説明

無線周波数集積回路を試験するためのシステムおよび方法

【課題】無線周波数集積回路(RFIC)を試験する方法を提供する。
【解決手段】オンチップ試験回路302を用いて高周波試験信号を生成するステップと、オンチップ電力検出器を用いて信号レベルを測定するステップと、上記オンチップ試験回路302を、低周波数信号を用いて制御および監視するステップとを含む。RFIC300は、高周波数において動作するように構成されており、オンチップ試験回路302は、試験モードの間に動作するように構成された周波数生成回路306を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、一般に、半導体装置および方法に関し、より詳細には、無線周波数(RF)集積回路を試験するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
〔背景〕
ミリメートル波ベースのRFシステムに対する需要が増大するにつれて、III/Vベースのディスクリート半導体コンポーネントを使用せずに、これらRFシステムをシリコンベースの集積回路上に集積させることに関心が集まっている。ミリメートル波周波数とは、概して、約30GHz〜300GHzの間の周波数とされている。ミリメートル波ベースのRFシステムの一般的な用途には、自動車のレーダおよび高周波通信システムなどが含まれる。シリコン集積技術を用いることによって、これらRFシステムを、大量に、かつ、ディスクリートコンポーネントベースのシステムよりも安価に製造することが可能である。
【0003】
しかし、ミリメートル波ベースのシステムを試験することは、難しく、高コストである。例えば、10GHzよりも高い周波数で動作するシステムの場合、当該システムを試験するために用いられる精密試験機器および設備が高価である。これらの試験機器および設備は、動作、調整、および管理維持に時間がかかり、試験に使用するRFプローブは、耐用年数に限りがあるため、時間が経てば消耗する。物理的変形、例えばコンタクトの湾曲は、高周波マッチング回路に悪影響を及ぼし、コンタクトやコネクタの腐食は、試験設備の減衰特性を劣化させ得る。さらに、このような高周波試験設備を維持および動作させるために必要な専門的技術は、大量の半導体を試験する環境では利用できない場合が多い。このように、ミリメートル波RF集積回路を大量に製造可能であるとしても、当該集積回路を試験することが、大きな障害となり得る。
【0004】
図1は、例えば、従来のRF集積回路試験設備100を示す図である。RF回路104を備えるRFIC102が、パッケージ106内にパッケージされている。パッケージ106には、RF試験機器108が結合されている。このようなシステムにおいて、RFIC102のRF試験が、RF試験機器108によって、高周波数にて行われる。試験時間および費用を節約するための1つの方法は、RF信号経路の完全な試験を行わないことである。しかし、自動車衝突を警告するレーダベースのシステムなどといったシステムでは、当該システムの安全性および信頼性を確保するために、完全且つ総合的な試験が必要であろう。
【0005】
〔発明の概要〕
一実施形態では、無線周波数集積回路(RFIC)を試験する方法は、オンチップ試験回路を用いて高周波試験信号を生成するステップと、オンチップ電力検出器を用いて信号レベルを測定するステップと、上記オンチップ試験回路を、低周波数信号を用いて制御および監視するステップとを含む。このRFIC回路は、高周波数にて動作するように構成されており、オンチップ試験回路は、試験モードの間に動作するように構成された周波数生成回路を備えている。
【0006】
上述の説明は、次に述べる本発明の詳細な説明がより良好に理解され得るように、本発明の一実施形態の特徴を、どちらかと言えば大まかにまとめたものである。以下では、本発明の特許請求範囲の主題を形成する、本発明の実施形態のさらなる特徴および利点を説明する。ここに開示される原理および特定の実施形態は、同じ目的を実施するための本発明の他の構造またはプロセスを、変更または設計するための基礎として、容易に利用され得ることは、当業者には明らかであろう。また、このような同等の構造は、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の原理および範囲から逸脱するものではないことは当業者には明らかであろう。
【0007】
〔図面の簡単な説明〕
以下では、本発明およびその利点をより良好に理解するために、添付の図面を参照する。
【0008】
図1は、従来のRF集積回路試験設備を示す図である。
【0009】
図2は、本発明の一実施形態にかかるRF集積回路試験設備を示す図である。
【0010】
図3は、本発明の一実施形態にかかるRF集積回路を示す図である。
【0011】
図4は、本発明の他の一実施形態にかかるRF集積回路を示す図である。
【0012】
図5は、一実施形態のビルトイン試験装置回路を示すブロック図である。
【0013】
〔具体的な実施形態の詳細な説明〕
以下に、現在のところ好ましい実施形態の作成および使用について、詳細に説明する。しかし本発明は、様々な具体的状況下で実施され得る、適用可能な多くの発明概念を提供するものであることは明らかであろう。ここで説明する具体的な実施形態は、単に、本発明を作成および使用するための具体的な方法を説明するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0014】
本発明を、具体的な状況、すなわちRF集積回路を試験するためのシステムおよび方法における、好ましい実施形態に関して説明する。しかし本発明は、他の種類の回路にも適用可能である。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態にかかるRF集積回路試験設備200を示す図である。RFIC202は、RF回路204およびビルトインセルフテスト回路208を備えている。一実施形態では、ビルトインセルフテスト回路208は、試験連結部212を介して、低周波数(LF)試験機器210とインターフェース接続するように構成されている。複数の実施形態において、RF回路は、RFレシーバ、トランスミッタ、レーダ、RF通信システム、発振器、フィルタといった回路を含む(ただし、これらに限定されない)種々のRF回路から構成されていてよい。幾つかの実施形態において、RF回路204は、10GHzよりも高い周波数において動作し、例えば、自動車レーダの用途では、約24GHzまたは約77GHzにおいて動作する。他の実施形態では、RF回路204、または、RF回路204の一部は、10GHzよりも低い周波数において動作する。
【0016】
幾つかの実施形態では、RFICは、試験の間、パッケージ206内にパッケージされている。あるいは、RFIC204を、例えばウエハ試験の間、パッケージ206の外部で、むきだしのダイとして試験してもよいし、または、RFIC204がチップオンボードとして実装されているならば、RFIC204を、ボードのレベルにおいて試験してもよい。パッケージ206は、プラスチック・デュアルインラインパッケージ(PDIP)、セラミック・デュアルインラインパッケージ(CERDIP)、シングル・インラインパッケージ(SIP)、スモールアウトライン(SO)パッケージ、j字に湾曲したリードを有するSOパッケージ(SOJ)、c字型リードを有するSOパッケージ(COJ)、シュリンクSOボディサイズ(SSOP)、小型ボディサイズ(MSOP)、プラスチッククワッドフラットパック(PQFP)、プラスチックリードレスチップキャリア(PLCC)、セラミッククワッドフラットパック(CERQUAD)、バンプチップキャリア(BCC)、またはボールグリッドアレイ(BGA)を含む(ただし、これらに限定されない)種々のパッケージのうちの任意のパッケージであってよい。
【0017】
一実施形態では、LF試験機器210は、RF回路204の通常の動作周波数よりも低い周波数にて動作するように構成された試験装置を備える。一実施形態では、試験連結部212における信号周波数は、DCおよび/または1MHz未満である。他の実施形態では、より高い周波数を用いてもよい。
【0018】
図3は、ビルトイン試験装置(BITE)部302およびRF回路部を備えるRFIC300の実施形態を示す図である。一実施形態では、RF回路部は、デュアルコンプレックスホモダインダウンコンバータを用いた周波数変調連続波(FMCW)レーダシステム用のレシーバである。RF回路部は、2つのダウンコンバータブロック340および350を有している。これらのダウンコンバータブロックは、電力分割器360を介して局部発振器(LO)信号を受信する。各ダウンコンバータブロック340および350は、LO緩衝器342、多相フィルタ344、ミキサ348および349、並びに低雑音増幅器(LNA)346を備えている。一実施形態において、ダウンコンバーションブロック340の同相出力IF1Iおよび直交出力IF1Q、並びに、ダウンコンバーションブロック350の同相出力IF2Iおよび直交出力IF2Qは、中間周波数および/またはベースバンド処理回路(図示しない)に送信される。そして、これらの中間周波数および/またはベースバンド処理回路の出力は、低周波数テスタに送信される。ダウンコンバーションブロック340および350の各LNA346は、それぞれ、結合器334および332を介して、RF入力信号RF1およびRF2に結合されている。あるいは、結合器334および332の代わりに、またはこれらに加えて、スイッチを用いてもよい。ダウンコンバータブロック340および350は、一実施形態のBITEブロックによって試験可能な機能RF回路の例であることは、理解されよう。さらなる実施形態では、他の機能RF回路を、一実施形態のBITEブロックによって実施および試験してもよい。
【0019】
一実施形態では、BITE部302は、RF回路部に高周波試験機能を提供する。電圧制御された発振器(VCO)306が、RF回路部の動作周波数帯の範囲内のRF信号を生成する。VCO306は、例えば一実施形態において、約24GHzで動作する。他の実施形態では、他の周波数を用いてもよい。一実施形態では、VCO306は、バラクタダイオードの同調型コルピッツ発振器、および、VCO306の周波数を段階的に調整するために用いられるデジタル‐アナログ変換器(DAC)310を用いて実施される。デジタル制御された発振器を用いる複数の実施形態では、アナログチューニング電圧を外部から提供する必要はない。このような実施形態は、実施に手間がかからず、発振器の感度の高いチューニング入力部に結合している雑音を阻止する。他の実施形態では、例えば、切換可能なタンク発振器部分を用いた、デジタル式にプログラム可能な発振器を用いてもよい。幾つかの実施形態では、VCO周波数は、シリアル周辺装置インターフェース(SPI)330を用いて、直接的、または、DAC310を介して、設定される。
【0020】
VCO306の出力信号は、可変利得増幅器(VGA)308、緩衝器312、および周波数分割器ブロック314に送信される。一実施形態では、周波数分割器ブロック314は、高い分割比を有しており、周波数カウンタおよび/またはマイクロプロセッサによって容易に測定可能な低周波数出力信号を提供する。図3に示される実施形態では、周波数分割器314の分割比は、220であり、約23KHzの出力クロックを生成する。他の実施形態では、他の分割比および出力周波数を用いてもよい。一実施形態では、低周波数試験装置は、分割器314の低周波数出力を用いて、VCO306の周波数を監視および設定する。例えば、一実施形態では、外部の低周波数試験装置が、周波数分割器314の分割された出力を測定し、DAC310を、目標の周波数に達するまで、増加および/または減少させる。
【0021】
一実施形態では、VGA308は、レシーバ340および350のダウンコンバーションミキサのためのLOドライブを、スイッチ318および電力分割器360を介して生成する。試験の間、スイッチ318は閉じられる。一実施形態では、電力分割器360信号へのLO入力ポートは、VGA308がLO信号を供給する試験の間の適切なインピーダンスによって、終端処理されている。他方、BITE302が非アクティブである時は、スイッチ318は、BITE302を電力分割器360から切断している。VGA308の出力の振幅は、電力センサ316によって検出される。電力センサ316は、信号強度の表示として、DC出力信号352を供給する。一実施形態では、DC出力信号352は、マルチプレクサ322を介して、出力ピンANALOG OUTに伝送される。他の一実施形態では、DC出力信号352は、オンボードA/D変換器(図示しない)によってデジタル化され、SPIインターフェース330を用いて出力され得る。
【0022】
幾つかの実施形態では、スイッチ318は、バイポーラトランジスタを用いて実施される。あるいは、スイッチ318は、PINダイオード、MOSトランジスタ、または他の装置を用いて実施されていてもよい。
【0023】
一実施形態では、VCO306の出力部には、前段に緩衝増幅器312を備えるミキサ326も結合されている。緩衝増幅器312は、発振器のコアを、ミキサから分離させている。しかし、幾つかの実施形態では、緩衝増幅器を省いてもよい。ミキサ326は、システムおよびその仕様に応じて、ある実施形態では単側波帯(SSB)モードにて動作され、また、別の実施形態では両側波帯(DSB)モードにて動作される。幾つかの実施形態では、ミキサ326は、抑圧搬送波を有するDSBモードにて動作される。
【0024】
一実施形態では、ミキサ326は、外部から供給された低周波数(LF)信号をRF領域にアップコンバートする。幾つかの実施形態では、このLF信号は、約DCと約1MHzとの間であってよい。あるいは、他の周波数帯域を用いてもよい。電力センサ324が、ミキサ326の出力電力を測定し、ミキサ326の当該出力における信号強度を表示するDC信号354を生成する。一実施形態では、DC信号354は、アナログマルチプレクサ322を介してANALOG OUTに伝送される。あるいは、DC信号354は、オンボードA/D変換器(図示しない)を介してデジタル化され得る。当該オンボードA/D変換器の出力は、SPI330または他のインターフェースを介して、デジタル式に得られる。
【0025】
一実施形態では、ミキサ326の出力は、電力分割器328により分割され、結合器334および332を介して、それぞれ、ダウンコンバーションブロック340および350の入力部に伝送される。一実施形態では、結合器332および334は、電力分割器328の出力を、−10dBと−20dBとの間に減衰させる。あるいは、他の結合損失を用いてもよい。例えば、結合器332および334の結合損失を調整して、所望の入力RF信号をダウンコンバーション回路340および350に供給することが可能である。幾つかの実施形態では、弱く結合された方向性結合器を用いて、極めて低レベルのRF入力を供給する。一実施形態では、結合器332および334は、マイクロストリップ結合器である。あるいは、結合器332および334は、他の構造の結合器、例えばハイブリッド結合器を用いて実施される。幾つかの実施形態では、結合器332および334を省き、ミキサ326の出力を、スイッチ、能動回路網、および/または、受動回路網を介して、ダウンコンバーションブロック340および350の入力部に伝送してもよい。さらなる一実施形態では、マルチ出力を有する能動機能ブロックを前段に用いることによって、電力分割器328を省いてもよい。
【0026】
幾つかの実施形態では、ミキサ326の経路において、さらなる減衰を提供することが可能である。さらに他の一実施形態では、緩衝器312を、VGAに置き換えてもよい。さらに他の一実施形態では、特定の用途およびその仕様に応じて、電力センサ324および/またはさらなる電力センサを、試験回路の他の部分、例えば、ダウンコンバータ回路340および350の入力部に設けてもよい。試験信号を単一のRF入力部に供給する他の実施形態では、電力分割器328および/または360が省かれ、単一の結合器332が用いられる。
【0027】
一実施形態では、BITE302の全ての機能を、直列−並列インターフェース(SPI)330を介して、制御することが可能である。あるいは、直列インターフェースおよび並列インターフェースといった種類を含む他のインターフェースを用いて、BITE302を制御してもよい。
【0028】
一実施形態では、BITE回路302を用いて、ダウンコンバータ340および350に異なる種類の多数の測定を行うことが可能である。例えば、VGA308の利得を調整する多数の測定を行うことによって、一実施形態のLOパワースイープを行う。LO電力に関する変換利得や雑音指数などの測定が可能である。電力センサ316を用いることによって、LOドライブの強度に関するデータが提供される。
【0029】
一実施形態では、RF信号パワースイープは、信号LF_INにおけるミキサ326への入力の振幅を変更することによって行われる。さらに、ダウンコンバータ340および350の入力圧縮および直線特性を測定することが可能である。1dB圧縮点を、例えば、ミキサ326の入力電力をスイープし、当該1dB圧縮点のための、ダウンコンバータ340および350の出力を、デジタル式に、またはアナログ領域において監視することによって、見つけることができる。例えば、一実施形態では、IF出力振幅を、RF入力電力の測定値である電力センサの出力と相関させることによって、入力圧縮の量を定めることができる。ミキサ326の入力部に2つのトーンを導入することによって、入力電力に関する3次相互変調ひずみを測定可能である。こうして、ダウンコンバータ340および350の出力部において、相互変調ひずみ成分を測定する。
【0030】
一実施形態では、例えば、LF_INにおいてトーンを導入して、当該トーンの振幅を、ダウンコンバータ340および350の出力部において測定することによって、変換利得を測定する。LF_INにおける入力の周波数をスイープすることによって、RFおよびベースバンド周波数のスイープを行う。同様に、VCO306の周波数を、DAC310を介してスイープし、分割されたLO周波数を信号DIV_OUTにおいて測定することによって、LO周波数スイープが行われる。
【0031】
一実施形態では、ダウンコンバータの変換利得を測定すると共に、ダウンコンバータ340および350の出力雑音密度を測定することによって、雑音指数を測定する。変換利得の測定は、LF_INにおいてトーンを導入し、当該トーンの振幅を、ダウンコンバータ340および350bの出力部において、デジタル式に、またはアナログ領域において、測定することによって行われる。A/D変換器が、オンチップで、または、システム内の何らかの部材の上に実施されているならば、時間‐周波数変換、例えば、ダウンコンバータ340および350のデジタル化された出力のFFTなどを行うことによって、ダウンコンバータの出力雑音密度を測定する。あるいは、スペクトルアナライザを用いて、ダウンコンバータ340および350の雑音出力密度を測定してもよい。その後、雑音指数を、従来から公知の方法に基づいて計算する。本明細書に記載の測定方法は、本実施形態のシステムおよび方法を用いて行うことが可能な多数の測定のうちの数例であることは明らかであろう。
【0032】
図4は、他の実施形態のシステム400を示す図である。システム400は、BITE372と、RF回路とを備えている。RF回路は、ダウンコンバータ340および350と、電力分割器360とを含む。一実施形態では、BITE372は、図3のBITE302と同様であるが、ダウンコンバータ340および350に試験入力を供給するために、ミキサ326の代わりに、雑音源370が用いられている点が異なっている。雑音源370は、ダウンコンバータ340および350の入力部に既知の雑音レベルを供給する。ダウンコンバータ340および350内のミキサ348および349の出力雑音レベルを決定することによって、雑音指数(NF)および変換利得などの測定を行うことが可能である。一実施形態では、雑音源370の動作をオンおよびオフするy−ファクター法を用いることによって、雑音指数を測定する。幾つかの実施形態では、ミキサ348および349の出力雑音レベルを、A/D変換器を用いた後にDSP(図示しない)を用いることによってデジタル式に、または、アナログ式に測定する。
【0033】
一実施形態では、雑音源370は、2つの出力雑音密度を提供する過剰雑音比(ENR)源を備えている。一実施形態では、この雑音源は、アバランシェ降伏ダイオードまたは雑音ダイオードを用いて実施される。さらなる実施形態では、他の雑音源、例えば、レジスタや、増幅された熱雑音を提供する回路を用いてもよい。一実施形態では、2つの出力雑音測定を行うことによって、ダウンコンバータ340および350の雑音性能を試験する。2つの出力雑音測定のうちの一方は、雑音源370の第1の雑音密度出力の測定であり、他方は、雑音源370の第2の雑音密度出力の測定である。その後、従来から公知のy−ファクター雑音測定技術を用いて、ダウンコンバータ340および350の雑音指数を計算する。
【0034】
図5は、実施形態のBITEコア回路500を示す図である。回路500は、VCO502を備えている。VCO502の周波数は、DAC512によって制御される。VCO502の一方の出力は、VGA504を介して、信号LO_OUTに伝送され、VCO502の別の出力は、緩衝器506を介して、ミキサ508に伝送される。電力センサ514および516は、それぞれ、VGA504およびミキサ508の出力を監視する。VCO502のさらなる出力は、分割器510に伝送される。分割器510は、VCO502の出力を、指数xで分割する。一実施形態では、BITE500は、試験されるミリメートル波回路などのRF回路と共に、集積回路上に配置されている。試験の間、LO_OUTは、RF回路のLO入力部に結合され、RF_OUTは、RF回路の入力部に結合され、LF_INの入力LF_INは、外部の低周波数信号源に結合される。DIV_OUTは、例えば、外部の周波数カウンタに結合される。
【0035】
一例では、VCOが、24GHzの周波数を出力するように、最初にプログラムされる。プログラミングには、VCO502を設定するためのDAC初期値を選択する工程が含まれる。次に、外部の周波数カウンタによりDIV_OUTを測定することにより、VCOの周波数を測定する。分割指数x=1,000,000である場合、VCO502が24GHzにおいて動作している時には、DIV_OUTは、24KHzの周波数を得ることになる。一実施形態では、DIV_OUTが目標の値の範囲になるまで、DAC値をインタラクティブに調節する。
【0036】
LO調節を必要とする測定を行うために、VGA504の利得を変更して、その対応する電力レベルを電力センサ514によって測定する。RF_OUTにおいてアクティブ信号を必要とする測定を行うためには、LF_INにおいて低周波数入力を変換せずに導入する。例えば、LOを約24GHzの周波数に設定して、LF_INに1MHzのトーンを導入する場合、ミキサ508がDSBミキサであるならば、約24.001GHzおよび約23.999GHzにおいて、それぞれ対応するトーンが生じることになる。ミキサ508がSSBミキサであるならば、出力トーンは、約24.001GHzまたは約23.999GHzにおいて生じることになる。その後、RF_OUTの振幅を、電力センサ516を用いて測定することが可能である。これらの値は一例であり、他の周波数および値を用いてもよいことは明らかであろう。
【0037】
一実施形態では、信号LO_OUTおよびRF_OUTはどちらも、VCO502から派生している。LOおよびRF信号は相関しているため、周波数がわずかに変動しても、ミリメートル波レシーバの試験には悪影響が及ばない。幾つかの実施形態では、LF_IN信号の周波数は、ミキサ508によってRF領域には変換されておらず、試験されるダウンコンバーションミキサ出力の周波数の値と同じ周波数を有している。
【0038】
本発明の有効な実施形態は、ミリメートル波回路を含む高周波RF回路を、外部から高周波RF信号を印加または受信せずに、試験する能力を含む。当該回路への入力信号および当該回路からの出力信号は、DC信号または低周波数信号であってよい。このように、製造工程の間に、低周波数試験機器を用いて、RF回路またはRF集積回路に完全なRF機能試験を行うことが可能である。さらなる利点は、最終的なシステムアプリケーションの範囲において、オンチップRF回路に完全な機能試験を行う能力である。このような試験を行う能力は、システムデバッグおよび/またはシステム検査に関して、有効である。安全性に関連するシステムにおいては、このインシステム試験を行う能力により、安全性に関連するシステム検査を広範的に行うことが可能になる。
【0039】
実施形態のさらなる利点は、オンチップDACを用いてVCOを同調する能力を含む。ここでは、チップDACは、雑音および刺激が試験信号経路に侵入することを確実に回避することが可能である。
【0040】
典型的な実施形態を参照しながら本発明を説明したが、本明細書は、限定する意味で解釈されることを意図するものではない。様々な変形や、本発明の典型的な実施形態と他の実施形態とを組み合わせることは、本明細書を参照すれば、当業者には明らかになろう。従って、添付の特許請求の範囲は、このようなあらゆる変形例または実施形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来のRF集積回路試験設備を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるRF集積回路試験設備を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるRF集積回路を示す図である。
【図4】本発明の他の一実施形態にかかるRF集積回路を示す図である。
【図5】一実施形態のビルトイン試験装置回路を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波数において動作するように構成されたRF回路と、試験モードの間に動作するように構成された周波数生成回路を備えるオンチップ試験回路とを含む、無線周波数集積回路(RFIC)を試験する方法であって、
上記オンチップ試験回路を用いて高周波試験信号を生成するステップと、
オンチップ電力検出器を用いて信号レベルを測定するステップと、
上記オンチップ試験回路を、低周波数信号を用いて制御および監視するステップとを含む方法。
【請求項2】
上記高周波数は、10GHzよりも高い高周波数を含み、上記低周波数信号は、1MHzよりも低い周波数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
高周波数において動作するように構成されたRF回路と、試験モードの間だけ動作するように構成された周波数生成回路を備えるオンチップ試験回路とを含む、無線周波数集積回路(RFIC)を試験する方法であって、
上記オンチップ試験回路を用いて、全ての高周波試験信号を生成するステップと、
オンチップ電力検出器を用いて信号レベルを測定するステップと、
上記オンチップ試験回路を、低周波数信号を用いて制御および監視するステップとを含む、方法。
【請求項4】
上記高周波数は10GHzよりも高い高周波数を含み、上記低周波数信号は、1MHzよりも低い周波数を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記RF回路の高周波信号経路を、低周波数試験装置だけを用いて試験するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
上記低周波数試験装置のアナログインターフェースは、1MHzよりも低い周波数だけを用いて、上記RFICと通信する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
無線周波数回路(RF回路)と試験回路とを備える集積回路であって、
上記無線周波数回路は、
上記集積回路の出力パッドと結合され、第1の周波数帯において動作するように構成された、外部高周波インターフェース、および、
上記第1の周波数帯において動作するように構成された第1の切換可能な内部高周波インターフェースを備え、
上記試験回路は、
上記第1の切換可能な内部高周波インターフェースに結合されたスイッチに、結合された可変周波数発振器、および、
上記第1の周波数帯よりも低い周波数を含む第2の周波数帯において動作するように構成された、外部低周波数インターフェースを備えている、集積回路。
【請求項8】
上記外部低周波数インターフェースは、低周波数テスタに結合されるように構成されている、請求項7に記載の集積回路。
【請求項9】
上記第1の周波数帯は、10GHzよりも高い周波数を含む周波数帯を有し、
上記第2の周波数帯は、1MHzよりも低い周波数を含む、請求項7に記載の集積回路。
【請求項10】
上記試験回路は、
上記可変周波数発振器に結合された入力部と、上記スイッチに結合された出力部とを有する可変利得増幅器(VGA)、
上記VGAの出力部に結合された入力部と、上記外部低周波数インターフェースに結合された出力部とを有する第1の電力センサ、
上記可変周波数発振器に結合された第1の入力部と、上記RF回路の第2の高周波インターフェースに結合された出力部とを有するミキサ、および、
上記ミキサの出力部に結合された入力部と、上記外部低周波数インターフェースに結合された出力部とを有する第2の電力センサをさらに備える、請求項7に記載の集積回路。
【請求項11】
上記試験回路は、上記外部低周波数インターフェースに結合された温度センサをさらに備える、請求項10に記載の集積回路。
【請求項12】
上記ミキサは、上記外部低周波数インターフェースに結合された第2の入力部をさらに有する、請求項10に記載の集積回路。
【請求項13】
上記第1の電力センサおよび上記第2の電力センサは、アナログマルチプレクサを介して、上記外部低周波数インターフェースに結合されている、請求項10に記載の集積回路。
【請求項14】
上記RF回路は、上記切換可能な内部高周波インターフェースに結合された局部発振器(LO)入力部を有する、請求項10に記載の集積回路。
【請求項15】
上記RF回路は、上記ミキサの出力部に方向性結合器を介して結合されたレシーバを備える、請求項10に記載の集積回路。
【請求項16】
上記試験回路は、上記可変周波数発振器の周波数制御入力部に結合されたデジタル‐アナログ変換器(DAC)と、上記可変周波数発振器と上記外部低周波数入力部との間に結合された周波数分割器とをさらに備える、請求項7に記載の集積回路。
【請求項17】
RF回路と試験回路とを備える半導体回路であって、
上記RF回路は、
局部発振器(LO)の入力部を有するレシーバ、および、
上記半導体回路の外部ピンに結合されたRF入力部を備え、
上記試験回路は、
発振器、
上記発振器の出力部に結合された可変利得増幅器(VGA)、
上記VGAの出力部と上記レシーバの上記局部発振器の入力部との間に結合されたスイッチであって、試験モードの間は、上記VGAの出力部が上記レシーバに結合され、通常動作モードの間は、システムLOが上記レシーバに結合される、スイッチ、
上記VGAの出力部に結合された入力部と、上記試験回路の外部低周波数インターフェースに結合された出力部とを有する第1の電力センサ、
上記発振器に結合された第1の入力部と、上記外部低周波数インターフェースに結合された第2の入力部と、上記レシーバの入力部に結合器を介して結合された出力部とを有するミキサ、および、
上記ミキサの出力部に結合された入力部と、上記外部低周波数インターフェースに結合された出力部とを有する第2の電力センサを備える、半導体回路。
【請求項18】
上記試験回路は、
上記発振器の出力部に結合された入力部と上記外部低周波数インターフェースに結合された出力部とを有する分割器、および、
温度センサに結合された第1の入力部と、上記第1の電力センサの出力部に結合された第2の入力部と、上記第2の電力センサに結合された第3の入力部と、上記外部低周波数インターフェースに結合された出力部とを有するアナログマルチプレクサをさらに備える、請求項17に記載の半導体回路。
【請求項19】
上記レシーバは、複数のレシーバを含み、
上記結合器は、上記ミキサの出力部と各上記レシーバのRF入力部との間に結合された複数の結合器を含み、
上記スイッチと上記複数のレシーバのLO入力部との間に結合された第1の電力分割器と、
上記ミキサの出力部と上記複数の結合器との間に結合された第2の電力分割器とを備える、請求項18に記載の半導体回路。
【請求項20】
上記RF回路は、10GHzよりも高い周波数において動作し、上記外部低周波数インターフェースは、1MHzよりも低い周波数において動作する、請求項18に記載の半導体回路。
【請求項21】
RFレシーバとビルトイン試験回路とを備える無線周波数集積回路(RFIC)を試験する方法であって、
上記RFICを試験モードにおいて動作させるステップを含み、
上記RFICを試験モードの間に動作させる上記ステップは、
上記RFレシーバのLO入力部を、上記ビルトイン試験回路の試験発振器の出力部に結合するステップと、
上記RFレシーバのRF入力部を、上記ビルトイン試験回路のミキサの出力部に結合するステップであって、上記ビルトイン試験回路のミキサは、上記試験発振器の出力部に結合された第1の入力部を有する、ステップと、
上記ビルトイン試験回路の外部低周波数インターフェースから、上記ビルトイン試験回路のミキサの第2の入力部に試験周波数を印加するステップとを含む、方法。
【請求項22】
上記RFICの動作のモードを、上記試験モードから通常モードに変更するステップをさらに含み、
上記RFICの動作のモードを変更する上記ステップは、
上記試験発振器の電源を切るステップと、
上記ビルトイン試験回路の試験発振器の出力部を、上記RFレシーバのLO入力部から切断するステップとを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
LO信号電力を設定する、LO電力を設定するステップをさらに含み、
上記LO信号電力を設定するステップは、
上記試験発振器と上記LO入力部との間に結合された試験VGAの出力レベルを、上記ビルトイン試験回路の外部低周波数インターフェースに結合された出力部を有する第1の電力検出器を介して測定するステップと、
上記測定するステップにおいて得られた測定値に基づいて、試験VGAの利得を調整して、目標LO信号レベルを提供するステップとを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
変換利得を決定するステップをさらに含み、
上記変換利得を決定する上記ステップは、
上記ミキサの出力部における第1の信号レベルを、上記ビルトイン試験回路の低周波数インターフェースに結合された出力部を有する第2の電力検出器を介して測定するステップと、
上記レシーバの出力部における第2の信号レベルを測定するステップと、
上記第1の信号レベルを測定するステップおよび上記第2の信号レベルを測定するステップに基づいて、変換利得を決定するステップとを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
上記試験発振器の周波数を設定するステップをさらに含み、
上記試験発振器の周波数を設定する上記ステップは、
上記発振器の出力周波数を分割するステップと、
分割された発振器周波数を、上記外部低周波数インターフェースに供給するステップと、
分割された上記発振器周波数を測定するステップと、
上記測定するステップに基づいて、上記試験発振器に対する周波数設定を調整するステップとを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
上記周波数を調整するステップは、上記試験発振器の周波数制御入力部に結合された出力部を有するデジタル−アナログ(DAC)変換器に、値を書き込むステップを含む、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−112962(P2012−112962A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−256559(P2011−256559)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アーゲー (331)
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
【Fターム(参考)】