説明

点光源光学系、光学機器及び点光源光学系の製造方法

【課題】高度な技術や多大なコストを要する回折光学素子を用いずに、容易に細い光束を発生させる点光源光学系を提供する。
【解決手段】光源1と、該光源1から放射された光を略平行な光束に変換するコリメートレンズ2と、該コリメートレンズを透過した前記光束を回折する第1の回折機構3と、該第1の回折機構3を通過した前記光束を回折する第2の回折機構6と、該第2の回折機構6を通過した前記光束を回折する第3の回折機構9と、該第3の回折機構を通過した前記光束を回折する第4の回折機構12と、を有し、前記第1の回折機構3ないし第4の回折機構12は、入射した光を所定の方向に回折させる回折光学素子5、8、11、13と該回折光学素子5、8、11、13で回折された前記光束を所定の方向に導く導光部4、7、10,14とを備えていることを特徴とする点光源光学系を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、点光源光学系、この点光源光学系を備える光学機器、及び、点光源光学系の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MEMSミラーやガルバノミラーといった走査ミラーを用いてレーザ光源を2次元に走査することによって映像を表示する走査型の画像表示装置として、例えば、フォーカスフリーのプロジェクタや、接眼光学系を併用したヘッドマウントディスプレイがある。しかし、レーザ光源はその特性として光束が広がらないため、スペックル反射の除去が難しい、安全性の確保にコストがかかるといった問題がある。
【0003】
そこで、LED光源からの光をコリメートレンズによって略平行光束とした後に回折光学素子によって2度回折を行うことにより、容易に細い光束を発生させる装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010‐276981
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の点光源光学系は、光源の射出面を小さくするために導光材を薄くすると、回折光学素子から射出された光束が導光部材内で反射して、その一部が再度回折光学素子に入射し、所望の方向とは別の方向へ射出されてしまい、光が無駄となってしまう。これを解消するためには、回折角の大きい回折光学素子を用いる必要があるが、そのような回折光学素子を製造するためには、高度な技術と多大なコストを要することとなる。このような問題に鑑みて、本発明は、高度な技術や多大なコストを要することなく、容易に細い光束を発生させる点光源光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明では、光源と、該光源から放射された光を略平行な光束に変換するコリメートレンズと、該コリメートレンズを透過した前記光束を回折する第1の回折機構と、該第1の回折機構を通過した前記光束を回折する第2の回折機構と、該第2の回折機構を通過した前記光束を回折する第3の回折機構と、該第3の回折機構を通過した前記光束を回折する第4の回折機構と、を有し、前記第1の回折機構ないし第4の回折機構は、入射した前記光束を所定の方向に回折させる回折光学素子と該回折光学素子で回折された前記光束を所定の方向に導く導光部とを備えていることを特徴とする点光源光学系を提供する。
【0007】
また、本発明では、回折光学素子の記録材料を、該回折光学素子の使用時に該回折光学素子が回折した回折光を所定方向に導光する導光部に固定し、一つのレーザ光を二つのレーザ光に分離した後、一方のレーザ光を、前記回折光学素子が光を回折する際に該光を入射させるのと同じ向きで前記記録材料に照射し、それと同時に、他方のレーザ光を、前記回折光が射出される前記導光部の面から入射させることで回折格子を形成することを特徴とする回折光学素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高度な技術や多大なコストを要する回折光学素子を用いずに、容易に細い光束を発生させる点光源光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願の第1実施形態の点光源光学系を示す斜視図(概念図)である。
【図2】回折機構の説明図である。(a)は、透過型ホログラフィック光学素子から射出された光束の一部が薄板状導光材内で全反射した後、再度透過型ホログラフィック光学素子に入射している様子を示している。(b)は、薄板状導光材内で全反射した後、再度透過型ホログラフィック光学素子に入射しないための回折角θを示している。
【図3】本願の第1実施形態の点光源光学系の説明図である。(a)はLEDから射出された光束が第1の回折機構と第2の回折機構とを透過して射出されるまでを示している。(b)は反射型ホログラフィック光学素子で回折された光が接着剤層とくさび状導光材とを透過する際の屈折の様子を示している。
【図4】本願の第2実施形態の点光源光学系の説明図である。(a)はLEDから射出された光束が第1の回折機構と第2の回折機構を透過して射出されるまでを示している。(b)は第2の回折機構から射出された光束が第3の回折機構と第4の回折機構を透過して射出されるまでを示している。
【図5】本願の第3実施形態の光学機器に用いる点光源光学系を示す斜視図(概念図)である。
【図6】(a)は本願の第3実施形態の光学機器を示す説明図である。(b)は第3実施形態の光学機器の変形例を示す説明図である。
【図7】本願の第4実施形態の製造方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1乃至図3を参照しつつ説明する。図1は本発明の第1実施形態である点光源光学系100の斜視図(概念図)である。なお、斜視図においては、説明のため、図面に向かって左手前から右奥の方向をX軸、右手前から左奥の方向をY軸、上下方向をZ軸と定義する。
【0011】
本第1実施形態の点光源光学系100は、図1に示す通り、光源としてのLED1と、LED1からの光束を略平行光束(Z軸に沿った光束)にするコリメートレンズ2とを有し、第1の回折機構3として、くさび状導光材4を透過した光束を回折する回折光学素子である反射型ホログラフィック光学素子5(以下「ホログラフィック素子」を「HOE」とする。)と、該反射型HOE5から射出された光束をX軸に沿って内部を進行させ第2の回折機構6に導光するくさび状導光材4とを有している。
【0012】
ここで、図3(a)に示すくさび状導光材4の頂角θ4は、反射型HOE5からくさび状導光材4に入射して進行する光束とその光束が入射する面とが作る角θ5と略同一に形成している。この結果、第1の回折機構3では、くさび状導光材4内をX軸に略平行な光束として進行させ、くさび状導光材4内での反射による光の損失を防止することができる。
【0013】
第2の回折機構6は、薄板状導光材7と反射型HOE8から成り、第1の回折機構3から射出された光束(X軸方向)は、薄板状導光材7を透過して反射型HOE8に入射し、回折され、再度薄板状導光材7に入射し、薄板状導光材7内で全反射しながらZ軸に沿って進行して第3の回折機構9に導かれる。
【0014】
第3の回折機構9はくさび状導光材10と反射型HOE11とから成り、第2の回折機構6から射出された光束(Z軸方向)は、くさび状導光材10を透過し、反射型HOE11に入射し、回折され、再度くさび状導光材10に入射してくさび状導光材10内をY軸に沿って進行し、第4の回折機構12に導かれる。導光材10をくさび状とすることの効果は、上記第1の回折機構における効果と同様である。
【0015】
第4の回折機構12は、反射型HOE13と棒状導光材14とから成り、第3の回折機構9から射出された光束(Y軸方向)は、棒状導光材14を透過して、反射型HOE13に入射し、回折され、再度棒状導光材14に入射し、導光材内で全反射しながらZ軸に沿って進行して、射出部14aから射出される。なお、第1ないし第4の回折機構3、6、9、12において回折光として利用されるのは、いずれも一次回折光である。
【0016】
以上のように、LED1から射出された光は、第1ないし第4の回折機構3,6,9,12を順次通過することによって細い光束となり第4の回折機構12の棒状導光材14の射出部14aから射出される。例えば、薄板状導光材7のX軸方向の厚さが50μmであって、棒状導光材14のY軸方向の太さが50μmであれば、50μm×50μm角の光束が得られることになる。
【0017】
一般に、回折光学素子と導光材を用いた点光源光学系においては、図2(b)に示すように、例えば50μm×50μm角の光源を得ようとすれば、薄板状導光材15の厚さを50μmとしなければならない。光源16からコリメートレンズ17を透過した略平行光の幅が例えば5,000μmであれば、この5,000μm幅の光を全て厚さ50μmの導光部材内を通過させるためには、少なくともtanθ>50となる回折角の透過型HOE18を使用しなければならず、tanθ>50の条件を満たさない場合には、図2(a)に記載のように光の一部が薄板状導光材15で反射した後に再度透過型HOE18に入射し、回折機構20の外へ漏れてしまい、光が無駄になる。このことは反射型HOEを用いたとしても同様である。しかし、tanθ>50となる回折角θを有するHOEを製造するためには高度な技術力と多大なコストが必要となる。
【0018】
これに対し、本第1実施形態に係る点光源光学系100は、第1の回折機構3から第4の回折機構12まで、回折機構を4つ設けている。これにより、図3(a)に示すように、例えば、コリメートレンズ2を透過した5,000μm幅の光を第1の回折機構3の反射型HOE5とくさび状導光材4によって一度約706μm幅(Z軸方向の寸法)の光にして、そこから厚さ50μm(X軸方向の寸法)の薄板状導光材7を備える第2の回折機構6によって回折することにより50μm幅(X軸方向の寸法)の光を薄板状導光材7から射出する。この場合、反射型HOE5、8は、tanθ10が約7.08となる回折角を有していることとなる。上記の例においては、tanθ10が5√2より大きければ第2の回折機構6において薄板状導光材7内で反射した光が再度反射型HOE8に入射するのを防ぐことができる。
【0019】
また、第2の回折機構6から射出される光束は、この時点でX軸方向の幅は50μmとなっているものの、Y軸方向では未だ5,000μmのままである。そこで、第2の回折機構6から射出された光束を第3の回折機構9によって回折することで、5,000μmの幅(Y軸方向の寸法)を約706μm幅(Z軸方向の寸法)とする。そして、第3の回折機構9から射出された光束を、Y軸方向の寸法が50μmの棒状導光材14を備える第4の回折機構12によって回折することで50μm幅(Y軸方向の寸法)とする。この場合、反射型HOE11,13もtanθ10に相当する値が約7.08となる回折角を有することとなる。上記の例においては、tanθ10が5√2より大きければ第4の回折機構12において棒状導光材14内で反射した光が再度反射型HOE13に入射するのを防ぐことができる。したがって、本第1実施形態に係る点光源光学系100は、tanθ>50となる回折角を有するHOEを要する前記点光源光学系と異なり、HOEの製造において高度な技術力や多大なコストを必要としないといえる。
【0020】
さらに、第1ないし第4の回折機構3,6,9,12に用いるくさび状導光材4、10、薄板状導光材7及び棒状導光材14の屈折率を略同一とすることで、第1ないし第4の回折機構3、6、9、12において回折角の同じHOEを用いることができるため、コストの低減を図ることが出来る。
【0021】
また、反射型HOE5とくさび状導光材4とは接着剤により接着されている。図3(b)は反射型HOE5で回折された光が、反射型HOE5と接着剤層18との境界面、及び、接着剤層18とくさび状導光材4との境界面で屈折している様子を示している。反射型HOE5の屈折率をn1、くさび状導光材4の屈折率をn2、接着剤層18の屈折率をn3、反射型HOE5から接着剤層18への入射角をθ1、接着剤層18からくさび状導光材への入射角をθ3とすると、回折された光がくさび状導光材への入射時に全反射を起こさないために、くさび状導光材4と反射型HOE5とを接着する接着剤18は、一般に
n1*sinθ1<n3*sinθ3<n2
を満たす必要がある。一般に接着剤18は樹脂であるため、屈折率の制御が非常に難しい。そこで、
n3>n1、n3>n2
となる接着剤18を使用することで接着剤18の屈折率管理を容易にすることができる。なお、このことは、第1の回折機構3に限られず、第2乃至第4の回折機構6、9、12においても同様である。
【0022】
接着剤18としては、透明な紫外線硬化樹脂を用いることができる。例えば、「Norland Products,Inc.」の「Norland Optical Adhesives」という商品を用いる。
【0023】
なお、本第1実施形態に係る点光源光学系100においては、第1の回折機構3から第4の回折機構12まで、回折機構を4つ設けているが、それ以上であっても良い。この場合、構造は複雑になるが、より回折角の小さいHOEを用いることが可能となる。また、回折角の小さいHOEを用いずに、導光部7、14に相当する部材の厚さを薄くすれば、より細い光束を射出することが可能となる。
【0024】
くさび状導光材4、10、薄板状導光材7及び棒状導光材14には、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの光学用樹脂やガラス等を用いることができる。
【0025】
また、点光源光学系全体におけるくさび状導光材の数及び配置は、本実施形態に限られず、第1の回折機構又は第3の回折機構に薄板状導光材を用いることも可能であり、また、第2の回折機構、第4の回折機構の薄板状導光材の代わりにくさび状導光材を用いることも可能である。ただし、例えばZ軸方向の厚さが一番厚い部分でも50μmとなるような薄いくさび状導光材の製造は容易でないため、本第1実施形態のように、光源に近い回折機構に或る程度厚みのあるくさび状導光材を配置し、光源から遠い回折機構においては薄板状導光材を用いた方が効率的である。
【0026】
なお、くさび状導光材の代わりにくさび状導光材の光を射出する面のZ軸方向の寸法と同じZ軸方向の寸法を有する板状の導光材を使用しても良い。この場合、厚みは増すこととなるが、製造コストを低減することができる。
【0027】
本第1実施形態においては、第3の回折機構9のX軸方向の寸法は、第1の回折機構3と第2の回折機構6によって幅が狭められた光束のX軸方向の寸法に合わせているが、第1の回折機構3と同じ構成の回折機構を第3の回折機構9として配置しても良い。それと同様に第2の回折機構6と同じ構成の回折機構を第4の回折機構12として配置しても良い。この場合、点光源光学系のサイズは大きくなるが、製造コストを低減することができる。
【0028】
本第1実施形態では第1の回折機構3と第2の回折機構6によって一方向に光束の幅を狭めた後に、それと直角方向の幅を第3の回折機構9と第4の回折機構12によって狭めることにより光束を細めているが、必ずしもこのような順である必要はない。すなわち、本第1実施形態においては、コリメートレンズから射出された光をX軸方向、Z軸方向、Y軸方向、Z軸方向の順に回折させているが、これに限らず、例えばX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸方向の順に回折させても良いし、それ以外の順に回折させても良い。
【0029】
反射型HOE5,8、11、13は、いわゆる厚いホログラム(体積ホログラム)であることが望ましい。このような厚いホログラムであれば、一次回折光への回折比率(回折効率)を高めることが可能となる。
【0030】
本第1実施形態の回折機構は、全て反射型HOEを用いているが、一部の回折機構を後述する第2実施形態のような透過型HOEを用いた回折機構としても良い。
【0031】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を図4を参照しつつ説明する。第1実施形態との相違は、第1実施形態においては反射型HOEを用いているのに対して、本実施形態においては、透過型のHOEを使用している点にあり、その他の基本的な構成は第1実施形態と同様である。
【0032】
すなわち、本第2実施形態の点光源光学系120は、図4(a)に示すように、光源としてのLED18と、LED18からの光束を略平行光束にするコリメートレンズ19とを有し、第1の回折機構20として、コリメートレンズ19から射出された光束を回折する透過型HOE21と、透過型HOE21から射出された光束を第2の回折機構22に導くくさび状導光材23とを有している。第2の回折機構22は、薄板状導光材24と透過型HOE25から成り、第1の回折機構20から射出された光束は、透過型HOE25に入射し、回折され、薄板状導光材24に入射し、薄板状導光材24内で全反射しながら第3の回折機構26に導かれる。
【0033】
また、図4(b)に示すように、第3の回折機構26は透過型HOE27とくさび状導光材28とから成り、第2の回折機構22から射出された光束は、透過型HOE27に入射し、回折され、くさび状導光材28に入射し、第4の回折機構29に導かれる。第4の回折機構29は、透過型HOE30と棒状導光材31からなり、第3の回折機構26から射出された光束は、透過型HOE30に入射し、回折され、棒状導光材31に入射し、棒状導光材31内で全反射しながら、その射出部31aから射出される。なお、第1ないし第2の回折機構20、22、26、29において回折光として利用されるのは、いずれも一次回折光である。
【0034】
以上のように、LED18から射出された光は、回折機構20、22、26,29において回折を繰り返すことによって細い光束となり棒状導光材31の射出部31aから射出される。例えば、薄板状導光材24の厚さが50μmであって、棒状導光材31の太さが50μmであれば、50μm×50μm角の光束を得られることになる。
【0035】
第1実施形態と同様に、第1ないし第4の回折機構20、22、26、29を備えることにより、HOEの製造において高度な技術力や多大なコストを必要とせず、光源からの光の無駄を生じない点光源光学系としている。
【0036】
また、第1、第3の回折機構20、26に導光材としてくさび状導光材23,28を用いることにより、透過型HOE21,27から射出された光束が導光材内で反射して再度透過型HOE21,27に入射することを防ぐこともできる。つまり、くさび状導光材23,28の頂角θ6、θ7は、透過型HOE21,27からくさび状導光材23、28に入射して進行する光束とその光束が入射する面とが作る角θ8、θ9の角度とそれぞれ略同一に形成している。この結果、第1、第3の回折機構20、26では、くさび状導光材23、28内を全反射させることなく進行させ、くさび状導光材23、28内での反射による光の損失を防止することができる。
【0037】
さらに、第1ないし第4の回折機構20,22,26,29に用いるくさび状導光材23,28、薄板状導光材24及び棒状導光材31の屈折率を略同一とすることで、回折機構1乃至4において回折角の同じHOEを用いることができるため、コストの低減となる。
【0038】
透過型HOE21の屈折率をn1、くさび状導光材23の屈折率をn2、透過型HOE21とくさび状導光材23とを接着する不図示の接着剤の屈折率をn3とすると、第1実施形態と同様に、回折された光が導光材に入射する前に全反射を起こさないように、かつ、屈折率管理を容易にするためには、
n3>n1、n3>n2
となる接着剤を使用すると良い。なお、このことは、第1の回折機構3に限られず、第2乃至第4の回折機構22、26、29においても同様である。
【0039】
接着剤としては、透明な紫外線硬化樹脂を用いることができる。例えば、「Norland Products,Inc.」の「Norland Optical Adhesives」という商品を用いる。
【0040】
なお、本第2実施形態において、第1の回折機構20から第4の回折機構29まで、回折機構を4つ設けているが、それ以上であっても良い。この場合、構造は複雑になるが、より回折角の小さいHOEを用いることが可能となる。また、回折角の小さいHOEを用いずに、導光部24,31に相当する部材の厚さを薄くすれば、より細い光束を射出することが可能となる。
【0041】
くさび状導光材23,28、薄板状導光材24及び棒状導光材29には、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの光学用樹脂やガラス等を用いることができる。
【0042】
点光源光学系全体におけるくさび状導光材の数及び配置は、本実施形態に限られず、第1の回折機構20又は第3の回折機構26に薄板状導光材を用いることも可能であり、また、第2の回折機構22、第4の回折機構29の薄板状導光材の代わりにくさび状導光材を用いることも可能である。ただし、例えばZ軸方向の厚さが一番厚い部分で50μmとなるような薄いくさび状導光材の製造は容易でないため、本第1実施形態のように、光源に近い回折機構に或る程度厚みのあるくさび状導光材を配置し、光源から遠い回折機構に薄板状導光材を配置した方が効率的である。
【0043】
なお、くさび状導光材の代わりにくさび状導光材の光を射出する面のZ軸方向の寸法と同じZ軸方向の寸法を有する板状の導光材を使用しても良い。この場合、厚みは増すこととなるが、製造コストを低減することができる。
【0044】
本第2実施形態において、第3の回折機構26は、第1実施形態と同様に、第2の回折機構22から射出される光束の幅に合わせても良いが、第1の回折機構20と同じ構成の回折機構を第3の回折機構26に用いても良い。それと同様に、第4の回折機構29も第3の回折機構26から射出される光束の幅に合わせても良いが、第2の回折機構26と同じ構成の回折機構を用いても良い。
【0045】
本第2実施形態では第1の回折機構20と第2の回折機構22によって一方向に光束の幅を狭めた後に、それと直角方向の幅を第3の回折機構26と第4の回折機構29によって狭めることにより光束を細めているが、必ずしもこのような順である必要はない。
【0046】
また、本第2実施形態の回折機構20、22、26、29は、全て透過型HOEを用いているが、一部の回折機構を前述の第1実施形態のような反射型HOEを用いた回折機構としても良い。
【0047】
(第3実施形態)
以下、図5及び図6を参照しつつ、本発明に係る点光源光学系を備えた光学機器の一例として、第3の実施形態に係る網膜走査型表示装置300について説明する。図5は、本第3実施形態の網膜操作型表示装置300に用いる点光源光学系200の例を説明するための斜視図(概念図)である。
【0048】
点光源光学系200においては、第1の実施形態と同様に、光源としてのLED33,34,35と、コリメートレンズ36、37、38と、くさび状導光材39と反射型HOE40、41、42とからなる第1の回折機構43と、薄板状導光材44と反射型HOE45、46、47からなる第2の回折機構48と、くさび状導光材49と反射型HOE50、51、52からなる第3の回折機構と、棒状導光材54と反射型HOE55とからなる第4の回折機構56とを有している。
【0049】
本第3実施形態に係る点光源光学系は、光源として、赤色の光を放射するLED(R)33、緑色の光を放射するLED(G)34及び青色の光を放射するLED(B)35を、所定間隔を置いて配置しており、これに対応してコリメートレンズ(R)36、コリメートレンズ(G)37、コリメートレンズ(B)38を配置している。また、第1、第2及び第3の回折機構において、RGB3色の光の波長に応じて所定の回折角となるように設定された反射型HOE(R)40、45、50、55反射型HOE(G)41、46(不図示)、51、55、及び反射型HOE(B)42、47(不図示)、52、55を、LEDのRGBの3色に対応して配置している。第4の回折機構の反射型HOE55は、RGBの各色に対応する反射型のホログラムを3層に重畳して形成している。
【0050】
以上のような構成とすることにより、RGBの3色は、それぞれが第1回の回折機構43乃至第4の回折機構56によって回折され、細い光束となって棒状導光材54の射出部57から射出されることとなるため、網膜操作型表示装置300においてRGBの光の強度を変化させることにより、映像信号に基づいたカラー画像を表示することが可能となる。なお、表示画像の色に応じてRGB以外の色の光源を用いても良く、光源の数を3以外としても良い。
【0051】
くさび状導光材39、49、薄板状導光材44及び棒状導光材54には、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの光学用樹脂やガラス等を用いることができる。
【0052】
これらの導光材の屈折率を略同一とすれば、第1の回折機構43乃至第4の回折機構56において回折角の同じHOEを用いることができるため、コストの低減を図ることが出来る。
【0053】
反射型HOE(R)40の屈折率をn1、くさび状導光材39の屈折率をn2、反射型HOE(R)40とくさび状導光材39とを接着する不図示の接着剤の屈折率をn3とすると、第1実施形態と同様に、回折された光が導光材に入射する前に全反射を起こさないように、かつ、屈折率管理を容易にするためには、
n3>n1、n3>n2
となる接着剤を使用すると良い。なお、このことは、反射型HOE(R)40とくさび状導光材39との間の接着に限らず、反射型HOE(G)41、反射型HOE(B)42とくさび状導光材39との間の接着においても同様であり、また、第1の回折機構43に限らず、第2乃至第4の回折機構48,53,56においても同様である。
【0054】
接着剤としては、透明な紫外線硬化樹脂を用いることができる。例えば、「Norland Products,Inc.」の「Norland Optical Adhesives」という商品を用いる。
【0055】
なお、本第3実施形態に係る点光源光学系200においては、第1の回折機構43から第4の回折機構56まで、回折機構を4つ設けているが、それ以上であっても良い。この場合、構造は複雑になるが、より屈折角の小さいHOEを用いることが可能となる。また、回折角の小さいHOEを用いずに、導光部44、54に相当する部材の厚さを薄くすれば、より細い光束を射出することが可能となる。
【0056】
点光源光学系200におけるくさび状導光材の数及び配置は、本実施形態に限られず、第1の回折機構43又は第3の回折機構53に薄板状導光材を用いることも可能であり、また、第2の回折機構48、第4の回折機構56の薄板状導光材の代わりに用いることも可能である。ただし、例えばZ軸方向の厚さが一番厚い部分で50μmとなるような薄いくさび状導光材の製造は容易でないため、本第1実施形態のように、光源に近い回折機構に或る程度厚みのあるくさび状導光材を配置し、光源から遠い回折機構に薄板状導光材を用いた方が効率的である。
【0057】
第3の回折機構53は、第2の回折機構48によって幅が狭められた光束のX軸方向の寸法に合わせて、X軸方向の厚みを薄くしているが、第1の回折機構と同じ構成の回折機構を第3の回折機構に用いてもよい。それと同様に第2の回折機構と同じ構成の回折機構を第4の回折機構に用いても良い。この場合、点光源光学系のサイズは大きくなるが、製造コストを低減することができる。
【0058】
本第3実施形態では第1の回折機構43と第2の回折機構48によって一方向に光束の幅を狭めた後に、それと直角方向の幅を第3の回折機構53と第4の回折機構56によって狭めることにより光束を細めているが、必ずしもこのような順である必要はない。すなわち、本第3実施形態においては、コリメートレンズから射出された光をX軸方向、Z軸方向、Y軸方向、Z軸方向の順に回折させているが、これに限らず、例えばX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸方向の順に回折させても良いし、それ以外の順に回折させても良い。
【0059】
また、本第3実施形態の回折機構43、48、53、56は、全て反射型HOEを用いているが、前述の第2実施形態のような透過型HOEを用いた回折機構と組み合わせても良い。
【0060】
第1の回折機構43のくさび状導光材39と第2の回折機構48の薄板状導光材44におけるRGBの3色の光路を同じ部材内において単に間隔をあけて配置しただけとすると、反射型HOEで各々回折された光の一部が、他の光路に侵入し、これらの光が混じり合ってしまう可能性がある。そこで、隣接する光路の間の一部に、全反射させることができる境界面を設けることが有効である。例えば、図5に示すように光路の方向に沿った空隙部57を設けることができる。空隙部57は、導光材の厚さ方向に貫通していても、溝状としても、内部に埋め込まれた閉じた空間であっても良い。このような構成とすることで、RGBの3色の各光束は、境界面で全反射し、各光束が交じり合うのを防ぐことができる。
【0061】
光の交じり合いに対しては、HOEを、波長選択性を持つHOEとすることも有効である。これによれば、導光材内で各光束が混じり合ったとしても必要な波長の光束のみを選択して回折させることができる。
【0062】
第4の回折機構56においては、RGB各色の光に対応する回折格子を3層に重畳して形成した反射型HOE55を用いているが、第1の回折機構43乃至第3の回折機構53と同様にRGBのそれぞれに対応する3つのHOEを備えても良い。
【0063】
それとは逆に、第1の回折機構43乃至第3の回折機構53において第4の回折機構56と同様の反射型HOEを用いることもできる。この場合、1箇所の光源からRGBの3色の光を重ねて放射させることができ、RGBの光路を分ける必要もないため、第1実施形態のように単純で小型な装置とすることができる。なお、RGB各色の光に対応した3層のHOE55は反射型に限られず、透過型としても良い。
【0064】
次に、図6(a)を参照して、第3実施形態の点光源光学系200を具備する網膜操作型表示装置300の全体構成について説明する。網膜走査型表示装置300は、上記点光源光学系200と、この点光源光学系200の射出部57を焦点位置とし、当該射出部57から射出される光を略平行光に変換するコリメートレンズ58と、このコリメートレンズからの略平行光を被走査面である観察者の網膜(眼底)63に走査させる走査部としての可動ミラー59と、この可動ミラーで反射された光束をリレーするリレーレンズ60及びこの光束を観察者の網膜63に結像する結像レンズ61からなる結像光学系62と、光源から射出される光の輝度及び可動ミラーの動作を制御する制御部64とから構成される。ここで、光源は、上述のようにLED33、34、35で構成され、R、G、Bの光をそれぞれ放射するが、その際に、観察者の網膜上に表示すべき画像の画像信号(入力信号)に基づき、各光束の輝度が変調されて放射されるよう、制御部64により制御される。なお、上述のように、導光材の厚さを50μmとすると、この点光源光学系は、その射出部57から、約50μm角の光(R,G,Bが合成された光)を射出することとなる。
【0065】
また、この網膜走査型表示装置300においては、走査部としての可動ミラー59を、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により構成している。なお、この走査部は、これらに限定されることはなく、従来公知の適宜の走査手段を用いることができる。そして、この可動ミラーは、ミラー面が水平方向及び垂直方向の2つの軸に対して、各々所定角度と所定振動数とで振動するよう制御部64により制御されている。この所定振動数とは、水平走査の振動数と垂直走査の振動数に相当する。また、可動ミラー59は、結像光学系62の結像レンズ61によって、ミラー面が観察眼65の瞳66と略共役になるように配置されている。このような構成により、観察者の瞳66の位置で可動ミラー59が仮想的に振動し、光束を網膜63上に走査させ、走査角によって画像を合成する。そのため、この可動ミラー59の振動数に同期して、制御部64の制御により映像信号に基づいて光源33,34,35から放射されるRGBの光の強度を変化させることにより、映像信号に基づいた画像を表示することができる。
【0066】
なお、点光源光学系200の射出部57から出射し、上述のコリメートレンズ58及び結像光学系62の2つの光学系を通過した光束は、観察眼65の瞳66上では略平行光束で、網膜63では水晶体の屈折力により射出部と共役になる。したがって、網膜に走査される画像の一つの画素の大きさは、射出部の大きさに対して、コリメートレンズ、リレー光学系、及び、観察眼の水晶体67によって構成される光学系の倍率を乗じた値に等しい。これは、光学系の構成によって当然異なるが、通常、VGAレベルの画像を得るためには、射出部の直径は数十μmであることが要請されている。
【0067】
具体的に述べると、水平方向の視野20度の画像表示で、水晶体67の焦点距離を17mmとした観察眼65における網膜63での一つの画素の大きさは10μmである。したがって、倍率1/5倍になるように、点光源光学系200の射出部57側に配置したコリメートレンズの焦点距離を決定すれば、射出部57の直径は50μmに設定することができる。ここに示したような光学系であれば、結像光学系62のリレーレンズ60と結像レンズ61との中間で網膜と光学的に共役な部分に絞りを設けたと仮定すれば、射出部57の大きさは、本実施形態の50μmより多少大きい100μm程度が適当であると想定される。なお、より高解像な映像を表示するにはより細い光束が必要となるが、本願発明によればこれを実現することも可能である。
【0068】
あるいは、図6(b)に示す本第3実施形態の変形例のように、可動ミラー68において、平行光ではなく集光光とするように構成することもできる。すなわち、点光源光学系200の射出部57からの光をコリメートレンズ69で略平行光に変換し、このコリメートレンズ69からの略平行光を可動ミラー68で集光し、結像光学系70の結像レンズ71により観察者の網膜63に結像させるともに、この網膜63に走査させる。このような構成とすることで、対物のリレーレンズ60を使用しないので、網膜走査型表示装置400を大幅に小型化することができる点で有利である。この場合には、網膜に走査される画像の一つの画素の大きさは、射出部57の大きさに対して、コリメートレンズ69と結像レンズ71の両方の倍率を乗じて計算される。そのため、光効率は多少低下するものの、射出部57の大きさは100μm程度にすることができる。
【0069】
(第4実施形態)
以下、図7を参照しつつ本発明の第4実施形態に係る点光源光学系用回折部材の製造方法を説明する。
【0070】
本第4実施形態に係る製造方法においては、例えば、レーザ装置72と、レーザ装置72から射出されたレーザを物体光と参照光とに分割するビームスプリッタ73と、物体光としてビームスプリッタから射出されたレーザを所定方向に反射させる第1ミラー74と、第1ミラー74によって反射されたレーザを所定倍率の平行光束に広げる物体光側ビームエキスパンダ75と、ビームエキスパンダから射出されたレーザを所定方向に反射させる第2ミラー76と、参照光としてビームスプリッタ73から射出されたレーザを所定倍率の平行光束に広げる参照光側ビームエキスパンダ77とを用意する。
【0071】
また、点光源光学系に用いるくさび状導光材78にあらかじめホログラフィック感光材料79を貼り付け、入射側及び射出側からそれぞれ物体光と参照光を入射させることによって露光する。
【0072】
ホログラフィック感光材料79は非常に繊細であり、曲げなどにより容易に回折しなくなる。特に、本願に係る点光源光学系においてはHOEから鋭角に光束を射出するため、HOEの微細なそりで正しく回折パタンを記録できなくなる。しかし、上記構成によれば、くさび状導光材78とHOEを一体とすることで、HOEの曲げやそりを解消し、精度よく回折パタンを記録することができる。
【0073】
露光の後、感光材料に応じた処理を行ってHOEが完成する。例えば、感光材料として銀塩乳剤等の現像処理を要するものを使用する場合には、露光の後、現像処理、漂白処理、乾燥処理等を行う。一方、フォトポリマーのような現像処理の必要がない感光材料を用いた場合には、露光の後、紫外線をあてたり、熱を加えたりして完成する。
【0074】
なお、図7においては、反射型HOEの製造について説明しているが、透過型HOEの製造においても同様の方法を用いることができ、また、くさび状導光材でなくても、点光源光学系に用いる導光材であれば、例えば、板状の導光材であっても良い。さらに、物体光と参照光の発生方法は上記方法に限られず、必要に応じて適宜変更可能である。
【0075】
以上のように、本発明によれば、高度な技術がなくても回折光学素子を作成でき、コストを抑えた点光源光学系を提供することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 LED
2 コリメートレンズ
3 第1の回折機構
4 くさび状導光材
5 反射型HOE
6 第2の回折機構
7 薄板状導光材
8 反射型HOE
9 第3の回折機構
10 くさび状導光材
11 反射型HOE
12 第4の回折機構
13 反射型HOE
14 棒状導光材
14a 射出部
15 薄板状導光材
16 光源
17 コリメートレンズ
18 LED
19 コリメートレンズ
20 第1の回折機構
21 透過型HOE
22 第2の回折機構
23 くさび状導光材23
24 薄板状導光材
25 透過型HOE
26 第3の回折機構
27 透過型HOE
28 くさび状導光材
29 第4の回折機構
30 透過型HOE
31 棒状導光材
31a 射出部
33 LED(R)
34 LED(G)
35 LED(B)
36 コリメートレンズ(R)
37 コリメートレンズ(G)
38 コリメートレンズ(B)
39 くさび状導光材
40 反射型HOE(R)
41 反射型HOE(G)
42 反射型HOE(B)
43 第1の回折機構
44 薄板状導光材
45 反射型HOE(R)
46 反射型HOE(G)
47 反射型HOE(B)
48 第2の回折機構
49 くさび状導光材
50 反射型HOE(R)
51 反射型HOE(G)
52 反射型HOE(B)
53 第3の回折機構
54 棒状導光材
55 反射型HOE
56 第4の回折機構
57 射出部
58 コリメートレンズ
59 可動ミラー
60 リレーレンズ
61 結像レンズ
62 結像光学系
63 網膜(眼底)
64 制御部
65 観察眼
66 瞳
67 水晶体
68 可動ミラー
69 コリメートレンズ
70 結像光学系
71 結像レンズ
72 レーザ装置
73 ビームスプリッタ
74 第1ミラー
75 物体光側ビームエキスパンダ
76 第2ミラー
77 参照光側ビームエキスパンダ
78 くさび状導光材
79 ホログラフィック感光材料
100 点光源光学系
120 点光源光学系
200 点光源光学系
300 網膜走査型表示装置
400 網膜走査型表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
該光源から放射された光を略平行な光束に変換するコリメートレンズと、
該コリメートレンズを透過した前記光束を回折する第1の回折機構と、
該第1の回折機構を通過した前記光束を回折する第2の回折機構と、
該第2の回折機構を通過した前記光束を回折する第3の回折機構と、
該第3の回折機構を通過した前記光束を回折する第4の回折機構と、を有し、
前記第1の回折機構ないし第4の回折機構は、入射した前記光束を所定の方向に回折させる回折光学素子と該回折光学素子で回折された前記光束を所定の方向に導く導光部とを備えていることを特徴とする点光源光学系。
【請求項2】
前記導光部のうち少なくとも1つが、くさび形状をしていることを特徴とする請求項1に記載の点光源光学系。
【請求項3】
前記回折光学素子は、前記光束を反射させて回折させることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の点光源光学系。
【請求項4】
前記回折光学素子は、前記光束を透過させて回折させることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の点光源光学系。
【請求項5】
前記回折機構のいずれに於いても前記導光部の屈折率が略同一であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の点光源光学系。
【請求項6】
前記回折光学素子と前記導光部は接着材によって接着されており、
該接着材の屈折率は、前記回折光学素子及び前記導光部の各屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の点光源光学系。
【請求項7】
前記光源を複数有し、
該複数の光源は、それぞれ波長の異なる光を射出し、
該波長の異なる光ごとに、その波長に応じて所定の回折角を有する前記回折光学素子を配置していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の点光源光学系。
【請求項8】
前記波長の異なる光の前記導光材内での光路はそれぞれ位置が異なっており、
前記導光部は、前記波長の異なる光の前記光路を分離する境界面を有することを特徴とする請求項7に記載の点光源光学系。
【請求項9】
前記回折光学素子は2以上の波長の異なる光をそれぞれ回折する回折格子を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の点光源光学系。
【請求項10】
前記光源から射出される光の色は赤色、緑色及び青色であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の点光源光学系。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の点光源光学系を有することを特徴とする光学機器。
【請求項12】
回折光学素子の記録材料を、該回折光学素子の使用時に該回折光学素子が回折した回折光を所定方向に導光する導光部に固定し、
一つのレーザ光を二つのレーザ光に分離した後、一方のレーザ光を、前記回折光学素子が光を回折する際に該光を入射させるのと同じ向きで前記記録材料に照射し、それと同時に、他方のレーザ光を、前記回折光が射出される前記導光部の面から入射させることで回折格子を形成することを特徴とする回折光学素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−208227(P2012−208227A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72417(P2011−72417)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】