説明

無イオウ組成物および潤滑剤組成物およびそれらの方法

組成物は、以下の無イオウ反応生成物を含有する:(a)(i)ヒドロカルビル置換芳香族化合物であって、該化合物は、カルボン酸基、水酸基およびそれらの混合物からなる群から選択される酸基を含有する;および(a)(ii)有機窒素含有塩基であって、該塩基は、該酸基と反応される。該組成物は、予備プロセスにより得られ、そして潤滑剤がイオウ、リンおよび硫酸塩灰分のレベルを低くする場合を含めて、内燃機関を潤滑させる方法で有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年1月21日に出願された米国仮特許出願第60/441516号から優先権を主張している。
【0002】
1.発明の分野
本発明は、無イオウ組成物、該無イオウ組成物と潤滑粘性のあるオイルとを含有する組成物、該無イオウ組成物を調製および使用する方法に関する。該無イオウ組成物は、潤滑剤にイオウを導入することなく、せいぜい少量の金属金属だけを導入して、多機能性の性能を提供することにより、内燃機関用の潤滑剤で特に有用である。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
清浄剤は、典型的には、潤滑剤組成物に洗浄性能を与える潤滑添加剤組成物であり、これらの性能には、酸を中和すること、腐食を防止すること、および堆積物を形成する物質を懸濁して堆積物を除去することにより清浄性を与えることを挙げることができる。清浄剤は、一般に、酸を中和するための塩基リザーブを与えるコロイド状懸濁液中にて、アニオン性有機界面活性剤部分(これは、通常、イオウ(例えば、スルホン酸アルキルアリール)を含有する)、カチオン性金属対イオン、および塩基性金属塩からなる。種々の潤滑剤組成物(例えば、ある種の2ストロークエンジン油および定置天然ガスエンジン油)には、洗浄性能が必要であるが、また、良好な性能を得るために、そのエンジン油が金属を殆どまたは全く含有しないことも必要である。清浄剤は、堆積物を形成する物質を懸濁することにより、全ての種類の潤滑剤組成物に対して、清浄性を与える。
【0004】
摩耗、堆積物の蓄積およびフィルターの詰まりからエンジンを保護するために、潤滑油が多数の添加剤を含有することは、周知である。エンジン潤滑油用の通例の添加剤には、耐摩耗剤としてのジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)、およびアルカリ金属およびアルカリ土類金属オーバーベース化スルホン酸塩およびフェネート清浄剤が挙げられる。ZDDP耐摩耗添加剤は、金属面に保護膜を形成することにより、エンジンを保護すると考えられている。ZDDPの典型的な処理量は、その潤滑剤の全重量を基準にして、1〜2重量%の範囲である。オーバーベース化スルホン酸カルシウム清浄剤の典型的な処理量は、その潤滑剤の全重量を基準にして、0.05〜10重量%の範囲である。
【0005】
廃棄処理装置を含む内燃機関からの排気に関する現在および将来の規制には、それらのエンジンで使用されるエンジン油のイオウ含量、リン含量および金属含量の削減を要求することがある。エンジン油のイオウ含量、リン含量および金属含量のこの削減は、それらが廃棄処理装置の性能に悪影響を与え得ると考えられるので、実行されている。
【0006】
触媒コンバータの性能が低下すると、温室効果の原因となる気体(例えば、酸化窒素および/または酸化イオウ)の量が増加する。しかしながら、ZDDPの量を少なくすると、エンジンの摩耗量が増す。また、清浄剤の量を少なくすると、エンジンの清浄度が低下し、堆積物が増加する。
【0007】
国際公開第WO03/18728(Moretonら)は、フェノール単位およびサリチル酸単位を含有する直鎖化合物、およびそれらの金属塩またはホウ素含有金属塩、および潤滑油組成物中での該化合物および塩の使用を開示している。
【0008】
国際公開第WO01/56968(Taylorら)は、燃料および潤滑油組成物中で使用する環状化合物を開示しており、この場合、該環状化合物は、共に結合して環を形成するカルボキシ置換および/またはヒドロキシ置換芳香族単位を含有し、そして該カルボキシル置換基は、酸として、または金属カチオンまたはアンモニウムカチオンとのカルボン酸塩として、存在できる。
【0009】
米国特許第5,688,751号(Clevelandら)は、2ストロークエンジンを潤滑させるための潤滑粘性のあるオイルとヒドロカルビル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸またはそれらのエステル、アミド、アンモニウムまたはアミン塩との混合物を開示している。
【0010】
米国特許第6,310,009号(Kocsisら)は、サリゲニン誘導体および該サリゲニン誘導体を含有する潤滑油組成物を開示している。
【0011】
米国特許第5,202,038号(Schochら)は、潤滑剤用の耐摩耗添加剤として使用できる塩を開示しており、この塩は、脂肪アミンとモノカルボン酸およびジカルボン酸の混合物とにより形成され、この場合、これらの酸は、パーフルオロアルキルラジカルを含有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の組成物は、エンジンオイルのような組成物に対して、清浄性、耐摩耗性および分散性を与え、そしてイオウおよび金属を含まないか、少量の金属しか含有しない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明は、以下の(a)および(b)を含有する組成物を提供する:
(a)以下の(i)および(ii)の無イオウ反応生成物:
(i)ヒドロカルビル置換芳香族化合物であって、該化合物は、カルボン酸基、水酸基およびそれらの混合物からなる群から選択される酸基を含有する;および
(ii)有機窒素含有塩基であって、該塩基は、該酸基と反応される;および
(b)潤滑粘性のあるオイル。
【0014】
本発明は、さらに、以下の(a)を含有する組成物を提供する:
(a)以下の(i)および(ii)の無イオウ反応生成物:
(i)ヒドロカルビル置換芳香族化合物であって、該化合物は、カルボキシルおよび/またはヒドロキシル酸基を含有し、そして(1)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒドおよびカルボキシル置換フェノールのオリゴマー反応生成物;(2)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒドおよびカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;およびそれらの混合物からなる群から選択される;および
(ii)有機窒素含有塩基であって、該塩基は、該酸基と反応される。
【0015】
本発明は、さらに、組成物を調製する方法であって、該方法は、以下の工程を包含する:
(a)上記および反応物(a)(i)および(a)(ii)を加熱する工程;
(b)必要に応じて、工程(a)の生成物を真空下で保持する工程;および
(c)工程(a)または(b)の生成物を潤滑粘性のあるオイルに加える工程。
【0016】
本発明はまた、内燃機関に、清浄度、摩耗および排気からなる群から選択される1つまたはそれ以上の性能特性の改良を加えるための本発明の組成物の使用を提供する。
【0017】
本発明は、さらに、内燃機関を潤滑させその性能を改良する方法を提供し、該方法は、該内燃機関に、本明細書全体にわたって記述した成分(a)(i)および(a)(ii)の無イオウ反応生成物を含有する潤滑剤組成物を供給する工程を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明は、以下の(a)および(b)を含有する組成物を提供する:
(a)以下の(i)および(ii)の無イオウ反応生成物:
(i)ヒドロカルビル置換芳香族化合物であって、該化合物は、水酸基、カルボン酸基およびそれらの混合物からなる群から選択される酸基を含有する;および
(ii)有機窒素含有塩基であって、該塩基は、該酸基と反応される;および
(b)潤滑粘性のあるオイル。
【0019】
本願全体にわたって、ヒドロカルビルとの用語は、1個またはそれ以上の炭素原子を有する一価基を意味し、これは、主として炭化水素的な性質を有するが、炭素鎖内にヘテロ原子(例えば、酸素)を含有でき、そして炭素鎖に結合した非炭化水素基およびヘテロ原子含有基(例えば、ヒドロキシ、ハロ、ニトロおよびアルコキシ)を有し得る。
【0020】
本発明の組成物の成分(a)は、イオウを含まないことに加えて、American Society for Testing and Materials仕様ASTM D−874で決定されるように、硫酸塩灰分を有しないことにより金属を含み得ないか、または硫酸塩灰分を0.5%未満、0.25%未満または0.1%未満で有することにより、少量の金属を含有し得る。
【0021】
しばしば、この組成物は、全塩基価(TBN)を有する。しばしば、この組成物のTBNは、3以上、1局面では、5以上、他の局面では、9以上である。
【0022】
この組成物の成分(a)は、しばしば、重量基準で、その組成物の0.01〜40%、他の局面では、0.5〜40%、さらに他の局面では、0.75〜20%、さらに他の局面では、1〜15%で存在している。
【0023】
しばしば、(a)(i)は、(1)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒドおよびカルボキシル置換フェノールのオリゴマー反応生成物;(2)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒドおよびカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;(3)ヒドロカルビル置換カルボキシル置換フェノール;(4)ヒドロカルビル置換カルボキシル置換フェニルアミン;および(5)ヒドロカルビル置換フェノールとアルデヒドとのオリゴマー反応生成物からなる群から選択される少なくとも1種のメンバーである。本発明の1実施態様では、(a)(i)は、オリゴマー種であり、他の実施態様では、(a)(i)は、(a)(i)(1)、(a)(i)(2)またはそれらの混合物である。本発明の他の実施態様では、本発明のフェノールまたはフェニルアミンで置換されたカルボン酸基またはカルボキシル基は、酸基−COHであり、他の実施態様では、エステル基−CORであり、この場合、Rは、ヒドロカルビル基であるか、または酸基とエステル基との混合物である。
【0024】
しばしば、(a)(ii)は、(1)アミノ含有イミンまたはそれらの反応性等価物;(2)アンモニアまたはそれらの反応性等価物;(3)モノアミン;(4)ポリアミン;(5)窒素含有複素環;(6)アミノアルコール;(7)テトラアルキルアンモニウム塩;および(8)非複素環芳香族アミンからなる群から選択される少なくとも1種のメンバーである。
【0025】
本発明は、さらに、以下の(a)を含有する組成物を提供する:
(a)以下の(i)および(ii)の無イオウ反応生成物:
(i)ヒドロカルビル置換芳香族化合物であって、該化合物は、カルボキシルおよび/またはヒドロキシル酸基を含有し、そして(1)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒドおよびカルボキシル置換フェノールのオリゴマー反応生成物;(2)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒドおよびカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;およびそれらの混合物からなる群から選択される;および
(ii)有機窒素含有塩基であって、該塩基は、該酸基と反応される。
【0026】
(ヒドロカルビル置換芳香族化合物)
反応物(a)(i)(1)または(a)(i)(2)のヒドロカルビル置換フェノールのヒドロカルビル置換基は、1個〜60個の炭素原子、他の局面では、4個〜50個の炭素原子、さらに他の局面では、6個〜40個または7個〜50個の炭素原子を有し得る。このヒドロカルビル置換基は、しばしば、アルキルであり、他の局面では、オレフィンから誘導される。このアルキル置換基は、しばしば、ポリオレフィンから誘導され、このポリオレフィンは、1種のオレフィンモノマーの単独重合体または2種またはそれ以上のオレフィンモノマーの混合物に由来の共重合体であり得る。このオレフィンモノマーは、α−オレフィン、内部オレフィンまたはポリエンであり得、エチレン、プロピレン、ブテン異性体、ペンテン異性体、デセン異性体、およびジエンが挙げられる。有用なポリオレフィンには、ポリプロピレンおよびポリイソブチレンがある。フェノールをオレフィンまたはポリオレフィンでアルキル化することによりこれらのポリオレフィンを調製する方法は、周知である。
【0027】
(a)(i)(1)または(a)(i)(2)の反応物のアルデヒドは、1個〜6個の炭素原子を有し得る。このアルデヒドは、ホルムアルデヒドであり得、これは、その反応性形状の1種(例えば、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒド)であり得る。(a)(i)(1)の反応物のカルボキシル置換フェノールは、2−、3−または4−ヒドロキシ安息香酸またはジヒドロキシ安息香酸(例えば、3,5−ジヒドロキシ安息香酸)であり得る。このカルボキシル置換フェノールは、アルキル置換基を有し得る。有用なカルボキシル置換フェノールは、サリチル酸である。反応物(a)(i)(2)のカルボキシル置換フェニルアミンは、通常、アントラニル酸であり、そして追加アルキル、ヒドロキシルまたはアミノ置換基を含有できる。(a)(i)(1)または(a)(i)(2)のオリゴマー反応生成物は、少なくとも1個のヒドロカルビル置換フェノール単位および少なくとも1個のカルボキシル置換フェノールまたはカルボキシル置換フェニルアミン単位を含有する。(a)(i)(1)または(a)(i)(2)のオリゴマー反応生成物は、2個〜20個のフェノールまたはフェニルアミン単位、2個〜10個のフェノールまたはフェニルアミン単位、または2個〜8個のフェノールまたはフェニルアミン単位を含有し得る。(a)(i)(1)または(a)(i)(2)のオリゴマー反応生成物は、直鎖分子、環状分子またはそれらの混合物を含有し得る。本発明の実施態様では、(a)(i)(1)または(a)(i)(2)のオリゴマー反応生成物は、直鎖分子および環状分子の混合物であり、他の実施態様では、この混合物の過半数は、直鎖分子である。
【0028】
(a)(i)(1)および(a)(i)(2)のオリゴマー反応生成物は、塩基性触媒および溶媒を使用して、米国特許第6,200,936号および以下の調製実施例A〜Eで記述しているようにして、調製され得る。塩基性触媒には、アルカリ金属塩基およびアルカリ土類金属塩基およびアミン(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸基カリウムおよび水酸化アンモニウム)が挙げられる。(a)(i)(1)または(a)(i)(2)のオリゴマー反応生成物の調製では、その反応混合物の90重量%まで、溶媒が使用され得る。このヒドロカルビル置換フェノールとカルボキシル置換フェノールまたはフェニルアミンとのモル比は、しばしば、1:0.05〜1:19の範囲であり、本発明のさらに他の実施態様では、約2個のヒドロカルビル置換フェノール:1個のカルボキシル置換フェノールまたはフェニルアミンである。組み合わせたヒドロカルビル置換フェノールおよびカルボキシル置換フェノールまたはフェニルアミンとアルデヒドとのモル比は、1:0.5〜3であり得る。
【0029】
(a)(i)(1)および(a)(i)(2)のオリゴマー反応生成物は、式(I)または(II)の少なくとも1個の単位を含有する実質的に直鎖の化合物であり得るが、但し、Uは、(a)(i)(1)に対して−OHであり、そしてUは、(a)(i)(2)に対して−NH、−NHR、−N(Rおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0030】
【化4】

この化合物の各末端は、式(III)または(IV)の末端基を有する:
【0031】
【化5】

このような基は、二価架橋基により連結され、これは、各連鎖に対して同一または異なり得る;ここで、fは、1、2または3であり、1局面では、1または2である;Rは、1個〜5個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基である;Rは、水酸基またはヒドロカルビル基であり、そしてjは、0、1または2である;Rは、水素またはヒドロカルビル基である;Rは、ヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基である;gは、1、2または3であるが、但し、少なくとも1個のR基は、8個またはそれ以上の炭素原子を含有する;ここで、該化合物は、平均して、単位(I)または(III)の少なくとも1個および単位(II)または(IV)の少なくとも1個を含有し、そして単位(I)および(III)の全数と単位(II)および(IV)の全数との比は、約0.1:1〜約2:1である。式(I)および(III)のU基は、−COOR基に対して1個またはそれ以上のオルト、メタまたはパラに位置し得る。1局面では、U基は、−COOR基に対してオルトに位置している。U基が−OH基のとき、式(I)および(III)は、2−ヒドロキシ安息香酸(これは、しばしば、サリチル酸と呼ばれている)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸またはそれらの混合物から誘導される。Uが−NH基のとき、式(I)および(III)は、2−アミノ安息香酸(これは、しばしば、アントラニル酸と呼ばれている)、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸またはそれらの混合物から誘導される。
【0032】
この二価架橋基には、各出現例にて同一または異なり得るが、メチレン架橋(例えば、−CH−または−CH(R)−)およびエーテル架橋(例えば、−CHOCH−または−CH(R)OCH(R)−)であって、ここで、Rは、1個〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、ここで、これらのメチレン架橋およびエーテル架橋は、ホルムアルデヒドまたは2個〜6個の炭素原子を有するアルデヒドから誘導される。
【0033】
しばしば、式(III)または式(IV)の末端基は、水酸基に対してオルトにある1個または2個のヒドロキシメチル基を含有する。しばしば、これらのヒドロキシメチル基は、(a)(i)(1)および/または(a)(i)(2)の0〜30重量%、1局面では、(a)(i)(1)および/または(a)(i)(2)の0.1〜20重量%、他の局面では、(a)(i)(1)および/または(a)(i)(2)の0.2〜10重量%、さらに他の局面では、(a)(i)(1)および/または(a)(i)(2)の0.3〜5重量%で存在している。本発明の1実施態様では、ヒドロキシメチル基が存在している。
【0034】
本発明の1実施態様では、成分(a)の無イオウ反応生成物は、本願全体を通じて、成分(a)(i)、(a)(ii)および(a)(iii)金属含有塩基の反応生成物であり得る。この金属含有塩基は、任意の反応性無機金属化合物または化合物混合物であり得、これには、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物(例えば、酸化物、水酸化物および炭酸塩(例えば、水酸化カルシウム))が挙げられる。(a)(i)の当量と(a)(ii)のモル数と(a)(iii)の当量との比は、それぞれ、1:0.25〜2:0.25〜2であり得、他の場合、1:0.25〜1.5:0.5〜2または1:0.4〜1:1〜1.7であり得る。本発明のさらに他の実施態様では、(a)(i)、(a)(ii)および(a)(iii)の反応生成物は、潤滑粘性のあるオイルおよび下記の少なくとも1種の他の性能添加剤と混ぜ合わされる。(a)(i)、(a)(ii)および(a)(iii)の反応生成物は、以下の実施例14で記述するようにして、調製できる。
【0035】
中和前、成分(a)(i)(1)のオリゴマー反応生成物の分子の大部分は、上記のように、平均して、以下の式(V)で表わすことができると考えられる:
【0036】
【化6】

ここで、各Rは、同一または異なり得、そして水素またはアルキル基であるが、但し、少なくとも1個のRは、アルキルである。1実施態様では、Rは、200〜5000、他の場合、300〜1000および400〜700の数平均分子量を有するポリイソブチレンから誘導される。二核または三核種の相当量はまた、式(III)の1個または2個のサリチル酸末端基を含有して、存在し得る。成分(a)(i)(1)の中和したオリゴマー反応生成物は、単独で、または他の清浄剤と共に使用され得る。
【0037】
成分(a)(i)(3)のヒドロカルビル置換カルボキシル置換フェノールのヒドロカルビル置換基は、しばしば、アルキルであり、1局面では、オレフィンまたはポリオレフィンから誘導される。このポリオレフィンは、エチレン、プロピレンまたブチレン(例えば、イソブチレン)から誘導され得る。このオレフィンまたはポリオレフィンは、しばしば、4個〜50個の炭素原子、他の局面では、6個〜40個の炭素原子、さらに他の局面では、7個〜30個の炭素原子を含有する。このヒドロカルビル置換カルボキシル置換フェノールは、アルキル置換サリチル酸であり得、これは、一般に、金属塩として市販されているか、または周知方法(例えば、二酸化炭素とアルカリ金属フェノレート塩とのKolbe−Schmidt反応)により、調製され得る。
【0038】
成分(a)(i)(4)のヒドロカルビル置換カルボキシル置換フェノールのヒドロカルビル置換基は、一般に、成分(a)(i)(3)について上で記述したアルキル基である。成分(a)(i)(4)の一例には、アルキル置換アントラニル酸がある。
【0039】
成分(a)(i)(5)のオリゴマー反応生成物のヒドロカルビル置換フェノールのヒドロカルビル置換基は、一般に、成分(a)(i)(3)について上で記述したアルキル基であり、これには、ポリプロピレンから誘導されたアルキル基(例えば、イソプロピレンテトラマー)が挙げられる。成分(a)(i)(5)のオリゴマー反応生成物は、米国特許第3,256,183号で記述されているように、酸触媒または塩基触媒の存在下にて、または化学量論量の金属含有塩基の存在下にて、アルキルフェノール(例えば、ドデシルフェノール)とアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド)とを反応させることにより調製され、この場合、その生成物は、酸で処理されて、金属を含まない生成物が得られる。成分(a)(i)(5)のオリゴマー反応生成物は、弱酸性であり得るので、有機窒素含有強塩基(例えば、水酸化テトラアルキルアンモニウム)を使用して成分(a)(i)(5)を中和することが有利である。
【0040】
本発明の有機窒素含有塩基は、(a)(ii)(1)アミン含有イミン、それらの反応性等価物、またはそれらの混合物であり得る。このアミノ含有イミンは、グアニジン、アミノグアニジン、1,3−ジアミノグアニジン、ホルムアミジン、ベンズアミジン、3−および4−アミノ−ベンズアミジン、アセトアミジンおよびそれらの反応性等価物から選択される少なくとも1種のメンバーであり得る。このイミンの反応性等価物は、そのイミンと酸との塩であり得、これには、塩化水素、炭酸およびカルボン酸(例えば、ギ酸および酢酸)が挙げられる。これらのイミンの反応性等価物の例には、炭酸グアニジン、炭酸水素アミノグアニジンまたはアセトアミジン塩化水素がある。
【0041】
この有機窒素含有塩基は、(a)(ii)(2)アンモニアまたはそれらの反応性等価物(これは、アンモニアと酸とと塩であり得る)であり得、これには、水、塩化水素、炭酸およびカルボン酸(例えば、ギ酸および酢酸)が挙げられる。
【0042】
(a)(iii)(3)のモノアミンには、しばしば、ヒドロカルビル置換第一級、第二級または第三級モノアミンまたはそれらの混合物が挙げられる。しばしば、このヒドロカルビル基は、アルキル基である。各ヒドロカルビル基は、しばしば、1個〜40個の炭素原子、他の局面では、4個〜30個の炭素原子、さらに他の局面では、6個〜20個の炭素原子を含有する。このヒドロカルビル基は、置換または非置換、分枝または非分枝であり得、1局面では、このヒドロカルビル基は、非置換である。適当なモノアミンの例には、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、ノニルアミン、ジノニルアミン、トリノニルアミン、ドデシルアミン、ジドデシルアミン、ペンタデシルアミン、ジペンタデシルアミン、トリペンタデシルアミン、オクタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、トリオクタデシルアミンおよびPrimene(登録商標)81R(これは、Rohm & Haasから入手できるC11〜C14第三級アルキル第一級アミンの混合物である)が挙げられる。
【0043】
(a)(ii)(4)のポリアミンは、2個またはそれ以上のアミノ基を含有でき、この場合、各アミノ基は、第一級、第二級または第三級アミノ基であり得る。(a)(ii)(4)のポリアミンは、アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン(例えば、ポリエチレンポリアミン)またはそれらの混合物であり得る。ポリアミンの有用な例には、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、N−メチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリス(2−アミノエチル)アミンおよびポリエチレンポリアミンボトムスがある。
【0044】
(a)(ii)(5)の窒素含有複素環には、1個またはそれ以上の窒素原子を含有する芳香族および/または非芳香族環系を有する複素環を挙げることができる。しばしば、この環系は、少なくとも5個または6個の原子を含有するが、それらの環系は、15個までの原子、1局面では、12個までの原子、さらに他の局面では、10個までの原子を含有し得る。この環系内の窒素原子の数は、しばしば、1個〜5個、1局面では、1個〜4個、さらに他の局面では、1個〜3個である。この環系は、置換または非置換、分枝または非分枝であり得る。1局面では、この環系は、非置換である。この窒素含有複素環には、例えば、ピロール、ピロリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピペラジン、ピラゾール、オキサゾール、ピリジン、ピペリジン、ピリミジン、プリン、ベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール、キノリン、イソキノリン、カルバゾールまたはそれらの混合物を挙げることができる。1実施態様では、この窒素含有複素環は、ピロール、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0045】
(a)(ii)(6)のアミノアルコールは、1個またはそれ以上の水酸基および1個またはそれ以上のアミノ基を含有できる。本発明の実施態様でのアミノアルコールは、1個〜6個または1個〜3個の水酸基、1個〜8個または1〜2個のアミノ基および2個〜50個または2個〜40個または2個〜25個または2個〜15個の炭素原子を含有できる。このアミノアルコールは、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミンまたはそれらの混合物であり得る。このアミノアルコールには、例えば、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、セリノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミンおよび2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールを挙げることができる。
【0046】
この有機窒素含有塩基は、(a)(ii)(7)テトラアルキルアンモニウム塩であり得る。このテトラアルキルアンモニウム塩は、4個またはそれ以上の炭素原子を有し得る。このテトラアルキルアンモニウム塩は、一般に、水酸化物アニオンまたはそれらの反応性等価物を有し、これには、塩化物、炭酸塩、炭酸水素塩またはカルボン酸アニオン(例えば、ギ酸塩または酢酸塩)が挙げられる。このテトラアルキルアンモニウム塩は、例えば、水酸化テトラアルキルアンモニウムまたは水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムであり得る。
【0047】
(a)(ii)(8)の非複素環芳香族アミンは、炭化水素芳香族環系に結合された1個またはそれ以上のアミノ基を含有でき、この場合、それらのアミノ基および環系は、置換または非置換であり得る。この非複素環芳香族アミンには、アミノフェノール、アルキル置換アミノフェノール、フェニレンジアミンおよびN−置換フェニレンジアミンを挙げることができる。(a)(ii)(8)のアミンには、例えば、アニリン、1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−フェニレンジアミンおよび2−アミノ−p−クレゾールを挙げることができる。
【0048】
本発明の実施態様では、(a)(i)および(a)(ii)の無イオウ反応生成物は、(a)(i)(1)または(a)(i)(2)または(a)(i)(3)または(a)(i)(4)または(a)(i)(5)またはそれらの混合物と(a)(ii)(1)との反応生成物である。本発明の他の実施態様では、この無イオウ反応生成物は、(a)(i)(1)または(a)(i)(2)と(a)(ii)(1)とから形成される。本発明のさらに他の実施態様では、この無イオウ反応生成物は、(a)(i)(1)および(a)(ii)(1)から形成される。成分(a)(i)の1種またはそれ以上のメンバーと成分(a)(ii)(1)のアミノ含有イミンとを反応させることにより形成される無イオウ反応生成物は、本発明のオイル含有組成物および方法で有用である。
【0049】
(潤滑粘性のあるオイル)
潤滑剤組成物(例えば、内燃機関用のエンジン油)であり得る組成物を形成するために、本発明の(a)(i)および(a)(ii)の無イオウ反応生成物には、潤滑粘性のあるオイルが加えられる。この潤滑粘性のあるオイルは、天然油、合成油またはそれらの混合物であり得る。天然油には、動物油、植物油、石油または石炭または頁岩源に由来の鉱油、およびそれらの混合物を挙げることができる。鉱油には、未精製油、精製油および再精製油およびそれらの混合物を挙げることができる。精製鉱油および再精製鉱油には、the American Petroleum Institute(API)のGroup I、IIおよびIIIの基油を挙げることができる。この潤滑粘性のあるオイルには、例えば、API Group III基油(例えば、Nexbase(登録商標)3050、Nexbase(登録商標)3043、Yubase(登録商標)4、Yubase(登録商標)6、Yurong(登録商標)150N、Yurong(登録商標)500NおよびShell(登録商標)XHVI 5.2を挙げることができる。合成油には、オレフィン重合体(例えば、ポリ(α−オレフィン)および水素化ポリ(α−オレフィン))、アルキル化芳香族化合物(例えば、ドデシルベンゼン、カルボン酸エステル、および気液プロセス(例えば、Fischer−Tropschプロセス)から得た炭化水素)を挙げることができる。この潤滑粘性のあるオイルは、本発明の組成物中にて、重量基準で、99.99%まで、他の実施態様では、99%、95%、90%または80%までで、存在できる。
【0050】
(他の性能添加剤)
(a)(i)および(a)(ii)の反応生成物を含有する本発明の組成物は、他の性能添加剤を含有できる。この他の性能添加剤には、金属不活性化剤(例えば、ベンゾトリアゾール誘導体)、清浄剤(例えば、金属塩基で中和またはオーバーベース化したスルホン酸塩およびフェネートおよびカルボン酸塩)、分散剤(例えば、300〜3000の数平均分子量を有するポリイソブチレンから一般に調製されたマンニッヒ塩基およびスクシンイミド)、酸化防止剤(例えば、アルキル化ジフェニルアミンおよびヒンダードフェノールおよびヒンダードフェノール誘導体およびそれらの混合物)、耐摩耗剤(これには、ジアルキルジチオリン酸亜鉛が挙げられる)、腐食防止剤、抗スカッフィング剤、極圧剤、発泡剤(シリコーン油を含めて)、解乳化剤、摩擦調整剤(脂肪カルボン酸のアミドおよびエステルを含めて)、粘度調整剤(これには、種々の粘度指数向上剤および流動点降下剤が挙げられる)、シール膨潤剤およびそれらの混合物を挙げることができる。典型的には、十分に調合した潤滑油は、これらの添加剤の1種またはそれ以上を含有する。(a)(i)および(a)(ii)の無イオウ反応生成物またはこの無イオウ反応生成物と潤滑粘性のあるオイルとを含有する本発明の組成物は、少なくとも1種の上記他の添加剤を含有し、本発明の他の実施態様では、分散剤、酸化防止剤、発泡防止剤、解乳化剤、摩擦調整剤および粘度調整剤からなる群から選択される少なくとも1種の他の性能添加剤を含有できる。これらの他の性能添加剤は、本発明の組成物中にて、重量基準で、0〜30%で存在でき、他の実施態様では、0.0001〜30%、0.001〜20%、または0.001〜15%で存在できる。
【0051】
(方法)
本発明は、さらに、組成物を調製する方法を提供し、該方法は、以下の工程を包含する:
(a)反応物(a)(i)および(a)(ii)を、しばしば、50℃〜200℃の温度、1局面では、60℃〜175℃の温度、他の局面では、70℃〜150℃の温度まで加熱して、生成物を形成する工程;
(b)必要に応じて、工程(a)の生成物を真空下で保持する工程;および
(c)工程(a)または(b)の生成物を潤滑粘性のあるオイルに加える工程。
【0052】
この反応は、希釈剤および/または溶媒として役立つ潤滑粘性のあるオイル、水、アルコール、脂肪族および芳香族炭化水素(例えば、トルエンまたはキシレン)を使用して、実行され得る。溶媒は、工程(a)および(b)の反応プロセス中の任意の時点で、加えることができる。オイルのような希釈剤は、この反応プロセス前、中または後の任意の時点で、加えることができる。
【0053】
工程(a)では、反応物(a)(i)および(a)(ii)は、混ぜ合わせることができ、その配合物は、加熱され攪拌されて、生成物または反応物を形成し、これは、加熱され攪拌でき、第一反応物に第二反応物が加えられ、続いて、加熱され攪拌されて、生成物が形成される。しばしば、その反応時間は、30秒間〜48時間、1局面では、2分間〜24時間、他の局面では、5分間〜16時間、さらに他の局面では、10分間〜8時間であり、圧力は、しばしば、86kPa〜266kPa(645mmHg〜2000mmHg)、1局面では、91kPa〜200kPa(690mmHg〜1500mmHg)、他の局面では、95kPa〜133kPa(715mmHg〜1000mmHg)である。
【0054】
工程(b)では、その真空は、しばしば、溶媒および反応副生成物(例えば、水)を実質的に除去するのに十分な時間にわたって、1kPa〜85kPa(7mmHg〜638mmHg)、他の局面では、4kPa〜70kPa(30mmHg〜526mmHg)、さらに他の局面では、6kPa〜60kPa(45mmHg〜450mmHg)の圧力である。
【0055】
この方法は、必要に応じて、工程(a)の終了時点および/または工程(b)の終了時点または工程(c)中または後の任意の時点で、上記他の性能添加剤を混合する工程を包含する。
【0056】
本発明の1実施態様は、工程(a)および任意の工程(b)および(c)を包含する上記調製方法により調製された生成物である。
【0057】
本発明の組成物は、この無イオウ反応生成物および潤滑粘性のあるオイルを含有するとき、添加剤組成物と呼ぶことができる。一般に、この添加剤組成物が他の性能添加剤と混ぜ合わされるとき、その組成物は、濃縮物組成物と呼ぶことができるが、濃縮物組成物は、単一添加剤を含有できる。この添加剤組成物または濃縮物組成物は、さらに、オイルで希釈でき、潤滑剤組成物(例えば、内燃機関用のエンジン油であって、これは、良好な性能を与えるのに十分なレベルで、添加剤を含有する)を形成する。流動性および取扱性の目的のために、添加剤組成物および濃縮物組成物中でのオイルのレベルは、重量基準で、10〜90%、他の場合、20〜80%、または30〜70%である。
【0058】
(工業用途)
本発明の組成物は、内燃機関(火花点火エンジンまたは圧縮点火エンジンを含めて)で有用である。エンジンの適当な例には、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、天然ガスエンジンまたは混合ガソリン/アルコールエンジンが挙げられる。このエンジンは、排気ガス処理装置を含み得る。
【0059】
(a)(i)および(a)(ii)の無イオウ反応生成物を含有する本発明の組成物は、金属含有清浄剤を含有し得るか含有し得ず、清浄剤性能を与えるのに十分な量で存在でき、この場合、この清浄剤性能には、酸を中和すること、腐食を防止すること、堆積物を除去すること、堆積物および堆積物前駆体を懸濁すること、摩耗を防止すること、酸化を防止すること、排気ガスの排気を改善すること(この無イオウ反応生成物は、この組成物のイオウまたはリンに寄与せず、せいぜい、少量の硫酸塩灰分に寄与するにすぎない)、またはそれらの組合せを挙げることができる。本発明の1実施態様では、内燃機関を潤滑させる方法は、該内燃機関に、(a)(i)および(a)(ii)の無イオウ反応生成物を含有する組成物を供給する工程を包含し、他の実施態様では、供給された組成物は、イオウ、リンおよび上記硫酸塩灰分のレベルが低い。本発明のさらに他の実施態様では、内燃機関に清浄剤性能を与える方法は、該内燃機関に、(a)(i)および(a)(ii)の無イオウ反応生成物を含有する組成物を供給する工程を包含し、他の実施態様では、該内燃機関に供給された組成物は、イオウ、リンおよび上記硫酸塩灰分のレベルが低く、さらに他の実施態様では、(a)(i)および(a)(ii)の反応生成物は、該内燃機関に供給された組成物のイオウ、リンに寄与せず、少量の硫酸塩灰分に寄与する。
【0060】
本発明の1実施態様は、内燃機関に、エンジン清浄度の向上、酸化の低下、摩耗の低下、排気の減少および排気ガス触媒による毒作用の低下からなる群から選択される1つまたはそれ以上の性能特性の改良を加えるための(a)(i)および(a)(ii)の無イオウ反応生成物を含有する本発明の組成物の使用であり、他の使用実施態様では、この組成物は、イオウ、リンおよび上記硫酸塩灰分のレベルが低い。本発明のさらに他の実施態様は、内燃機関に、清浄度、摩耗および排気からなる群から選択される1つまたはそれ以上の性能特性の改良を加えるための(a)(i)および(a)(ii)の無イオウ反応生成物を含有する本発明の組成物の使用であり、他の使用実施態様では、この組成物は、イオウ、リンおよび上記硫酸塩灰分のレベルが低い。
【0061】
しばしば、この組成物は、0.5重量%未満、1局面では、0.3重量%未満、他の局面では、0.1重量%未満、さらに他の局面では、0重量%近くの全イオウ含量を有する。しばしば、本発明の組成物におけるイオウの主な発生源は、希釈油に由来している。通常、この希釈油は、多くの公知添加剤(例えば、清浄剤または分散剤)を調製するのに使用される製造プロセスにおいて、使用されている。この希釈油を除くと、本発明の組成物は、しばしば、700ppm以下、1局面では、600ppm以下、他の局面では、300ppm以下、さらに他の局面では、100ppm以下、さらに他の局面では、50ppm以下、さらに他の局面では、30ppm未満、25ppm以下、20ppm以下および15ppm以下のイオウ含量を有する。この希釈油に由来のイオウを含めるとき、この組成物のイオウ含量は、しばしば、800ppmまで、1局面では、600ppmまで、他の局面では、400ppmまで、例えば、約200ppmまたは約300ppmだけ、高められる。1実施態様では、このイオウは、1ppmまたは10ppm〜50ppmまたは200ppmで存在している。本発明の1実施態様では、この組成物は、希釈油から誘導されたイオウを除いて、イオウを含まない。
【0062】
しばしば、この組成物は、その組成物の0.1重量%未満、1局面では、0.085重量%未満、他の局面では、0.07重量%未満、さらに他の局面では、0.055重量%未満、さらに他の局面では、0.05重量%未満、例えば、200ppm以下、1局面では、100ppm以下、他の局面では、50ppm以下、さらに他の局面では、10ppm以下の全リン含量を有する。1実施態様では、このリンは、1ppmまたは10ppm〜50ppmまたは200ppmで存在している。本発明の1実施態様では、この組成物は、リンを含まない。
【0063】
しばしば、この組成物は、その組成物の1.5重量%以下、1局面では、1.1重量%以下、他の局面では、1.0重量%以下、さらに他の局面では、0.08重量%以下、さらに他の局面では、0.05重量%以下、例えば、0.04重量%以下、0.03重量%以下または0.02重量%以下の全硫酸塩灰分含量を有する。本発明の1実施態様では、この組成物は、0.01重量%〜0.03重量%で存在している灰分を含有する。
【0064】
以下の実施例は、本発明の説明を提供する。これらの実施例は、全てを網羅するものではなく、本発明の範囲を限定する意図はない、
【実施例】
【0065】
(調製実施例A:PIBフェノール−ホルムアルデヒド−サリチル酸の調製)
2リットルの反応フラスコに、550の数平均分子量を有する高ビニリデンポリイソブチレンから誘導したポリイソブテニルフェノール(BASFから入手できるGLISSOPAL(登録商標)550)475g(0.739モル、1当量)および鉱油(SN150)330gを充填し、そして30℃まで加熱する。圧力を同じにした滴下漏斗を経由して、50%KOH水溶液3.4g(0.030モル、0.04当量)を全て一度に加える。これらの物質を75℃まで加熱し、続いて、0.5時間にわたって、圧力を同じにした滴下漏斗を経由して、(滴定により)、37%ホルムアルデヒド水溶液(ホルマリン)81.6gを加え、続いて、遊離のホルムアルデヒドが(滴定により)2%未満となるまで、75℃で、2時間加熱する。その反応物に、サリチル酸51.6g(0.374モル、0.51当量)を充填し、この反応物を、還流を制御してディーン−スタークトラップにより反応水を排出しつつ、できるだけ素早く(0.3時間)、140℃まで加熱する。その反応物を、水58mlを集めつつ、140℃で、1.5時間保持する。これらの物質を、140℃/100mmHg(13kPaに等しい)で、0.5時間にわたって、真空ストリッピングする。その透明で金色の残留物は、生成物である。収量=857g、%K=0.093%。質量スペクトル、GPCおよびHおよびC13NMRにより、この生成物は、1個のサリチル酸に架橋した2個のメチレン架橋ポリイソブテニルフェノール分子からなることが明らかである。この反応プロセスのさらに詳細な説明は、国際公開WO03/018728の23ページの実施例5で示されている。
【0066】
(調製実施例B:PIBフェノール−ホルムアルデヒド−3,5−ジヒドロキシ安息香酸の調製)
この方法は、550の数平均分子量を有する高ビニリデンポリイソブチレンから誘導したポリイソブテニルフェノール(BASFから入手できるGLISSOPAL(登録商標)550)415.5gを使用し、鉱油(SN150)290gを使用し、そしてサリチル酸に代えて3,5−ジヒドロキシ安息香酸50.5gを使用したこと以外は、調製実施例Aと同じである。
【0067】
(調製実施例C:PIBフェノール−ホルムアルデヒド−4−ヒドロキシ安息香酸の調製)
この方法は、3,5−ジヒドロキシ安息香酸に代えて4−ヒドロキシ安息香酸45.2gを使用したこと以外は、調製実施例Bと同じである。
【0068】
(調製実施例D:PIBフェノール−ホルムアルデヒド−アントラニル酸の調製)
この方法は、550の数平均分子量を有する高ビニリデンポリイソブチレンから誘導したポリイソブテニルフェノール(BASFから入手できるGLISSOPAL(登録商標)550)200gを使用し、鉱油(SN150)306gを使用し、そしてサリチル酸に代えてアントラニル酸14.1gを使用したこと以外は、調製実施例Aと同じである。さらに、アントラニル酸の添加を70℃(調製実施例Aで使用した75℃に代えて)で実行した後、キシレン85gを加える。
【0069】
(調製実施例E:ドデシルフェノール−ホルムアルデヒド−サリチル酸の調製)
この方法は、ドデシルフェノール(プロピレンテトラマーから誘導した、1.32モル、1当量);サリチル酸95.6g(0.69モル、0.52当量);36.7重量%ホルムアルデヒド水溶液(ホルマリン)226.9g(1.70モル、1.356当量);25%アンモニア水45g(0.65モル、0.5当量)およびトルエン(溶媒)500gを使用すること以外は、調製実施例Aと同じである。この反応プロセスのさらに詳細な説明は、国際公開WO03/018728の22ページの実施例1で示されている。
【0070】
(実施例1:フェノール−ホルムアルデヒド−サリチル酸および炭酸水素アミノグアニジン)
1リットルのフラスコ(これは、オーバーヘッド攪拌機およびパドル、加熱マントル、スプラッシュヘッド、ディーン−スタークトラップおよび水除去用冷却器、圧力を同じにした滴下漏斗、熱電対および熱制御ユニットを備え付けている)に、調製実施例A450g(60%活性、0.186モル、1当量)およびトルエン70gを加える。次いで、これを85℃まで加熱し、その時点で、炭酸水素アミノグアニジンのスラリー(38g、0.28モル、1.5当量)および蒸留水(80g、スラリー中での溶解を助けるため、約90℃)を、圧力を同じにした滴下漏斗を経由して、15分間にわたって、ゆっくりと加える。その反応物は、濁る。このスラリーを加えた後、ほぼ即座に、水の除去が認められる。その混合物を、5℃ずつ、130℃まで加熱する。次いで、その反応物を、130℃で、還流下にて、2時間保持する。この時点で、溶液は透明である。温かい間に、その生成物を、ブフナーフラスコを使用して、細かく分割したケイソウ土のパッドにより、真空濾過する。その生成物を分析すると、0.34%の硫酸塩灰分(これは、調製実施例1で使用した水酸化カリウムに由来のカリウム残留物であると考えられる金属0.01%に相当する)、29mgKOH/試料1gのTBNおよび100℃動粘度=391mm/s(またはcSt)および窒素含量2.9%が明らかになる。
【0071】
(実施例2:フェノール−ホルムアルデヒド−サリチル酸およびアンモニア)
1リットルフラスコ(これには、攪拌機、熱電対および窒素給送口を取り付けた)中にて、調製実施例Aから得た生成物400gを80℃まで加熱する。次いで、このフラスコに、15分間にわたって、メタノールに溶解した2モルアンモニア95cmを滴下する。このフラスコを、その温度で、1.5時間保持した後、真空蒸留してメタノールを除去する。その生成物は、17.5mgKOH/試料1gのTBNおよび100℃動粘度=208.9mm/s(またはcSt)を有する。
【0072】
(実施例3:フェノール−ホルムアルデヒド−サリチル酸およびイミダゾール)
1リットルフラスコ(これには、攪拌機、熱電対および窒素給送口を取り付けた)中にて、調製実施例Aから得た生成物313gを80℃まで加熱する。次いで、このフラスコに、イミダゾール17.7g(これは、少しずつ加える)を充填した後、希釈油80gを加える。このフラスコを、10分間にわたって、110℃まで加熱し、続いて、1.5時間にわたって、120℃まで加熱し、次いで、3時間にわたって、140℃まで加熱する。その生成物を、3時間にわたって、140℃/100mmHg(これは、13kPaに等しい)で真空ストリッピングする。この生成物は、15.1mgKOH/試料1gのTBNおよび100℃動粘度=95mm/s(またはcSt)を有する。
【0073】
(実施例4:フェノール−ホルムアルデヒド−サリチル酸およびエタノールアミン)
1リットルフラスコ(これには、攪拌機、熱電対および窒素給送口を取り付けた)中にて、調製実施例Aから得た生成物300gを85℃まで加熱する。次いで、このフラスコに、10分間にわたって、エタノールアミン20.1gを滴下充填する。次いで、このフラスコを、5時間にわたって、145℃まで加熱する。その生成物を、過剰のアミンが除去されるまで、140℃/100mmHg(これは、13kPaに等しい)で真空ストリッピングする。この生成物は、26.8mgKOH/試料1gのTBNを有する。
【0074】
(実施例5:フェノール−ホルムアルデヒド−サリチル酸およびジエタノールアミン)
この方法は、調製実施例Aの生成物500gを使用し、エタノールアミンに代えてジエタノールアミン92.1gを使用したこと以外は、実施例4と同じである。その生成物は、78.5mgKOH/試料1gのTBNを有する。
【0075】
(実施例6:フェノール−ホルムアルデヒド−サリチル酸およびトリエタノールアミン)
この方法は、エタノールアミンに代えてトリエタノールアミン49.3gを使用したこと以外は、実施例4と同じである。その生成物は、51.3mgKOH/試料1gのTBNを有する。
【0076】
(実施例7:サリチル酸アルキルおよびトリエタノールアミン)
500mlフラスコ(これには、攪拌機、熱電対および窒素ラインを取り付けた)にて、サリチル酸ドデシル200gを加熱する。次いで、このフラスコに、15分間にわたって、トリエタノールアミン34.2gを滴下し充填する。希釈油234gを加えた後、このフラスコを、80℃で、4時間保持した後、140℃/100mmHg(これは、13kPaに等しい)で真空ストリッピングする。その生成物は、28mgKOH/試料1gのTBNおよび100℃動粘度=22.2mm/s(またはcSt)を有する。
【0077】
(実施例8:調製実施例Bの生成物およびトリエタノールアミン)
500mlフラスコ(これには、攪拌機、熱電対および窒素ラインを取り付けた)にて、調製実施例Bの生成物200gを80℃まで加熱する。次いで、このフラスコに、15分間にわたって、トリエタノールアミン41.4gを滴下し充填する。希釈油60gを加えた後、その温度を、10分間にわたって、90℃まで上げ、続いて、10分間にわたって、100℃まで加熱する。次いで、このフラスコを、45分間にわたって、120℃まで加熱し、続いて、4時間にわたって、140℃まで加熱する。次いで、このフラスコを、140℃/100mmHg(これは、13kPaに等しい)で、5時間まで真空ストリッピングする。その生成物は、38.5mgKOH/試料1gのTBNおよび100℃動粘度=61.2mm/s(またはcSt)を有する。
【0078】
(実施例9:調製実施例Cの生成物およびトリエタノールアミン)
この方法は、調製実施例2の生成物に代えて調製実施例Cの生成物25.2gを使用したこと以外は、実施例8と同じである。その生成物は、30mgKOH/試料1gのTBNおよび100℃動粘度=132mm/s(またはcSt)を有する。
【0079】
(実施例10:調製実施例Dの生成物およびトリエタノールアミン)
この方法は、調製実施例Bの生成物に代えて調製実施例Dの生成物13.2gを使用したこと以外は、実施例8と同じである。その生成物は、19.2mgKOH/試料1gのTBNおよび100℃動粘度=54mm/s(またはcSt)を有する。
【0080】
(実施例11:調製実施例Cの生成物および炭酸水素グアニジン)
500mlフラスコ(これには、攪拌機、熱電対および窒素ラインを取り付けた)にて、調製実施例Cの生成物117gを80℃まで加熱する。次いで、このフラスコに、20分間にわたって、水6gおよび炭酸水素グアニジン3.8gを滴下し充填する。希釈油27gを加えた後、その温度を、10分間にわたって、90℃まで上げ、続いて、10分間にわたって、90℃まで加熱する。次いで、このフラスコを、10分間にわたって、100℃まで加熱し、続いて、20分間にわたって、120℃まで加熱し、最後に、90分間にわたって、130℃まで加熱する。次いで、このフラスコを、130℃/100mmHg(これは、13kPaに等しい)で、2時間まで真空ストリッピングする。その生成物は、8.3mgKOH/試料1gのTBNおよび100℃動粘度=56.9mm/s(またはcSt)を有する。
【0081】
(実施例12:調製実施例Eの生成物および炭酸水素グアニジン)
この方法は、炭酸水素グアニジン11g、調製実施例Eの生成物100gおよび水16gを使用したこと以外は、実施例12と同じである。その生成物は、29.2mgKOH/試料1gのTBNおよび100℃動粘度=154mm/s(またはcSt)を有する。
【0082】
(実施例13:フェノール−ホルムアルデヒド−サリチル酸およびトリエチルアミン)
この方法は、調製実施例Aの生成物250g、トリエチルアミン10gおよび希釈油71gを使用したこと以外は、実施例8と同じである。その生成物は、25.5mgKOH/試料1gのTBNおよび100℃動粘度=65.3mm/s(またはcSt)を有する。
【0083】
(実施例14:フェノール−ホルムアルデヒド−サリチル酸およびポリアミン)
1リットルフラスコ(これには、攪拌機、熱電対および窒素給送口を取り付けた)にて、調製実施例Aの生成物500g、水酸化カルシウム11.9gを80℃まで加熱する。次いで、このフラスコに、トリエチレンテトラミン20.3gを充填する。次いで、このフラスコに、散布チューブを経由して、過剰の二酸化炭素260gを充填する。次いで、このフラスコを、5℃ずつ、160℃まで加熱する。その生成物を、30分間にわたって、160℃/338mmHg(これは、45kPaに等しい)で真空ストリッピングする。その生成物は、81mgKOH/試料1gのTBNおよび1.2重量%の窒素含量を有する。
【0084】
(実施例15:フェノール−ホルムアルデヒド−サリチル酸および炭酸グアニジン)
この方法は、調製実施例Aの生成物404gをトルエン103gおよび炭酸グアニジン127gと混合したこと以外は、実施例1と同じである。その生成物は、29mgKOH/試料1gのTBNおよび2.3重量%の窒素含量を有する。
【0085】
(参照例1:潤滑粘性のあるオイル)
(a)Nexbase 3050オイル42.5g、(b)Nexbase 3043オイル34.4g、(c)オイルを含まない基準で0.4gのアミン分散剤粘度調整剤、(d)オイルを含まない基準で2.8gのポリイソブチレンスクシンイミド分散剤、(e)5gの酸化防止剤(ジフェニルアミンおよびヒンダードフェノールを含めて)、(f)0.7gのオレフィン共重合体粘度調整剤および(g)グリセロールモノオレエート摩擦調整剤を使用して、潤滑粘性のあるオイルを調製する。この組成物は、カルシウム0重量%、リン0重量%、イオウ0重量%および亜鉛0重量%を含有する。
【0086】
(本発明の潤滑油組成物)
実施例1〜13の生成物を参照例1から誘導した潤滑粘性のあるオイルと混合して、多数の潤滑油組成物を調製する。実施例1を含めて形成された潤滑油組成物は、「潤滑油組成物実施例1」の表題を付け、実施例2は、「潤滑油組成物実施例2」の表題を付けるなどから、実施例13は、「潤滑油組成物実施例13」の表題を付ける。この組成物は、13.11mm/s(またはcSt)のKV100および0重量%の硫酸塩灰分含量を有する。(a)オイルを含まない基準で6.45重量%の分散剤、(b)オイルを含まない基準で1.83重量%の清浄剤、(c)3.15重量%の酸化防止剤(ジフェニルアミンおよびヒンダードフェノールを含めて)、(d)0.76重量%のジアルキルジチオリン酸亜鉛および(e)85.85重量%の潤滑粘性のあるAPI Group II Jurong(登録商標)オイル(このオイルの69重量%は、Jurong(登録商標)150N基油であり、そして31重量%は、Jurong(登録商標)500N基油である)を含有する潤滑油組成物に、オイルを含まない基準で1.96重量%の実施例14の生成物を加えることにより、潤滑油組成物実施例14を調製する。
【0087】
(参照例2:最高級ヨーロッパ客車オイル調合物)
参照例2は、ジチオリン酸亜鉛を含有する成功したヨーロッパ最高級客車オイル調合物である。このオイル調合物の元素分析により、3307ppmのカルシウム含量、889ppmのリン含量、2645ppmのイオウ含量および959ppmの亜鉛含量が明らかとなっている。このオイル調合物は、11.3mm/s(またはcSt)のKV100および1.26重量%の硫酸塩灰分含量を有する。
【0088】
(参照例3)
参照例3は、実施例14の生成物を含有しないこと以外は、潤滑油組成物実施例14と同じ潤滑油組成物である。
【0089】
(表1:潤滑油組成物実施例1〜13および参照例1〜2のHFRR)
実施例1〜13および参照例1〜2を、PCS Instrumentsから入手できるプログラム化温度高周波往復リグ(HFRR)で、摩耗性能を評価する。これらの評価のためのHFRR条件は、200gの負荷、75分間の持続時間、1000マイクロメートルのストローク、20ヘルツの周波数、および40℃で15分間に続いて2℃/分の速度で160℃までの温度上昇の温度プロフィールである。次いで、低摩耗痕跡値および高フィルム形成値と共に、摩耗痕跡(マイクロメートル)およびフィルム形成(フィルム厚のパーセント)を測定したところ、摩耗性能が向上していた。このフィルム厚パーセントは、HFRRにおける上部および下部金属試験プレート間の電位の測定に基づいている。このフィルム厚が100%のとき、全長1000マイクロメートルのストロークにわたって、高い電位が存在しており、このことは、金属−金属接触がないことを示唆していた。逆に、0%のフィルム厚については、電位が存在しておらず、このことは、これらのプレート間での連続的な金属−金属接触を示唆している。中間フィルム厚については、電位が存在しており、このことは、上部および下部金属試験プレートが一定の金属−金属接触を有するだけでなく、他の領域で金属−金属接触がないことを示唆している。得られた摩耗痕跡およびフィルム形成の結果は、表1で提示している。
【0090】
【化7】

この分析は、本発明の組成物が耐摩耗性能を有し実施例1が参照例2に匹敵することを示している。
【0091】
(表2:潤滑油組成物実施例14および参照例3のHFRR)
使用した装置は、試験1と同じである。しかしながら、実施例14および参照例3は、1重量%のクメンヒドロペルオキシドで処理する。次いで、HERR条件(500gの負荷、75分間の持続時間、1000マイクロメートルのストローク、20ヘルツの周波数および105℃での等温性温度プロフィール)を使用して、これらの実施例を評価する。得られた摩耗痕跡およびフィルム形成の結果は、表2で提示している。
【0092】
【化8】

この分析は、組成物含有実施例14が、平均して、参照例3と比べて、良好な摩耗結果を有することを示している。
【0093】
(表3:圧力差走査熱量測定)
Coordinating European Council(CEC)試験方法L−85−T−99に基づいて、圧力差走査熱量測定(PDSC)試験を実行する。これらの結果は、酸化誘発時間に基づいている。高い酸化誘発時間を有する例について、良好なPDSC結果が得られる。得られた結果は、以下である:
【0094】
【化9】

この分析は、組成物含有実施例14が、参照例3と比較して、酸化誘発時間結果が向上したことを示している。
【0095】
(試験4:コマツホットチューブ)
コマツホットチューブ試験(KHT)は、ガラスチューブ(これらは、アルミニウムヒーターブロックに通し、そして10cc/分の空気流および0.31cc/hrのオイル流で、280℃まで加熱した)を使用する。この試料を、このガラスチューブを通って、注射器ポンプを経由して、16時間ポンプ上げする。試験の最後には、これらのチューブをリンスし、そして秤量する。このチューブはまた、0〜10の評点(0は、黒色チューブであり、そして10は、清浄なチューブである)を使用して、視覚的に評価する。
【0096】
得られた結果は、以下である:
【0097】
【化10】

この分析は、組成物含有実施例14が、参照例3と比較して、堆積物の形成が少ないことを示している。
【0098】
(試験5:分散剤希釈試験)
この分散剤希釈試験は、スラッジ:化学物質比として報告され、これは、米国特許第4,146,489号および第5,814,586号で記述されているように、オイル溶液中で人工スラッジを懸濁するための最も低濃度の化学物質を表わす。そのチューブ番号および比に対する値が高いほど、化学物質がスラッジを懸濁するのに有効であることを示す。得られた結果は、表3で提示している。
【0099】
【化11】

これらの結果は、組成物含有実施例1および15が、参照例1と比較して、分散特性が向上したことを示している。
【0100】
全般的に見れば、本発明の組成物は、エンジンの清浄度を向上し、酸化を低下させ、摩耗を少なくし、排気ガスを減らし、そして排気ガス触媒による毒作用を低下させる。
【0101】
上で引用した各文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。実施例を除いて、他に明らかに指示がなければ、物質の量を特定している本記述の全ての数値量、反応条件、分子量、炭素原子数などは、「約」という用語により修飾されることが分かる。他に指示がなければ、本明細書中で言及した各化学物質または組成物は、その異性体、副生成物、誘導体、および市販等級の物質中に存在すると通常考えられているような他のこのような物質を含有し得る、市販等級の物質であると解釈されるべきである。しかしながら、各化学成分の量は、他に指示がなければ、市販等級の物質に通例存在し得る溶媒または希釈油を除いて、提示されている。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、他の要素のいずれかの範囲または量と併用され得る。本明細書中で示した上限および下限の量、範囲および比は、別個に組み合わされ得ることが分かる。本明細書中で使用する「本質的になる」との表現には、問題の組成物の基本的で新規な特性に著しく影響を与えない物質が含まれていてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)および(b)を含有する、組成物:
(a)以下の(i)および(ii)の無イオウ反応生成物:
(i)ヒドロカルビル置換芳香族化合物であって、該化合物は、カルボン酸基、水酸基およびそれらの混合物からなる群から選択される酸基を含有する、ヒドロカルビル置換芳香族化合物;および
(ii)有機窒素含有塩基であって、該塩基は、該酸基と反応される;および
(b)潤滑粘性のあるオイル。
【請求項2】
さらに、少なくとも1種の他の性能添加剤を含有し、該性能添加剤が、分散剤、酸化防止剤、発泡防止剤、解乳化剤、摩擦調整剤および粘度調整剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記成分(a)が、約0.01重量%〜約40重量%で存在しており、前記潤滑粘性のあるオイルが、約99.99重量%までで存在しており、ここで、他の性能添加剤が、該組成物の0重量%〜約30重量%で存在している、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物の全イオウ含量が、約0.5重量%未満であり、ここで、該組成物の全リン含量が、約0.07重量%未満であり、ここで、該組成物の全硫酸塩灰分含量が、約1.5重量%未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記全イオウ含量が、約0.1重量%未満であり、ここで、前記全リン含量が、約100ppmまたはそれ以下であり、ここで、前記全硫酸塩灰分含量が、約0.08重量%未満である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
(a)(i)が、(1)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒドおよびカルボキシル置換フェノールのオリゴマー反応生成物;(2)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒドおよびカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;(3)ヒドロカルビル置換カルボキシル置換フェノール;(4)ヒドロカルビル置換カルボキシル置換フェニルアミン;および(5)ヒドロカルビル置換フェノールとアルデヒドとのオリゴマー反応生成物からなる群から選択される少なくとも1種のメンバーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物であって、(a)(i)(1)または(a)(i)(2)が、式(I)
【化1】

または式(II)
【化2】

の少なくとも1個の単位を含有する実質的に直鎖の化合物であり、
該化合物の各末端が、式(III)または式(IV)
【化3】

の単位で停止されており:
ここで、該化合物の該単位は、二価架橋基により連結され、該二価架橋基は、各連鎖に対して同一または異なり得る;Uは、(a)(i)(1)に対して水酸基であるか、または(a)(i)(2)に対して−NH、−NHR、−N(Rおよびそれらの混合物からなる群から選択され、ここで、Rは、1個〜5個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基である;Rは、水酸基基またはヒドロカルビル基であり、そしてjは、0、1または2である;Rは、水素またはヒドロカルビル基である;fは、1、2または3である;Rは、ヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基であり、そしてgは、1、2または3であるが、但し、少なくとも1個のR基は、8個またはそれ以上の炭素原子を含有する;ここで、該化合物は、平均して、式(I)または式(III)の少なくとも1個の単位および式(II)または式(IV)の少なくとも1個の単位を含有し、そして該化合物中の単位(I)および(III)の全数と単位(II)および(IV)の全数との比は、約0.1:1〜約2:1である、
組成物。
【請求項8】
(a)(i)が、アルキル置換サリチル酸である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
(a)(ii)が、(1)アミノ含有イミンまたはそれらの反応性等価物;(2)アンモニアまたはそれらの反応性等価物;(3)モノアミン;(4)ポリアミン;(5)窒素含有複素環;(6)アミノアルコール;(7)テトラアルキルアンモニウム塩;および(8)非複素環芳香族アミンからなる群から選択される少なくとも1種のメンバーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
(a)(ii)(1)が、グアニジン、アミノグアニジン、1,3−ジアミノグアニジン、アセトアミジン、ホルムアミジン、ベンズアミジン、3−アミノ−ベンズアミジンおよび4−アミノ−ベンズアミジン、ならびにそれらの反応性等価物からなる群から選択される少なくとも1種のメンバーである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
(a)(ii)(3)が、ヒドロカルビル置換第一級モノアミン、ヒドロカルビル置換第二級モノアミンまたはヒドロカルビル置換第三級モノアミンまたはそれらの混合物である、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
(a)(ii)(4)が、アルキレンジアミン、ポリエチレンポリアミンまたはそれらの混合物である、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
(a)(ii)(5)が、ピロール、ピロリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピペラジン、ピラゾール、オキサゾール、ピリジン、ピペリジン、ピリミジン、プリン、ベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール、キノリン、イソキノリン、カルバゾールまたはそれらの混合物である、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
(a)(ii)(6)が、1個〜6個の水酸基、1個〜8個のアミノ基および2個〜50個の炭素原子を含有するアミノアルコールである、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記アミノアルコールが、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミンまたはそれらの混合物である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
成分(a)が、金属を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の組成物を調製する方法であって、
(a)反応物(a)(i)および(a)(ii)を加熱する工程;
(b)必要に応じて、工程(a)の生成物を真空下で保持する工程;および
(c)工程(a)または(b)の生成物を潤滑粘性のあるオイルに加える工程、
を包含する、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法により調製された、生成物。
【請求項19】
内燃機関を潤滑する方法であって、請求項1に記載の組成物を該内燃機関に供給する工程を包含する、方法。
【請求項20】
内燃機関に、清浄度、摩耗および排気からなる群から選択される1つまたはそれ以上の性能特性の改良を加えるための、請求項1に記載の組成物の使用。
【請求項21】
以下の(a)を含有する、組成物:
(a)以下の(i)および(ii)の無イオウ反応生成物:
(i)ヒドロカルビル置換芳香族化合物であって、該化合物は、カルボキシルおよび/またはヒドロキシル酸性基を含有し、そして(1)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒドおよびカルボキシル置換フェノールのオリゴマー反応生成物;(2)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒドおよびカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;およびそれらの混合物からなる群から選択される、ヒドロカルビル置換芳香族化合物;ならびに
(ii)有機窒素含有塩基であって、該塩基は、(a)(i)の該酸基と反応される、有機窒素含有塩基。
【請求項22】
成分(a)の前記反応生成物が、成分(a)(i)、(a)(ii)および(a)(iii)金属含有塩基の反応生成物である、請求項1に記載の組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)および(b)を含有する、組成物:
(a)以下の(i)および(ii)の無イオウ反応生成物:
(i)ヒドロカルビル置換芳香族化合物であって、該化合物は、カルボキシル基、水酸基およびそれらの混合物からなる群から選択される酸基を含有する、ヒドロカルビル置換芳香族化合物;および
(ii)アンモニアまたは有機窒素含有塩基であって、該アンモニアまたは塩基は、該酸基と反応される;および
(b)潤滑粘性のあるオイル、
ここで、(a)(i)が、式(I)
【化1】

または式(II)
【化2】

の少なくとも1個の単位を含有する実質的に直鎖の化合物であり、
該化合物の各末端が、式(III)または式(IV)
【化3】

の単位で停止されており:
ここで、該化合物の該単位は、二価架橋基により連結され、該二価架橋基は、各連鎖に対して同一または異なり得る;Uは、(a)(i)(1)に対して水酸基であるか、または(a)(i)(2)に対して−NH、−NHR、−N(Rおよびそれらの混合物からなる群から選択され、ここで、Rは、1個〜5個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基である;Rは、水酸基またはヒドロカルビル基であり、そしてjは、0、1または2である;Rは、水素またはヒドロカルビル基である;fは、1、2または3である;Rは、ヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基であり、そしてgは、1、2または3であるが、但し、少なくとも1個のR基は、8個またはそれ以上の炭素原子を含有する;ここで、該化合物は、平均して、式(I)または式(III)の少なくとも1個の単位および式(II)または式(IV)の少なくとも1個の単位を含有し、そして該化合物中の単位(I)および(III)の全数と単位(II)および(IV)の全数との比は、約0.1:1〜約2:1である、
組成物。
【請求項2】
さらに、少なくとも1種の他の性能添加剤を含有し、該性能添加剤が、分散剤、酸化防止剤、発泡防止剤、解乳化剤、摩擦調整剤および粘度調整剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記成分(a)が、約0.01重量%〜約40重量%で存在しており、前記潤滑粘性のあるオイルが、約99.99重量%までで存在しており、ここで、他の性能添加剤が、該組成物の0重量%〜約30重量%で存在している、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物の全イオウ含量が、約0.5重量%未満であり、ここで、該組成物の全リン含量が、約0.07重量%未満であり、ここで、該組成物の全硫酸塩灰分含量が、約1.5重量%未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記全イオウ含量が、約0.1重量%未満であり、ここで、前記全リン含量が、約100ppmまたはそれ以下であり、ここで、前記全硫酸塩灰分含量が、約0.08重量%未満である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
成分の反応生成物(a)が、成分(a)(i)、(a)(ii)および(a)(iii)金属含有塩基の反応生成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
(a)(ii)が、(1)アミノ含有イミンまたはそれらの反応性等価物;(2)アンモニアまたはそれらの反応性等価物;(3)モノアミン;(4)ポリアミン;(5)窒素含有複素環;(6)アミノアルコール;(7)テトラアルキルアンモニウム塩;および(8)非複素環芳香族アミンからなる群から選択される少なくとも1種のメンバーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(a)(ii)(1)が、グアニジン、アミノグアニジン、1,3−ジアミノグアニジン、アセトアミジン、ホルムアミジン、ベンズアミジン、3−アミノ−ベンズアミジンおよび4−アミノ−ベンズアミジン、ならびにそれらの反応性等価物からなる群から選択される少なくとも1種のメンバーである、請求項に記載の組成物。
【請求項9】
(a)(ii)(3)が、ヒドロカルビル置換第一級モノアミン、ヒドロカルビル置換第二級モノアミンまたはヒドロカルビル置換第三級モノアミンまたはそれらの混合物である、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
(a)(ii)(4)が、アルキレンジアミン、ポリエチレンポリアミンまたはそれらの混合物である、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
(a)(ii)(5)が、ピロール、ピロリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピペラジン、ピラゾール、オキサゾール、ピリジン、ピペリジン、ピリミジン、プリン、ベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール、キノリン、イソキノリン、カルバゾールまたはそれらの混合物である、請求項に記載の組成物。
【請求項12】
(a)(ii)(6)が、1個〜6個の水酸基、1個〜8個のアミノ基および2個〜50個の炭素原子を含有するアミノアルコールである、請求項に記載の組成物。
【請求項13】
前記アミノアルコールが、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミンまたはそれらの混合物である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
成分(a)が、金属を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の組成物を調製する方法であって、
(a)反応物(a)(i)および(a)(ii)を加熱する工程;
(b)必要に応じて、工程(a)の生成物を真空下で保持する工程;および
(c)工程(a)または(b)の生成物を潤滑粘性のあるオイルに加える工程、
を包含する、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法により調製された、生成物。
【請求項17】
内燃機関を潤滑する方法であって、請求項1に記載の組成物を該内燃機関に供給する工程を包含する、方法。
【請求項18】
内燃機関に、清浄度、摩耗および排気からなる群から選択される1つまたはそれ以上の性能特性の改良を加えるための、請求項1に記載の組成物の使用。
【請求項19】
以下の(a)を含有する、組成物:
(a)以下の(i)および(ii)の無イオウ反応生成物:
(i)ヒドロカルビル置換芳香族化合物であって、該化合物は、カルボキシルおよび/またはヒドロキシル酸性基を含有し、そして(1)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒドおよびカルボキシル置換フェノールのオリゴマー反応生成物;(2)ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒドおよびカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;およびそれらの混合物からなる群から選択される、ヒドロカルビル置換芳香族化合物;ならびに
(ii)アンモニアまたは有機窒素含有塩基であって、該アンモニアまたは塩基は、(a)(i)の該酸基と反応される、アンモニアまたは有機窒素含有塩基。
【請求項20】
前記無イオウ反応生成物が中和されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
以下の(a)および(b)を含有する、組成物:
(a)以下の(i)、(ii)および(iii)の無イオウ反応生成物:
(i)ヒドロカルビル置換芳香族化合物であって、該化合物は、カルボキシル基、水酸基およびそれらの混合物からなる群から選択される酸基を含有する、ヒドロカルビル置換芳香族化合物;
(ii)アンモニアまたは有機窒素含有塩基であって、該アンモニアまたは塩基は、該酸基と反応される;および
(iii)金属含有塩基;ならびに
(b)潤滑粘性のあるオイル。

【公表番号】特表2006−515384(P2006−515384A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501053(P2006−501053)
【出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/001442
【国際公開番号】WO2004/065530
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】