説明

無線型防爆機器

【課題】本発明の目的は、無線型防爆機器の防爆容器に発電機器を内蔵し、この発電機器から送受信装置に給電することにより、電源ケーブルをプラント内に配線する必要を無くし、コストを低減し設置の柔軟性を向上させる無線型防爆機器を実現することにある。
【解決手段】本発明は、無線で信号の送受信を行う送受信装置と、この送受信装置に接続されたアンテナとが、防爆構造容器の内部に収納される無線型防爆機器において、
前記送受信装置に電力供給する発電機器が防爆構造容器の内部に設けられたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険場所に配置された防爆容器を有する無線型防爆機器に関し、更に詳しくは内部に発電機器を備え、外部からの電力供給なしに半永久的に使用できる無線型防爆機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の無線型防爆機器は、工場やプラントの引火ガス等のある危険場所に設置され、外部の電源から電力を供給するために電源ケーブルが接続されている。このような従来の無線型防爆機器を、図面を用いて説明する。
【0003】
図3は、従来の無線型防爆機器の構成例を示す断面図である。図3で、危険場所Aに配置された防爆容器1の外壁の一部を貫通突出してアンテナカバー部材2が形成され、容器室1aとアンテナカバー部材内側のアンテナ室2aとの2室が連通している。
【0004】
容器室1a内には送受信装置3が収納され、アンテナ室2a内にはこの送受信装置に接続されたアンテナ4が収納されている。アンテナカバー部材2は電波透過性部材で形成され、送受信装置3はアンテナ4を介してフィールド機器5と通信する。
【0005】
送受信装置3は、防爆容器1の外壁の一部を貫通するケーブル引出部6を介して通信ケーブル7により安全場所Bに配置されている制御部8に接続され通信する。同様に、送受信装置3は、防爆容器1の外壁の一部を貫通するケーブル引出部9を介して電源
ケーブル10により安全場所Bに配置されている電源部11に接続され、給電される。
【0006】
特許文献1には、防爆容器内にアンテナおよび送受信装置を収納し、電源ケーブルにより外部の電源部に接続され給電されるとともに、通信ケーブルにより外部の制御部に接続され通信する無線型防爆機器の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−182284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような装置では、電源ケーブル10をプラント内に配線する必要があるので、コストや安全面で設置場所が制限されるという課題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、無線型防爆機器の防爆容器に発電機器を内蔵し、この発電機器から送受信装置に給電することにより、電源ケーブルをプラント内に配線する必要を無くし、コストを低減し設置の柔軟性を向上させる無線型防爆機器を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
無線で信号の送受信を行う送受信装置と、この送受信装置に接続されたアンテナとが、防爆構造容器の内部に収納される無線型防爆機器において、
前記送受信装置に電力供給する発電機器が防爆構造容器の内部に設けられたことを特徴とする無線型防爆機器。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明であって、
前記防爆構造容器は、光を透過しかつ防爆構造を満足する強度を有する素材によって形成される窓を有し、
前記発電機器は、前記窓からの入射光を利用して発電するソーラー式発電機器であることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明であって、
前記防爆構造容器の窓は、光を透過する強化ガラスによって形成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明であって、
前記発電機器が発電した電力を蓄えるバッテリーを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、送受信装置に給電する発電機器を防爆構造容器の内部に設けることにより、外部からの給電が不要となるので、屋外の危険な環境で使用する際にも、電源の配置や電源配線などによる設置場所制限の少ない無線型防爆機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例の構成を示した断面図である。
【図2】本発明の他の実施例の構成を示した断面図である。
【図3】従来の無線型防爆機器の構成例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の構成を示した断面図である。ここで、図3と同一のものは同一符号を付し、説明を省略する。
図1で、防爆容器100の側面には、光を透過しかつ防爆構造を満足する強度を有する素材である強化ガラスもしくは強化プラスチックによって形成される窓101が固着材102を用いて取り付けられている。窓101の内側には、光エネルギーを電力に変換するソーラー式発電パネル103が設けられている。ソーラー式発電パネル103の出力はバッテリー104に入力される。このバッテリー104は、送受信装置3に接続されている。
【0017】
このような装置の動作例を、図1を用いて説明する。
防爆容器100に太陽光などの光が当たると、この光は窓101を通してソーラー式発電パネル103に入射し、ソーラー式発電パネル103は電力を出力する。バッテリー104はこの電力を入力し、蓄電する。送受信装置3は、バッテリー104から電力供給される。電力がバッテリーに一旦蓄えられることにより、ソーラー式発電パネル103の出力する電力が一定しない場合でも、バッテリー104から送受信装置3へは電力が安定的に供給される。
【0018】
このように、防爆構造容器100は光を透過する窓101を有し、ソーラー式発電パネル103がこの窓101からの入射光を電力に変換し、バッテリー104がこの電力を蓄電し、送受信装置3はバッテリー104から電力供給されるので、外部からの給電が不要となり、屋外の危険な環境で使用する際にも、従来では外部の安全場所Bに配置する必要があった電源や、電源配線等に起因する設置場所制限が少ない無線型防爆機器を実現することができる。
【0019】
本発明はこれに限定されるものではなく、防爆容器1の外壁の一部を貫通するケーブル引出部1bを介して通信ケーブル6により制御部7に接続され通信する構成を示したが、図2のようにケーブル引出部1bと通信ケーブル6を取り除いた構成でもよい。この場合、複数のフィールド機器5の間の無線型防爆中継器として使用することができる。一切の外部配線が無いこととなるので、設置場所に極めて制限の少ない無線型防爆中継器となる。
【0020】
なお、防爆容器1に光透過性素材を用いた窓が形成されていることから、この窓の内側にウェブカメラを設置し、送受信装置に接続することで、無線型防爆機器付近の状況を送信することができる。また、このカメラを赤外線カメラにすることで、夜間監視も可能になる。このカメラをサーモビュアー(温度監視)カメラにすることで、無線型防爆機器が温度アラームを捉えた場合などに実際の温度を視覚的に確認することができる。
【符号の説明】
【0021】
3 送受信装置
4 アンテナ
100 防爆容器
101 窓
103 ソーラー式発電パネル
104 バッテリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線で信号の送受信を行う送受信装置と、この送受信装置に接続されたアンテナとが、防爆構造容器の内部に収納される無線型防爆機器において、
前記送受信装置に電力供給する発電機器が防爆構造容器の内部に設けられたことを特徴とする無線型防爆機器。
【請求項2】
前記防爆構造容器は、光を透過しかつ防爆構造を満足する強度を有する素材によって形成される窓を有し、
前記発電機器は、前記窓からの入射光を利用して発電するソーラー式発電機器であることを特徴とする請求項1記載の無線型防爆機器。
【請求項3】
前記防爆構造容器の窓は、光を透過する強化ガラスによって形成されたことを特徴とする請求項2記載の無線型防爆機器。
【請求項4】
前記発電機器が発電した電力を蓄えるバッテリーを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無線型防爆機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−109864(P2011−109864A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264458(P2009−264458)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】