説明

無端ベルトの製造方法及び装着方法

【課題】広い範囲にわたって設置されるベルト装置に容易に金属製無端ベルトを供給し又は装着することを可能にする手段を提供する。
【解決手段】無端スチールベルトの製造においては、専用の加工施設で、ベルト材料1の第1の広がり面2を、両端の非研磨部3、4を除いて研磨し、所定の研磨量の研磨部Pを形成する。次に、ベルト材料1をボビンに巻き付けて、加工施設からベルト装置の配設場所へ輸送する。ベルト装置の配設場所では、両端部が下側のベルト走行位置に位置するようにベルト材料1をベルト装置のドラムに巻き掛ける。次に、ベルト材料1のベルト長手方向の長さが所定のベルト有効長となるように各非研磨部3、4の一部を切除した後、両端部を溶接してベルト材料1を無端ベルトにする。この後、無端ベルトの第1の広がり面2の研磨部P以外の部分を、研磨部Pと同一の研磨量となるように研磨する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転可能な複数のドラムに巻き掛けられて周回走行するベルト装置用の無端ベルトの製造方法と、該無端ベルトのベルト装置への装着方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転可能な複数のドラムと、これらのドラムに巻き掛けられて周回走行する金属製の無端ベルトとを備えたベルト装置は、化学工業や食品工業をはじめとして種々の工業分野において、例えば液状の原料を固化させてフィルム状あるいは粒子状の製品を製造するのに広く用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。そして、例えばキャスティング法によりプラスチックフィルム等のフィルム状の製品を製造するためのベルト装置では、表面に鏡面加工が施された金属製の無端ベルト、例えば鏡面加工が施された無端スチールベルトが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−314358号公報
【特許文献2】特開2005−001008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鏡面加工が施された無端スチールベルトを用いたベルト装置で、例えばキャスティング法によりフィルム状の製品を製造する場合、表面状態の優れた製品を製造するためには、製品に要求される表面状態に相応する優れた表面状態の無端スチールベルトを用いる必要がある。しかしながら、無端スチールベルトの鏡面加工は極めて高度な加工技術を必要とするので、精度の高い鏡面加工はそれ専用の加工施設で行わざるを得ない。他方、鏡面加工が施された無端スチールベルトないしはこれを用いたベルト装置の設置場所は、非常に広い範囲にわたって(例えば世界的規模で)存在する。
【0005】
しかしながら、この種の無端スチールベルトは、その寸法が大きく(例えば、全周長が数メートル〜数百メートル)、非常にかさばる形状をもち、かつ重量が大きいので、その輸送はかなり困難である。このため、精度の高い鏡面加工が施された無端スチールベルトベルトを、広い範囲にわたって設置されるベルト装置の設置場所に輸送してベルト装置に装着するのは非常に困難であるといった問題がある。なお、このような問題は無端スチールベルトベルト以外の金属製無端ベルトでも生じることはもちろんである。
【0006】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、広い範囲にわたって設置されるベルト装置に容易に金属製無端ベルトを供給しあるいは装着することを可能にする手段を提供することを目的ないしは解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の第1の態様に係るベルト装置用の無端ベルトの製造方法は、次の各ステップを有することを特徴とする。なお、本願における無端ベルトは、ベルト装置の自転可能な複数(例えば2つ)のドラムに巻き掛けられて周回走行するものである。
(1)ベルト装置の配設場所と離間した加工場所(加工施設)で、帯状の金属製ベルト材料の第1の広がり面をベルト材料両端部近傍の各非研磨部を除いて研磨し、予め設定された研磨量ないしは研磨深さ(例えば20〜100μmの範囲内)で研磨された、ベルト長手方向の長さが予め設定されたベルト有効長よりも短い研磨部を形成するステップ。
(2)研磨部が形成されたベルト材料を、加工場所からベルト装置の配設場所へ輸送するステップ。
(3)ベルト装置の配設場所で、ベルト材料両端部が下側のベルト走行位置に位置するとともに、第1の広がり面が外側を向く一方、第1の広がり面と反対側の第2の広がり面が内側を向くように、ベルト材料をベルト装置の複数のドラムに巻き掛けるステップ。
(4)ベルト材料のベルト長手方向の長さがベルト有効長となるように、両非研磨部のうちの少なくとも一方の一部を切除した後、ベルト材料両端部を第2の広がり面側から溶接してベルト材料を無端ベルトにするステップ。
(5)溶接部が上側のベルト走行位置に位置するよう無端ベルトを周回走行させた後、無端ベルトの研磨部以外の部分を、第1の広がり面側から、研磨部と同一の研磨量となるように研磨するステップ。
【0008】
本発明の第2の態様に係る無端ベルトの製造方法は、次の各ステップを有することを特徴とする。
(1)帯状の金属製ベルト材料の第1の広がり面をベルト材料両端部近傍の各非研磨部を除いて研磨し、予め設定された研磨量ないしは研磨深さ(例えば20〜100μmの範囲内)で研磨された、ベルト長手方向の長さが予め設定されたベルト有効長よりも短い研磨部を形成するステップ。
(2)研磨部が形成されたベルト材料を、ベルト材料両端部が下側に位置するとともに、第1の広がり面が外側を向く一方、第1の広がり面と反対側の第2の広がり面が内側を向くようにして輪形(輪状)に配置するステップ。
(3)ベルト材料のベルト長手方向の長さがベルト有効長となるように、両非研磨部のうちの少なくとも一方の一部を切除した後、ベルト材料両端部を第2の広がり面側から溶接してベルト材料を無端ベルトにするステップ。
(4)溶接部が上側に位置するよう無端ベルトを移動(周回)させた後、無端ベルトの研磨部以外の部分(すなわち、溶接部及びベルト材料の要研磨部)を、第1の広がり面側から、研磨部と同一の研磨量となるように研磨するステップ。
【0009】
本発明の第1又は第2の態様に係る無端ベルトの製造方法においては、残存する各非研磨部のベルト長手方向の長さと、該非研磨部と研磨部との間に形成される不完全研磨部のベルト長手方向の長さの合計は、100〜500mmの範囲内であるのが好ましい。
【0010】
本発明の第3の態様に係る無端ベルトの製造方法は、次の各ステップを有することを特徴とする。
(1)帯状の金属製ベルト材料を、ベルト長手方向の長さが予め設定されたベルト有効長となるように切断するステップ。
(2)ベルト材料を、ベルト材料両端部が互いに近接して下側に位置するとともに、第1の広がり面が外側を向く一方、第1の広がり面と反対側の第2の広がり面が内側を向くようにして輪形(輪状)に配置するステップ。
(3)ベルト材料両端部を第2の広がり面側から溶接してベルト材料を無端ベルトにするステップ。
(4)溶接部が上側に位置するよう無端ベルトを移動(周回)させた後、溶接部を、予め設定された研磨量ないしは研磨深さ(例えば20〜100μm)となるよう第1の広がり面側から研磨するステップ。
(5)溶接部の研磨量と同一の研磨量となるように、第1の広がり面を研磨するステップ。
【0011】
本発明に係る無端ベルトの装着方法は、次の各ステップを有することを特徴とする。
(1)ベルト装置の配設場所と離間した加工場所で、本発明の第2又は第3の態様に係る無端ベルトの製造方法により無端ベルトを製造するステップ。
(2)無端ベルトを加工場所からベルト装置の配設場所へ輸送するステップ。
(3)ベルト装置の配設場所で、無端ベルトを、ベルト装置の複数のドラムに巻き掛けて装着するステップ。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の態様に係る無端ベルトの製造方法によれば、所定の加工場所でベルト材料の第1の広がり面の大部分に高精度の研磨ないしは鏡面加工を容易に施すことができ、このベルト材料をベルト装置の配設場所に輸送し、ベルト装置の配設場所でベルト材料を切断・溶接した後に溶接部及び要研磨部のみに研磨を施すことにより無端ベルトを完成させると同時にこれをベルト装置に装着することができる。このため、広い範囲にわたって設置されるベルト装置に容易に無端ベルトを供給し又は装着することができる。
【0013】
本発明の第2又は第3の態様に係る無端ベルトの製造方法によれば、所定の加工場所でベルト材料の第1の広がり面に高精度の研磨ないしは鏡面加工を容易に施して無端ベルトを製造した後、この無端ベルトを任意の場所に輸送し、広い範囲にわたって設置されるベルト装置に容易に無端ベルトを供給し又は装着することができる。
【0014】
本発明に係る無端ベルトの装着方法によれば、所定の加工場所で高精度の研磨ないしは鏡面加工が施された無端ベルトを配設場所に輸送した後、ベルト装置の配設場所で無端ベルトを容易にベルト装置に装着することができる。このため、広い範囲にわたって設置されるベルト装置に容易に無端ベルトを供給しあるいは装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1に係る無端スチールベルトの製造過程におけるスチールベルト材料の第1の広がり面の研磨手法を示す模式的な側面図である。
【図2】実施形態1に係る無端スチールベルトの製造過程におけるスチールベルト材料のボビンへの巻き付け手法を示す模式的な斜視図である。
【図3】実施形態1に係る無端スチールベルトの製造過程におけるスチールベルト材料の溶接手法を示す模式的な側面図である。
【図4】実施形態1に係る無端スチールベルトの製造過程における無端スチールベルトの溶接部及び要研磨部の研磨手法を示す模式的な側面図である。
【図5】溶接部及び要研磨部が研磨された実施形態1に係る無端スチールベルトの研磨状態を示す模式的な側面図である。
【図6】実施形態2に係る無端スチールベルトの製造過程におけるスチールベルト材料の第1の広がり面の研磨手法を示す模式的な側面図である。
【図7】実施形態2に係る無端スチールベルトの製造過程におけるスチールベルト材料の溶接手法を示す模式的な側面図である。
【図8】実施形態2に係る無端スチールベルトの製造過程における無端スチールベルトの溶接部及び要研磨部の研磨手法を示す模式的な側面図である。
【図9】溶接部及び要研磨部が研磨された実施形態2に係る無端スチールベルトの研磨状態を示す模式的な側面図である。
【図10】(a)及び(b)は、実施形態2に係る無端スチールベルトの製造過程における無端スチールベルトのボビンへの巻き付け手法を示す模式的な斜視図である。
【図11】実施形態3に係る無端スチールベルトの製造過程におけるスチールベルト材料の切断手法を示す模式的な側面図である。
【図12】実施形態3に係る無端スチールベルトの製造過程におけるスチールベルト材料の溶接手法を示す模式的な側面図である。
【図13】実施形態3に係る無端スチールベルトの製造過程におけるスチールベルト材料の第1の広がり面の研磨手法を示す模式的な側面図である。
【図14】溶接部及び第1の広がり面が研磨された実施形態3に係る無端スチールベルトの研磨状態を示す模式的な側面図である。
【図15】(a)及び(b)は、実施形態3に係る無端スチールベルトの製造過程における無端スチールベルトのボビンへの巻き付け手法を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態1〜3を具体的に説明する。なお、実施形態1〜3では、外側の広がり面に鏡面加工が施された無端スチールベルト(エンドレススチールベルト)の製造方法ないしは該無端スチールベルトのベルト装置への装着方法について説明を行うが、本発明はこのような無端スチールベルトの製造方法又は装着方法に限定されるものではなく、その他の種々の金属製の無端ベルトの製造方法又は装着方法にも応用することができるのはもちろんである。
【0017】
実施形態1〜3に係る製造方法により製造される無端スチールベルトないしはこれを用いたベルト装置は、例えば、化学工業や食品工業をはじめとして種々の工業分野において、キャスティング法によるプラスチックフィルム等のフィルム状の製品の製造等に用いられる。キャスティング法は、溶融したプラスチック材料等を無端スチールベルトの上で固化させてフィルム状の製品を製造する方法であり、薄いフィルムの成膜が可能であり、厚さの均一性、平面性あるいは光沢性等に優れたフィルム状の製品を製造することができるといった特長をもつ。なお、本発明に係る無端スチールベルトないしはこれを用いたベルト装置の応用分野は、キャスティング法によるフィルム状の製品の製造に限定されるものではなく、その他の種々の製品の製造に応用することができるのはもちろんである。
【0018】
キャスティング法によりフィルム状の製品を製造するベルト装置は、従来は写真用フィルムの製造等に用いられてきたが、近年では、液晶ディスプレイ、デジタルカメラ、携帯電話などの電子機器で使用されるプラスチックフィルムの製造に広く用いられている。なお、このようなプラスチックフィルムの材料としては、セルローストリアセテート(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン(PP)などが用いられる。
【0019】
このように、キャスティング法で表面状態の優れたフィルム状の製品を製造するためには、製品に要求される表面状態に相応する優れた表面状態の無端スチールベルトを用いる必要がある。本発明に係る無端スチールベルトの製造方法ないしは装着方法は、製品に要求される表面状態に応じて、無端スチールベルトの材料(以下「スチールベルト材料」という。)を鏡面状態に研磨することにより、種々のグレードないしは精度の表面状態ないしは表面仕上げの無端スチールベルトを製造することができるものである。
【0020】
スチールベルト材料としては、例えば、オーステナイト系ステンレススチール、マルテンサイト系スチール等からなる帯状の材料を用いることができる。なお、本明細書において、「帯状」との語は、その長手方向の両端部が連結されていない(すなわち、輪形ないしは輪状でない)形態を意味する。また、アルゴン酸素脱炭法によるAOD材も用いることができる。なお、とくに高グレードの表面状態の無端スチールベルトを製造する場合は、介在物(不純物)を最小限にコントロールした素材であるESR材(エレクトロスラグ再溶解法による)が用いられる。無端スチールベルトの幅は一般的には100〜3000mmの範囲内であり、全長は一般的には2〜80mの範囲内であり、厚さは一般的には0.2〜2.0mmの範囲内である。なお、無端スチールベルトの寸法が、これらの数値範囲のものに限定されるものでないことはもちろんである。
【0021】
無端スチールベルトの表面状態のグレードないしは仕様は、通常、許容される介在物のサイズ及び個数、表面粗度値でもって定義される。表1に、かかる表面状態のグレードないしは仕様の一例を示す。なお、表1において、グレードはその数値が大きいほど表面状態が良好ないしは精密である。ここで、グレード0は梱包材など表面仕様がさほど厳しくないアプリケーションに用いられ、グレード3は高い表面仕様が要求されるLCDディスプレイ用フィルムなどのアプリケーションに用いられる。
【0022】
〔表1〕
表1 表面状態のグレード



【0023】
(実施形態1)
以下、図1〜図5を参照しつつ、本発明の実施形態1に係る無端スチールベルトの製造方法ないしは装着方法を具体的に説明する。この無端スチールベルトは、一般にベルト装置において、電動機等によって回転駆動されて自転する駆動ドラムと、駆動源には連結されないが自在に自転することができる従動ドラムとに巻き掛けられて周回走行する。なお、3つ以上のドラムに巻き掛けられることがありうるのはもちろんである。
【0024】
図1に示すように、実施形態1に係る無端スチールベルトの製造方法ないしは装着方法においては、まず無端スチールベルト用の各種材料に任意のグレードの高度な鏡面加工を施すことができる専用の加工施設(加工場所)で、帯状のスチールベルト材料1の第1の広がり面2を、ベルト材料両端部近傍の各非研磨部3、4を除いて研磨し、予め設定された研磨量ないしは研磨深さで研磨された、ベルト長手方向(図1中の位置関係では左右方向)の長さが予め設定されたベルト有効長よりも短い研磨部P(ポリッシュ領域)を形成する。ここで、研磨量は、例えば20〜100μmの範囲内の所定の値(一定値)に設定される。なお、スチールベルト材料1の第1の広がり面2とは反対側に位置する第2の広がり面5は研磨されない。
【0025】
ここで、「ベルト有効長」は、所望の寸法の無端スチールベルトを製造するために必要なスチールベルト材料の適切なベルト長を意味し、具体的には完成後の無端スチールベルトのベルト走行方向の長さ(周長)、すなわちベルト装置のベルト走行経路の全長よりも、スチールベルト材料1の両端部を溶接するのに必要な間隙分だけ短い長さを意味する。なお、このベルト有効長の定義は、実施形態2、3においても当てはまるものである。
【0026】
このように研磨部Pが形成されたスチールベルト材料1の第1の広がり面2においては、研磨部Pと各非研磨部3、4との間には、それぞれ、研磨部Pから非研磨部3、4への遷移領域ないしは過渡領域である、研磨量が予め設定された研磨量に満たない不完全研磨部Qが存在する。
【0027】
ここで、研磨部Pのベルト長手方向の長さと両不完全研磨部Qのベルト長手方向の長さの合計はベルト有効長よりも短くなっている。したがって、スチールベルト材料1を、ベルト有効長に対応する部分以外の部分を切除するように切断した場合、切断後のスチールベルト材料1の両端部近傍には、それぞれ、不完全研磨部Qと残存する非研磨部3、4とからなる要研磨部Rが存在する。各要研磨部Rは、後で説明するように、ベルト装置8(図3参照)の配設場所で研磨部Pと同一の研磨量となるように研磨されるべき領域であり、そのベルト長手方向の長さは100〜500mmの範囲内であるのが好ましい。
【0028】
次に、図2に示すように、加工施設において、スチールベルト材料1の第1の広がり面2の研磨された部分にプロテクションテープ(図示せず)を取り付けて該部分を保護した上で、スチールベルト材料1をボビン6に巻き付ける。なお、スチールベルト材料1は、研磨された第1の広がり面2が内側を向き、研磨されていない第2の広がり面5が外側を向くようにしてボビン6に巻き付けるのが好ましい。ボビン6は円柱状ないしは円筒状の胴部6aを有し、この胴部6aの軸方向の両端部にはそれぞれフランジ6bが付設されている。胴部6aの直径は、例えば1000〜1500mmの範囲内に設定するのが好ましい。
【0029】
このようにボビン6に巻き付けられてコンパクトな形態となったスチールベルト材料1を、梱包ケース7内に収容して梱包し、このスチールベルト材料1を使用するベルト装置8(図3参照)の配設場所へ輸送する。前記のとおり、スチールベルト材料1は梱包されてコンパクトな形態となっているので、ベルト装置8(図3参照)の配設場所が加工施設から遠距離を隔てたところにある場合でも、普通の小型の輸送手段(例えばトラック)によりスチールベルト材料1を容易にベルト装置8(図3参照)の配設場所へ輸送することができる。
【0030】
図3に示すように、ベルト装置8の配設場所では、まず梱包ケース7の梱包を解いた上で、スチールベルト材料1をボビン6から取り外す。そして、帯状のスチールベルト材料1を、ベルト装置8の駆動ドラム9と従動ドラム10とに巻き掛ける。その際、スチールベルト材料1を、その長手方向の両端部が下側のベルト走行位置L1に位置するとともに、第1の広がり面2が外側を向く一方第2の広がり面5が内側を向くように配置する。なお、スチールベルト材料1のベルト長手方向の全長は、ベルト装置8のベルト走行経路の全長よりやや長くなるように好ましく設定されている。
【0031】
次に、ベルト装置8の配設場所で、スチールベルト材料1のベルト長手方向の全長がベルト有効長となるように、すなわちスチールベルト材料1の長手方向の両端部を互いに溶接するのに適した間隙が形成される長さとなるように、両非研磨部3、4の先端近傍部(非研磨部3、4の一部)を切除する。なお、一方の非研磨部3、4のみの先端近傍部(非研磨部3、4の一部)を切除するようにしてもよい。この後、スチールベルト材料1の両端部を、矢印P1で示すように、第2の広がり面5(内面)側から、すなわち上側から溶接する。これにより、スチールベルト材料1の両端部間の間隙が溶接部11(溶接ビード)によって接続され、帯状のスチールベルト材料1は、未完成の無端スチールベルト12となる(図4参照)。
【0032】
そして、図4に示すように、溶接部11が上側のベルト走行位置H1に位置するように、未完成の無端スチールベルト12を周回走行させる。次に、矢印Q1で示すように、第1の広がり面2側(外面側)から、すなわち上側から、無端スチールベルト12の研磨部P以外の部分を、研磨部Pと同一の研磨量となるように研磨する。換言すれば、溶接部11と要研磨部R(すなわち、不完全研磨部Q及び残存している非研磨部3、4)とを、第1の広がり面2側から研磨部Pと同一の研磨量となるように研磨する。この後、無端スチールベルト12からプロテクションテープ(図示せず)を取り外す。なお、プロテクションテープは、溶接部11及び要研磨部Rの研磨の前に取り外してもよく、またスチールベルト材料1を駆動ドラム9と従動ドラム10とに巻き掛ける前に取り外してもよい。
【0033】
かくして、図5に示すように、第1の広がり面2(外面)は全面的にかつ均一に研磨され、無端スチールベルト12が完成する。すなわち、無端スチールベルト12の製造が完了するとともに、無端スチールベルト12のベルト装置8への装着が完了する。なお、研磨後の無端スチールベルト12の厚さ偏差は、鏡面加工のグレードに応じて、40μm以下又は50μm以下となる(表1参照)。
【0034】
実施形態1に係る無端スチールベルト12の製造方法ないしは装着方法によれば、専用の加工施設でスチールベルト材料1の第1の広がり面2のほぼ全体に任意のグレードの高精度の研磨ないしは鏡面加工を容易に施すことができる。そして、ボビン6を用いてこのスチールベルト材料1を容易にベルト装置8の配設場所に輸送することができる。さらに、ベルト装置8の配設場所でスチールベルト材料1を切断・溶接した後に、溶接部11及び要研磨部Rのみに研磨を施すことにより、無端スチールベルト12を製造すると同時にこれをベルト装置8に装着することができる。このため、広い範囲にわたって設置されるベルト装置8に容易に無端スチールベルト12を供給し又は装着することができる。
【0035】
(実施形態2)
以下、図6〜図10を参照しつつ、本発明の実施形態2に係る無端スチールベルトの製造方法ないしは装着方法を具体的に説明する。なお、図示していないが、実施形態2におけるベルト装置の構成、及びベルト装置における無端スチールベルトの機能は実施形態1の場合と同様である。
【0036】
図6に示すように、実施形態2に係る無端スチールベルトの製造方法ないしは装着方法においては、まず無端スチールベルト用の各種材料に任意のグレードの高度な鏡面加工を施すことができる専用の加工施設で、帯状のスチールベルト材料21の第1の広がり面22を、ベルト材料両端部近傍の各非研磨部23、24を除いて研磨し、予め設定された研磨量ないしは研磨深さで研磨された、ベルト長手方向(図6中の位置関係では左右方向)の長さが予め設定されたベルト有効長よりも短い研磨部S(ポリッシュ領域)を形成する。ここで、研磨量は、例えば20〜100μmの範囲内の所定の値(一定値)に設定される。なお、スチールベルト材料21の第1の広がり面22とは反対側に位置する第2の広がり面25は研磨されない。この後、スチールベルト材料21の第1の広がり面22の研磨された部分にプロテクションテープ(図示せず)を取り付けて該部分を保護する。
【0037】
このように研磨部Sが形成されたスチールベルト材料21の第1の広がり面22においては、実施形態1の場合と同様に、研磨部Sと各非研磨部23、24との間に、それぞれ、研磨部Sから非研磨部23、24への遷移領域ないしは過渡領域である、研磨量が予め設定された研磨量に満たない不完全研磨部Tが存在する。そして、実施形態1の場合と同様に、研磨部Sのベルト長手方向の長さと両不完全研磨部Tのベルト長手方向の長さの合計はベルト有効長よりも短くなっている。
【0038】
このため、スチールベルト材料21を、ベルト有効長に対応する部分以外の部分を切除するように切断した場合、切断後のスチールベルト材料21の両端部近傍には、それぞれ、不完全研磨部Tと残存する非研磨部23、24とからなる要研磨部Uが存在する。各要研磨部Uは、後で説明するように、ベルト装置の配設場所で研磨部Sと同一の研磨量となるように研磨されるべき部分であり、そのベルト長手方向の長さは100〜500mmの範囲内であるのが好ましい。
【0039】
次に、図7に示すように、加工施設において、帯状のスチールベルト材料21を、複数のハンガ26a、26b、26cを用いて、横長の輪形となるように保持する。この横長の輪形は、該無端スチールベルトが装着されるベルト装置におけるベルト走行経路と同様又は近似の形状とするのが好ましい。なお、図7に示す例では3つのハンガ26a、26b、26cを用いているが、ハンガの数は3つに限定されるわけではなく、スチールベルト材料21の長さに応じて好ましく設定される。ここで、スチールベルト材料21は、その両端部が輪形の下側の位置L2に位置するとともに、第1の広がり面22が輪形の外側を向く一方、第2の広がり面25が輪形の内側を向くように配置する。なお、スチールベルト材料21のベルト長手方向の全長は、ベルト装置のベルト走行経路の全長よりやや長くなるように設定されている。
【0040】
次に、加工施設において、スチールベルト材料21のベルト長手方向の全長が予め設定されたベルト有効長となるように、両非研磨部23、24の先端近傍部(非研磨部23、24の一部)を切除する。なお、一方の非研磨部23、24のみの先端近傍部(非研磨部23、24の一部)を切除するようにしてもよい。この後、スチールベルト材料21の両端部を、矢印P2で示すように、第2の広がり面25側(内面側)から、すなわち上側から溶接する。これにより、スチールベルト材料21の両端部間の間隙が溶接部31(溶接ビード)によって接続され、帯状のスチールベルト材料21は、未完成の無端スチールベルト32となる(図8参照)。
【0041】
そして、図8に示すように、溶接部31が輪形の上側の位置H2に位置するよう、未完成の無端スチールベルト32を周回させる。次に、矢印Q2で示すように、第1の広がり面22側(外面側)から、すなわち上側から、無端スチールベルト32の研磨部S以外の部分を、研磨部Sと同一の研磨量となるように研磨する。換言すれば、溶接部31と要研磨部U(すなわち、不完全研磨部T及び残存している非研磨部23、24)とを、第1の広がり面22側から研磨部Sと同一の研磨量となるように研磨する。かくして、図9に示すように、第1の広がり面22(外面)は全面的に研磨され、無端スチールベルト32が完成する。すなわち、無端スチールベルト32の製造が完了する。なお、研磨後の無端スチールベルト12の厚さ偏差は、鏡面加工のグレードに応じて、40μm以下又は50μm以下となる(表1参照)。
【0042】
次に、図10(a)、(b)に示すように、無端スチールベルト32の第1の広がり面22の一部分(ほぼ全部)に取り付けられているプロテクションテープを新たなプロテクションテープと交換して研磨された第1の広がり面22を全面的に保護した上で、無端スチールベルト32を3つのボビン33a、33b、33cに巻き付ける。なお、このプロテクションテープの交換は省略してもよい。これらのボビン33a、33b、33cは円柱状ないしは円筒状であり、その直径は例えば1000〜1500mmの範囲内に設定するのが好ましい。なお、図10(a)、(b)に示す例では、ボビン33a、33b、33cにフランジは設けられていないが、図2に示すボビン6のようにフランジを設けてもよい。
【0043】
ここで、無端スチールベルト32は、その長手方向の端部が存在しないので、実用上、単一のボビンに巻き付けることができない(無理に巻き付ければ無端スチールベルト32が折れ曲がる)。そこで、図10(a)、(b)に示すように、3つのボビン33a、33b、33cを用いている。これにより、任意の長さの無端スチールベルト32を、折れ曲がらせることなくボビン33a、33b、33cに巻き付けることができる。そして、3つのボビン33a、33b、33cは、無端スチールベルト32を巻き付けた後、連結具34を用いてその相対的な位置が固定される。3つのボビン33a、33b、33cは、図10(a)に示す例では1列に並んで固定され、図10(b)に示す例では俵積み状に積み重ねて固定されている。
【0044】
この後、3つのボビン33a、33b、33cに巻き付けられてコンパクトな形態となった無端スチールベルト32を、梱包ケース35内に収容して梱包し、この無端スチールベルト32を使用するベルト装置の配設場所へ輸送する。そして、ベルト装置の配設場所で、梱包ケース35の梱包を解いて、無端スチールベルト32をボビン33a、33b、33cから取り外す。さらに、無端スチールベルト32をベルト装置の駆動ドラムと従動ドラムとに巻き掛け、無端スチールベルト32からプロテクションテープを取り外す。これにより、無端スチールベルト32のベルト装置への装着が完了する。
【0045】
実施形態2に係る無端スチールベルト32の製造方法ないしは装着方法によれば、専用の加工施設でスチールベルト材料21の第1の広がり面22に任意のグレードの高精度の研磨ないしは鏡面加工を容易に施すことができる。そして、3つのボビン33a、33b、33cを用いてこの無端スチールベルト32を容易にベルト装置の配設場所へ輸送することができる。さらに、ベルト装置の配設場所で無端スチールベルト32を容易にベルト装置に装着することができる。このため、広い範囲にわたって設置されるベルト装置に容易に無端スチールベルト32を供給しあるいは装着することができる。
【0046】
(実施形態3)
以下、図11〜図15を参照しつつ、本発明の実施形態3に係る無端スチールベルトの製造方法ないしは装着方法を具体的に説明する。なお、図示していないが、実施形態3におけるベルト装置の構成、及びベルト装置における無端スチールベルトの機能は実施形態1の場合と同様である。
【0047】
図11に示すように、実施形態3に係る無端スチールベルトの製造方法ないしは装着方法においては、無端スチールベルト用の各種材料に任意のグレードの高度な鏡面加工を施すことができる専用の加工施設で、帯状のスチールベルト材料41を、そのベルト長手方向の全長が予め設定されたベルト有効長となるように切断する。
【0048】
そして、図12に示すように、加工施設において、予め設定された長さに切断された帯状のスチールベルト材料41を、複数のハンガ44a、44b、44cを用いて、横長の輪形となるように保持する。この横長の輪形は、該無端スチールベルトが装着されるベルト装置におけるベルト走行経路と同様又は近似の形状とするのが好ましい。なお、図12に示す例では3つのハンガ44a、44b、44cを用いているが、ハンガの数は3つに限定されるわけではなく、スチールベルト材料41の長さに応じて好ましく設定される。ここで、スチールベルト材料41は、その両端部が輪形の下側の位置L3に位置するとともに、第1の広がり面22が輪形の外側を向く一方、第2の広がり面43が輪形の内側を向くように配置する。
【0049】
次に、加工施設において、スチールベルト材料41の両端部を、矢印P3で示すように、第2の広がり面43側(内面側)から、すなわち上側から溶接する。これにより、スチールベルト材料41の両端部間の間隙が溶接部45(溶接ビード)によって接続され、帯状のスチールベルト材料41は未完成の無端スチールベルト46となる。
【0050】
さらに、図13に示すように、加工施設において、溶接部45が輪形の上側の位置H3に位置するよう、未完成の無端スチールベルト46を周回させる。続いて、矢印Q3で示すように、無端スチールベルト46の溶接部45を、予め設定された研磨量ないしは研磨深さとなるよう第1の広がり面42側から研磨する。ここで、研磨量は、例えば20〜100μmの範囲内の所定の値(一定値)に設定される。
【0051】
次に、溶接部45の研磨量と同一の研磨量となるように、第1の広がり面42を研磨する。つまり、実施形態3では、溶接部45の研磨量を基準にして第1の広がり面42を研磨する。なお、無端スチールベルト46の第2の広がり面43は研磨されない。かくして、図14に示すように、無端スチールベルト46が完成する。すなわち、無端スチールベルト46の製造が完了する。なお、研磨後の無端スチールベルト42の厚さ偏差は、鏡面加工のグレードに応じて、40μm以下又は50μm以下となる(表1参照)。
【0052】
次に、図15(a)、(b)に示すように、無端スチールベルト46の研磨された第1の広がり面42にプロテクションテープを取り付けて第1の広がり面42を保護した上で、無端スチールベルト46を3つのボビン47a、47b、47cに巻き付ける。これらのボビン47a、47b、47cは円柱状ないしは円筒状であり、その直径は例えば1000〜1500mmの範囲内に設定するのが好ましい。なお、図15(a)、(b)に示す例では、ボビン47a、47b、47cにフランジは設けられていないが、図2に示すボビン6のようにフランジを設けてもよい。
【0053】
3つのボビン47a、47b、47cを用いる理由は実施形態2の場合と同様である。そして、3つのボビン47a、47b、47cは、無端スチールベルト46を巻き付けた後、連結具48を用いてその相対的な位置が固定される。3つのボビン47a、47b、47cは、図15(a)に示す例では1列に並んで固定され、図15(b)に示す例では俵積み状に積み重ねて固定されている。
【0054】
この後、3つのボビン47a、47b、47cに巻き付けられてコンパクトな形態となった無端スチールベルト46を、梱包ケース49内に収容して梱包し、この無端スチールベルト46を使用するベルト装置の配設場所へ輸送する。そして、ベルト装置の配設場所で、梱包ケース49の梱包を解き、無端スチールベルト46をボビン47a、47b、47cから取り外す。さらに、無端スチールベルト46をベルト装置の駆動ドラムと従動ドラムとに巻き掛け、無端スチールベルト46からプロテクションテープを取り外す。これにより、無端スチールベルト46のベルト装置への装着が完了する。
【0055】
実施形態3に係る無端スチールベルト46の製造方法ないしは装着方法によれば、専用の加工施設でスチールベルト材料41の第1の広がり面42に任意のグレードの高精度の研磨ないしは鏡面加工を容易に施すことができる。そして、そして、3つのボビン47a、47b、47cを用いてこの無端スチールベルト46を容易にベルト装置の配設場所に輸送することができる。さらに、ベルト装置の配設場所で無端スチールベルト46を容易にベルト装置に装着することができる。このため、広い範囲にわたって設置されるベルト装置に容易に無端スチールベルト46を供給しあるいは装着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明にかかる無端ベルトの製造方法又は装着方法は、無端スチールベルトの製造方法又は装着方法として有用であり、とくにキャスティング法によりフィルム状の製品を製造するベルト装置のための無端ベルトとして用いるのに適している。
【符号の説明】
【0057】
1 スチールベルト材料、2 第1の広がり面、3 非研磨部、4 非研磨部、5 第2の広がり面、6 ボビン、6a 胴部、6b フランジ、7 梱包ケース、8 ベルト装置、9 駆動ドラム、10 従動ドラム、11 溶接部(溶接ビード)、12 無端スチールベルト、21 スチールベルト材料、22 第1の広がり面、23 非研磨部、24 非研磨部、25 第2の広がり面、26a ハンガ、26b ハンガ、26c ハンガ、31 溶接部(溶接ビード)、32 無端スチールベルト、33a ボビン、33b ボビン、33c ボビン、34 連結具、35 梱包ケース、41 スチールベルト材料、42 第1の広がり面、43 第2の広がり面、44a ハンガ、44b ハンガ、44c ハンガ、45 溶接部(溶接ビード)、46 無端スチールベルト、47a ボビン、47b ボビン、47c ボビン、48 連結具、49 梱包ケース、P 研磨部、Q 不完全研磨部、R 要研磨部、S 研磨部、T 不完全研磨部、U 要研磨部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転可能な複数のドラムに巻き掛けられて周回走行するベルト装置用の無端ベルトの製造方法であって、
ベルト装置の配設場所と離間した加工場所で、帯状の金属製ベルト材料の第1の広がり面をベルト材料両端部近傍の各非研磨部を除いて研磨し、予め設定された研磨量で研磨された、ベルト長手方向の長さが予め設定されたベルト有効長よりも短い研磨部を形成するステップと、
上記研磨部が形成された上記ベルト材料を、上記加工場所から上記ベルト装置の配設場所へ輸送するステップと、
上記配設場所で、上記ベルト材料両端部が下側のベルト走行位置に位置するとともに、上記第1の広がり面が外側を向く一方、上記第1の広がり面と反対側の第2の広がり面が内側を向くように、上記ベルト材料を上記ベルト装置の複数のドラムに巻き掛けるステップと、
上記ベルト材料のベルト長手方向の長さが上記ベルト有効長となるように、上記両非研磨部のうちの少なくとも一方の一部を切除した後、上記ベルト材料両端部を上記第2の広がり面側から溶接して上記ベルト材料を無端ベルトにするステップと、
溶接部が上側のベルト走行位置に位置するよう上記無端ベルトを周回走行させた後、上記無端ベルトの研磨部以外の部分を、上記第1の広がり面側から、上記研磨部と同一の研磨量となるように研磨するステップとを有することを特徴とする無端ベルトの製造方法。
【請求項2】
上記研磨部の上記研磨量が20〜100μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の無端ベルトの製造方法。
【請求項3】
上記残存する各非研磨部のベルト長手方向の長さと、該非研磨部と上記研磨部との間に形成される不完全研磨部のベルト長手方向の長さの合計が、100〜500mmの範囲内であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の無端ベルトの製造方法。
【請求項4】
自転可能な複数のドラムに巻き掛けられて周回走行するベルト装置用の無端ベルトの製造方法であって、
帯状の金属製ベルト材料の第1の広がり面をベルト材料両端部近傍の各非研磨部を除いて研磨し、予め設定された研磨量で研磨された、ベルト長手方向の長さが予め設定されたベルト有効長よりも短い研磨部を形成するステップと、
上記研磨部が形成された上記ベルト材料を、上記ベルト材料両端部が下側に位置するとともに、上記第1の広がり面が外側を向く一方、上記第1の広がり面と反対側の第2の広がり面が内側を向くようにして輪形に配置するステップと、
上記ベルト材料のベルト長手方向の長さが上記ベルト有効長となるように、上記両非研磨部のうちの少なくとも一方の一部を切除した後、上記ベルト材料両端部を上記第2の広がり面側から溶接して上記ベルト材料を無端ベルトにするステップと、
溶接部が上側に位置するよう上記無端ベルトを移動させた後、上記無端ベルトの研磨部以外の部分を、上記第1の広がり面側から、上記研磨部と同一の研磨量となるように研磨するステップとを有することを特徴とする無端ベルトの製造方法。
【請求項5】
上記研磨部の上記研磨量が20〜100μmの範囲内であることを特徴とする、請求項4に記載の無端ベルトの製造方法。
【請求項6】
上記残存する各非研磨部のベルト長手方向の長さと、該非研磨部と上記研磨部との間に形成される不完全研磨部のベルト長手方向の長さの合計が、100〜500mmの範囲内であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の無端ベルトの製造方法。
【請求項7】
自転可能な複数のドラムに巻き掛けられて周回走行するベルト装置用の無端ベルトの製造方法であって、
帯状の金属製ベルト材料を、ベルト長手方向の長さが予め設定されたベルト有効長となるように切断するステップと、
上記ベルト材料を、ベルト材料両端部が互いに近接して下側に位置するとともに、第1の広がり面が外側を向く一方、上記第1の広がり面と反対側の第2の広がり面が内側を向くようにして輪形に配置するステップと、
上記ベルト材料両端部を上記第2の広がり面側から溶接して上記ベルト材料を無端ベルトにするステップと、
溶接部が上側に位置するよう上記無端ベルトを移動させた後、上記溶接部を、予め設定された研磨量となるよう上記第1の広がり面側から研磨するステップと、
上記溶接部の研磨量と同一の研磨量となるよう、上記第1の広がり面を研磨するステップとを有することを特徴とする無端ベルトの製造方法。
【請求項8】
上記研磨量が20〜100μmの範囲内であることを特徴とする、請求項7に記載の無端ベルトの製造方法。
【請求項9】
ベルト装置の配設場所と離間した加工場所で、請求項4又は7に記載の無端ベルトの製造方法により無端ベルトを製造するステップと、
上記無端ベルトを上記加工場所から上記ベルト装置の配設場所へ輸送するステップと、
上記配設場所で、上記無端ベルトを、上記ベルト装置の複数のドラムに巻き掛けて装着するステップとを有することを特徴とする無端ベルトの装着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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