説明

無線タグ読み取り装置及びRFIDシステム

【課題】 周囲の環境によって通信品質が劣化しても無線タグが応答できるようにした無線タグ読み取り装置及びRFIDシステムを提供する。
【解決手段】 ASK変調信号を送信し、無線タグからの応答信号を受信する無線タグ読み取り装置であって、搬送波をベースバンド信号に基づいてASK変調し、ASK変調信号を生成する変調手段と、受信信号を復調し、復調信号を生成する復調手段と、復調信号に基づいて無線タグからの応答信号の受信を判別する応答信号検出部29bと、トリガ信号に基づいて応答要求を生成し、ASK変調信号として送信された応答要求に対する応答信号が受信されるまで応答要求を繰り返し送信する送信制御部29aと、応答信号検出部29bによる判別結果に基づいて、ASK変調信号の変調度を切り替える変調制御部29cにより構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグ読み取り装置及びRFIDシステムに係り、さらに詳しくは、ASK変調信号を送信し、無線タグからの応答信号を受信する無線タグ読み取り装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バーコードに代わる製品識別及び管理の技術として、無線タグが注目を集めている。この無線タグは、RF信号を受信して半導体メモリ上のデータを読み出したり、半導体メモリ内にデータを書き込むことができるRFID(Radio Frequency IDentification)技術を用いたタグである。最近では、非接触による電力伝送の技術の開発により、電池を持たず半永久的に使用可能な無線タグも出現している。この様な無線タグに対するデータの読み書きには、無線タグ読み取り装置が用いられる。
【0003】
無線タグ読み取り装置は、搬送波をベースバンド信号としてのデジタル信号により変調して送出し、無線タグからの応答信号を受信する通信機器である。この搬送波のベースバンド信号に基づく変調には、搬送波の振幅を変化させるASK(Amplitude Shift Keying:振幅シフトキーイング)変調や、周波数を変化させるFSK(Frequency Shift Keying)変調、位相を変化させるPSK(Phase Shift Keying)変調がある。このうち、無線タグ読み取り装置に用いられるASK変調では、変調度の異なる2つの通信方式がISO(International Organization for Standardization)によって規格化されている。
【0004】
変調度は、ASK変調における搬送波振幅の変化割合であり、ISO規格では、変調度が100%の通信方式と10%の通信方式が定められている。変調度が100%の通信方式では、変調によって振幅が小さくなっている期間中、信号振幅がゼロとなり、無線タグに対する電力伝送が途切れる。一方、変調度が10%の通信方式は、上記変調期間中であっても、信号振幅がゼロとなることがなく、電力伝送は途切れることがない。
【0005】
一般に、無線タグ又は無線タグ読み取り装置の周囲に金属が存在すると、無線タグ読み取り装置から送信されたRF信号の電磁界が打ち消され、無線タグ読み取り装置から無線タグへの通信品質が劣化することが従来から知られている。無線タグや無線タグ読み取り装置は、金属製のワークに取り付けられることも少なくない。このため、タグ側の通信方式に応じた変調度で変調されたRF信号が無線タグ読み取り装置から送信される場合であっても、通信品質の劣化により受信時におけるRF信号の変調度が低下し、応答できなくなってしまうという問題があった。特に、変調度10%の通信方式を指定するASK10%対応の無線タグでは、タグ側で受信されるRF信号の変調度が10%よりも低下し、受信処理ができなくなってしまう。
【0006】
なお、特許文献1には、無線タグからの応答信号が受信されるまで通信方式を切り替えてコマンドを送出する無線タグ読み取り装置が記載されている。この無線タグ読み取り装置は、通信プロトコルの異なる複数の通信方式を切り替えてコマンドを送出することにより、通信エリア内に入った無線タグを検出しようとするものである。従って、通信品質の劣化によってRF信号の変調度が低下する場合であっても、無線タグが受信処理できるようにするものではない。また、特許文献2には、無線タグから読み出した情報に基づいてASK変調の変調度を調整する無線タグ読み取り装置が記載されている。この無線タグ読み取り装置は、無線タグからタグ固有の製造条件に関する情報を読み出し、読み出した情報に基づいて変調度を調整するものである。すなわち、この無線タグ読み取り装置は、電気的特性に関する無線タグの個体差が通信に及ぼす影響を軽減することにより、無線タグが近づいた際の変調度の変化による影響を抑制しようとするものであり、そのために、無線タグごとに製造条件に関する情報の読み出しを行っている。従って、同一の無線タグについて、距離の変化などによって通信品質が劣化した場合に、無線タグが受信処理できるようにするものではない。
【特許文献1】特開2001−312701号公報
【特許文献2】特開2003−50977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した通り、従来の無線タグ読み取り装置では、タグ側の通信方式に応じた変調度で変調されたRF信号が無線タグ読み取り装置から送信される場合であっても、通信品質の劣化により受信時におけるRF信号の変調度が低下し、無線タグが応答できないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、周囲の環境によって通信品質が劣化しても無線タグが応答できるようにした無線タグ読み取り装置及びRFIDシステムを提供することを目的とする。特に、通信品質の劣化によってタグ側で受信されるRF信号の変調度が低下しても、無線タグが受信処理できるようにした無線タグ読み取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による無線タグ読み取り装置は、ASK変調信号を送信し、無線タグからの応答信号を受信する無線タグ読み取り装置であって、搬送波をベースバンド信号に基づいてASK変調し、ASK変調信号を生成する変調手段と、受信信号を復調し、復調信号を生成する復調手段と、上記復調信号に基づいて上記無線タグからの応答信号の受信を判別する応答信号検出手段と、上記応答信号検出手段による判別結果に基づいて、上記ASK変調信号の変調度を切り替える変調制御手段とを備えて構成される。
【0010】
具体的には、上記変調手段が、インピーダンスの異なる2つの負荷回路と、これらの負荷回路のいずれかをベースバンド信号に基づいて選択するスイッチング素子とからなり、上記変調制御手段が、ASK変調時に選択される上記負荷回路のインピーダンスを切り替えることにより、変調度の切り替えを行うように構成される。この無線タグ読み取り装置では、復調信号に基づいて無線タグからの応答信号の受信が判別され、その判別結果に基づいてASK変調信号の変調度が切り替えられる。すなわち、無線タグや無線タグ読み取り装置の周囲の環境によって通信品質が劣化し、タグ側で受信されるRF信号の変調度が低下すると、無線タグは受信処理することができず、無線タグ読み取り装置では、ASK変調信号を送信しても応答信号が受信されない。この様な場合に、ASK変調信号の変調度が自動的に切り替えられるので、通信品質の劣化によってRF信号の変調度が低下しても、無線タグはRF信号を受信処理することができる。従って、周囲の環境によって通信品質が劣化しても、適切な変調度に変更されるので、無線タグに応答させることができる。
【0011】
本発明による無線タグ読み取り装置は、上記構成に加え、トリガ信号に基づいて応答要求を生成し、上記ASK変調信号として送信された応答要求に対する上記応答信号が受信されるまで応答要求を繰り返し送信する送信制御手段を備え、上記変調制御手段が、最初に送信される上記応答要求について、切り替え可能な変調度のうち最も低い変調度とするように構成される。この様な構成によれば、応答要求を最初に送信する際には常に最も低い変調度となり、通信品質の劣化による変調度の低下がない場合には変調度を切り替える必要がなくなるので、この様な場合の交信を簡素化することができる。
【0012】
また、本発明による無線タグ読み取り装置は、上記構成に加え、上記変調制御手段が、上記ASK変調信号の送信後、所定時間内に無線タグからの応答信号が受信されなければ、変調度を切り替えるように構成される。この様な構成によれば、所定時間内における応答信号の受信の有無によって無線タグとの交信の成否が判別され、交信に失敗すれば、ASK変調信号の変調度が切り替えられるので、無線タグを適切に検出することができる。
【0013】
また、本発明による無線タグ読み取り装置は、上記構成に加え、上記トリガ信号に基づいて応答要求を生成し、上記ASK変調信号として送信された応答要求に対する上記応答信号が受信されるまで応答要求を繰り返し送信する送信制御手段と、上記応答信号の受信時における変調度を記憶する変調度記憶手段とを備え、上記変調制御手段が、最初に送信される上記応答要求について、切り替え可能な変調度のうち最も低い変調度とするとともに、前回の上記トリガ信号に基づく応答要求の生成時に応答信号が受信された際には、上記変調度記憶手段に記憶されている変調度とするように構成される。この様な構成によれば、無線タグからの応答信号が受信された際には、受信時の変調度が記憶され、次のトリガ信号に基づいて最初に送信される応答信号の変調度とされる。これにより、変調度の切り替えが必要な周囲環境において複数の無線タグを順次処理する場合、応答信号の受信により無線タグの検出に成功した際には、変調度を切り替える必要がなくなるので、交信を簡素化することができる。
【0014】
また、本発明による無線タグ読み取り装置は、上記構成に加え、上記変調制御手段が、新たな無線タグに対して最初に送信される応答要求について、上記変調度記憶手段に記憶された変調度に基づいて変調度を決定するように構成される。
【0015】
また、本発明による無線タグ読み取り装置は、上記構成に加え、応答要求を生成し、同一の上記無線タグに対し上記応答信号が受信されるまで応答要求を上記ASK変調信号として繰り返し送信する送信制御手段を備え、上記変調制御手段が、上記同一の無線タグが受信可能な範囲内で変調度の切り替えを行うように構成される。この様な構成によれば、同一の無線タグが受信可能な範囲内で変調度を切り替えながら、応答要求が繰り返し送信されるので、周囲環境によって通信品質が劣化しRF信号を受信処理できなかった無線タグを効果的に検出することができる。
【0016】
また、本発明による無線タグ読み取り装置は、上記構成に加え、上記応答信号の受信後、当該応答信号を送信した上記無線タグに対する一連のコマンド送信を開始する送信制御手段を備え、上記変調制御手段が、無線タグとの交信が中断すると、中断前とは異なる変調度に切り替え、上記送信制御手段が、切り替え後の変調度で上記無線タグとの交信を再開するように構成される。この様な構成によれば、通信品質の劣化による変調度の低下によってある無線タグとの一連のコマンド送信が中断しても、ASK変調信号の変調度を切り替えて当該無線タグとの交信が再開されるので、無線タグとの交信を効果的に行うことができる。
【0017】
本発明によるRFIDシステムは、応答信号を生成する無線タグと、ASK変調信号を送信し、上記応答信号を受信する無線タグ読み取り装置とからなるRFIDシステムであって、上記無線タグ読み取り装置が、搬送波をベースバンド信号に基づいてASK変調してASK変調信号を生成する変調手段と、受信信号を復調し、復調信号を生成する復調手段と、上記復調信号に基づいて上記無線タグからの応答信号の受信を判別する応答信号検出手段と、上記応答信号検出手段による判別結果に基づいて、上記ASK変調信号の変調度を切り替える変調制御手段とを備えて構成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明による無線タグ読み取り装置及びRFIDシステムによれば、ASK変調信号の変調度が自動的に切り替えられるので、通信品質の劣化によってタグ側で受信されるRF信号の変調度が低下しても、無線タグはRF信号を受信処理することができる。従って、周囲の環境によって通信品質が劣化しても、適切な変調度に変更されるので、無線タグに応答させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の形態によるRFIDシステムの概略構成の一例を示した斜視図であり、無線タグ読み取り装置としてのリーダーライター2を含むシステム全体の様子が示されている。本実施の形態によるRFIDシステム10は、ASK(Amplitude Shift Keying:振幅シフトキーイング)変調されたRF(Radio Frequency)信号を利用して無線タグ1にデータを書き込んだり、無線タグ1内のデータを読み出すことによってワークA1を管理するシステムである。このRFIDシステム10は、無線タグ1、リーダーライター2、シリアルバスケーブル3及び制御装置4からなる。
【0020】
無線タグ1は、リーダーライター2からのRF信号を受信し、動作に必要な電力を生成するとともに、受信データをメモリに書き込んだり、受信データに基づいてメモリからデータを読み出す動作を行っている。このメモリ内には、無線タグ1を識別するための識別情報として、製造時に割り当てられるUID(Unique ID)が格納されている。具体的には、メーカーコードや製品コード、シリアルナンバーなどがUIDとして格納される。従って、無線タグ1からUIDを読み取ることによって当該無線タグ1が取り付けられているワークA1を識別することができる。
【0021】
リーダーライター2は、ASK変調信号を送信し、無線タグ1からの応答信号を受信する動作を行っている。このリーダーライター2は、ISO(International Organization for Standardization)15693の規格に基づく無線タグ読み取り装置であり、いわゆる近傍型の読み取り装置となっている。具体的には、数cmから数十cmまでが交信に適した無線タグ1との距離となっている。リーダーライター2は、シリアルバスケーブル3を介して制御装置4に接続される。
【0022】
制御装置4は、リーダーライター2に無線タグ1との交信開始を指示し、リーダーライター2が無線タグ1から読み取ったデータを収集蓄積し、或いは、表示する動作を行っている。例えば、制御装置4は、搬送ライン上のワークA1がリーダーライター2の通信エリア内に位置するタイミングで交信開始を指示する。この様な制御装置4としては、PLC(Programmable Logic Controller:プログラマブルロジックコントローラ)や、パーソナルコンピュータなどの情報処理端末が用いられる。
【0023】
具体的には、交信開始を指示するためのトリガ信号として、リードライトコマンドが制御装置4からリーダーライター2へ出力され、リーダーライター2では、このリードライトコマンドに基づいて無線タグ1に対する応答要求の送信が開始される。この応答要求は、ASK変調されたRF信号として送出され、無線タグからの応答信号が受信されるまで繰り返し送信される。
【0024】
図2は、図1のRFIDシステムの要部における詳細を示した図であり、カード状の無線タグ1が示されている。この無線タグ1は、薄い矩形状の基板11と、基板11の各辺に沿って螺旋状に配線されたアンテナコイル12と、アンテナコイル12に接続され、アンテナコイル12の内側に配置された半導体チップ13からなる。
【0025】
例えば、基板11は厚みが0.2mmの樹脂シートからなり、この樹脂シート上に印刷又はエッチングによりアンテナコイル12が形成される。半導体チップ13は、アンテナコイル12とで共振回路を形成するコンデンサーや、受信信号を復調する復調回路、受信データを処理する処理回路、UIDや受信データを記憶する半導体メモリからなる。応答信号は、リーダーライター2からの応答要求に基づいて生成される。具体的には、受信データに基づいて半導体メモリからデータを読み出し、RF信号を負荷変調することによって生成される副搬送波を符号化することによって生成される。
【0026】
図3は、図1のRFIDシステムの要部における詳細を示したブロック図であり、リーダーライター2の構成例が示されている。このリーダーライター2は、発振回路21、増幅回路22、変調回路23、LPF24、LC共振回路25、減衰器26、復調回路27、2値化回路28、制御回路29、外部I/F30及び符号化回路31からなる。
【0027】
発振回路21は、水晶発振子を用いてRF(Radio Frequency)信号を生成するRF信号の生成回路である。例えば、13.56MHzのRF信号が生成され、搬送波として出力される。この搬送波は、増幅回路22によって電力増幅され、変調回路23へ出力される。
【0028】
変調回路23は、電力増幅後の搬送波を符号化回路31からのベースバンド信号に基づいてASK(Amplitude Shift Keying:振幅シフトキーイング)変調し、ASK変調信号を生成する処理を行っている。この変調回路23は、種類の異なる無線タグであっても交信できるように、変調度100%のASK変調と変調度10%のASK変調とが切り替え可能となっている。さらに、変調度10%のASK変調では、変調度10%の通信方式を指定するASK10%対応の無線タグに対する通信性能を向上させるために、10%から30%までの範囲内でASK変調信号の変調度が切り替え可能となっている。
【0029】
一般に、変調度10%を指定する通信方式では、リーダーライターから送出されるRF信号の変調度について許容範囲(10%以上30%以下)が定められている。通常、ASK10%対応の無線タグは、送出時の変調度がこの範囲内にあれば、リーダーライターからのRF信号を受信処理することができる。つまり、ASK10%対応の無線タグとの通信時には、同一種類の無線タグが受信可能な範囲内で変調度の切り替えが行われる。この様なASK変調における変調度の指定は、制御回路29からの指示に基づいて行われる。
【0030】
符号化回路31は、制御回路29から入力されるデータをパルス位置によって符号化し、ベースバンド信号を生成する処理を行っている。
【0031】
ASK変調信号は、LPF(ローパスフィルタ)24によって高調波成分が除去され、LC共振回路25へ出力される。LC共振回路25は、アンテナコイル及びコンデンサーからなる共振回路である。変調回路23からのASK変調信号は、LC共振回路25を介して無線タグへ送出され、また、無線タグからの応答信号は、LC共振回路25によって受信される。受信信号は、減衰器26によって後段の復調回路27で制御可能なレベルまで減衰される。
【0032】
復調回路27は、減衰後の受信信号を搬送波及び副搬送波に基づいて復調し、復調信号を生成する処理を行っている。2値化回路28は、復調回路27からの復調信号を閾値処理によって2値化するコンパレータであり、復号された受信データが生成される。
【0033】
制御回路29は、外部I/F30を介して制御装置から入力されるトリガ信号に基づいて無線タグに対する交信を開始し、また、復調信号に基づいて変調度を切り替える制御を行っている。具体的には、制御装置からのリードライトコマンドに基づいて無線タグに対する応答要求を生成し、符号化回路31へ出力するとともに、復調信号に基づいて無線タグからの応答信号の受信を判別し、ASK変調信号の変調度を切り替える動作が行われる。
【0034】
ここでは、制御装置から入力される制御信号に基づいて、無線タグとの交信に関するパラメータを自動設定する動作が行われるものとする。具体的には、制御装置からの自動判別コマンドに基づいてパラメータテーブルを読み出し、読み出したパラメータテーブルに基づいて受付コマンドを生成し無線タグに対して送信する。この受付コマンドによる無線タグからの応答に基づいて交信パラメータが設定される。
【0035】
パラメータテーブルは、通信規格や通信方式に関する交信パラメータ(データ)からなり、交信対象とする無線タグの種類に応じて複数のテーブルがEEPROMなどのメモリ内に格納されている。交信パラメータとしては、ASK変調における変調度や、RF信号の送出時の電波強度、無線タグから読み出すデータの読み出しサイズ、受信データの最大サイズなどがある。ここでは、交信パラメータの組み合わせ、すなわち、通信方式が変調度100%及び10%のいずれであるかや、電波強度の強弱、読み出しサイズの指定(8バイト及び4バイトのいずれか)に応じて8種類のテーブルがパラメータテーブルとして格納されているものとする。
【0036】
この様なパラメータテーブルの1つが読み出され、読み出されたパラメータテーブルに基づいて交信パラメータを定めて受付コマンドが送出される。受付コマンドは、Inventryコマンドとも呼ばれ、無線タグのメーカーコードや製品コードを指定するデータからなる。この受付コマンドは、無線タグからの応答がなければ、パラメータテーブルを変更して再送出される。受付コマンドに対する無線タグからの応答があれば、受信データに基づいて無線タグの種類が判別され、交信パラメータが設定登録される。つまり、交信対象とする無線タグに対して受付コマンドを送出させることにより、適切な交信パラメータを自動的に設定することができる。
【0037】
図4(a)及び(b)は、図3のリーダーライターの要部における詳細を示した図である。図4(a)には、スイッチング素子23a及び2つの負荷回路23b,23cからなる変調回路23の一例が示され、図4(b)には、変調時に選択される負荷回路23bの構成例が示されている。各負荷回路23b及び23cは、インピーダンスの異なる直流抵抗又はコンデンサーからなる。スイッチング素子23aは、負荷回路23b及び23cのいずれかをベースバンド信号に基づいて選択し、出力回路を切り替える半導体素子である。
【0038】
ここでは、ASK変調時に選択される一方の負荷回路23b(「負荷回路1」とする)のインピーダンスをゼロ以外の所定値とし、他方の負荷回路23c(「負荷回路2」とする)のインピーダンスがゼロであるものとする。この様な負荷回路23b及び23cをベースバンド信号の信号レベルに応じて切り替えることにより、搬送波をASK変調することができる。
【0039】
「負荷回路1」(負荷回路23b)は、インピーダンスの異なる複数の負荷回路102及び103と、これらの負荷回路102及び103のいずれか1つを制御回路からの指示に基づいて選択するスイッチング素子101とからなる。例えば、インピーダンスの大きな高負荷回路102と、インピーダンスの小さな低負荷回路103の2つの負荷回路からなり、いずれかがスイッチング素子101によって選択され、出力回路が切り替えられる。これにより、ASK変調時に選択される負荷回路のインピーダンスが切り替え可能となり、出力インピーダンスの大きな高変調度モードと、出力インピーダンスの小さな低変調度モードを切り替えることができる。つまり、高変調度モードでは、高負荷回路102を用いてASK変調が行われ、低変調度モードでは、低負荷回路103を用いてASK変調が行われる。
【0040】
具体的には、ASK10%対応の無線タグとの通信時において、変調度30%の高変調度モードと、変調度10%の低変調度モードとを必要に応じて切り替えることにより、変調度の調整が行われる。なお、変調度100%のASK変調の選択時には、「負荷回路1」がインピーダンス無限大の負荷回路(図示せず)に切り替えられるものとする。
【0041】
図5は、図3のリーダーライターの要部における詳細を示したブロック図であり、制御回路29の構成例が示されている。この制御回路29は、送信制御部29a、応答信号検出部29b、変調制御部29c及び変調度記憶部29dからなる。送信制御部29aは、制御装置からのトリガ信号(リードライトコマンド)に基づいて無線タグに対する応答要求を生成し、符号化回路へ出力する動作を行っている。応答要求は、交信対象とする無線タグを指定するメーカーコードや製品コードなどのデータからなり、符号化回路によって符号化され、ベースバンド信号として搬送波を変調し、ASK変調信号としてLC共振回路から送信される。
【0042】
この応答要求は、ASK変調信号として送信された応答要求に対する応答信号が受信されるまで、同一の無線タグに対して繰り返し送信される。応答要求を繰り返し送信する際の送信対象としての無線タグは、通信方式として指定する変調度が同じであれば良い。
【0043】
応答信号検出部29bは、復調信号に基づいて無線タグからの応答信号の受信を判別する動作を行っている。具体的には、復号後の受信データに基づいて交信対象とする無線タグからの応答信号が受信したか否かが判別される。例えば、受信データに含まれるCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)コードによって交信の成否が判別される。或いは、SOF(Start Of Frame)やEOF(End Of Frame)の波形又はタイミングによって交信の成否が判別される。
【0044】
変調制御部29cは、応答信号検出部29bによる判別結果に基づいてASK変調信号の変調度を切り替える動作を行っている。変調度の切り替えは、ASK変調時に選択される負荷回路のインピーダンスを切り替える指示を変調回路へ出力することによって行われる。具体的には、ASK10%対応の無線タグとの通信時に、変調度30%の高変調度モードと、変調度10%の低変調度モードとを切り替える指示が出力される。
【0045】
ここでは、ASK10%対応の無線タグを交信対象とする場合、制御装置からのリードライトコマンドに基づいて応答要求を最初に送信する際には、低変調度モードに切り替えられるものとする。つまり、この場合、応答要求の送信開始時には、常に低変調度モードとなり、変調度10%で変調された応答要求が送出される。また、応答要求の送信後、所定時間内に無線タグからの応答信号が受信されなければ、すなわち、無線タグとの交信に失敗すれば、変調度モードを切り替えて応答要求が再送出されるものとする。なお、所定時間内に無線タグからの応答信号が受信されれば、無線タグとの交信に成功したものとして、当該変調度モードが保持される。
【0046】
無線タグからの応答信号が受信された際には、受信時の変調度が変調度記憶部29d内に格納され、次のトリガ信号(リードライトコマンド)に基づいて最初に送信される応答信号の変調度とされる。具体的には、前回のトリガ信号に基づく応答要求の生成時に応答信号が受信された場合、新たな無線タグに対して最初に送信される応答要求について、変調度記憶部29d内に格納されている変調度を初期値として変調度が決定される。一方、前回のトリガ信号に基づく応答要求の生成時に応答信号が受信されなかった場合には、新たな無線タグに対して最初に送信される応答要求について低変調度モードとなる。これにより、変調度の切り替えが必要な周囲環境において複数の無線タグを順次処理する場合、応答信号の受信により無線タグの検出に成功した際には、変調度を切り替える必要がなくなるので、交信を簡素化することができる。
【0047】
図6は、ベースバンド信号に基づくASK変調の様子を示した図である。ASK変調信号は、ベースバンド信号の信号レベルの変化に応じて振幅が切り替わる。変調時B2における信号レベルの振れ幅をaとし、非変調時B1における信号レベルの振れ幅をb(b>a)とすると、ASK変調信号の変調度mは、m=(b−a)/(b+a)により表される。
【0048】
本実施の形態では、通信方式が変調度10%のASK変調である無線タグとの通信時に、応答信号の受信結果に基づいて変調度10%の低変調度モードと、変調度30%の高変調度モードとを切り替える制御が行われる。
【0049】
図7は、図3のリーダーライターにおける変調度の切り替え動作の一例を示した図であり、無線タグまでの距離を変えながら測定された無線タグにおける変調度の様子が変調度モードごとに示されている。本発明の発明者らの実験によって、タグ側で測定されるRF信号の変調度が、リーダーライター及び無線タグ間の距離によって変化することが判明した。具体的には、距離ゼロから単調に減少し、ある距離のところで最小となっている。そして、変調度が最小となる距離を超えると、変調度は単調に増加している。
【0050】
変調度が減少している区間では、変調度の変化率が次第に小さくなっており、また、変調度が増加している区間では、変化率が次第に大きくなっている。この様に無線タグにおける変調度が距離に応じて変化するので、リーダーライターから送出されるRF信号の変調度が低いと、無線タグ側では、受信処理可能な変調度の最小値m1を下回り、応答できなくなる交信不可領域が生じることとなる。
【0051】
例えば、低変調度モードでは、リーダーライター又は無線タグの周囲に金属が存在するなどの周囲環境によって無線タグにおける変調度が最小値m1以下となり、距離d1から距離d2までの範囲が交信不可領域となる。具体的には、m1=2.5%であり、リーダーライター側で測定された変調度は10%となっている。本実施の形態では、この様な場合、応答要求を送出しても応答信号が受信されないことを利用して、変調度モードを高変調度モードに切り替える制御が行われる。これにより、交信不可領域の発生が解消され、無線タグとの交信が可能となる。
【0052】
なお、リーダーライター又は無線タグの周囲に金属が存在する場合、リーダーライター及び無線タグ間の距離が小さいと、金属がリーダーライターのアンテナコイルによる磁界を打ち消し、リーダーライターから無線タグに電力が十分に供給されない。このため、リーダーライターから送出されるASK変調信号の変調度が高いと、無線タグ側では、受信処理可能な変調度の最大値m2を上回り、応答できなくなる交信不可領域が生じることとなる。
【0053】
例えば、高変調度モードでは、リーダーライター又は無線タグの周囲に金属が存在することによって無線タグにおける変調度が最大値m2以上となり、交信不可領域が生じる。具体的には、m2=18%であり、リーダーライター側で測定された変調度は45%となっている。この様な場合には、変調度モードを低変調度モードに切り替える制御が行われる。これにより、交信不可領域の発生が解消され、無線タグとの交信が可能となる。
【0054】
図8は、金属製のフレームにそれぞれ取り付けられたリーダーライター及び無線タグの一例を示した断面図である。この無線タグ1は、樹脂製のアタッチメントA2を介して金属フレームA3に取り付けられている。金属フレームA3は、例えば、鉄製の平板からなり、リーダーライター(ヘッド)2に対向する側には、中央部の厚みを周辺部よりも薄くして凹部が形成されている。この凹部に無線タグ1と同サイズのアタッチメントA2が配置され、当該アタッチメントA2に無線タグ1が取り付けられている。
【0055】
アタッチメントA2及び無線タグ1は、凹部の側壁から距離d3だけ離して配置され、また、無線タグ1は、金属フレームA3のヘッド対向面から距離d4だけ後退させて配置される。具体的には、d3=10mm、d4=2.8mmとなっている。
【0056】
一方、リーダーライター2は、鉄製のフレーム板B1に取り付けられている。この様にリーダーライター2及び無線タグ1の周囲に金属が存在する場合、リーダーライター2及び無線タグ1間の距離dによっては交信不可となる。
【0057】
図9は、リーダーライター2及び無線タグ1間の交信特性の一例を示した図であり、距離dを変えて測定された変調度が変調度モードごとに示されている。リーダーライター2及び無線タグ1間の距離dは、5mmから65mmまで10mm間隔で変更され、各距離において変調度が測定される。変調度は、無線タグ1側で測定した値と、ヘッド(リーダーライター2)側で測定した値が示されている。
【0058】
高変調度モードの場合、ヘッド側で測定された変調度は、距離dが大きくなるに従って、40.9%から次第に減少し、距離d=25mmで最小値25.3%となった後、28.2%まで次第に増加している。このヘッド側の変化にほぼ比例して、タグ側で測定された変調度は、距離dが大きくなるに従って、8.5%から次第に減少し、距離d=25mmで最小値6.2%となった後、11.2%まで次第に増加している。
【0059】
一方、低変調度モードの場合、ヘッド側で測定された変調度は、距離dが大きくなるに従って、17.2%から次第に減少し、距離d=25mmで最小値9.7%となった後、11.8%まで次第に増加している。このヘッド側の変化にほぼ比例して、タグ側で測定された変調度は、距離dが大きくなるに従って、3.7%から次第に減少し、距離d=35mmで最小値2.3%となった後、3.9%まで次第に増加している。
【0060】
この低変調度モードでは、タグ側で測定された変調度が距離d=25mm及びd=35mmで受信可能な変調度の最小値m1=2.5%以下となり、交信不可領域Cが生じている。この様な場合であっても、変調度モードを高変調度モードに切り替えれば、距離d=25mm及びd=35mmにおける変調度はm1を超え、交信不可領域を解消することができる。
【0061】
図10のステップS101〜S110は、図3のリーダーライターにおける交信パラメータの自動設定動作の一例を示したフローチャートである。まず、制御回路29は、制御装置からの自動判別コマンドを受信すると(ステップS101)、メモリからパラメータテーブルを読み出し(ステップS102)、読み出したパラメータテーブルに基づいて交信パラメータを仮設定する(ステップS103)。
【0062】
次に、自動判別コマンドに基づいて無線タグに対する受付コマンドが生成され、仮設定した交信パラメータに従って送信される(ステップS104)。受付コマンドの送出後、所定時間内に無線タグからの応答があれば、受信データに基づいて無線タグの種類が判別され、必要があれば再度パラメータテーブルが読み出される(ステップS105,S106)。次に、適切な交信パラメータを設定データとしてメモリに登録し、設定完了通知を制御装置へ返信すれば、この自動設定処理は終了する(ステップS107,S108)。
【0063】
一方、所定時間内に無線タグからの応答がなければ、全てのパラメータテーブルについて試行し終えるまで、ステップS102からステップS105までの処理手順が繰り返される(ステップS109)。全てのパラメータテーブルについて試行し終えても無線タグからの応答がない場合、当該無線タグは交信対象ではないタグであるとして、交信エラー通知が制御装置へ返信される(ステップS110)。
【0064】
図11のステップS201〜S209は、図3のリーダーライターにおける無線タグ読み取り動作の一例を示したフローチャートである。まず、制御回路29は、設定データをメモリから読み出し、交信パラメータを本設定する(ステップS201)。
【0065】
次に、本設定した交信パラメータの変調度が100%であれば、制御装置からリードライトコマンドが受信するまで待機し(ステップS202,S203)、リードライトコマンドが受信すると、受信したリードライトコマンドに基づいて交信対象とする無線タグに対する応答要求が生成され、変調度100%で送信される(ステップS204)。
【0066】
応答要求の送出後、所定時間内に無線タグからの応答信号が受信されれば、受信データを制御装置に返信し(ステップS205,S206)、リードライトコマンドの待機状態に移行する。所定時間内に無線タグからの応答信号が受信されなければ、応答要求の再送信(リトライ)が行われ(ステップS208)、所定回数のリトライを行っても、無線タグからの応答信号が受信されない場合、当該無線タグとの交信に失敗したものとして、交信エラー通知が制御装置へ返信される(ステップS209)。
【0067】
一方、本設定した交信パラメータの変調度が10%であれば、ASK10%対応の無線タグに関する読み取り処理に移行する(ステップS207)。
【0068】
図12のステップS301〜S310は、図3のリーダーライターにおける無線タグ読み取り動作の一例を示したフローチャートであり、ASK10%対応の無線タグに関する読み取り処理が示されている。まず、制御回路29は、制御装置からリードライトコマンドが受信されるまで待機し(ステップS301)、リードライトコマンドが受信されると、変調度記憶部29dを参照して変調度を取得する(ステップS302)。次に、受信されたリードライトコマンドに基づいて交信対象とする無線タグに対する応答要求が生成され、変調度10%で送信される(ステップS303)。
【0069】
応答要求の送出後、所定時間内に無線タグからの応答信号が受信されれば、受信時の変調度を変調度記憶部29d内に格納して受信データが制御装置に返信される(ステップS304〜S306)。
【0070】
一方、所定時間内に無線タグからの応答信号が受信されなければ、変調度を30%に切り替えて応答要求が再送信される(ステップS307,S309,S310)。この応答要求のリトライは、所定回数に達するまで変調度を切り替えながら行われ、所定回数行っても、無線タグからの応答信号が受信されない場合、当該無線タグとの交信に失敗したものとして、交信エラー通知が制御装置へ返信される(ステップS308)。
【0071】
本実施の形態によれば、ASK変調信号の変調度が自動的に切り替えられるので、通信品質の劣化によってRF信号の変調度が低下しても、無線タグはRF信号を受信処理することができる。従って、周囲の環境によって通信品質が劣化しても、適切な変調度に変更されるので、無線タグに応答させることができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、ASK10%対応の無線タグとの通信に関し、ASK変調信号の変調度が10%及び30%のいずれかに切り替え可能である場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、10%から30%までの範囲内であれば、異なる3以上の変調度M1〜Mn(n≧3)のいずれか1つに切り替え可能であるようにしても良い。さらに、最初に送信される応答要求について、切り替え可能な変調度M1〜Mnのうち最も低い変調度とすれば、通信品質の劣化による変調度の低下がない場合には変調度を切り替える必要がなくなるので、この様な場合の交信を簡素化することができて好ましい。
【0073】
また、本実施の形態では、無線タグからの応答信号が受信されなければ、変調度を切り替えて応答要求の再送信が行われる場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、無線タグとの交信が中断すると、変調度を切り替えて当該無線タグとの交信を再開するようにしても良い。具体的には、無線タグからの応答信号の受信後、当該応答信号を送信した無線タグに対する一連のコマンド送信を開始する。この一連のコマンド送信中に受信データが得られなくなると、交信の中断前とは異なる変調度に切り替えられ、交信対象の無線タグを指定したデータ送信が再開される。つまり、一連のコマンド送信に係るデータ受信の途絶を交信の中断とし、交信が中断するごとに変調度が切り替えられる。この様にすれば、通信品質の劣化によってある無線タグとの交信が中断しても、ASK変調信号の変調度を切り替えて当該無線タグとの交信が再開されるので、無線タグとの交信を効果的に行うことができる。
【0074】
また、本実施の形態では、ASK10%対応の無線タグとの通信に関して変調度の調整が行われる場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、変調度100%の通信方式が指定された無線タグとの通信に関し、変調度を所定範囲内で切り替え可能であるようにしても良い。具体的には、変調度を例えば80%から100%の範囲内で切り替え可能とし、応答信号の受信結果に基づいて変調度が切り替えられる。この様な構成によれば、変調度の大きな高変調度用の無線タグが用いられる場合であっても、適切な変調度に切り替えられるので、無線タグは通信品質の劣化したRF信号を受信処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態によるRFIDシステムの概略構成の一例を示した斜視図であり、リーダーライター2を含むシステム全体の様子が示されている。
【図2】図1のRFIDシステムの要部における詳細を示した図であり、カード状の無線タグ1が示されている。
【図3】図1のRFIDシステムの要部における詳細を示したブロック図であり、リーダーライター2の構成例が示されている。
【図4】図3のリーダーライターの要部における詳細を示した図である。
【図5】図3のリーダーライターの要部における詳細を示したブロック図であり、制御回路29の構成例が示されている。
【図6】ベースバンド信号に基づくASK変調の様子を示した図である。
【図7】図3のリーダーライターにおける変調度の切り替え動作の一例を示した図である。
【図8】金属製のフレームにそれぞれ取り付けられたリーダーライター及び無線タグの一例を示した断面図である。
【図9】リーダーライター2及び無線タグ1間の交信特性の一例を示した図であり、距離dを変えて測定された変調度が変調度モードごとに示されている。
【図10】図3のリーダーライターにおける交信パラメータの自動設定動作の一例を示したフローチャートである。
【図11】図3のリーダーライターにおける無線タグ読み取り動作の一例を示したフローチャートである。
【図12】図3のリーダーライターにおける無線タグ読み取り動作の一例を示したフローチャートであり、ASK10%対応の無線タグに関する読み取り処理が示されている。
【符号の説明】
【0076】
1 無線タグ
2 リーダーライター
3 シリアルバスケーブル
4 制御装置
10 RFIDシステム
11 基板
12 アンテナコイル
13 半導体チップ
21 発振回路
22 増幅回路
23 変調回路
24 LPF
25 LC共振回路
26 減衰器
27 復調回路
28 2値化回路
29 制御回路
29a 送信制御部
29b 応答信号検出部
29c 変調制御部
29d 変調度記憶部
30 外部I/F
31 符号化回路
A1 ワーク
A2 アタッチメント
A3 金属フレーム
B1 非変調時
B2 変調時
B3 フレーム板



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ASK変調信号を送信し、無線タグからの応答信号を受信する無線タグ読み取り装置において、
搬送波をベースバンド信号に基づいてASK変調し、ASK変調信号を生成する変調手段と、
受信信号を復調し、復調信号を生成する復調手段と、
上記復調信号に基づいて上記無線タグからの応答信号の受信を判別する応答信号検出手段と、
上記応答信号検出手段による判別結果に基づいて、上記ASK変調信号の変調度を切り替える変調制御手段とを備えたことを特徴とする無線タグ読み取り装置。
【請求項2】
トリガ信号に基づいて応答要求を生成し、上記ASK変調信号として送信された応答要求に対する上記応答信号が受信されるまで応答要求を繰り返し送信する送信制御手段を備え、
上記変調制御手段は、最初に送信される上記応答要求について、切り替え可能な変調度のうち最も低い変調度とすることを特徴とする請求項1に記載の無線タグ読み取り装置。
【請求項3】
上記変調制御手段は、上記ASK変調信号の送信後、所定時間内に無線タグからの応答信号が受信されなければ、変調度を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の無線タグ読み取り装置。
【請求項4】
上記トリガ信号に基づいて応答要求を生成し、上記ASK変調信号として送信された応答要求に対する上記応答信号が受信されるまで応答要求を繰り返し送信する送信制御手段と、
上記応答信号の受信時における変調度を記憶する変調度記憶手段とを備え、
上記変調制御手段は、最初に送信される上記応答要求について、切り替え可能な変調度のうち最も低い変調度とするとともに、前回の上記トリガ信号に基づく応答要求の生成時に応答信号が受信された際には、上記変調度記憶手段に記憶されている変調度とすることを特徴とする請求項1に記載の無線タグ読み取り装置。
【請求項5】
上記変調制御手段は、新たな無線タグに対して最初に送信される応答要求について、上記変調度記憶手段に記憶された変調度に基づいて変調度を決定することを特徴とする請求項4に記載の無線タグ読み取り装置。
【請求項6】
応答要求を生成し、同一の上記無線タグに対し上記応答信号が受信されるまで応答要求を上記ASK変調信号として繰り返し送信する送信制御手段を備え、
上記変調制御手段は、上記同一の無線タグが受信可能な範囲内で変調度の切り替えを行うことを特徴とする請求項1に記載の無線タグ読み取り装置。
【請求項7】
上記応答信号の受信後、当該応答信号を送信した上記無線タグに対する一連のコマンド送信を開始する送信制御手段を備え、
上記変調制御手段は、無線タグとの交信が中断すると、中断前とは異なる変調度に切り替え、
上記送信制御手段は、切り替え後の変調度で上記無線タグとの交信を再開することを特徴とする請求項1に記載の無線タグ読み取り装置。
【請求項8】
上記変調手段が、インピーダンスの異なる2つの負荷回路と、これらの負荷回路のいずれかをベースバンド信号に基づいて選択するスイッチング素子とからなり、
上記変調制御手段は、ASK変調時に選択される上記負荷回路のインピーダンスを切り替えることにより、変調度の切り替えを行うことを特徴とする請求項1に記載の無線タグ読み取り装置。
【請求項9】
応答信号を生成する無線タグと、ASK変調信号を送信し、上記応答信号を受信する無線タグ読み取り装置とからなるRFIDシステムにおいて、
上記無線タグ読み取り装置が、搬送波をベースバンド信号に基づいてASK変調してASK変調信号を生成する変調手段と、
受信信号を復調し、復調信号を生成する復調手段と、
上記復調信号に基づいて上記無線タグからの応答信号の受信を判別する応答信号検出手段と、
上記応答信号検出手段による判別結果に基づいて、上記ASK変調信号の変調度を切り替える変調制御手段とを備えたことを特徴とするRFIDシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−65976(P2007−65976A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251109(P2005−251109)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】