説明

無線タグ装置

【課題】アクティブタイプの無線タグであっても、表裏を意識させて使用させる必要がないアクティブタイプの無線タグ装置を得る。
【解決手段】内蔵アンテナが電界型の無線タグ1aの場合に、表面、裏面を近接電界型アンテナで対向させた(Aタイプ)。内蔵アンテナが磁界型の無線タグ1bの場合に、表面、裏面を磁界型の近接磁界型アンテナを対向させる(Bタイプ)。また、表面側に対して2個の近接電界型アンテナを並列に収納し、かつ裏面側にも2個の近接電界型アンテナを収納してこれらを対向させる(Cタイプ)。或いは、表面側に対して2個の近接磁界型アンテナを並列に収納し、かつ裏面側に2個の近接磁界型アンテナを収納してこれらを対向させる(Dタイプ)。若しくは、さらに、表面、裏面共に電界型、磁界型を混在させてそれぞれを並列に無線タグ20に対向させる(Eタイプ)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブタイプの無線タグであっても、その電波の輻射方向を考慮しなくとも収納体に挿入するだけで電波の到達距離を伸ばすことができる無線タグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に無線タグの送信出力及びその輻射電界強度は、電波法の規制で制限されており、その通信距離はおのずと限られている。電波法により規制された微弱電波の制限値は、無線タグから3mの距離において54dBμV/m(500μV/m)以下の電界強度の送信出力でなければならない。
【0003】
また、無線タグは、無線タグを装着する物体又は人体の影響で、無線タグから輻射される電磁波が吸収されるため通信距離が更に減少してしまう。
【0004】
一方、現在、日本国内で使用できる無線タグは概略して下記の4種類に大別される。
【0005】
(1)125KHz,135KHz帯無線タグ
(2)13MHz帯無線タグ
(3)2.4GHz帯無線タグ
(4)微弱電波型無線タグ
このうち(1)と(2)は、探索距離が数十cm程度の短距離探索タイプであり、(3)及び(4)は、探索距離が数m〜十数mの長距離タイプである。
【0006】
また、(3)はマイクロ波帯の性質上、直進性が顕著で通信距離を長くとり易いという特性がある。
【0007】
また、(4)は周波数の制限がないため、反射などの電波伝搬特性とアンテナサイズの点で有利な300MHz帯程度の周波数で用いる長距離通信性に優れたものがあり、(3)のマイクロ波帯に比べるとUHF帯の電子デバイスを用いるため低コストである。
【0008】
すなわち、無線タグには、様々な種類があるが長距離タイプは(3)又は(4)が一般的に用いられているが物体又は人体の影響を考慮した工夫が必要である。
【0009】
このような工夫を施したアクティブタイプの無線タグについて以下に説明する。アクティブタイプの無線タグは、磁界タイプと電界タイプとがある。
【0010】
図19は磁界タイプのアクティブタイプの無線タグの概略構成図である。図19に示すようにアクティブタイプの無線タグ1b(磁界タイプ)は、回路基板2と、内蔵アンテナ3b(磁界タイプ)と、電池を内蔵してこの電力で内蔵アンテナ3bを駆動する回路部品部4とを内蔵している。
【0011】
この無線タグ1bの内蔵アンテナ3b側の面には、近接磁界型アンテナ6が近接位置に配置されている。そして、内蔵アンテナ3bと近接磁界型アンテナ6とによりエネルギー結合されて電波が二次輻射される。
【0012】
これによって、無線タグを単体で人体等につけて用いた場合でも内蔵アンテナ3b単体の時よりも人体の影響を受けにくく、空間を伝搬した電磁波が受信機7b(磁界用)まで到達するときの到達距離を伸ばすことができる。
【0013】
また、近接磁界型アンテナ6に代えて、図20に示すようにλ/2(λ:波長)程度の導線を備えた静電結合方式近接電界型アンテナ8(導体板)であってもよい。
【0014】
図21は静電結合方式近接電界型アンテナ8が無線タグ1a(電界タイプ)の内蔵アンテナ3a(電界用)側に近接していることを示す図であり、無線タグ1a側は、静電結合方式近接電界型アンテナ8、内蔵アンテナ3a及び回路基板2とのみを示す。
【0015】
内蔵アンテナ3aにキャパシティアンテナ(電界型)を採用している場合には、近接アンテナとしては静電結合方式近接電界型アンテナ8を用いる。これは、内蔵アンテナに電界型を用いている場合は、電磁波は近傍界領域(フレネル領域)では電磁波のうち電界成分が強く遠方界領域(フラウンホーファー領域)ではじめて、電界成分と磁界成分が等しい電磁波となって伝搬する。
【0016】
このため、近傍界領域では電界のみが支配的なので、近接アンテナとして磁界型アンテナを用いても、効率の良い電磁界の結合が行われない。
【0017】
従って、内蔵アンテナ3aに電界型アンテナを採用している場合は、内蔵アンテナ3aから発信された電磁波を効率よく空間に輻射し、より受信機7a(電界用)まで到達するときの到達距離を伸ばすため、近接アンテナとしては静電結合方式近接電界アンテナ8を用いる。
【0018】
磁界型の近接アンテナの一例を、図22を用いて説明する。図22(a)は、無線タグから送信される電磁波の波長に対して全周が0.5波長以下の円形状の磁界型アンテナであることを示し、図22(b)は、無線タグから送信される電磁波の波長に対して全周が0.5波長以下の四角形状の磁界型アンテナであることを示し、それぞれがコンデンサ10を備えている。この構造により、導体とコンデンサとにより、電磁波に共振する。
【0019】
このような無線タグに貼り付けて電波を効率良く輻射する特許文献1(特開2007−174582号公報)がある。
【0020】
この特許文献1は、無線タグのケースの一方の面に、静電結合式電界型アンテナを貼り付け、裏面に近接磁界型アンテナを貼り付けることによって、近接アンテナの種類によらないで到達距離を伸ばすことができる無線タグである。
【特許文献1】特開2007−174582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、アクティブタイプの無線タグは、内部に回路基板を設けこの回路基板の表面側に内蔵アンテナを設ける構成であるので、構造上、電界、磁界の誘起が起こしやすい面と起こしにくい面とがある。
【0022】
すなわち、無線タグの設置方向が表か裏により近接アンテナへの結合具合に差が出てしまうので、挿入方向は表、裏を管理する必要がある。このため、使用者は近接アンテナに対して、無線タグを、より結合しやすい面を正しく管理して設置する必要があった。
【0023】
つまり、無線タグの設置方向で表裏を間違えると検知距離が短くなってしまう。そのため、表裏を意識して使用しなければならないので、使用者にとっては使い難い。
【0024】
従って、アクティブタイプの無線タグであっても、表裏を意識して使用する必要がないアクティブタイプの無線タグ装置が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の無線タグ装置は、電池を内蔵して内蔵アンテナからの電波を輻射するアクティブタイプの無線タグと、
両面側に前記内蔵アンテナの輻射方式に対応した近接アンテナを設けて、収納口から収納させて前記内蔵アンテナに対向する近接アンテナとで電波を輻射させる収納体とを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0026】
以上のように本発明によれば、アクティブタイプの無線タグであっても、内蔵アンテナの輻射方向を考慮することなく用いることができる。
【0027】
また、収納体の表面と裏面には、近接アンテナを設けているので、無線タグからの輻射方向を気にしないで、無線タグをこの収納体(プラスチックケース又はビニールシート)に挿入して用いることができる。
【0028】
また、収納体の表面、裏面に設けられる近接アンテナ(磁界)は、導体とコンデンサとで構成されるアンテナであるから安価である。
【0029】
また、無線タグの内蔵アンテナの種類に対応した近接アンテナを収納体の表面、裏面に設けることができるので、無線タグの製造メーカの種類に容易に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
一般的に無線タグの内蔵アンテナはタグサイズを小さくするために微小キャパシティアンテナ又は微小磁界アンテナが用いられている。本実施の形態で用いる無線タグに近接して設けられる近接アンテナは、最大の効果が得られるように内蔵アンテナと同様なタイプのアンテナを採用している。
【0031】
本実施の形態では、小型化を重要とするため、無線タグの内蔵アンテナが電界型(微小キャパシティアンテナ)の場合は、近接アンテナに静電結合方式近接電界型アンテナを用い、微小磁界アンテナの場合は近接磁界型アンテナを用いる。
【0032】
図1を用いて本発明の概要を初めに説明する。本発明は下記に説明するタイプがあることを特徴としている。各タイプの詳細は後述する。なお、各タイプにおいて同一符号のものは説明を省略する。さらに、本実施の形態では内蔵アンテナは微小キャパシティアンテナ又は微小磁界アンテナのいずれかを用いている。
【0033】
(A)タイプ
図1(a)にAタイプを示す。Aタイプは、内蔵アンテナが電界型(微小キャパシティアンテナ)の無線タグ1aの場合に、表面、裏面を電界型の静電結合方式近接電界型アンテナ(以下近接電界型アンテナと称する)で対向させるタイプである。
【0034】
図1(a)に示す無線タグ装置11は、アクティブタイプの無線タグ1a(電界型)の場合に、近接電界型アンテナ6a(銅板)が収納された表面側の収納体12aと、近接電界型アンテナ6b(銅板)が収納された裏面側の収納体12bとで挟んでいる。
【0035】
すなわち、無線タグ1aの内蔵アンテナが電界型であっても、その電界型の内蔵アンテナの配置位置を意識することなくユーザが使用できると共に、電波の到達距離を伸ばすことができる。また、各電界型アンテナには導線13(波長:λ/2程度)が接続されている。
【0036】
(B)タイプ
図1(b)にBタイプを示す。Bタイプは、内蔵アンテナが磁界型の無線タグ1bの場合に、表面、裏面を磁界型の近接磁界型アンテナを対向させるタイプである。
【0037】
図1(b)に示す無線タグ装置15は、アクティブタイプの無線タグ1bが磁界型の場合に、近接磁界型アンテナ17aが収納された表面側の収納体16aと、近接磁界型アンテナ17bが収納された裏面側の収納体16bとで挟んでいる。
【0038】
すなわち、無線タグ1bの内蔵アンテナが磁界型であっても、その磁界型の内蔵アンテナの配置位置を意識することなくユーザが使用できると共に、電波の到達距離を伸ばすことができる。
【0039】
(C)タイプ
図1(c)にCタイプを示す。Cタイプは、表面側に対して2個の近接電界型アンテナを並列に収納し、かつ裏面側にも2個の近接電界型アンテナを収納して、これらを対向させるタイプである。
【0040】
図1(c)に示す無線タグ装置19は、アクティブタイプの無線タグ1a(電界型)を、表面側の収納体20aにおいて、その長手方向に近接電界型アンテナ21a、近接電界型アンテナ21bを並列に収納する。
【0041】
また、裏面側の収納体20bにおいては、その長手方向に近接電界型アンテナ21b、近接電界型アンテナ21dを並列に収納する。
【0042】
すなわち、(C)のタイプは、無線タグ1aの内蔵アンテナが電界型の場合において、この内蔵アンテナを前側又は後側、かつ表裏を逆にして挿入しても、いずれかの電界型アンテナに内蔵アンテナが対向する。このため、電界型の内蔵アンテナの配置位置を意識せずにユーザは使用できると共に、電波の到達距離を伸ばすことができる。
【0043】
(D)のタイプ
図1(d)にDタイプを示す。Dタイプは、表面側に対して2個の近接磁界型アンテナを並列に収納し、かつ裏面側に2個の近接磁界型アンテナを収納して、これらを対向させるタイプである。
【0044】
図1(d)に示す無線タグ装置22は、アクティブタイプの無線タグ1b(磁界)の場合に、その表面側の収納体23aにおいて、その長手方向に近接磁界型アンテナ24a、近接磁界型アンテナ24cを並列に収納する。
【0045】
また、裏面側の収納体23bにおいて、その長手方向に近接磁界型アンテナ24b、近接磁界型アンテナ24dを並列に収納する。
【0046】
すなわち、(D)のタイプは、無線タグ1bの内蔵アンテナが磁界型の場合において、この内蔵アンテナを前側又は後側、かつ表裏を逆にして挿入しても、いずれかの磁界型アンテナに内蔵アンテナが対向する。このため、磁界型の内蔵アンテナの配置位置を意識せずにユーザは使用できると共に、電波の到達距離を伸ばすことができる。
【0047】
(Eタイプ)
図1(e)にEタイプを示す。Eタイプは、無線タグの内蔵アンテナが電界又は磁界のいずれであっても対応を可能とするタイプである。
【0048】
図1(e)に示す無線タグ装置26は、無線タグが電界タイプの無線タグ1a又は磁界タイプの無線タグ1b(以下総称して無線タグ20という)に適用させるものであり、この無線タグ20において、その表面側の収納体27aの長手方向に近接電界型アンテナ28a、近接磁界型アンテナ28cを並列に収納する。
【0049】
また、裏面側の収納体27bにおいて、その長手方向に近接電界型アンテナ28b、近接磁界型アンテナ28dを並列に収納する。
【0050】
すなわち、(E)のタイプは、表面、裏面共に電界型、磁界型を並列に無線タグ20に対向させることによって、無線タグが電界型又は磁界型の場合であっても、内蔵アンテナの配置位置を意識せずにユーザは使用できると共に、電波の到達距離を伸ばすことができる。
【0051】
(Fタイプ)
Fタイプは、Eタイプの変形例であり、無線タグの内蔵アンテナが電界又は磁界であっても対応を可能とするタイプである。
【0052】
図1(f)に示す無線タグ装置30は、無線タグが電界タイプの無線タグ1a又は磁界タイプの無線タグ1bの無線タグ20に適用させるものである。
【0053】
この無線タグ20において、その表面側の収納体31aの長手方向に近接磁界型アンテナ32aと近接磁界型アンテナ32cとを並列に収納すると共に、近接電界型アンテナ33aと近接電界型アンテナ33dとを並列に収納する。
【0054】
すなわち、表面側の収納体31aに合計4個の近接アンテナを設けている。
【0055】
さらに、裏面側において、その収納体31bの長手方向に磁界アンテナ32bと磁界アンテ32dとを並列に収納すると共に、近接電界型アンテナ33bと近接電界型アンテナ33dとを並列に収納する。すなわち、裏面側の収納体31bに合計4個の近接アンテナを設けている。
【0056】
これによって無線タグの内蔵アンテナが電界又は磁界タイプであっても、内蔵アンテナの配置を意識しないで、使用を可能とする。
【0057】
つまり、本発明は、図2に示すように、従来は無線タグの片面側に互いに異なる種類の近接アンテナを対向させていたのに対して、本願発明は、無線タグの両面側に電界型の近接アンテナ又は両面側に磁界型或いは両面に電界型と磁界型との組みを混在している。
【0058】
すなわち、本発明は両面側の収納体(ケース又はビニールシート)に、電界型の近接アンテナ又は両面側に磁界型或いは両面に電界型と磁界型との組みを混在させた収納(貼り付けでもよい)しておけば、無線タグの内蔵アンテナが電界タイプ或いは磁界タイプであっても対応できる。
【0059】
ここで、本実施の形態に用いる近接アンテナの形状を図3に示す。図3(a)に示すように、近接電界型アンテナは、板状であり、導線13(波長:λ/2)が接続されている。また、近接磁界型アンテナは、図3(b)及び図3(c)に示すようにコンデンサ10を有するループアンテナである。
【0060】
以下に各タイプの実施形態を詳細に説明する。本実施の形態では無線タグをケースに挿入して使用する無線タグ装置として説明する。また、本実施の形態では代表的なAタイプ、Cタイプ、Dタイプ、Fタイプを説明し、Bタイプ及びEタイプは詳細説明を省略する。
【0061】
さらに、収納体としてはビニールシート又はプラスチックケースを用いるが本実施の形態ではプラスチックケース(以下ケースという)を用いて説明する。
【0062】
<実施の形態1>
図4は図1のAタイプの無線タグ装置11の斜視図である。図5は無線タグ装置11の断面図である。図4及び図5に示すようにケース12は、内蔵アンテナが電界型の無線タグ1aを収納可能となっている。この電界型(微小キャパシティアンテナ)の内蔵アンテナを本実施の形態では内蔵アンテナ3aと称する。
【0063】
そして、ケース12の表面(12a)の中央には近接電界型アンテナ6aが収納され、裏面(12b)の中央にも近接電界型アンテナ6bが収納されている。
【0064】
すなわち、無線タグ1aが図5(a)に示すように内蔵アンテナ3aがケース12の表面(12a)になるように挿入された場合は、表面(12a)の中央に近接電界型アンテナ6aがあるので、無線タグ1aの内蔵アンテナ3aとが少なくとも対向する。
【0065】
また、図5(b)に示すように、内蔵アンテナ3aが裏面(12b)になるようにケース12に無線タグ1aを挿入した場合は、裏面(12b)の中央に近接電界型アンテナ6bがあるので、内蔵アンテナ3aと近接電界型アンテナ6bとは少なくとも対向する。
【0066】
従って、ユーザは無線タグ1aの表面、裏面を意識しないで使用でき、かつ近接しておかれている近接電界型アンテナ6a又は近接電界型アンテナ6bが内部アンテナ3aと静電結合によって結合し、その結果、電波を受信機7a(電界用)に送信できる。
【0067】
<実施の形態2>
図6はCタイプの無線タグ装置19の斜視図である。図7は図6の無線タグ装置19の断面図である。図6及び図7に示すようにケース20は、内蔵アンテナ3aの電界型の無線タグ1aを収納可能となっている。そして、ケース20の表面(20a)には近接電界型アンテナ21a及び近接電界型アンテナ21cが並列に収納され、裏面(20b)にも近接電界型アンテナ21b及び近接電界型アンテナ21dが並列に収納されている。
【0068】
これらの近接電界型アンテナは、ケース20の一方の端部側と他方の端部側に設けるのが好ましい。
【0069】
すなわち、無線タグ1aの内蔵アンテナ3aは、回路基板2の端部側に設けられるのが一般的であるから図7(a)に示すように内蔵アンテナ3がケース20の表面(20a)になるように挿入された場合は、表面(20a)の近接電界型アンテナ21cと内蔵アンテナ3aとが対向する。
【0070】
また、図7(b)に示すように、内蔵アンテナ3aが裏面になるようにケース20に無線タグ1aを挿入した場合は、裏面(20b)に近接電界型アンテナ21bがあるので、内蔵アンテナ3aと近接電界型アンテナ21bとは対向する。
【0071】
従って、ユーザは無線タグ1aの表面、裏面を意識しないで使用でき、かつ電波を効率良く受信機7aに送信できる。
【0072】
<実施の形態3>
図8はDタイプの無線タグ装置22の斜視図である。図9は図8の無線タグ装置22の断面図である。図8及び図9に示すようにケース23は、内蔵アンテナが磁界型の無線タグ1bを収納可能となっている。この磁界型の内蔵アンテナを本実施の形態では内蔵アンテナ3bと称する。
【0073】
そして、ケース23の表面(23a)には近接磁界型アンテナ24a及び近接磁界型アンテナ24cが並列に収納され、裏面(23b)にも近接磁界型アンテナ24b及び近接磁界型アンテナ24dが並列に収納されている。
【0074】
これによって、図9に示すように内蔵アンテナ3bがケース24の表面(24a)になるように挿入された場合は、表面(24a)の近接磁界型アンテナ24cと内蔵アンテナ3bとが対向する。
【0075】
前述の近接磁界型アンテナは、導体の長さ0.5波長以下として、さらにコンデンサ10を組み合わせたものであり、共振周波数を無線タグ1bが発する電波の周波数と同じとする。これにより、この導体には無線タグ1bが発する周波数の電波により、効率的に電磁界が誘起されて二次輻射されることになる。
【0076】
そして、共振時のインピーダンスは非常に低い値(一般的には0.数Ω)となることにより、大きな高周波電流が誘起するので、それにより近傍界に強い磁界を生じ、効率のよい輻射が行われる。
【0077】
従って、回路部品部4からの輻射される電磁波が内蔵アンテナ3bと近接磁界型アンテナ24cとにより、エネルギー結合されて、近接磁界型アンテナ24cから空間へ2次輻射されるので、ユーザは無線タグ1aの表面、裏面を意識しないで使用でき、かつ電波を増幅して受信機7bに送信できる。
【0078】
<実施の形態4>
図10はFタイプの無線タグ装置30の斜視図である。図11は図10の無線タグ装置30の断面図である。図12は図10の側面図である。図12(a)は図11のA矢視図であり、図12(b)は図11B矢視図である。
【0079】
図10及び図11に示すようにケース31は、内蔵アンテナが電界型の無線タグ1a又は磁界型の無線タグ1b(総称して無線タグ20)を収納可能となっている。本実施の形態では、電界用又は磁界用の内蔵アンテナを単に内蔵アンテナ3と称する。
【0080】
そして、ケース31の表面(31a)には近接磁界型アンテナ32aと近接磁界型アンテナ32dとを並列に収納していると共に、近接電界型アンテナ33aと近接磁界型アンテナ33cとを並列に収納している。すなわち、ケース31の表面(31a)には、2個の近接磁界型アンテナと2個の近接電界型アンテナとが混在している。
【0081】
また、裏面(31b)に近接磁界型アンテナ32bと近接磁界型アンテナ32dとが並列に収納されていると共に、近接電界型アンテナ33bと近接電界型アンテナ33dとを並列に収納している。
【0082】
すなわち、ケース31の裏面(31b)には、2個の近接磁界型アンテナと2個の近接電界型アンテナとが混在している。
【0083】
これによって、図11に示すように内蔵アンテナ3がケース31の表面(31a)になるように挿入された場合は、表面(31a)の磁界型アンテナ32c及び電界型アンテナ33cとが対向する。このため、無線タグ20が電界又は磁界のいずれの内蔵アンテナ3を用いている場合であっても、電界型アンテナ又は磁界型アンテナが対向するので、電波を効率良く受信機7(磁界タイプと電界タイプを総称して単に受信機7と称する)に送信できる。
【0084】
従って、1つの無線タグにもかかわらず近接電界型アンテナからのハイインピーダンスで電界輻射と、近接磁界型アンテナからのローインピーダンスでの磁界輻射のいずれかのモードで輻射が行われる。これにより、無線タグ20の内蔵アンテナのタイプと、その方向性を意識することなく使用できるメリットがある。
【0085】
次に、さらに詳細に説明する。本説明では図8のDタイプを用いてさらに詳細を説明する。Dタイプは図13に示すように、作業員の首或いは台車等にかけるための紐25(クリップ付きが好ましい)を備えている。また、図14に示すように、ケース23の内部の四隅には、無線タグ1bを押さえるための押さえ部材38a、38b、38c、38dが設けられている。この押さえ部材38a、38b、38c、38dによって無線タグ1bをケース23に挿入しても無線タグ1bは動かない。
【0086】
<実施の形態5>
図15は実施の形態5無線タグ装置40の斜視図である。図16は図15の無線タグ装置40の断面図である。また、電界タイプ、磁界タイプ若しくは混在型でもよいが本実施の形態5では磁界タイプを代表にして説明する。
【0087】
上記実施の各形態では、ケースの表面と裏面とに近接磁界型アンテナを収納したが、図15に示すように、ビニールシート41に無線タグ1bを挿入した無線タグ装置40としてもよい。
【0088】
このビニールシート41は、無線タグ1bを入れるためのポケット42を有した構造となっている。そして、図16に示すように、ビニールシート41は、表面及び裏面が二重構造になっており、表面はシート43aとシート43bとで形成し、このシート43aとシート43bとの間に近接磁界型アンテナ(24a、24b)を並列に設けている。
【0089】
また、図16に示すように、裏面は、シート43cとシート43dとで形成し、このシート43cとシート43dとの間に近接磁界型アンテナ(24b、24d)を並列に設けている。これらの近接磁界型アンテナはシートに貼り付けられている。また、前述のポケット42の開口部にはジッパー44が取り付けられている。さらに、人体、ベルト等に取り付けるための取り付け紐45がビニールシートに取り付けられている。
【0090】
このようなビニールシート41は、表面及び裏面に、並列に近接磁界型アンテナが取り付けられているので、無線タグ1bがどのような方向でいれられても、実施形態1と同様に、いずれかの内蔵アンテナ3が対向するので、電波の到達距離を伸ばすことができる。
【0091】
<本実施の形態の無線タグ装置の利用>
図17は本実施の形態5の無線タグ装置40の利用を説明する説明図である。図17に示すように、荷物51を搭載した台車50に実施の形態5の無線タグ装置40を取り付けた場合を説明する。
【0092】
無線タグ1bの向きを意識しないでビニールシートに挿入している。そして、台車50に取り付けて、台車50を移動させると、無線タグ装置40の無線タグ1bの内蔵アンテナ3とは、いずれかの磁界型アンテナが対向する。このため、受信機7bが遠くにあっても、無線タグ装置40から電波が受信機7bに到達するので、無線タグ装置40からの受信電波のデータを解読すると、荷物がどのようなものか等を解析できる。
【0093】
なお、ここで、以下に近接電界型アンテナから発信される電磁波の発信源からの距離と電磁波の強度の関係について説明する。
【0094】
ある空間の原点にある長さlの電気ダイポールから距離rだけ離れた場所Pにおける電荷量をq(t) (tは時刻) とすると、電荷量の変化の割合が電流であるので、
【数1】

【0095】
と微分の形で書き表すことができる。
原点にz軸方向を向いた微小ダイポールがあったとき、図10に示す点Pにおける微小ダイポールの電界E(t)および磁界H(t)を電荷量の変化q(t)で表現すると、
【数2】

【数3】

【0096】
となる。これらの式は極座標に基づいて表記されており、er、eθ、eψは各々e方向、
θ方向、ψ方向単位ベクトルである。またcは空間中の電磁波の伝搬速度である。
【0097】
これらの式でr-3に比例する項は静電磁場を作り出す項で、電気ダイポールの場合電界のみに存在する。
r-2の項は誘導電磁場を発生させる項である。r-1項は放射界を作り出す項である。充分遠方であれば静電項、誘導項は放射項と比べてはるかに小さくなる。ゆえにダイポールから充分離れた場所における電界・磁界(遠方界という)は、
【数4】

【数5】

【0098】
となる。方向単位ベクトルは直交しているので、遠方界では電界と磁界は直交し、波の進行方向に電界・磁界の成分がない。
【0099】
周波数領域表示では遠方界電界・磁界の各成分は、
【数6】

【数7】

【0100】
となる。
ここで、遠方界電界と磁界の比ξを波動インピーダンスといい、以下の式で表される。
【数8】

【0101】
(数6)、(数7)より、近傍界領域では波源との距離rが短くなるほど波動インピーダンスξが大きくなることから、近傍界領域(フレネル領域)では電磁波のうち電界成分が強く、遠方界領域(フラウンホーファー領域)で磁場成分が強くなると言える。
【0102】
次に、近接磁界アンテナの定量的な数値例を説明する。いま、無線タグに近接した導体のサイズについて、Nをループ状導体のターン数(回)、Wを導体の1辺の長さ(m)(形状が正方形の場合を仮定)、aを導体の半径(m)(導体が線状と仮定)、μsを比透磁率とすると、このインダクタンスは以下の数式で定義される。
【数9】

【0103】
この数式に実際のシステムに適用する各種無線タグサイズを考慮して、適切な値を代入して導体サイズと、コンデンサの容量値を決定すればよい。
【0104】
例えば、L=約40(nH)となるサイズの導体構造とした場合には、C=約7(PF)のコンデンサを接続すれば、
【数10】

【0105】
の関係により無線タグの動作周波数を約300MHzと仮定すれば、この電磁波を効率良く2次輻射できる。
【0106】
なお、上記実施の形態では、プラスチックケース又はビニールシートに無線タグ内の内蔵アンテナに対応したアンテナを並列に設ける構造は、取り付け自在な構造にしてもよい。例えば、プラスチックケース又はビニールシートの表裏に設けるアンテナ自体に、マジックテープ(登録商標)等を貼り付けて、無線タグの種類(メーカ)に応じたアンテナを並列に設けるようにしてもよい。
【0107】
さらに、プラスチックケース自体にネジ等を設けて、壁、或いは車等に取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の概要を説明する説明図である。
【図2】従来技術と本発明との相違を説明する説明図である。
【図3】磁界型アンテナ及び電界型アンテナの説明図である。
【図4】図1のAタイプの無線タグ装置11の斜視図である。
【図5】図5は無線タグ装置11の断面図である。
【図6】Cタイプの無線タグ装置19の斜視図である。
【図7】図6の無線タグ装置19の断面図である。
【図8】Dタイプの無線タグ装置22の斜視図である。
【図9】図8の無線タグ装置22の断面図である。
【図10】Fタイプの無線タグ装置30の斜視図である。
【図11】図10の無線タグ装置30の断面図である。
【図12】図10の側面図である。
【図13】Dタイプの詳細を説明する斜視図である。
【図14】Dタイプの詳細を説明する断面図である。
【図15】実施の形態5無線タグ装置40の斜視図である。
【図16】図15の無線タグ装置40の断面図である。
【図17】本実施の形態5の無線タグ装置40の利用を説明する説明図である。
【図18】電界強度の算出の説明図である。
【図19】アクティブタイプの無線タグの概略構成図である。
【図20】導線を繋げたアクティブタイプの無線タグの概略構成図である。
【図21】導線を繋げたアクティブタイプの無線タグの斜視図である。
【図22】近接アンテナの説明図である。
【符号の説明】
【0109】
1 無線タグ
1a 電界型の無線タグ
1b 磁界型の無線タグ
2 回路基板
3a 電界型の内蔵アンテナ
3b 磁界型の内蔵アンテナ
4 回路部品部
6 近接磁界型アンテナ
6a 近接磁界型アンテナ
6b 近接電界型アンテナ
7a 受信機(電界用)
7b 受信機(磁界用)
8 静電結合方式近接電界アンテナ
10 コンデンサ
11 無線タグ装置
12 ケース
12a 表面側の収納体
12b 裏面側の収納体
13 導線
16a 表面側の収納体
16b 裏面側の収納体
17a 近接磁界型アンテナ
17b 近接磁界型アンテナ
19 無線タグ装置
20 ケース
20a 表面側の収納体
20b 裏面側の収納体
21a 近接電界型アンテナ
21b 近接電界型アンテナ
21c 近接電界型アンテナ
21d 近接電界型アンテナ
23 ケース
24 ケース
24a 近接磁界型アンテナ
24b 近接磁界型アンテナ
24c 近接磁界型アンテナ
24d 近接磁界型アンテナ
25 紐
26 無線タグ装置
27a 表面側の収納体
27b 裏面側の収納体
28a 近接電界型アンテナ
28b 近接電界型アンテナ
28c 近接磁界型アンテナ
28d 近接磁界型アンテナ
30 無線タグ装置
31 ケース
31a 表面側の収納体
31b 裏面側の収納体
32a 近接磁界型アンテナ
32b 近接磁界型アンテナ
33a 近接電界型アンテナ
33b 近接電界型アンテナ
33c 近接電界型アンテナ
33d 近接電界型アンテナ
35a 絶縁体
35b 絶縁体
40 無線タグ装置
41 ビニールシート
42 ポケット
43a シート
43b シート
43c シート
43d シート
44 ジッパー
45 取り付け紐
50 台車
51 荷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を内蔵して内蔵アンテナからの電波を輻射するアクティブタイプの無線タグと、
両面側に前記内蔵アンテナの輻射方式に対応した近接アンテナを設けて、収納口から収納させて前記内蔵アンテナに対向する近接アンテナとで電波を輻射させる収納体と
を有することを特徴とする無線タグ装置。
【請求項2】
前記内蔵アンテナは、電界型又は磁界型であり、
前記近接アンテナは前記内蔵アンテナと同じ電界型又は磁界型の輻射方式であることを特徴とする請求項1記載の無線タグ装置。
【請求項3】
前記収納体の両面には、前記近接アンテナを並列に設けることを特徴とする請求項1又は2記載の無線タグ装置。
【請求項4】
前記収納体の両面に並列にそれぞれ設けた前記近接アンテナの組合せは、電界型のアンテナ又は磁界型のアンテナであることを特徴とする請求項3記載の無線タグ装置。
【請求項5】
前記並列の組合せは、電界型のアンテナと磁界型のアンテナとを並列に一組として前記収納体の表面及び裏面のそれぞれの一方の面の一方側に、電界型のアンテナと磁界型のアンテナとを並列に一組として設けると共に、他方側にもこの組みを設けることを特徴とする請求項4記載の無線タグ装置。
【請求項6】
前記収納体は、プラスチックケース又はビニールシートで形成され、表面及び裏面の中に前記近接アンテナを設けていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の無線タグ装置。
【請求項7】
前記プラスチックケースは、前記無線タグと同型形状にされていることを特徴とする請求項6記載の無線タグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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