説明

点灯検査装置、方法、及び、プログラム

【課題】複数の発光デバイスの点灯を簡易に検査可能な点灯検査装置を提供する。
【解決手段】点灯検査装置は、検査対象の複数の発光デバイス19にそれぞれ対向して配設される複数の受光デバイス12と、複数の受光デバイス12の相互間を光学的に遮蔽する遮光板14と、複数の受光デバイス12の各出力電流を検出する電流検出部15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯検査装置に関し、更に詳しくは、複数の発光デバイスを有する電子機器の点灯検査を行う点灯検査装置に関する。本発明は、更に点灯検査方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)は、発光電子デバイスとして、小型、低電力、及び、長寿命など、多くの利点があり、数多くの電子機器に利用されている。LEDは、特に小型で省電力であることから、携帯電話機等の携帯電子機器で多く採用されており、液晶表示装置のバックライトや、キーボードの操作ボタンなどの光源用として、多数のLEDが回路基板に搭載されている。
【0003】
電子部品が搭載された回路基板では、LEDが点灯しない部品不良や製造不良などが極く稀に発生する。このような不良を検出し、電子機器の品質を確保するために、生産ラインでは全LEDの点灯(消灯)を確認する点灯検査が必要になる。LEDの点灯を確認する方法としては、点灯を目で確認する目視確認、LED点灯時の電圧・電流を測定する電気測定、発光状態の画像認識、光波長の光学的計測など様々な手法がある。
【0004】
特許文献1には、RGBの各色で発光するLEDの点灯の良否を検査する点灯検査装置が記載されている。この点灯検査装置を図5に示した。検査者は、検査チェッカー37のスイッチを操作して、LCD38のバックライト装置35内に配置されたLED36のうちで、点灯すべきLED36を指定する。スイッチは、押下された回数に従って、カウンタ回路33のカウント値を指定することで、任意の1つ又は複数のLED36の点灯を指定する。スイッチング回路34は、カウンタ回路33のカウント値に従って、制御される。例えば、カウンタ回路33のカウント値を示す2進数のビットが「1」のときには、対応するLED36をONとし、2進数のビットが「0」のときには、カウンタ回路33は、対応するLED36を非点灯とする。検査者は、自身が点灯を指定したLED36の点灯の有無を目視で検査する。
【0005】
特許文献1の点灯検査装置では、検査者が点灯を指定したLED36の点灯の有無を、検査者自身が目視確認により検査する。しかし、目視により複数のLED36の点灯の有無を同時に確認するため、人為的な要因により確認ミスが発生する可能性がある。このため、簡易な方法で自動的にLED36の点灯検査が可能な点灯検査装置が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−299788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
LED36の点灯の有無を自動で検査するためには、図5の点灯検査装置で、LED36の動作電流などを測定する測定器をバックライト装置35に接続することが考えられる。しかし、この場合には、測定器を接続する検査用端子を製品のバックライト装置35側で準備する必要があり、専用の検査治具などの作成が必要となる。また、LED36の点灯をカメラで撮影した画像から解析する画像認識も考えられる。しかし、画像認識は、カメラやコンピュータ等の設備や画像解析ソフトが必要なため、装置が大規模となり多くの費用がかかる。
【0008】
更に、RGB各色の光の波長を光学的に解析する光学計測法を用いることも考えられる。この場合には、特に高度な計測が可能であるものの、高額な光学設備が必要となり、あまり精度を必要としない点灯検査には不向きである。
【0009】
上記のように、LEDの点灯の有無を確認する点灯検査では、コスト面、検査に要する時間、要求精度などを考慮し、必要な用途に合わせて最適な検査装置を選択し、生産ラインへの適用を行う必要がある。特に、携帯電話機などの携帯端末装置では、用途が同じでも機種が異なると、LEDの搭載位置や個数が異なるため、搭載位置や個数に対応した、フレキシブルで簡易な自動検査が可能な点灯検査装置が求められていた。
【0010】
本発明は、上記に鑑み、人為的なミスが発生せず、また、複雑な処理装置や専用の検査治具などを必要とせずに、発光デバイスの配置及び個数に対してフレキシブルに対応可能な点灯検査装置、点灯検査方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、検査対象の複数の発光デバイスにそれぞれ対向して配設される複数の受光デバイスと、前記複数の受光デバイスの相互間を光学的に遮蔽する遮光板と、前記複数の受光デバイスの各出力電流を検出する電流検出部とを備える点灯検査装置を提供する。
【0012】
本発明は、また、検査対象の複数の発光デバイスの点灯を個別又は一斉に制御する点灯命令を発行するステップと、前記発光デバイスの点灯の有無を、それぞれが該発光デバイスに対応して配設され、相互間が光学的に遮蔽された受光デバイスを用いて検出するステップと、前記受光デバイスの出力電流を検出するステップと、前記受光デバイスの出力電流と前記点灯命令とを照合するステップとを有する点灯検査方法を提供する。
【0013】
本発明は、更に、コンピュータを用いて複数の発光デバイスの点灯を検査する点灯検査装置のためのプログラムであって、前記コンピュータに、検査対象の複数の発光デバイスの点灯を個別又は一斉に制御する点灯命令を発行する処理と、前記発光デバイスの点灯の有無を、それぞれが該発光デバイスに対応して配設され、相互間が光学的に遮蔽された受光デバイスを用いて検出する処理と、前記受光デバイスの出力電流を検出する処理と、前記受光デバイスの出力電流と前記点灯命令とを照合する処理とを実行させるプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の点灯検査装置、方法、及び、プログラムでは、目視によることなく、発光デバイスの点灯検査が可能になるため、人為的なミスが発生せず、また、複雑な処理装置や専用の検査治具などを必要とせずに、発光デバイスの配置及び個数に対してフレキシブルに対応可能な点灯検査装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る点灯検査装置を、検査対象のLEDと共に示す模式的断面図。
【図2】(a)及び(b)はそれぞれ、図1の点灯検査装置の要部を示す斜視図及び断面図。
【図3】図1の点灯検査装置のブロック図。
【図4】図1の点灯検査装置の処理を示すフローチャート。
【図5】特許文献1に記載の点灯検査装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の最小構成の点灯検査装置は、検査対象の複数の発光デバイスにそれぞれ対向して配設される複数の受光デバイスと、前記複数の受光デバイスの相互間を光学的に遮蔽する遮光板と、前記複数の受光デバイスの各出力電流を検出する電流検出部とを備える。
【0017】
本発明の最小構成の点灯検査方法は、検査対象の複数の発光デバイスの点灯を個別又は一斉に制御する点灯命令を発行するステップと、前記発光デバイスの点灯の有無を、それぞれが該発光デバイスに対応して配設され、相互間が光学的に遮蔽された受光デバイスによって検出するステップと、前記受光デバイスの出力電流を検出するステップと、前記受光デバイスの出力電流と前記点灯命令とを照合するステップとを有する。
【0018】
本発明の最小構成のプログラムは、コンピュータを用いて複数の発光デバイスの点灯を検査するプログラムであって、前記コンピュータに、検査対象の複数の発光デバイスの点灯を個別又は一斉に制御する点灯命令を発行する処理と、前記発光デバイスの点灯の有無を、それぞれが該発光デバイスに対応して配設され、相互間が光学的に遮蔽された受光デバイスを用いて検出する処理と、前記受光デバイスの出力電流を検出する処理と、前記受光デバイスの出力電流と前記点灯命令とを照合する処理とを実行させる。
【0019】
本発明の最小構成の点灯検査装置、方法、及び、プログラムによると、目視によることなく、発光デバイスの点灯検査が可能になるため、人為的なミスが発生せず、また、複雑な画像処理装置や専用治具などを必要とせずに、複数の発光デバイスの配置及び個数にフレキシブルに対応可能な点灯検査装置が得られる。また、本発明の点灯制御方法及びプログラムでは、上記点灯検査装置で得られる作用と同様な作用が得られる。
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る点灯検査装置について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る点灯検査装置を検査対象のLED19を搭載する製品基板18と共に示している。点灯検査装置は、センサパネル11と、センサパネル11上に、検査対象の複数のLED19に対応して搭載された複数のフォトダイオード12とを有する。検査対象のLED19は、点灯検査装置内の点灯制御回路17によって、その点灯が個別又は一斉に制御される。点灯制御回路17は、コンピュータ16に接続されており、LED19の点灯命令がコンピュータ16から与えられる。コンピュータ16は、全体の処理手順を記述したプログラムによって制御される。
【0021】
フォトダイオード12は、センサパネル11上で遮光板14によって相互に隔離されており、対応するLED19以外のLEDの照射光から遮蔽されている。フォトダイオード12の出力電流は、対応する負荷(抵抗体負荷)13を流れ、その出力電流が電磁誘導効果を利用してセンサコントローラ15により検出される。センサコントローラ15が検出した出力電流は、対応するフォトダイオード12の座標と共に、コンピュータ16に入力される。センサコントローラ15も、プログラムによって制御される。
【0022】
図2(a)及び(b)はそれぞれ、図1の点灯検査装置及び検査対象のLEDの配置の詳細を、点灯検査装置のセンサパネル11を除いて示す斜視図、及び、その断面図である。遮光板14は、全体として矩形板の形状を有し、フォトダイオード12が配置される位置に、フォトダイオード12の形状に適合した円筒状のスロット20が形成されている。フォトダイオード12及び負荷13は一体となって、そのスロット20内に収容され、図示しない固定部材によってスロット20内に固定されている。遮光板14は、センサパネル11上に着脱可能に取り付けられる。
【0023】
図3は、本実施形態の点灯検査装置の接続関係を示すブロック図である。また、図4は、本実施形態の点灯検査装置における処理を示すフローチャートである。これらの図を参照して、本実施形態の点灯検査装置の動作を説明する。コンピュータ16は、点灯検査が開始すると、点灯制御回路17に点灯指令を与える(ステップS1)、点灯制御回路17は、製品基板18上に搭載された複数のLEDを個別に、或いは、一斉に点灯する(ステップS2)。各LED19の照射光は、対応するフォトダイオード12によって検出され、そのフォトダイオード12の出力電流が対応する負荷13を流れる(ステップS3)。負荷13を流れる出力電流は、本実施形態では、センサパネル11上で電磁誘導効果によって、センサコントローラ15に伝達される(ステップS4)。
【0024】
センサコントローラ15は、フォトダイオード12の座標と共に、その出力電流による磁界検出の有無をコンピュータ16に入力する(ステップS5)。コンピュータ16は、その座標位置と磁界検出の有無とによって、どのLED19が点灯したかを判定し、次いで、先に与えた点灯指令とその点灯結果とを照合して、点灯検査の結果を判定する(ステップS6)。照合の結果がよければ、検査対象製品は良(G)と判定する。また、照合の結果、点灯命令と点灯結果とが一致しなければ、検査対象製品は不良(NG)と判定する。
【0025】
本実施形態では、センサコントローラ15が、フォトダイオード12の出力電流によって発生する磁界の検出結果を判定し、その判定結果とフォトダイオード12の座標とをコンピュータ16に入力する。この処理により、どのLED19が点灯しているかの情報がコンピュータ16に伝達される。このため、LED19の配置や個数が検査対象となる携帯端末装置毎に異なっていても、遮光板14のスロット20及びフォトダイオード12の配置を適当に選択することにより対応可能である。
【0026】
また、上記実施形態では、電磁誘導効果を利用した電流検出を行うセンサコントローラ15を採用したので、センサパネル11とフォトダイオード12との間は電気配線が不要になる。このため、遮光板14、フォトダイオード12及び負荷13と、センサパネル11とを別体に形成可能である。また、センサパネル11上に電磁誘導回路を縦横に適切に配置しておけば、LED19の配置や個数を変更した場合にも、その点灯の有無は、単にフォトダイオード12の移動、追加、又は、削除によって対応可能である。本実施形態では、このように、携帯端末装置におけるLEDの設計変更などに柔軟に対応可能である。なお、センサパネル11上の電磁誘導配線の形成に代えて、磁界検出素子、例えばホール素子を配設することも可能である。
【0027】
本発明を特別に示し且つ例示的な実施形態を参照して説明したが、本発明は、その実施形態及びその変形に限定されるものではない。当業者に明らかなように、本発明は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0028】
11:センサパネル
12:フォトダイオード(受光素子)
13:負荷
14:遮光板
15:センサコントローラ
16:コンピュータ
17:点灯制御回路
18:製品基板
19:LED(発光デバイス)
20:スロット
31:電源
32:定電流回路
33:カウンタ回路(カウンタIC)
34:スイッチング回路
35:検査対象LED
36:LED
37:検査チェッカー
38:LCD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の複数の発光デバイスにそれぞれ対向して配設される複数の受光デバイスと、
前記複数の受光デバイスの相互間を光学的に遮蔽する遮光板と、
前記複数の受光デバイスの各出力電流を検出する電流検出部と、
を備える点灯検査装置。
【請求項2】
前記電流検出部は、前記受光デバイスの出力電流を電磁誘導効果を用いて検出する、請求項1に記載の点灯検査装置。
【請求項3】
前記電流検出部は、センサパネル上に形成され、前記遮光板及び受光デバイスが該センサパネルに着脱可能に取り付けられる、請求項2に記載の点灯検査装置。
【請求項4】
前記受光デバイスは、前記遮光板に形成されたスロット内に配設されるフォトダイオード及び該フォトダイオードの負荷を含む、請求項3に記載の点灯検査装置。
【請求項5】
前記複数の発光デバイスを選択的、又は、一斉に点灯させる点灯制御回路を更に備える、請求項1〜4の何れか一に記載の点灯検査装置。
【請求項6】
検査対象の複数の発光デバイスの点灯を個別又は一斉に制御する点灯命令を発行するステップと、
前記発光デバイスの点灯の有無を、それぞれが該発光デバイスに対応して配設され、相互間が光学的に遮蔽された受光デバイスを用いて検出するステップと、
前記受光デバイスの出力電流を検出するステップと、
前記受光デバイスの出力電流と前記点灯命令とを照合するステップとを有する点灯検査方法。
【請求項7】
コンピュータを用いて複数の発光デバイスの点灯を検査する点灯検査装置のためのプログラムであって、前記コンピュータに、
検査対象の複数の発光デバイスの点灯を個別又は一斉に制御する点灯命令を発行する処理と、
前記発光デバイスの点灯の有無を、それぞれが該発光デバイスに対応して配設され、相互間が光学的に遮蔽された受光デバイスを用いて検出する処理と、
前記受光デバイスの出力電流を検出する処理と、
前記受光デバイスの出力電流と前記点灯命令とを照合する処理とを実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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