説明

点鼻薬吐出機構と点鼻薬吐出容器

【課題】 点鼻薬の吐出およびカバーキャップの装着操作が容易な点鼻薬吐出容器を提供することにある。
【解決手段】シリンダ内から上方付勢されて起立するステムSへ吐出ノズル40を装着し、該吐出ノズル40を押下げ可能な操作レバー30を上下方向へ揺動可能に設け、該操作レバー30を吐出ノズル40へ係合させるための係合手段35、42を設け、前記操作レバー30は、前記ステム押下げ前の第1位置と、押下げ後の第2位置と、前記係合手段を介して前記吐出ノズルへ係合した第3位置とを有し、第1及び第2位置に位置する操作レバーの先端は前記ステムの軸線を中心とする円の外方に位置し、第3位置に位置する操作レバーの先端は前記円の内方に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻腔内へ点鼻薬を吐出させる点鼻薬吐出機構と点鼻薬吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器内のシリンダから上方付勢されて起立するステムへノズルを嵌合させるとともに、該ノズル下端に押下げ用フランジを設け、該押下げ用フランジと容器底部とに指を掛けてノズルを下方へ押下げることでノズルから点鼻薬を吐出させる点鼻薬注出ノズルが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2008−132406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1記載の発明では、点鼻薬を注出させる際に、例えば、親指を容器底部に、かつ人差し指や中指等を押下げ用フランジに掛ける必要があり、したがって、容器の高さが高い場合には親指と人差し指及び中指との間隔を広くしなければならず、注出操作がしづらくなるため、容器の高さがおのずと制限されざるを得なかった。
【0004】
本発明の目的は、点鼻薬の吐出およびカバーキャップの装着操作が容易な点鼻薬吐出機構と点鼻薬吐出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、シリンダ内から上方付勢されて起立するステムSへ吐出ノズル40を装着し、
該吐出ノズル40を押下げ可能な操作レバー30を上下方向へ揺動可能に設け、
該操作レバー30を吐出ノズル40へ係合させるための係合手段35を設け、
前記操作レバー30は、前記ステム押下げ前の第1位置と、押下げ後の第2位置と、前記係合手段を介して前記吐出ノズルへ係合した第3位置とを有し、
第1及び第2位置に位置する操作レバーの先端は前記ステムの軸線を中心とする円の外方に位置し、第3位置に位置する操作レバーの先端は前記円の内方に位置することを特徴とする。
【0006】
また、前記ステムSの軸線を中心とする円の径は、前記吐出ノズル40を覆うカバーキャップ50の内径より小径であることを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明は、容器体1内に設けられたシリンダ内から上方付勢されて起立するステムSへ吐出ノズル40を装着し、
容器体の口頸部3へ装着させた装着筒10外面へ支持筒20下部を嵌合させるとともに、該支持筒上部の後部に上端開口のストローク用切欠部21を形成し、
該支持筒の前部上端部に操作レバー30を上下方向へ揺動自在に支持させて、該操作レバーの透孔34へ前記吐出ノズル40を挿通させるとともに、該透孔34の後端を前記吐出ノズル40へ係合可能に設け、
該操作レバー30を吐出ノズル40へ係合させるための係合手段35を設け、
前記支持筒20外面へカバーキャップ50下部を嵌合可能に設け、
該カバーキャップの嵌合状態で、前記操作レバー30は前記係合手段を介して前記吐出ノズル40へ係合した吐出ノズル押下げ休止位置を取り、
該カバーキャップの離脱状態で、前記操作レバーは、前記透孔後端が前記吐出ノズル下部へ係合した吐出ノズル押下げ前の吐出ストローク開始位置と、前記ストローク用切欠部内下降による吐出ノズル押下げ後の吐出ストローク終了位置とを取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、操作レバーで吐出ノズルを押下げ可能に設けたので、小さい操作力で点鼻薬を吐出することができる。
【0009】
また、カバーキャップの装着時には、操作レバーは吐出ノズルへ係合してカバーキャップの装着の邪魔にならない位置に位置するため、カバーキャップの装着操作が容易である。
【0010】
さらに、吐出操作は、操作レバーの押下げによって行うため、把持箇所は容器体の底部に限定されることなく、容器体の任意の部位を、例えば、手のひらと親指を除く4本の指で把持可能であり、したがって、容器体の高さ設定の自由度が増大する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を、図面に示す実施の形態を参照しながら説明する。なお、説明の便宜上、図面において左方向を前方とする。
図1において、1は容器体で、肩部2を介して口頸部3を起立する。
【0012】
10は装着筒で、口頸部3外面へ螺合させた内筒11上端からフランジ状頂壁12を介して短筒13を起立するとともに、外向きフランジを介して外筒14を垂下する。
【0013】
20は支持筒で、周壁下部を外筒14外面へ嵌合させるとともに、周壁上部の後部を切欠いて上端開口の切欠部21を形成し、さらに周壁天面22に前後方向への開口部23を形成している。また切欠部21下端に内向きフランジ24を形成して、該内向きフランジ24をフランジ状頂壁12の外周面へ嵌合させている。
【0014】
30は操作レバーで、開口部23内へ隙間を介して嵌合させたレバー本体31の前端を開口部23前端へ薄肉ヒンジ33を介して上下方向へ揺動可能に支持させている。レバー本体31の前後方向中間部には前後方向へ長い楕円形状の透孔34が形成されており、該透孔34の後部左右両内面には係合手段を構成する係合突部35が形成されている。さらに該透孔34より後方のレバー本体31部分は指掛け部35aに形成されている。
【0015】
40は筒状の吐出ノズルで、容器体1の口頸部3内に設けられたシリンダC内から上方付勢されて起立するステムS上端部へノズル本体41を嵌合させている。該ノズル本体41は操作レバー30の透孔34を挿通して、支持筒20よりも上方へ達している。
【0016】
支持筒20より上方のノズル本体41部分外面には係合手段を構成する係合凹部42が形成されていて、該係合凹部42へは係合突部35が係合可能に形成されている。なお、該係合凹部42は省略することも可能で、この場合には操作レバー30の水平位置においてノズル本体41の後部に位置する係合突部35が、操作レバー30の上昇でノズル本体41の前部へ移動する強制乗越えで、操作レバー30がノズル本体41へ係合される。
【0017】
ノズル本体41の下端部には操作レバー30の透孔34の後端が係合可能なフランジ状突部43が形成されている。該フランジ状突部43はノズル本体41とは別体に構成することも可能で、この場合にはフランジ付きリングをノズル本体41より下方のステムS部分外面へ嵌合させる。
【0018】
50はカバーキャップで、頂板51周縁から垂下した周壁52の下部を支持筒20下部外面へ嵌合可能に形成している。
【0019】
なお、60は筒状ピストンで、容器体1内面へ上下動自在に嵌合されており、容器体1内の点鼻薬の減少に連れて上昇可能に設けられている。
【0020】
次に作用について説明する。
図1は不使用状態を示すもので、カバーキャップ50が支持筒20外面へ嵌合されており、また操作レバー30は係合突部35が係合凹部42へ係合されることで斜め上へ傾斜した休止位置(第3位置)に位置する。すなわち、操作レバー30はカバーキャップ50が装着可能なように斜め上へ傾斜している。言い換えれば、操作レバー30先端はステム軸線を中心とするカバーキャップの内径より小径の円の内方に位置する。
【0021】
点鼻薬を吐出させるには、カバーキャップ50を支持筒20から離脱させた後、図2に示すように操作レバー30を押下げる。すると係合突部35が係合凹部42から下方へ離脱して操作レバー30が切欠部21内を下方へ揺動し、透孔34の後端がフランジ状突部43へ上方から係合する。このストローク開始位置(第1位置)では操作レバー30はほぼ水平状態にあり、操作レバー30先端はステム軸線を中心とするカバーキャップ50の内径より小径の円の外方に位置する。
【0022】
さらに操作レバー30を押下げると、ステムSが下降して吐出ノズル40から点鼻薬が吐出する。このストローク終了位置(第2位置)では、操作レバー30は斜め下へ傾斜しており、操作レバー30先端はステム軸線を中心とするカバーキャップ50の内径より小径の円の外方に位置する。
【0023】
吐出終了後は、操作レバー30を上方へ持ち上げて、係合突部35を係合凹部42へ係合させることにより、カバーキャップ50が装着可能な位置へ位置させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
.
【図1】(1) 本発明に係る点鼻薬吐出容器の一部切欠き側面図である。
【図2】作用説明図である。
【図3】図2の平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 容器体
3 口頸部
10 装着筒
20 支持筒
21 切欠部
31 操作レバー
34 透孔
35 係合手段
40 吐出ノズル
50 カバーキャップ
S ステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内から上方付勢されて起立するステムSへ吐出ノズル40を装着し、
該吐出ノズル40を押下げ可能な操作レバー30を上下方向へ揺動可能に設け、
該操作レバー30を吐出ノズル40へ係合させるための係合手段35を設け、
前記操作レバー30は、前記ステム押下げ前の第1位置と、押下げ後の第2位置と、前記係合手段を介して前記吐出ノズルへ係合した第3位置とを有し、
第1及び第2位置に位置する操作レバーの先端は前記ステムの軸線を中心とする円の外方に位置し、第3位置に位置する操作レバーの先端は前記円の内方に位置する
ことを特徴とする点鼻薬吐出機構。
【請求項2】
前記ステムSの軸線を中心とする円の径は、前記吐出ノズル40を覆うカバーキャップ50の内径より小径であることを特徴とする請求項1記載の点鼻薬吐出機構。
【請求項3】
容器体1内に設けられたシリンダ内から上方付勢されて起立するステムSへ吐出ノズル40を装着し、
容器体の口頸部3へ装着させた装着筒10外面へ支持筒20下部を嵌合させるとともに、該支持筒上部の後部に上端開口のストローク用切欠部21を形成し、
該支持筒の前部上端部に操作レバー30を上下方向へ揺動自在に支持させて、該操作レバーの透孔34へ前記吐出ノズル40を挿通させるとともに、該透孔34の後端を前記吐出ノズル40へ係合可能に設け、
該操作レバー30を吐出ノズル40へ係合させるための係合手段35を設け、
前記支持筒20外面へカバーキャップ50下部を嵌合可能に設け、
該カバーキャップの嵌合状態で、前記操作レバー30は前記係合手段を介して前記吐出ノズル40へ係合した吐出ノズル押下げ休止位置を取り、
該カバーキャップの離脱状態で、前記操作レバーは、前記透孔34後端が前記吐出ノズル40下部へ係合した吐出ノズル押下げ前の吐出ストローク開始位置と、前記ストローク用切欠部21内下降による吐出ノズル押下げ後の吐出ストローク終了位置とを取る
ことを特徴とする点鼻薬吐出容器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−82195(P2010−82195A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254732(P2008−254732)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】