説明

無端ベルト

【課題】送出物の落下を防止して計量精度を向上させるとともに、装置の小型化や、装置を大型化せずにより多量の送出物の送出が可能な無端ベルトを提供する。
【解決手段】無端ベルト1は、回転自在な駆動プーリ及び従動プーリに掛け渡され、駆動プーリが回転駆動されて回転することによって駆動プーリ及び従動プーリ間を無端走行する。無端ベルト1は、内周面11が平坦に形成され、かつ、幅方向のそれぞれの端部から幅方向中央に向かうにしたがって厚みが薄くなるように形成されている。無端ベルト1の外周面12には、幅方向のそれぞれの端部から幅方向中央に向かうにしたがって内周面11に近づくように傾斜した一対の傾斜面13が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転自在な少なくとも一対のプーリに掛け渡され、前記一対のプーリのうちの少なくとも一方のプーリが回転駆動されて回転することによって前記一対のプーリ間を無端走行する無端ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、送出物としての粉体状または粒体状の樹脂材料を所望の形状に成形する際に、前記樹脂材料を射出成形機のホッパに送出するベルトフィーダが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このベルトフィーダは、装置本体と、装置本体に回転自在に設けられた駆動プーリ及び従動プーリと、駆動プーリ及び従動プーリに掛け渡された無端ベルトと、駆動プーリを回転駆動するモータ等の駆動源と、無端ベルト上の一定の計量範囲内に載置される樹脂材料の重量を計量する計量部と、計量部からの情報に基づいて駆動源を制御する制御部とを備えている。
【0004】
無端ベルトは、例えば、周知の合成ゴム等の弾性材料からなる。無端ベルトの外周面両端部には、全周に亘って堰が設けられている。無端ベルトは、駆動プーリが駆動源によって回転されると、駆動プーリと従動プーリとの周りを回転し、駆動プーリと従動プーリとの間を無端走行する。無端ベルト上には、前述した樹脂材料が載置される。制御部は、計量部からの情報に基づいて駆動源即ち駆動プーリの回転を制御する。このように、無端ベルトは樹脂材料を連続的かつ定量的にホッパに送出する。
【0005】
前述した無端ベルトの堰は、無端ベルト上に樹脂材料を載置する際や載置された樹脂材料を送出する際に無端ベルト上から樹脂材料が落下するのを防止し、計量精度の低下を防止している。
【特許文献1】特開2006−168919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に記載された無端ベルトでは、例えば多量の樹脂材料が幅方向の片寄った位置に載置されると、より近い側の堰を乗り越えて無端ベルト上から落下してしまうといった問題があった。そして、計量部の計量範囲を通過した樹脂材料がこのように落下してしまうと、計量精度が低下するといった問題があった。
【0007】
また、例えば多量の樹脂材料を載置、送出する場合、無端ベルトの回転スピードを上げると計量精度が低下するので、無端ベルトの幅を広くする必要がある。しかしながら、無端ベルトの幅を広くすると、該幅に合わせてホッパの投入部を大径化しなければならず、ホッパが大型化してしまうといった問題があった。さらに、このとき、ホッパの投入部のみを大径化すると、ホッパの中空錐状の排出部外壁の傾斜角度がホッパの軸心に対して大きくなって、樹脂材料がホッパ内で滞留しやすくなってしまう。そこで、この樹脂材料の滞留を防ぐために排出部外壁の傾斜角度をホッパの軸心に対して小さくする必要があるが、傾斜角度を小さくするためには排出部を軸心方向に伸長させなければならず、ホッパがさらに大型化してしまうといった問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、送出物の落下を防止して計量精度を向上させるとともに、装置の小型化や、装置を大型化せずにより多量の送出物の送出が可能な無端ベルトを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、回転自在な少なくとも一対のプーリに掛け渡され、前記一対のプーリのうちの少なくとも一方のプーリが回転駆動されて回転することによって前記一対のプーリ間を無端走行する無端ベルトにおいて、内周面が平坦に形成され、かつ、幅方向のそれぞれの端部から幅方向中央に向かうにしたがって厚みが薄くなるように形成されたことを特徴とした無端ベルトである。
【0010】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された無端ベルトにおいて、外周面に、幅方向のそれぞれの端部から幅方向中央に向かうにしたがって前記内周面に近づくように傾斜した一対の傾斜面が設けられたことを特徴とした無端ベルトである。
【0011】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された無端ベルトにおいて、前記外周面の断面形状がV字状に形成されたことを特徴とした無端ベルトである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、無端ベルトの内周面が平坦に形成され、かつ、無端ベルトの幅方向のそれぞれの端部から幅方向中央に向かうにしたがって厚みが薄くなるように形成されているので、無端ベルト上に載置された送出物は、無端ベルトの幅方向中央に集められる。したがって、送出物が無端ベルト上に載置される際や送出される際に無端ベルト上から落下することがなく、計量精度を向上させることができる。
【0013】
さらに、送出物が無端ベルトの幅方向中央に集められるので、同一幅の従来の無端ベルトと比較すると、送出物がより狭い幅内に収められる。したがって、投入部が同一径のホッパに対してより多くの送出物を供給することができ、送出物が多量になってもホッパを大径化する必要がない。また、同量の送出物であればホッパの投入部を小径化することができるとともに、これによってホッパの軸心に対するホッパの排出部外壁の傾斜角度を小さくして樹脂材料のホッパ内での滞留を防止することができる。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、無端ベルトの外周面に、無端ベルトの幅方向のそれぞれの端部から幅方向中央に向かうにしたがって内周面に近づくように傾斜した一対の傾斜面が設けられているので、送出物がこれら傾斜面を滑り落ち(転がり落ち)、送出物を確実に無端ベルトの幅方向中央に集めることができる。
【0015】
請求項3に記載された発明によれば、無端ベルトの外周面の断面形状がV字状に形成されているので、送出物がV字中央に向かって滑り落ち(転がり落ち)、送出物をさらに確実に無端ベルトの幅方向中央に集めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態にかかる無端ベルト1を図1ないし図6を参照して説明する。本発明の一実施形態にかかる無端ベルト1は、例えば、図1に示すように、ベルトフィーダ10に用いられる。ベルトフィーダ10は、例えば、図示しないホッパ等からの樹脂材料8(図3)を、射出成形機2のホッパ21に連続的かつ定量的に供給する。
【0017】
なお、本実施形態においては、無端ベルト1がベルトフィーダ10に用いられた場合を例にして説明するが、無端ベルト1がベルトフィーダ10以外の装置に用いられても勿論よい。また、本実施形態においては、無端ベルト1の送出する送出物が樹脂材料8である場合を例にして説明するが、送出物が樹脂材料8以外であっても勿論よい。
【0018】
ホッパ21は、図1に示すように、漏斗状に形成され、その軸心Pが鉛直方向に沿うように配されている。ホッパ21は、無端ベルト1の後述する回転方向B下流側に配されている。ホッパ21は、上側(即ちベルトフィーダ10側)に配される投入部21aと、下側(即ち射出成形機2側)に配される排出部21bとを備えている。
【0019】
投入部21aは、円筒状に形成されている。投入部21a内には、ベルトフィーダ10から樹脂材料8が投入される。排出部21bは、投入部21aに連なるとともに、投入部21aから離れるにしたがって内外径が小さくなるような中空円錐状に形成されている。排出部21bは、ベルトフィーダ10からの樹脂材料8を射出成形機2のシリンダ22内に供給する。樹脂材料8は、例えば、粉体状や粒体状(ペレット状)に形成された合成樹脂である。
【0020】
ベルトフィーダ10は、図1に示すように、装置本体3と、回転駆動機構4と、ベルト送りユニット5と、計量部6と、制御部7とを備えている。装置本体3は、床等に設置される図示しないベース部と、該ベース部に支持された一対の支持部31とを備えている。一対の支持部31は、帯板状に形成され、水平かつ互いに平行に設けられている。一対の支持部31は、互いの間にベルト送りユニット5の後述する駆動プーリ51及び従動プーリ52を支持する。
【0021】
回転駆動機構4は、駆動源としてのモータ41と、図示しない回転軸とを備えている。モータ41は、回転軸を軸心回りに回転駆動する。モータ41は、回転軸を軸心回りに回転駆動することによって、ベルト送りユニット5の後述する駆動プーリ51を回転駆動する。
【0022】
ベルト送りユニット5は、駆動プーリ及び従動プーリ(一対のプーリに相当する)51、52と、無端ベルト1とを備えている。
【0023】
駆動プーリ(一方のプーリに相当する)51は、水平かつ一対の支持部31と直交するように配されている。駆動プーリ51は、一対の支持部31の間に配されて、図示しない軸受等を介して一対の支持部31に回転自在に支持されている。駆動プーリ51は、回転駆動機構4の回転軸に固定されている。この固定方法としては、例えば、駆動プーリ51の軸心部分に前記回転軸が通る貫通孔を設け、該貫通孔内に、端部にねじ溝が形成された回転軸を通し、ねじ溝にナットを螺合させて駆動プーリ51と回転軸とを固定する。駆動プーリ51は、回転軸とともに回転する。駆動プーリ51は、モータ41によって、矢印A方向(図1等)に回転駆動される。
【0024】
従動プーリ52は、水平かつ一対の支持部31と直交するように配されている。従動プーリ52は、一対の支持部31の間に配されて、図示しない軸受等を介して装置本体3の一対の支持部31に回転自在に支持されている。従動プーリ52は、駆動プーリ51と平行かつ間隔をあけて配され、駆動プーリ51と同じ高さになるように配されている。
【0025】
無端ベルト1は、弾性及び可撓性を有する合成樹脂等からなる。無端ベルト1は、図2に示すように、輪状のベルトであり、駆動プーリ51及び従動プーリ52に掛け渡されている。無端ベルト1は、駆動プーリ51及び従動プーリ52に、張力を付与された状態で掛け渡されている。無端ベルト1の駆動プーリ51と従動プーリ52との間に配される部分は、水平に配されている。無端ベルト1は、前述したように駆動プーリ51がモータ41によって矢印A方向に回転駆動されて回転することによって矢印B方向(図1等)に回転し、駆動プーリ51及び従動プーリ52間を無端走行(循環)する。
【0026】
また、無端ベルト1は、図3に示すように、その幅方向のそれぞれの端部から幅方向中央に向かうにしたがって厚みが薄くなるように形成されている。無端ベルト1は、駆動プーリ51及び従動プーリ52と相対する内周面11と、樹脂材料8が載置される外周面12とを備えている。
【0027】
内周面11は、平坦に形成されている。外周面12には、一対の傾斜面13が設けられている。一対の傾斜面13は、無端ベルト1の幅方向のそれぞれの端部から幅方向中央に向かうにしたがって内周面11に近づくように傾斜している。一対の傾斜面13によって、外周面12の無端ベルト1の幅方向に沿った断面形状はV字状に形成されている。
【0028】
計量部6は、無端ベルト1の内周面11側に配される。計量部6は、図1に示すように、一対の固定バー61と、計量バー62と、計量センサ63とを備えている。一対の固定バー61及び計量バー62は、装置本体3に支持され、駆動プーリ51及び従動プーリ52と平行に配されている。一対の固定バー61は、駆動プーリ51及び従動プーリ52に掛け渡された無端ベルト1を支持する。計量バー62は、一対の固定バー61の間に配され、無端ベルト1と接触するように配されている。計量センサ63は、計量バー62に接続され、一対の固定バー61間に配される無端ベルト1上の計量範囲R内に載置された樹脂材料8の重量を計量する。
【0029】
制御部7は、計量センサ63とモータ41とに接続されている。制御部7には、前述した計量センサ63によって計量された樹脂材料8の重量データが入力される。制御部7は、該重量データに基づいて樹脂原料の送出量(送出速度)を所定の設定値に維持するようなモータ41の回転速度を算出し、該回転速度にモータ41を制御する制御信号をモータ41に出力する。
【0030】
前述した構成のベルトフィーダ10は、モータ41によって駆動プーリ51が矢印A方向に回転駆動されて回転することによって、無端ベルト1が矢印B方向に回転する。樹脂材料8は、無端ベルト1の回転方向B上流側の無端ベルト1上に載置され、無端ベルト1が矢印B方向に回転することで回転方向B下流側に送出されて、ホッパ21内に供給される。このとき、樹脂材料8は、一対の傾斜面13によって無端ベルト1の幅方向中央に集められ、無端ベルト1上から落下することがない。
【0031】
そして、制御部7は、計量部6からの重量データに基づいてモータ41に制御信号を出力し、駆動プーリ51即ち無端ベルト1の回転速度を制御する。計量範囲Rを通過した樹脂材料8が無端ベルト1上から落下すると計量部6の計量した重量データが実際よりも大きくなってしまい計量精度が低下するが、樹脂材料8が落下しないので制御部7に正しい重量データが入力され、計量精度が低下することがない。以上のようにして、ベルトフィーダ10は、樹脂材料8をホッパ21に連続的かつ定量的に供給する。
【0032】
本実施形態によれば、無端ベルト1の内周面11が平坦に形成され、かつ、無端ベルト1の幅方向のそれぞれの端部から幅方向中央に向かうにしたがって厚みが薄くなるように形成されているので、無端ベルト1上に載置された樹脂材料8は、無端ベルト1の幅方向中央に集められる。したがって、樹脂材料8が無端ベルト1上に載置される際や送出される際に無端ベルト1上から落下することがなく、計量精度を向上させることができる。
【0033】
図3において、本実施形態の無端ベルト1、該無端ベルト1上に載置された樹脂材料8、及び該無端ベルト1に対応したホッパ21を、それぞれ実線で示している。また、無端ベルト1と同一幅の従来の無端ベルト101、該無端ベルト101上に載置された樹脂材料108、及び該無端ベルト101に対応したホッパ121を、それぞれ一点鎖線で示している。なお、樹脂材料8と樹脂材料108とは、同量(同数)が描画されている。
【0034】
図3に示すように、樹脂材料8が無端ベルト1の幅方向中央に集められるので、同一幅の従来の無端ベルト101と比較すると、無端ベルト1は樹脂材料8をより狭い幅内に収めることができる。したがって、ホッパ21に対して、無端ベルト1は無端ベルト101よりも多くの樹脂材料8を供給することができ、樹脂材料8が多量になってもホッパ21を大径化する必要がない。また、図3に示すように樹脂材料8、108が同量の場合は、ホッパ121をホッパ21へと小径化することができるとともに、これによって軸心Pに対する排出部121b外壁の角度θ’を排出部21b外壁の角度θへと小さくして樹脂材料8のホッパ21内での滞留を防止することができる。
【0035】
無端ベルト1の外周面12に、無端ベルト1の幅方向のそれぞれの端部から幅方向中央に向かうにしたがって内周面11に近づくように傾斜した一対の傾斜面13が設けられているので、樹脂材料8がこれら傾斜面13を滑り落ち(転がり落ち)、樹脂材料8を確実に無端ベルト1の幅方向中央に集めることができる。
【0036】
無端ベルト1の外周面12の断面形状がV字状に形成されているので、樹脂材料8がV字中央14に向かって滑り落ち(転がり落ち)、樹脂材料8をさらに確実に無端ベルト1の幅方向中央に集めることができる。
【0037】
本実施形態においては、無端ベルト1の外周面12には一対の傾斜面13が設けられ、外周面12の断面形状はV字状に形成されていた。しかしながら本発明では、図4に示すように、無端ベルト1の幅方向中央(一対の傾斜面13の間)に内周面11と平行な底面15があってもよい。また、図5に示すように、無端ベルト1の幅方向両端(一対の傾斜面13の外側)に内周面11と平行な平面16があってもよい。また、図6に示すように、一対の傾斜面13が湾曲していてもよい。さらに、これらが適宜組み合わされていてもよい。
【0038】
また、本実施形態においては、一対のプーリ(駆動プーリ51及び従動プーリ52)が設けられていたが、プーリが3つ以上設けられていてもよい。また、一つのプーリのみが回転駆動されていたが、複数のプーリが回転駆動されてもよい。
【0039】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態にかかる無端ベルトが用いられたベルトフィーダを示す構成図である。
【図2】図1に示されたベルトフィーダの斜視図である。
【図3】図2に示された無端ベルトとホッパとを示す一部断面図である。
【図4】図3に示された無端ベルトの変形例を示す断面図である。
【図5】図3に示された無端ベルトの他の変形例を示す断面図である。
【図6】図3に示された無端ベルトの他の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 無端ベルト
11 内周面
12 外周面
13 傾斜面
51 駆動プーリ(プーリ)
52 従動プーリ(プーリ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在な少なくとも一対のプーリに掛け渡され、前記一対のプーリのうちの少なくとも一方のプーリが回転駆動されて回転することによって前記一対のプーリ間を無端走行する無端ベルトにおいて、
内周面が平坦に形成され、かつ、幅方向のそれぞれの端部から幅方向中央に向かうにしたがって厚みが薄くなるように形成されたことを特徴とする無端ベルト。
【請求項2】
外周面に、幅方向のそれぞれの端部から幅方向中央に向かうにしたがって前記内周面に近づくように傾斜した一対の傾斜面が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の無端ベルト。
【請求項3】
前記外周面の断面形状がV字状に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の無端ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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