説明

無線センサ装置

【課題】
省エネルギー化を図ることができる無線センサ装置を提供する。
【解決手段】
無線センサ装置1は、センサ部Aと、電流電圧変換回路2、電圧増幅回路3、比較回路4、及びモード切替回路5を有してセンサ部Aからの出力Sinをアナログ増幅するとともに、アナログ増幅された出力Sinが予め設定された閾値を越えたときに検知出力Poutを発生する信号処理回路部Bと、信号処理回路部Bの検知出力Poutを変換回路15で変換して無線信号Outにより外部へ送信する無線送信回路部Cと、発電素子7を備え該発電素子7により発電された電力を昇圧回路8で昇圧して蓄電素子9に蓄電し、該蓄電素子9から信号処理回路部B及び無線送信回路部Cに動作電力を供給する電力発生装置Dとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサにより検出される情報を無線により送信する無線センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無線センサ装置としては、第1の半導体集積回路、第2の半導体集積回路、発光ダイオードチップ、コンデンサ、インダクタ、及び、これらを搭載するための基板から構成されたものが提供されている(特許文献1)。
【0003】
上記の第1の半導体集積回路は、マイクロプロセッサ、メモリ、外部との通信を行う高周波送受信回路、基板上に設けられたアンテナの送受信等を切り替える高周波スイッチ、温度センサ、加速度センサ、赤外/赤色光センサ、インピーダンスセンサ等で構成されるセンサ回路、センサからの信号を増幅してデジタル量に変換するA/D変換回路、基板上に搭載された発光ダイオードを駆動するドライバ、上記マイクロプロセッサ、メモリ、高周波送受信回路、高周波スイッチ、温度センサ、加速度センサ、赤外/赤色光センサ、インピーダンスセンサへの電源供給を制限する電源制御回路、該電源制御回路のオン/オフを制御するタイマ回路、及び、上記コンデンサに蓄積された電荷量を監視する電荷監視回路から構成されている。
【0004】
また、第2の半導体集積回路は、微弱な外部振動を電気エネルギーに変換する小型の発電チップであり、外部の振動により静電容量が変化する可変容量コンデンサ、及び、該可変容量コンデンサにより外部振動の力学エネルギーから変換された電気エネルギーを回収して基板上の所定のコンデンサを充電する機能を有した電力回収回路から構成されている。
【特許文献1】特開2004−24551号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、無線センサ装置では、駆動時間の長寿命化の必要性から、装置の省エネルギー化が要求されている。
【0006】
しかし、上記の無線センサ装置は、センサの出力をマイクロプロセッサに取り込んで高周波送受信回路経由で外部機器に無線送信するために、A/D変換器を用いてセンサ出力をアナログ値からデジタル値へ変換しており、このA/D変換器は、一般的にはマイコンを備えているので、A/D変換器における消費電力は非常に大きく、これが装置全体の省エネルギー化を図るにあたっては大きな問題となっていた。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的は、省エネルギー化を図ることができる無線センサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、請求項1の発明では、センサ部と、該センサ部からの出力をアナログ増幅するとともに、アナログ増幅された出力が予め設定された閾値を越えたときに検知出力を発生する信号処理回路部と、前記信号処理回路部からの検知出力を無線信号により外部へ送信する無線送信回路部と、発電素子を備え該発電素子により発電された電力を蓄電素子に蓄電し、該蓄電素子から前記信号処理回路部及び前記無線送信回路部に動作電力を供給する電力発生装置とを具備していることを特徴とする無線センサ装置とした。
【0009】
請求項1の発明によれば、センサ部からの出力をアナログ増幅し、増幅後の出力が予め設定された閾値を越えたときに検知出力を発生することにより、センサ部からの出力を1ビットの信号に変換しているから、センサ部の出力を1ビットの信号に変換するためにA/D変換器を用いてデジタル信号処理を行う必要がなくなり、これにより信号処理回路部の消費電流を抑えて省エネルギー化を図ることができる。また、信号処理回路部及び無線送信回路部に動作電力を供給する電力発生装置を備えているために長寿命で電池交換不要となるから、メンテナンスの必要がなくなり、その上無線により外部への送信を行うから、配線工事をする必要がなく、取り付け場所の自由度を向上することができる。
【0010】
請求項2の発明では、請求項1の発明の構成に加えて、前記信号処理回路部と前記無線送信回路部の少なくとも一方の消費電流を切り替えるための切替手段を備えていることを特徴とする無線センサ装置とした。
【0011】
請求項2の発明によれば、例えば、信号処理回路部や無線送信回路部を動作させておく必要が無い場合には、切替手段により消費電流を切り替えて消費電流を低くすることで省エネルギー化を図ることができる。
【0012】
請求項3の発明では、請求項2の発明の構成に加えて、前記切替手段は、前記センサ部の出力が予め設定された閾値を越えない場合には、前記信号処理回路部を、該信号処理回路部の消費電流が制限された待機モードに設定し、前記センサ部の出力が前記閾値を越える場合には、前記信号処理回路部を、該信号処理回路部の消費電流が前記信号処理回路部の定格電流となる動作モードに設定することを特徴とする無線センサ装置とした。
【0013】
請求項3の発明によれば、センサ部からの出力が予め設定された閾値を越えない場合は、切替手段によって信号処理回路部を消費電流が制限された待機モードに設定するようにしてあるので、信号処理回路部の消費電流を抑えて省エネルギー化を図ることができる。
【0014】
請求項4の発明では、請求項2又は3の発明の構成に加えて、前記切替手段は、前記センサ部の出力が予め設定された閾値を越えない場合には、前記無線送信回路部を、該無線送信回路部の消費電流が制限された待機モード又は停止モードに設定し、前記センサ部の出力が前記閾値を越える場合には、前記無線送信回路部を、該無線送信回路部の消費電流が前記無線送信回路部の定格電流となる動作モードに設定することを特徴とする無線センサ装置とした。
【0015】
請求項4の発明によれば、センサ部からの出力が予め設定された閾値を越えない場合は、切替手段によって無線送信回路部を消費電流が制限された待機モード又は停止モードに設定するようにしてあるので、無線送信回路部の消費電流を抑えて省エネルギー化を図ることができる。
【0016】
請求項5の発明では、請求項3又は4の発明の構成に加えて、前記切替手段は、前記発電素子により発電されるエネルギーが予め設定された閾値を越えている間、前記動作モードに設定し、この状態を維持することを特徴とする無線センサ装置とした。
【0017】
請求項5の発明によれば、例えば、発電素子により発電されるエネルギーの供給量が十分である場合には、センサ部の出力によらず信号処理回路部や無線送信回路部を動作モードに設定し、この状態を維持するので、待機モードと動作モードとを切り替える際の消費電流の変動によって生じるおそれのある誤動作を防止することができる。
【0018】
請求項6の発明では、請求項1乃至5のいずれか1項の発明の構成に加えて、前記センサ部は、人体から輻射される赤外線エネルギーを検出する人体検知用の焦電センサであることを特徴とする無線センサ装置とした。
【0019】
請求項6の発明によれば、省エネルギー化を図ることができるとともに、長寿命で電池交換不要となってメンテナンスの必要がなくなり、且つ無線により外部への送信を行うために取り付け場所の自由度が増した、センサ部の感知エリア内における人体の存在や移動を検出する人体検知用の無線センサ装置を得ることができる。
【0020】
請求項7の発明では、請求項1乃至6のいずれか1項の発明の構成に加えて、前記センサ部で検出するエネルギーと、前記発電素子で利用するエネルギーとが、同じエネルギー源から得られるように構成されていることを特徴とする無線センサ装置とした。
【0021】
請求項7の発明によれば、センサ部がエネルギーを検出した際、同時に発電素子で発電が行われることになるので、電力発生装置から信号処理回路部や無線送信回路部に安定して動作電流を供給することができるようになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、センサ部からの出力をアナログ増幅し、増幅後の出力が予め設定された閾値を越えたときに検知出力を発生することにより、センサ部からの出力を1ビットの信号に変換しているから、センサ部の出力を1ビットの信号に変換するために、A/D変換器を用いてデジタル信号処理を行う必要がなくなり、これにより信号処理回路部の消費電流を抑えて省エネルギー化を図ることができるという効果がある。また、信号処理回路部及び無線送信回路部に動作電力を供給する電力発生装置を備えているために長寿命で電池交換不要となるから、従来から面倒であった装置のメンテナンスの必要がなくなるという効果があり、その上無線により外部への送信を行うので配線工事をする必要がなく、取り付け場所の自由度が向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、図1乃至図5を用いて、本発明の無線センサ装置の実施形態について説明する。
【0024】
(実施形態1)
本実施形態の無線センサ装置1は、図1に示すように、センサ部Aと、電流電圧変換回路2、電圧増幅回路3、比較回路4、及びモード切替回路5を有し、センサ部Aからの出力Sinをアナログ増幅するとともにアナログ増幅された出力Sinが予め設定された閾値を越えたときに検知出力Poutを発生する信号処理回路部Bと、信号処理回路部Bの検知出力Poutを変換回路15で変換してなる無線信号Outにより外部へ送信する無線送信回路部Cと、発電素子7を備え該発電素子7により発電された電力を昇圧回路8で昇圧して蓄電素子9に蓄電し、該蓄電素子9から信号処理回路部B及び無線送信回路部Cに動作電力を供給する電力発生装置Dとを具備している。
【0025】
センサ部Aは、赤外線のエネルギー量の変化により微小な電流信号である出力Sinを発生する焦電素子を用いた焦電センサであり、例えば人体から輻射される赤外線エネルギーを検出し、センサ部Aの感知エリア内における人体の存在や移動を検出するものである。
【0026】
信号処理回路部Bは、センサ部Aの出力Sinが入力され、電流信号である出力Sinを電圧信号Soutに変換して電圧増幅回路3へ出力する電流電圧変換回路2と、電流電圧変換回路2から入力された電圧信号Soutを増幅して増幅電圧信号Voutを比較回路4へ出力する電圧増幅回路3と、電圧増幅回路3から入力された増幅電圧信号Voutを予め設定された閾値と比較し、比較結果に応じた検知出力Poutを発生する比較回路4と、信号処理回路部Bの消費電流を信号処理回路部Bの定格電流とした動作モード、或いは、信号処理回路部Bの消費電流を制限した待機モードに設定するモード切替回路5とを有している。
【0027】
電流電圧変換回路2は、図2に示すように、1対のオペアンプOP1,OP2を有しており、第1のオペアンプOP1は、反転入力端子がセンサ部Aからの出力Sinが入力される入力端子2aに接続され、非反転入力端子が、一端が接地されて基準電位を与える電源Vr1の他端に接続され、出力端子が電流電圧変換回路2の出力端子2bに接続されている。この第1のオペアンプOP1の出力端子と反転入力端子との間には10pFのコンデンサC1が接続され、これにより交流帰還回路が構成されている。加えて、第1のオペアンプOP1の出力端子と反転入力端子との間には前記交流帰還回路と並列に直流帰還回路が接続され、第1のオペアンプOP1の出力を6TΩの抵抗R1を介して帰還させている。この直流帰還回路は、第2のオペアンプOP2と、2TΩの抵抗R2と、50pFのコンデンサC2とからなる積分回路であり、次のようにして接続されている。すなわち、第2のオペアンプOP2の非反転入力端子が第1のオペアンプOP1の出力端子に接続されるとともに、出力端子が抵抗R1を介して第1のオペアンプOP1の反転入力端子に接続され、反転入力端子が電源Vr1の他端に抵抗R2を介して接続されている。さらにコンデンサC2が、一端を第2のオペアンプOP2の出力端子に接続され、他端を第2のオペアンプOP2の反転入力端子と抵抗R2との間に接続されている。
【0028】
以上により構成された電流電圧変換回路2によれば、センサ部Aの出力Sinは、交流帰還回路を構成するコンデンサC1の帰還容量のインピーダンスを用いて電圧信号Soutに変換され、加えて直流帰還回路によって回路動作の安定が図られている。さらに電流電圧変換回路2は、両帰還回路による帰還時定数によってバンドパスフィルタとして作用するため、人体検出を考えた場合、人の動きに伴う赤外線量の変化は1Hzを中心とした周波数帯域であるから、例えば0.1Hz〜10Hzの電流信号がコンデンサC1の帰還容量のインピーダンスで変換されるように、その中心周波数は0.1Hzより低く設定するのが好ましい。また、このようなインピーダンスを用いた電流電圧変換回路2は、従来の高い抵抗値の抵抗を用いた電流電圧変換回路に比べて、変換後の信号のS/N比が大きく改善されており、このようにS/N比が改善されると、電圧増幅回路3において電圧信号Soutが増幅された際に増幅電圧信号Voutに定常的に発生するノイズも小さくなって、比較回路4において閾値に対するノイズ比が小さくなるから、誤動作が起こる可能性を低くすることができる。尚、このインピーダンスを用いた電流電圧変換回路の詳細な説明については、特許第3399314号公報に記載されている。
【0029】
電圧増幅回路3は、図3に示すように構成されている。すなわち、電流電圧変換回路2の出力端子2bと電気的に接続されて電圧信号Soutが入力される入力端子3aは、100nFのコンデンサC3の一端に接続されており、コンデンサC3の他端は、一端が接地されて基準電位を与える電源Vr2の他端に5MΩの抵抗R3を介して接続されるとともに、第1のオペアンプOP3の非反転入力端子に接続されている。この第1のオペアンプOP3の反転入力端子は、電源Vr2の他端に150kΩの抵抗R4を介して接続されており、第1のオペアンプOP3の出力端子と反転入力端子との間には10nFのコンデンサC4と6MΩの抵抗R5とが並列に接続されている。
【0030】
また、第1のオペアンプOP3の出力端子は、100nFのコンデンサC5の一端に接続されており、コンデンサC5の他端は、電源Vr2の他端に5MΩの抵抗R6を介して接続されるとともに、第2のオペアンプOP4の非反転入力端子に接続されている。この第2のオペアンプOP4の反転入力端子は、電源Vr2の他端に150kΩの抵抗R7を介して接続されており、第2のオペアンプOP4の出力端子と反転入力端子との間には10nFのコンデンサC6と6MΩの抵抗R8とが並列に接続されている。
【0031】
さらに、第2のオペアンプOP4の出力端子は、100nFのコンデンサC7の一端に接続されており、コンデンサC7の他端は、電源Vr2の他端に5MΩの抵抗R9を介して接続されるとともに、増幅した電圧信号Soutである増幅電圧信号Voutを比較回路4へ出力するための出力端子3bに接続されている。
【0032】
以上により構成された電圧増幅回路3は、コンデンサC3と抵抗R3、コンデンサC5と抵抗R6、コンデンサC7と抵抗R9の3組からハイパスフィルタが構成され、第1のオペアンプOP3とコンデンサC4と抵抗R4,R5、第2のオペアンプOP4とコンデンサC6と抵抗R7,R8の2組からローパスフィルタを兼ねた非反転増幅器が構成されている。すなわち、電圧増幅回路3は、3次のハイパスフィルタと、2次のローパスフィルタと、2つの非反転増幅器を有している。このような電圧増幅回路3は、3次のハイパスフィルタと2次のローパスフィルタとによって、1Hzを中心とした周波数帯の電圧信号のみを通すように設定するとともに、各非反転増幅器の利得を約32dBにして電圧増幅回路3全体での利得が約64dBとなるように設定してある。そのため、電圧増幅回路3によれば、電圧信号Soutのうち1Hzを中心とした周波数帯の電圧信号のみを利得が約64dBとなるように増幅し、これにより得られた増幅電圧信号Voutを出力することができるようになっているのである。
【0033】
比較回路4は、図4に示すように、予め設定された閾値として閾値電圧A1,A2,B1,B2を生成する閾値電圧生成部11と、閾値電圧生成部11の閾値電圧A1,A2,B1,B2と増幅電圧信号Voutとを比較して出力を発生する1組のコンパレータCOMP1,COMP2と、各コンパレータCOMP1,COMP2の出力端子が各別に接続され、各コンパレータCOMP1,COMP2からの出力の論理積である出力信号Coutを出力するAND回路12と、出力信号Coutに応じた検知出力Poutを発生して無線送信回路部Cへ送る出力部13とを備えた、所謂ウィンドコンパレータである。
【0034】
閾値電圧生成部11は、内部電源Vccを抵抗R10,R11,R12,R13,R14,R15を抵抗R10,R11,R12,R13,R14,R15の順に接続してなる直列回路を介して接地することで構成され、抵抗R10,R11,R12,R13,R14,R15を用いて内部電源Vccを分圧することで、抵抗R10,R11間において閾値電圧A1、抵抗R11,R12間において閾値電圧A1より低い閾値電圧B1、抵抗R13,R14間において閾値電圧B1より低い閾値電圧B2、抵抗R14,R15間において閾値電圧B2より低い閾値電圧A2を生成している。ここで、閾値電圧A1,A2からなる閾値幅は、センサ部Aによって人体を検知したか否かの判断基準となる人体検知用の閾値幅であり、閾値電圧B1,B2からなる閾値幅は、モード切替回路5による動作モード/待機モードの切り替えの判断基準となる切替判断用の閾値幅である。
【0035】
コンパレータCOMP1,COMP2は、非反転入力端子に入力された電圧が反転入力端子に入力された電圧よりも大きいときにハイレベルの信号を出力し、非反転入力端子に入力された電圧が反転入力端子に入力された電圧よりも小さいときにローレベルの信号を出力するものである。第1のコンパレータCOMP1は、非反転入力端子がスイッチSW1を介して抵抗R10,R11間に接続されるとともに、スイッチSW2を介して抵抗R11,R12間に接続され、反転入力端子が、電圧増幅回路3の出力端子3bと電気的に接続されて増幅電圧信号Voutが入力される入力端子4aに接続されている。第2のコンパレータCOMP2は、反転入力端子がスイッチSW3を介して抵抗R13,R14間に接続されるとともに、スイッチSW4を介して抵抗R14,R15間に接続され、非反転入力端子が入力端子4aに接続されている。
【0036】
AND回路12は、2つの入力端子にそれぞれコンパレータCOMP1,COMP2の出力端子が接続され、コンパレータCOMP1,COMP2の出力の論理積を出力信号Coutとして出力するものであり、コンパレータCOMP1,COMP2の信号がともにハイレベルであるときはハイレベルの出力信号Coutを出力し、それ以外の場合は、ローレベルの出力信号Coutを出力する。
【0037】
出力部13は、電源Vddと、トランジスタTrと、プルアップ抵抗R16と、無線送信回路部Cに検知出力Poutを出力する出力端子14とから形成され、トランジスタTrのゲート電極にAND回路12の出力端子がスイッチSW5を介して接続され、ドレイン電極に電源Vddが接続され、ソース電極に出力端子14が接続されている。このトランジスタTrは例えばP型MOSFET等であり、トランジスタTrのゲート電極にローレベルの信号が入力されているときは、ドレイン−ソース電極間を通電して、出力端子14からハイレベルの検知出力Poutを出力し、ゲート電極にハイレベルの信号が入力されているときは、ドレイン−ソース電極間を遮断して、出力端子14からローレベルの検知出力Poutを出力する。したがって出力部13は、トランジスタTrのゲート電極にローレベルの出力信号Coutが入力されたときのみハイレベルの検知出力Poutを出力するのである。
【0038】
モード切替回路5は、図4に示すように、比較回路4のAND回路12の出力端子と接続されて、AND回路12の出力信号Coutによって、信号処理回路部Bのモード切り替えを行うものであり、AND回路12の出力信号Coutがハイレベルの信号であれば、信号処理回路部Bを待機モードに設定し、出力信号Coutがローレベルの信号であれば、信号処理回路部Bを動作モードに設定するようにしてある。
【0039】
ここで、待機モードは、各回路2,3が最低限動作可能な程度に各回路2,3のバイアス電流を制限することで、消費電流を極限まで制限したモードであり、同時に、比較回路4のスイッチSW1,SW4をオフ、スイッチSW2,SW3をオンにして、各コンパレータCOMP1,COMP2に閾値電圧B1,B2が入力されるようにするとともに、スイッチSW5をオフしてAND回路12の出力端子と出力部13のトランジスタTrのゲート電極とを遮断している。このとき、トランジスタTrのゲート電極はプルアップ抵抗R16によりハイレベルとなるためにドレイン−ソース電極間が遮断され、その結果、検知出力Poutはローレベルとなる。
【0040】
また、動作モードは、各回路2,3が確実に動作できるように各回路2,3のバイアス電流を十分な値とすることで、消費電流が定格電流となるようにしたモードであり、同時に、比較回路4のスイッチSW1,SW4をオン、スイッチSW2,SW3をオフにして、各コンパレータCOMP1,COMP2に閾値電圧A1,A2が入力されるようにするとともに、スイッチSW5をオンしてAND回路12の出力端子と出力部13のトランジスタTrのゲート電極とを通電させている。
【0041】
このようなモード切替回路5によれば、増幅電圧信号Voutがその上限及び下限においてそれぞれ閾値電圧B1,B2を越えない、すなわち閾値電圧B1,B2による切替判断用の閾値幅内に収まる場合は、AND回路12の出力信号Coutがハイレベルの信号となるから、信号処理回路部Bを上記の待機モードに設定することで、無線センサ装置1全体でのエネルギー消費を抑えることができる。また逆に、増幅電圧信号Voutが閾値電圧B1,B2を越える、すなわち閾値電圧B1,B2の閾値幅内に収まらない場合は、AND回路12の出力信号Coutがローレベルの信号となるから、信号処理回路部Bを上記の動作モードに設定することで、コンパレータCOMP1,COMP2に入力される閾値電圧を人体検知用の閾値電圧A1,A2にして、人体の検出を行えるようにするのである。
【0042】
ところで、このようなモード切替時の問題として、電流値が変わる瞬間の変動が大きい場合は、変動が電圧増幅回路3を通して誤動作として現れてしまうおそれがあるため、モード切替後は一定時間、出力信号を出力しないようにする回路を設けることが好ましい。
【0043】
無線送信回路部Cは、信号処理回路部Bからの検知出力Poutを、無線センサ装置1の出力端子部6(図1参照)から無線信号Outにより外部へ出力するための変換処理を行う変換回路15を有しており、本実施形態において無線送信回路部Cは、超広帯域無線方式(Ultra Wide Band)を用いて外部への送信を行うようにしてある。この超広帯域無線方式は、無線通信の方式のひとつで、データを数GHz程度の極めて広い周波数帯に拡散して送受信を行なうものであり、例えばUWB−IR(Impulse Radio)方式のものが提供されている。次にUWB−IR方式について簡単に説明すると、UWB−IR方式は、送信データを用いてパルスを変調することで無線信号を生成し、直接送信するものであり、ここで生成される無線信号は従来の搬送波を用いた通信(例えば、Bluetooth(R)や無線LAN等)とは異なり、搬送波を持たないベースバンド信号の形式となっている。また、UWB−IR方式における占有帯域幅は、パルスの形状によって決定され、代表的なパルスの形状としては数百psのパルス幅を有するインパルス波形が用いられているため、数GHzの極めて広い周波数帯域を占有しているものである。
【0044】
上述の超広帯域無線方式は、搬送波を用いずに送信データを直接数百psのパルス幅のパルス列によって伝搬するから、送信時の瞬間的な電力しか必要とせず、そのため超広帯域無線方式を用いることにより、無線センサ装置1全体での消費電流を抑えることができる。例えば、無線センサ装置1を複数使用することを考えた場合、無線センサ装置1の検知出力Poutは、ハイレベルかローレベルかの1ビットの信号であるので、装置1の個々のアドレス情報と1ビット信号とからの比較的少ない情報量でシステムを構築することができ、このとき、無線センサ装置1からの出力が10sに1回送信され、送信時のパルス列幅1ms、平均動作電流が2mAとすると、消費電流は0.2μAとなる。このように、情報量の少ないデータを送信する場合には、超広帯域無線方式が有効であり、平均消費電流を1μA以下まで落とすことができるから、無線センサ装置1全体として省エネルギー化を図ることができるのである。
【0045】
電力発生装置Dは、図1に示すように、太陽電池である発電素子7と、該発電素子7からの出力電圧を昇圧する昇圧回路8、及び該昇圧回路8により昇圧された出力電圧を蓄電する、例えばコンデンサ(キャパシタ)である蓄電素子9を備えた蓄電回路10とから構成され、該蓄電素子9から信号処理回路部B及び無線送信回路部Cに動作電力を供給するものである。
【0046】
発電素子7は上記したように太陽光を受光して電流を発生する太陽電池であり、一端が接地されるとともに他端が昇圧回路8に接続されている。昇圧回路8は、発電素子7により生じる出力電圧を昇圧して出力するためのものである。蓄電素子9は、例えば電気二重層コンデンサが最適であり、一端が接地されて他端が昇圧回路8の出力端子に接続され、昇圧回路8により昇圧された出力電圧を自身に蓄電し、又、蓄電素子9の他端は各回路部B,Cに接続され動作電力を供給することができるようになっている。このような電力発生装置Dによれば、発電素子7が太陽光を受光することにより発電素子7に電流が発生し、このときに生じる出力電圧を昇圧回路8により昇圧して蓄電素子9に蓄えると同時に各回路部B,Cへ動作電力の供給を行うことができるのである。
【0047】
ここで、上記の信号処理回路部B、無線送信回路部C、及び昇圧回路8からなる回路部の平均消費電流を5μAとし、信号処理回路部Bと無線送信回路部Cがそれぞれ3Vで動作し、各動作限界電圧が2Vであるように設定すると、信号処理回路部Bと無線送信回路部Cは、電力発生装置Dの電力を平均10μW〜15μW消費することになる。このとき、昇圧回路8によって昇圧する際の電力変換効率が一般的な80%であるとすると、発電素子7において最低でも15μW以上の発電が必要となるが、これは、昼間の晴れた状態における一般的な10畳のリビングの明るさ(約300lx)において1セルの太陽電池から得られるエネルギーにより実現することができる。したがって上記の場合は太陽電池1セルにより動作でき、これにより無線センサ装置1の小型化を図ることができる。
【0048】
加えて、発電素子7により発電された電力を蓄電素子9に充電しておけば、発電素子7に光が当たらない状態となっても一定時間は信号処理回路部Bと無線送信回路部Cに電力を供給して無線センサ装置1を動作させることができる。例えば、蓄電素子9に1F蓄えられている場合、信号処理回路部Bと無線送信回路部Cの動作電圧が3Vから2Vまで落ちるのに要する時間は、およそ55時間である。つまり、発電素子7に光が当たらなくても、55時間は動作することができる。また、電力発生装置Dに2次電池を設けて、光が当たらないときは2次電池から電力を賄うようにしてもよい。
【0049】
以上により本実施形態の無線センサ装置1は構成されており、次にその動作について説明する。尚、信号処理回路部Bは初期状態において待機モードに設定されているとする。
【0050】
センサ部Aは、その感知範囲内で赤外線を検出すると出力Sinを発生する。そして、センサ部Aの出力Sinは、図1に示すように、信号処理回路部Bの電流電圧変換回路2に入力される。この電流電圧変換回路2において、出力Sinは、コンデンサC1の帰還容量のインピーダンスを用いて電圧信号Soutに変換され、この後に電圧増幅回路3に入力される。電圧増幅回路3に入力された電圧信号Soutは、電圧増幅回路3の3次のハイパスフィルタと2次のローパスフィルタと1組の非反転増幅器とによって、1Hzを中心とした周波数帯の電圧信号を選択的に増幅されて(中心周波数1Hzで約64dB)、増幅電圧信号Voutとして比較回路4へ出力される。比較回路4に入力された増幅電圧信号Voutは、第1のコンパレータCOMP1の反転入力端子と、第2のコンパレータCOMP2の非反転入力端子へと入力される。
【0051】
ここで、増幅電圧信号Voutが閾値電圧B1を下回り、且つ閾値電圧B2を上回る場合(つまり、増幅電圧信号Voutが閾値電圧B1,B2による切替判断用の閾値幅内に収まる場合)、コンパレータCOMP1,COMP2からの出力信号はともにハイレベルの信号となり、AND回路12は、ハイレベルの出力信号Coutを出力する。そして、ハイレベルの出力信号Coutを受けたモード切替回路5は、待機モードを維持し、出力部13は、トランジスタTrのゲート電極がハイレベルのままなので出力端子14から、センサ部Aが人を検知していないことを示すローレベルの検知出力Poutが出力されることになる。
【0052】
一方、増幅電圧信号Voutが少なくとも閾値電圧B1を上回る、或いは閾値電圧B2を下回る場合(つまり、増幅電圧信号Voutが閾値電圧B1,B2による切替判断用の閾値幅内に収まらない場合)、コンパレータCOMP1,COMP2からの出力信号のうち少なくとも一方はローレベルの信号となるから、AND回路12は、ローレベルの出力信号Coutを出力する。そして、ローレベルの出力信号Coutを受けたモード切替回路5は、待機モードから動作モードへの切り替えを行う。このとき、検知出力Poutはまだローレベルのままであるが、この電圧増幅信号Voutが引き続き変動し、少なくとも閾値電圧A1を上回る、或いは閾値電圧A2を下回る場合(つまり、増幅電圧信号Voutが閾値電圧A1,A2による人体検知用の閾値幅内に収まらない場合)、コンパレータCOMP1,COMP2からの出力信号のうちいずれか1つがローレベルの信号となるので、AND回路12はローレベルの出力信号Coutを出力する。このとき、モード切替回路5は動作モードを設定するとともにスイッチSW5をオンとしているから、AND回路12から出力されたローレベルの出力信号CoutはスイッチSW5を通過してトランジスタTrのゲート電極に入力される。これによりトランジスタTrのゲート電極がローレベルとなるから、トランジスタTrのソース−ドレイン電極間が通電され、その結果、出力端子14からセンサ部Aが人を検知したことを示すハイレベルの検知出力Poutが出力されることになる。尚、モード切替回路5により待機モードから動作モードに切り替えられた後に、入力された増幅電圧信号Voutが閾値電圧A1を下回り、且つ閾値電圧A2を上回る場合(つまり、増幅電圧信号Voutが閾値電圧A1,A2による人体検知用の閾値幅内に収まる場合)、コンパレータCOMP1,COMP2からの出力信号はともにハイレベルの信号となるので、AND回路12はハイレベルの出力信号Coutを出力する。そして、ハイレベルの出力信号Coutが出力されると、モード切替回路5はモードを動作モードから待機モードに切り替えるとともに、スイッチSW5をオフにするので、トランジスタTrのゲート電極はプルアップ抵抗R16によりハイレベルとなり、出力回路13からはローレベルの検知出力Poutが出力されることになる。
【0053】
このようにして信号処理回路部Bから出力された検知出力Poutは、無線送信回路部Cの変換回路15に入力される。そして変換回路15によって、上記の超広帯域方式の無線信号Outに変換されて無線センサ装置1の出力端子6から外部へと出力されることになる。
【0054】
本実施形態の無線センサ装置1によれば、センサ部Aからの出力Sinを電流電圧変換回路2により電圧信号Soutに変換した後に電圧増幅回路3によってアナログ増幅し、増幅後の増幅電圧信号Voutを比較回路4に入力して、増幅電圧信号Voutが予め設定された閾値である閾値電圧A1,A2を越えたときにハイレベルの検知出力Poutを発生することにより、センサ部Aからの出力Sinをハイレベルかローレベル、すなわちオン・オフの1ビットの信号に変換することができる。これにより従来のようにマイコン等が用いられているA/D変換器等を用いてデジタル信号処理を行う必要がなくなるから、信号処理回路部Bの消費電流を抑えて省エネルギー化を図ることができる。
【0055】
さらに、信号処理回路部Bの消費電流を切り替えるための切替手段としてモード切替回路5を備え、このモード切替回路5により、増幅されたセンサ部Aの出力Sinである増幅電圧信号Voutが予め設定された閾値である閾値電圧B1,B2を越えない場合は、信号処理回路部Bを信号処理回路部Bの消費電流を制限した待機モードに設定し、越える場合は、信号処理回路部Bを信号処理回路部Bの消費電流を定格電流とした動作モードに設定するようにしてある。そのため、センサ部Aからの出力Sinが弱いときには、信号処理回路部Bが待機モードに設定され、これにより信号処理回路部Bの消費電流を低くすることができ、省エネルギー化を図ることができる。加えて、無線送信回路部Cの無線方式として、従来の無線通信方式よりも低電力で通信を行える超広帯域無線通信方式を採用して、これにより外部へ出力を送信するようにしてあるので、さらに省エネルギー化を図ることができる。
【0056】
また、信号処理回路部B及び無線送信回路部Cに動作電力を供給する電力発生装置Dを備えているために長寿命で電池交換不要となるから、従来から面倒であった無線センサ装置1のメンテナンスを行う必要がなくなり、取り付けが困難であった場所、例えば天井等の高いところにも問題無く設置することができる。その上、無線により外部への送信を行うから、配線工事をする必要がなくなり、取り付け場所の自由度を向上することができる。これにより、無線センサ装置1を様々な場所に複数設置して使用することができるようになり、例えば、施設の各部屋やトイレ等に無線センサ装置1を取り付けて常に部屋の利用状況が分かるようにすれば、利用者が部屋に行って空き状態を確認する手間を省くことができる。
【0057】
加えて、無線送信回路部Cにも、上記のモード切替回路5と同様なモード切替手段を設けることとしてもよく、この場合、モード切替の判断は、例えば信号処理回路部Bの検知出力Poutがハイレベルの信号であれば動作モードに設定し、ローレベルの信号であれば待機モードに設定するようにすればよい。すなわち、前記モード切替手段は、信号処理回路部Bの検知出力Poutがローレベルの信号であれば、無線送信回路部Cを無線送信回路部Cの消費電流を制限して最低限動作できる程度とした待機モードに設定し、検知出力Poutがハイレベルの信号であれば、無線送信回路部Cを無線送信回路部Cの消費電流を定格電流にして十分に動作することができる動作モードに設定する。このようにすれば、人体を検知したことを示すハイレベルの検知出力Poutを受けたときのみ無線送信回路部Cが動作モードとなり、人体を検知していないとき(つまり、検知出力Poutがローレベルのとき)は、無線送信回路部Cの消費電力を抑えて無線センサ装置1の省エネルギー化を図ることができる。また、上記の信号処理回路部Bでは、最低限増幅電圧信号Voutの比較を行わなければならないために動作を停止する停止モードに設定することはできないが、無線送信回路部Cでは、待機モードに設定するかわりにモード切替手段を除いて無線送信回路部Cの動作を停止する停止モードに設定することができる。したがって、上記のモード切替手段によって、検知出力Poutがローレベルの信号であるときに無線送信回路部Cを停止モードに設定するようにすれば、さらなる省エネルギー化を図ることができる。
【0058】
ところで、上記の電圧増幅回路3の消費電流を低くするためには、増幅電圧信号Voutの振幅を抑える、つまり増幅電圧信号Voutの増幅利得を小さくすることが必要となるが、このとき無線センサ装置1の感度は、増幅電圧信号Voutの振幅に対する比較回路4の閾値電圧A1,A2による人体検知用の閾値幅により定義されるため、増幅電圧信号Voutの増幅利得を小さくして振幅を抑えた場合は、これに合わせて閾値電圧A1,A2による閾値幅も小さくする必要がある。また、上記電圧増幅回路3において増幅電圧信号Voutの増幅利得は、非反転増幅器の抵抗R4,R7と抵抗R5,R8との比率によって決定されるため、このような抵抗値を例えば数MΩと集積化できる最大レベルとすることで、回路に流れる電流を抑えることができ、これにより電圧増幅回路3全体の消費電流を低くすることができ、無線センサ装置1の省エネルギー化を図ることができる。一方、比較回路4の閾値電圧A1,A2による人体検知用の閾値幅を例えば400mVppで、例えば抵抗R8が数MΩとすると、電圧増幅回路3で最も振幅が振れる第2のオペアンプOP4を用いた非反転増幅器の出力電流能力、及び比較器4の閾値電圧生成部11の電流能力は約50nAあれば十分であるから、第2のオペアンプOP4より前の第1のオペアンプOP3を用いた非反転増幅器はさらに低消費化することができ、これによっても無線センサ装置1の省エネルギー化を図ることができる。
【0059】
尚、本実施形態において、センサ部Aは、人体から輻射される赤外線エネルギーを検出する人体検知用の焦電センサとしているが、本実施形態のセンサ部Aは、焦電センサに限られるものではなく、照度センサ、又は振動センサ、或いは温度センサとしてもよい。特に振動センサを利用する例としては、建造物の微小振動(振動エネルギー)を電力に変換し、その電力で内部回路を動作させ、ある一定の揺れを検知すると発報信号を出力する振動センサが挙げられる。尚、このような微小振動からエネルギーを得ることができる素子としては、建造物の壁面、床等の振幅が数μm以下の微小振動のエネルギーを電力に変換できるものが提供されている。
【0060】
(実施形態2)
本実施形態の無線センサ装置1は、上記の実施形態1の無線センサ装置1に比べて、モード切替回路5に特徴があり、その他の構成は上記実施形態1と略同様であるので同一の符号を付し説明を省略する。
【0061】
本実施形態のモード切替回路5は、図5(a)に示すように、発電素子7に接続された電線Lによって発電素子7の出力電圧を常時モニタするように構成してあり、この出力電圧がモード切替回路5に予め設定された閾値、例えば発電素子7によるエネルギー供給が十分であるか否かを判断する基準となる電圧値未満となった場合は、上記の実施形態1と同様に、比較回路4のAND回路12の出力信号Coutによって、信号処理回路部Bを待機モード、或いは動作モードに設定し、発電素子7の出力電圧がモード切替回路5の前記閾値以上となった場合は、AND回路12の出力信号Coutの値に依らず、信号処理回路部Bを動作モードに設定するようにしてある。
【0062】
つまり、モード切替回路5は、発電素子7から得られる出力電圧が予め設定された閾値未満である場合は、発電素子7によるエネルギー供給が不十分であると判断して、上記の実施形態1と同様にAND回路12の出力信号Coutがハイレベルの信号のときに信号処理回路部Bを待機モードに設定し、出力信号Coutがローレベルの信号のときに信号処理回路部Bを動作モードに設定するが、発電素子7から得られる出力電圧が予め設定された閾値以上である場合は、発電素子7によるエネルギー供給が十分であると判断して、信号処理回路部Bのモードの切り替えを行わず、信号処理回路部Bを常に動作モードに設定するのである。
【0063】
このような無線センサ装置1によれば、発電素子7により発電されるエネルギーの供給量が十分である場合には、センサ部Aの出力によらず信号処理回路部Bを動作モードに設定し、この状態を維持するので、上述の信号処理回路部Bを待機モード或いは動作モードに切り替える際の消費電流の変動によって生じるおそれのある誤動作を防止することができるのである。
【0064】
一方、発電素子7の出力電圧をモニタする替わりに、蓄電素子9の電圧値をモニタする、若しくは信号処理回路部Bの電源電圧を直接モニタする構成としてもよいが、この場合、発電素子7によるエネルギー供給の状態とは直接関係していないため、エネルギーの有効利用という点では効率が悪くなってしまう。例えば、蓄電素子9の電圧値がモード切替回路5の予め設定された閾値を越えていたとしても、発電素子7によるエネルギー供給が十分であるとは限らないため、発電素子7によるエネルギー供給が少ない場合でも、信号処理回路部Bを動作モードに設定してしまうから、蓄電素子9の電圧降下を早めてしまうおそれがある。
【0065】
(実施形態3)
本実施形態の無線センサ装置1は、上記の実施形態1に比べて、センサ部Aと発電素子7とを一体としたことに特徴があり、上記実施形態1と略同様の構成については同一の符号を付し説明を省略する。
【0066】
本実施形態の無線センサ装置1は、図5(b)に示すように、電力発生装置Dに備えられてセンサ部及び発電素子を兼ねる素子Eと、該素子Eからの出力Sinに応じて検知出力Poutを発生する信号処理回路部Bと、信号処理回路部Bからの検知出力Poutを無線信号Outにより外部へ送信する無線送信回路部Cと、無線信号を外部へ出力するための出力端子6と、素子Eにより発電された電力を昇圧回路8で昇圧して蓄電素子9に蓄電し、該蓄電素子9から信号処理回路部B及び無線送信回路部Cに動作電力を供給する電力発生装置Dとを具備している。
【0067】
素子Eは、例えば、太陽電池のような光電効果を利用した素子であり、太陽電池は受光した光の照度に応じて発電する電流量が変化するため、太陽電池を照度センサとしても利用することができる。また、モード切替回路5は、図5(b)に示すように、素子Eの出力電圧を電線Lによって常時モニタするように構成してあり、この出力電圧がモード切替回路5に予め設定された閾値を下回る場合は、信号処理回路部Bを待機モードに設定し、出力電圧が予め設定された閾値を上回る場合は、信号処理回路部Bを動作モードに設定するようにしてある。
【0068】
したがって、素子Eの出力電圧が前記閾値を下回る場合は、当然照度も低く、このときは信号処理回路部Bがモード切替回路5によって待機モードに設定され、省エネルギー化が図られることになる。一方、素子Eの出力電圧が前記閾値を上回る場合は、当然照度も高く、このときは信号処理回路部Bがモード切替回路5によって動作モードに設定され、これにより照度の検出が行えるようになるのである。
【0069】
本実施形態の無線センサ装置1によれば、照度センサと発電素子との役割を1つの素子により得ることができるため、無線センサ装置1の小型化、高効率化が実現できる。また、センサにより検出するエネルギーと、発電に利用するエネルギーとが、同じエネルギー源から得られるため、センサによりエネルギーを検出した際、同時に発電が行われることになるので、電力発生装置Dから信号処理回路部Bや無線送信回路部Cに安定して動作電流を供給することができるようになる。
【0070】
尚、本実施形態は、太陽電池のような光電効果を利用した素子を用いた照度センサについて述べたが、熱電素子や振動素子を用いたセンサについても同様の構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態1の無線センサ装置のブロック図である。
【図2】同上の無線センサ装置の電流電圧変換回路を示す回路図である。
【図3】同上の無線センサ装置の電圧増幅回路を示す回路図である。
【図4】同上の無線センサ装置の比較回路及びモード切替回路を示す回路図である。
【図5】(a)は、本発明の実施形態2の無線センサ装置のブロック図であり、(b)は、本発明の実施形態3の無線センサ装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1 無線センサ装置
2 電流電圧変換回路
3 電圧増幅回路
4 比較回路
5 モード切替回路
6 出力端子
7 発電素子
8 昇圧回路
9 蓄電素子
10 蓄電回路
15 変換回路
A センサ部
B 信号処理回路部
C 無線送信回路部
D 電力発生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ部と、該センサ部からの出力をアナログ増幅するとともに、アナログ増幅された出力が予め設定された閾値を越えたときに検知出力を発生する信号処理回路部と、前記信号処理回路部からの検知出力を無線信号により外部へ送信する無線送信回路部と、発電素子を備え該発電素子により発電された電力を蓄電素子に蓄電し、該蓄電素子から前記信号処理回路部及び前記無線送信回路部に動作電力を供給する電力発生装置とを具備していることを特徴とする無線センサ装置。
【請求項2】
前記信号処理回路部と前記無線送信回路部の少なくとも一方の消費電流を切り替えるための切替手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の無線センサ装置。
【請求項3】
前記切替手段は、前記センサ部の出力が予め設定された閾値を越えない場合には、前記信号処理回路部を、該信号処理回路部の消費電流が制限された待機モードに設定し、前記センサ部の出力が前記閾値を越える場合には、前記信号処理回路部を、該信号処理回路部の消費電流が前記信号処理回路部の定格電流となる動作モードに設定することを特徴とする請求項2に記載の無線センサ装置。
【請求項4】
前記切替手段は、前記センサ部の出力が予め設定された閾値を越えない場合には、前記無線送信回路部を、該無線送信回路部の消費電流が制限された待機モード又は停止モードに設定し、前記センサ部の出力が前記閾値を越える場合には、前記無線送信回路部を、該無線送信回路部の消費電流が前記無線送信回路部の定格電流となる動作モードに設定することを特徴とする請求項2又は3に記載の無線センサ装置。
【請求項5】
前記切替手段は、前記発電素子により発電されるエネルギーが予め設定された閾値を越えている間、前記動作モードに設定し、この状態を維持することを特徴とする請求項3又は4に記載の無線センサ装置。
【請求項6】
前記センサ部は、人体から輻射される赤外線エネルギーを検出する人体検知用の焦電センサであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の無線センサ装置。
【請求項7】
前記センサ部で検出するエネルギーと、前記発電素子で利用するエネルギーとが、同じエネルギー源から得られるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の無線センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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