862)
【Fターム(参考)】